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JP4518311B2 - 簡易トイレ - Google Patents

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Description

本発明は、微生物の作用によって屎尿を分解する簡易トイレに関する。
近年、例えば、特許文献1に開示されているように、屎尿を分解する微生物を繁殖させた木質細片を屎尿タンク(処理槽)に堆積しておき、前記微生物の作用によって、排出された屎尿を水と炭酸ガスに分解する簡易型のトイレ(いわゆるバイオトイレ)が知られている。このようなバイオトイレは、処理槽内に堆積された木質細片に生息する微生物が最も活性し易いように、加熱処理及び攪拌処理を施して、屎尿を水と炭酸ガスに分解するよう構成されており、従来の屎尿収容タンクを備えたトイレと比較して、屎尿の汲み取り作業が不要であることから、最近では、屋外のみならず介護等を目的として、一般の室内に設置することも検討されている。
ところが、このようなバイオトイレを、一般のトイレ専用ルーム以外に設置する場合、使用者や同居人は、排泄物によって生じる臭気、特にそのような臭気が室内に充満することを気にするようになる。なお、実際のバイオトイレは、木質細片による木の香りや微生物による分解作用によって使用者が思うほど臭気が発生することはないが、消臭機能が設けられている方が、使用者にとっては好ましいと考えられる。
そこで、消臭機能を備えたバイオトイレが各種提案されており、例えば、特許文献2には、木質細片を堆積した処理槽から発せられる臭気を回収し、これを脱臭剤部分に通過させ、その排出空気を処理槽に送風する(循環させる)構成が開示されている。
特許第3271615号 特開2001−346717号
上記したように、従来の消臭機能を有するバイオトイレは、処理槽内で発生する臭気を除去しようとするものに過ぎず、それが設置される室内の環境については何等考慮されていない。すなわち、バイオトイレが設置される室内には、生活臭等、バイオトイレを設置したこと以外に基づく各種の臭気が充満していると考えられ、バイオトイレを設置することによって、このような生活臭も併せて消臭してしまうのが好ましいと考えられる(上記した公知のバイオトイレでは、室内の臭気を併せて除去することはできない)。また、実際にトイレを使用する使用者にとっては、特に排泄する際に生じる臭気を除去していることが感覚的に把握できるようにすることが、精神上、好ましいと考えられる。
この発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、排泄物によって生じる臭気を消臭すると共に、室内環境を向上することを可能にする、微生物の作用によって屎尿を分解する簡易トイレを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係る簡易トイレは、屎尿を分解する微生物を繁殖させた木質細片を堆積する処理槽を収容した本体と、前記処理槽の開口に対して嵌め込まれ、前記本体の上面部に設置されるベース部材と、前記ベース部材に設置され、使用者が排泄時に着座する便座と、前記ベース部材に形成され、前記処理槽内に向けて開口して処理槽内の臭気を排気する排気ポートと、前記排気ポートに接続されると共に排気ファンが設置された排気経路と、前記排気経路に設置された第1の消臭部と、前記排気ポートに接続される孔部が形成され、前記ベース部材の便座の両サイドに設置されて第2の消臭部を保持可能な保持部と、を有し、前記第2の消臭部に1200℃以上で高温炭化した活性炭を用いるとともに、第2の消臭部を介して吸引される室内空気を、前記排気経路を介して前記第1の消臭部に案内することを特徴とする。
上記した構成によれば、処理槽内において発生する臭気は、処理槽内に向けて開口する排気ポートを介して排気経路に案内され、第1の消臭部によって消臭される。また、簡易トイレが設置される室内の空気は、第2の消臭部を介して吸引され、第2の消臭部を介して消臭される。このように、簡易トイレを室内に設置することで、排泄時に処理槽内で生じる臭気が消臭されることに加え、その室内の生活臭による臭気も併せて消臭され、使用環境の向上が図れるようになる。
また、ベース部材の便座の両サイドに保持部を設け、ここに第2の消臭部を保持させたこと、すなわち、室内臭気の消臭効果がある第2の消臭部を、使用者が着座する部分の近傍位置(便座の両サイド)に設置しておくことにより、室内臭気の消臭に加えて排泄時に生じる臭気を直ちに吸引できるようになり、更には、その消臭部から得られるマイナスイオン効果等によって、使用者に対してリラクゼーション効果を高めることが可能となる。特に、便座の両サイドに位置する第2の消臭部を介して吸引される室内空気は、ベース部材に形成された孔部、排気ポート、そして排気経路を介して前記第1の消臭部に案内されるため、吸引される室内空気は、2つの消臭部を通過するようになり、より脱臭効果が高まり、室内環境の向上が図れるようになる。
また、請求項に係る簡易トイレは、前記処理槽内に、1200℃以上で高温炭化した活性炭を混入したことを特徴とする。
上記したような1200℃以上で高温炭化した活性炭は、一般の備長炭と比較して、比表面積が約100倍程度と高くなり、より多数の自由電子を保持することから、臭気物質である陽電子を吸着する効果(消臭効果)が高い。このため、微生物による分解処理による消臭作用に加え、更に高い消臭効果が得られるようになり、処理槽内の屎尿による臭気をより効果的に抑制できるようになる。
また、請求項に係る簡易トイレは、前記第1の消臭部に、1200℃以上で高温炭化した活性炭を用いることを特徴とする。
上記したように1200℃以上で高温炭化した活性炭は、消臭効果が高いことに加え、マイナスイオン効果をより強く発揮させることが可能となる。
また、請求項に係る簡易トイレは、前記便座に装着される蓋部材の裏面に、1200℃以上で高温炭化した活性炭による第3の消臭部を装着したことを特徴とする。
このような活性炭を蓋部材の裏面に装着しておくことで、内部にこもった臭気を更に効果的に除去することができると共に、多量に放出される遠赤外線による加温効果によって、処理槽内の環境を微生物にとって最適な状態に維持し易くなる。
本発明によれば、排泄物によって生じる臭気を消臭すると共に、室内環境を向上することを可能にする、微生物の作用によって屎尿を分解する簡易トイレが得られるようになる。
以下、本発明に係る簡易トイレの一実施形態を、図1から図4を参照して具体的に説明する。なお、これらの図において、図1は、簡易トイレの内部構成の概略を示す側面図、図2は、その平面図、図3は、内部構成の概略を示す正面図、そして、図4は、主要部の概略分解斜視図である。
本実施形態の簡易トイレ1は、平坦な床板3上に設置され、使用者が腰掛ける本体(台座)5を備えており、本体5内には、屎尿を分解する微生物(バクテリア)を生息させた木質細片6(例えば、杉材で構成される)を所定のレベルまで堆積した処理槽7が収容されている。
処理槽7内には、木質細片に生息する微生物を活性化するため、木質細片を攪拌する攪拌羽8aが設置されており、この攪拌羽8aは、回転軸8bが処理槽7の下方に設置された攪拌モータ8によって駆動されることで所定の速度で回転駆動される。なお、攪拌モータ8から回転軸8bに動力を伝達する動力伝達機構の具体的な構成については、その詳細な説明は省略する。
前記回転軸8bには、本体5内に設置された送風ブロア10、及び送風ブロアに接続されて処理槽7内に延出する送風管12を介して空気が送り込まれるようになっており、回転軸8bに形成された複数の開口8cを介して、木質細片6に空気が供給されるようになっている。また、処理槽7の下面には、加熱手段であるヒータ13が設置されており、木質細片6に生息する微生物にとって最適な温度となるように、処理槽7の温度を管理、制御するようになっている。
なお、攪拌モータ8による攪拌管理、送風ブロア10による送風管理、及び木質細片に対するヒータ13による温度管理等については、微生物が最も活性化できるように、図示していない制御手段によって制御管理される(詳細な制御方法については省略する)。この場合、少なくとも攪拌モータの駆動については、安全性を考慮して、使用者が使用していない状況を検知した場合に駆動制御(使用者が利用すべく便座の蓋部材を開けた際に停止制御)するのが好ましい。
前記本体5の処理槽7上には、使用者が排泄時に着座する便座15が設置される。この場合、便座15は、フレーム15a、フレーム15aに対して回動可能に支持された着座部材15bと蓋部材15c、及びフレーム15aに対して下方に突出形成された筒状の突出部15dを備えており、突出部15dを、本体5の上面部に設置されるベース部材17に形成された開口17a内に嵌め込むことで固定される。なお、ベース部材17は、処理槽7の開口7aに対して嵌め込まれるようになっている。
前記床板3及び本体5には、使用者が安全に着座したり、安定して着座できるように、便座15の両サイドにおいて、前方から後方に沿って延在すると共に、背部の幅方向に亘って延在する手すり(背部側は背もたれとして機能する)20が設けられている。また、本体5の前方下部には、使用者が着座した際に、足を乗せるステップ22が設けられている。
そして、上記したように構成される簡易トイレ1には、室内の生活臭や、処理槽内で発生する臭気を除去するための消臭手段が設けられている。
以下、本実施形態に係る消臭手段の構成について説明する。
前記ベース部材17には、処理槽7内に向けて開口する排気ポート17bが形成されている。この排気ポート17bには、臭気を案内する排気経路(吸気ダクト)25が接続されており、排気経路25には、第1の消臭部27、及び排気ファン28が設置されている。すなわち、排気ファン28が駆動されることによって、処理槽7内の臭気は、排気経路25に沿って吸引作用を受け、第1の消臭部27で消臭された後、室内に排気される。
また、便座15の両サイドには、第2の消臭部30が設置されている。第2の消臭部30は、室内の空気を吸引して消臭できるように構成されたものであれば良く、前記したベース部材17に形成された保持部17cに載置されると共に、保持部17cに形成された孔部17d、及び前記排気ポート17bを介して排気経路25に接続されている。このため、室内の空気は、第2の消臭部30、及び排気経路25を介して第1の消臭部27を通過するようになり、より消臭効果を高めることが可能となる。
上記した第1の消臭部27、第2の消臭部30は、効果的に臭気を除去できるものであれば良く、例えば、臭気の吸着作用を有する材料(例えば活性炭)を用いた消臭手段、オゾン発生と触媒作用による消臭手段、セラミック等の固体に消臭に有効な化学成分を添着した消臭手段等を用いることができる。
この場合、消臭手段を、活性炭を用いて構成するのであれば、その活性炭は、高温で炭化したもの(比表面積が高くなるように1200℃以上で炭化されたもの)を用いることが好ましい。このような活性炭によれば、一般の備長炭と比較しても、炭素化率が高く(一般備長炭が80%であるのに対し、1200℃以上で高温炭化したものは91%)、更には、比表面積が約100倍程度(一般備長炭の表面積が2m2/gであるのに対し、1200℃以上で高温炭化したものは270m2/gとなり、約100倍)と高い。従って、より多数の自由電子を保持することから、臭気物質である陽電子を吸着する効果(消臭効果)が高くなることに加え、マイナスイオン効果(一般備長炭が−250イオンに対して、1200℃以上で高温炭化したものは−750イオンとなり3倍以上)をより強く発揮させることが可能となる。すなわち、前記第2の消臭部30は、使用者が便座15に着座した際、その近い位置に配置されていることから、そのようなマイナスイオン効果によって、排泄時に使用者に対してリラクゼーション効果を高めることも可能となる。
そして、上記した構成において、排泄される屎尿は、処理槽7内に充填される木質細片6の内部に生息する微生物によって分解処理されて消滅するため、汲み取り等の作業をする必要性もなく、きわめて清潔であり、設置した室内に悪臭を放すようなことも無い。また、処理槽内で生じる臭気(木質細片に杉材を用いた場合、排泄物による臭気よりはむしろ杉の香りがする)は、第1の消臭部27を介して消臭されるため、室内には、何等臭気が充満するようなこともない。
さらに、室内の臭気(簡易トイレとは関係のない臭気;生活臭)も、上記した第2の消臭部30を介して消臭され、しかも第2の消臭部を通過した空気は、更に第1の消臭部27を通過するため、より効果的に室内の浄化作用が発揮されるようになる。
なお、処理槽内に堆積される木質細片6に、上記したような高温で炭化処理された活性炭を混合させておくことが好ましい。このような高温処理された活性炭は、上記したように比表面積が多くより多数の自由電子を保持しており、消臭能力が一般の活性炭と比較して3〜10倍あることから、上記した消臭部による消臭効果に加え、より効果的に消臭機能を発揮することが可能となる。また、木質細片である杉材(表面積が30m2 /g)と比較しても、表面積が多いことから、微生物の住処としても有効であり、微生物の絶対数が増加して屎尿処理の速度を大幅に短縮することが可能となる。
また、前記便座15に装着される蓋部材15cの裏面に、1200℃以上で高温炭化した活性炭による第3の消臭部30aを装着しておくことが好ましい。このような活性炭は、上述したように消臭効果が高いことに加え、一般の備長炭と比較しても炭素化率が高いことから、その性状はセラミックに近くなり、遠赤外線の放射量も高くなる。特に、ヒータ13の温度制御によって環境温度が高くなると、遠赤外線の放射量も多くなり、加温効果が高められるようになる。すなわち、微生物の活性を高めるべく、処理槽内の温度を暖めると、副次的に、木質細片の上方に設置された第3の消臭部30aから発せられる遠赤外線によって、処理槽内の環境温度が上昇し、全体として効率良く(エネルギーロスを少なくして)、処理槽全体にわたって微生物にとって適した環境を維持し易くなる。また、木質細片の内部(芯)まで暖める効果があるので、微生物の増殖を助け、屎尿の分解処理速度を高めることが可能となる。
もちろん、このような活性炭による消臭部を蓋部材15cの裏面に装着しておくことで、処理槽内部にこもった臭気を更に効果的に除去することができるようになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態以外にも、例えば、以下のように構成して実施することが可能である。
室内空気を吸引する第2の消臭部30の設置箇所は特に限定されることはなく、上記の排気経路25とは別の吸引経路を設置して消臭するようにしても良い。また、第1の消臭部27の配置箇所、吸引される室内臭気や、処理槽の臭気の案内経路等についても本体5や処理槽7の構成に応じて適宜変形することが可能である。
さらに、処理槽内に設置される攪拌羽(攪拌装置)の構成、加熱手段(ヒータ)の構成、送風装置の構成等については、適宜変形することができ、各装置の駆動制御についても、使用者の安全性、微生物の活性化等を考慮して、適宜変形される。
本発明に係る簡易トイレの一実施形態を示す図であり、簡易トイレの内部構成の概略を示す側面図。 図1に示す簡易トイレの平面図。 図1に示す簡易トイレの内部構成の概略を示す正面図。 図1に示す簡易トイレの主要部の概略分解斜視図。
符号の説明
1 簡易トイレ
5 本体(台座)
6 木質細片
7 処理槽
15 便座
17 ベース部材
17b 排気ポート
25 排気経路
27 第1の消臭部
28 排気ファン
30 第2の消臭部
30a 第3の消臭部

Claims (4)

  1. 屎尿を分解する微生物を繁殖させた木質細片を堆積する処理槽を収容した本体と、
    前記処理槽の開口に対して嵌め込まれ、前記本体の上面部に設置されるベース部材と、
    前記ベース部材に設置され、使用者が排泄時に着座する便座と、
    前記ベース部材に形成され、前記処理槽内に向けて開口して処理槽内の臭気を排気する排気ポートと、
    前記排気ポートに接続されると共に排気ファンが設置された排気経路と、
    前記排気経路に設置された第1の消臭部と、
    前記排気ポートに接続される孔部が形成され、前記ベース部材の便座の両サイドに設置されて第2の消臭部を保持可能な保持部と、
    を有し、
    前記第2の消臭部に1200℃以上で高温炭化した活性炭を用いるとともに、第2の消臭部を介して吸引される室内空気を、前記排気経路を介して前記第1の消臭部に案内することを特徴とする簡易トイレ。
  2. 前記処理槽内に、1200℃以上で高温炭化した活性炭を混入したことを特徴とする請求項1に記載の簡易トイレ。
  3. 前記第1の消臭部に、1200℃以上で高温炭化した活性炭を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易トイレ。
  4. 前記便座に装着される蓋部材の裏面に、1200℃以上で高温炭化した活性炭による第3の消臭部を装着したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の簡易トイレ。
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