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JP4753178B2 - プロスタグランジンF2α誘導体含有製品 - Google Patents

プロスタグランジンF2α誘導体含有製品 Download PDF

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JP4753178B2 JP2005371250A JP2005371250A JP4753178B2 JP 4753178 B2 JP4753178 B2 JP 4753178B2 JP 2005371250 A JP2005371250 A JP 2005371250A JP 2005371250 A JP2005371250 A JP 2005371250A JP 4753178 B2 JP4753178 B2 JP 4753178B2
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本発明は、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体を含む水性液剤を、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=94.0/6.0〜99.5/0.5であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器に保存することにより、水性液剤中の該プロスタグランジンF2α誘導体の含有率の低下が抑制されたプロスタグランジンF2α誘導体含有製品に関する。
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体は、緑内障や高眼圧症の治療薬として有用であることが知られている(特許文献1、特許文献2)。しかし、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体は、一般に水に難溶性であり、且つ、容器に吸着しやすい性質をもつので、水に対する溶解性や容器に対する吸着性の問題を改善する必要がある。
特許文献3は、水性液剤にポリソルベート80などの非イオン性界面活性剤を配合することで、プロスタグランジン誘導体の水に対する溶解性および樹脂製容器に対する吸着性を改善する発明を記載しているが、水性液剤を保存する樹脂製容器自体については検討されていない。他方、特許文献4には、プロスタグランジンと界面活性剤を含む水性プロスタグランジン組成物は、ポリエチレン樹脂製容器に保存するよりもアイソタクチック構造またはシンジオタクチック構造のポリプロピレン樹脂製容器に保存する方がより安定化され、残存率の低下を抑制できることが示されている。
しかし、樹脂製容器の材質に関して、プロピレン−エチレン共重合体の各モノマー成分の割合を変化させて、プロスタグランジン誘導体の安定化を検討する報告はない。
特開平10−251225号公報 特開平11−71344号公報 特開2002−161037号公報 特表2002−520368号公報
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体を含む水性液剤を長期に亘って安定に保存できる樹脂製容器を提供することは重要な課題である。
そこで、本発明者らは、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体を含む水性液剤を、種々のモノマー成分割合のプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器に保存して、該プロスタグランジンF2α誘導体の含有率の低下抑制を検討したところ、驚くべきことに特定の成分割合の共重合体からなる樹脂製容器において、該プロスタグランジンF2α誘導体の含有率の低下を顕著に抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(1)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体を含む水性液剤を、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=94.0/6.0〜99.5/0.5であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器に保存することにより、水性液剤中の該プロスタグランジンF2α誘導体の含有率の低下が抑制されたプロスタグランジンF2α誘導体含有製品、
(2)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体が、ジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体である前記(1)記載のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品、
(3)水性液剤中に非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする前記(1)記載のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品、
(4)非イオン性界面活性剤がポリソルベート80である前記(1)記載のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品、
(5)水性液剤が点眼液である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品、
(6)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体を含む水性液剤を、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=94.0/6.0〜99.5/0.5であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器に保存することにより、水性液剤中の該プロスタグランジンF2α誘導体の含有率の低下を抑制する方法、および
(7)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体を含む水性液剤を保存するための、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=94.0/6.0〜99.5/0.5であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器、
に関する。
本発明の分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体は、一般に水に難溶性であり、且つ、容器に吸着しやすい性質をもつ。分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体が水に難溶性であるとは、1gの分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体を溶解するのに1000m1以上の水を要することをいい(第十三改正 日本薬局方解説書 通則A−51(1996))、容器に吸着しやすい性質とは、プロスタグランジン誘導体を水溶液にして容器に保存したとき、その含有率(含有率とは溶解させた本プロスタグランジンの量に対して、水溶液中に有効に溶解して存在する量をいう。)が大きく低下することをいう。
本発明の分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体(以下「フッ素含有プロスタグランジン」という)は、分子内に一個乃至数個のフッ素原子を有しているプロスタグランジンF2α誘導体であれば特に制限されないが、好ましくは、特開平10−251225や特開平11−71344で開示されているプロスタグランジンF2α誘導体が挙げられ、より好ましくは、特開平11−71344に開示されているジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体が挙げられ、特に好ましくは、特開平11−71344に開示されている15位に2個のフッ素原子を有するジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体が挙げられる。特に好ましい具体例として、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−(3−クロロフェノキシ)−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、もしくはそれらのアルキルエステル、またはそれらの塩が挙げられる。アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、tert-ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステルなどの低級アルキルエステルが挙げられる。
後述する保存安定性試験の項で詳述するが、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=94.0/6.0〜99.5/0.5であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器にフッ素含有プロスタグランジンを含む水性液剤を保存すれば、同プロスタグランジンはプロピレンホモポリマーからなる容器に保存した場合よりも明らかに安定し、容器壁への吸着が抑制される。
本発明の樹脂製容器は、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=94.0/6.0〜99.5/0.5であるプロピレン−エチレン共重合体を成形加工することにより得られる。成形加工の手法としては、例えばインジェクションブローが挙げられる。上記のようなモノマー成分割合のプロピレン−エチレン共重合体は、どのような重合方法によって得られたものであってもよいが、例えばプロピレンとエチレンをランダム共重合することによって得られるランダム共重合体が好ましい。
本発明においては、水性液剤に非イオン性界面活性剤を配合してもよく、非イオン性界面活性剤は、フッ素含有プロスタグランジンの水溶性を向上させることによって水性液剤におけるフッ素含有プロスタグランジンの含有率の低下を抑制するのに役立つ。非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリソルベート80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート]、ポリソルベート60[ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート]、ポリソルベート40[ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート]、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65[ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート]などのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール[プルロニックF68]、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピ
レン(67)グリコール[プルロニックP123]、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール[プルロニックP85]、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール[プルロニックF127]、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール[プルロニックL−44]などのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ステアリン酸ポリオキシル40、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、好ましくは、ポリソルベート80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート]、ステアリン酸ポリオキシル40などが挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤はそれぞれ単独または2種以上を併せて使用できる。特に好ましい非イオン性界面活性剤としては、点眼液の添加物として汎用されるポリソルベート80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート]が挙げられる。
本発明のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品は、フッ素含有プロスタグランジンが水に溶解した状態で存在することが望ましい。水性液剤中のフッ素含有プロスタグランジンの濃度は、水性液剤の用途等を考慮して適宜選択すればよい。例えば点眼剤では、点眼剤中のフッ素含有プロスタグランジンの濃度は、対象疾患や症状等に応じて適宜選択できるが、0.00005〜0.05%が好ましい。また、点眼剤に非イオン性界面活性剤を配合する場合には、フッ素含有プロスタグランジンの濃度に応じて非イオン性界面活性剤の配合量も適宜増減できるが、フッ素含有プロスタグランジンの水溶性向上の観点から、非イオン性界面活性剤の濃度は、フッ素含有プロスタグランジンの濃度の5倍以上が好ましく、さらに水溶性を高める必要があるときには、10倍以上が特に好ましい。
本発明のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品が点眼剤であるときは、非イオン性界面活性剤以外にエチレンジアミン四酢酸、ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グリセリン、プロピレングリコールなどの等張化剤、ホウ酸、ホウ砂、クエン酸、リン酸水素二ナトリウム、ε−アミノカプロン酸などの緩衝剤、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチルなどの防腐剤等の製剤的に許容される種々の添加物を配合することができる。フッ素含有プロスタグランジンを含有する点眼液の調製方法は特別な手法や操作を要さず、汎用されている方法によって調製することができ、また、点眼液のpHは3〜8、特に4〜7とするのが好ましい。
保存安定性試験の項で詳細に説明するが、フッ素含有プロスタグランジンを含む水性液剤を、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=94.0/6.0〜99.5/0.5であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器に保存すれば、同プロスタグランジンはプロピレンホモポリマーからなる樹脂製容器に保存する場合よりも安定化し、フッ素含有プロスタグランジンの含有率の低下を顕著に抑制できる。
以下に、保存安定性試験(40℃、7日間)を実施して、本発明を詳しく説明するが、これは本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
[保存安定性試験]
(1)点眼液の調製
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体の代表例として、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,1 8,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2αイソプロピルエステル(以下「本化合物」という。)を使用した。精製水に本化合物(0.0005%)およびポリソルベート80(0.05%)を溶解後、エデト酸二ナトリウム(適量)、濃グリセリン(適量)ならびに塩化ベンザルコニウム(適量)などの通常用いられる添加剤等を配合して、浸透圧が約1で、pHが約6の点眼液を得た。
(2)樹脂製容器の製造
本発明の樹脂製容器は、プロピレン−エチレンランダムコポリマー(プロピレン成分/エチレン成分=98.7/1.3、プロピレン成分/エチレン成分=97.4/2.6、プロピレン成分/エチレン成分=96.4/3.6)及びプロピレンホモポリマーをそれぞれインジェクションブローにて成形加工して得た。
(3)試験方法
「(1)点眼液の調製」で得られた点眼液(110mL)を入れて40℃に加温したガラス容器に、「(2)樹脂製容器の製造」で得た樹脂製容器(各7本)を浸潰し、温度40℃で7日間保存した。保存前後のガラス容器中の本化合物の含量を高速液体クロマトグラフィー法にて測定し、保存開始時を100%としたときの本化合物の含有率(平均値)を算出した。試験結果を図1に示す。
(4)考察
図1から明らかなように、本化合物を上記各成分割合のプロピレン−エチレンランダムコポリマー製の容器に保存すれば、プロピレンホモポリマー製容器に保存する場合よりも本化合物の含有率が高く、前者の容器は本化合物の保存安定性に優れている。
図1は実施例の結果を示すグラフで、各成分割合のプロピレン−エチレンランダムコポリマー製容器およびプロピレンホモポリマー製容器におけるエチレン成分の割合と、本化合物の含有率との関係を示す。

Claims (5)

  1. 16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2αまたはそのイソプロピルエステルを含む水性液剤を、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=96.4/3.6〜98.7/1.3であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器に保存することにより、水性液剤中の該プロスタグランジンF2αまたはそのイソプロピルエステルの含有率の低下が抑制されたプロスタグランジンF2α誘導体含有製品。
  2. 水性液剤中に非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品。
  3. 非イオン性界面活性剤がポリソルベート80である請求項記載のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品。
  4. 水性液剤が点眼液である請求項1〜のいずれかに記載のプロスタグランジンF2α誘導体含有製品。
  5. 16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2αまたはそのイソプロピルエステルを含む水性液剤を、プロピレン成分とエチレン成分の割合がプロピレン成分/エチレン成分=96.4/3.6〜98.7/1.3であるプロピレン−エチレン共重合体からなる樹脂製容器に保存することにより、水性液剤中の該プロスタグランジンF2αまたはそのイソプロピルエステルの含有率の低下を抑制する方法。
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