JP3721651B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体インクを用いるインクジェット記録方式の機器で使用される記録媒体に関し、更に詳しくは画像の解像度、色再現性、鮮明性、インク吸収性、表面強度に優れたインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラーハードコピーの需要が広まってきている。とりわけノンインパクト記録方式の一種であるインクジェット記録方式は、高速、低騒音であることと、現像工程を必要としない直接記録であること、比較的簡便な装置でカラー記録が可能であることの理由から急速に普及してきた。
【0003】
特に多色インクジェット方式の応用分野として、製版方式の多色印刷にとっては数量的にコスト高となる少量印刷の分野への応用の取り組みがなされており、カラー写真方式の画像と比較しても遜色のないフルカラー高精細画像をより高速に出力できることが求められている。
【0004】
インクジェット方式で被記録材に記録をする場合には、一般に、記録しようとする原画像を均等に細分割し、この細分割された画像一つ一つを画素とし、記録時に1つのインクドットあるいは複数のインクドットで構成することで被記録材上に再現する。より高精細な画像を再現しようとする場合、より細かく画像を分割して画素数を増し被記録材上の情報量を多くする必要があるが、画像を構成するに必要なインクドットの数が増えてしまい全画像を出録するに要する時間が長くなってしまう。つまり高精細画像記録、特にフルカラー高精細画像記録においては、記録速度が大きなネックとなっている。
【0005】
この問題に対して記録装置技術からのアプローチは、ノズルをより小さくしインク粒子を小さくしノズル密度を上げ、同時にドット吐出ヘッドの周波数(単位時間当たりの吐出回数)を上げて、高速化と高精細化の両立が図られている。
【0006】
インク技術の側からは、より小インク滴を高速周波数下においても安定して吐出させる為に、粒子化の過程で液滴の表面を生成するに要するエネルギーが少ない表面張力の低いインクが用いられることとなった。
【0007】
ところで、より高精細のフルカラー画像を被記録材上に再現するには、被記録材上のドットの記録濃度を高く、ドット径を小さく、ドットの形状が均一で且つ、高密度に隣接する色の異なるインクドットの混色を抑える必要がある。インク液滴は極めて高速に被記録材表面上に打ち込まれるが、被記録材上でゴム毬がつぶれたような偏平状となって表面積を広げることにより液滴の持っている運動エネルギ−を吸収したあとに、被記録材に付着し、更に被記録材内部へと浸透してドットを形成する。高速記録に対応するインクは表面張力が低いので、いっそう偏平状に表面積を広げることで運動エネルギ−を吸収するが、大きく広がったインク滴のすぐに隣りにインク滴が打ち込まれて、被記録材表面でインク滴同士が接触してインクが混ざり合い、得られる画像の再現性が低下してしまう傾向にある。
【0008】
このようなフルカラー高精細画像記録を高速に記録する為の、記録装置技術およびインク技術の対応に合わせて、記録用紙に対しても、より高度な記録特性が要求されるようになった。また記録物の使用環境等の多様化したことで高度な用紙物性も要求されるようになった。
【0009】
即ち、このような記録用紙に求められる特性とは、
(1)インクの吸収性が十分に高く、インクの重ね合わせ記録部分に於いても滲みや汚れが発生しないこと
(2)インクドットの横方向のへの拡散が必要以上大きくなく周辺のぼやけがなく、且つ均一なこと
(3)インクドットの濃度が高く、鮮明であること
(4)インクドットの真円性が高いこと
(5)記録媒体表面が擦られたり、記録媒体が折り曲げれたりしてもインク受理層が剥落しないことである。
【0010】
これらの要求を満たすために、従来から幾つかの提案がなされてきた。
【0011】
たとえば塗工タイプのものとして特開昭62−158084号公報や特開昭57−107879号公報には、合成微粒シリカのような吸収性の優れた顔料を主成分とするインク受理層を基紙表面に設けて高いインク吸収性と記録濃度を持たせたインクジェット記録媒体が開示されている。この場合、高速高精細記録に対応しようと、よりかさ高な顔料を用て空隙量と空隙率を高める方法が取られているが、インク受理層の強度低下を招き、紙粉の発生や画像の剥離などの使用上の問題を起こしてしまう。
【0012】
また非塗工タイプのものとして、吸収性とインクドットの滲みを改良するために特開昭53−49113号公報には、尿素−ホルマリン樹脂を内添したシートに水溶性高分子を含浸させたインクジェット記録用紙が、また特開昭58−110288号公報には合成微粒シリカを紙に抄き込んだインクジェット記録用紙が開示されている。これらは填料が紙に抄き込まれているいるのでインク吸収性と表面強度とが確保されているものの、パルプ繊維が用紙表面に露出していることからドット形状やドットの大きさが不均一でフルカラー高精細記録に対応しきれない。
【0013】
また、インクに対する被記録材の濡れ特性を改善するために特開昭60−171190号公報には、界面活性剤を塗料に含有させ、インク吸収層を設けるインクジェット記録用紙が開示されているが、インク滴は被記録材により早く浸透して隣接するインクが紙面上で接触して混ざりあうことは少なくなるものの、高速記録に対応するインクは表面張力の低いことからインク滴が被記録材内部に浸透する時にドット径が目的とする径より大きくなるうえ、表面張力の低いインクにおいては浸透が急激に進行するために不均一な形状のドットを形成したり、被記録材内部の奥深く浸透してドット記録濃度が低くなり、目的のフルカラー高精細画像が得られなくなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上の如く従来技術では、フルカラー画像を高精細に記録できる解像度と、高速に記録できる十分なインク吸収性と、実用上問題ないレベルの表面強度等の特性を十分に満足していないのが現状であった。
【0015】
即ち本発明は、高速高精細フルカラー記録に対応できる画像の解像度、色再現性、鮮明性、インク吸収性、表面強度に優れたインクジェット記録媒体を提供せんとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
インクジェット記録において、インクジェットヘッドより吐出されたインク液滴は、記録媒体の表面に衝突・付着後、記録媒体の表面での拡張と記録媒体内部への浸透とを起こして最終的に記録ドットを形成し、フルカラー再現に必要となる高密度記録時には、極めて微細な色の違うインク滴が近接する為に、記録媒体表面のミクロな組織構造や表面化学的特性がインク滴の拡張と浸透に大きく影響して、得られる記録画像品位に大きな影響を及ぼす。
【0017】
本発明者等はインクジェット記録のかかる原理と、上記目的を勘案して鋭意検討した結果、インクジェット記録媒体を、支持体上に多孔性インク吸収層を設け更にその上に表面コート層形成した被記録材において、該表面コート層が平均粒子径0.25μm以下、Tg15℃以上のアクリル樹脂エマルジョンを主成分として含有する構成とすることにより、多孔性インク吸収層のミクロなインク吸収特性をアクリル樹脂エマルジョンを主成分とする表面コート層でコントロールして、安定した記録特性とインク吸収性とを確保し、画像の解像度、色再現性、鮮明性、インク吸収性、表面強度に優れたものとすることができ本発明を完成させるに到った。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録媒体の支持体は特に限定されることはなく、例えば天然パルプ紙、合成パルプ紙、布、不織布、有孔性フィルム、フィルムなどが用いられる。支持体の厚みと坪量は、記録装置中の搬送性を考慮して選択され、一般的に厚みは30〜250μm、坪量は30〜200g/m2 が用いられる。多孔性インク吸収層は、顔料とバインダーから成る塗料を支持体表面に一層以上塗布して形成する。顔料は多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等の多孔性無機顔料を主成分として、必要に応じ製紙分野で使用される白色顔料である軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、クレー、タルク、マイカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機顔料、プラスチックピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料を併用する。本発明の目的には、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質がシリカが好ましい。
【0019】
またこれら顔料を接着するバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチン、ポリアクリル酸塩、マレイン酸アルキレン共重合物塩、シリル変性ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス、アクリル−エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス等のエマルジョンが使用される。さらに、その他の添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐水化剤等を適宜添加することができる。これら顔料、バインダー、その他の添加剤からなる塗料を、支持体上に2〜40g/m2 、好ましくは3〜20g/m2 塗工して多孔性インク吸収層とする。
【0020】
多孔性インク吸収層を構成する主成分である上記多孔性顔料とバインダーの配合比率(P/B)は、重量比で7/2〜3/2の割合が好ましい。この範囲であれば多孔性によるインク吸収性と表面強度あるいは表面コート層の塗工適性の双方を満足することができる。
【0021】
本発明の表面コート層に用いられるアクリル樹脂エマルジョンは、従来公知の乳化重合法、すなはち、分散媒(例えば、水など)にモノマー混合物、重合開始剤、乳化剤、および水溶性重合連鎖移動剤などを加えて乳化重合を行うことによって得られる。
【0022】
該モノマー混合物は(A)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ハキサデシル等のアクリル系モノマーを主成分とし、必要に応じて(B)1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,Nジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物およびメタクリルアミド化合物、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、α−クロルアクリルニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸、マタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物などの他、架橋能のある(C)ジビニルベンゼンなどが適宜混合されて用いられる。
【0023】
該重合開始剤は、特に制限されるものではなく、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過硫酸塩、例えばクメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーオキサイドなどの有機過酸化物、例えばアゾビスイソブチルニトリルなどのアゾ系の開始剤、上記過硫酸塩などと重亜硫酸ナトリウムや硫酸第一鉄などを組み合わせたレドックス系重合開始剤等を使用することができる。
【0024】
該乳化剤として、一般に、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系界面活性剤、例えばラウリルベタイン、ステアリルベタインの塩などの両性界面活性剤などが挙げられる。乳化剤の使用量は、全単量体混合成分100部に対して通常0.05〜2部程度である。これを越えて極端に多くなると記録解像度の良化効果が損なわれる。
【0025】
乳化重合としては、シード重合法、ノーシード重合法のいずれも使用可能である。
【0026】
本発明においてアクリル樹脂エマルジョンのガラス転移温度と平均粒子径は重要であって、ガラス転移温度は15℃以上、エマルジョンの粒径は0.25μm以下でなければ本発明の目的を達成することができず、更にガラス転移温度は、15〜50℃、エマルジョンの粒径は0.05〜0.20μmが好ましい。ガラス転移温度(Tg)はこれらモノマー混合比や架橋分子の導入量により、平均粒子径は乳化剤の種類、添加量撹拌条件により調整することができる。
【0027】
表面コート層は上記アクリル樹脂エマルジョンを主成分とする塗料を多孔性インク吸収層上に塗布して形成する。エマルジョンは単独でも複数を混合使用してもよいが、全表面コート層形成成分100重量部のうち50重量部以上、好ましくは70部重量以上とすることが好ましい。アクリル樹脂エマルジョン以外に、公知の白色顔料、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、クレー、タルク、マイカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、サチンホワイト、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の白色無機顔料、プラスチックピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の白色有機顔料を用いることができる。これらの顔料の中では、インク吸収層と同様に、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナが好ましく、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。表面コート層の塗布量は、0.5〜1.0g/m2 の範囲で選択され、これ以上ではインクの乾燥性が極端に低下し、またこれ以下ではドット形状が損なわれる。より好ましくは0.6〜0.8g/m2 である。
【0028】
塗布方法としては、特に限定はなく公知の技術が使える。例えばサイズプレス、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、グラビヤコーターなどが使用される。
【0029】
また必要に応じて含浸および塗布処理後に、記録媒体の表面性をコントロールするために、金属ロール、コットンロール、樹脂ロールおよび、それらの組み合わせによる表面処理を行う場合もある。
【0030】
【実施例】
以下に好ましい実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。又、実施例に於いて示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
【0031】
本発明の課題のうち、画像の解像度はドット径と円形度係数に関係し、鮮明性は印字濃度、円形度係数、ドット混色に関係し、色再現性はドット混色とベタ部の均一性および全体としての目視で評価することができる。
【0032】
なおインクジェット記録シートの記録適性の測定は、下記方法に従って行った。
【0033】
記録装置:キャノン製PIXCEL JET(インクジェットフルカラーコピー機、解像度400dpi)を用いた。
【0034】
1)印字濃度:画像電子学会カラーテストチャートNO.22を原図として、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ記録行い、マクベス記録濃度計(モデル:Macbeth RD915)にて測定した。
【0035】
2)円形度係数:画像電子学会カラーテストチャートNO.11を原図として記録を行い、記録画像中のシアンの単独ドットについて画像解析装置(ピアス株式会社製PIAS−III )を用いて面積ならびに周囲長を実測し、下式に従い円形度係数を算出した。
【0036】
円形度係数={(4π)×(実測面積)}÷(実測周囲長)2
1に近づくほど円形、1より遠ざかるほど(<1)円形でなくなる。
【0037】
3)ドット径:画像電子学会カラーテストチャートNO.11を原図として記録を行い、記録画像中のシアンの単独ドットについて画像解析装置を用いて面積を実測し、下式に従い面積値で等価となる真円の直径を計算しドット径とした。
【0038】
ドット径={(4/π)×(実測面積)}1/2
4)ドット混色:画像電子学会カラーテストチャートNO.11を原図として記録を行い、記録画像中の色違いのドット同士が接しあう境界部の混色程度を実体顕微鏡で観察して、下記の評価点を付けた。
【0039】
○:境界部の切れが良い
△:境界部形状がギザギザしている
×:境界部が互いの色が混ざりあいぼやけている
5)ベタ部均一性:画像電子学会カラーテストチャートNO.22を原図としてブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン、レッド、ブルーそれぞれのベタ、ハーフトーンの記録を行い、目視評価し下記の評価点を付けた。
【0040】
◎:均一
○:ハーフトーン記録部分にやや濃度ムラが観察される
△:ハーフトーン記録部分に濃度ムラが観察される
×:ベタ記録部分に粒立ちや白抜け、濃度ムラが観察される
6)フルカラー画像再現性:画像電子学会カラーテストチャートNO.11を原図として記録を行い、フルカラー画像部を目視評価し、下記の評価点を付けた。
◎:細部にわたり画像を再現している
○:インク打ち込み量の多いソリッド部の隣接部や、インク打ち込み量の多いハーフトーン部の再現性が悪く、インク打ち込み量の多い画像部位の奥行き感に欠ける
△: ソリッド部の隣接部や、ハーフトーン部の再現性が悪く、画像部位の奥行き感に欠け、インク量の比較的多い部分に境界が強調される起こる偽輪郭が観察される
×:ハーフトーン部の階調再現性も悪く、ハイライト部にも偽輪郭が観察される7)インク吸収性:画像電子学会カラーテストチャートNO.22を原図とし記録装置のインク打ち込み量を最大量(装置濃度調節目盛りMAX)となるように設定して記録し、インク吸収不良時に起こる記録画像と排紙ロールの接触時の画像汚れを観察した。
【0041】
◎:インク吸収性が良好で鮮明な画像が得られている
○:インク吸収良好であるが、排紙直後にインク量の多い部分に照りが観察される
△:インク量の多い部分の未吸収のインクが排紙ロールによって画像上に引き延ばされインク量の多い部分の像がやや膨れて見える
×:ロールに転移した未吸収のインクが画像に再転写し、画像が著しく損なわれる
8)表面強度:記録部分を折り曲げ、プラスチック定規で2回しごいて、塗工層の脱落の程度を評価した。
【0042】
○:脱落なし
△:やや脱落するが、記録部は残存
×:塗工層が完全に脱落して、記録部が欠落
[実施例1]
LBKP(濾水度320mlcsf)80部、NBKP(濾水度390mlcsf)から成る木質パルプ、軽質炭酸カルシウム20部、及び分子量400万の市販ポリアクリルアミド0.02部を含有する紙料を調製後、長網抄紙機にて抄造し、支持体を得た。得られた支持体は坪量60g/m2 であった。
【0043】
多孔性顔料として沈降法シリカ(トクヤマ株式会社製 ファインシールX−37)100部とバインダーとしてポリビニルアルコール(株式会社クラレ製 PVA117)の10%溶液500部、水100部を混合した塗料を調製し、上記の支持体に塗布乾燥し、塗布量5g/m2 の多孔性インク吸収層を設けた。
【0044】
更に多孔性インク吸収層上に、アクリルエマルジョンA(Tg22℃、平均粒子径0.08μm)の分散液をメイヤーバー#4で塗布後、熱風乾燥機110°Cで乾燥し、塗布量0.8g/m2 の表面コート層を設けてインクジェット記録媒体を得た。
【0045】
[実施例2]
実施例1のアクリルエマルジョンAに代えて、アクリルエマルジョンB(Tg40°C、平均粒子径0.08μm)を塗布、塗布量0.9g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0046】
[実施例3]
実施例1のアクリルエマルジョンAに代えて、アクリルエマルジョンC(Tg35℃、平均粒子径0.15μm)を塗布、塗布量1.0g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0047】
[実施例4]
実施例1記載の支持体上に、多孔性顔料として沈降法シリカ(トクヤマ株式会社製 ファインシールX−37)100部とバインダーとしてポリビニルアルコール(株式会社クラレ製 PVA117)の10%水溶液500部、ポリエチレンイミン(BASF株式会社製 POLYMIN−P)50%水溶液10部、水100部を混合した塗料を調製し、塗布乾燥し、塗布量6g/m2 の多孔性インク吸収層を設けた。
【0048】
更に多孔性インク吸収層上に、アクリルエマルジョンAの30%分散液100部、γ−アルミナ(大明化学製タイミクロンTM−300)10部、水1000部を混合した塗料を調製し、メイヤーバー#4で塗布後、熱風乾燥機110℃で乾燥し、塗布量1.0g/m2 の表面コート層を設けてインクジェット記録媒体を得た。
【0049】
[比較例1]
実施例1のアクリルエマルジョンAに代えて、アクリルエマルジョンD(Tg−20℃、平均粒子径0.08μm)を塗布、塗布量0.7g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0050】
[比較例2]
実施例1のアクリルエマルジョンAに代えて、アクリルエマルジョンE(Tg0℃、平均粒子径0.08μm)を塗布、塗布量0.8g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0051】
[比較例3]
実施例1のアクリルエマルジョンAに代えて、アクリルエマルジョンF(Tg40℃、平均粒子径0.5μm)を塗布、塗布量0.8g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0052】
[比較例4]
実施例1のアクリルエマルジョンAの分散液をメイヤーバー#4にて塗布し、塗布量0.3g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0053】
[比較例5]
実施例1のアクリルエマルジョンAをメイヤーバー#8にて塗布し、塗布量1.3g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0054】
[比較例6]
実施例1のアクリルエマルジョンAに代えて、スチレンブタジエンエマルジョンF(Tg15℃、平均粒子径0.16μm)を塗布、塗布量0.7g/m2 の表面コート層を設けた以外は、実施例1と同様にインクジェット記録媒体を得た。
【0055】
実施例1〜4の構成及び評価結果を表1に、比較例1〜4の構成及び評価結果を表2に、比較例5〜6の構成及び評価結果を表3にそれぞれ示した。これらの表から、本発明のインクジェット記録媒体は各色の印字濃度バランス、ドットの円形度計数、ドットの径、ドットを重ねたときの混色の程度、ベタ印字部の均一性、目視によるフルカラー画像再現性がよく、鮮明で色再現性が良い画像を再現できたことがわかる。また、インク乾燥性(吸収性)に優れ、記録媒体の表面強度も強いことから、取り扱いやすい実用に適したインクジェット記録媒体が得られたことがわかる。
【0056】
【表1】
【表2】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
本発明の構成を採ることにより、インクジェット記録画像の解像度、色再現性、鮮明性、インク吸収性が優れ、取り扱いやすい優れた表面強度を有するインクジェット記録媒体を得ることができた。
Claims (2)
- 支持体上に多孔性インク吸収層を設け、更にその上に平均粒子径0.25μm以下、Tg15℃以上のアクリル樹脂エマルジョンを主成分として含有する表面コート層を、塗布量0.5〜1.0g/m2 の範囲で形成したことを特徴とする水性インクジェット記録媒体。
- 該多孔性インク吸収層が、多孔性シリカ(P)とポリビニルアルコール(B)を主成分とし、その比率(P/B)が固形分重量比で7/2から3/2の範囲である請求項第1項記載の水性インクジェット記録媒体。
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1996
- 1996-09-06 JP JP23702896A patent/JP3721651B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011093412A1 (ja) | 2010-01-27 | 2011-08-04 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | インクジェットインキ受容層形成用コート剤、それを用いた記録媒体及び印刷物 |
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Publication number | Publication date |
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JPH1081061A (ja) | 1998-03-31 |
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