JP4008994B2 - High temperature plastic working lubricant - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材や非鉄金属材料の高温塑性加工に際し、工具表面への鋼材の焼付や、工具表面の摩耗、肌荒れ等を防止し、作業環境を汚染しない高温塑性加工用潤滑剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、鋼材や非鉄金属材料の熱間圧延、熱間鍛造、熱間ダイス加工、熱間プレス加工などの高温塑性加工では、工具の保護の為、高温塑性加工用潤滑剤が使用され、効果をおさめている。このような潤滑剤としては、高温で潤滑効果のある黒鉛、水ガラス、窒化ホウ素、雲母、二硫化モリブデン、酸化鉄、炭酸カルシウム、フッ素化黒鉛等の固体潤滑剤;硫化油脂、硫化オレフィン、ジンクジアルキルジチオフォスフェート、リン酸エステル等の極圧潤滑剤;鉱油、油脂、油脂重合体、合成エステル等の油性向上剤;メタクリレートコポリマーやブチレンブタジエン共重合体等の付着性向上剤兼流動点降下剤等を、単独で、又は2種類以上組み合わせて、場合によってはさらにジターシャリブチルクレゾールやアルファナフチルアミン等の酸化防止剤を加えて、一般に用いられている。
【0003】
前記鋼材や非鉄金属材料の高温塑性加工は、高温、例えば、700〜1200℃の範囲の温度で行われる。この様な温度では、上記の極圧添加剤や、油性向上剤では、酸化や熱分解が起こり、潤滑面で十分な効果が発揮されない。この為、高温塑性加工では低温での塑性加工に比べ、潤滑面に対し多量の給油が行われるが、十分な効果を得ることは難しい。一方、黒鉛や酸化鉄などの固体潤滑剤は、700℃以上の高温においても、分解しにくく十分な効果を持つことから、高温塑性加工用潤滑剤に広く用いられている。
【0004】
しかし、固体潤滑剤には以下のような問題がある。まず、固形物粒子によって構成される為、これを潤滑剤として用いる場合、基油中に分散しなければならない。ところが、固体潤滑剤は基油に比べ、密度が大きい事から、長時間保管した場合には基油から分離沈降してしまう。従って、固体潤滑剤を配合した潤滑剤は長期保存ができず、定期的に攪拌して分離した固体潤滑剤を液中に再分散させる事が必要となる。しかし、固体潤滑剤の中には、粒子の二次凝集等が生じ再分散が難しい物がある。この場合、潤滑剤の性能低下や、再分散しきれない固体潤滑剤が、ストレーナーや給油弁等に詰まり現象を起こす。従って、この問題を解決する為に、基油中での固体潤滑剤の分散を向上する働きを有する分散剤の添加や固体潤滑剤粒子表面を安定化処理し、基油中での分散性を向上させること等が行われる。しかし、いずれの処方も、高価かつ製造に当たり煩雑な工程が必要となる。
また、黒鉛や酸化鉄、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤は黒色であり、これらを配合した潤滑剤を使用すると、給油部位や作業環境を著しく汚染する。最近は、白色系の固体潤滑剤も存在するが、潤滑性が良好なフッ素化黒鉛や窒化ホウ素は著しく高価である。白色で安価な固体潤滑剤としては、炭酸カルシウムや雲母などがあるが、潤滑性が不十分である。
以上の理由から、高温塑性加工用潤滑剤としては、黒色で周囲を汚染するという問題はあるものの、安価で潤滑性の良好な黒鉛、酸化鉄、二硫化モリブテン等が用いられているのが現状である。
【0005】
また、特開昭48−79211号公報には、リノール酸又はリノレイン酸の2分子又は3分子重合体を主成分とし、残部がリノール酸又はリノレイン酸の単量体からなる熱間圧延用潤滑剤が、特公昭49−37087号公報には、遊離脂肪酸を含む、牛脂−ラード混合物を基材とする熱間圧延用潤滑剤が、それぞれ開示されているが、十分に満足すべき潤滑性能を有していない。さらに、特開平8−41486号公報には、カルボン酸又はカルボン酸塩を含有する金属塑性加工用潤滑剤が開示されているが、オクチル酸金属塩のような脂肪酸金属塩の潤滑性能は十分でないことが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、工具表面への鋼材の焼付や、工具表面の摩耗、肌荒れ等を防止し、作業環境を汚染しない高温塑性加工用潤滑剤を提供することであり、さらに詳細には、700℃から1200℃の領域で行われる、炭素鋼やステンレス鋼等の鋼材又は、非鉄金属材料の熱間圧延、熱間鍛造、熱間ダイス加工、熱間プレス加工等の高温塑性加工において、工具と材料の一方又は双方にエアースプレーや、ウオーターインジェクション方式によって給油された場合、潤滑性不足を原因とする工具の肌あれや摩耗を起こさず、かつ、給油部位や作業環境を汚染しない高温塑性加工用潤滑剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、基油と、分岐脂肪酸及びその塩から成る群から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする高温塑性加工用潤滑剤により達成される。
本発明の潤滑剤は、分岐脂肪酸及びその塩から成る群から選ばれる少なくとも1種を含有することで、十分に目的とする効果を発揮するが、高塩基性アルカリ土類金属サリシレートを更に含有させることによって、より優れた潤滑効果を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑剤には分岐脂肪酸として、合成分岐脂肪酸及び天然分岐脂肪酸のいずれも使用することができる。このような分岐脂肪酸の具体例としては、プロピレン、α−オレフィン等の石油系原料より合成される合成分岐脂肪酸、天然の脂肪酸より合成される天然分岐脂肪酸が挙げられる。分岐脂肪酸の炭素数は、好ましくは6〜60、より好ましくは9〜40である。
本発明に使用する分岐脂肪酸の具体例としては、分岐ノナン酸(CEKANOIC C-9ACID. エクソン化学社製)、分岐ラウリン酸(イソカーブC12.コンデア社製)、分岐トリデカン酸(CEKANOIC C-13ACID.エクソン化学社製)、分岐パルミチン酸(イソカーブ C16. コンデア社製) 、分岐トリアコンタン酸、分岐テトラコンタン酸、分岐ペンタコンタン酸等の合成脂肪酸;分岐オレイン酸、分岐ステアリン酸(エマーゾル 871.873エメリー社製)、分岐ベヘン酸等の天然分岐脂肪酸が挙げられる。
【0009】
次にこれらの分岐脂肪酸の製造法の例を示すが、本発明は、これに制限されるものではない。
天然分岐脂肪酸である分岐オレイン酸を例にとって説明する。一般的に、分岐オレイン酸は、大豆油、綿実油、魚油等の天然油脂を水素添加処理して硬化油を得る際に、副産物として得られる。具体的には、原料油脂に、0.2〜0.5%のニッケル触媒を加えた後、水素を通じながら、180℃、2〜3気圧で2〜3時間加熱すると、硬化油及び分岐オレイン酸が得られる。これを減圧蒸留すると、分岐オレイン酸が残渣として得られる。
また、合成分岐脂肪酸である分岐ステアリン酸を例にとって説明する。ノニルアルデヒドを、水酸化ナトリウムの存在下でアルドール縮合すると分岐ステアリルアルコールが得られる。これを水酸化カリウムとともにアルカリ溶解すると、末端の水酸基が酸化され、分岐ステアリン酸が得られる。
【0010】
本発明に使用される分岐脂肪酸の塩の具体例としては、アミン塩、または金属塩等が挙げられる。分岐脂肪酸アミン塩の代表例としては、ラウリルアミンやオレイルアミン等の脂肪族アミン;シクロペンチルアミンやシクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;エタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルキルアルカノールアミン;アニリンやナフチルアミン等の芳香族アミン等の分岐脂肪酸アミン塩が挙げられる。分岐脂肪酸金属塩の代表例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;その他亜鉛、鉛等の金属塩が挙げられる。分岐脂肪酸の塩は、分岐脂肪酸に対し、当量の上記アミンや、上記金属を反応することによって、容易に製造することができる。
【0011】
これらの合成分岐脂肪酸、天然分岐脂肪酸、その塩は、いずれも基油に任意の量を、透明に溶解することができる。本発明に使用される分岐脂肪酸及び/又はその塩の含有量は、潤滑剤中0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1〜90重量%である。含有量が0.1重量%に満たない場合、十分な潤滑性が発揮できなくなる。
【0012】
本発明の潤滑剤に使用される高塩基性アルカリ土類金属サリシレートの具体例としては、高塩基性カルシウムサリシレート、高塩基性マグネシウムサリシレート、高塩基性バリウムサリシレートが挙げられる。いずれを用いても同様の効果を得ることができる。従って、以下この明細書においては高塩基性カルシウムサリシレートについて説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明に使用される高塩基性カルシウムサリシレートは公知物質である。例えば、市販品としては、オスカ化学社のOSCA431,OSCA453,OSCA435、OSCA438、シェル化学社のSAP005Caサリシレートなどが挙げられる。これらの高塩基性カルシウムサリシレートは、いずれも透明な液状の物質であり、基油に分岐脂肪酸及び/または分岐脂肪酸塩を加えた潤滑剤に対し、任意の量を透明に溶解させることが可能である。
【0013】
本発明の潤滑剤において、高塩基性カルシウムサリシレートを使用する場合、その含有量は任意であるが、1重量%以上、好ましくは3重量%以上含有していることが好ましい。含有量が1重量%に満たない場合、添加による効果が十分に発現しない。また上限は特に制限されないが、通常は50重量%以下である。
【0014】
本発明に使用する高塩基性カルシウムサリシレートは、塩基価に換算して40以上、好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上のCaCO3 を含有していることが望ましい。塩基価とは、試料1グラム中に含まれる全塩基成分を中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいう。この塩基価は、JIS2501において全塩基価として規定されている。従って、高塩基性カルシウムサリシレートは、塩基成分であるCaCO3 を多く含有する程、塩基価が高くなる。高塩基性カルシウムサリシレートの塩基価が40未満の場合は、十分な潤滑性向上効果が期待できない。
【0015】
本発明に使用される基油の例としては、鉱油(スピンドル油、マシン油、シリンダー油等)、合成エステル(脂肪酸オクチルエステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等)、油脂(なたね油、牛脂、豚脂等)、重合油脂(大豆重合油、なたね重合油、ヒマシ重合油等)、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの基油は、いずれもロールと潤滑剤の間に潤滑膜を形成し、摩擦係数を下げ、工具の肌荒れや、焼付を抑制する働きがある。この摩擦係数低下効果を十分に発揮させるには、基油を本発明の潤滑剤中に10重量%以上含有させることが望ましい。潤滑剤中の基油の含有量が10重量%に満たない場合、十分な潤滑性が発現しないことがある。基油の含有量の上限は、99.9重量%である。
【0016】
本発明の潤滑剤に、さらに種々の潤滑油添加剤を加えることによって、潤滑剤としての性能をさらに向上させることができる。このような添加剤の具体例としては、極圧剤(ジンクジアルキルジチオフォスフェート、モリブデンカーバメート、オクチル酸コバルト等の亜鉛、モリブデン、コバルト等を含有する油溶性有機金属化合物、硫化油脂、硫化合成脂肪酸エステル等の硫化脂肪酸エステル化合物や、ジヘキシルポリサルファイド、ジノニルポリサルファイド、ジドデシルポリサルファイド等のジアルキルポリサルファイド化合物等の脂肪族及びアリール脂肪族や脂環式のオレフィン系炭化水素硫化化合物、高塩基性カルシウムスルホネート、高塩基性カルシウムフェネート、高塩基性カルシウムカルボキシレート等の高塩基性アルカリ土類金属サリシレート以外の高塩基性金属塩化合物、正リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル等のリン化合物)、付着向上剤兼流動点降下剤(ポリイソブチレン、ポリメタクリレートポリマー等)、酸化防止剤(アルファナフチルアミン、ジターシャリブチルフェノール等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタンやモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシアルキレンアルキルソルビタン化合物、ポリオキシエチレンラウリルエーテルや、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル化合物、中性ナトリウムスルホネートや中性カルシウムスルホネート等の中性金属塩スルホネート化合物)が挙げられる。これらの添加剤の使用量は特に制限されないが、通常、潤滑剤中、0.1〜85重量%である。
【0017】
本発明の潤滑剤は、公知の方法により製造できる。例えば、撹拌機を有するステンレス製加熱釜に、基油、分岐脂肪酸又は分岐脂肪酸塩、高塩基性カルシウムサリシレート、潤滑油添加剤を所定量投入し、50〜80℃で1〜2時間攪拌することにより容易に製造できる。製造後の潤滑剤は、透明な液体であることが好ましい。本発明の潤滑剤は、ギヤー方式や、プランジャー方式の潤滑剤ポンプを使用して、工具と材料の一方又は双方に、エアースプレーや、ウオーターインジェクション方式によって給油し、鋼材の高温塑性加工時における、工具の摩耗や肌荒れを、抑制する。
【0018】
【発明の効果】
本発明の潤滑剤は、黒色固体潤滑剤を含有しない透明液状潤滑剤であり、700℃から1200℃の領域で行われる高温塑性加工において、従来の10倍以上の材料を加工しても、工具の摩耗や、肌あれの抑制に効果があり、給油設備や作業環境を汚染することもない。
【0019】
【実施例】
本発明を、鋼材の熱間圧延を例として以下実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
撹拌機を有するステンレス製加熱釜に、表1〜3に示す基油、分岐脂肪酸、分岐脂肪酸塩、高塩基性カルシウムサリシレート、潤滑油添加剤を、表1〜3に示す重量比率で投入し、50〜80℃で1〜2時間攪拌し、外観が透明の潤滑剤を製造した。また、表4に示すように同様にして、分岐脂肪酸の代わりに直鎖脂肪酸を使用した比較例の潤滑剤も製造した。次に、この潤滑剤を、2重式熱間圧延機のロール表面に液状潤滑油用給油ポンプを用いたウオーターインジェクション方式による潤滑剤給油設備を用いて、下記の熱間圧延条件及び潤滑剤給油量で、給油した。尚、潤滑剤が粘ちょう状で、液状潤滑油用給油ポンプでは給油できない比較例(市販品を使用した比較例9及び比較例10)については、直接ロール表面に潤滑剤を手塗りして潤滑性を評価した。又、ロール表面に潤滑剤を手塗りした比較例9及び10、潤滑剤を使用しない比較例11の場合は、ウオーターインジェクション方式の給油設備より、希釈水のみ噴射した。結果を合わせて表1〜表4に示す。
【0020】
【0021】
潤滑剤の評価
潤滑剤の外観:○は透明、×は不透明
汚染:使用時の設備周囲や作業環境の汚染の有無
潤滑性の評価:熱間圧延試験終了後、ロールの摩耗及び肌あれ状態を観察し、以下の5段階で評価した。
AA:ロールの摩耗及び肌あれが、全く認められない
A:ほとんど認められない
B:やや認められる
C:認められる
D:顕著に認められる
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
注:
(1) 基油A(精製鉱油ISO VG46)
(2) トリメチロールプロパントリオレート
(3) ナタネ油
(4) 分岐ノナン酸(商品名CEKANOIC C-9 ACID)
(5) 分岐ラウリン酸(商品名イソカーブ12)
(6) 分岐ステアリン酸(商品名エマーゾル871)
(7) 分岐ペンタアコンタン酸
(8) 分岐ラウリン酸カルシウム塩
(9) 分岐ラウリン酸ジシクロヘキシルアミン塩
(10)高塩基カルシウムサリシレート塩基価60、(商品名OSCA431)
(11)高塩基カルシウムサリシレート塩基価230 、粒径分布0.05〜0.5 μm 、(商品名OSCA435)
(12)高塩基カルシウムサリシレート塩基価320 、粒径分布0.05〜0.5 μm 、(商品名OSCA438)
(13)オレイン酸
(14)リノール酸
(15)オレイン酸ジシクロヘキシルアミン塩
(16)オクチル酸亜鉛
(17)ジンクジアルキルジチオフォスフェート
(18)ポリイソブチレン
(19)ジノニルポリサルファイド
(20)ジドデシルポリサルファイド
(21)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
(22)ジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム中性塩
(23)高塩基性カルシウムスルホネート塩基価400
【0027】
比較例10は市販高温塑性加工用潤滑剤Aである。
比較例11は市販高温塑性加工用潤滑剤Bである。
【0028】
比較例10及び11はいずれも、外観は×、汚染は有、潤滑性は700℃及び1200℃においていずれもCであった。
表1〜表3から明らかなように、所定量の基油と、分岐脂肪酸又はその塩とを含有する本発明の高温塑性加工用潤滑剤は、外観が透明であり、周囲を汚染することがなく、潤滑性も優れている。これに対して、表4に示すように、分岐脂肪酸を含まない比較例1、分岐脂肪酸の含有量が少ない比較例2、3及び5、基油の含有量が少ない比較例4、分岐脂肪酸の代わりに直鎖脂肪酸を含む比較例6〜9では、外観は透明であり、周囲を汚染することもないが、潤滑性が著しく低いことがわかる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a lubricant for high-temperature plastic processing that prevents seizure of steel on the tool surface, wear of the tool surface, rough surface of the tool, and the like, and does not contaminate the work environment during high-temperature plastic processing of steel or non-ferrous metal materials. .
[0002]
[Prior art]
In recent years, high-temperature plastic working such as hot rolling, hot forging, hot dicing, hot pressing of steel and non-ferrous metal materials has been used to protect the tool, and the lubricant has been effective. I'm waiting. Such lubricants include solid lubricants such as graphite, water glass, boron nitride, mica, molybdenum disulfide, iron oxide, calcium carbonate, and fluorinated graphite that have a lubricating effect at high temperatures; sulfurized fats and oils, sulfurized olefins, zinc Extreme pressure lubricants such as dialkyldithiophosphates and phosphate esters; Oiliness improvers such as mineral oils, fats and oils, oil polymers, synthetic esters; Adhesion improvers and pour point depressants such as methacrylate copolymers and butylene butadiene copolymers Are used alone or in combination of two or more, and in some cases, an antioxidant such as ditertiary butyl cresol or alpha naphthylamine is further added.
[0003]
The high temperature plastic processing of the steel material or non-ferrous metal material is performed at a high temperature, for example, a temperature in the range of 700 to 1200 ° C. At such a temperature, the extreme pressure additive and the oiliness improver described above cause oxidation and thermal decomposition, and a sufficient effect on the lubricating surface is not exhibited. For this reason, in high temperature plastic processing, a large amount of oil is supplied to the lubricated surface as compared with plastic processing at low temperature, but it is difficult to obtain a sufficient effect. On the other hand, solid lubricants such as graphite and iron oxide are widely used as lubricants for high-temperature plastic working because they are not easily decomposed and have a sufficient effect even at a high temperature of 700 ° C. or higher.
[0004]
However, solid lubricants have the following problems. First, since it is composed of solid particles, when it is used as a lubricant, it must be dispersed in a base oil. However, since the solid lubricant has a higher density than the base oil, it separates and settles from the base oil when stored for a long time. Therefore, the lubricant blended with the solid lubricant cannot be stored for a long period of time, and it is necessary to redisperse the solid lubricant separated by stirring periodically in the liquid. However, some solid lubricants are difficult to redisperse due to secondary aggregation of particles. In this case, the performance of the lubricant is deteriorated, and the solid lubricant that cannot be redispersed clogs the strainer or the oil supply valve. Therefore, in order to solve this problem, the addition of a dispersant having a function of improving the dispersion of the solid lubricant in the base oil and the stabilization treatment of the surface of the solid lubricant particles, the dispersibility in the base oil is improved. Improvements are made. However, any prescription requires expensive and complicated processes for production.
In addition, solid lubricants such as graphite, iron oxide, and molybdenum disulfide are black, and if a lubricant containing these is used, the oil supply site and work environment are significantly contaminated. Recently, white solid lubricants exist, but fluorinated graphite and boron nitride having good lubricity are extremely expensive. Examples of white and inexpensive solid lubricants include calcium carbonate and mica, but the lubricity is insufficient.
For these reasons, graphite, iron oxide, molybdenum disulfide, etc., which are inexpensive and have good lubricity, are currently used as lubricants for high-temperature plastic processing, although they have a problem of black contamination. It is.
[0005]
Japanese Patent Laid-Open No. 48-79211 discloses a hot rolling lubricant comprising a linoleic acid or linolenic acid bimolecular or trimolecular polymer as a main component, and the remainder comprising a linoleic acid or linolenic acid monomer. However, Japanese Patent Publication No. 49-37087 discloses hot rolling lubricants based on beef tallow-lard mixtures containing free fatty acids, but each has sufficient lubricating performance. Not done. Further, JP-A-8-41486 discloses a metal plastic working lubricant containing a carboxylic acid or a carboxylate, but the lubricating performance of a fatty acid metal salt such as an octylate metal salt is not sufficient. It is described.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a lubricant for high-temperature plastic working that prevents seizure of steel on the tool surface, wear of the tool surface, rough skin, etc., and does not contaminate the work environment. In high temperature plastic processing such as hot rolling, hot forging, hot die processing, hot press processing of steel materials such as carbon steel and stainless steel or non-ferrous metal materials performed in the region of 700 ° C. to 1200 ° C., High-temperature plasticity that does not cause the skin or wear of the tool due to insufficient lubrication and does not contaminate the lubrication site or work environment when lubrication is applied to one or both of the tool and material by air spray or water injection method. It is to provide a processing lubricant.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The object of the present invention is achieved by a high-temperature plastic working lubricant comprising a base oil and at least one selected from the group consisting of branched fatty acids and salts thereof.
The lubricant of the present invention exhibits at least a desired effect by containing at least one selected from the group consisting of branched fatty acids and salts thereof, but further contains a highly basic alkaline earth metal salicylate. Therefore, a more excellent lubricating effect can be obtained.
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the lubricant of the present invention, both synthetic branched fatty acids and natural branched fatty acids can be used as branched fatty acids. Specific examples of such branched fatty acids include synthetic branched fatty acids synthesized from petroleum raw materials such as propylene and α-olefin, and natural branched fatty acids synthesized from natural fatty acids. The number of carbon atoms of the branched fatty acid is preferably 6 to 60, more preferably 9 to 40.
Specific examples of the branched fatty acid used in the present invention include branched nonanoic acid (CEKANOIC C-9ACID. Manufactured by Exxon Chemical Co., Ltd.), branched lauric acid (isocurve C12. Manufactured by Condea), branched tridecanoic acid (CEKANOIC C-13ACID. Exxon). Chemicals), branched palmitic acid (Isocurve C16. Manufactured by Condea), synthetic fatty acids such as branched triacontanoic acid, branched tetracontanic acid, branched pentacontanic acid; branched oleic acid, branched stearic acid (Emersol 871.873 manufactured by Emery) And natural branched fatty acids such as branched behenic acid.
[0009]
Next, although the example of the manufacturing method of these branched fatty acids is shown, this invention is not restrict | limited to this.
Description will be made by taking a branched oleic acid which is a natural branched fatty acid as an example. Generally, branched oleic acid is obtained as a by-product when hydrogenated natural oils such as soybean oil, cottonseed oil, and fish oil to obtain a hardened oil. Specifically, after adding a 0.2 to 0.5% nickel catalyst to the raw oil and fat, when heated for 2 to 3 hours at 180 ° C. and 2 to 3 atm while passing hydrogen, hydrogenated oil and branched oleic acid Is obtained. When this is distilled under reduced pressure, branched oleic acid is obtained as a residue.
In addition, a description will be given taking branched stearic acid as a synthetic branched fatty acid as an example. Aldol condensation of nonylaldehyde in the presence of sodium hydroxide gives branched stearyl alcohol. When this is alkali-dissolved with potassium hydroxide, the terminal hydroxyl group is oxidized and branched stearic acid is obtained.
[0010]
Specific examples of the salt of the branched fatty acid used in the present invention include amine salts and metal salts. Representative examples of branched fatty acid amine salts include aliphatic amines such as laurylamine and oleylamine; alicyclic amines such as cyclopentylamine and cyclohexylamine; alkyl alkanolamines such as ethanolamine and triethanolamine; aromatics such as aniline and naphthylamine Branched fatty acid amine salts such as aromatic amines. Representative examples of branched fatty acid metal salts include alkali metal salts such as lithium salts, sodium salts and potassium salts; alkaline earth metal salts such as magnesium salts, calcium salts and barium salts; and other metal salts such as zinc and lead It is done. The salt of the branched fatty acid can be easily produced by reacting the branched fatty acid with an equivalent amount of the amine or the metal.
[0011]
Any of these synthetic branched fatty acids, natural branched fatty acids, and salts thereof can be transparently dissolved in a base oil. The content of the branched fatty acid and / or salt thereof used in the present invention is preferably 0.1% by weight or more, more preferably 0.1 to 90% by weight in the lubricant. When the content is less than 0.1% by weight, sufficient lubricity cannot be exhibited.
[0012]
Specific examples of the highly basic alkaline earth metal salicylate used in the lubricant of the present invention include highly basic calcium salicylate, highly basic magnesium salicylate, and highly basic barium salicylate. The same effect can be obtained regardless of which is used. Therefore, in the following description, the highly basic calcium salicylate will be described, but the present invention is not limited to this. The highly basic calcium salicylate used in the present invention is a known substance. Examples of commercially available products include OSCA 431, OSCA 453, OSCA 435, OSCA 438 from OSCA Chemical, and SAP005Ca salicylate from Shell Chemical. These highly basic calcium salicylates are all transparent liquid substances, and any amount can be dissolved transparently in a lubricant obtained by adding a branched fatty acid and / or a branched fatty acid salt to a base oil. is there.
[0013]
In the lubricant of the present invention, when a highly basic calcium salicylate is used, its content is arbitrary, but it is preferably 1% by weight or more, preferably 3% by weight or more. When the content is less than 1% by weight, the effect of addition is not sufficiently exhibited. The upper limit is not particularly limited, but is usually 50% by weight or less.
[0014]
The highly basic calcium salicylate used in the present invention desirably contains 40 or more, preferably 100 or more, and more preferably 150 or more CaCO 3 in terms of base number. The base number means the number of mg of potassium hydroxide equivalent to hydrochloric acid required for neutralizing all base components contained in 1 gram of a sample. This base number is defined as the total base number in JIS2501. Therefore, the base number of the highly basic calcium salicylate increases as the content of CaCO 3 as a base component increases. When the base number of the highly basic calcium salicylate is less than 40, a sufficient lubricity improvement effect cannot be expected.
[0015]
Examples of base oils used in the present invention include mineral oil (spindle oil, machine oil, cylinder oil, etc.), synthetic ester (fatty acid octyl ester, trimethylolpropane fatty acid ester, pentaerythritol fatty acid ester, etc.), oil (rapeseed oil, Beef tallow, lard, etc.), polymerized fat (soybean polymerized oil, rapeseed polymerized oil, castor polymerized oil, etc.), and a mixture of two or more of these. Each of these base oils has a function of forming a lubricating film between the roll and the lubricant, lowering the coefficient of friction, and suppressing roughening of the tool and seizure. In order to sufficiently exhibit the effect of reducing the friction coefficient, it is desirable that 10% by weight or more of the base oil is contained in the lubricant of the present invention. When the content of the base oil in the lubricant is less than 10% by weight, sufficient lubricity may not be exhibited. The upper limit of the base oil content is 99.9% by weight.
[0016]
By adding various lubricating oil additives to the lubricant of the present invention, the performance as a lubricant can be further improved. Specific examples of such additives include extreme pressure agents (zinc dialkyl dithiophosphate, molybdenum carbamate, zinc such as cobalt octylate, oil-soluble organometallic compounds containing molybdenum, cobalt, etc., sulfurized fats and oils, sulfurized synthetic fatty acids. Sulfurized fatty acid ester compounds such as esters, aliphatic and arylaliphatic and alicyclic olefinic hydrocarbon sulfide compounds such as dihexyl polysulfide, dinonyl polysulfide, dialkyl polysulfide compounds such as didodecyl polysulfide, highly basic calcium sulfonate, Phosphorus compounds such as highly basic metal salt compounds other than highly basic alkaline earth metal salicylates such as highly basic calcium phenate and highly basic calcium carboxylate, orthophosphate, phosphite, and acidic phosphate ), Adhesion improver / pour point depressant (polyisobutylene, polymethacrylate polymer, etc.), antioxidant (alpha naphthylamine, ditertiary butylphenol, etc.), surfactant (polyoxyethylene coconut oil fatty acid sorbitan and polyoleic monooleate) Polyoxyalkylene alkyl sorbitan compounds such as ethylene sorbitan, polyoxyethylene lauryl ether, polyoxyalkylene alkyl ether compounds such as polyoxyethylene oleyl ether, polyoxyethylene such as polyoxyethylene nonyl phenyl ether, polyoxyethylene lauryl phenyl ether And neutral metal salt sulfonate compounds such as an alkylphenyl ether compound, neutral sodium sulfonate and neutral calcium sulfonate). The amount of these additives to be used is not particularly limited, but is usually 0.1 to 85% by weight in the lubricant.
[0017]
The lubricant of the present invention can be produced by a known method. For example, a predetermined amount of base oil, branched fatty acid or branched fatty acid salt, highly basic calcium salicylate, and lubricating oil additive are put into a stainless steel heating kettle having a stirrer and stirred at 50 to 80 ° C. for 1 to 2 hours. Can be manufactured more easily. The lubricant after production is preferably a transparent liquid. The lubricant of the present invention uses a gear-type or plunger-type lubricant pump to supply oil to one or both of the tool and the material by air spray or water injection method. Suppresses tool wear and rough skin.
[0018]
【The invention's effect】
The lubricant of the present invention is a transparent liquid lubricant that does not contain a black solid lubricant, and even in the high-temperature plastic working performed in the region of 700 ° C. to 1200 ° C., even if a material more than 10 times conventional is processed, the tool It is effective in suppressing wear and roughness of the skin, and does not contaminate the refueling equipment or work environment.
[0019]
【Example】
The present invention will be described below by way of examples by taking hot rolling of steel as an example, but the present invention is not limited thereto.
Into a stainless steel heating kettle having a stirrer, the base oil, branched fatty acid, branched fatty acid salt, highly basic calcium salicylate, and lubricating oil additive shown in Tables 1 to 3 are added at a weight ratio shown in Tables 1 to 3, The mixture was stirred at 50 to 80 ° C. for 1 to 2 hours to produce a lubricant having a transparent appearance. In addition, as shown in Table 4, a comparative lubricant using a linear fatty acid instead of a branched fatty acid was also produced. Next, this lubricant is applied to the roll surface of a double hot rolling mill using a water injection type lubricant oil supply facility using a liquid lubricant oil feed pump, and the following hot rolling conditions and lubricant oil supply are performed. Refueled in quantity. For the comparative examples (comparative example 9 and comparative example 10 using commercially available products) where the lubricant is viscous and cannot be supplied by the liquid lubricant oil pump, the lubricant is directly applied to the roll surface by hand. Sex was evaluated. In Comparative Examples 9 and 10 where the lubricant was hand-coated on the roll surface and Comparative Example 11 where no lubricant was used, only the dilution water was injected from the water injection type oiling facility. The results are shown in Tables 1 to 4.
[0020]
[0021]
Lubricant Evaluation Lubricant Appearance: ○ is transparent, X is opaque Pollution: Presence / absence of contamination around the equipment and working environment during use Lubricity Evaluation: After the hot rolling test is completed, the roller wear and roughness Observed and evaluated in the following five stages.
AA: No abrasion or roughness of the roll is recognized A: Almost not recognized B: Slightly recognized C: Recognized D: Remarkably recognized
[Table 1]
[0023]
[Table 2]
[0024]
[Table 3]
[0025]
[Table 4]
[0026]
note:
(1) Base oil A (refined mineral oil ISO VG46)
(2) Trimethylolpropane trioleate
(3) Rapeseed oil
(4) Branched nonanoic acid (trade name CEKANOIC C-9 ACID)
(5) Branched lauric acid (trade name Isocurve 12)
(6) Branched stearic acid (trade name EMERSOL 871)
(7) Branched pentaacontanoic acid
(8) Branched calcium laurate
(9) Branched dicyclohexylamine salt of lauric acid
(10) High basic calcium salicylate base number 60, (trade name OSCA431)
(11) High basic calcium salicylate base number 230, particle size distribution 0.05-0.5 μm, (trade name OSCA435)
(12) High basic calcium salicylate base number 320, particle size distribution 0.05-0.5 μm, (trade name OSCA438)
(13) Oleic acid
(14) Linoleic acid
(15) oleic acid dicyclohexylamine salt
(16) Zinc octylate
(17) Zinc dialkyl dithiophosphate
(18) Polyisobutylene
(19) Dinonyl polysulfide
(20) Zidodecyl polysulfide
(21) Polyoxyethylene nonylphenyl ether
(22) dinonyl naphthalene sulfonate neutral salt
(23) High basic calcium sulfonate base number 400
[0027]
Comparative Example 10 is a commercial high-temperature plastic working lubricant A.
Comparative Example 11 is a commercial high-temperature plastic working lubricant B.
[0028]
In each of Comparative Examples 10 and 11, the appearance was x, the contamination was present, and the lubricity was C at 700 ° C. and 1200 ° C.
As apparent from Tables 1 to 3, the high-temperature plastic working lubricant of the present invention containing a predetermined amount of base oil and a branched fatty acid or a salt thereof is transparent in appearance and may contaminate the surroundings. And good lubricity. On the other hand, as shown in Table 4, Comparative Example 1 containing no branched fatty acids, Comparative Examples 2, 3 and 5 with little branched fatty acid content, Comparative Example 4 with little base oil content, Instead, in Comparative Examples 6 to 9 containing linear fatty acids, the appearance is transparent and the surroundings are not contaminated, but it is understood that the lubricity is remarkably low.
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