JP4795999B2 - ガスタービン発電システム - Google Patents
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Description
大気圧の低い高地においては、吸入空気の質量が減少する。したがって、ガスタービンの出力が低下する。この出力低下に対応するために、吸入空気に含まれる酸素濃度を高くしてやることが考えられる。
また、特許文献2には、以下の記載がある。すなわち、混合器に圧縮器から空気が、酸素ボンベからは純酸素が供給され、相対的に酸素濃度の大きい(窒素濃度が低い)空気(酸化剤)が作られる。その際、燃焼器端部ではセンサによりNOxの計測を行い、そのNOx値を基に、空気の供給量と純酸素の供給量を設定する。相対的に酸素濃度の大きな空気は、パイロットバーナの酸化剤供給系へ輸送される。パイロットバーナの燃料噴射装置からは燃料が供給され、酸化剤供給系より供給される酸化剤と混合しながら燃焼し、パイロットバーナを形成する。
また、燃料としてカロリー量が一定しない例えば高炉ガスを用いる場合、カロリー量安定のために高カロリーガスを添加した場合、燃焼に必要な酸素量が変動してしまう。高炉ガスのような低カロリーガスを使用する場合、例えば、ガス種が4A、5ANの場合、燃焼カロリーが低いだけでなく燃焼速度も遅いため、ガスタービンのようにガス流が極めて早い燃焼器では、酸素量が低いと低カロリーガスが不完全燃焼又は未燃のままタービン外へ排出されるという欠点を有している。
以上の問題に対して、特許文献1、特許文献2は、解決策を与えない。
本発明は以上の背景に鑑み、起動時における爆発的な燃焼を起こさず、さらにカロリー量が低くかつ安定しない燃料を用いた場合でも、高地において出力の低下を抑えることのできるガスタービン発電システムを提供することを目的とする。
また、DSS(Daily-Start-and-Stop)運転を採用している場合は、システム管理上の定められた回転数に達するまでは制御が難しいので、定格運転に入ってから酸素濃度の高い空気の供給制御を開始する。運転の開始時から酸素濃度の高い空気を使用すると、炎の立ち消え後の運転再開時に燃焼室の残存酸素濃度が高いために、異常燃焼を起こす可能性があるためである。
図1は、本発明によるガスタービン発電システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ガスタービン発電システム100は、発電にかかる基本的な構成として、発電機1と、ガスタービン2と圧縮機3とを同一の回転軸4上に配列する。そして、圧縮機3で圧縮された空気と燃料とを燃焼器5に供給して燃焼させ、この燃焼ガスによりガスタービン2を回転させて発電機1を駆動して発電を行う。なお、以上の基本的な構成については、従来公知の技術を適宜利用できることはいうまでもない。
弁7の開閉を制御する制御部8が設けられている。制御部8は、ガスタービン2の回転数データを取得する。また、制御部8は、燃焼器5内部の燃焼温度を検知する温度計9から燃焼温度データを取得する。温度計9としては、熱電対、火焔色センサを用いることができる。制御部8は、取得した燃焼温度に基づいて、酸素濃度の高い空気の供給有無、及び供給量を特定して、弁7の開閉を制御する。弁7は、流量を調整することもできる。
パイロットバーナは、一般に、予混合器に比べて燃焼器5の前段に設けられる。パイロットバーナでは、燃料と空気が別々に噴出し、互いに混合しながら燃焼が行われる。この燃焼方式を拡散燃焼と呼んでいる。
予混合器において空気は燃料と混合され予混合気を形成する。その際、NOxの発生を抑制するために、予混合器内に噴射される燃料量は、予混合気が低燃料濃度になるように設定されている。予混合気は、燃焼器5において燃焼される。一般に、この燃焼方式を予混合燃焼と呼んでいる。
しかし、低燃料濃度の予混合気の燃焼は不安定になりやすく火炎の吹き飛び、吹き消え等が生じる可能性がある。そのため、パイロット火炎中には、高燃料濃度領域が存在しその部分が局所的に高温となるため、燃焼が安定に行われる。この安定なパイロット火炎を用いることにより、燃焼器5内の予混合燃焼を安定化することが可能となる。
ガスタービン2の出力は、基本的には吸い込み量の流量重量に比例するが、酸素量が増えると燃焼可能な燃料を増やすことができ、出力増強が可能となる。
制御部8は、ガスタービン2の起動が開始されると、その回転数に関する情報を取得して監視する(S101)。なお、ガスタービン2は、起動開始時には、別途配設されているモータによって回転される。その後、パイロットバーナ着火、予混合バーナ着火を経て、圧縮空気と燃料とが燃焼される。この間、制御部8は、ガスタービン2の回転数に関する情報を逐次取得ながら、ガスタービン2の回転数がシステム管理上の定められた回転数(所定回転数)未満の場合にはその監視を継続する(S103)。
燃焼温度Tが温度T1を超えていれば、高酸素ガスをa量だけ供給するように、弁7に対してその動作を指示する(S109)。高酸素ガスをa量だけ供給するように指示した後、制御部8はガスタービン2の運転が終了するまで、燃焼温度を継続して監視する。
一方、制御部8は、燃焼温度Tが温度T1以下の場合には、さらに燃焼温度Tが、T1≧T>T2の範囲にあるか判断する(S113)。燃焼温度が、T1≧T>T2の範囲内であれば、高酸素ガスをb量だけ供給するように、弁7に対してその動作を指示する(S115)。高酸素ガスをb量だけ供給するように指示した後、制御部8はガスタービン2の運転が終了するまで、燃焼温度を継続して監視する。
さらに、制御部8は、S113において、燃焼温度Tが、T1≧T>T2の範囲にないと判断した場合には、高酸素ガスをc量だけ供給するように、弁7に対してその動作を指示する(S117)。高酸素ガスをc量だけ供給するように指示した後、制御部8はガスタービン2の運転が終了するまで、燃焼温度を継続して監視する。
また、制御部8は、燃焼温度Tに応じて高酸素ガスを供給する量を決定する。したがって、ガスタービン発電システム100は、爆発限界内で最適な燃焼状態を作ることができる。このことにより未燃生ガスの排出が防げるとともにNOxの生成を最小限度に抑えることができる。また、カロリー量が低くかつ安定しない燃料を用いた場合でも、最適な燃焼状態を作ることができる。
Claims (2)
- 吸入される空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを燃焼する燃焼器と、
前記燃焼器で燃焼された燃焼ガスにより回転されるガスタービンと、
前記ガスタービンの回転により駆動される発電機と、
前記圧縮機で圧縮された圧縮空気よりも酸素濃度が高い高酸素ガスを保持するガス保持手段と、
前記高酸素ガスを前記圧縮空気に混合する混合手段と、
前記混合手段の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ガスタービンの回転数に関する情報を取得し、かつ、取得した前記ガスタービンの回転数に関する情報に基づいて、前記ガスタービンがシステム管理上の定められた回転数に達したと判断した場合に、前記混合手段を制御して、前記高酸素ガスを前記圧縮空気に混合させ、
さらに、前記制御部は、
前記燃焼器における燃焼状態に関する情報を取得し、かつ、取得した前記燃焼状態に関する情報に基づいて前記混合手段を制御し、前記圧縮空気に混合する前記高酸素ガスの量を調整し、
前記燃焼器は、
前記圧縮空気及び前記高酸素ガスからなる混合ガスと前記燃料とを燃焼することを特徴とするガスタービン発電システム。 - 前記高酸素ガスは、
前記高酸素ガスよりも酸素濃度の低いガスを、酸素富化膜を通過させることにより得たものであることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン発電システム。
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