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JP4005273B2 - ガス濃度検出装置 - Google Patents

ガス濃度検出装置 Download PDF

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JP4005273B2
JP4005273B2 JP20436899A JP20436899A JP4005273B2 JP 4005273 B2 JP4005273 B2 JP 4005273B2 JP 20436899 A JP20436899 A JP 20436899A JP 20436899 A JP20436899 A JP 20436899A JP 4005273 B2 JP4005273 B2 JP 4005273B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用エンジンから排出される排ガス中の特性成分の濃度を検出するガス濃度センサを用いたガス濃度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等のエンジンは多くの排ガスを排出するが、この排ガスを原因とする大気汚染は現代社会に深刻な問題を引き起こしており、排ガス中の公害物質に対する浄化基準法規が年々厳しくなってきている。そのため、ガソリン若しくはディーゼルエンジンに対する燃焼制御や触媒コンバータを利用し、排ガス中の公害物質を低減するための検討が進められている。米国においては、OBD−II(On Board Diagnostic −II)規制にて排ガス浄化用の触媒が適切であるかどうか判定する機能を要求している。
【0003】
これに対し、触媒の上流側及び下流側に2つのO2 センサを設けてこの2つのO2 センサの検出結果を取り込む、いわゆる2O2 センサモニタシステムが導入されているが、この方法は公害物質の直接的な検出方法ではない。そのため、排ガス中の成分から公害物質が事実低減されたか否かといった、その正確な検出・判定が困難であった。
【0004】
仮に排ガス中のNOx濃度を直接検出することで燃焼制御モニタ、触媒モニタ等が可能となれば、排ガス中の公害物質の低減がより正確で効果的なものとなる。すなわち、排ガス中のNOx濃度の知見により燃料噴射やEGR率などがフィードバック制御できれば、エンジンから排出される公害成分を低減することができる。また、NOx濃度を検出するためのNOxセンサを排ガス浄化用の触媒コンバータよりも下流側に設けることにより、当該コンバータに担持された触媒の劣化を容易に判定することも可能となる。
【0005】
このような背景から、排ガス中のNOx濃度を精度良く検出することのできるNOxセンサを提供すると共に、同NOxセンサを車両用エンジンに搭載する技術が望まれている。
【0006】
また、NOx濃度の検出と同時に排ガス中の酸素濃度が検出できれば、空燃比フィードバック制御システムにも効果を発揮することができる。つまり、近年の車両用エンジンの空燃比制御においては、例えば制御精度を高める要望やリーンバーン化への要望があり、これらの要望に対応すべくエンジンに吸入される混合気の空燃比(排ガス中の酸素濃度)を広域に且つリニアに検出するセンサ及び装置も望まれている。
【0007】
ここで、NOx濃度の検出と同時に酸素濃度の検出が可能な、いわゆる複合型ガスセンサとしてのガス濃度センサの構成を図23を用いて説明する。図23のガス濃度センサは、酸素濃度を検出するためのポンプセルと、NOx濃度を検出するためのセンサセルとを有し、2セル構造を持つものとして構成される。
【0008】
図23において、ガス濃度センサ100は、ポンプセル110、多孔質拡散層101、センサセル120、大気ダクト102及びヒータ103を要件とし、これら各部材が積層されて成る。なお、同センサ100は図の右端部にてエンジン排気管に取り付けられ、その上下面及び左面が排ガスに晒されるようになっている。
【0009】
より詳細には、ポンプセル110は多孔質拡散層101と排ガス空間との間に設置される。ポンプセル110の排ガス側(図の上側)にはポンプ第1電極111が設置され、多孔質拡散層101側(図の下側)にはポンプ第2電極112が設置される。また、センサセル120は多孔質拡散層101と大気ダクト102との間に設置される。センサセル120の多孔質拡散層101側(図の上側)にはセンサ第1電極121が設置され、大気ダクト102側(図の下側)にはセンサ第2電極122が設置される。そして、多孔質拡散層101には図の左側から排ガスが導入されて図の右方へと流通する。
【0010】
ポンプセル110及びセンサセル120は積層して形成された固体電解質を有し、これら固体電解質はZrO2 、HfO2 、ThO2 、Bi2 O3 等にCaO、MgO、Y2 O3 、Yb2 O3 等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼成体からなる。また、多孔質拡散層101は、アルミナ、マグネシャ、ケイ石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質からなる。
【0011】
ポンプセル110の排ガス側のポンプ第1電極111と、センサセル120のセンサ第1,第2電極121,122とは、白金Pt等の触媒活性の高い貴金属からなる。一方、ポンプセル110の多孔質拡散層101側のポンプ第2電極112は、NOxガスに不活性な(NOxガスを分解し難い)Au−Pt等の貴金属からなる。
【0012】
ヒータ103は絶縁層104に埋設され、この絶縁層104とセンサセル120との間に大気ダクト102が構成される。基準ガス室を構成する大気ダクト102には外部から大気が導入され、その大気は酸素濃度の基準となる基準ガスとして用いられる。絶縁層104はアルミナ等にて形成され、ヒータ103は白金とアルミナ等のサーメットにて形成される。ヒータ103はポンプセル110やセンサセル120を含めセンサ全体(電極含む)を活性状態にすべく、外部からの給電により熱エネルギを発生させる。
【0013】
上記構成のガス濃度センサ100についてその動作を図24を用いて説明する。図24(a)に示されるように、多孔質拡散層101には図の左側から排ガス成分が導入され、その排ガスがポンプセル近傍を通過する際、ポンプセル110に電圧を印加することで分解反応が起こる。なお、排ガス中には酸素(O2 )、窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO2 )、水(H2 O)等のガス成分が含まれる。
【0014】
既述の通りポンプセル110のポンプ第2電極112はNOx不活性電極(NOxガスを分解し難い電極)で形成されている。従って、図24(b)に示されるように、排ガス中の酸素(O2 )のみがポンプセル110で分解され、ポンプ第1電極111から排ガス中に排出される。このとき、ポンプセル110に流れた電流が排ガス中に含まれる酸素濃度として検出される。
【0015】
また、排ガス中の酸素(O2 )はポンプセル110で完全に分解されず、その一部はそのままセンサセル近傍まで流通する。そして、図24(c)に示されるように、センサセル120に電圧を印加することにより、残留酸素(O2 )とNOxとが分解される。つまり、残留酸素(O2 )とNOxとがそれぞれセンサセル120のセンサ第1電極121で分解され、センサセル120を介してセンサ第2電極122から大気ダクト102の大気中に排出される。このとき、センサセル120に流れた電流が排ガス中に含まれるNOx濃度として検出される。残留酸素(O2 )による分解電流はオフセット電流となる。
【0016】
次に、酸素濃度を検出するためのポンプセル110の特性と、NOx濃度を検出するためのセンサセル120の特性とについて、図25〜図27を用いて説明する。先ずは、ポンプセル特性を図25を用いて説明する。
【0017】
図25のV−I特性図に示されるように、ポンプセル特性は酸素濃度に対して限界電流特性を有する。なお、横軸のVpはポンプセル印加電圧を示し、縦軸のIpはポンプセル電流を示す。同図において、限界電流検出域はV軸に対して平行な直線部分からなり、その領域は酸素濃度が濃いほど正電圧側にシフトする。
【0018】
ここで、酸素濃度が変化する際に印加電圧が一定値に固定されていると、上記限界電流検出域(V軸に平行な直線部分)を用いた正確な酸素濃度検出を行うことができない。またこれは、ポンプセル110で十分量の酸素を排出することができないことにもなり、センサセル120での残留酸素が増加し、NOx濃度を検出するための電流にも大きな誤差を生じる。そこで、ポンプセルの直流抵抗成分(印加電圧増加に伴い増加する傾き部分)の角度と同等の電圧、すなわち図25の印加電圧線LX1に示すような電圧を印加する制御を行い、排ガス中の酸素濃度に関係なく常に所望のセンサ電流(限界電流)を検出可能とする。因みに、ポンプセル110のポンプ第2電極112(多孔質拡散層101側の電極)がNOx不活性電極であるために同ポンプセル110ではNOxガスが分解されにくくなっているが、図25に示した通り一定の電圧以上になると、NOxが分解され、酸素濃度に応じたポンプセル電流に加えてNOx濃度に応じたポンプセル電流が流れる(図25の破線部分)。従って、印加電圧線LX1はNOxガスを分解しない程度に設計される。
【0019】
次に、センサセル特性を図26を用いて説明する。図26のV−I特性図に示されるように、センサセル特性はNOx濃度に対して限界電流特性を有する。なお、横軸のVsはセンサセル印加電圧を示し、縦軸のIsはセンサセル電流を示す。同図において、限界電流検出域はV軸に対して平行な直線部分からなり、その領域はNOx濃度が濃いほど僅かながら正電圧側にシフトする。NOx濃度を検出する際、図26の印加電圧線LX2に沿って印加電圧を制御することで、排ガス中のNOx濃度に関係なく常に所望のセンサ電流(限界電流)が検出可能となる。
【0020】
またここで、上記ガス濃度センサ100について、排ガスがリッチガスである時のセンサ出力特性を考える。リッチガスの場合、前述の通りポンプセル110が多孔質拡散層101と排ガス空間との間に設置されるため、ポンプセル110では排ガス側から多孔質拡散層101側へ酸素イオンを流すことはできず(負の限界電流を流すことはできず)、限界電流特性は得られない。つまり、ポンプ第1電極111からポンプ第2電極112に電流が流れるように電圧を印加しても(この時の印加電圧を「正電圧」とする)、或いはポンプ第2電極112からポンプ第1電極111に電流が流れるように電圧を印加しても(この時の印加電圧を「負電圧」とする)、限界電流特性は示さない。因みに、リッチガスの場合にポンプセル110に負電圧を印加すると排ガス中のH2 OやCO等の物質が分解され、酸素イオンがポンプ第1電極111からポンプ第2電極112に排出される。また、正電圧を印加すると、やはり排ガス中のH2 OやCO等が分解されて逆方向に電流が流れる。
【0021】
また同じくリッチガスの場合、センサセル120が多孔質拡散層101と大気ダクト102との間に設置されるため、センサセル120では大気ダクト102内の酸素がセンサ第2電極122からセンサ第1電極121へ移動し、この時の酸素イオンの流れに伴い限界電流特性が得られる。その特性を図27に示す。この場合、リッチガス領域では、空燃比のリッチ度合に応じた限界電流特性が得られ、その電流値はNOx濃度に応じた電流値に比べ非常に大きいものとなる(数10倍程度)。
【0022】
図28は、センサ制御装置の構成を示す回路図である。図28において、ポンプ第2電極112及びセンサ第1電極121は共通端子としてGNDに接地される。印加電圧指令回路470から出力される電圧指令信号Vhは増幅回路471の非反転入力端子に入力される。増幅回路471の出力端子(Vi信号)は、ポンプセル電流Ipを検出するための抵抗472を介してポンプ第1電極111に接続される。ポンプ第1電極111の電圧Vhは増幅回路471の反転入力端子に入力(フィードバック)されるため、印加電圧指令回路470からの指令信号Vhはポンプ第1電極111の電圧Vhと同一になり、同指令信号Vhによりポンプ第1電極111の電圧(ポンプセル電圧)が制御される。
【0023】
従って、排ガス中の酸素濃度に応じて流れるポンプセル電流Ipは、抵抗472の両端子電圧Vi,Vhとして出力され、
Ip=(Vi−Vh)/R21
として検出される。但し、R21は抵抗472の抵抗値である。例えば排ガスに酸素が多く含まれる程、電圧差(Vi−Vh)は大きくなり、排ガスの酸素濃度が低い程、電圧差(Vi−Vh)は小さくなる。
【0024】
この場合、印加電圧指令回路470は、図25中の印加電圧線LX1を用い、前記の通り検出したポンプセル電流Ipに対応する目標印加電圧を設定する。そして、その目標印加電圧を電圧指令信号Vhとして出力する。
【0025】
一方、センサセル120のセンサ第2電極122は、NOx濃度に応じたセンサセル電流Isを検出するための抵抗473を介して電源474のプラス端子に接続される。排ガス中のNOx濃度に応じて流れるセンサセル電流Isは抵抗473の両端子電圧Vk,Vjから検出可能であり、
Is=(Vk−Vj)/R22
として検出される。但し、R22は抵抗473の抵抗値である。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンの排ガスは運転状態により変動し、リーン状態からリッチ状態まで広域に変化する。リーンガスの場合(酸素過剰の場合)、前述の通りポンプセル110やセンサセル120には正の限界電流が流れる。これに対し、リッチガスの場合(酸素欠乏の場合)、センサセル120にはその時の空燃比に応じて負の限界電流が流れるため、その負電流が流れるよう当該センサセル120に適正な電圧を印加しなくてはならない。しかしながら、既述した通りセンサセル120の負側端子として規定されるセンサ第1電極121が前記図28のようにGND接地されると、センサセル120に負電流が流せないために多孔質拡散層101にリッチガスが滞留するという不具合が生ずる。因みに、自動車のバッテリ電源は一般に単電源(12V系又は24V系)であって負の電源を持たないため、電源電圧の変化だけでは負電圧の印加は不可能であった。
【0027】
また、リッチガスの場合には大気中から多孔質拡散層101内に酸素が供給できないために、同拡散層101内の酸素濃度のバランスが崩れる(同拡散層内の酸素濃度がストイキ状態に保てない)。これにより、排ガスがリッチからリーンに変化する時、多孔質拡散層101内がストイキ状態に復帰する迄に時間がかかると共に、その際に酸素濃度とNOxガス濃度とが正確に検出できない時間ができてしまう(構造によって1秒間から数秒間)。すなわち、酸素濃度やNOx濃度の検出精度が悪化し、ひいてはエンジンの空燃比フィードバック制御に支障を来すという問題が生じる。エンジンの排ガスは、走行状態に応じて1〜2秒でリッチ⇔リーンを繰り返す場合もあり、制御不能になる場合が発生する。
【0028】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、ガス濃度の検出範囲を拡大させると共に、ガス濃度出力の応答遅れを改善することができるガス濃度検出装置を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のガス濃度検出装置は、被検出ガスを導入するためのガス導入部に対向し、電圧印加に伴いガス導入部内の被検出ガス中の余剰酸素を排出しつつその酸素濃度に応じた電流を流す第1セルと、同じく前記ガス導入部に対向し、電圧印加に伴い余剰酸素排出後のガス成分から特定成分の濃度に応じた電流を流す第2セルとを備え、前記第1,第2セルの少なくとも一方が基準ガス室に面して設けられるとともに、それら第1セルから流れる電流及び第2セルから流れる電流を各別の抵抗を介して検出する複合型ガス濃度センサを用いることを前提とする。
【0030】
また特徴的な構成として、前記ガス導入部側から第1セルを介して余剰酸素が排出される時に正側端子となる前記第1又は第2セルの端子に接続され、当該セルにより検出される電流値に応じて設定される電圧を当該セルに印加する電圧印加手段と、前記第1,第2セルのうち、前記基準ガス室に面するセルの負側端子に接続され、被検出ガスがリッチガスである時に前記ガス導入部の内部をストイキ状態に保つように該負側端子を0V電圧から浮かすための基準電圧生成手段とを備える。
【0031】
要するに、電圧印加手段により第1又は第2セルにて検出される電流値に応じてセンサの印加電圧を設定することで、センサ出力特性の限界電流検出域(図25又は図26のV軸に平行な直線部分)にて常にガス濃度が検出できる。また、基準電圧生成手段により第1及び第2セルの負側端子を0V電圧から浮かすことで、第1及び第2セルにおいて負側端子から正側端子へ電流を流すことができる。つまり、正負両端子間では正負何れの方向の電流も流すことが可能となる。
【0032】
より詳細には、被検出ガスが酸素過剰の場合(リーンガスの場合)、正側端子から負側端子へ電流が流れるのは勿論のこと、被検出ガスが酸素欠乏の場合(リッチガスの場合)において負側端子から正側端子へ電流が流れる。これにより、リーンガスの場合のみならず、リッチガスに対してもガス導入部のガス濃度を一定に保つ(例えば酸素濃度を常にストイキ状態に保つ)ことができる。その結果、リッチガスの検出を可能にしてガス濃度の検出範囲を拡大させると共に、リッチガスからリーンガスへの復帰に際し、ガス濃度出力の応答遅れを改善することができる。
【0033】
一方、請求項2に記載のガス濃度検出装置は、被検出ガスを導入するためのガス導入部に対向し、電圧印加に伴いガス導入部内の被検出ガス中の余剰酸素を排出しつつその酸素濃度に応じた電流を流す第1セルと、同じく前記ガス導入部に対向し、電圧印加に伴い余剰酸素排出後のガス成分から特定成分の濃度に応じた電流を流す第2セルとを備えるとともに、それら第1セルから流れる電流及び第2セルから流れる電流を各別の抵抗を介して検出する複合型ガス濃度センサを用いることを前提とする。
【0034】
また特徴的な構成として、前記ガス導入部側から第1セルを介して余剰酸素が排出される時に正側端子となる前記第1又は第2セルの端子に接続され、当該セルにより検出される電流値に応じて設定される電圧を当該セルに印加する電圧印加手段と、前記第1及び第2セルの負側端子に接続され、被検出ガスがリッチガスである時に前記ガス導入部の内部をストイキ状態に保つように該負側端子を0V電圧から浮かすための基準電圧生成手段とを備える。
【0035】
かかる場合にもやはり、基準電圧生成手段により第1及び第2セルの負側端子を0V電圧から浮かすことで、第1及び第2セルにおいて負側端子から正側端子へ電流を流すことができる。つまり、正負両端子間では正負何れの方向の電流も流すことが可能となる。その結果、上記請求項1と同様に、ガス導入部内のガス濃度を一定に保つことができ、ガス濃度の検出範囲を拡大させると共に、ガス濃度出力の応答遅れを改善することができる。
【0036】
より具体的には、請求項3に記載したように、前記基準電圧生成手段は、被検出ガス中の酸素が欠乏する時に前記電圧印加手段により印加される電圧値よりも高い値となる基準電圧を前記第1,第2セルの負側端子に印加することを可能とする。これにより、上記作用効果が一層確かに得られる。
【0037】
特に請求項4に記載したように、ガス濃度センサには単電源により電圧が印加される構成、或いは請求項5に記載したように、ガス濃度センサには車載バッテリにより電圧が印加される構成では、片側の極(正極)でしか電圧が印加できないが、かかる構成においてリーンガスのみならずリッチガスでもガス濃度検出が可能となる。つまり、印加電圧を正極と負極とで入れ替えなくとも、ガス濃度を広域で検出できる。
【0038】
請求項6に記載の発明では、前記第1及び第2セルの正側端子にはガス濃度を検出するための電流検出抵抗が接続されると共に、前記第1及び第2セルの負側端子には当該セルのインピーダンスを検出するための電流検出抵抗が接続される。
【0039】
つまり、ガス濃度検出装置において、第1及び第2の各セルに流れる電流値に応じてガス濃度を検出することに加え、各セルのインピーダンスを検出しようとする場合、同装置の回路構成上、インピーダンス検出のためにガス濃度検出用の抵抗値が小さくなり、それによりガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約されるといった不都合が生ずる。これに対し請求項6の構成によれば、ガス濃度検出用の電流検出抵抗とインピーダンス検出用の電流検出抵抗とを別個に設けることにより、ガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約されるといった既述の不都合が回避される。従って、インピーダンス検出を行いつつ、その時のガス濃度検出精度の低下を抑制することができる。
【0040】
請求項7に記載の発明では、前記第1及び第2セルの正側端子にはガス濃度を検出するための電流検出抵抗が接続されると共に、該電流検出抵抗の両端電圧が増幅回路に入力されてその電圧範囲が前記増幅回路の増幅率にて制限される。
【0041】
請求項7の通り電流検出抵抗の両端電圧の範囲が増幅回路の増幅率にて制限されることで、上述したようにインピーダンス検出のためにガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約される、といった不都合が回避される。従って、インピーダンス検出を行いつつ、その時のガス濃度検出精度の低下を抑制することができる。
【0042】
ところで、被検出ガス中の酸素が欠乏している場合(リッチガスの場合)、基準ガス側からガス導入部側へその間のセル(第1又は第2セル)を介して酸素が流れそれによりガス濃度が検出されるが、ガス導入部側へ流入した酸素の一部は、他方のセルを介して被検出ガス側に排出される。このとき、前記他方のセルを介して被検出ガス側に排出される酸素が存在するために、その分だけガス濃度に対応する電流出力が大きめの値を示す。つまり、二つのセル間で出力が干渉し、それに伴いガス濃度の検出精度が低下してしまう。そこで、こうした不具合を解消すべく、以下の請求項8,請求項9を提案する。
【0043】
請求項8に記載の発明では、被検出ガスがリッチガスである時に、前記ガス導入部と被検出ガス側との間のセルを介してガス導入部側から被検出ガス側へ流れる酸素イオンをなくすべく、該当する第1又は第2セルへの印加電圧を調整する。例えば該当する第1又は第2セルへの印加電圧を0Vにする。
【0044】
要するに、被検出ガスがリッチガスである時、該当する第1又は第2セルを介してガス導入部側から被検出ガス側へ流れる酸素イオンが強制的に抑制される。そのため、基準ガス側からガス導入部側へその間のセル(第1又は第2セル)を介して酸素が流入する量と、該ガス導入部側へ流入した酸素が拡散律速される量とが一致する。これにより、セル間での出力干渉が防止でき、リッチガス検出の際の検出精度を確保することができる。
【0045】
請求項9に記載の発明では、前記ガス導入部側から被検出ガス側への酸素イオンの流れを制御するための第1又は第2セルに、電気経路を開放又は閉鎖するためのスイッチ回路を接続し、被検出ガスがリッチガスである時に、前記ガス導入部と被検出ガス側との間のセルを介してガス導入部側から被検出ガス側へ流れる酸素イオンをなくすべく、前記スイッチ回路を開放する。
【0046】
かかる場合にも、被検出ガスがリッチガスである時に、該当する第1又は第2セルを介してガス導入部側から被検出ガス側へ流れる酸素イオンが強制的に抑制される。そのため、基準ガス側からガス導入部側へその間のセル(第1又は第2セル)を介して酸素が流入する量と、該ガス導入部側へ流入した酸素が拡散律速される量とが一致する。これにより、セル間での出力干渉が防止でき、リッチガス検出の際の検出精度を確保することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態におけるガス濃度検出装置は、自動車用ガソリンエンジンに適用されるものであって、同エンジンの空燃比制御システムにおいてはガス濃度検出装置による検出結果に基づいてエンジンへの燃料噴射量を所望の空燃比(A/F)でフィードバック制御する。特に本実施の形態では、排ガス中の酸素濃度とNOx濃度とを同時に検出可能な、いわゆる複合型ガスセンサを用い、同センサからガス濃度情報を取得することとしている。
【0048】
つまり本実施の形態の装置では、検出した酸素濃度により空燃比がフィードバック制御される一方、検出したNOx濃度によりエンジン排気管に取り付けられたNOx触媒(例えばNOx吸蔵還元型触媒)の制御が実施される。NOx触媒の制御について略述すれば、NOx触媒にて浄化されずに排出されるNOx量をガス濃度センサの検出結果から判定し、NOx未浄化量が増大した時に、NOx浄化能力を回復させるための再生処理を実行する。再生処理としては、NOx触媒に対して一時的にリッチガスを供給し、同触媒に吸着したイオンを除去するようにすればよい。
【0049】
図1は、ガス濃度検出装置の全体構成図であり、同検出装置は大きくはガス濃度センサ100と制御回路200とから構成される。ガス濃度センサ100は、前述した図23の2セル構造のセンサを使うこととし、その構造、動作原理、出力特性については上述したのでここではその説明を省略する。ガス濃度センサ100には図示しない車載バッテリにより電圧が印加される。なお周知の通り、車載バッテリは単電源(12V系又は24V系)であり、負電源を持たない。また、制御回路200は以下の通り構成される。
【0050】
図1の構成においては、ガス濃度センサ100のガス導入部としての多孔質拡散層101にリーンガスが導入されて同拡散層101側からポンプセル110を介して余剰酸素が排出される時を基準に(その時のポンプセル電流Ipの向きを基準に)、ポンプセル110の正側端子及び負側端子が規定される。つまり、ポンプ第1電極111に接続される端子が正側端子、ポンプ第2電極112に接続される端子が負側端子として規定される。センサセル120側についても同様に、多孔質拡散層101にリーンガスが導入される時を基準に(その時のセンサセル電流Isの向きを基準に)、センサ第2電極122に接続される端子が正側端子、センサ第1電極121に接続される端子が負側端子として規定される。
【0051】
制御回路200において、ポンプセル110及びセンサセル120の共通の負側端子には基準電圧回路210及び増幅回路220が接続される。つまり、基準電圧回路210により電圧Vaが生成され、その電圧Vaが増幅回路220の非反転入力端子に入力される。増幅回路220の出力端子は同増幅回路220の反転入力端子に接続されており、ボルテージフォロワ構成として基準電圧回路210の電圧Vaがポンプ第2電極112(ポンプセル110の負側端子)とセンサ第1電極121(センサセル120の負側端子)とに印加される。これにより、各セル110,120の負側端子は、GND電圧(0V電圧)よりも浮いた基準電圧Vaとなる。
【0052】
印加電圧指令回路290内には、ポンプ電圧指令回路230とセンサ電圧指令回路260とが設けられる。ポンプ電圧指令回路230はポンプセル110の印加電圧を制御するため、ポンプセル電流Ipに応じて図25の印加電圧線LX1に応じた指令電圧を出力する。また、センサ電圧指令回路260はセンサセル120の印加電圧を制御するため、センサセル電流Isに応じて図26の印加電圧線LX2に応じた指令電圧を出力する。
【0053】
ポンプ電圧指令回路230からの指令信号Vbは、ポンプセル110に電圧を印加し酸素濃度に応じた電流を供給するための増幅回路240の非反転入力端子に入力される。増幅回路240の出力端子は、ポンプセル電流Ipを検出するための電流検出抵抗250の一端に接続され、電流検出抵抗250の他端はポンプ第1電極111(ポンプセルの正側端子)に接続されると共に増幅回路240の反転入力端子に接続される。これにより、ポンプ第1電極111の電圧は常にポンプ電圧指令回路230の指令信号Vbと同じ電圧になるよう制御される。
【0054】
増幅回路240の出力電圧は端子Vdから出力され、ポンプ第1電極111の電圧は端子Vbから出力される。かかる場合、ポンプセル印加電圧Vp及びポンプセル電流Ipは、以下の式で算出される。
【0055】
Vp=Vb−Va
Ip=(Vd−Vb)/R1
但し、R1は、電流検出抵抗250の抵抗値である。
【0056】
一方、センサ電圧指令回路260からの指令信号Vcは、センサセル120に電圧を印加しNOx濃度に応じた電流を供給するための増幅回路270の非反転入力端子に入力される。増幅回路270の出力端子は、センサセル電流Isを検出するための電流検出抵抗280の一端に接続され、電流検出抵抗280の他端はセンサ第2電極122(センサセルの正側端子)に接続されると共に増幅回路270の反転入力端子に接続される。これにより、センサ第2電極122の電圧は常にセンサ電圧指令回路260の指令信号Vcと同じ電圧になるよう制御される。
【0057】
増幅回路270の出力電圧は端子Veから出力され、センサ第2電極122の電圧は端子Vcから出力される。かかる場合、センサセル印加電圧Vs及びセンサセル電流Isは、以下の式で算出される。
【0058】
Vs=Vc−Va
Is=(Ve−Vc)/R2
但し、R2は、電流検出抵抗280の抵抗値である。
【0059】
印加電圧指令回路290(電圧指令回路230,260)は、図2に示す通りCPU及びA/D,D/Aコンバータを備えるマイクロコンピュータで構成され、各A/Dコンバータ(A/D1〜A/D4)には各端子Vd,Vb,Ve,Vcの電圧が各々入力される。また、各D/Aコンバータ(D/A1,D/A2)からはポンプ指令電圧Vb,センサ指令電圧Vcが各々出力される。
【0060】
印加電圧指令回路290内のCPUにより実施される印加電圧制御を図3のフローチャートに従い説明する。図3のルーチンは、図示しないメインルーチンの途中にて実施される印加電圧制御サブルーチンである。
【0061】
図3において、先ずステップ101,102では、電流検出抵抗250の両端子電圧Vd,VbをA/D1,A/D2により各々読み取る。次に、ステップ103,104では、電流検出抵抗280の両端子電圧Ve,VcをA/D3,A/D4により各々読み取る。
【0062】
ステップ105ではポンプセル電流Ipを算出し(Ip=(Vd−Vb)/R1)、続くステップ106では、図25に示した印加電圧線LX1を用い、前記算出したポンプセル電流Ipに対応するポンプセル110への目標印加電圧を求める(マップ演算する)。さらにステップ107では、前記求めた目標印加電圧を指令信号VbとしてD/A1を介して出力する。
【0063】
次に、ステップ108ではセンサセル電流Isを算出し(Is=(Ve−Vc)/R2)、続くステップ109では、図26に示した印加電圧線LX2を用い、前記算出したセンサセル電流Isに対応するセンサセル120への目標印加電圧を求める(マップ演算する)。さらにステップ110では、前記求めた目標印加電圧を指令信号VcとしてD/A2を介して出力する。
【0064】
以上の構成により、図25又は図26に示す出力特性に従いポンプセル電流Ipやセンサセル電流Isが流れる。また、リッチガスの場合には、センサ第1電極121の電圧をVaに浮かしてVa>Vcとすることで、図27に示すような負電圧を印加することが可能となる。すなわち、リッチガスの検出が可能となる。さらに、Va>Vc>Ve又はVc>Veとすることで、負電流(負のセンサセル電流Is)を流すことが可能となる。
【0065】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
ポンプセル110(第1セル)及びセンサセル120(第2セル)の負側端子を0V電圧から浮かすことで各セルにおいて負電流を流すことが可能となり、リーンガスの場合のみならず、リッチガスに対しても多孔質拡散層101内のガス濃度を一定に保つ(例えば酸素濃度を常にストイキ状態に保つ)ことができる。その結果、リッチガスの検出を可能にしてガス濃度の検出範囲を拡大させると共に、リッチガスからリーンガスへの復帰に際し、ガス濃度出力の応答遅れを改善することができる。
【0066】
かかる場合、自動車のバッテリ電源(単電源)であっても、リッチ領域からリーン領域に至る広範囲な空燃比領域において精度の良いガス濃度検出が実現できるようになる。つまり、印加電圧を正極と負極とで入れ替えなくとも、ガス濃度を広域で検出できる。それ故、空燃比F/B制御等の各種制御が高精度に実施できるようになる。
【0067】
ところで、2セル構造のガス濃度センサについては、前記図1(図23)に示す構成の他、図4に示す構成でも実現できる。ここでは図4及び図5を用い、構成の一部を変更した他のガス濃度センサへの適用例、並びに当該他のセンサを使ったガス濃度検出装置の構成について前記図1との相違点のみを抽出して説明する。
【0068】
図4に示すガス濃度センサ150では前記図1のガス濃度センサ100と比較して、ポンプセルとセンサセルの設置場所が逆になっている。つまり、排ガス中の酸素濃度を検出するためのポンプセル160は多孔質拡散層101と大気ダクト102との間に設けられ、排ガス中のNOx濃度を検出するためのセンサセル170は多孔質拡散層101と排ガス空間との間に設けられる。各セル160,170に設置されるポンプ第1,第2電極161,162及びセンサ第1,第2電極171,172のうち、多孔質拡散層101側のポンプ第1電極161のみが、Au−Pt等、NOxガスに不活性な貴金属で形成される電極(NOxガスを分解し難い電極)であり、その他の電極は白金等、触媒活性の高い貴金属で形成される。ガス濃度センサ150(セル160,170)によるガス濃度の検出原理については既述のセンサ100と同じであるため、その説明を省略する。
【0069】
本構造のガス濃度センサ150についてその出力特性を説明する。排ガスがリーンガスである時、各セル160,170は所定の限界電流特性に従い排ガス中の酸素濃度及びNOx濃度に応じた限界電流を流す。これにより、酸素濃度又はNOx濃度が検出できる(前記図25,図26に同じ)。
【0070】
これに対し、排ガスがリッチガスの場合、センサセル170が多孔質拡散層101と排ガス空間との間に設置されるために、センサセル170では排ガス側から多孔質拡散層101側へ酸素イオンを流すことはできず(負の限界電流を流すことはできず)、限界電流特性は得られない。因みに、リッチガスの場合に負電圧を加えると排ガス中のH2 OやCO等の物質が分解され、酸素イオンがセンサ第1電極171からセンサ第2電極172に排出される。
【0071】
また、ポンプセル160が多孔質拡散層101と大気ダクト102との間に設置されるために、ポンプセル160では大気ダクト102側から多孔質拡散層101側へ酸素イオンが流れ、空燃比のリッチ度合に応じて限界電流特性が得られる。その特性を図6に示す。
【0072】
要するに、リッチガスの場合、ポンプセル160にはその時の空燃比に応じて負の限界電流が流れようとするため、その負電流が流れるよう当該ポンプセル160に適正な電圧を印加しなくてはならない。しかしながら、既述した通りポンプセル160の負側端子として規定されるポンプ第1電極161が前記図28のようにGND接地されると、ポンプセル160に負電流が流せないために多孔質拡散層101にリッチガスが滞留するという不具合が生ずる。
【0073】
そこで本実施の形態では、図5の回路図(制御回路201)に示されるように、ポンプ第1電極161及びセンサ第2電極172をGND(0V)に接地せず、正電圧に浮かすこととする。この構成により、リッチガスの場合にも図6に示すような負電流が流れ(Vb>Vd)、リッチガスの検出が可能となる。その結果、ガス濃度の検出範囲が拡大される。また、多孔質拡散層101内のガス濃度を一定に保つ(例えば酸素濃度を常にストイキ状態に保つ)ことで、リッチガスからリーンガスへの復帰に際し、ガス濃度出力の応答遅れを改善することができる。
【0074】
次に、本発明における第2〜第7の実施の形態を説明する。但し、以下の各実施の形態の構成において、上述した第1の実施の形態と同等であるものについては図面に同一の記号を付すと共にその説明を簡略化する。そして、以下には第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0075】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態におけるガス濃度検出装置を図7を用いて説明する。前記図1の構成との相違点を述べれば、図7の制御回路202では、酸素濃度に応じたポンプセル電流Ipを検出するための電流検出抵抗250が、ポンプセル110及びセンサセル120の共通の負側端子(ポンプ第2電極112,センサ第1電極121)に接続される。
【0076】
本構成の場合、電流検出抵抗250の両端子電圧は電圧Va,Vdとなり、このうち、電圧Vaが固定電圧であるため、電圧Vdのみを検出することでポンプセル電流Ipが検出できる。すなわち、ポンプセル電流Ipは、
Ip=(Va−Vd)/R1
として算出される。前記図3に示す印加電圧制御サブルーチンにおいても、電流検出抵抗250の両端子電圧のうち、片側電圧(Vd)のみをA/D変換して読み取るようにすればよい。つまり、前記図1の構成では電流検出抵抗250の両端子電圧であるVb,Vdが何れも変動するためにVb,Vdの両方を随時検出していたが、図7の構成ではVdのみを検出すればよいこととなる。
【0077】
以上本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様に、ガス濃度の検出範囲が拡大されると共にガス濃度出力の応答遅れが改善できるのは勿論のこと、この優れた効果に加えて、ポンプセル電流Ipの検出のための構成が簡略化できる。
【0078】
但し上記構成の場合、各セル110,120の負側端子が共通であるため、電流検出抵抗250では酸素濃度に応じたポンプセル電流IpとNOx濃度に応じたセンサセル電流Isとの和(Ip+Is)が検出される。この場合、酸素濃度に応じたポンプセル電流Ipを電流検出抵抗250にて検出する時に、センサセル電流Is分だけ誤差が生じる。しかしながら、ポンプセル電流Ipはその検出範囲が「0〜4mA」であるのに対し、センサセル電流Isはその検出範囲が「0〜10μA」であり、検出範囲のオーダーが大きく違うため、センサセル電流Isがポンプセル電流Ipに及ぼす影響は極微小であって支障は無い。
【0079】
次に、前記図4の構成のガス濃度センサ150を適用した場合について図8を用いて説明する。図8の制御回路203では、ポンプセル電流Ipを検出するための電流検出抵抗250が、ポンプセル160及びセンサセル170の共通の負側端子(ポンプ第1電極161,センサ第2電極172)に接続される。本構成の場合、前記図7の装置と同様に、電流検出抵抗250の両端子電圧は電圧Va,Vdとなり、このうち、電圧Vaが固定電圧であるため、電圧Vdのみを検出することでポンプセル電流Ipが検出できる。従って、上記第1の実施の形態と同様に、ガス濃度の検出範囲が拡大されると共にガス濃度出力の応答遅れが改善できるのは勿論のこと、この優れた効果に加えて、ポンプセル電流Ipの検出のための構成が簡略化できる。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態におけるガス濃度検出装置を図9を用いて説明する。図9は、前記図1の構成の一部を変更したものである。
【0081】
本実施の形態では、ポンプセル110及びセンサセル120のインピーダンス検出を要件としている。そして、ガス濃度検出とインピーダンス検出とを同一の装置で実施した時に、インピーダンス検出に起因してガス濃度の検出精度が悪化することの不具合を防止できる構成について提案する。先ずは、インピーダンス検出法の一例を説明すると共に、そのインピーダンス検出により上記不具合が発生する理由を説明する。
【0082】
ポンプセル110を例に取りそのインピーダンス検出法として、掃引法による交流インピーダンスの検出手法を図10を用いて説明する。図10において、時刻t1以前は、V−I特性に基づく印加電圧線(例えば図25のLX1)を用い、その時々のポンプセル電流Ipに応じた印加電圧Vpをポンプセル110に印加する。インピーダンス検出を開始する時刻t1では、その時の印加電圧Vpに対して周波数=数kHz〜数10kHzの交流電圧を印加する。そして、その時の電圧変化量ΔVpと電流変化量ΔIpとからインピーダンスRpを算出する(Rp=ΔVp/ΔIp)。なお、センサセル120についても同様の手法でインピーダンスが検出できる。
【0083】
上記インピーダンスの検出手順を図11のフローチャートを用いて説明する。先ずステップ201では、ポンプセル電流Ipを算出する(Ip=(Vd−Vb)/R1)。続くステップ202では、前回のインピーダンス検出時から所定時間(本実施の形態では、128ms)経過したか否か、すなわちインピーダンス検出のタイミングか否かを判別する。そして、ステップ202がYESであることを条件にステップ203に移り、現在の印加電圧に所定の交流電圧を印加する。ステップ204では、交流電圧の印加に伴う電圧変化量ΔVpと電流変化量ΔIpとをA/D入力値に基づき算出する。次に、ステップ205では、前記の電圧変化量ΔVpと電流変化量ΔIpとからポンプセル110のインピーダンスRpを算出する(Rp=ΔVp/ΔIp)。
【0084】
センサセル120についても同様の手順でインピーダンス検出を行う。図示は省略するが、その概要を略述すれば、先ずセンサセル電流Isを算出する(Is=(Ve−Vc)/R2)。そして、所定時間(例えば128ms)が経過する毎に、その時の印加電圧に対して交流電圧を印加し、電圧変化量ΔVsと電流変化量ΔIsとを算出する。ΔVs値,ΔIs値によりセンサセル120のインピーダンスRsを算出する(Rs=ΔVs/ΔIs)。
【0085】
次に、インピーダンス検出時にガス濃度検出精度が悪化するという不具合について説明する。例えばポンプセル110のインピーダンスRpを「45Ω」、センサセル120のインピーダンスRsを「200Ω」、インピーダンス検出時の交流電圧振幅ΔVを「0.2V」とする。「ΔV=0.2V」は、0〜5Vを処理電圧範囲とする10ビットD/A(又はA/D)の40LSB相当の値であり、これ以上ΔV値を小さくするとインピーダンスの検出精度が悪化すると考えられる値である。
【0086】
ポンプセル110のインピーダンス電流として流れる電流ΔIpは、
ΔIp=0.2V/45Ω=4.44mA
となり、センサセル120のインピーダンス電流として流れる電流ΔIsは、
ΔIs=0.2V/200Ω=1mA
となる。
【0087】
この場合、酸素濃度に応じたポンプセル電流Ipの電流範囲が0〜4mAであれば、ポンプセル電流Ipを検出するための電流検出抵抗250は、0〜8.44mA(ガス濃度電流MAX値+交流電流)をA/Dコンバータの制約である0〜5Vの範囲で検出する必要があり、ガス濃度電流のみを検出する場合に比べ電流検出範囲が広がるために検出精度が悪化する。実際には、約47.4%(=4mV/8.44mV)だけ検出精度が低下すると評価できる。
【0088】
一方、NOx濃度に応じたセンサセル電流Isの電流範囲が−800μA〜10μAであれば、センサセル電流Isを検出するための電流検出抵抗280は、−800〜1010μA(ガス濃度電流+交流電流)をA/Dコンバータの制約である0〜5Vの範囲で検出する必要があり、ガス濃度電流のみを検出する場合に比べやはり電流検出範囲が広がるために検出精度が悪化する。実際には、約44.7%(=810μA/1810μA)だけ検出精度が低下すると評価できる。
【0089】
より具体的に数値を上げて説明する。ポンプセルの印加電圧をMAX1.0V(4mA時)、センサセルの印加電圧を−0.5V(−800μA)〜1.0VA(+10μA)し、インピーダンス検出時にはそれぞれの印加電圧に、0.2Vだけ交流電圧を加算する。A/Dコンバータの読取り電圧が0〜5Vであり、且つ増幅回路240,220,270がバッテリ電圧(例えば12V)で動作するという条件から、出力電圧が0.5〜10Vであれば、A/D入力電圧(Vb,Vd,Vc,Ve)の範囲は0.5V〜5Vとなる。
【0090】
ここで、インピーダンス非検出時と検出時とにおいて、上記の印加電圧条件及びA/D入力電圧条件(0.5〜5V)を成立させるには、以下の(イ)、(ロ)の如く数値設定される。
【0091】
(イ)インピーダンス非検出時
基準電圧Vaの最適値を「3.0V」、電流検出抵抗250の抵抗値R1を「250Ω」、電流検出抵抗280の抵抗値R2を「2.5kΩ」とする。
【0092】
(ロ)インピーダンス検出時
基準電圧Vaの最適値を「2.2V」、電流検出抵抗250の抵抗値R1を「189Ω」、電流検出抵抗280の抵抗値R2を「1.5kΩ」とする。
【0093】
インピーダンス非検出時と検出時とを比較すると、各々の電流検出抵抗250の抵抗値R1が250Ω,189Ωであることから、インピーダンス検出時にはポンプセル電流Ip(酸素濃度)の検出精度が悪化することが分かる(189Ω/250Ω=0.756)。また、各々の電流検出抵抗280の抵抗値R2が2.5kΩ,1.5kΩであることから、インピーダンス検出時にはセンサセル電流Is(NOx濃度)の検出精度が悪化することが分かる(1.5kΩ/2.5kΩ=0.6)。
【0094】
そこで本実施の形態では、ガス濃度検出とインピーダンス検出とを共に行う装置において、ガス濃度の検出精度を極力悪化させない構成を提案する。ガス濃度検出装置の構成を図9に示す。図9の制御回路204について前記図1との相違点を述べれば、ポンプセル110及びセンサセル120の共通の負側端子(ポンプ第2電極112及びセンサ第1電極121の端子)に、新たにインピーダンス検出抵抗350が設置されている。
【0095】
この場合、電流検出抵抗250は酸素濃度に応じた電流のみを検出し、ポンプセル110のインピーダンスに応じた交流電流を検出しない。また、電流検出抵抗280はNOx濃度に応じた電流のみを検出し、センサセル120のインピーダンスに応じた交流電流を検出しない。そして、交流電圧印加時の電流はインピーダンス検出抵抗350の両端子電圧Vf−Vaで検出される。
【0096】
本構成の場合、前記(イ)、(ロ)で設定した各設計値のうち、(イ)の数値、すなわちインピーダンス非検出時の数値がそのまま適用できる。具体的には、Va=3.0V、R1=250Ω、R2=2.5kΩであればよく、その他抵抗350の抵抗値は200Ωであればよい。つまり、電流検出抵抗250,280はインピーダンス検出時の交流電流成分を検出する必要がないため、それに制約されて電流値が小さくされることはなく、インピーダンス検出に伴いガス濃度の検出精度が悪化されることはない。
【0097】
ここで、インピーダンス検出時の各端子電圧のMAX値を記載する。ポンプセル110のインピーダンス検出時において、ポンプセル電流がMAX4mAの時の印加電圧=1V、インピーダンス検出用交流電圧=0.2Vの場合(但し、センサセル電流=0mA)、
Va=3.0V
Vb=4.2V(=3V+1V+0.2V)
Vd=6.31V(=(4mA+4.44mA)×250Ω+4.2V)
Vf=1.312V(=3V−(4mA+4.44mA)×200Ω)
となる。なお、Vdは5Vを超えるが、インピーダンス検出時はVd電圧は読まないため問題無い。5Vクランプ回路を付ければ、A/Dコンバータが破損することも無い。
【0098】
一方、センサセル120のインピーダンス検出時において、センサセル電流がMAX10μAの時の印加電圧=1V、インピーダンス検出用の交流電圧=0.2Vの場合(但し、ポンプセル電流=0mA)、
Va=3.0V
Vc=4.2V(=3V+1V+0.2V)
Ve=6.73V(=(10μA+1mA)×2.5kΩ+4.2V)
Vf=2.798V(=3V−(10μA+1mA)×200Ω)
となる。なお、Veは5Vを超えるが、インピーダンス検出時はVe電圧は読まないため問題無い。5Vクランプ回路を付ければ、A/Dコンバータが破損することもない。
【0099】
以上本実施の形態によれば、既述の効果に加えて、以下に示す新たな効果が得られる。つまり、ガス濃度検出とインピーダンス検出とを実施する装置において、各セル110,120の正側端子にはガス濃度検出用の電流検出抵抗250,280を接続すると共に、各セル110,120の負側端子にはインピーダンス検出用の抵抗350を接続したので、ガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約されるといった既述の不都合が回避される。従って、インピーダンス検出を行いつつ、その時のガス濃度検出精度の低下を抑制することができる。
【0100】
次に、前記図4の構成のガス濃度センサ150を適用した場合について図12を用いて説明する。図12の制御回路205について前記図5との相違点を述べれば、ポンプセル160及びセンサセル170の共通の負側端子(ポンプ第1電極161,センサ第2電極172)に、インピーダンス検出抵抗350が設けられる。この場合、インピーダンス検出時における交流電流の変化がインピーダンス検出抵抗350により検出される。これに対し、電流検出抵抗250は酸素濃度に応じた電流のみを検出し、ポンプセル160のインピーダンスに応じた交流電流を検出しない。また、電流検出抵抗280はNOx濃度に応じた電流のみを検出し、センサセル170のインピーダンスに応じた交流電流を検出しない。
【0101】
従って、ガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約されるといった既述の不都合が回避され、インピーダンス検出を行いつつ、その時のガス濃度検出精度の低下を抑制することができる。
【0102】
(第4の実施の形態)
上記第3の実施の形態(図9の装置)の一部を変更した第4の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるガス濃度検出装置の構成を図13に示す。
【0103】
図13の制御回路206について前記図9との相違点を述べれば、ポンプセル110及びセンサセル120の共通の負側端子(ポンプ第2電極112,センサ第1電極121)に、インピーダンス検出抵抗350は設置されていない。その代わりに、電流検出抵抗250の両端子電圧を増幅する差動増幅回路300が設置されると共に、電流検出抵抗280の両端子電圧を増幅する差動増幅回路310が設置される。そして、例えば酸素濃度に応じたポンプセル電流Ip及びポンプセルのインピーダンス検出電流を、差動増幅回路300の出力Vgにより検出する。また、NOx濃度に応じたセンサセル電流Is及びセンサセルのインピーダンス検出電流を、差動増幅回路310の出力Vhにより検出する。
【0104】
具体的な数値例を上げて説明する。図13に示した構成では、前記第3の実施の形態で説明した(イ)の数値、すなわちインピーダンス非検出時の数値がそのまま適用できる。具体的には、Va=3.0V、R1=250Ω、R2=2.5kΩであればよい。このとき、既述した印加電圧条件、検出電流条件及びA/D入力電圧条件(0.5〜5V)が成立する。つまり、電流検出抵抗250,280はインピーダンス検出時の交流電流成分を検出することに制約されて抵抗値が小さくされることはなく、インピーダンス検出に伴いガス濃度の検出精度が悪化することはない。
【0105】
ここで、インピーダンス検出時の各端子電圧のMAX値を記載する。ポンプセルのインピーダンス検出時において、ポンプセル電流がMAX4mAの時の印加電圧=1V、インピーダンス検出用の交流電圧=0.2Vの場合、Va=3.0V、Vb=4.2V、Vd=6.31Vとなる(但し、センサセル電流=0mA)。なおVdは5Vを超えるが、差動増幅回路300により、
Vg=(Vd−Vb)×β1
で処理する。β1は差動増幅回路300の増幅率であり、β1値の設定によりA/Dコンバータの入力電圧(Vg電圧)が5V以下に制限される。
【0106】
一方、センサセルのインピーダンス検出時において、センサセル電流がMAX10μAの時の印加電圧=1V、インピーダンス検出用の交流電圧=0.2Vの場合、Va=3.0V、Vc=4.2V、Ve=6.73Vとなる(但し、ポンプセル電流=0mA)。なおVeは5Vを超えるが、差動増幅回路310により、
Vh=(Ve−Vc)×β2
で処理する。β2は差動増幅回路310の増幅率であり、β2値の設定によりA/Dコンバータの入力電圧(Vh電圧)が5V以下に制限される。
【0107】
また、差動増幅回路310を単電源(バッテリ電源)で動作させた場合、リッチガス時に負のセンサセル電流が流れるとその負電流が増幅できない。そのため、差動増幅回路310にオフセットを与えておき、負電流の検出も可能とするとよい。また他の方法として、電流検出抵抗280の両端子電圧Ve,Vcをそれぞれ、マイコンで直接読み取るようにしてもよい。
【0108】
以上本実施の形態によれば、前記第3の実施の形態と同様に、インピーダンス検出のためにガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約されるといった不都合が回避される。従って、インピーダンス検出を行いつつ、その時のガス濃度検出精度の低下を抑制することができる。
【0109】
次に、前記図4の構成のガス濃度センサ150を適用した場合について図14を用いて説明する。図14の制御回路207について前記図12との相違点を述べれば、ポンプセル160及びセンサセル170の共通の負側端子(ポンプ第1電極161,センサ第2電極172)に、インピーダンス検出抵抗350は設置されていない。その代わりに、電流検出抵抗250の両端子電圧を増幅する差動増幅回路300が設置されると共に、電流検出抵抗280の両端子電圧を増幅する差動増幅回路310が設置される。そして、例えば酸素濃度に応じたポンプセル電流Ip及びポンプセルのインピーダンス検出電流を、差動増幅回路300の出力Vgにより検出する。また、NOx濃度に応じたセンサセル電流Is及びセンサセルのインピーダンス検出電流を、差動増幅回路310の出力Vhにより検出する。
【0110】
以上図14の構成によれば、インピーダンス検出のためにガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約されるといった不都合が回避される。従って、インピーダンス検出を行いつつ、その時のガス濃度検出精度の低下を抑制することができる。
【0111】
(第5の実施の形態)
前記図23の構造のガス濃度センサ100でリッチガスが検出される場合、酸素は大気ダクト102からセンサセル120を介して多孔質拡散層101に供給され、その後、多孔質拡散層101で拡散律速されて所定の限界電流特性を呈する筈である。しかしながら、多孔質拡散層101に供給される酸素の一部は、同拡散層101で拡散律速されつつ図の左側から排出され、他の酸素はポンプセル110を介して排ガスに排出される。つまり、ポンプセル110を介して排出される酸素が存在するために、リッチガスに伴うセンサセル電流が大き目の値を示してしまう(拡散律速が小さくなってしまう)。すなわち、ポンプセル特性が干渉し、正確な検出ができない。以上のことからリッチガス検出の際、センサセル120とポンプセル110とが干渉し、検出精度が悪化してしまう。
【0112】
そこで本実施の形態では上記問題を解消すべく、リッチガスの検出に際し、ポンプセル110の印加電圧を強制的に0Vとする。これにより、ポンプセル110の干渉を防止し、ガス濃度検出精度の確保を図る。
【0113】
ガス濃度検出装置の構成は図1を流用する。そして、図1の構成において、印加電圧指令回路290内のマイクロコンピュータにて図15に示す処理を実行する。図15の処理は、前記図3の印加電圧制御サブルーチンに組み込まれて実行されればよい。
【0114】
ステップ301では、センサセル電流Isを算出する(Is=(Ve−Vc)/R2)。続くステップ302では、センサセル電流Isが負電流かどうかを判別する。もし正電流であればそのまま本処理を終了する。また、負電流であれば、ステップ303に進んでポンプセルへの印加電圧を0Vとし、ポンプセル電流Ipが流れないようにする。印加電圧=0Vであれば図25中の原点の電圧を印加することになり、ポンプセル110には殆ど電流が流れない。つまり、多孔質拡散層101側からポンプセル110を介して排ガス側への酸素イオンの流れが強制的に停止される。
【0115】
上記構成によれば、排ガスがリッチガスである時に、大気ダクト102側(基準ガス側)から多孔質拡散層101側へセンサセル120を介して酸素が流入する量と、多孔質拡散層101側へ流入した酸素が拡散律速される量とが一致する。これにより、リッチガス時においてセンサセル120に流れる負電流がポンプセル110に干渉されることなく、リッチガス検出の際の検出精度を確保することができる。
【0116】
次に、前記図4の構成のガス濃度センサ150を適用した場合について説明する。図4の構造のガス濃度センサ150でリッチガスが検出される場合、酸素は大気ダクト102からポンプセル160を介して多孔質拡散層101に供給され、その後、多孔質拡散層101で拡散律速されて限界電流特性を呈する筈である。ところが、センサセル特性が干渉し、多孔質拡散層101に供給された酸素の一部は同拡散層101で拡散律速されつつ図の左側から排出され、他の酸素はセンサセル170を介して排ガスに排出される。従って、センサセル170を介して排出される酸素が存在するために、リッチガスに伴うポンプセル電流は大き目の値を示してしまう(拡散律速が小さくなってしまう)。
【0117】
そこで上記問題を解消すべく、リッチガスの検出に際し、センサセル170の印加電圧を強制的に0Vとする。これにより、センサセル170の干渉を防止し、ガス濃度検出精度の確保を図る。
【0118】
ガス濃度検出装置の構成は図5を流用する。そして、図5の構成において、印加電圧指令回路290内のマイクロコンピュータにて図16に示す処理を実行する。図16の処理は、前記図3の印加電圧制御サブルーチンに組み込まれて実行されればよい。
【0119】
ステップ311では、ポンプセル電流Ipを算出する(Ip=(Vd−Vb)/R1)。続くステップ312では、ポンプセル電流Ipが負電流かどうかを判別する。もし正電流であればそのまま本処理を終了する。また、負電流であれば、ステップ313に進んでセンサセルへの印加電圧を0Vとし、センサセル電流Isが流れないようにする。印加電圧=0VであればV−I特性上の原点の電圧を印加することになり、センサセル170には殆ど電流が流れない。つまり、多孔質拡散層101側からセンサセル170を介して排ガス側への酸素イオンの流れが強制的に停止される。
【0120】
上記構成によれば、排ガスがリッチガスである時に、大気ダクト102側(基準ガス側)から多孔質拡散層101側へポンプセル160を介して酸素が流入する量と、多孔質拡散層101側へ流入した酸素が拡散律速される量とが一致する。これにより、リッチガス時においてポンプセル160に流れる負電流がセンサセル170に干渉されることなく、リッチガス検出の際の検出精度を確保することができる。
【0121】
(第6の実施の形態)
上記第5の実施の形態では、セル間の干渉防止を図るべく、リッチガス検出時にポンプセル110の印加電圧を強制的に0Vとしたが、本実施の形態ではこの構成を変更し、ポンプセル端子を開放することでポンプセルの干渉防止を図る。
【0122】
ガス濃度検出装置の構成を図17に示す。図17の制御回路208について前記図1との相違点を述べれば、ポンプセル110の印加電圧を制御する増幅回路240の出力端子にスイッチ回路320が追加して設けられる。このとき、ポンプセル110は、多孔質拡散層101側から排ガス側への酸素イオンの流れを制御するためのセルに相当する。スイッチ回路320は通常ON状態で使用され、印加電圧制御回路290(マイクロコンピュータ)のデジタルポートにより制御される。スイッチ回路320は、センサセル120に負電流が流れた場合(リッチガスの場合)、ポンプセル110のポンプ第1電極111を開放するために使われ、同電極111を開放することでポンプセル110への印加電圧がなくなる。
【0123】
本実施の形態における印加電圧指令回路290(マイクロコンピュータ)による処理を図18のフローチャートを用いて説明する。図18の処理は前記図15の処理に代えて実行される。
【0124】
ステップ401では、センサセル電流Isを算出する(Is=(Ve−Vc)/R2)。ステップ402では、センサセル電流Isが負電流かどうかを判別する。負電流であった場合、ステップ403では、ポンプセル110への印加電圧を開放状態にするためにスイッチ回路320を開放とする旨の信号を出力し、ポンプセル電流Ipが流れないようにする。
【0125】
また、センサセル電流Isが正電流であれば、ステップ404でスイッチ回路320を接続状態とする旨の信号を出力し、ステップ405でポンプセル電流Ipを算出する(Ip=(Vd−Vb)/R1)。その後、ステップ406では、図25に示す印加電圧線LX1を用いその時のポンプセル電流Ipに応じてポンプセル110の印加電圧を制御する。
【0126】
上記構成によれば、排ガスがリッチガスである時に、多孔質拡散層101側からポンプセル110を介して排ガス側への酸素イオンの流れが強制的に停止され、大気ダクト102側(基準ガス側)から多孔質拡散層101側へセンサセル120を介して酸素が流入する量と、多孔質拡散層101側へ流入した酸素が拡散律速される量とが一致する。従って、前記第5の実施の形態と同様に、リッチガス時においてセンサセル120に流れる負電流がポンプセル110に干渉されることなく、リッチガス検出の際の検出精度を確保することができる。
【0127】
次に、前記図4の構成のガス濃度センサ150を適用した場合について説明する。ガス濃度検出装置の構成を図19に示す。図19の制御回路209について前記図5との相違点を述べれば、センサセル170の印加電圧を制御する増幅回路270の出力端子にスイッチ回路330が追加して設けられる。このとき、センサセル170は、多孔質拡散層101側から排ガス側への酸素イオンの流れを制御するためのセルに相当する。スイッチ回路330は通常ON状態で使用され、印加電圧制御回路290(マイクロコンピュータ)のデジタルポートにより制御される。スイッチ回路330は、ポンプセル160に負電流が流れた場合(リッチガスの場合)、センサセル170のセンサ第1電極171を開放するために使われ、同電極171を開放することでセンサセル170への印加電圧がなくなる。
【0128】
本実施の形態における印加電圧指令回路290(マイクロコンピュータ)による処理を図20のフローチャートを用いて説明する。図20の処理は前記図16の処理に代えて実行される。
【0129】
ステップ411では、ポンプセル電流Ipを算出する(Ip=(Vd−Vb)/R1)。ステップ412では、ポンプセル電流Ipが負電流かどうかを判別する。負電流であった場合、ステップ413では、センサセル170への印加電圧を開放状態にするため、スイッチ回路330を開放とする旨の信号を出力し、センサセル電流Isが流れないようにする。
【0130】
また、ポンプセル電流Ipが正電流であれば、ステップ414でスイッチ回路330を接続状態とする旨の信号を出力し、ステップ415でセンサセル電流Isを算出する(Is=(Ve−Vc)/R2)。その後、ステップ416では、図26に示す印加電圧線LX2を用いその時のセンサセル電流Isに応じてセンサセル170の印加電圧を制御する。
【0131】
上記構成によれば、排ガスがリッチガスである時に、多孔質拡散層101側からセンサセル170を介して排ガス側への酸素イオンの流れが強制的に停止され、大気ダクト102側(基準ガス側)から多孔質拡散層101側へポンプセル160を介して酸素が流入する量と、多孔質拡散層101側へ流入した酸素が拡散律速される量とが一致する。従って、前記第5の実施の形態と同様に、リッチガス時においてポンプセル160に流れる負電流がセンサセル170に干渉されることなく、リッチガス検出の際の検出精度を確保することができる。
【0132】
(第7の実施の形態)
上記各実施の形態では、2セル構造のガス濃度センサについてその具体例を示したが、それ以外の構造のセンサにも具体化できる。以下には、3セル構造のガス濃度センサとそのガス濃度検出装置への適用例を説明する。
【0133】
図21を参照しつつ3セル構造のガス濃度センサと同センサを用いたガス濃度検出装置の構成を説明する。ガス濃度センサ400は、排ガス中の酸素を排出することで酸素濃度を検出するポンプセル410と、酸素分圧を検知するリファレンスセル430と、NOxガスを分解しその酸素イオンを排出することでNOx濃度を検出するセンサセル420とを有する。
【0134】
エンジンから排出された排ガスは、第1多孔質拡散層401を介して第1チャンバ405に導入される。ポンプセル410は、リファレンス第1電極431とリファレンス第2電極432との間の電圧によりモニタしたリファレンスセル430の電圧に基づき、第1チャンバ405内に存在する酸素をNOxが分解しないレベルで汲み出し制御する。すなわち、ポンプ第1電極411とポンプ第2電極412との間に電圧を印加することで酸素が汲み出され、この時に流れる電流を計測することで酸素濃度が検出される。
【0135】
酸素を汲み出された排ガスは、第2多孔質拡散層404を介して第2チャンバ406に導入される。第2チャンバ406内に存在するNOxガスは、センサセル420を用いて分解し汲み出されるように制御される。すなわち、センサ第1電極421とセンサ第2電極422との間に電圧を印加することでNOxガスが汲み出され、この時に流れる電流値を計測することでNOx濃度が検出される。
【0136】
制御回路450において、ポンプセル410及びリファレンスセル430の共通の負側端子(ポンプ第2電極412,リファレンス第1電極431)には基準電圧Vgを生成するための基準電圧回路460が接続される。これにより、各セル410,430の負側端子は、GND電圧(0V電圧)よりも浮かせて構成される。リファレンスセル430の起電圧、すなわちリファレンス第1,第2電極431,432の電位差はリファレンス第2電極432から出力され、信号VLとしてポンプセル410を制御するための増幅回路452の反転入力端子に入力される。
【0137】
同じく増幅回路452の反転入力端子には、抵抗455を介して一定の電圧源454が接続されている。この場合、リファレンス第2電極432(VLの信号線)には一定の電圧源454から抵抗455を介して電流が供給され、リファレンス第2電極432周りは一定の酸素濃度となるように制御される。
【0138】
増幅回路452の非反転入力端子には基準電圧を生成する電源451が接続されており、信号VLに応じてポンプセル410の印加電圧が制御される。増幅回路452の出力端子には、抵抗453を介してポンプ第1電極411が接続される。排ガス中の酸素濃度に応じてポンプセル410に流れる電流は抵抗453により検出される。
【0139】
例えば第1チャンバ405内の排ガスがリーンである程(酸素が多く含まれる状態)、リファレンスセル430の起電力は低減され、リファレンス第2電極432の電圧(信号VL)は低下する。増幅回路452の反転入力端子が下降するため、増幅回路452の出力端子電圧Viが上昇し、ポンプセル410の印加電圧Vhも上昇する。従って、第1チャンバ405内の酸素をポンプセル410を介して排ガス側(図の上側)に排出する。この場合、抵抗453の両端子電圧Vi,Vhからポンプセル電流Ipが計測される。
【0140】
Ip=(Vi−Vh)/R11
但し、R11は抵抗453の抵抗値である。そして、ポンプセル電流Ipから排ガス中の酸素濃度が検出される。
【0141】
また、第1チャンバ405内の排ガスの酸素濃度が非常に低い場合、リファレンスセル430の起電力が上昇し、リファレンス第2電極432の電圧(信号VL)が上昇する。増幅回路452の反転入力端子が上昇するため、増幅回路452の出力端子電圧Viは下降し、ポンプセル410の印加電圧Vhも下降する。従って、第1チャンバ405内の酸素の排出が少なく、抵抗453の両端子電圧Vi,Vhから計測されるポンプ電流により排ガス中の酸素濃度が検出できる。
【0142】
一方、排ガス中の酸素を排出された後のガスは第2多孔質拡散層404を介して第2チャンバ406に導入される。センサセル420のセンサ第1電極421はセンサセルに印加電圧を与える電源457のマイナス端子に接続され、電源457のプラス端子には抵抗458を介してセンサ第2電極422が接続される。センサセル420に電圧が印加されると、同センサセル420はNOxガスを分解し、酸素イオンを第2チャンバ406から排出する。この場合、抵抗458の両端子電圧Vk,Vjからセンサセル電流Isが計測される。
【0143】
Is=(Vk−Vj)/R12
但し、R12は抵抗458の抵抗値である。そして、センサセル電流Isから排ガス中のNOx濃度が検出される。
【0144】
本実施の形態の装置では、ポンプセル410及びリファレンスセル430により第1セルが構成され、センサセル420により第2セルが構成される。また、第2チャンバ406により基準ガス室が構成される。
【0145】
以上図21の装置においても、ポンプセル410及びリファレンスセル430の負側端子(ポンプ第2電極412,リファレンス第1電極431)を0V電圧から浮かすことで、各セルにおいて負電流を流すことが可能となり、リーンガスの場合のみならず、リッチガスに対しても第1チャンバ405内のガス濃度を一定に保つ(例えば酸素濃度を常にストイキ状態に保つ)ことができる。その結果、リッチガスの検出を可能にしてガス濃度の検出範囲を拡大させると共に、リッチガスからリーンガスへの復帰に際し、ガス濃度出力の応答遅れを改善することができる。
【0146】
また、第2〜第6の実施の形態(図7,図9,図13,図17等)に記載の特徴的な構成を組み合わせて実現することで、
・ポンプセル電流Ipの検出のための構成が簡略化できる。
・ガス濃度検出とインピーダンス検出とを実施する装置において、ガス濃度検出時の電流出力に応じた電圧範囲が制約されるといった既述の不都合が回避され、インピーダンス検出を行いつつ、その時のガス濃度検出精度の低下を抑制することができる。
・排ガスがリッチガスである時に、セル間での出力干渉が防止でき、リッチガス検出の際の検出精度を確保することができる。
等の優れた効果が得られる。
【0147】
なお、本発明は、上記以外に次の形態にて具体化できる。
上記各実施の形態では、マイクロコンピュータを用いて印加電圧指令回路290を構成したが、同回路290をハードウエアにより回路構成してもよい。印加電圧指令回路290の回路構成を図22に示す。但し、印加電圧指令回路290内のポンプ電圧指令回路230とセンサ電圧指令回路260とは同一構成で実現できるため、図22にはポンプ電圧指令回路230の構成のみを図示する。
【0148】
図22において、ポンプ電圧指令回路230は、基準電圧回路241、増幅回路242、増幅抵抗245,246、LPF(ローパスフィルタ)243及び電流検出回路247で構成される。電流検出回路247は、ポンプセル電流Ipを検出するための電流検出抵抗250の両端子電圧Vd,Vbを取り込み、同電流検出回路247で処理された電圧(Vd−Vb)が増幅回路242の非反転入力端子に出力される。増幅回路242の反転入力端子は、増幅率を決定するための増幅抵抗245及び246に接続される。増幅回路242の出力端子には、抵抗243a及びコンデンサ243bからなる一次のLPF243が接続され、そのLPF243を介して指令電圧Vbが出力される。
【0149】
かかる場合、図25に示す印加電圧線LX1に沿った印加電圧がポンプセル110に印加される。ここで、基準電圧回路241は印加電圧線LX1のオフセット電圧(0mA時の印加電圧)を生成し、増幅回路242と増幅抵抗245,246は印加電圧線LX1の傾き(ポンプセル電流増大に伴う印加電圧の増大)を生成する。印加電圧線LX1によればポンプセル電流Ipの増大に伴い印加電圧が増大するといった、ポジティブフィードバックの系ができ、出力する印加電圧が発振しようとするが、LPF243をフィードバック系の途中に設けることで印加電圧の発振が防止される。以上のような構成及び作用により、本装置の印加電圧制御をハードウエアにより実施することも可能となる。
【0150】
例えば第1の実施の形態における図1の構成では、ポンプセル110及びセンサセル120の共通の負側端子(ポンプ第2電極112,センサ第1電極121)に基準電圧回路210及び増幅回路220が接続され、各セル110,120の負側端子をGND電圧(0V電圧)よりも浮いた基準電圧Vaとしたが、センサセル120側の負側端子(センサ第1電極121)のみについてGND電圧(0V電圧)よりも浮かす構成としてもよい。また例えば図5の構成では、ポンプセル160側の負側端子(ポンプ第1電極161)のみについてGND電圧(0V電圧)よりも浮かす構成とすればよい。要は、第1,第2セル(ポンプセル,センサセル)のうち、基準ガス室(大気ダクト102)に面するセルの負側端子を0V電圧から浮かす構成であれば、既述の優れた効果が得られる。
【0151】
上記第5の実施の形態では、排ガスがリッチガスである時に、多孔質拡散層101側から排ガス側への酸素イオンの流れをなくすべく、該当する第1又は第2セルへの印加電圧を0Vに調整したが、該当するセルの酸素イオンの流れをなくす構成であれば、必ずしも「0V」にしなくてもよい。実際には、各セルのV−I特性に応じて0V近傍の電圧に調整すればよい。
【0152】
上記各実施の形態では、2セル構造又は3セル構造のガス濃度センサ(NOxセンサ)について具体化したが、他の構成のガス濃度センサについても任意に具体化できる。要は、被検出ガスを導入するための拡散層に対向し、電圧印加に伴い拡散層内の被検出ガス中の余剰酸素を排出しつつその酸素濃度に応じた電流を流す第1セル(ポンプセル)と、同じく前記拡散層に対向し、電圧印加に伴い余剰酸素排出後のガス成分から特定成分の濃度に応じた電流を流す第2セル(センサセル)とを備え、第1,第2セルの少なくとも一方が基準ガス室に面して設けられるガス濃度センサであれば任意に適用できる。
【0153】
また、上記実施の形態におけるガス濃度センサでは、ガス導入部として多孔質拡散層を用いたが、ガス導入部としてはこの構成に限定されず、スリットやスルーホールにてガス導入部を構成するものでもよい。
【0154】
酸素濃度とNOx濃度とを検出可能なガス濃度センサの他、酸素濃度と、HC濃度又はCO濃度とを検出可能なガス濃度センサにも適用できる。HC濃度又はCO濃度を検出する場合、ポンプセルにて排ガス(被検出ガス)中の余剰酸素を排出し、センサセルにて余剰酸素排出後のガス成分からHC又はCOを分解する。これにより、酸素濃度に加え、HC濃度又はCO濃度が検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図2】印加電圧指令回路の構成を示す図。
【図3】印加電圧制御サブルーチンを示すフローチャート。
【図4】ガス濃度センサの構成を示す要部断面図。
【図5】ガス濃度検出装置の全体構成図。
【図6】ガス濃度センサのポンプセル特性を説明するためのV−I特性図。
【図7】第2の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図8】第2の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図9】第3の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図10】インピーダンス検出手順を説明するために使う波形図。
【図11】インピーダンス検出サブルーチンを示すフローチャート。
【図12】第3の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図13】第4の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図14】第4の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図15】第5の実施の形態において印加電圧制御処理の一部を示すフローチャート。
【図16】第5の実施の形態において印加電圧制御処理の一部を示すフローチャート。
【図17】第6の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図18】第6の実施の形態において印加電圧制御処理の一部を示すフローチャート。
【図19】第6の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図20】第6の実施の形態において印加電圧制御処理の一部を示すフローチャート。
【図21】第7の実施の形態においてガス濃度検出装置の全体構成図。
【図22】印加電圧指令回路の構成を示す回路図。
【図23】ガス濃度センサの構成を示す要部断面図。
【図24】ガス濃度センサの動作原理を説明するための図。
【図25】ガス濃度センサのポンプセル特性を説明するためのV−I特性図。
【図26】ガス濃度センサのセンサセル特性を説明するためのV−I特性図。
【図27】ガス濃度センサのセンサセル特性を説明するためのV−I特性図。
【図28】従来技術においてガス濃度検出装置の構成図。
【符号の説明】
100,150…ガス濃度センサ、110,160…第1セルとしてのポンプセル、120,170…第2セルとしてのセンサセル、101…ガス導入部としての多孔質拡散層、102…基準ガス室としての大気ダクト、210…基準電圧生成手段としての基準電圧回路、250,280…電流検出抵抗、290…電圧印加手段としての印加電圧指令回路、300,310…差動増幅回路、320,330…スイッチ回路、350…インピーダンス検出抵抗、400…ガス濃度センサ、401…第1多孔質拡散層、404…第2多孔質拡散層、406…基準ガス室としての第2チャンバ、410…第1セルとしてのポンプセル、420…第2セルとしてのセンサセル、430…第1セルとしてのリファレンスセル、460…基準電圧生成手段としての基準電圧回路。

Claims (9)

  1. 被検出ガスを導入するためのガス導入部に対向し、電圧印加に伴いガス導入部内の被検出ガス中の余剰酸素を排出しつつその酸素濃度に応じた電流を流す第1セルと、同じく前記ガス導入部に対向し、電圧印加に伴い余剰酸素排出後のガス成分から特定成分の濃度に応じた電流を流す第2セルとを備え、前記第1,第2セルの少なくとも一方が基準ガス室に面して設けられるとともに、それら第1セルから流れる電流及び第2セルから流れる電流を各別の抵抗を介して検出する複合型ガス濃度センサを用いるガス濃度検出装置において、
    前記ガス導入部側から第1セルを介して余剰酸素が排出される時に正側端子となる前記第1又は第2セルの端子に接続され、当該セルにより検出される電流値に応じて設定される電圧を当該セルに印加する電圧印加手段と、
    前記第1,第2セルのうち、前記基準ガス室に面するセルの負側端子に接続され、被検出ガスがリッチガスである時に前記ガス導入部の内部をストイキ状態に保つように該負側端子を0V電圧から浮かすための基準電圧生成手段と
    を備えることを特徴とするガス濃度検出装置。
  2. 被検出ガスを導入するためのガス導入部に対向し、電圧印加に伴いガス導入部内の被検出ガス中の余剰酸素を排出しつつその酸素濃度に応じた電流を流す第1セルと、同じく前記ガス導入部に対向し、電圧印加に伴い余剰酸素排出後のガス成分から特定成分の濃度に応じた電流を流す第2セルとを備えるとともに、それら第1セルから流れる電流及び第2セルから流れる電流を各別の抵抗を介して検出する複合型ガス濃度センサを用いるガス濃度検出装置において、
    前記ガス導入部側から第1セルを介して余剰酸素が排出される時に正側端子となる前記第1又は第2セルの端子に接続され、当該セルにより検出される電流値に応じて設定される電圧を当該セルに印加する電圧印加手段と、
    前記第1及び第2セルの負側端子に接続され、被検出ガスがリッチガスである時に前記ガス導入部の内部をストイキ状態に保つように該負側端子を0V電圧から浮かすための基準電圧生成手段と
    を備えることを特徴とするガス濃度検出装置。
  3. 前記基準電圧生成手段は、被検出ガス中の酸素が欠乏する時に前記電圧印加手段により印加される電圧値よりも高い値となる基準電圧を前記第1,第2セルの負側端子に印加することが可能な請求項1又は請求項2に記載のガス濃度検出装置。
  4. 前記ガス濃度センサには単電源により電圧が印加される請求項1〜請求項3のいずれかに記載のガス濃度検出装置。
  5. 自動車の排出ガスを検出するガス濃度検出装置であり、前記ガス濃度センサには車載バッテリにより電圧が印加される請求項4に記載のガス濃度検出装置。
  6. 前記第1及び第2セルの正側端子にはガス濃度を検出するための電流検出抵抗が接続されると共に、前記第1及び第2セルの負側端子には当該セルのインピーダンスを検出するための電流検出抵抗が接続される請求項1〜請求項5のいずれかに記載のガス濃度検出装置。
  7. 前記第1及び第2セルの正側端子にはガス濃度を検出するための電流検出抵抗が接続されると共に、該電流検出抵抗の両端電圧が増幅回路に入力されてその電圧範囲が前記増幅回路の増幅率にて制限される請求項1〜請求項5のいずれかに記載のガス濃度検出装置。
  8. 被検出ガスがリッチガスである時に、前記ガス導入部と被検出ガス側との間のセルを介してガス導入部側から被検出ガス側へ流れる酸素イオンをなくすべく、該当する第1又は第2セルへの印加電圧を調整する請求項1〜請求項7のいずれかに記載のガス濃度検出装置。
  9. 前記ガス導入部側から被検出ガス側への酸素イオンの流れを制御するための第1又は第2セルに、電気経路を開放又は閉鎖するためのスイッチ回路を接続し、
    被検出ガスがリッチガスである時に、前記ガス導入部と被検出ガス側との間のセルを介してガス導入部側から被検出ガス側へ流れる酸素イオンをなくすべく、前記スイッチ回路を開放する請求項1〜請求項7のいずれかに記載のガス濃度検出装置。
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