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JP4592973B2 - タイヤ管理用ラベル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、タイヤ毎に臨機に発行できグリーンタイヤに仮着して加硫処理することで表示の鮮明性を維持しつつ強固に接着でき、自動車用や航空機用等の各種ゴムタイヤの管理に好適なタイヤ管理用ラベルに関する。
【0002】
【発明の背景】
自動車用や航空機用等の各種のゴムタイヤには生産等の管理を目的にバーコードラベルが取付けられることがある。その場合に多品種少量生産のタイヤを生産過程に加えて流通過程でも管理可能とするには、そのバーコードラベルにタイヤの品種や製造ロット等の情報を製造現場で随時に記入して臨機に現場発行できること、及びそれをグリーンタイヤに接着してその加硫工程を通じ位置ズレや皺、インク落ち等を伴わずに加硫処理後のタイヤに強固に接着固定できることが要求される。
【0003】
そのため従来の、ワックス系や樹脂系等の汎用インクリボンを用いて熱転写方式等でパターンを形成して製造現場等で臨機に発行できる方式のバーコードラベルは、インクの擦過性に乏しく加硫時の熱で加硫金型に移着して金型を汚染したり、加硫後のインクパターンが加硫金型との摩擦で損傷されてタイヤの外観に欠陥を生じるなどの問題が発生しやすく実用が困難であった。またその金型汚染の防止などを目的にバーコード上に透明樹脂のオーバーコートや透明フィルムのオーバーラミネートを設けるようにした従来のラベルも製造現場等で臨機に発行できないため実用が困難である。
【0004】
さらにグリーンタイヤの加硫温度で熱変形せずに初期の形状を保つ耐熱性樹脂フィルムをラベル基材に用いた従来のラベルも、その耐熱性樹脂フィルムがゴムとの密着力に乏しくて加硫処理後のタイヤより指先で簡単に引剥がせる程度の接着力しか発現せず、自動車等の稼働中に離脱しやすくて流通過程でのタイヤ管理を実現できず実用が困難である。
【0005】
【発明の技術的課題】
本発明は、オーバーコート等が不要で熱転写方式によりインク情報を付与して臨機に現場発行でき、グリーンタイヤに接着して加硫処理に供しても位置ズレや皺等の熱変形を生じずに初期の形状を保持し、かつインク落ちしにくくて加硫金型へのインクの移着で金型汚染やタイヤの外観不良を生じにくく、付与したインク情報を鮮明に維持してグリーンタイヤの加硫過程を通じ形成タイヤに強固に接着するタイヤ管理用ラベルの開発を課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明は、片面がマット処理された白色フィラー含有の耐熱性樹脂フィルムの他面にプライマー層を介して加硫促進剤含有かつ加硫剤無含有のゴム系粘着層を有してなるラベル基材のマット処理面に熱転写インク情報を有してなり、その熱転写インク情報が耐熱性の樹脂系インクよりなる下層とポリメチルメタクリレートよりなる表層の少なくとも2層構造を有してラベル表面に露出した状態にあることを特徴とするタイヤ管理用ラベルを提供するものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、熱転写方式でバーコード等のインク情報を臨機に付与して生産現場等でタイヤ管理用ラベルを随時に発行でき、それをオーバーコート等を設けることなくグリーンタイヤに仮着して加硫処理することにより、インク落ちによる金型汚染や付与したインク情報の不鮮明化を防止しつつ位置ズレや皺等の熱変形なしに、かつ指先による引剥がしに充分に耐える強度で加硫後のタイヤに強固に接着するラベルを形成することができる。従って生産過程や流通過程でのタイヤ毎の個別管理を可能とするラベルを生産現場等にて臨機に発行することができる。
【0008】
従って本発明によるラベルにより自動車用タイヤ等を業界の全体で流通管理することもできる。すなわち現場発行できない従来の印刷済みラベルでは、個別タイヤの背番号としてそれ自体は意味を持たない連続番号を使用するので、タイヤの品番等の個別情報をホストコンピュータで管理する必要があり、工場内での生産管理はできるが異なるタイヤメーカーなどとの業界全体にわたる流通管理は非常に困難である。しかし本発明によるタイヤ管理用ラベルでは、現場にてタイヤ毎に個別情報を記録でき個々のタイヤに固着するラベルのバーコード等のインク情報を読みとるだけでタイヤのふるい分けをすることができる。従って業界全体にわたる流通管理までも容易に行うことが可能となる。
【0009】
【発明の実施形態】
本発明によるタイヤ管理用ラベルは、片面がマット処理された白色フィラー含有の耐熱性樹脂フィルムの他面にプライマー層を介して加硫促進剤含有かつ加硫剤無含有のゴム系粘着層を有してなるラベル基材のマット処理面に熱転写インク情報を有してなり、その熱転写インク情報が耐熱性の樹脂系インクよりなる下層とポリメチルメタクリレートよりなる表層の少なくとも2層構造を有してラベル表面に露出した状態にあるものからなる。
【0010】
前記したタイヤ管理用ラベルの例を図1に示した。また熱転写インク情報を付与して当該ラベルとする前の状態のラベル基材の例を図2に示した。1が熱転写インク情報、2が白色フィラー含有の耐熱性樹脂フィルム、3がプライマー層、4がゴム系粘着層である。なお5は被着体としてのゴムタイヤである。また図2において21はインク情報を付与するためのマット処理面、6はセパレータである。セパレータは、ゴム系粘着層をグリーンタイヤに仮着するまでの間、ゴミ等による汚染から保護するためのものであり、必要に応じて設けられる。
【0011】
ラベル基材を形成する耐熱性樹脂フィルムとしては、グリーンタイヤの加硫処理で熱変形しない耐熱性を有する適宜なものを用いうる。一般にはその加硫処理が通例160〜180℃の温度による10〜60分間の加熱条件で行われることより、融点が200℃以上の樹脂からなるものが好ましく用いられ、柔軟性等による取扱性などの点より熱可塑性樹脂からなるものが好ましい。その例としてはポリアミドやポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテルやポリフェニレンサルファイド、ポリアリレートやポリメチルペンテン、ポリアミドイミドの1種又は2種以上からなるフィルムなどがあげられる。
【0012】
前記耐熱性樹脂フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが一般には100〜150μm、就中120〜130μmとすることが好ましい。その厚さが100μm未満ではグリーンタイヤの加硫処理時の熱で変形する場合があり、150μmを超えるとラベルをタイヤのビード部に接着したときにそれが摩滅するとタイヤの空気漏れを誘発する場合がある。
【0013】
耐熱性樹脂フィルムを白色化するために含有させる白色フィラーとしては、例えばシリカやチタニア(チタン白)、アルミナや亜鉛華、酸化カルシウムやマイカの如き酸化物型セラミック、ないし酸化してかかるセラミックとなる炭酸塩や硝酸塩や硫酸塩などがあげられる。白色フィラーの含有率は90重量%以下、就中50重量%以下、特に1〜30重量%が一般的であり、可視光の反射率が75%以上、就中80%以上、特に90%以上のフィルムとしたものが好ましい。
【0014】
上記の如く白色フィラーを含有させた耐熱性の耐熱性樹脂フィルムを用いることにより、グリーンタイヤの加硫処理工程を通じてゴムタイヤとの強固な接着を達成しつつ、位置ズレや皺等の熱変形を生じずに初期の形状を良好に保持するラベルとすることができる。ゴムタイヤに強固に接着させる点より特に好ましいものは、チタン白含有の白色ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0015】
プライマー層は、耐熱性樹脂フィルムとゴム系粘着層との接着力の向上、特に加硫処理後における接着力の向上を目的に設けられる。プライマーとしては例えばフェノールやレゾルシノール、ピロガロールやp-トルエンスルホン酸、レゾルシノールとホルムアルデヒドの混合物、クロルフェノールとレゾルシノールとホルムアルデヒドとビニルピリジンやSBRの如き有機化合物のラテックスとの混合物などが好ましく用いられる。
【0016】
就中RFL(レゾルシノール、ホルムアルデヒド、ラテックス)混合のクロルフェノール系プライマーが好ましい。その場合にRFLの使用量は、接着力の向上効果等に応じて適宜に決定されるが一般にはクロルフェノール100重量部あたり、100重量部以下、就中5〜80重量部、特に10〜50重量部が用いられる。なおRFLの組成は、R/F/Lに基づき1/0.5〜2/2〜10の重量比が一般的である。
【0017】
耐熱性樹脂フィルムへのプライマー層の付設は、キスコータやドクターブレード等による公知の塗布方式や含浸方式などの適宜な方式を適用して行うことができる。プライマー層の厚さは1〜50μm、就中2〜30μm、特に5〜20μmが一般的である。プライマー層を介したゴム系粘着層の付設にてグリーンタイヤへの仮着や加硫過程を通じての形成タイヤに対する位置ズレ等を伴わない強固な接着を達成することができる。
【0018】
ゴム系粘着層は、タイヤとの接着力や実用までの保存性等の点より加硫促進剤を含有し加硫剤は無含有のゴム系組成物により形成される。その組成物は例えば天然ゴムやイソプレンゴム、ブタジエンゴムやスチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴムの如きゴム系ポリマー100重量部、タッキファイヤ20〜50重量部、加硫促進剤1〜5重量部の混合物などとして調製される。加硫剤を含有させると常温等での保管時や流通時などに加硫が進行してタックが低下し、セパレータからのラベルの脱落やグリーンタイヤへの仮着力が低下して実用性に乏しくなる。
【0019】
加硫処理後のタイヤとの強固な接着力等の点よりはグラフト系ゴムが好ましく用いられ、グリーンタイヤへの仮着力等の点よりは天然ゴムが好ましく用いられる。従ってゴム系ポリマーとしてグラフト系ゴムにその5〜30重量%の天然ゴムを併用したものが特に好ましい。なおラベル保存性の向上等を目的に必要に応じてフェノール系などの老化防止剤をゴム系ポリマー100重量部あたり1〜5重量部配合することもできる。
【0020】
粘着力の制御等の目的で用いるタッキファイヤとしては例えばテルペン系樹脂、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂やそのグリセリンエステル、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、脂肪族系や芳香族系の石油系樹脂の如き公知物などの適宜なものを1種又は2種以上用いうる。また粘着層自体の硬化性の向上を目的に用いる加硫促進剤についても公知物等の適宜なものを1種又は2種以上用いうる。就中タッキファイヤとしてはグリーンタイヤへの仮着性等の点より石油樹脂系のものが好ましい。また加硫促進剤としては硬化性や加硫処理による接着力の向上等の点よりチュウラム系のものが好ましい。
【0021】
ゴム系粘着層の形成は、ゴム系組成物を必要に応じ有機溶剤で希釈して、ファンテン方式やコンマロール方式、ドクターブレード方式やカレンダーロール方式、グラビアロールコータ方式等で耐熱性樹脂フィルムのプライマー層上に塗工する方式や、セパレータ上に塗工形成したゴム系粘着層を移着する方式などの適宜な方式で行うことができる。形成するゴム系粘着層の厚さは、10〜50μm、就中15〜30μmが好ましい。
【0022】
ゴム系粘着層の厚さが10μm未満ではグリーンタイヤへの仮着力に乏しい場合があり、50μmを超えるとラベルへの加工時に糊のはみだしが多くなる場合がある。斯かるゴム系粘着層を介しグリーンタイヤに仮着して加硫処理することにより通例3kg/cm以上(180度ピール)の接着力が発現し、これは指先による引き剥がしに耐えてタイヤの過酷な使用状態下においても離脱しない接着力である。
【0023】
図2の例の如く耐熱性樹脂フィルム2のゴム系粘着層4を有しない面側21に少なくとも施すマット処理は、その面をインク受容層として機能させて熱転写方式にて付与したインク情報がグリーンタイヤの加硫処理に耐えるようにすることを目的とする。すなわち付与した熱転写インク情報をそれにオーバーコート等を設けることなく露出させたままの状態でラベルとしてグリーンタイヤに仮着して加硫処理した際に、インクをマット処理面の凹内に流れ込ませてラベル基材の表面に強固に定着させその加硫温度下にてもインクの移着(インク落ち)が生じないようにすることを目的とする。
【0024】
前記の結果、簡単な処理操作で容易に行えるマット処理にてインクの移着による加硫金型の汚染やタイヤの外観不良、付与したバーコード等のインク情報の不鮮明化を防止しつつ加硫処理することができる。前記において非マット処理面に対するインク情報のでは加硫時の熱でインクが移着して加硫金型の汚染やタイヤの外観不良、付与したインク情報の不鮮明化が著しい。
【0025】
前記マット処理の程度は、表面粗さRaに基づいて0.1〜1.0μm、就中0.15〜0.6μmの表面凹凸状態が好ましい。そのRaが0.1μmより小さいと凹部へのインクの流込み深さに不足して加硫金型の汚染が著しい場合があり、1.0μmを超えるとその表面凹凸のために熱転写による鮮明なインク情報の付与が困難な場合がある。なおRmaxに基づいた場合の表面凹凸は、1〜4μm、就中1.5〜3μmが好ましい。マット処理は、例えばサンドマットによるブラスト方式、つや消し剤の塗布方式、練り込みマット化方式などの適宜な粗面化処理方式にて行うことができる。
【0026】
ラベルの形成は、図例の如くラベル基材における耐熱性樹脂フィルム2のマット処理面21に、耐熱性の樹脂系インクよりなる下層12とポリメチルメタクリレート(PMMA)よりなる表層11の少なくとも2層構造を有する熱転写インク情報を付与することにより行うことができる。斯かる多層構造のインク情報とすることにり、熱転写プリンタとインクリボンを用いた熱転写方式にてインク情報を付与しそのインク上にオーバーコート等を設けることなく露出させたままの状態のラベルをグリーンタイヤに仮着して加硫処理に供することができる。
【0027】
すなわち熱転写インク情報が当該多層構造に基づいて堅牢性を具備し、加硫処理時に金型から加えられる温度と摩擦に耐えて加硫金型の汚染やタイヤの外観不良を防止すると共に、加硫後も鮮明なインク情報を維持する。その結果、生産過程や流通過程でのタイヤ毎の個別管理に必要なバーコード等のインク情報を生産現場等で臨機に付与して実用に供しうるラベルを随時に発行することができる。前記においてワックス系インクによるインク情報の付与では、加硫時の熱でインクが移着して加硫金型の汚染やタイヤの外観不良、付与したインク情報の不鮮明化が発生する。
【0028】
熱転写インク情報の形成は、インクリボンと市販等の適宜な熱転写プリンタを用いて行うことができ、その場合にインクリボンとして耐熱性の樹脂系インクよりなる下層とポリメチルメタクリレートよりなる表層の少なくとも2層構造を有する熱転写インク情報を形成しうるものを用いることにより行うことができる。斯かるインクリボンは例えば、塗布方式や含浸方式等の適宜な方式にてフィルムや布等からなる支持基材上にPMMAの層を設けた後、そのPMMA層の上に必要に応じ密着力向上層等の適宜な中間層を介して耐熱性樹脂系インクの層を設ける方法などにより得ることができる。
【0029】
前記の如く多層構造としたインクリボンを用いることにより熱転写プリンタを介し熱転写させた場合に、インク層の上下が逆転して樹脂系インク層の上側にPMMA層が表層として位置して堅牢性や耐摩擦性等の耐久性に優れる熱転写インク情報を形成することができる。なお前記の支持基材としては例えばポリエチレンテレフタレートやポリイミド、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂フィルム、ポリアミドやポリエステル等の繊維からなる布などが通例用いられる。
【0030】
一方、耐熱性の樹脂系インクとしては例えばポリエステル系やポリアミド系、アクリル系やポリカーボネート系、フェノール系等の樹脂、就中、熱可塑性のポリイミドやポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホンやポリエーテルイミド、ポリスルホンやポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミドやポリエステルイミド、芳香族ポリアミドやポリパラバン酸、フッ素樹脂やエポキシ樹脂などの耐熱性樹脂の1種又は2種以上と、着色剤の1種又は2種以上とをロールミルやポットミル等の適宜な混練機にて必要に応じ溶媒を用いて混合してペースト状等の流動物として調製したものなどがあげられる。
【0031】
前記の着色剤としては、例えば有機系又は無機系の顔料、カーボン、金属粉末などの適宜なものが用いられる。その具体例としてはアゾ系顔料やフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系顔料や金属錯塩顔料、バット染料系顔料やキナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料などの有機系顔料があげられる。また無機系顔料の例としては酸化クロム・酸化コバルト・酸化鉄・酸化マンガンやクロム酸塩、過マンガン酸塩の如き黒色物、酸化マンガン・アルミナ、酸化クロム・酸化錫、酸化鉄、硫化カドミウム・硫化セレンの如き赤色物、酸化コバルト、ジルコニア・酸化バナジウム、酸化クロム・五酸化二バナジウムの如き青色物、ジルコニウム・珪素・プラセオジム、バナジウム・錫、クロム・チタン・アンチモンの如き黄色物、酸化クロム、コバルト・クロム、アルミナ・クロムの如き緑色物、アルミニウム・マンガン、鉄・珪素・ジルコニウムの如き桃色物などをその代表例としてあげられる。
【0032】
樹脂系インクは、樹脂成分100重量部あたり50〜500重量部の着色剤を配合したものが一般的であるが、これに限定されない。インク情報、特にバーコードの形成には、コントラストの点よりカーボンや黒色顔料などの黒色系の樹脂系インクを用いたものが特に好ましい。
【0033】
好ましく用いうるインクリボンは、樹脂系インク層の厚さが1〜3μm、就中約2μmのものである。その厚さが1μm未満のものではインク濃度に不足して地色の隠蔽力に乏しい場合があり、3μmを超えるとインク層を剪断して良好に熱転写できず良好なインク情報を形成できない場合がある。また着色剤を含有しうるが通例、透明層とされる表層のPMMA層の厚さも熱転写性等の点より3μm以下、就中0.1〜2μm、特に0.5〜1μmが好ましい。なお熱転写する全層の厚さが10μm以下、就中5μm以下、特に2〜3μmが熱転写性等の点より好ましい。
【0034】
タイヤ管理用ラベルの適用は、例えば自動車用や航空機用などの種々の用途のゴムタイヤを形成するためのグリーンタイヤを加硫処理する工程などで、タイヤの個別管理に必要なバーコード等の適宜な熱転写インク情報をラベル基材に付与してラベルを形成し、そのラベルをグリーンタイヤのビード部等の適宜な位置に仮着し160〜180℃で10〜60分間加熱して加硫処理する方法などにより行うことができる。
【0035】
前記によりラベルは、グリーンタイヤの加硫処理過程を通じてそのゴム系粘着層がグリーンタイヤ中の加硫剤を吸収して粘着層中の加硫促進剤を介し加硫硬化し、指先で剥離できない強固な接着力、通常3kg/cm以上の接着力(180度ピール)でタイヤに密着し、タイヤの過酷な使用条件にも充分に耐えて離脱しないものとなる。また前記の加硫処理過程、特にその初期段階にラベル基材の表面に施されたマット処理面の凹部中に熱転写したインク情報の樹脂系インク層等が流れ込みラベル表面に強固に定着すると共に、インク情報の表面がPMMA層で被覆されていることより耐擦過性に優れ、加硫金型がインク成分で汚染されることが殆どない。従ってタイヤ管理用ラベルをタイヤの生産過程で発行してタイヤ毎の個別情報を入力し、その後の生産工程や流通過程でタイヤを車種別やメーカー別等にふるい分けることなどが可能になり、生産から流通に及ぶ過程でのタイヤ毎の管理を他メーカーや取扱店等を含む業界全体で行うことができる。
【0036】
なお上記のように本発明によるタイヤ管理用ラベルは、オーバーコート等を設けることなくグリーンタイヤに仮着して加硫処理に供しうるものであるがその実用に際しては、タイヤの汚れをアルコール等で払拭するときがあり使用する溶剤によってはその払拭でインク情報のPMMA層等が消失するおそれのある場合がある。そのような場合にはオーバーコート等を設けることもでき、その形成にはアクリル系等の紫外線硬化型樹脂などの適宜な透明材料を用いることができる。またその形成は、前記加硫処理の前後の適宜な段階で行いうるが、一般にはラベルの臨機発行性などの本発明による利点を活かす点より加硫処理後における必要に応じての処理としてオーバーコート等を設けることが好ましい。
【0037】
【実施例】
実施例1
片面をサンドブラスト処理した厚さ125μmのチタン白含有の白色ポリエチレンテレフタレートフィルムの他面に、プライマーをドクターブレード法で塗布し160℃で約2分間乾燥させて厚さ10μmのプライマー層を形成し、その上にグラフトゴム系組成物をドクターブレード法で塗布し120℃で約5分間乾燥させて厚さ20μmのゴム系粘着層を付設し、それをセパレータでカバーしつつ巻取ってラベル基材を得た。
【0038】
前記のプライマーは、クロルフェノール系プライマー(CASABONDE、ICI社製)100部(重量部、以下同じ)、レゾルシノール4.1部、ホルムアルデヒド3.6部、ビニルピリジンラテックス(固形分41重量%)47.4部、SBRラテックス(固形分40重量%)11.7部、及び5重量%苛性ソーダ溶液6.4部を軟水26.8部と共に均一に混合したものからなる。また前記のグラフトゴム系組成物は、グラフトゴム85部、天然ゴム15部、石油系樹脂35部、チュウラム系加硫促進剤4部、及びフェノール系老化防止剤3部をトルエン200部に均一に溶解させたものからなる。
【0039】
前記のラベル基材を60mm×200mmの寸法に裁断しそのマット処理面に、透明なPMMA層の上に黒色の樹脂系インク層を設けてなるインクリボンと市販の熱転写プリンタを用いてバーコードを印字し、それをさらに12mm×45mmの寸法に裁断してタイヤ管理用ラベルを得た。
【0040】
比較例
インクリボンとして、PMMA層を有しないものを用いたほかは実施例1に準じてタイヤ管理用ラベルを得た。
【0041】
評価試験
実施例、比較例で得たタイヤ管理用ラベルよりセパレータを剥がしてそのゴム系粘着層を介し自動車用グリーンタイヤのビード部に仮着し、それを表面仕上げが10〜15Sの加硫金型に入れて175℃で15分間加硫処理したのちタイヤを金型より取り出し、インク落ちによる金型の汚染具合を目視判定すると共に、ラベルにおけるバーコードパターンのPCS(プリントコントラストシグナル)を測定し、ANSI規格に基づいて評価した。なおPCSは、式:(白地反射率一黒字反射率)/白地反射率にて算出され、インクが金型に取られるほどタイヤ管理用ラベルの黒い部分が薄くなって低下する。バーコードの規格ではPCSが0.75以上であることが要求される。
【0042】
前記の結果を次表に示した。
Figure 0004592973

【図面の簡単な説明】
【図1】ラベル例の断面図
【図2】ラベル基材例の断面図
【符号の説明】
1:熱転写インク情報
11:PMMAよりなる表層
12:樹脂系インクよりなる下層
2:白色フィラー含有の耐熱性樹脂フィルム
21:マット処理面
3:プライマー層
4:ゴム系粘着層
5:タイヤ
6:セパレータ

Claims (1)

  1. 片面がマット処理された白色フィラー含有の耐熱性樹脂フィルムの他面にプライマー層を介して加硫促進剤含有かつ加硫剤無含有のゴム系粘着層を有してなるラベル基材のマット処理面に熱転写インク情報を有してなり、その熱転写インク情報が耐熱性の樹脂系インクよりなる下層とポリメチルメタクリレートよりなる表層の少なくとも2層構造を有してラベル表面に露出した状態にあることを特徴とするタイヤ管理用ラベル。
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