以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。画像形成装置1は、大きくは、画像読取装置2と、画像形成部3と、用紙搬送装置4とを備えた構成となっている。
画像読取装置2は、原稿の画像を読み取るものである。画像形成部3は、画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、記録媒体となる用紙に画像形成を行なうものである。用紙搬送装置4は、画像形成部3で画像形成される用紙を搬送するものである。画像読取装置2は、画像形成装置本体5の上部に設けられている。画像形成部3は、画像形成装置本体5の内部に設けられている。用紙搬送装置4は、一部を除いて画像形成装置本体5の内部に設けられている。
なお、本発明の実施形態においては、画像形成の対象となる記録媒体として用紙を例示するが、これに限らず、例えばOHPシートなどのプラスチックシートを記録媒体として扱うものであってもよい。
画像読取装置2は、自動原稿搬送装置6を搭載する原稿押さえ部材7と、画像読取部8とを備えている。自動原稿搬送装置6は、被読取媒体となる原稿を1枚ずつ読取位置を経由するように搬送するものである。原稿押さえ部材7は、原稿台にセットされた原稿を上から押さえるもので、画像形成装置本体5の最上部に開閉自在に設けられている。画像読取部8は、原稿台にセットされた原稿の画像や自動原稿搬送装置6によって読取位置に搬送された原稿の画像を光学的に読み取るもので、例えば図示しない光源、ミラー、レンズ、撮像素子等を用いて構成される。
画像形成部3は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する4つの感光体ドラム9,10,11,12と、各々の感光体ドラム9〜12に対応する4つの一次転写ロール13,14,15,16と、中間転写体となる無端状の中間転写ベルト17とを備えた4連タンデム式のマシン構成となっている。
各々の感光体ドラム9〜12の周囲には、帯電器、像書き込み装置、現像器、クリーナー等が配置されている。帯電器は感光体ドラムの表面を一様に帯電するものである。像書き込み装置は帯電器によって帯電された感光体ドラムの表面にレーザビームの照射によって静電潜像を書き込むものである。現像器は現像剤としてのトナーを感光体ドラムの表面に供給することにより静電潜像を可視化(現像)してトナー画像を形成するものである。クリーナーは感光体ドラムに残留する不要なトナーを除去するものである。
一次転写ロール13〜16は、それぞれに対応する感光体ドラム9〜12の近傍に中間転写ベルト17を介して対向状態に配置されている。これらの一次転写ロール13〜16は、上述のように感光体ドラム9〜12に形成されたトナー画像を中間転写ベルト17に転写(一次転写)するものである。
中間転写ベルト17は、複数のベルト支持ロールによってループ状に支持されている。中間転写ベルト17のループ途中には転写部18が設けられている。転写部18は、一方のロールを二次転写ロールとした一対のロールを用いて構成されている。二次転写ロールは、前述のように中間転写ベルト17に形成されたトナー画像を用紙に転写(二次転写)するものである。
また、画像形成部3は定着部19を有している。定着部19は、転写部18で用紙に転写されたトナー画像を定着させるものである。定着部19は、例えば一方のロールを加熱ロールとし、他方のロールを加圧ロールとした一対のロールを用いて構成される。
用紙搬送装置4は、多段に配置された4つの用紙収容部21,22,23,24と、各々の用紙収容部21〜24から用紙を給送する給送部25と、給送部25によって給送された用紙を下から上に向けて垂直に搬送する垂直搬送部26と、垂直搬送部26によって搬送された用紙を所定のタイミングで転写部18に送り込むレジスト部27と、転写部18を通過した用紙を定着部19に送り込むバキューム搬送部28と、定着部19から送り出された用紙をスイッチバックで反転させる反転部29と、反転部29で反転させた用紙を両面画像形成(両面コピー等)のために搬送する両面搬送部30と、片面又は両面への画像形成を終えた用紙を排出する排出部31と、排出部31で排出された用紙を積載状態で収容する排出収容部32と、画像形成の対象となる用紙を手差しで供給するための手差し供給装置33とを備えている。
ここで、上記構成からなる画像形成装置1の基本的な動作について説明する。
先ず、画像読取装置2によって原稿の画像が読み取られると、これによって得られた画像データを基に画像形成部3でトナー画像が形成される。画像形成部3では、4つの感光体ドラム9〜12を回転駆動しつつ、それぞれに対応する帯電器、像書き込み装置、現像器によって各感光体ドラム9〜12の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が形成される。このように形成された各色のトナー画像は、一次転写ロール13〜16によって順次、中間転写ベルト17に重ね転写される。これにより、中間転写ベルト17には、4色のトナーを重ね合わせた多色(フルカラー)のトナー画像が形成される。このように中間転写ベルト17に形成されたトナー画像は、当該中間転写ベルト17に保持されて転写部18に送り込まれる。
一方、操作パネル等を用いて利用者により選択された用紙や、自動選択機能によって選択された用紙、あるいは手差し供給装置33から供給された用紙は、転写部18にトナー画像が到達するタイミングに合わせてレジスト部27から転写部18へと送り込まれる。例えば、利用者が選択した用紙が最上段の用紙収容部21に収容された用紙であるとすると、この用紙収容部21から給送部25によって用紙が給送されるとともに、当該給送された用紙が垂直搬送部26を経由してレジスト部27に送り込まれる。そして、レジスト部27では、例えば、回転停止状態とされたレジストロールへの突き当てによって用紙の姿勢(傾き等)を修正した後、トナー画像の到達タイミングに合わせてレジストロールの回転を開始することにより、転写部18に用紙を送り込む。
これにより、中間転写ベルト17に保持されたトナー画像は、転写部18で用紙に転写(二次転写)される。その後、用紙はバキューム搬送部28によって定着部19に送られ、そこでトナー画像の定着処理が施された後、排出部31から排出収容部32へと排出される。また、両面に画像形成が行なわれる用紙は、定着部19から反転部29に送られた後、両面搬送部30を経由して再びレジスト部27に送り込まれる。以降は、上記同様の手順で用紙にトナー画像が転写及び定着された後、用紙の排出が行なわれる。また、定着部19から送り出された用紙の表裏を反転して排出する場合は、定着部19から反転部29を経由して排出部31へと用紙を送り込む。
(第1実施形態)
図2は本発明の第1実施形態に係る手差し供給装置の構成を示す拡大図である。手差し供給装置33は、用紙を置く置き部34と、置き部34に置かれた用紙を画像形成装置本体5内に給送する給送部35とを含むものである。置き部34は、一般に手差しトレイとも呼ばれるもので、画像形成装置本体5の一側部に開閉可能に設けられている。したがって、置き部34の開閉状態としては、置き部34を閉じた状態と置き部34を開いた状態の2通りがある。そして、置き部34には、当該置き部34を開いた状態で用紙が置かれる。
置き部34の基端部は、画像形成装置本体5に固定状態で設けられた第1支点36で回転自在に支持されている。また、給送部35には支持アーム37が設けられている。支持アーム37の一端部は、給送部35の本体部分(カバー等)に例えばネジ止め等によって固定されている。また、支持アーム37の他端部は、画像形成装置本体5に固定状態で設けられた第2支点38で回転自在に支持されている。
これにより、置き部34は、第1支点36を中心に回転移動可能(開閉可能)に支持されている。また、給送部35は、第2支点38を中心に回転移動可能に支持されている。第1支点36と第2支点38は、互いに水平方向に距離Hを隔てて、かつ垂直方向(鉛直方向)に距離Vを隔てた位置に設けられている。また、第2支点38は、第1支点36よりも画像形成装置本体5の内部側で、かつ第1支点36の斜め上方に設けられている。
給送部35は、給送用のロールとして、呼び込みロール39、送り出しロール40及び分離ロール41を有している。呼び込みロール39は、置き部34に置かれた用紙の最上面に接触して回転することにより、置き部34に置かれた用紙を最上位から順に呼び込むものである。送り出しロール40は、呼び込みロール39によって呼び込まれた用紙を画像形成装置本体5内の垂直搬送部26に向けて送り出すものである。分離ロール41は、呼び込みロール39によって呼び込まれた用紙を送り出しロール40との間で挟み込みながら1枚ずつ分離するためのものである。
送り出しロール40と分離ロール41は、所定の圧力で互いに接触した状態に保持されている。分離ロール41は、呼び込みロール39によって送り出しロール40との間(接触位置)に1枚の用紙が呼び込まれた場合は、送り出しロール40の回転にしたがって回転することにより、用紙の送り出しを許容する。また、分離ロール41は、呼び込みロール39によって送り出しロール40との間に複数枚の用紙が一緒に呼び込まれた場合は、下側の用紙の紙面に接触しつつ、当該用紙を呼び込みロール39側に戻すように回転することにより、用紙の重送を阻止する。
置き部34及び給送部35は、後述するスライド構造で相対移動可能に連結されている。そして、第1支点36を中心に置き部34を回転させた場合は、スライド構造によって置き部34と給送部35とが連動するようになっている。
スライド構造は、給送部35に形成されたガイド孔42と、置き部34に設けられたスライドピン43とを用いて構成されている。スライドピン43は、ガイド孔42にスライド自在に挿入されている。
かかる構成においては、第1支点36を中心に置き部34をA矢視方向に回転移動させると、その移動終端で図中破線で示すように手差し供給装置33が画像形成装置本体5内に倒立した状態で収納される。この状態での手差し供給装置33の位置を収納位置と定義する。
上記収納位置から第1支点36を中心に置き部34をA矢視方向と反対方向に回転移動させると、その移動終端で置き部34は画像形成装置本体5から張り出した状態で斜めに配置される。この状態での手差し供給装置33の位置を使用位置と定義する。
ここで、手差し供給装置33を使用位置から収納位置に移動させる場合は、置き部34を閉じるように操作する。このとき、置き部34がA矢視方向に回転移動(閉じ動作)する過程で、給送部35が第2支点38を中心に回転移動する。また、この給送部35の回転移動に伴い、ガイド孔42内でスライドピン43が第1支点36に近づく方向に相対的に移動する。
一方、手差し供給装置33を収納位置から使用位置に移動させる場合は、置き部34を開くように操作する。このとき、置き部34がA矢視方向と反対方向に回転移動(開き動作)する過程で、給送部35が第2支点38を中心に回転移動する。また、この給送部35の回転移動に伴い、ガイド孔42内でスライドピン43が第1支点36から遠ざかる方向に相対的に移動する。
これにより、手差し供給装置33を収納位置から使用位置に移動させた場合は、置き部34の開き動作に連動して給送部35が第2支点38を中心に一方向に回転移動することにより、供給路形成部材48が形成する用紙供給路に通じる給送位置に給送部35を配置することができる。したがって、置き部34に置かれた用紙を、給紙部35を使用して画像形成装置本体5内に給送することができる。給送位置とは、置き部に置かれた用紙を給送部で給送するために、給送部を配置する位置である。
これに対して、手差し供給装置33を使用位置から収納位置に移動させた場合は、置き部34の閉じ動作に連動して給送部35が第2支点38を中心に他方向に回転移動することにより、上記給送位置から斜め上方に離間した位置に給送部35を退避させることができる。この状態では給送部35が画像形成装置本体5内に収まるかたちで置き部34が画像形成装置本体5の側面に沿って起立するため、画像形成装置本体5から出っ張ることなく手差し供給装置33を収納位置に配置することができる。
図3は本発明の第1実施形態に係る手差し供給装置33を収納位置に配置した状態を示す図であり、図4は本発明の第1実施形態に係る手差し供給装置33を使用位置に配置した状態を示す図である。まず、図3において、置き部34には、手差し供給装置33を収納位置に配置した状態、つまり置き部34を閉じた状態で画像形成装置本体5に用紙を取り込むための取り込み口44が設けられている。取り込み口44は、用紙の幅方向(図3の奥行き方向)に細長いスリット形状に開口している。画像形成装置本体5の側面には、当該画像形成装置本体5内に用紙を導入するための導入口(給紙口)が開口している。取り込み口44は、置き部34を閉じた状態で画像形成装置本体5の導入口に接続するように配置される。
また、取り込み口44には、用紙の取り込みを案内する上下一対の案内部45が設けられている。一対の案内部45は、取り込み口44の開口幅を画像形成装置本体5側に向かって徐々に狭めるように形成されている。このように一対の案内部45を取り込み口44に設けることにより、画像形成装置本体5の外側から取り込み口44への用紙の差し込みが容易になる。用紙の先端がカールしていた場合には、特に有効である。
一方、画像形成装置本体5内には用紙搬送ロールの一つとしてプレレジストロール46が設けられている。プレレジストロール46は、各々の用紙収容部21〜24から垂直搬送部26に沿って搬送された用紙や、両面搬送部30に沿って搬送された用紙、さらには手差し供給装置33から供給された用紙を、それぞれレジスト部27に向けて搬送するものである。
プレレジストロール46は、垂直搬送部26の終端部(上端部)に配置されている。また、プレレジストロール46は、用紙の搬送方向において、レジスト部27と隣り合う位置関係で、当該レジスト部27の上流側に配置されている。レジスト部27はレジストロール47を用いて構成されている。プレレジストロール46は、一方のロールを駆動ロールとし、他方のロールを従動ロールとした一対のロールによって構成されている。これと同様に、レジストロール47も一対のロールによって構成されている。
画像形成装置本体5内には、手差し供給装置33の取り付け部位に対応して供給路形成部材48が設けられている。供給路形成部材48は、取り込み口44を通して取り込まれた用紙を垂直搬送部26のプレレジストロール46へと導く用紙供給路を形成するものである。用紙供給路は、プレレジストロール46の上流側(手前)で垂直搬送部26に合流するように形成される。
ここで、置き部34を閉じた状態では、上記図3に示すように、供給路形成部材48が形成する用紙供給路に対して、置き部34に形成された取り込み口44が連通するように配置される。また、置き部34を開いた状態では、上記図4に示すように、供給路形成部材48が形成する用紙供給路に対して、置き部34と給送部35が接続するように配置される。給送部35は、置き部34を開いた状態で給送位置に配置される。
図5は置き部34を閉じた状態を示す斜視図であり、図6は置き部34を開いた状態を示す斜視図である。図示のように、置き部34を閉じた状態では、取り込み口44が画像形成装置本体5の外側を向いて露出する状態に配置される。また、置き部34を開いた状態では、取り込み口44を塞ぐ(隠す)かたちで置き部34の上に給送部35が自重で乗るように配置される。また、置き部34には、スライド式の引き出し部49が設けられ、給送部35には、用紙の幅方向に相対的に接離移動可能に設けられた一対のガイド部材50が設けられている。引き出し部49は、所定サイズよりも大きい用紙を置き部34に置くときに、当該用紙を下から支えるために外側に引き出して使用されるものである。一対のガイド部材50は、置き部34に置かれた用紙の側端位置を規制(位置決め)するために用いられるものである。
さらに、置き部34には、手差し供給装置33の収納位置に対応して画像形成装置本体5に設けられた一対の係止具51に対して係合離脱可能な一対の突起部(図では片側だけ表示)52が設けられている。一対の係止具51と、これに対応する一対の突起部52は、置き部34を閉じたときに互いに係合することにより、手差し供給装置33を収納位置に保持するものである。
かかる構成においては、上記図3に示すように、置き部34を閉じた状態で画像形成装置本体5の外側から取り込み口44を通して用紙Pを手で差し込むと、この用紙Pが、給送部35を経由することなく、画像形成装置本体5内の供給路形成部材48に直接取り込まれる。このため、取り込み口44から取り込まれた用紙Pを、供給路形成部材48が形成する用紙供給路を通してプレレジストロール46へと導くことができる。
したがって、例えば、置き部34を閉じた状態において、取り込み口44からの用紙の取り込み(差し込み)をセンサで検知し、このセンサの検知結果に基づいてプレレジストロール46の回転を開始することにより、手差し供給装置33から給送部35を通さずに画像形成装置本体5内に直接、用紙を供給することができる。また、画像形成装置1の利用者は、取り込み口44から手で用紙を差し込むことで、プレレジストロール46まで用紙を送り込めるようになる。このため、厚紙などのように剛性の高い用紙の手差し供給にも適切に対応することができる。
一方、上記図4に示すように、置き部34を開いた状態では、供給路形成部材48が形成する用紙供給路から取り込み口44が離間し、この取り込み口44に替わって給送部35が用紙供給路に接続するように配置される。したがって、置き部34に所定枚数の用紙Pを置いて給送部35を駆動することにより、給送部35によって給送した用紙Pを、供給路形成部材48が形成する用紙供給路を通してプレレジストロール46へと導くことができる。
図7は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置と外付けの用紙給紙装置とを組み合わせた場合の全体構成を示す概略図であり、図8はその部分的な拡大図である。用紙供給装置81は、例えばオプションなどの扱いで、画像形成装置本体5に外付けで接続可能な大容量の用紙供給装置である。用紙供給装置81は、複数(図例では3つ)の用紙収容部82,83,84と、給送部85と、排出部86とを備えている。
用紙収容部82〜84は、それぞれ所定サイズの用紙を積載状態で収容するものである。用紙供給装置81の本体内では、上段、中段及び下段の3段構造で用紙収容部82〜84が配置されている。給送部85は、各々の用紙収容部82〜84から用紙を給送するものである。排出部86は、給送部85によって給送された用紙を用紙供給装置81の外部に向けて排出するもので、一対のロールを用いて構成されている。
用紙供給装置81は、手差し供給装置33を収納位置に配置した状態(置き部34を閉じた状態)で画像形成装置本体5に電気的かつ機械的に接続されている。用紙供給装置81の側面(画像形成装置本体5に接続される側の面)には用紙の排出口87が設けられている。排出口87は、排出部86によって排出される用紙の出口となる部分であって、用紙の幅方向に細長いスリット形状に形成されている。
これに対して、手差し供給装置33の取り込み口44は、用紙供給装置81の排出口87に対応する位置に配置されている。具体的には、画像形成装置本体5に用紙供給装置81を接続した場合に、取り込み口44と排出口87が互いに接近して向かい合うように、取り込み口44が排出口87と同じ高さ位置に配置されている。
かかる構成においては、用紙供給装置81から画像形成装置本体5に用紙を供給する場合に、いずれかの用紙収容部82〜84に収容された用紙を給送部85で給送する。その際、用紙供給装置81の排出部86によって排出される用紙Pは、排出口87から取り込み口44を通して画像形成装置本体5内に送り込まれる。このため、用紙搬送装置81から供給される用紙Pを、手差し供給装置33の給送部35を通さずに、取り込み口44から供給路形成部材48に取り込んでプレレジストロール46へと送り込むことができる。したがって、画像形成装置本体5に手差し供給装置33を取り付けた状態のままでも、給送部35を使用することなく、用紙供給装置81から画像形成装置本体5内に用紙を取り込むことができる。その結果、給送部35による用紙の給送速度に関係なく、用紙供給装置81と画像形成装置1との間で用紙の送り込みを高速で行なうことが可能となる。
(第2実施形態)
図9は本発明の第2実施形態に係る手差し供給装置の構成を示す図である。なお、本第2実施形態においては、上記第1実施形態で挙げた構成要素と対応する部分に同じ符号を付して説明することとする。
まず、手差し供給装置60は、開き状態で用紙が置かれる置き部61と、置き部61に置かれた用紙を画像形成装置本体5内に給送する給送部62とを含むものである。置き部61は、画像形成装置本体5の一側部に開閉可能に設けられている。置き部61の基端部は、画像形成装置本体5に固定状態で設けられた支点63を中心に回転移動可能(開閉可能)に支持されている。
給送部62は、画像形成装置本体5内で供給路形成部材48が形成する用紙供給路に通じる給紙位置に設けられている。給送部62は、給送用のロールとして、呼び込みロール64、送り出しロール65及び分離ロール66を有している。呼び込みロール64は、置き部61に置かれた用紙の最上面に接触して回転することにより、置き部61に置かれた用紙を最上位から順に呼び込むものである。送り出しロール65は、呼び込みロール64によって呼び込まれた用紙を画像形成装置本体5内の垂直搬送部26に向けて送り出すものである。分離ロール66は、呼び込みロール64によって呼び込まれた用紙を送り出しロール66との間で挟み込みながら1枚ずつ分離するためのものである。
呼び込みロール64は、置き部61に置かれた用紙を給送する場合に、図示しないソレノイド等の駆動により最上位の用紙に接触するように、図中実線で示す位置から破線で示す位置へと下降動作するものである。このため、呼び込みロール64は、ソレノイド等の非駆動時は、用紙に接触しないように上方(図中、実線で示す位置)に退避している。送り出しロール65は、置き部61に置かれた用紙を給送する場合に、図示しないモータ等の駆動により図の反時計回り方向に回転するものである。
分離ロール66は、揺動アーム67の一端部に支持されている。揺動アーム67の他端部は、画像形成装置本体5に固定状態で設けられた支点68を中心に回転自在に支持されている。したがって、揺動アーム67は、支点68を中心に揺動する構成となっている。
また、分離ロール66は、バネ部材69の押圧により送り出しロール65に所定の圧力で接触するように配置されている。さらに、揺動アーム67の一端部(又は分離ロール66の回転軸)には係合ピン70が設けられている。係合ピン70は、リンクアーム71の一端部に形成された長孔状の係合孔72に係合されている。リンクアーム71の他端部は連結ピン73を用いて置き部61に連結されている。
このように揺動アーム67とリンクアーム71を含むリンク機構により、置き部61と分離ロール66とを連結することにより、置き部61の開閉動作に連動して、送り出しロール65と分離ロール66とを接触させたり、両者の接触状態を解除したりすることができる。
すなわち、上記図9において、置き部61を開いた状態から、置き部61を閉じるように操作すると、置き部61が支点63を中心にα方向に回転移動(閉じ動作)する過程で、揺動アーム67がリンクアーム71に押し込まれて支点68を中心に反時計回り方向に揺動し、これによって分離ロール66がバネ部材69の押圧に抗して送り出しロール65から離間した状態となる。
また、置き部61を閉じた状態から、置き部61を開くように操作すると、置き部61が支点63を中心にβ方向に回転移動(開き動作)する過程で、揺動アーム67がリンクアーム71に引っ張られて支点68を中心に時計回り方向に揺動し、これによって分離ロール66がバネ部材69の押圧を受けて送り出しロール65に接触した状態となる。
したがって、置き部61を閉じ動作させた場合は、上記図9に実線で示すように、送り出しロール65から分離ロール66を離間させた状態に保持することができる。また、置き部61を開き動作させた場合は、図10に示すように、バネ部材69の押圧で分離ロール66を送り出しロール65に接触させた状態に保持することができる。
また、置き部61には、図11に示すように取り込み口74が設けられている。取り込み口74は、上記第1実施形態で置き部34に設けた取り込み口44と同様に、置き部61を閉じた状態で画像形成装置本体5に用紙を取り込むために、用紙の幅方向に細長いスリット形状に開口している。置き部61を閉じた状態では、供給路形成部材48が形成する用紙供給路に対して、取り込み口74が連通するように配置される。また、置き部61を開いた状態では、供給路形成部材48が形成する用紙供給路に対して、置き部61が接続するように配置される。
一方、画像形成装置本体5内には用紙検知センサ75(図9及び図10参照)が設けられている。用紙検知センサ75は、前述した垂直搬送部26において、プレレジストロール46の上流側(手前)に設けられている。用紙検知センサ75は、センサ検知位置での用紙の有無によってオンオフするものである。
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置においては、手差し供給装置60の置き部61を開き状態にして斜めに配置し、この状態で置き部61に所定枚数の用紙Pを置いて給送部62を駆動することにより、給送部62によって給送した用紙Pを、供給路形成部材48を通してプレレジストロール46に導くことができる。
また、置き部61を閉じ状態にして垂直(縦向き)に配置し、この状態で画像形成装置本体5の外側から取り込み口74を通して用紙Pを手で差し込むと、この用紙Pが送り出しロール65と分離ロール66の間を通して供給路形成部材48からプレレジストロール46へと導かれる。このとき、呼び込みロール64は用紙の通路から上方に退避しており、送り出しロール65と分離ロール66は互いに離間している。このため、給送用のロール64〜65が用紙の取り込みを阻害することはない。
したがって、例えば、置き部61を閉じた状態で、取り込み口74からの用紙の取り込み(差し込み)を用紙検知センサ75で検知し、この用紙検知センサ75の検知結果に基づいてプレレジストロール46の回転を開始することにより、給送部62を非駆動状態としたまま、手差し供給装置60から画像形成装置本体5内に用紙を供給することができる。また、画像形成装置1の利用者は、取り込み口74から手で用紙を差し込むことで、プレレジストロール46まで用紙を送り込めるようになる。このため、厚紙などのように剛性の高い用紙の手差し供給にも適切に対応することができる。
図12は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置と外付けの用紙供給装置とを組み合わせた場合の部分的な拡大図である。図示のように手差し供給装置60の取り込み口74は、前述した用紙供給装置81の排出部86によって排出された用紙Pが、当該用紙供給装置81の排出口87から取り込み口74を通して画像形成装置本体5内の供給路形成部材48に送り込まれるように、排出口87と同じ高さ位置に配置されている。このため、用紙供給装置81から供給される用紙Pを、取り込み口74から供給路形成部材48に取り込んでプレレジストロール46へと送り込むことができる。したがって、画像形成装置本体5に手差し供給装置60を取り付けた状態のままでも、給送部62を使用することなく、用紙供給装置81から画像形成装置本体5内に用紙を取り込むことができる。その結果、給送部62による用紙の給送速度に関係なく、用紙供給装置81と画像形成装置1との間で用紙の送り込みを高速で行なうことが可能となる。
1…画像形成装置、2…画像読取装置、3…画像形成部、4…用紙搬送装置、5…画像形成装置本体、26…垂直搬送部、33,60…手差し供給装置、34,61…置き部、35,62…給送部、44,74…取り込み口、46…プレレジストロール、48…供給路形成部材、81…用紙供給装置、87…排出口、P…用紙