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JP4891601B2 - 板紙の製造方法 - Google Patents

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JP4891601B2
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Description

本発明は、古紙原料などに由来して炭酸カルシウムの混入量が増大する条件での板紙の製造方法に関して、少ない硫酸バンドの使用量でも抄紙系内のピッチトラブルを防止し、灰分などの歩留り、濾水性並びにサイズ性を改善できるものを提供する。
近年の板紙抄造では炭酸カルシウムを含有する古紙を原料として使用することによって、抄造系への炭酸カルシウムの混入量が増加の一途を辿っており、このような炭酸カルシウムの混入量の増加は抄造系のpHを上昇させる原因となっている。
抄造pHは板紙の品質、操業性を確保するために最適化されていることから、pHの上昇を抑える必要があり、硫酸、或は硫酸バンド(硫酸アルミニウム)の添加量の増加を余儀なくされているが、これが石膏スケールの発生や薬品効果の低下をもたらし(後述の図13参照)、板紙抄造の操業性に悪影響を及ぼす新たな問題を誘発している。
このような抄造環境の悪化を避けるためには、硫酸バンドの使用量を低減して抄造pHを上げることが有効と考えられるが、硫酸バンドは薬品定着やサイズ性発現などに重要な役割を担っており、単に削減しただけでは新たに別の弊害が生じてしまう。
即ち、硫酸バンドの削減には、白水電気伝導度の低下、石膏スケールの減少、スラッジ処理量の減少、紙切れの減少(乾燥紙力の向上)などのメリットがあるが、その反面、酸性物質である硫酸バンドの削減により、抄造系のpH範囲は酸性から弱酸性〜中性に変化し、これに伴って硫酸バンドは失活し易くなる。
この結果、その使用量の削減と相俟って硫酸バンドの効果は大幅に低下してしまうため、ピッチトラブルが増加し(抄紙系の汚れが発生し)、灰分などの歩留り、濾水性或はサイズ性が低下するなどの弊害が発生する。
そこで、従来の板紙の製造方法を挙げると次の通りである。
(1)特許文献1
比較的多量の炭酸カルシウムを含有するパルプスラリーの中性抄造に際して、石膏スケールの発生を抑制しながら、サイズ性を向上する目的で(段落1参照)、原料パルプスラリーにロジンエマルションサイズ剤と硫酸バンドとキレート剤の共存下にて、pH6.0〜8.0の範囲で抄造する板紙の製造方法が開示されている(請求項1参照)。
上記キレート剤は石膏スケールの生成を抑制するためのもので、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)又はその塩などが記載されている(段落19)。
(2)特許文献2
古紙を含有するパルプスラリーから抄造した紙のサイズ性を向上することなどを目的として(段落1、6など参照)、パルプスラリーにロジン系エマルションサイズ剤(A)と疎水性カチオン性共重合体(B)を添加する製紙方法が開示されている(請求項1参照)。
疎水性カチオン性共重合体(B)はスチレン類やアルキル(メタ)アクリレートなどの疎水性モノマーと3級アミノ基含有モノマーなどのカチオン性モノマーの共重合体であり(段落15〜18参照)、抄造に際しては、乾燥紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤などを添加できること、また、ロジン系エマルションサイズ剤の添加場所については制限されないことが記載されている(段落26〜28)。
(3)特許文献3
サイズ性、歩留りや濾水性の改善を目的として(段落6参照)、パルプスラリーにカチオン性ロジン分散液と、アニオン性微粒状材料を含む脱水兼歩留り助剤を添加する板紙の製造方法が開示されている(請求項1参照)。
カチオン性ロジン分散液はカチオン性ポリマー(カチオン澱粉、ポリアミン、PAMなど)及び/又は両性ポリマーを含むロジン分散液であり(段落9参照)、アニオン性微粒状材料はアニオン性シリカやスメクタイト型のクレーなどであり(段落12〜15参照)、脱水兼歩留り助剤はカチオン性や両性のポリアクリルアミド(PAM)などである(段落18参照)。
特開2004−190149 特開2001−140193 特開2002−339292
従来から、カチオン性凝結剤を使用することによって抄紙系の汚れを抑制できること、或は、カチオン性歩留り剤とアニオン性歩留り剤の使用によって灰分などの歩留まり、濾水性を向上できることは知られている。例えば、特許文献2〜3には、抄造時に歩留り向上剤、或は、シリカ、クレーなどのアニオン性微粒状材料を含む脱水兼歩留り剤を使用することが述べられている。
しかしながら、上記カチオン性凝結剤や各種の歩留り剤の使用だけでは少ない硫酸バンド量において生じうる抄紙系の汚れの発生、灰分などの歩留まり、濾水性、及びサイズ性の低下の問題を全般的に解決することは困難である。
本発明は、板紙の製造に際して、少ない硫酸バンドの使用量であっても、抄紙系の汚れ、灰分歩留まり、濾水性及びサイズ性の低下という、硫酸バンドの削減に伴う弊害をいかに抑制するかを技術的課題とする。
本発明者らは、抄造系に添加する製紙用薬品の種類や組み合わせにより、上記硫酸バンドの削減に伴う弊害の解消を鋭意研究した結果、当該弊害を抑制するためには、抄造系に添加する薬品の特定の組み合わせと、薬品の添加位置(特定の薬品同士間の添加手順)の適正化からなる薬品システムの適用が重要であることを見い出した。
具体的には、先ず、特定のカチオン性凝結剤、特定の乾燥紙力増強剤(水溶性両性ポリアクリルアミド系重合体)、硫酸バンド、ロジン系エマルションサイズ剤、特定のカチオン性歩留り剤、特定のアニオン性歩留り剤を組み合わせ、且つ、硫酸バンドの添加位置をサイズ剤に接近させるという薬品の添加システムの適用により、硫酸バンドの使用量が少ない場合でも、これに起因する抄紙系の汚れの発生、灰分歩留まり、濾水性、及びサイズ性の低下を効果的に改善できること、また、当該効果を良好に引き出すには、カチオン性凝結剤、紙力増強剤、硫酸バンド、ロジン系エマルションサイズ剤、カチオン性歩留り剤及びアニオン性歩留り剤の順番での薬品添加、特に、添加順序の最初にカチオン性凝結剤の投入が好ましいことを突き止め、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、炭酸カルシウムを5重量%以上含有するパルプスラリーに製紙用薬品を添加し、pH5〜8の条件で湿式抄造する板紙の製造方法において、
上記製紙用薬品が、(a)カチオン性凝結剤、(b)乾燥紙力増強剤、(c)硫酸バンド、(d)サイズ剤、(e)カチオン性歩留り剤及び(f)アニオン性歩留り剤であり、且つ、
上記硫酸バンド(c)の添加量が絶乾パルプ重量に対して0.5〜4重量%であり、
製紙用薬品の添加手順として、先ず、成分(a)、成分(b)の順番で添加するか、成分(a)と(b)を同時に添加した後、成分(c)、成分(d)の順番で連続添加するか、成分(c)と(d)を同時に添加し、次いで、成分(e)、成分(f)の順番で添加するとともに、
上記カチオン性凝結剤(a)は、ジアリルアミン及びその塩、ジアリルメチルアミン及びその塩、ジアリルアミン系モノマーの重合体、ジアリルアミン系モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ジアリルアミン系モノマーと二酸化硫黄との共重合体、カチオン性モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、エピクロルヒドリンとジメチルアミンの共重合体よりなる群から選ばれ、
上記乾燥紙力増強剤(b)は、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、(メタ)アクリルアミドを構成成分として共重合反応して得られる水溶性両性ポリアクリルアミド系重合体であり、
上記サイズ剤(c)はロジン系エマルションサイズ剤であり、
上記カチオン性歩留り剤(e)はカチオン性アクリルアミド系ポリマーであり、
上記アニオン性歩留り剤(f)が、アニオン性アクリルアミド系ポリマー、アニオン性無機微粒子よりなる群から選ばれることを特徴とする板紙の製造方法である。
本発明2は、上記本発明1において、カチオン性凝結剤(a)が、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、エピクロルヒドリンとジメチルアミンの共重合体、ポリアミンよりなる群から選ばれたポリマーの少なくとも1種であることを特徴とする板紙の製造方法である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、アニオン性歩留り剤(f)に属するアニオン性無機微粒子がベントナイトであることを特徴とする板紙の製造方法である。
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、カチオン性凝結剤(a)、カチオン性歩留り剤(e)、アニオン性歩留り剤(f)(但し、ベントナイトを除く)のそれぞれの添加量A(単位はppm)が、絶乾パルプ重量に対する硫酸バンドの添加率をx(単位は重量%)とした場合に、次式(p)を満たし、
(20/x)≦A≦(2000/x) …(p)
アニオン性歩留り剤(f)がベントナイトであるとき、ベントナイトの添加量A(単位はppm)が硫酸バンドの添加率x(単位は重量%)に対して、次式(q)を満たす
(100/x)≦A≦(10000/x) …(q)
ことを特徴とする板紙の製造方法である。
本発明の薬品の種類又は薬品の添加手順による作用を個別的に説明すると、先ず、硫酸バンドの削減によって抄造系のピッチ量が増大し、ピッチトラブルの原因となるが、カチオン性が失活しにくい特定のカチオン性凝結剤(a)を最初に投入することによって少ない硫酸バンド量を補うとともに、アニオン性のピッチ成分を細かい状態のままパルプ表面に捕捉してピッチトラブル(抄紙系の汚れ)を抑制できる。
次いで、硫酸バンドの削減に伴うサイズ性の低下は、硫酸バンド(c)の添加位置をサイズ剤(d)に接近させる最適化によって、サイズ性を改善できる。即ち、硫酸バンドはサイズ性発現に必須な成分であり、硫酸バンド量が不十分な条件ではサイズ剤の歩留まりを上げても十分なサイズ効果が得られないことは知られているが、その一方、硫酸バンドは通常、抄造系の初期の段階において、マシンチェストなどに添加される場合が多いが、本発明では、硫酸バンドが失活し易い状況下において、少ない硫酸バンドを活性の高い状態でサイズ性の発現に有効利用するために、サイズ剤の直前に添加、もしくは同時添加するという硫酸バンドの添加位置の最適化によって、硫酸バンドのサイズ性発現の効果を最大限に引き出すことができる。
また、硫酸バンドの削減は灰分などの歩留りの低下や濾水性の低下をもたらすが、特定のカチオン性歩留り剤(e)と特定のアニオン性歩留り剤(f)の併用により、灰分歩留りや濾水性を改善できる。即ち、カチオン性歩留り剤(e)のみでも上記歩留り向上などに有効であるが、アニオン性歩留り剤(f)を併用することで、さらなる効果の向上を狙いとしている。この点を詳述すると、本発明では、アニオン性歩留り剤(f)を添加する前段階で、カチオン性凝結剤(a)、硫酸バンド(c)、カチオン性歩留り剤(e)といった種々のカチオン成分を添加しているため、本来マイナスに荷電しているパルプ、微細繊維、及びピッチ成分の表面に部分的にプラスに荷電した領域が存在していると考えられるが、アニオン性歩留り剤(f)はこのプラスに荷電した領域を介し、カチオン性凝結剤(a)では定着しきれなかったピッチ成分や、カチオン性歩留り剤(e)で定着しきれなかった微細繊維や填料成分を効果的にパルプ表面に定着させ、灰分歩留り及び濾水性を向上させることができる。
以上のように、特定のカチオン性凝結剤と各種歩留り剤の使用、当該カチオン性凝結剤の最初の段階での添加、硫酸バンドのサイズ剤に対する直前添加、或は同時添加によって、硫酸バンド削減による効果の低下を補填しながら、薬品システム全体としての相乗効果を生み出すことで、各薬品を単用した場合の個別的な効果を越えて、抄紙系の汚れの抑制、灰分歩留まり、濾水性及びサイズ性の向上の効果をより良く促進できる。
ちなみに、前記特許文献1〜3の薬品の添加手順を見ると、同文献1では、パルプスラリーに硫酸バンド、サイズ剤、キレート剤の順番で添加しており(実施例1など参照)、同文献2では、古紙を含有するパルプスラリーに、硫酸バンドと両性PAMと中性ロジン系エマルションサイズ剤を同時添加又は順次添加した後、疎水性カチオン性共重合体を添加しており(段落51などに記載の実施例参照)、また、同文献3では、中性に調整されたパルプスラリーに、硫酸バンド、PAMを添加した後、エステル型ロジンサイズ分散液を添加し、次いで、歩留り助剤のPAMを添加している(段落23〜24の実施例参照)。
本発明は、炭酸カルシウムを多く含有するパルプスラリーに製紙用薬品を添加し、インレットにてpH5〜8の条件で湿式抄造する板紙の製造方法において、少量の硫酸バンドを使用する条件で、硫酸バンドを含む特定の6種類の製紙用薬品を組み合わせて添加しながら、硫酸バンドをサイズ剤に接近させて添加するものである。
上記パルプスラリーは炭酸カルシウムを多く(5重量%以上)含有するが、これは、基本的に古紙に由来して混入されるものの外に、板紙の製造に際して、新たに薬品として(炭酸カルシウムを)添加する場合を含む。
本発明の製紙用薬品は、(a)特定のカチオン性凝結剤、(b)特定の乾燥紙力増強剤、(c)硫酸バンド、(d)ロジン系エマルションサイズ剤、(e)特定のカチオン性歩留り剤、及び(f)特定のアニオン性歩留り剤の組み合わせからなる。
上記特定のカチオン性凝結剤(a)は、ジアリルアミン及びその無機酸や有機酸の塩、ジアリルメチルアミン及びその無機酸や有機酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのジアリルアミン系モノマーの重合体、ジアリルアミン系モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ジアリルアミン系モノマーと二酸化硫黄との共重合体、カチオン性モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、エピクロルヒドリンとジメチルアミンの共重合体から選択される。
カチオン性凝結剤(a)の好ましい例は、本発明2に示すように、カチオン性ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、エピクロルヒドリンとジメチルアミンの共重合体、ポリアミンである。
上記特定の乾燥紙力増強剤(b)は、水溶性両性ポリアクリルアミドからなる。
上記両性ポリアクリルアミドは、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、(メタ)アクリルアミドを重合反応して得られる水溶性共重合体である。
上記紙力増強剤(b)の両性ポリアクリルアミドで使用するカチオン性モノマー、アニオン性モノマーを説明すると下記の通りである。尚、カチオン性凝結剤(a)のうちのカチオン性モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体で使用するカチオン性モノマーも下記の通りである。
上記カチオン性モノマーは、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートであり、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
上記3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを代表例とする。
上記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを代表例とする。
上記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、又は4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートは、3級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、又は3級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートを塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなどの4級化剤を用いたモノ4級塩基含有モノマーであり、アクリルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。また、4級アンモニウム塩基含有のカチオンモノマーには、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド(例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を使用することもできる。
上記アニオン性モノマーは、α,β−不飽和カルボン酸類、α,β−不飽和スルホン酸類である。上記不飽和カルボン酸類は(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、そのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などである。上記不飽和スルホン酸類は、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、その塩などである。
上記サイズ剤(d)はロジン系エマルションサイズ剤である。
尚、ロジンエマルションサイズ剤とともに、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤(ASA)及びアルキルケテンダイマー系サイズ剤(AKD)のいずれか一方、或は両方を併用しても良い。
上記ロジン系エマルションサイズ剤は各種のロジン系樹脂を溶剤型乳化法、無溶剤型乳化法、転相乳化法などの公知の乳化法で水中に分散して製造される。
上記ロジン系樹脂はロジン類及びロジン誘導体の少なくとも一種をいう。
上記ロジン類は、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジンの未変性ロジンを初め、不均化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、或いはその他の化学的に修飾されたロジンを含む概念である。
上記ロジン誘導体は、酸変性ロジン類、ロジンエステル類、酸変性ロジンエステル類を初め、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ変性ロジンなどをいう。
上記酸変性ロジン類は、公知の方法により上記ロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させたものをいう。この場合、反応温度は150〜300℃程度、反応温度時間は1〜24時間程度、α,β−不飽和カルボン酸類の仕込量は、ロジン類100重量部に対してα,β−不飽和カルボン酸類20重量部程度が夫々適当である。
上記α,β−不飽和カルボン酸類としては、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
上記ロジンエステル類は、上記ロジン類と多価アルコールを公知のエステル化法により製造したものをいう。エステル化反応の条件としては、ロジン類と多価アルコールの仕込比率はロジンのカルボキシル基当量に対してアルコールの水酸基当量比換算でCOOH/OH=1/(0.2〜1.2)程度、反応温度は150〜300℃程度、反応時間は2〜30時間程度が夫々適当である。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の4価アルコール、或いは、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−ノルマルブチルジエタノールアミン等のアミノアルコールなどが挙げられる。
上記酸変性ロジンエステル類は、上記ロジン類に多価アルコール類とα,β−不飽和カルボン酸類を順次、又は同時に反応させることにより得られる。
多価アルコールとのエステル化反応、α,β−不飽和カルボン酸類とのディールス・アルダー付加反応は前述の通りである。
本発明の特定のカチオン性歩留り剤(e)は、カチオン性モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体であるカチオン性アクリルアミド系ポリマーより選択される。カチオン性モノマーは前記紙力増強剤(b)などで説明した通りである。
また、本発明のアニオン性歩留剤(f)は、アニオン性モノマーと(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られるアニオン性アクリルアミド系ポリマー、アニオン性無機微粒子より選択される。アニオン性モノマーは前記紙力増強剤(b)などで説明した通りである。また、アニオン性無機微粒子はコロイダルシリカ、ベントナイト、クレーなどをいい、本発明5に示す通り、ベントナイトが好ましい。
本発明の板紙の製造方法では、パルプスラリーでの炭酸カルシウムの含有量は5重量%以上である。通常、板紙の製造に際しては、古紙原料を利用するため、古紙由来の炭酸カルシウムが多く混入し、炭酸カルシウムの濃度は新たな添加なしに5重量%以上になる場合が多い。但し、抄造工程で炭酸カルシウムを新たに添加しても良いことはいうまでもない。
その一方、炭酸カルシウム混入量の増大によるpH上昇を抑えるため、硫酸バンドを増添すると、石膏スケールの発生、薬品効果の低下などの弊害が発生することから(後述の図13参照)、硫酸バンドを削減して抄造pHを上げる必要がある。
従って、本発明においては、硫酸バンド(c)の添加量は絶乾パルプ重量に対して0.5〜4重量%の少量範囲に保持される。
本発明の製紙用薬品は、上述のように、(a)特定のカチオン性凝結剤、(b)特定の紙力増強剤(水溶性両性ポリアクリルアミド系重合体)、(c)硫酸バンド、(d)ロジン系エマルションサイズ剤、(e)特定のカチオン性歩留り剤、及び(f)特定のアニオン性歩留り剤の組み合わせからなる。
本発明では硫酸バンドの使用量が少ないので、抄造pHが弱酸性〜中性であって硫酸バンドが失活し易い状況にある。このため、上記製紙用薬品を添加する手順としては、少ない硫酸バンドを高い活性状態でサイズ性の発現に寄与させるため、上記サイズ剤(d)を添加する直前に硫酸バンド(c)を添加するか、或は、硫酸バンド(c)及びサイズ剤(d)を同時に添加する必要がある(即ち、硫酸バンドの添加位置の最適化、本発明1参照)。
そこで、製紙用薬品全体の具体的な添加手順を述べると、成分(a)→成分(b)→成分(c)→成分(d)→成分(e)→成分(f)の順番であり、特に、成分(a)を最初に投入する(本発明1参照)。但し、成分(a)と成分(b)を同時添加しても良いし、成分(c)と成分(d)を同時添加しても良い(本発明1参照)。
上記製紙用薬品の添加手順と薬品との関係を説明すると、カチオン性凝結剤(a)は硫酸バンドと異なり、弱酸性〜中性においてもカチオン性が失活しにくいという特徴を持つため、抄造系の初期の段階で添加する。初期添加によって、抄造系全体に渡ったピッチトラブルを抑制する効果が得られる。また、カチオン性凝結剤(a)はその強いカチオン性から、後に添加するアニオン性のサイズ剤(d)(ロジン系エマルションサイズ剤)の歩留まり向上にも寄与する。
さらに、硫酸バンド(c)の添加位置の最適化にあっては、硫酸バンド(c)の添加位置が抄造系の初期の段階から後ろにずれることによって、初期添加の場合より硫酸バンド(c)のカチオン性の失活が少なくなり、サイズ剤(d)の歩留まり向上に加え、微細繊維などの歩留まり向上にも寄与する。
一方、板紙の製造に際しては、紙力増強剤(b)の添加を省略しても、ピッチトラブルの防止、灰分の歩留り、濾水性、サイズ性の向上効果を期待できる。また、歩留り剤としてカチオン性剤(e)とアニオン性剤(f)の2種類を使用せずに、どちらか一方だけ単用した場合も同様である。
さらに、歩留り剤(特にカチオン性歩留り剤(e))と紙力増強剤(b)は効果が類似することから、一方が他方の効果を担うことが期待できる。そして、硫酸バンド(c)はサイズ剤(d)に接近させて添加するが、この接近添加に加えて、例えば、抄造系の初期段階にも添加すること(いわゆる分割添加)は差し支えなく、この分割添加によりサイズ性などの薬品効果のさらなる向上が期待できる。

一方、各種の製紙用薬品(a)〜(f)は夫々を単用又は併用できる。これらの薬品のパルプスラリーへの添加量を述べると、絶乾パルプ重量に対する硫酸バンドの添加率をx(単位は重量%)とした場合に、カチオン性凝結剤(a)、カチオン性歩留り剤(e)、ベントナイトを除くアニオン性歩留り剤(f)の各添加量A(単位はppm)は、次式(p)を満たすことが好ましい(本発明6参照)。
(20/x)≦A≦(2000/x) …(p)
また、アニオン性歩留り剤(f)がベントナイトである場合、ベントナイトの添加量A(単位はppm)は上記硫酸バンドの添加率x(単位は重量%)に対して、次式(q)を満たすことが好ましい(本発明6参照)。
(100/x)≦A≦(10000/x) …(q)
上記(p)式は硫酸バンド(c)の使用量が少なくなるほど、硫酸バンド自体が持っているピッチコントロール作用、及び歩留まり向上作用の減少分を補うため、より多くのカチオン性凝結剤(a)、カチオン性歩留り剤(e)、アニオン性歩留り剤(f)が必要であることを表している。
この場合、アニオン性歩留り剤(f)がアニオン性PAM、もしくはコロイダルシリカなどの場合には式(p)が適用になり、同成分(f)がベントナイトでは、十分な効果を得るために式(q)に基づいて、アニオン性PAMなどの5倍程度の添加量が必要になる。例えば、硫酸バンドを2重量%使用する場合、各薬品(ベントナイトを除く)の添加量は10〜1000ppm、ベントナイトでは50〜5000ppmが適当である。
以上のように、本発明においては、上記各種薬品の組み合わせと硫酸バンドの添加位置の最適化よりなる薬品システム、或は、さらに上記薬品濃度の選択に基づいて、公知の湿式抄造を行って板紙が製造される。
尚、板紙の製造に際しては、本発明の各種薬品(成分(a)〜(f))の外にも、必要に応じて、サイズ定着剤、スライム制御剤、消泡剤、嵩高剤などの各種添加剤を使用できることはいうまでもない。
以下、本発明のカチオン性凝結剤の合成例、当該カチオン性凝結剤を使用した場合のワイヤーメッシュへのピッチ付着試験例、本発明の板紙の製造方法の実施例、当該板紙の製造での紙中のピッチ歩留り量、灰分歩留り量、濾水性、サイズ性、紙力及びスケールの発生度合の各種試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の合成例、実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
硫酸バンド削減による抄紙系の汚れ(ピッチトラブル)への影響と、カチオン性凝結剤(a)を添加することによるピッチトラブルの抑制度合を調べるため、先ず、各種のカチオン性凝結剤(a)を合成するとともに、疑似ピッチを含有するパルプスラリーに当該カチオン性凝結剤(a)を添加して、当該パルプスラリー内に収容したワイヤーメッシュに付着する疑似ピッチ量を測定した。
《カチオン性凝結剤の合成例》
下記の合成例1〜4において、合成例1はジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体(a−1)を合成する例、合成例2はポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(a−2)を合成する例、合成例3はポリエチレンイミン(a−3)の使用例、合成例4はジメチルアミンとエピクロルヒドリンの共重合体(a−4)の使用例である。
(1)合成例1
四つ口フラスコに、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液37.3g(0.15モル)、及び蒸留水77gを仕込み、窒素ガスでフラスコ内の空気を置換した後、温度を70℃に昇温した。次いで、過硫酸カリウム1.88gを添加した後、温度を70℃に保ちながら、50%アクリルアミド水溶液49.7g(0.35モル)を2時間かけてフラスコ内に滴下した。
その後、温度70℃で2時間保持し、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体(a−1)の水溶液を得た。
(2)合成例2
四つ口フラスコに、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液71.6g(0.30モル)、及び蒸留水87gを仕込み、窒素ガスでフラスコ内の空気を置換した後、温度を70℃に昇温した。
次いで、過硫酸カリウム0.81gを添加した後、温度70℃で5時間保持し、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(a−2)の水溶液を得た。
(3)合成例3
市販のポリエチレンイミン(a−3)を試薬として使用した。
(4)合成例4
ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの共重合体(市販品;a−4)を試薬として使用した。
《ピッチ付着試験例》
下記の試験例1〜4は硫酸バンド(c)を2重量%添加したパルプスラリーに疑似ピッチとカチオン性凝結剤(a)(200ppm)を含有させて、ワイヤーメッシュへの疑似ピッチの付着量を調べたもので、試験例1は合成例1のカチオン性凝結剤を使用した例、試験例2は合成例2の使用例、試験例3は合成例3(試薬)の使用例、試験例4は合成例4(試薬)の使用例である。
また、下記の比較試験例1〜4はカチオン性凝結剤を添加しない例であり、比較試験例1は硫酸バンドを10重量%添加した例、比較試験例2は同じく6重量%添加した例、比較試験例3は同じく2重量%添加した例、比較試験例4は硫酸バンドを添加しない(即ち0重量%の)例である。
尚、各種薬品の添加量は特に断りのない限り、対乾燥パルプ重量基準とする。また、図9は本ピッチ付着試験例の模式図を表す。
(1)試験例1
予め重量を測定した円筒状のワイヤーメッシュをビーカーに入れて固定した装置(ワイヤーメッシュはビーカーにあまり間隙を空けずに挿嵌される)に、炭酸カルシウムを6重量%含有する段ボール古紙パルプスラリーを入れ、続いて硫酸バンド(2重量%)を添加した。そして、スラリーを撹拌機で撹拌しながら、疑似ピッチ成分(2重量%)を滴下した。疑似ピッチ成分としては、市販テープをテトラヒドロフランに浸し、粘着剤成分を溶出させた溶液を使用した。
その後、カチオン性凝結剤として上記合成例1を200ppm添加した。30分撹拌後、ワイヤーメッシュを取り出し、水洗した後、110℃の乾燥機で1時間乾燥した。
次いで、デシケーター中で室温まで冷却した後、ピッチ付着によるワイヤーメッシュの重量増加分を測定した。
(2)試験例2
上記試験例1を基本として、カチオン性凝結剤として合成例2を200ppm使用したこと以外は、試験例1と同様の方法を用いて操作を行った。
(3)試験例3
上記試験例1を基本として、カチオン性凝結剤として合成例3を200ppm使用したこと以外は、試験例1と同様の方法を用いて操作を行った。
(4)試験例4
上記試験例1を基本として、カチオン性凝結剤として合成例4を200ppm使用したこと以外は、試験例1と同様の方法を用いて操作を行った。
(5)比較試験例1
上記試験例1を基本として、カチオン性凝結剤を使用せず、硫酸バンド量を10重量%としたこと以外は、試験例1と同様の方法を用いて操作を行った。
(6)比較試験例2
上記試験例1を基本として、カチオン性凝結剤を使用せず、硫酸バンド量を6重量%としたこと以外は、試験例1と同様の方法を用いて操作を行った。
(7)比較試験例3
上記試験例1を基本として、カチオン性凝結剤を使用せず、硫酸バンド量を2重量%としたこと以外は、試験例1と同様の方法を用いて操作を行った。
(8)比較試験例4
上記試験例を基本として、カチオン性凝結剤、および硫酸バンドを使用しなかったこと以外は、試験例1と同様の方法を用いて操作を行った。
図1〜図2はその試験結果である。
先ず、比較試験例1〜4(図2)に着目すると、硫酸バンドの添加量が少なくなるとワイヤーメッシュに対するピッチ付着量が増加しており、抄造系の汚れの問題が発生し易くなることが分かる。
一方、試験例1〜4(図1)に着目すると、硫酸バンド量が2重量%と少ない場合でも、各種のカチオン性凝結剤を添加することによって、ピッチ付着量が抑制されることが確認できた。例えば、合成例1又は3を200ppm添加した試験例1又は3では、硫酸バンド6重量%を添加した比較試験例2と同等の効果があることが分かる。
従って、カチオン性凝結剤(a)の添加によりワイヤーメッシュへのピッチ付着が抑制され、当該付着量の抑制はパルプスラリー中の浮遊ピッチ量の減少を意味し、抄造系の汚れ(ピッチトラブル)の低減につながることを示唆している。
図4はこの硫酸バンド添加量とピッチ付着量との関係、カチオン性凝結剤とピッチ付着量との関係(試験例1)を表したものである。
次いで、各種の製紙用薬品を組み合わせた本発明の板紙の製造方法の実施例を述べるとともに、当該方法で製造した場合のピッチ歩留り、灰分歩留り、濾水性、サイズ性、紙力などの各種試験例を説明する。
《板紙の製造実施例》
実施例1〜2は後述のA法で薬品を添加した例であり、実施例1はアニオン性歩留り剤(f)にアニオン性アクリルアミド系ポリマー(アニオン性PAM)を使用した例、実施例2は同じくベントナイトを使用した例である。
また、比較例1〜2は後述のB法で薬品を添加した例であり、比較例1は硫酸バンドを10重量%添加した例、比較例2は同2重量%添加した例である。比較例3は後述のC法で薬品を添加した例である。比較例4は後述のD法で薬品を添加した例である。比較例5は後述のE法で薬品を添加した例である。比較例6は後述のF法で薬品を添加した例である。但し、上記比較例3〜6では硫酸バンドの添加量はともに2重量%である。
(1)実施例1
炭酸カルシウムを6重量%含有する段ボール古紙パルプスラリーに、疑似ピッチ成分、カチオン性凝結剤(前記合成例1)200ppm、紙力増強剤(ハーマイドRB−238;ハリマ化成(株)製)0.3重量%、硫酸バンド2重量%、サイズ剤(ハーサイズNES−745;ハリマ化成(株)製)0.35重量%、カチオン性歩留り剤(ハリアップCRA−20;ハリマ化成(株)製)200ppm、アニオン性歩留り剤(ハリアップARA−20;ハリマ化成(株)製)200ppmの順番に薬品を添加した。上記疑似ピッチ成分としては、市販テープをテトラヒドロフランに浸して、粘着剤成分を溶出させた溶液を使用した。
上記薬品添加のタイムスケジュール(以下A法という)を述べると、スタートから0〜1分の間に疑似ピッチ、1分30秒後にカチオン性凝結剤(a)、2分30秒後に紙力増強剤(b)、30分15秒後に硫酸バンド(c)、30分30秒後にサイズ剤(d)を夫々添加し、31分後に白水希釈をして、31分30秒後にカチオン性歩留り剤(e)、31分45秒後にアニオン性歩留り剤(f)を夫々添加した。
次いで、得られたパルプスラリーを角型シートマシーンにより、坪量90g/m2相当の紙を抄き、5kg/m2で1分間プレスし、さらに105℃で3分間乾燥させて試験紙を作成した。作成した試験紙は20℃、65%R.H.の条件下に24時間置いて、調湿した。
(2)実施例2
上記実施例1を基本として、アニオン性歩留り剤(f)としてベントナイト1000ppmを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法(A法)で操作を行った。
(3)比較例1
上記実施例1を基本として、薬品の添加順序を疑似ピッチ、硫酸バンド、紙力増強剤、サイズ剤、カチオン性歩留り剤の順番とし、硫酸バンドを10重量%添加し、カチオン性凝結剤、アニオン性歩留り剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で操作を行った。
上記薬品添加のタイムスケジュール(以下B法という)を述べると、スタートから0〜1分の間に疑似ピッチ、2分後に硫酸バンド(c)、2分30秒後に紙力増強剤(b)、30分30秒後にサイズ剤(d)を夫々添加し、31分後に白水希釈をして、31分30秒後にカチオン性歩留り剤(e)を添加した。
(4)比較例2
上記実施例1を基本として、薬品の添加順序を疑似ピッチ、硫酸バンド、紙力増強剤、サイズ剤、カチオン性歩留り剤の順番とし、カチオン性凝結剤、およびアニオン性歩留剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で操作を行った。
従って、薬品添加のタイムスケジュールはB法と同様である。
(5)比較例3
上記実施例1を基本として、薬品の添加順序を疑似ピッチ、紙力増強剤、硫酸バンド、サイズ剤、カチオン性歩留り剤の順番とし、カチオン性凝結剤、およびアニオン性歩留り剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で操作を行った。
上記薬品添加のタイムスケジュール(以下C法という)を述べると、スタートから0〜1分の間に疑似ピッチ、2分30秒後に紙力増強剤(b)、30分15秒後に硫酸バンド(c)、30分30秒後にサイズ剤(d)を夫々添加し、31分後に白水希釈をして、31分30秒後にカチオン性歩留り剤(e)を添加した。
(6)比較例4
上記実施例1を基本として、薬品の添加順序を疑似ピッチ、カチオン性凝結剤、硫酸バンド、紙力増強剤、サイズ剤、カチオン性歩留り剤の順番とし、アニオン性歩留り剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で操作を行った。
上記薬品添加のタイムスケジュール(以下D法という)を述べると、スタートから0〜1分の間に疑似ピッチ、1分30秒後にカチオン性凝結剤(a)、2分後に硫酸バンド(c)、2分30秒後に紙力増強剤(b)、30分30秒後にサイズ剤(d)を夫々添加し、31分後に白水希釈をして、31分30秒後にカチオン性歩留り剤(e)を添加した。
(7)比較例5
上記実施例1を基本として、薬品の添加順序を疑似ピッチ、硫酸バンド、紙力増強剤、サイズ剤、カチオン性歩留り剤、アニオン性歩留り剤の順番とし、カチオン性凝結剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で操作を行った。
上記薬品添加のタイムスケジュール(以下E法という)を述べると、スタートから0〜1分の間に疑似ピッチ、2分後に硫酸バンド(c)、2分30秒後に紙力増強剤(b)、30分30秒後にサイズ剤(d)を夫々添加し、31分後に白水希釈をして、31分30秒後にカチオン性歩留り剤(e)、31分45秒後にアニオン性歩留り剤(f)を夫々添加した。
(8)比較例6
上記実施例1を基本として、薬品の添加順序を疑似ピッチ、カチオン性凝結剤、硫酸バンド、紙力増強剤、サイズ剤、カチオン性歩留り剤、アニオン性歩留り剤の順番としたこと以外は、実施例1と同様の方法で操作を行った。
上記薬品添加のタイムスケジュール(以下F法という)を述べると、スタートから0〜1分の間に疑似ピッチ、1分30秒後にカチオン性凝結剤(a)、2分後に硫酸バンド(c)、2分30秒後に紙力増強剤(b)、30分30秒後にサイズ剤(d)を夫々添加し、31分後に白水希釈をして、31分30秒後にカチオン性歩留り剤(e)、31分45秒後にアニオン性歩留り剤(f)を夫々添加した。
上記実施例1〜2及び比較例1〜6での各種製紙用薬品(カチオン性凝結剤(a)、紙力増強剤(b)、硫酸バンド(c)、サイズ剤(d)、カチオン性歩留り剤(e)、アニオン性歩留り剤(f))の添加順序をまとめると、次の通りである。但し、前述のように、実施例2は実施例1と同様のA法により、比較例1は比較例2と同様のB法によるため、両者は省略した。
下記のフローチャートにおいて、実1は実施例1を示し、比nは比較例nを示す(n=2〜6の整数)。また、mは分、sは秒を示し、例えば、30m15sはスタートからの経過時間が30分15秒であることを意味する。
経過時間 1m30s 2m 2m30s 30m15s 30m30s 31m30s 31m45s
実1(A法): (a) → (b) → (c) → (d) → (e) → (f)
比2(B法): (c) → (b) → (d) → (e)
比3(C法): (b) → (c) → (d) → (e)
比4(D法): (a) → (c) → (b) → (d) → (e)
比5(E法): (c) → (b) → (d) → (e) → (f)
比6(F法): (a) → (c) → (b) → (d) → (e) → (f)
《試験紙における紙中のピッチ歩留り、灰分歩留り、サイズ性などの各種試験例》
そこで、上記実施例1〜2及び比較例1〜6で得られた各試験紙について、下記の通り、紙中のピッチをトルエンで抽出してピッチ含有量を測定するとともに、JIS規定に基づいて灰分含有量、サイズ性及び紙力を測定した。
また、試験紙を得る前のパルプスラリーについて、濾水性を測定するとともに、前記ピッチ付着試験例に用いたワイヤーメッシュによりスケールの発生度合を調べた。
(1)試験紙中のピッチ歩留り量
上記実施例1〜2及び比較例1〜6の各試験紙の約2gを細かく刻み、60℃のトルエン100ml中に3時間浸し、紙中に含まれるピッチ成分を抽出した。トルエン溶液を濾過して試験紙を取り除き、トルエンをエバポレーターにて蒸発させ、得られた残渣の重量を測定することで、残渣の重量から試験紙1m2当たりのピッチ含有量を計算した。
(2)灰分歩留り量
JIS P 8003に準じて試験紙の灰分を測定した。
(3)サイズ性
JIS P 8140に準じてサイズ性(コッブ吸水度)を測定した。
(4)紙力
JIS P 8112に準じて比破裂強さを測定した。
(5)濾水性
上記と同様の手順で薬品定着操作を行った後、直ちにパルプスラリーの濾水度(カナディアン・スタンダート・フリーネス;CSF)をJIS P 8121に準じて測定した。
(6)スケールの発生度合
前記試験例1において記載した円筒状のワイヤーメッシュをビーカーに入れて固定した装置と同様の装置を使用し、炭酸カルシウムを6重量%含有する段ボール古紙パルプスラリーに5重量%の炭酸カルシウムを加えた後、上記各種試験例と同様の手順で薬品を添加した。但し、硫酸バンドはワイヤーメッシュの内面に沿った状態で添加し、硫酸バンド以外の薬品は装置の中央付近に添加した。
薬品添加後、ワイヤーメッシュを取り出し、水洗した後、110℃の乾燥機で1時間乾燥した。
そして、乾燥後のワイヤーメッシュを走査型電子顕微鏡で1000倍に拡大して、硫酸バンドの添加位置付近における石膏を含むスケールの発生状態を微視観察した。
評価基準は次の通りである。
○:スケールの発生は認められなかった。
×:スケールの発生(白い微粒子)が認められた。
尚、図10はこのスケールの発生度合試験の模式図を表す。
図3は上記各種試験の結果である。
(1)紙中のピッチ歩留まり量について
先ず、比較例1と比較例2を対比すると、硫酸バンドの使用量が10重量%から2重量%に低減すると、紙中のピッチ含有量が減少することが分かる。この状態では、紙への歩留りが減った分だけ汚れの原因物質となるピッチが抄造系内により多く蓄積し、ピッチトラブルの増加につながる。
次いで、硫酸バンド量が2重量%と少ない比較例2(B法)を基本として、カチオン性凝結剤(a)を疑似ピッチの後で、且つ硫酸バンド(c)の前に添加した比較例4(D法)に着目すると、比較例2に比べて紙中のピッチ量が増加したことから、カチオン性凝結剤(a)の添加により抄造系内のピッチ量が減少し、ピッチトラブルの改善につながることが確認できた。
また、上記比較例4を基本として、カチオン性歩留り剤(e)の後にアニオン性歩留り剤(f)をさらに添加した比較例6(F法)では、比較例4に比べて紙中のピッチ量はさらに増加した。
最後に、硫酸バンド(c)は通常、紙力増強剤(b)の前に添加される場合が多いが、硫酸バンド量が2重量%と少ない条件で、この硫酸バンド(c)をサイズ剤の直前に添加し、且つカチオン性凝結剤(a)とアニオン性歩留り剤(f)(アニオン性PAMを使用)を添加した実施例1(A法)では、上記比較例6、或は硫酸バンドを10重量%使用した比較例1に比べて、紙中のピッチ量はより一層増加しており、ピッチトラブルのさらなる改善が確認できた。アニオン性歩留り剤(f)にベントナイトを使用した実施例2も実施例1と同様の高いピッチ歩留り量を示した。
図5は上記実施例1と比較例2、4、6の場合の硫酸バンドの添加量とトルエン抽出量の関係を表す。
(2)灰分歩留まりについて
比較例1と比較例2を対比すると、硫酸バンドの使用量が10重量%から2重量%に低減すると、灰分の歩留まりが低下することが分かる。
そこで、硫酸バンド量が2重量%と少ない比較例2(B法)を基本として、カチオン性歩留り剤(e)の後にアニオン性歩留り剤(f)を添加した比較例5(E法)に着目すると、比較例2に比べて灰分値は増加したことから、アニオン性歩留り剤(f)の添加は灰分の歩留り改善につながることが確認できた。
また、硫酸バンド量が2重量%と少ない条件で、この硫酸バンド(c)をサイズ剤の直前に添加し、且つカチオン性凝結剤(a)とアニオン性歩留り剤(f)(アニオン性PAMを使用)を添加した実施例1(A法)では、上記比較例5、或は硫酸バンドを10重量%使用した比較例1に比べて、灰分量はさらに増加しており、灰分歩留りの一層良好な改善が確認できた。アニオン性歩留り剤(f)にベントナイトを使用した実施例2も実施例1と同様の高い灰分量を示した。
図6は上記実施例1と比較例2、5の場合の硫酸バンドの添加量と灰分量の関係を表す。
(3)濾水性について
比較例1と比較例2を対比すると、硫酸バンドの使用量が10重量%から2重量%に低減すると、濾水性が低下することが分かる。
そこで、硫酸バンド量が2重量%と少ない比較例2(B法)を基本として、カチオン性歩留り剤(e)の後にアニオン性歩留り剤(f)を添加した比較例5(E法)に着目すると、比較例2に比べて濾水性の値は増加したことから、アニオン性歩留り剤(f)の添加は濾水性の改善につながることが確認できた。
また、硫酸バンド量が2重量%と少ない条件で、この硫酸バンド(c)をサイズ剤の直前に添加し、且つカチオン性凝結剤(a)とアニオン性歩留り剤(f)(アニオン性PAMを使用)を添加した実施例1(A法)では、上記比較例5、或は硫酸バンドを10重量%使用した比較例1に比べて、濾水性の値はさらに増加しており、濾水性の一層良好な改善が確認できた。アニオン性歩留り剤(f)にベントナイトを使用した実施例2も実施例1と同様の高い濾水性の値を示した。
図7は上記実施例1と比較例2、5の場合の硫酸バンドの添加量と濾水性の関係を表す。
(4)サイズ性について
比較例1と比較例2を対比すると、硫酸バンドの使用量が10重量%から2重量%に低減すると、コッブ吸水度が上昇し、サイズ性が低下することが分かる。
そこで、硫酸バンド量が2重量%と少ない比較例2(B法)を基本として、硫酸バンド(c)の添加位置を紙力増強剤(b)の直前からサイズ剤(d)の直前に変更した比較例3(C法)に着目すると、比較例2に比べて吸水度は低下したことから、硫酸バンドをサイズ剤の直前に添加するという硫酸バンドの添加位置の最適化によって、サイズ性が向上することが確認できた。
また、硫酸バンド量が2重量%と少ない条件で、この硫酸バンド(c)をサイズ剤の直前に添加し、且つカチオン性凝結剤(a)とアニオン性歩留り剤(f)(アニオン性PAMを使用)を添加した実施例1(A法)では、吸水度は上記比較例3より一層低下し、また、硫酸バンドを10重量%使用した比較例1に類する低水準を示し、サイズ性のさらなる改善が確認できた。アニオン性歩留り剤(f)にベントナイトを使用した実施例2も実施例1と同様の高いサイズ性を示した。
尚、2重量%の硫酸バンドを紙力増強剤の前に添加し、カチオン性凝結剤とアニオン性歩留り剤を適用した比較例6(F法)では、上記比較例2と比べてもサイズ性はほとんど向上しないことから、サイズ剤の直前に硫酸バンドを添加する効果がサイズ性向上に大きく寄与していることが裏付けられた。
図8は上記実施例1と比較例2、3の場合の硫酸バンドの添加量とコッブ吸水度の関係を表す。
(5)紙力について
比較例1と比較例2を対比すると、硫酸バンドの使用量が10重量%から2重量%に低減すると、紙力が向上することが分かる。
そこで、2重量%の硫酸バンドをサイズ剤の直前に添加し、カチオン性凝結剤とアニオン性歩留り剤を添加した実施例1(A法)に着目すると、紙力は比較例2(硫酸バンドを2重量%添加)に比べて少し低下していたが、依然として比較例1(硫酸バンドを10重量%添加)より高い数値を示し、実用水準を確保していた。アニオン性歩留り剤(f)にベントナイトを使用した実施例2も実施例1と同様の紙力水準を示した。
(6)スケールの発生度合について
硫酸バンドを10重量%使用した比較例1では、図13に示すように、硫酸バンドの添加位置付近のワイヤーメッシュ上に石膏を含むスケールの生成が認められた。
これに対して、硫酸バンドの使用量が2重量%と少ない実施例1〜2、或は比較例2〜6では、スケールの生成は認められなかった(図11は実施例1、図12は比較例2での状態を夫々表す)。
これにより、硫酸バンドの使用量が10重量%から2重量%に低減すると、スケールの生成が抑制されることが分かり、冒述した通り、古紙原料の使用に伴う炭酸カルシウム混入量の増大による抄造pHの上昇を抑制するため、硫酸バンドを増添すると、石膏を含むスケールが発生する弊害が裏付けられた。
このため、板紙製造にあっては、石膏を含むスケールの発生を防止するために、少ない硫酸バンドを使用するとともに、この硫酸バンドの削減による新たな弊害を防止するためには、特定の各種薬品を組み合わせ、且つ硫酸バンドをサイズ剤の直前で(又は同時に)添加する本発明の方法が有効であることが明らかになった。
試験例1〜4について、硫酸バンドの添加量、カチオン性凝結剤の種類、ワイヤーメッシュへのピッチ付着量などをまとめた図表である。 比較試験例1〜4についての図1の相当図である。 実施例1〜2及び比較例1〜6について、製紙用薬品の添加順序、製紙用薬品の添加量、紙中のピッチ含有量、灰分量、濾水度、コッブ吸水度、比破裂強さ、石膏スケールの生成状態などをまとめた図表である。 硫酸バンドの添加量とワイヤーメッシュへのピッチ付着量との関係図である。 硫酸バンドの添加量とピッチ成分のトルエン抽出量との関係図である。 硫酸バンドの添加量と灰分量との関係図である。 硫酸バンドの添加量と濾水性との関係図である。 硫酸バンドの添加量とコッブ吸水度との関係図である。 ワイヤーメッシュへのピッチ付着試験の模式図である。 スケールの発生評価試験の模式図である。 実施例1についての試験結果を示す電子顕微鏡写真(倍率:1000倍)である。 比較例2についての図11の相当図である。 比較例1についての図11の相当図である。

Claims (4)

  1. 炭酸カルシウムを5重量%以上含有するパルプスラリーに製紙用薬品を添加し、pH5〜8の条件で湿式抄造する板紙の製造方法において、
    上記製紙用薬品が、(a)カチオン性凝結剤、(b)乾燥紙力増強剤、(c)硫酸バンド、(d)サイズ剤、(e)カチオン性歩留り剤及び(f)アニオン性歩留り剤であり、且つ、
    上記硫酸バンド(c)の添加量が絶乾パルプ重量に対して0.5〜4重量%であり、
    製紙用薬品の添加手順として、先ず、成分(a)、成分(b)の順番で添加するか、成分(a)と(b)を同時に添加した後、成分(c)、成分(d)の順番で連続添加するか、成分(c)と(d)を同時に添加し、次いで、成分(e)、成分(f)の順番で添加するとともに、
    上記カチオン性凝結剤(a)は、ジアリルアミン及びその塩、ジアリルメチルアミン及びその塩、ジアリルアミン系モノマーの重合体、ジアリルアミン系モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ジアリルアミン系モノマーと二酸化硫黄との共重合体、カチオン性モノマーと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、エピクロルヒドリンとジメチルアミンの共重合体よりなる群から選ばれ、
    上記乾燥紙力増強剤(b)は、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、(メタ)アクリルアミドを構成成分として共重合反応して得られる水溶性両性ポリアクリルアミド系重合体であり、
    上記サイズ剤(c)はロジン系エマルションサイズ剤であり、
    上記カチオン性歩留り剤(e)はカチオン性アクリルアミド系ポリマーであり、
    上記アニオン性歩留り剤(f)が、アニオン性アクリルアミド系ポリマー、アニオン性無機微粒子よりなる群から選ばれることを特徴とする板紙の製造方法。
  2. カチオン性凝結剤(a)が、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、エピクロルヒドリンとジメチルアミンの共重合体、ポリアミンよりなる群から選ばれたポリマーの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の板紙の製造方法。
  3. アニオン性歩留り剤(f)に属するアニオン性無機微粒子がベントナイトであることを特徴とする請求項1又は2に記載の板紙の製造方法。
  4. カチオン性凝結剤(a)、カチオン性歩留り剤(e)、アニオン性歩留り剤(f)(但し、ベントナイトを除く)のそれぞれの添加量A(単位はppm)が、絶乾パルプ重量に対する硫酸バンドの添加率をx(単位は重量%)とした場合に、次式(p)を満たし、
    (20/x)≦A≦(2000/x) …(p)
    アニオン性歩留り剤(f)がベントナイトであるとき、ベントナイトの添加量A(単位はppm)が硫酸バンドの添加率x(単位は重量%)に対して、次式(q)を満たす
    (100/x)≦A≦(10000/x) …(q)
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の板紙の製造方法。
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