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JP4372541B2 - イオウ含有有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

イオウ含有有機ケイ素化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、相間移動触媒法によるイオウ含有有機ケイ素化合物の製造方法に関する。本方法は、相間移動触媒を本方法の水相成分と反応させて、中間反応生成物を作製し、次いでこれをシラン化合物と反応させることを含む。
イオウ含有有機ケイ素化合物は、種々の商業的用途において反応性カップリング剤として有用である。特に、イオウ含有有機ケイ素化合物は、シリカを含有するゴム加硫物をベースとするタイヤの製造における不可欠な成分になっている。イオウ含有有機ケイ素化合物は、シリカを含有するゴム加硫物の物理的特性を改良して、改良された耐摩擦性、転がり抵抗および湿潤滑り性能を有する自動車用タイヤをもたらす。イオウ含有有機ケイ素化合物は、シリカを含有するゴム加硫物に直接添加され得るし、あるいはゴム加硫物組成物へ添加する前にシリカを前処理するために用いられ得る。
イオウ含有有機ケイ素化合物の調製に関して、当該技術分野では多数の方法が記載されている。例えば、Frenchらによる米国特許第5,399,739号には、アルカリ金属アルコラートを硫化水素と反応させてアルカリ金属ヒドロスルフィドを生成し、続いてこれをアルカリ金属と反応させてアルカリ金属硫化物を提供することによるイオウ含有有機シランの製造方法が記載されている。次いで、得られたアルカリ金属硫化物をイオウと反応させてアルカリ金属ポリスルフィドを提供し、次いでこれを式X−R−Si(R(式中、Xは塩素または臭素である)のシラン化合物と最終的に反応させて、イオウ含有有機シランを生成する。
米国特許第5,466,848号、第5,596,116号および第5,489,701号には、シランポリスルフィドの調製方法が記載されている。この特許第’848号の方法は、硫化水素とナトリウムエトキシラートとの反応により硫化ナトリウムを先ず生成させることを基礎にする。次に、硫化ナトリウムをイオウと反応させて四硫化物を生成し、続いてこれをクロロプロピルトリエトキシシランと反応させて3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)四硫化物を生成する。特許第’116号は、硫化水素を使用せずに、アルコール中の金属アルコキシドを元素状態で存在するイオウと反応させるか、又は金属ナトリウムを元素状態で存在するイオウおよびアルコールと、クロロプロピルトリエトキシシランのようなハロヒドロカルビルアルコキシシランと反応させることによるポリスルフィドの調製方法を教示する。特許第’701号は、硫化水素ガスを活性金属アルコキシド溶液と接触させ、続いて反応生成物をクロロプロピルトリエトキシシランのようなハロヒドロカルビルアルコキシシランと反応させることによるシランポリスルフィドの調製方法を特許請求する。
米国特許第5,892,085号には、高純度有機ケイ素ジスルファンの調製方法が記載されている。米国特許第5,859,275号には、ビス(シリルオルガニル)ポリスルファンの製造方法が記載されている。特許第’085号および第’275号にはともに、ハロアルコキシシランをポリスルフィドと直接反応させることを含む無水法が記載されている。
米国特許第6,066,752号は、溶媒の非存在下又は中性溶媒の存在下で、イオウ、アルカリ金属およびハロゲンアルコキシシランを反応させることによるイオウ含有有機ケイ素化合物の製造方法を教示する。
最近、米国特許第6,140,524号には、分布を有する式(RO)SiCSi(RO)(式中、nは2.2≦n≦2.8の範囲である)の短鎖ポリスルフィドシラン混合物の調製方法が記載されている。この特許第’524号の方法は、アルコール溶媒中で、金属ポリスルフィド、典型的にはNaを、式(RO)SiCX(式中、Xはハロゲンである)を有するハロゲノプロピルトリアルコキシシランと反応させる。
イオウ含有有機シランの他の調製方法は、相間移動触媒法の使用に基づいて当該技術分野で教示されてきた。相間移動触媒法は、イオウ含有有機ケイ素化合物を製造する上記従来技術の方法に関連する多数の実際的な問題を克服する。これらの問題の多くは、溶媒の使用に関連する。特に、エチルアルコールの使用は、その低い引火点のために問題がある。さらに、工業的規模における上記従来技術の方法の多くに必要とされる無水条件を達成および保持することは困難である。
イオウ含有有機ケイ素化合物を製造するための相間移動触媒法は、例えば、米国特許第5,405,985号、第5,663,396号、第5,468,893号および第5,583,245号に教示されている。これらの特許は、相間移動触媒を用いるイオウ含有有機ケイ素化合物の新規調製方法を教示するが、工業規模での相間移動法の使用に伴う多数の実際的な問題が依然として存在する。例えば工業的規模で実施され得る効率的で且つ安全な反応を提供するために、イオウ含有有機シランの調製において相間移動触媒の反応性を制御する必要がある。さらに、最終生成物の安定性、外観および純度を改良する必要がある。特に従来技術の相間移動触媒法は、多量の未反応イオウ種を含有する最終生成物組成物をもたらす。これらの未反応イオウ種は、時間の経過とともに貯蔵生成物中で沈殿して、生成物スルフィド分布の変化を引き起こし得る。
したがって、本発明の目的は、相間移動触媒法に基づくイオウ含有有機ケイ素化合物の改良された製造方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、より大きな安定性、純度および外観を有する最終生成物組成物をもたらす相間移動触媒法に基づくイオウ含有有機ケイ素化合物の製造方法を提供することである。
本発明は、相間移動触媒法によるイオウ含有有機ケイ素化合物の製造方法を提供する。本方法は、相間移動触媒を本方法の水相成分と反応させて、中間反応生成物を作製し、次いでこれをシラン化合物と反応させることを含む。
本発明の改良は、水相を反応用のシラン化合物と混合する前に、水相へ相間移動触媒を添加すること特徴とする。この本発明の改良は、制御され且つ工業的規模で実施可能な方法をもたらし、より優れた純度および外観を有する最終生成物組成物を提供する。
本発明は、式:(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−m
(式中、Rは独立して炭素原子1〜12個の一価炭化水素であり、Alkは炭素原子1〜18個の二価炭化水素であり、mは0〜2の整数であり、nは1〜8の数である)を有する有機ケイ素化合物の製造方法において、
(A)イオウ、相間移動触媒、式MまたはMHS(式中、Hは水素であり、Mはアンモニウムまたはアルカリ金属であり、nは上記と同様である)を有するスルフィド化合物、および水を反応させて、中間反応生成物を生成すること、
(B)前記中間反応生成物を、式:(RO)3−mSi−Alk−X(式中、XはCl、BrまたはIであり、mは上記と同様である)を有するシラン化合物と反応させることを含む有機ケイ素化合物の製造方法である。
本発明に従って調製され得るイオウ含有有機ケイ素化合物の例は、米国特許第5,405,985号、第5,663,396号、第5,468,893号および第5,583,245号(これらを援用して本明細書の一部とする)に記載されている。本発明に従って調製される好ましいイオウ含有有機ケイ素化合物は、3,3’−ビス(トリアルコキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。最も好ましい化合物は、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドおよび3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。
本発明の方法の第一工程は、イオウ、相間移動触媒、式MまたはMHS(式中、Hは水素であり、Mはアンモニウムまたはアルカリ金属であり、nは上記と同様である)を有するスルフィド化合物及び水を反応させて、中間反応生成物を生成することを含む。本発明の反応に用いられるイオウは、元素状態で存在するイオウである。種類および形態は重要ではなく、一般的に用いられるものが含まれ得る。適切なイオウ物質の一例は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich社の100メッシュ精製イオウ粉末である。
式MまたはMHSのスルフィド化合物も本発明の第一工程における水相に添加される。Mはアルカリ金属またはアンモニウム基を表し、Hは水素を表す。代表的なアルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム、ルビジウムまたはセシウムが挙げられる。好ましくは、Mはナトリウムである。一般に、MHS化合物は、得られる生成物の式(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−mにおけるnの平均値が2であることが望ましい場合、優先的に用いられる。MHS化合物の好適な例としては、これに限定されないが、NaHS、KHSおよびNHHSが挙げられる。スルフィド化合物がMHS化合物である場合、NaHSが好ましい。NaHS化合物の好適な例としては、これに限定されないが、ペンシルバニア州ピッツバーグのPPG社のNaHSフレーク(71.5〜74.5%NaHSを含有)およびNaHSリカー(45〜60%NaHSを含有)が挙げられる。M化合物は、得られる生成物の式(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−mにおけるnの平均値が4であることが望ましい場合、優先的に用いられる。Mの化合物の好適な例としては、これに限定されないが、NaS、KS、CsS、(NHS、Na、Na、Na、Na、K、K、K、Kおよび(NHが挙げられる。好ましくは、スルフィド化合物はNaSである。特に好ましいスルフィド化合物は、ペンシルバニア州ピッツバーグのPPG社の硫化ナトリウムフレーク(60〜63%NaSを含有)である。
本発明の方法に用いられるイオウおよびスルフィド化合物の量は変わり得るが、好ましくはS/MまたはS/MHSのモル比は0.3〜5の範囲である。イオウ/スルフィド化合物のモル比は、最終生成物分布、即ち、式(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−mにおけるnの平均値に影響を与えるために用いられ得る。生成物の式(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−mにおけるnの平均値が4であることが望ましい場合、イオウ/スルフィド化合物の比の好ましい範囲は2.7〜3.2である。生成物の式(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−mにおけるnの平均値が2であることが望ましい場合、イオウ/スルフィド化合物の比の好ましい範囲は0.3〜0.6である。
本発明において使用可能な相間移動触媒は、第四級オニウムカチオンである。本発明において相間移動触媒として用いられ得る第四級オニウムカチオンの例は、米国特許第5,405,985号(これらを援用して本明細書の一部とする)に記載されている。好ましくは、第四級オニウムカチオンは、臭化テトラブチルアンモニウムまたは塩化テトラブチルアンモニウムである。最も好ましい第四級オニウム塩は、臭化テトラブチルアンモニウムである。特に好ましい第四級オニウムイオン塩は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich社の臭化テトラブチルアンモニウム(99%)である。
本方法で用いられる相間移動触媒の量は変わり得る。好ましくは相間移動触媒の量は、用いられるシラン化合物の量を基準として0.1〜10重量%、最も好ましくは0.5〜2重量%である。
相間移動触媒、イオウ、およびスルフィド化合物を水中で混合し、反応させて中間反応生成物を生成する。中間反応生成物を作製するのに用いられる水の量は変わり得るが、好ましくは本方法に用いられるシラン化合物の量を基準としている。他の出発物質中に少量の水がすでに多少存在するので、水は直接的または間接的に添加され得る。本発明の目的のためには、存在する水の総量を算定する、即ち、直接的または間接的に添加される全ての水を明らかにするのが好ましい。好ましくは、中間反応生成物を作製するために用いられる水の総量は、用いられるシラン化合物の1〜100重量%であり、2.5〜70重量%の範囲がさらに好ましい。最も好ましくは中間反応生成物に関して用いられる水は、用いられるシラン化合物の量を基準として20〜40重量%の範囲である。
第一工程の反応は、反応容器中でイオウ、スルフィド化合物、相間移動触媒、および水を混合することを含む。第一工程の反応は、種々の温度で行われ得るが、一般には40〜100℃の範囲で行われ得る。好ましくは、反応は65〜95℃の範囲の温度で行われる。一般に、第一工程は種々の圧力で行われ得るが、好ましくは第一工程の反応は大気圧で行われる。第一工程の反応が起こるのに必要な時間は重要ではないが、一般に5〜30分の範囲である。
本発明の方法の第二工程は、中間反応生成物を、次式:
(RO)3−mSi−Alk−X
(各Rは、独立して選択される1〜12個の炭素原子を含む炭化水素基である)のシラン化合物と反応させることを含む。したがって、Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、シクロヘキシルまたはフェニルが挙げられる。好ましくは、Rはメチル基又はエチル基である。式(RO)3−mSi−Alk−Xにおいて、mは整数であり、0〜2の値を有し得る。好ましくは、mは0である。Alkは、炭素1〜18個を含有する二価炭化水素基である。Alkは、例えばエチレン、プロピレン、ブチレンまたはイソブチレンであり得る。好ましくは、Alkは2〜4個の炭素原子を含む二価炭化水素基であり、最も好ましくは、Alkはプロピレン基である。Xは、塩素、臭素またはヨウ素から選択されるハロゲン原子である。好ましくは、Xは塩素である。本発明に用いられ得るシラン化合物の例としては、クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロエチルトリエトキシシラン、クロロブチルトリエトキシシラン、クロロイソブチルメチルジエトキシシラン、クロロイソブチルメチルジメトキシシラン、クロロプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。好ましくは本発明のシラン化合物はクロロプロピルトリエトキシシラン(CPTES)である。
シラン化合物(RO)3−mSi−Alk−Xは、上記のような中間反応生成物と直接的に反応させるか、或いはこのシラン化合物を有機溶媒中に分散させ得る。有機溶媒の代表例としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘプタン、オクタン、デカン、クロロベンゼン等が挙げられる。有機溶媒が用いられる場合、好ましい有機溶媒はトルエンである。

本発明の方法を行う際、好ましくは、シラン化合物を上記のような中間反応生成物と直接反応させる。
本発明の方法に用いられるシラン化合物(RO)3−mSi−Alk−Xの量は、変わり得る。適切なモル範囲の例としては、用いられるスルフィド化合物の量を基準として1/10〜10/1が挙げられる。生成物の式(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−mにおけるnの平均値が4であることが望ましい場合、一般に、シラン化合物(RO)3−mSi−Alk−Xは、2.0〜2.10の範囲のMスルフィド化合物のモル過剰量で用いられ、2.01〜2.06の範囲が最も好ましい。生成物の式(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−mにおけるnの平均値が2であることが望ましい場合、好ましくは、シラン化合物(RO)3−mSi−Alk−Xは、1.8〜2.1の範囲のMHSスルフィド化合物のモル過剰量で用いられ、1.9〜2.0の範囲が最も好ましい。
本発明の第二工程を行う際、好ましくは、一定の反応温度を保持するような速度で、シラン化合物を中間反応生成物に添加する。本発明の第二工程の反応は種々の温度で行われ得るが、一般には40〜100℃の範囲で行われ得る。好ましくは、反応は65〜95℃の範囲の温度で行われる。一般に、第二工程は種々の圧力で行われ得るが、好ましくは第二工程の反応は大気圧で行われる。第二工程の反応が起こるのに必要な時間は重要ではないが、一般に5分〜6時間の範囲である。
本発明の方法は、ポリスルフィドおよびシラン化合物を含む水相の相間移動触媒反応を介して、平均2〜6個のイオウ原子を含むジアルキルポリスルフィドである有機ケイ素化合物を提供する。本発明の典型的な反応は、次式;
Na2S+3S+2Cl(CH2)3Si(OEt)3→(EtO)3Si(CH2)3SSSS(CH2)3Si(OEt)3+2NaCl
によって例示される。
典型的な実験では、化学量論量のイオウ、NaSを水に添加し、65℃に加熱して、固体が分散されるまで混合する。相間移動触媒水溶液を添加する。次いで、発熱反応を制御して40〜110℃の範囲に温度を保持する速度で、有機シラン化合物が水相に添加される。反応の進行は、有機シラン出発物質の消費により監視され得る。出発反応物としてNaSを用いる場合の塩化ナトリウムのような塩の沈殿も、反応の進行を示す。触媒の量および反応温度は、完了に要する反応時間に影響を及ぼす。反応終了時に、ある程度または全ての沈殿塩を溶解するために追加の水を添加することもできる。
以下の実施例は、本発明を説明するために提示される。これらの実施例は、本明細書中の特許請求の範囲を限定することを意図しない。
[実施例1]
表Iに示される実験1〜6を行うために、以下の一般的な手順を用いた。冷却器、窒素スイープおよび電磁攪拌機を取り付けた100mL三つ口丸底フラスコに、様々な量のNaS、イオウ、および6.25gの水を投入した。窒素下で攪拌しながら、内容物を70℃に加熱した。NaSおよびイオウを溶解させた後、触媒(表I)である臭化テトラブチルアンモニウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich社製)を添加して、10分間混合した。次いで、25gのクロロプロピルトリエトキシシラン(CPTES)および1.25gのトルエン(ガスクロマトグラフィー分析用の対照標準として用いられる)を含む溶液を、70〜80℃の範囲に反応温度を保持するような速度で滴下した。反応をガスクロマトグラフィー法により監視し、全てのCPTESが消費されるまで又はその濃度のさらなる変化が観察されなくなるまで進行させた。反応が完了した後、反応混合物を25℃に冷却し、14.2gの水を反応混合物に添加して、沈殿した塩化ナトリウムを溶解させた。次いで、反応混合物を相分離させた。そして、得られた有機相を硫酸ナトリウムで処理して、濾過した。次いで、得られた濾液を冷却して−13℃の温度で保存し、その後、再び濾過した。
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により、種々のイオウ含有有機ケイ素化合物の分布を分析した。HPLC分析のための典型的な実験条件を以下に示す:8〜9滴の反応試料を8.5gのシクロヘキサンで希釈し、次にこれを0.2μmのPTFE膜(例えば、Whatman(登録商標)のPURADISC(商標)25TF)に通してバイアル中に濾過し、濾液の10μL試料をオートサンプラーによりHPLC装置(例えば、Hewlet-Packard 1050)に注入した。移動相として96%アセトニトリルおよび4%テトラヒドロフラン(vol/vol)の混合物を用いて、Lichrosorp RP18カラム(例えばAlltech Assoc., Inc; 250mm×4.6mm、10μm)上で試料を分画した。適切な励起波長として254nmを用いて、UV吸収検出器により画分を調べた。以下に列挙される特定の経験的に評価された応答因子(RF)で各ピーク面積を割ることにより、全ての単一スルフィド種の異なるUV感度を平均した。この応答因子は、鎖中の全てのイオウ原子および元素状態で存在するイオウについての濃色性を表す。
Figure 0004372541
生成物は、一般式(EtO)Si−CHCHCH−S−CHCHCH−Si(OEt)と一致していた。上記式中のS値によって表されるように、組成物における個別の有機ケイ素イオウ種それぞれの割合を表IIに示す。
実験1〜6の結果は、ナトリウムおよびスルフィドを基準としたCPTESおよび硫化ナトリウムの様々な化学量論比の影響、触媒濃度の影響、反応温度、ならびにS/S2−モル比を示す。
Figure 0004372541
Figure 0004372541
[実施例2]
表IIIに要約される実験7〜15を行うために、以下の一般的な手順を用いた。冷却器、内部温度計、1枚のバッフル、窒素スイープおよび攪拌機を取り付けた1L又は1.5Lの三つ口反応器に、様々な量のNaS、イオウ、および112.5gの水を投入した。窒素下で、内容物を一定の攪拌速度300rpmで混合し、70℃に加熱した。NaSおよびイオウを溶解させた後、様々な量の触媒(ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich社製の臭化テトラブチルアンモニウム)を添加して、10分間混合した。次いで、反応温度を保持するような速度で、CPTES(表IIIに示される量)を滴下した。反応をガスクロマトグラフィー法により監視し、全てのCPTESが消費されるまで又はその濃度のさらなる変化が観察されなくなるまで進行させた。反応が完了した後、反応混合物を25℃に冷却し、137.5gの水を反応混合物に添加して、沈殿した塩化ナトリウムを溶解させた。次いで、反応混合物を相分離させた。得られた有機相を濾過し、次いで硫酸ナトリウムで処理して、再び濾過した。次いで、得られた濾液を冷却して−13℃の温度で保存し、その後、再び濾過した。
これらの実験からの最終有機生成物を、種々のポリスルフィド有機ケイ素化合物のためにHPLCにより分析した。生成物は、一般式(EtO)Si−CHCHCH−S−CHCHCH−Si(OEt)と一致していた。S値によって表されるように、組成物における個別の有機ケイ素イオウ種それぞれの割合を表IVに示す。
Figure 0004372541
Figure 0004372541
[実施例3]
機械撹拌機、1枚のバッフル、冷却器、滴下漏斗および温度計を備えた1L反応器に、121.50gのフレークされた硫化二水素ナトリウム(59.75%NaS、0.26%NaHS)、89.82gの元素状態で存在するイオウおよび112.50gの水を79℃で入れた。全ての固体が溶解されるまで混合物を激しく撹拌した。次いで、28.8gの25%触媒水溶液(21.6gの水中に7.20gの臭化テトラブチルアンモニウム)を添加した。次に463.50gのクロロプロピルトリエトキシシランを85分以内に滴下し、反応温度は約83℃に上昇した。発熱が低減した後、混合物を80℃程度の温度で撹拌し、2.25時間後にクロロプロピルトリエトキシシランが安定なレベルに到達するまで、定量ガスクロマトグラフィー分析により反応の進行を追跡した。混合物を15℃に冷却し、137.50gの水を添加して形成された塩を溶解させた。水相(431.50g)を分離した。残りの有機相も排出して、ブフナー漏斗中に濾過した。緑色および黒色粒子からなる4.33gの濾過残渣、ならびに504.83gの透明赤褐色の濾液が収集された。全部で511.92gの生成物(理論の99.0%)が収集された。高圧液体クロマトグラフィー分析は、3.86という平均イオウランクを示した。定量ガスクロマトグラフィー分析は、2.35%の未反応クロロプロピルトリエトキシシランを示した。
[実施例4(比較例)]
機械撹拌機、1枚のバッフル、冷却器、滴下漏斗および温度計を備えた1L反応器に、121.50gのフレークされた硫化二水素ナトリウム(59.75%NaS、0.26%NaHS)、89.82gの元素状態で存在するイオウおよび112.50gの水を75℃で入れた。全ての固体が溶解されるまで混合物を激しく撹拌した。次いで、463.50gのクロロプロピルトリエトキシシランを水溶液に添加した。次いで、28.8gの25%触媒水溶液(21.6gの水中に7.20gの臭化テトラブチルアンモニウム)を一部添加し、混合物を攪拌した。反応温度は制御できずに7分以内に103℃に上昇し、水の逆流が起こった。氷の添加によって加熱サーキュレータを冷却しなければならず、この実施とともに、続く8〜10分以内に反応温度を80℃に低下させることができた。発熱が低減した後、混合物を78℃の温度で撹拌し、2.5時間後にクロロプロピルトリエトキシシランが安定なレベルに到達するまで、定量ガスクロマトグラフィー分析により反応の進行を追跡した。混合物を15℃に冷却し、135.00gの水を添加して形成された塩を溶解させた。水相(433.07g)を分離した。残りの有機相も排出して、ブフナー漏斗中に濾過した。緑色および黒色粒子からなる7.14gの濾過残渣、ならびに501.33gの透明淡橙色の液体が収集された。高圧液体クロマトグラフィー分析は、3.86という平均イオウランクを示した。定量ガスクロマトグラフィー分析は、1.46%の未反応クロロプロピルトリエトキシシランを示した。
実施例4の結果は、実施例3と比較して、相間移動触媒の添加順序が重要であることを示している。実施例3のように水相に添加する場合、発熱は制御され、工業的規模で実施されるべき方法を可能にする。

Claims (3)

  1. 式:(RO)3−mSi−Alk−S−Alk−SiR(OR)3−m
    (式中、Rは独立して炭素原子1〜12個の一価炭化水素であり、Alkは炭素原子1〜18個の二価炭化水素であり、mは0〜2の整数であり、nは1〜8の数である)を有する有機ケイ素化合物の製造方法において、
    (A)イオウ、相間移動触媒、式MまたはMHS(式中、Hは水素であり、Mはアンモニウムまたはアルカリ金属であり、nは上記と同様である)を有するスルフィド化合物、および水を反応させて、中間反応生成物を生成すること、
    (B)前記中間反応生成物を、式:(RO)3−mSi−Alk−X(式中、XはCl、BrまたはIであり、mは上記と同様である)を有するシラン化合物と反応させること
    を含む有機ケイ素化合物の製造方法。
  2. 前記シラン化合物は、クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロエチルトリエトキシシラン、クロロブチルトリエトキシシラン、クロロイソブチルメチルジエトキシシラン、クロロイソブチルメチルジメトキシシランおよびクロロプロピルジメチルエトキシシランからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  3. 前記スルフィド化合物は、Na S、K S、Cs S、(NH S、Na 、Na 、Na 、Na 、K 、K 、K 、K および(NH からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
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