JP4007813B2 - Lubricant composition for metal processing - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、金属加工用潤滑剤組成物に係り、特に、塩素系極圧剤の如き有害な成分を含有しなくても、圧延、押出、引抜き、鍛造、圧縮、深絞り、せん断(打抜き、ファインブランキング、シェービング等)等の塑性加工や、タップ、ドリル、ブローチ、旋削、フライス加工等の切削を含めた金属加工において、加工時の摩擦力の低減を図り、加工工具と被加工材間における焼き付きを防止しつつ、優れた潤滑性を実現する金属加工用潤滑剤組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、圧延、押出、引抜き、鍛造、圧縮、深絞り、せん断(打抜き、ファインブランキング、シェービング等)等の塑性加工や、タップ、ドリル、ブローチ、旋削、フライス加工等の切削を含めた金属加工においては、被加工材と加工工具との間で発生する焼き付きを防止するために、種々の液状の潤滑剤が用いられてきている。そして、その中でも、苛酷な条件下、例えば、高い加工圧力下にて行なわれる冷間鍛造や冷間圧延等においては、特に優れた潤滑性を有するものが、必要とされているのである。
【0003】
ところで、上述せる如き金属加工用の潤滑剤としては、水溶液タイプや、油を乳化剤で乳化せしめてなるエマルジョンタイプといった、水をベースとした水系潤滑剤や、油をベースとした油系潤滑剤(潤滑油)が、よく知られているのであるが、それらのうちの水系潤滑剤にあっては、熱伝導率の高い水をベースにしているところから、優れた冷却性等が実現され得るものの、被加工材表面に形成される被膜は、比較的に薄いものとなり、一般に、耐焼き付き性が低くなる傾向にあることが認められている。
【0004】
一方、油系潤滑剤を用いる場合にあっては、水系潤滑剤の場合に比して、被加工材表面に厚い潤滑被膜(油膜)を形成することが出来るところから、優れた耐焼き付き性が実現され得る特徴があり、また、そのような油系潤滑剤に極圧剤等を添加することにより、耐焼き付き性の更なる向上を容易に図ることが出来ることも、明らかとなっている。
【0005】
而して、かかる油系潤滑剤における耐焼き付き性を高めるための極圧剤としては、一般に、塩素系極圧剤が用いられており、そのような塩素系極圧剤を多く含有するものとして使用されてきているのであるが、近年において、塩素の存在によるダイオキシンの発生、発ガン性等の問題が指摘されるに至り、そのような塩素系極圧剤の添加が回避された、塩素フリーの潤滑剤の採用が望まれているのである。
【0006】
このため、近年、塩素等の有害な成分を含有しない金属加工用潤滑剤が、種々提案されるに至ってはいるのであるが、そのような潤滑剤にあっても、今一つ充分な摩擦力の低減が図られ得ず、従来の塩素系極圧剤を添加した場合に比して、工具寿命や金型寿命が短くなり、また製品品位も低下する等といった問題が、惹起されているのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、環境や人体に悪影響を及ぼす恐れのある塩素系極圧剤を用いることなく、焼き付きが惹起され易い苛酷な加工条件下においても、かかる塩素系極圧剤を用いた場合と同様に、或いはそれ以上に、加工工具と被加工材間における焼き付きを防止しつつ、優れた潤滑性を実現する金属加工用潤滑剤組成物を、提供することにある。
【0008】
【解決手段】
そして、本発明者らは、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、基油に対して、(A)硫黄系極圧剤及び燐系極圧剤と、(B)過塩基性アルカリ土類金属塩と、(C)硼酸エステルとを組み合わせて、添加せしめることによって、塩素系極圧剤を使用しなくても、優れた耐焼き付き性と潤滑性が発揮され得ることを見出したのである。
【0009】
従って、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その基本的構成とするところは、基油に対して、硫黄系極圧剤及び燐系極圧剤と、過塩基性アルカリ土類金属塩と、硼酸エステルとを含有せしめてなることを特徴とする金属加工用潤滑剤組成物である。
【0010】
すなわち、かかる本発明にて対象とされる金属加工用潤滑剤組成物にあっては、上述せるように、(A)硫黄系極圧剤及び燐系極圧剤、(B)過塩基性アルカリ土類金属塩、及び(C)硼酸エステルが、組み合わされて、基油に含有せしめられているところから、そのメカニズムについては未だ明らかではないものの、それらを単独で添加せしめる場合には実現され得ないような相乗的な潤滑作用が発揮され、焼き付きが惹起され易い苛酷な加工条件下においても、塩素系極圧剤を用いた場合に匹敵する、或いはそれ以上に、優れた耐焼き付き性と潤滑性が実現され得るのである。
【0011】
また、本発明に従う金属加工用潤滑剤組成物によれば、前記硫黄系極圧剤を0.5〜30重量%の割合において、前記燐系極圧剤を0.5〜10重量%の割合において、前記過塩基性アルカリ土類金属塩を0.5〜15重量%の割合において、及び前記硼酸エステルを0.1〜10重量%の割合において、それぞれ含有すると共に、残余が前記基油であるように、目的とする潤滑剤組成物が調製されることとなる。特に、かかる4成分の所定割合の含有によって、本発明の上記した作用効果が最大限に発揮せしめられ得るのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
ところで、本発明に従う金属加工用潤滑剤組成物を構成する主たる成分である基油(ベースオイル)としては、パラフィン系鉱油やナフテン系鉱油等の鉱油の他、ポリα−オレフィンやエステル系合成潤滑油等の合成油、植物油等、従来から金属加工用潤滑剤において基油として用いられている公知の各種のものが、適宜に選択されて、用いられることとなる。
【0013】
そして、本発明にあっては、そのような基油に対して、(A)硫黄系極圧剤及び燐系極圧剤、(B)所定の過塩基性アルカリ土類金属塩、及び(C)所定の硼酸エステルの3成分の組合せで、更に、前記極圧剤の2種を併用して、合計4成分が、組み合わされて、含有せしめられることによって、初めて、それら4成分を単独で添加せしめる場合には実現され得ないような相乗的な潤滑作用が発揮され、焼き付きが惹起され易い苛酷な加工条件下においても、塩素系極圧剤を用いた場合に匹敵する、或いはそれ以上の、耐焼き付き性及び潤滑性に優れた金属加工用潤滑剤組成物が得られることとなるのであり、そこに、本発明の大きな特徴が存しているのである。
【0014】
より具体的には、上記したA成分たる硫黄系極圧剤及び燐系極圧剤は、よく知られているように、被加工材表面に形成される油膜の強度を向上せしめて、加工工具と被加工材間の摩擦局部における摩擦力を低減せしめ、かかる摩擦局部の焼き付きを抑制するために添加されるものである。
【0015】
その中で、硫黄系極圧剤としては、一般に、動植物油や合成油の硫化物である、硫化鯨油、硫化ラード、硫化菜種油、硫化ヒマシ油、硫化大豆油、硫化米ぬか油等の硫化油脂や、硫化オレイン酸等の硫化脂肪酸、硫化オレイン酸メチル等の硫化エステル、硫化プロピレン等の硫化オレフィン、ジアルキルジチオカーバメート金属塩、ジチオキサントゲン酸金属塩等、従来から硫黄系極圧剤として用いられている化合物を挙げることが出来る。また、燐系極圧剤としては、アルキルフォスファイト、アルキル又はアリールアシッドホスフェート、トリアルキル又はトリアリールフォスフェート、リン酸エステルのアミン塩、チオリン酸エステル、ジアルキルジチオフォスフェート金属塩、チオリン酸エステルのアミン塩、ジチオリン酸亜鉛等、従来から燐系極圧剤として用いられている化合物を例示することが出来る。
【0016】
そして、上述せる如き硫黄系極圧剤及び燐系極圧剤のうちの少なくとも1種乃至は2種以上が、より好適には、硫黄系極圧剤並びに燐系極圧剤が、それぞれ、少なくとも1種乃至は2種以上において、適宜に選択されて、含有せしめられるのである。
【0017】
なお、かかる硫黄系極圧剤及び燐系極圧剤の、潤滑剤組成物中における含有割合としては、それぞれ、0.5〜30重量%及び0.5〜10重量%であることが望ましく、それらの範囲の中でも、更に好ましくは、硫黄系極圧剤:1〜25重量%、燐系極圧剤:1〜8重量%が、好適に採用されることとなる。けだし、それら硫黄系極圧剤及び/又は燐系極圧剤の含有割合が過小である場合には、焼き付きが惹起され易くなるからであり、また逆に、それらの含有割合が過大である場合には、その含有量に見合うだけの効果が充分に得られないからである。
【0018】
また、本発明に従う金属加工用潤滑剤組成物中に含有せしめられる必須の成分の一つである過塩基性アルカリ土類金属塩(B成分)は、潤滑性を向上せしめるべく添加されるものである。そして、そのような過塩基性アルカリ土類金属塩としては、アルカリ土類金属の過塩基性スルホネート、カルボキシレートが挙げられ、それらの中でも、全塩基価(JIS−K−2501:過塩素酸法による)が一般に200〜800mgKOH/g程度のもの、特に300〜600mgKOH/g程度のものが、好適に採用され得るのである。また、アルカリ土類金属としては、カルシウムやマグネシウム、バリウム等が挙げられる。
【0019】
ここにおいて、上記したアルカリ土類金属の過塩基性スルホネートは、アリールスルホン酸、モノ又はジアルキルベンゼンスルホン酸、モノ又はジアルキルナフタレンスルホン酸、芳香族石油スルホン酸等の芳香族スルホン酸や、アルキルスルホン酸、置換アルキルスルホン酸等の脂肪族スルホン酸等の各種スルホン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩であり、一般に、各種スルホン酸を過剰のアルカリ土類金属水酸化物にてアルカリ土類金属塩となし、残余のアルカリ土類金属水酸化物を炭酸ガスで炭酸化(塩基化処理)することによって、得られるものである。また同様に、アルカリ土類金属の過塩基性カルボキシレートは、芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸等の各種カルボン酸の過塩基性アルカリ土類金属塩であり、カルボン酸としては、例えば、サリチル酸、安息香酸、トルイル酸、フタル酸、アントラニル酸、ニコチン酸、アルキルサリチル酸等の芳香族カルボン酸や、オレイン酸、リノール酸等の脂肪族カルボン酸等を例示することが出来る。
【0020】
そして、上述せる如きアルカリ土類金属の過塩基性スルホネート、カルボキシレートからなる過塩基性アルカリ土類金属塩が、必須成分の一つ(B成分)として、本発明に従う潤滑剤組成物に含有せしめられることとなるのであるが、その含有量としては、潤滑剤組成物100重量部中、0.5〜15重量部、より好ましくは、1〜12重量部を占めるように、即ち、0.5〜15重量%、より好ましくは、1〜12重量%の割合となるように、含有せしめられることが望ましいのである。なお、かかる過塩基性アルカリ土類金属塩の含有量が過小である場合には、充分な耐焼き付き性及び潤滑性が得られず、また逆に、それらの含有割合が過大である場合には、含有量に見合うだけの効果が得られなくなると共に、潤滑性組成物の粘度が高くなり過ぎる恐れがある。
【0021】
また一方、前述せる如き必須の成分の一つである硼酸エステルは、硼酸又は無水硼酸とアルコール類とを、従来から公知の手法に従って、反応せしめて得られる化合物であり、かかるアルコール類としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコールの他、少なくとも一つ乃至はそれ以上のヒドロキシル基(−OH)を有するものであれば、二価アルコールや多価アルコールのエステルやエーテル等も、採用することが出来るのである。
【0022】
そこにおいて、一価アルコールとしては、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール等が挙げられ、また、二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ピナコール等が挙げられる。更に、多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビタン、アラビトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられ、また、そのような多価アルコールのエステルやエーテルとしては、例えば、ラウリン酸モノ又はジグリセライド、オレイン酸モノ又はジグリセライド等が挙げられるのであるが、本発明においては、それらの中でも、特に、多価アルコールにエチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、また、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合物等のアルキレンオキサイドを付加せしめたものが、採用されるのである。
【0023】
なお、そのようなエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又はエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体等が付加せしめられてなるアルコールは、工業的に製造されており、そしてそれを用いて得られる硼酸エステルの代表的なものとしては、例えば、高級脂肪酸のグリセロールボレート、高級脂肪酸のポリオキシアルキレングリセロールボレート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルボレート(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硼酸エステル)等がある。
【0024】
また、上述せる如き各種の硼酸エステルは、適宜に選択され、単独で、或いは2種以上が組み合わされて、潤滑剤組成物中に、0.1〜10重量%、より好ましくは、1〜5重量%の割合となるように含有せしめられることが望ましい。これは、かかる含有割合が過小である場合には、その充分な効果が得られず、目的とする潤滑剤組成物に性能が付与され得ないのであり、また逆に、かかる含有割合が過大である場合には、その含有量に見合うだけの効果が充分に得られなく、またコストアップが惹起されることとなる。
【0025】
そして、上述せる如き各種成分、つまり、A成分:硫黄系極圧剤及び/又は燐系極圧剤と、B成分:過塩基性アルカリ土類金属塩と、C成分:硼酸エステルとが、必須の構成成分として組み合わされて、基油(ベースオイル)に添加、含有せしめられて、混合せしめられることによって、本発明に従う金属加工用潤滑剤組成物が調製されることとなるのであるが、それらの含有割合としては、A成分とB成分とC成分の合計含有量が、10〜65重量%、より好適には、15〜50重量%となるように、それぞれ、上述せる如き含有割合の範囲の中から、使用目的等に応じて、所望とする含有割合が適宜に選定されることが望ましい。また一方、それらの必須成分(A〜C成分)が添加される、主成分たる基油にあっては、それは、上記したA成分とB成分とC成分の合計の含有割合が有利に実現され得るように、35〜90重量%、より好ましくは、50〜85重量%の割合において、用いられることが望ましいのである。
【0026】
なお、かかる本発明に従う金属加工用潤滑剤組成物には、更に必要に応じて、上述の必須成分(A〜C成分)の他にも、油脂、合成エステル等の油性剤や、有機金属系添加剤、防錆剤、酸化防止剤、粘度調整剤等の、公知の各種の添加剤を、適量において、別途、添加することも可能であることは、勿論、言うまでもないところである。
【0027】
このように、本発明に従う金属加工用潤滑剤組成物にあっては、上述の如きA成分〜C成分のそれぞれの1種以上が組み合わされて、用いられているところから、相乗的な潤滑作用が効果的に発現され得て、優れた耐焼き付き性や潤滑性が有利に実現され、環境や人体に悪影響を及ぼす恐れのある塩素系極圧剤を用いなくても、それを用いた場合に匹敵する、或いはそれ以上の効果が得られるようになるのである。
【0028】
そして、この得られた潤滑剤組成物は、圧延、押出、引抜き、鍛造、圧縮、深絞り、せん断(打抜き、ファインブランキング、シェービング等)等の塑性加工や、タップ、ドリル、ブローチ、旋削、フライス加工等の切削を含めた金属加工において、その中でも、特に苛酷な条件下、例えば、高い加工圧力下にて行なわれる冷間鍛造や冷間圧延等の冷間塑性加工においても、有利に用いられることとなる。
【0029】
従って、かくの如き本発明に従う潤滑剤組成物を、従来から公知の手法にて金属製の被加工材乃至は加工工具表面に供給して、所期の金属加工を実施すれば、目的とする金属材料を良好な製品品位で高度に加工せしめることが可能となると共に、加工工具の損傷を有利に阻止し得て、工具寿命や金型寿命を有利に延ばすことが出来るのである。
【0030】
しかも、本発明の潤滑剤組成物にあっては、塩素系の化合物が何等添加されるものではないところから、その廃棄処理等による環境への影響や、腐食といった金属材料、工具等に与える影響が著しく小さく、また、人体に対して比較的安全であり、作業環境を極めて良好に確保し得るという効果も、有利に奏し得るのである。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0032】
実施例 1
先ず、下記表1に示される各種の配合割合の潤滑剤組成物(本発明例1及び比較例1,2)を調製し、更に、かかる潤滑剤組成物の25℃における動粘度が30mm2 /Sとなるように、必要に応じて、粘度調整剤(アクルーブ702;三洋化成工業株式会社製)を、添加した。
【0033】
なお、各潤滑剤組成物の調製に際して、基油としては、一般に潤滑油と言われているマシン油(ハイドロライト;エクソン−モービル社製)を用いた。また、硫黄系極圧剤としては、アクティティンRC−2M5(バイエル株式会社製)、燐系極圧剤としては、イルガループ603(チバガイギー社製)、過塩基性アルカリ土類金属塩としては、全塩基価:300mgKOH/gである過塩基性カルシウムスルホネート(ウィトコ300;ウィトコ社製)、及び硼酸エステルとして、硼酸と高級アルコールのエチレン・プロピレンオキシド共重合付加物を反応せしめてなる、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルボレート(ニューポールSBF650;三洋化成工業株式会社製)を用い、更に、油性剤として、合成脂肪酸エステル(ユニスターH381R;日本油脂株式会社製)を用いて、それらを、均一に混合せしめた。
【0034】
そして、得られた本発明例1及び比較例1,2に係る潤滑剤組成物を用いて、耐焼き付き性、耐摩耗性を評価するために、四球形摩擦試験機(神鋼造機株式会社製)を用いて、回転速度:800rpm、荷重:2.0kgf/cm2 (196×103 Pa)又は2.5kgf/cm2 (245×103 Pa)にて、30分間、鋼球を回転せしめて、30分後における潤滑剤組成物の油温を測定し、その結果を、下記表1に併せて示した。
【0035】
【表1】
【0036】
かかる表1の結果からも明らかなように、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、過塩基性アルカリ土類金属塩、及び硼酸エステルの4成分が所定の割合にて含有せしめられてなる本発明例1に係る潤滑剤組成物にあっては、油温の上昇が低いところから、本発明の必須成分たる硼酸エステル又は過塩基性アルカリ土類金属塩が何等含有せしめられていない比較例1及び比較例2に係る潤滑剤組成物に比して、潤滑性が良好で、且つ、摩擦抵抗が低く、耐焼き付き性に優れていることが、理解される。要するに、本発明例1と比較例1及び2との対比により、硼酸エステルと過塩基性アルカリ土類金属塩の併用の添加によって、相乗的な潤滑作用が得られていることが、認められるのである。
【0037】
実施例 2
また、下記表2に示される各種の配合割合の潤滑剤組成物(本発明例2及び比較例3〜5)を調製した。なお、基油、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、過塩基性アルカリ土類金属塩、及び硼酸エステルとしては、上記実施例1と同様のものを使用すると共に、塩素系極圧剤としては、トヨパラックス150(東ソー株式会社製)を使用した。
【0038】
そして、かかる本発明例2及び比較例3〜5に係る潤滑剤組成物を用いて、それぞれ、精密打抜き加工を行なった。詳細には、被加工材として、5mm厚さのS45C材を用い、それに対して、ロールコーター装置により、各潤滑剤組成物を供給せしめつつ、1500Tプレス機(ファインツール社製)の金型により、所定の打抜き(裁断)加工を繰返し行なって、それぞれ、金型の寿命を求め、その4回のテスト結果の平均値を、「金型寿命」として、下記表2に示した。
【0039】
【表2】
【0040】
かかる表2の結果からも明らかなように、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、過塩基性アルカリ土類金属塩及び硼酸エステルの4成分が所定の割合にて含有せしめられてなる本発明例2に係る潤滑剤組成物にあっては、塩素系極圧剤を用いた比較例3に係る潤滑剤組成物と同程度の金型寿命が実現されていることが分かる。これに対して、本発明の必須成分たる硼酸エステルが何等含有せしめられていない比較例4にあっては、金型寿命が極端に短く、潤滑性及び耐焼き付き性が劣っていることが理解され得る。また、基油に対して硼酸エステルのみが添加された比較例5にあっては、潤滑性が極めて悪く、焼き付きが惹起され易く、このため、金型等を駄目にしてしまうところから、加工テストを行なうことが不可能であった。
【0041】
実施例 3
また、下記表3に示される各種の配合割合の潤滑剤組成物(本発明例3,4及び比較例6,7)を調製した。なお、基油、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、過塩基性アルカリ土類金属塩、及び塩素系極圧剤としては、上記実施例1と同様のものを使用すると共に、硼酸エステルとしては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルボレート(ニューポールSBF650;三洋化成工業株式会社製)又はオレイン酸のグリセロールボレート(エマルボンS−83;東邦化学産業株式会社製)を使用した。
【0042】
そして、かかる本発明例3,4及び比較例6,7に係る潤滑剤組成物を用いて、深穴加工を行なった。詳細には、被加工材として、焼入れの施されたS45C材を用い、それに対して、ポンプにより、各潤滑剤組成物を供給せしめつつ、自動盤機により、内径:13mm×深さ:40mmの深穴を、送り速度:0.34m/min、回転速度:680rpmにて形成せしめ、用いた超硬ドリルの刃の寿命を、それぞれ、同一製品の刃で4回ずつ求め、その平均値を「超硬ドリル寿命」として、下記表3に示した。
【0043】
【表3】
【0044】
かかる表3の結果からも明らかなように、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、過塩基性アルカリ土類金属塩及び硼酸エステルの4成分が所定の割合にて含有せしめられてなる本発明例3及び4に係る潤滑剤組成物にあっては、塩素系極圧剤を用いた比較例6以上に、工具寿命(超硬ドリルの刃の寿命)が大きくなっていることが分かる。これに対して、本発明の必須成分たる硼酸エステルが何等含有せしめられていない比較例4にあっては、工具寿命が極端に短く、本発明例3及び4の半分以下となっている。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に従う金属加工用潤滑剤組成物にあっては、基油と共に、特定の成分、即ち、(A)硫黄系極圧剤及び/又は燐系極圧剤、(B)過塩基性アルカリ土類金属塩、及び(C)硼酸エステルとが組み合わされて用いられ、それら3成分が含まれるように構成されていることにより、有効な相乗効果が発現され得て、以て、その少ない使用量にあっても、塩素系極圧剤を用いた場合に匹敵する優れた潤滑性や耐焼き付き性をもって、金属加工を施すことが出来るという特徴を有していると共に、それは、塩素を含む化合物が何等配合されないものであるところから、環境や人体等に与える影響が著しく小さく、作業者に対する安全性を極めて高度に確保し得るという利点も享受し得るのである。[0001]
【Technical field】
The present invention relates to a lubricant composition for metal working, and in particular, without containing harmful components such as chlorinated extreme pressure agents, rolling, extrusion, drawing, forging, compression, deep drawing, shearing (punching, In metal processing including plastic processing such as fine blanking and shaving) and taping, drilling, broaching, turning, and milling, etc., the frictional force during processing is reduced, and between the processing tool and workpiece The present invention relates to a lubricant composition for metalworking that achieves excellent lubricity while preventing seizure.
[0002]
[Background]
Conventionally, metal including plastic processing such as rolling, extrusion, drawing, forging, compression, deep drawing, shearing (punching, fine blanking, shaving, etc.) and cutting such as tapping, drilling, broaching, turning and milling. In processing, various liquid lubricants have been used in order to prevent seizure occurring between a workpiece and a processing tool. Among them, particularly in cold forging and cold rolling performed under severe conditions, for example, under high processing pressure, those having particularly excellent lubricity are required.
[0003]
By the way, as a lubricant for metal processing as described above, an aqueous type lubricant such as an aqueous solution type or an emulsion type obtained by emulsifying oil with an emulsifier, an oil-based lubricant based on oil ( Lubricating oils) are well known, but water-based lubricants among them are based on water with high thermal conductivity, so that excellent cooling performance can be realized. It has been recognized that the film formed on the surface of the workpiece is relatively thin and generally tends to have low seizure resistance.
[0004]
On the other hand, in the case of using an oil-based lubricant, it is possible to form a thick lubricating film (oil film) on the surface of the workpiece as compared with the case of an aqueous lubricant. It has also been clarified that there are characteristics that can be realized, and that further improvement in seizure resistance can be easily achieved by adding an extreme pressure agent or the like to such an oil-based lubricant.
[0005]
Thus, as an extreme pressure agent for enhancing the seizure resistance in such an oil-based lubricant, generally, a chlorine-based extreme pressure agent is used, and it is assumed that a large amount of such a chlorine-based extreme pressure agent is contained. In recent years, problems such as generation of dioxins due to the presence of chlorine and carcinogenicity have been pointed out, and the addition of such chlorine-based extreme pressure agents has been avoided. Therefore, it is desired to use the lubricant.
[0006]
For this reason, in recent years, various metal processing lubricants that do not contain harmful components such as chlorine have been proposed, but even with such lubricants, there is still a sufficient reduction in frictional force. However, compared to the case where a conventional chlorinated extreme pressure agent is added, the tool life and mold life are shortened, and the product quality is lowered.
[0007]
[Solution]
Here, the present invention has been made in the background of such circumstances, and the problem to be solved thereof is seizure without using a chlorine-based extreme pressure agent that may adversely affect the environment and the human body. Even under severe processing conditions that are prone to cause seizures, excellent lubricity is achieved while preventing seizure between the processing tool and the workpiece, in the same manner as or more than when using such a chlorinated extreme pressure agent. An object of the present invention is to provide a lubricant composition for metal working that is realized.
[0008]
[Solution]
Then, the present inventors have found, after intensive studies to solve such problems, with respect to the base oil, and (A) a sulfur-based extreme pressure agent及beauty phosphorus-based extreme pressure agent, over (B) By combining and adding a basic alkaline earth metal salt and (C) boric acid ester, excellent seizure resistance and lubricity can be exhibited without using a chlorine-based extreme pressure agent. I found it.
[0009]
Accordingly, the present invention, which has been completed based on such findings thus, has as its basic structure, with respect to the base oil, a sulfur-based extreme pressure agent及beauty phosphorus-based extreme pressure agent, and overbased alkaline earth metal salt, a metal working lubricant composition characterized by comprising the additional inclusion of boric acid ester.
[0010]
That is, in the metalworking lubricant composition which is the subject like according the present invention, so that above, (A) a sulfur-based extreme pressure agent及beauty phosphorus-based extreme pressure agent, (B) an overbased Since the alkaline earth metal salt and (C) boric acid ester are combined and contained in the base oil, the mechanism is not yet clear, but it is realized when they are added alone. Synergistic lubrication that can not be obtained, and even under severe processing conditions where seizure is likely to occur, it is comparable to or better than using a chlorinated extreme pressure agent, and has excellent seizure resistance. Lubricity can be achieved.
[0011]
Further , according to the lubricant composition for metal working according to the present invention, the sulfur-based extreme pressure agent is contained in a proportion of 0.5 to 30% by weight, and the phosphorus-based extreme pressure agent is contained in a proportion of 0.5 to 10% by weight. In which the overbased alkaline earth metal salt is contained in a proportion of 0.5 to 15% by weight and the boric acid ester is contained in a proportion of 0.1 to 10% by weight, and the balance is the base oil. As is the case, the intended lubricant composition will be prepared. In particular, the above-described effects of the present invention can be exhibited to the maximum by including a predetermined ratio of these four components.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
By the way, as base oil (base oil) which is a main component constituting the metal processing lubricant composition according to the present invention, in addition to mineral oil such as paraffinic mineral oil and naphthenic mineral oil, poly α-olefin and ester synthetic lubricant Various known oils conventionally used as base oils in metalworking lubricants, such as synthetic oils and vegetable oils, are appropriately selected and used.
[0013]
Then, in the present invention, for the base oil, (A) a sulfur-based extreme pressure agent及beauty phosphorus-based extreme pressure agent, (B) a predetermined overbased alkaline earth metal salts and, ( a combination of three components C) given borate ester, further, the then very combination of two kinds of pressure agent, a total of 4 components, are combined, by being allowed to contain, for the first time, alone it al 4 components Synergistic lubrication that cannot be realized when added in the case of, and even under severe processing conditions where seizure is likely to occur, comparable to or more than when using chlorinated extreme pressure agents Thus, a metalworking lubricant composition excellent in seizure resistance and lubricity can be obtained, which is a major feature of the present invention.
[0014]
More specifically, the sulfur-based extreme pressure agent and the phosphorus-based extreme pressure agent, which are the above-described A components, improve the strength of the oil film formed on the surface of the workpiece, as is well known. It is added in order to reduce the frictional force in the friction local part between the workpiece and the workpiece and to suppress the seizure of the friction local part.
[0015]
Among them, sulfur-based extreme pressure agents generally include sulfide oils and fats such as sulfide whale oil, sulfide lard, sulfide rapeseed oil, sulfide castor oil, sulfide soybean oil, and sulfide rice bran oil, which are sulfides of animal and vegetable oils and synthetic oils. , Sulfurized fatty acid such as sulfurized oleic acid, sulfurized ester such as methyl sulfide oleate, sulfurized olefin such as propylene sulfide, dialkyldithiocarbamate metal salt, dithioxanthate metal salt, etc. A compound can be mentioned. Examples of phosphorus extreme pressure agents include alkyl phosphites, alkyl or aryl acid phosphates, trialkyl or triaryl phosphates, amine salts of phosphate esters, thiophosphate esters, dialkyldithiophosphate metal salts, and thiophosphate esters. Examples thereof include compounds conventionally used as phosphorus extreme pressure agents such as amine salts and zinc dithiophosphate.
[0016]
In addition, at least one or more of the sulfur-based extreme pressure agent and the phosphorus-based extreme pressure agent as described above, and more preferably, the sulfur-based extreme pressure agent and the phosphorus-based extreme pressure agent are each at least One type or two or more types are appropriately selected and contained.
[0017]
The sulfur-based extreme pressure agent and the phosphorus-based extreme pressure agent are preferably contained in the lubricant composition at 0.5 to 30% by weight and 0.5 to 10% by weight, respectively. Among these ranges, sulfur-based extreme pressure agents: 1 to 25% by weight and phosphorus-based extreme pressure agents: 1 to 8% by weight are more preferably employed. However, when the content ratio of the sulfur-based extreme pressure agent and / or the phosphorus-based extreme pressure agent is too small, seizure is likely to occur, and conversely, when the content ratio is excessive. This is because a sufficient effect corresponding to the content cannot be obtained.
[0018]
The overbased alkaline earth metal salt (component B), which is one of the essential components contained in the metal processing lubricant composition according to the present invention, is added to improve lubricity. is there. And, as such overbased alkaline earth metal salts, overbased sulfonates of alkaline earth metals, include Karubokishire bets, among them, the total base number (JIS-K-2501: perchloric acid According to the method, generally, about 200 to 800 mgKOH / g, particularly about 300 to 600 mgKOH / g can be suitably employed. Examples of the alkaline earth metal include calcium, magnesium, barium and the like.
[0019]
Here, the alkaline earth metal overbased sulfonate is an aromatic sulfonic acid such as aryl sulfonic acid, mono- or dialkylbenzene sulfonic acid, mono- or dialkylnaphthalene sulfonic acid, aromatic petroleum sulfonic acid, or alkyl sulfonic acid. An overbased alkaline earth metal salt of various sulfonic acids such as aliphatic sulfonic acids such as substituted alkyl sulfonic acids, and generally alkaline earth metal salts of various sulfonic acids with excess alkaline earth metal hydroxide It can be obtained by carbonating (basifying) the remaining alkaline earth metal hydroxide with carbon dioxide gas. Similarly, alkaline earth metal overbased carboxylates are overbased alkaline earth metal salts of various carboxylic acids such as aromatic carboxylic acids and aliphatic carboxylic acids. Examples of carboxylic acids include salicylic acid. And aromatic carboxylic acids such as benzoic acid, toluic acid, phthalic acid, anthranilic acid, nicotinic acid, and alkylsalicylic acid, and aliphatic carboxylic acids such as oleic acid and linoleic acid.
[0020]
Then, an overbased alkaline earth metal salt composed of an alkaline earth metal overbased sulfonate and a carboxylate as described above is included in the lubricant composition according to the present invention as one of the essential components (component B). The content thereof is 0.5 to 15 parts by weight, more preferably 1 to 12 parts by weight in 100 parts by weight of the lubricant composition, that is, 0.5%. It is desirable to make it contain so that it may become a ratio of -15 weight%, More preferably, 1-12 weight%. In addition, when the content of such overbased alkaline earth metal salt is too small, sufficient seizure resistance and lubricity cannot be obtained, and conversely, when the content ratio thereof is excessive. In addition, the effect corresponding to the content cannot be obtained, and the viscosity of the lubricating composition may be too high.
[0021]
On the other hand, boric acid ester, which is one of the essential components as described above, is a compound obtained by reacting boric acid or boric anhydride with alcohols according to a conventionally known method. As such alcohols, In addition to monohydric alcohols, dihydric alcohols, polyhydric alcohols, dihydric alcohols, esters of polyhydric alcohols, ethers, etc. are also used as long as they have at least one or more hydroxyl groups (—OH). It can be done.
[0022]
Examples of the monohydric alcohol include butanol, pentanol, hexanol, heptanol, octanol, 2-ethylhexanol, nonanol, decanol, undecanol, dodecanol, tridecanol, tetradecanol, pentadecanol, hexadecanol, and heptanol. Examples of the dihydric alcohol include ethylene glycol, propylene glycol, butanediol, pentanediol, methylpentanediol, neopentyl glycol, hexanediol, heptanediol, and octane. Examples include diol, nonanediol, decanediol, pinacol and the like. Furthermore, examples of the polyhydric alcohol include glycerin, trimethylolpropane, pentaerythritol, sorbitan, arabitol, sorbitol, mannitol and the like, and examples of such polyhydric alcohol esters and ethers include lauric acid. Examples include mono or diglyceride, oleic acid mono or diglyceride, etc. In the present invention, among them, in particular, polyhydric alcohols include ethylene oxide, propylene oxide, and ethylene oxide / propylene oxide copolymer. that allowed the addition of alkylene oxide, it being adopted.
[0023]
Alcohols to which such ethylene oxide, propylene oxide, ethylene oxide / propylene oxide copolymer, etc. are added are industrially produced, and are representative of boric acid esters obtained using the alcohol. Examples thereof include glycerol borate of higher fatty acid, polyoxyalkylene glycerol borate of higher fatty acid, polyoxyalkylene alkyl ether borate (boric acid ester of polyoxyalkylene alkyl ether) and the like.
[0024]
Further, the various borate esters as described above are appropriately selected and used alone or in combination of two or more thereof, and 0.1 to 10% by weight, more preferably 1 to 5%, in the lubricant composition. It is desirable to contain it so that it may become the ratio of weight%. This is because when the content ratio is too small, the sufficient effect cannot be obtained, and performance cannot be imparted to the intended lubricant composition, and conversely, the content ratio is excessive. In some cases, an effect sufficient for the content cannot be obtained sufficiently, and the cost is increased.
[0025]
And various components as described above, that is, A component: sulfur-based extreme pressure agent and / or phosphorus-based extreme pressure agent, B component: overbased alkaline earth metal salt, and C component: boric acid ester are essential. The lubricant composition for metalworking according to the present invention is prepared by being added as a component of the base oil, added to the base oil (base oil), mixed and mixed. As the content ratio, the total content of the A component, the B component, and the C component is 10 to 65% by weight, and more preferably 15 to 50% by weight. From the inside, it is desirable that a desired content ratio is appropriately selected according to the purpose of use. On the other hand, in the base oil as the main component to which those essential components (A to C components) are added, it is advantageously realized that the total content ratio of the above-described A component, B component and C component is realized. As obtained, it is desirable to be used in a proportion of 35 to 90% by weight, more preferably 50 to 85% by weight.
[0026]
In addition to the above-mentioned essential components (AC components), the lubricant composition for metal processing according to the present invention, in addition to the above-described essential components (A to C components), oily agents such as fats and oils, organic metal-based It goes without saying that various known additives such as additives, rust preventives, antioxidants, viscosity modifiers and the like can be added separately in appropriate amounts.
[0027]
Thus, in the lubricant composition for metalworking according to the present invention, since one or more of each of the A component to the C component as described above are combined and used, a synergistic lubricating action is used. Can be effectively expressed, and excellent seizure resistance and lubricity can be advantageously realized, and it can be used without using a chlorine-based extreme pressure agent that may adversely affect the environment and the human body. Comparable or better effects can be obtained.
[0028]
The obtained lubricant composition can be used for plastic processing such as rolling, extrusion, drawing, forging, compression, deep drawing, shearing (punching, fine blanking, shaving, etc.), tapping, drilling, broaching, turning, In metal working including cutting such as milling, among other things, it is also advantageously used in cold plastic working such as cold forging and cold rolling performed under particularly severe conditions, for example, under high working pressure. Will be.
[0029]
Accordingly, if the lubricant composition according to the present invention as described above is supplied to a metal workpiece or a processing tool surface by a conventionally known method, and the desired metal processing is performed, the object is achieved. The metal material can be processed at a high level with good product quality, and damage to the processing tool can be advantageously prevented, and the tool life and die life can be advantageously prolonged.
[0030]
Moreover, in the lubricant composition of the present invention, since no chlorine-based compound is added, the influence on the environment due to the disposal treatment, the influence on metal materials, tools, etc. such as corrosion. This is also advantageous in that it is extremely small, is relatively safe to the human body, and can ensure a very good working environment.
[0031]
【Example】
Hereinafter, some examples of the present invention will be shown and the present invention will be more specifically clarified, but the present invention is not limited by the description of such examples. It goes without saying. In addition to the following examples, the present invention includes various changes and modifications based on the knowledge of those skilled in the art without departing from the spirit of the present invention, in addition to the above specific description. It should be understood that improvements can be made.
[0032]
Example 1
First, lubricant compositions (Invention Example 1 and Comparative Examples 1 and 2) having various blending ratios shown in Table 1 below were prepared, and the kinematic viscosity at 25 ° C. of the lubricant composition was 30 mm 2 / As needed, a viscosity modifier (Aclude 702; manufactured by Sanyo Chemical Industries, Ltd.) was added so as to be S.
[0033]
In preparing each lubricant composition, machine oil (hydrolite; manufactured by Exxon-Mobil Co., Ltd.), which is generally referred to as lubricating oil, was used as the base oil. In addition, as a sulfur-based extreme pressure agent, Actitin RC-2M5 (manufactured by Bayer Co., Ltd.), as a phosphorus-based extreme pressure agent, Irgaroop 603 (manufactured by Ciba Geigy), as an overbased alkaline earth metal salt, all Polybasic calcium sulfonate having a base number of 300 mg KOH / g (Witco 300; manufactured by Witco) and polyoxyalkylene alkyl obtained by reacting boric acid with an ethylene / propylene oxide copolymer adduct of a higher alcohol as a boric acid ester Ether borate (New Pole SBF650; manufactured by Sanyo Chemical Industries, Ltd.) was used, and further, a synthetic fatty acid ester (Unistar H381R; manufactured by Nippon Oil & Fats Co., Ltd.) was used as an oily agent, and these were mixed uniformly.
[0034]
And in order to evaluate seizure resistance and abrasion resistance using the obtained lubricant composition according to Example 1 and Comparative Examples 1 and 2, a four-ball friction tester (manufactured by Shinko Engineering Co., Ltd.) Rotate the steel ball for 30 minutes at a rotational speed of 800 rpm and a load of 2.0 kgf / cm 2 (196 × 10 3 Pa) or 2.5 kgf / cm 2 (245 × 10 3 Pa). The oil temperature of the lubricant composition after 30 minutes was measured, and the results are also shown in Table 1 below.
[0035]
[Table 1]
[0036]
As is apparent from the results in Table 1, four components of a sulfur-based extreme pressure agent, a phosphorus-based extreme pressure agent, an overbased alkaline earth metal salt, and a boric acid ester are contained in a predetermined ratio. In the lubricant composition according to Example 1 of the present invention, a comparative example in which no boric acid ester or overbased alkaline earth metal salt, which is an essential component of the present invention, is contained, since the increase in oil temperature is low. As compared with the lubricant composition according to 1 and Comparative Example 2, it is understood that the lubricity is good, the frictional resistance is low, and the seizure resistance is excellent. In short, it can be seen from the comparison between Example 1 of the present invention and Comparative Examples 1 and 2 that a synergistic lubricating action is obtained by the combined use of a borate ester and an overbased alkaline earth metal salt. is there.
[0037]
Example 2
Also, lubricant compositions (Invention Example 2 and Comparative Examples 3 to 5) having various blending ratios shown in Table 2 below were prepared. The base oil, sulfur-based extreme pressure agent, phosphorus-based extreme pressure agent, overbased alkaline earth metal salt, and boric acid ester are the same as those used in Example 1 above, and the chlorine-based extreme pressure agent. As, Toyoparax 150 (manufactured by Tosoh Corporation) was used.
[0038]
And the precision punching process was each performed using this lubricant composition which concerns on this invention example 2 and Comparative Examples 3-5. Specifically, a 5 mm thick S45C material is used as a workpiece, and each lubricant composition is supplied by a roll coater while using a 1500T press machine (manufactured by Finetool). The predetermined punching (cutting) process was repeated to determine the life of each mold, and the average value of the four test results is shown in Table 2 below as “mold life”.
[0039]
[Table 2]
[0040]
As is clear from the results in Table 2, a book containing four components of a sulfur-based extreme pressure agent, a phosphorus-based extreme pressure agent, an overbased alkaline earth metal salt, and a boric acid ester in a predetermined ratio. In the lubricant composition according to Invention Example 2, it can be seen that the same mold life as that of the lubricant composition according to Comparative Example 3 using the chlorine-based extreme pressure agent is realized. On the other hand, in Comparative Example 4 in which no boric acid ester as an essential component of the present invention is contained, it is understood that the mold life is extremely short, and the lubricity and seizure resistance are inferior. obtain. Further, in Comparative Example 5 in which only the boric acid ester was added to the base oil, the lubricity was extremely poor and seizure was likely to be caused. It was impossible to do.
[0041]
Example 3
Moreover, lubricant compositions (Invention Examples 3 and 4 and Comparative Examples 6 and 7) having various blending ratios shown in Table 3 below were prepared. The base oil, sulfur-based extreme pressure agent, phosphorus-based extreme pressure agent, overbased alkaline earth metal salt, and chlorine-based extreme pressure agent used are the same as those used in Example 1 and borate esters. As such, polyoxyalkylene alkyl ether borate (New Pole SBF650; manufactured by Sanyo Chemical Industries, Ltd.) or glycerol borate of oleic acid (Emalbon S-83; manufactured by Toho Chemical Industry Co., Ltd.) was used.
[0042]
Then, deep hole machining was performed using the lubricant compositions according to Examples 3 and 4 of the present invention and Comparative Examples 6 and 7. Specifically, a quenched S45C material is used as a workpiece, and each lubricant composition is supplied by a pump to the workpiece, while an automatic lathe is used to provide an inner diameter of 13 mm × depth of 40 mm. Deep holes were formed at a feed rate of 0.34 m / min and a rotational speed of 680 rpm, and the life of the used carbide drill blades was determined four times for each of the same product blades. It is shown in the following Table 3 as “the carbide drill life”.
[0043]
[Table 3]
[0044]
As is clear from the results in Table 3, the present book contains four components of a sulfur-based extreme pressure agent, a phosphorus-based extreme pressure agent, an overbased alkaline earth metal salt, and a boric acid ester in a predetermined ratio. In the lubricant composition according to Invention Examples 3 and 4, it can be seen that the tool life (the life of the carbide drill blade) is longer than that of Comparative Example 6 using a chlorine-based extreme pressure agent. On the other hand, in Comparative Example 4 in which no boric acid ester, which is an essential component of the present invention, is contained, the tool life is extremely short, which is less than half that of Inventive Examples 3 and 4.
[0045]
【The invention's effect】
As is clear from the above description, in the lubricant composition for metal working according to the present invention, a specific component, that is, (A) a sulfur-based extreme pressure agent and / or a phosphorus-based extreme pressure agent, together with the base oil. , (B) an overbased alkaline earth metal salt and (C) a boric acid ester are used in combination, and an effective synergistic effect can be exhibited by being configured to include these three components. Therefore, even in a small amount of use, it has a feature that metal processing can be performed with excellent lubricity and seizure resistance comparable to those using a chlorine-based extreme pressure agent. At the same time, since no chlorine-containing compound is blended, the influence on the environment, the human body, etc. is remarkably small, and the advantage that the safety for workers can be secured to a very high level can be enjoyed.
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