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JP3754148B2 - 板材打抜き加工方法及び同方法に使用するパンチ金型 - Google Patents

板材打抜き加工方法及び同方法に使用するパンチ金型 Download PDF

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JP3754148B2 JP26193996A JP26193996A JP3754148B2 JP 3754148 B2 JP3754148 B2 JP 3754148B2 JP 26193996 A JP26193996 A JP 26193996A JP 26193996 A JP26193996 A JP 26193996A JP 3754148 B2 JP3754148 B2 JP 3754148B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板材の打抜き加工方法および同方法に使用するパンチ金型に係り、さらに詳細には、板材の打抜き加工を行った打抜き孔の表裏両面にダレを生ぜしめて、打抜き加工時のバリの発生を防止した打抜き加工方法及び同方法に使用するパンチ金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パンチとダイとによって板材の打抜き加工を行うと、ダイ側の下面(裏面)にバリが発生する。上記バリは、作業者や製品を傷付けることがあるので、バリ取り装置によってバリの除去を行うことがある。
【0003】
また、前記バリの発生を抑制するために、ダイにおけるダイ孔の周縁部に上方向へ僅かに突出した突出部を形成した構成もある。この構成は、板材の打抜き加工時に環状の上記突出部を板材の下面に喰い込ませて、打抜き孔の下縁部のバリの発生を抑制するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
板材の打抜き加工を行った後に、バリ取り装置を用いてバリの除去を行う構成においてはバリ取り装置の設備が余分に必要であり、スペース的および費用的な問題がある。
【0005】
また、ダイにおけるダイ孔の周縁部に僅かな突出部を形成する構成においては、上記突出部の摩耗が激しく、ダイの寿命に問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、請求項1に記載の発明は、パンチとダイによって板材の打抜き加工を行うに当って、板材の打抜き加工を行う打抜き加工孔の裏面に予めダレを形成すると共に表面にガイド孔を加工する第1工程と、上記ダレを周縁とすべく前記板材の表面側からパンチによって打抜きを行うとき、当該パンチに備えた突出部を前記ガイド孔に係合して打抜きを行う第2工程とにより、前記打抜き加工孔の周縁の表裏両面にダレを生ぜしめる板材の打抜き加工方法である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の板材の打抜き加工方法における前記第1工程に使用するパンチ金型であって、パンチヘッドと一体的に設けたパンチガイドにパンチボディを上下動可能に設け、このパンチボディの下端中央部に、板材の表面にガイド孔を加工するためのガイド孔加工部を突出して設け、前記パンチガイドの上部側の適宜位置と前記パンチボディとの間に弾性部材を介在してなるパンチ金型である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の板材の打抜き加工方法における前記第2工程に使用するパンチ金型であって、パンチガイドの下部側に上下動可能に支持された下部パンチボディに備えたパンチチップの下端部に、板材の打抜き加工を行うための切刃部を備えると共に板材の表面に予め形成されたガイド孔に係合可能の突出部を設け、前記パンチガイドの上部側に上下動可能に支持された上部パンチボディと前記下部パンチボディとを遊動連結してなるパンチ金型である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、パンチとダイとによって板材(ワーク)に打抜き加工を行うに当って、打抜き加工を行う打抜き加工孔の裏面(下面)に予めダレを発生せしめ(第1工程)、その後に、上記ダレが打抜き孔の周縁になるようにワークの表面側(上面側)から打抜き加工を行って(第2工程)、打抜き加工孔の周縁の表裏両面にダレを発生せしめる打抜き加工方法である。
【0010】
上述のように、打抜き加工孔の周縁の表裏両面にダレを発生せしめることによって、打抜き加工時におけるバリの発生を防止することができるものである。
【0011】
既に理解されるように、本発明の打抜き加工方法は2工程に亘る加工方法である。そこで、第1工程、第2工程に使用される金型の構成について説明する。
【0012】
図1は、第1工程に使用されるパンチ金型1とダイ3とを示す。図1において、パンチ金型1は、パンチプレスにおけるパンチホルダ5に上下動可能に支持されており、ダイ3はダイホルダ7に支持されている。上記パンチホルダ5、ダイホルダ7は、例えばタレットパンチプレスにおける上下のタレットが相当する。
【0013】
前記パンチ金型1は、複数のリフタスプリング9を介してパンチホルダ5に上下動可能に支持された筒状のパンチガイド11を備えており、このパンチガイド11内には、下端面の中央部にガイド孔加工部13を突出して備えたパンチチップ15を下部に備えたパンチボディ16が上下動可能に内装されている。
【0014】
上記ガイド孔加工部13は、板材(ワークW)の裏面(下面)にダレを予め生ぜしめるときにワークWの上面にガイド孔を加工するためのものであって、その形状は、図1に示すように、円錐形状であることが望ましい。しかし、例えば角錐形状、円柱形状など種々の形状とすることが可能である。
【0015】
前記パンチガイド11の上部側にはパンチヘッドホルダ17が例えばボルト等のごとき適宜の固定具(図示省略)を介して一体的に固定されている。そして、このパンチヘッドホルダ17の上端部にはパンチヘッド19が上下に位置調節可能に螺着してある。
【0016】
そして、前記パンチガイド11の上部側の適宜位置、本実施例においては一体的に設けた上記パンチヘッドホルダ17の下端部と前記パンチボディ16の上端部との間には、例えばコイルスプリング、皿ばねやウレタンゴム等のごとき適宜の弾性部材27が介在してある。
【0017】
前記ダイ3は、前記パンチチップ15に対向して上方向へ突出した突出部31Pを備えたダイ本体31を備えており、このダイ本体31上には、前記突出部31Pを囲繞したリング状のエジェクタ33が上下動可能に設けられている。このエジェクタ33とダイ本体31との間の複数箇所には、エジェクタ33を常に上方向へ付勢するためのスプリングのごとき弾性部材35が弾装してあり、かつエジェクタ33の複数箇所には、ダイ本体31を貫通したストッパボルト37が螺着してある。
【0018】
ところで、図1においては、パンチチップ15の下端部の直径(加工穴が円形の場合)又は幅(加工穴が非円形の場合)の寸法Aとダイ本体31の突出部31Pの直径又は幅の寸法Bとの関係は、寸法A<寸法Bとしてある。なお、寸法Aと寸法Bとを等しくしても良いものである。
【0019】
図2は第2工程に使用されるパンチ金型41である。なお、第2工程に使用されるダイは、ワークWの打抜き加工に使用される一般的なダイと同一の構成であるから、ダイについての説明は省略する。さらに、図2に示すパンチ金型41において、前記パンチ金型1と同一機能を奏する構成部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0020】
前記パンチ金型1と上記パンチ金型41との相違は、パンチガイド11に上下動可能に嵌合された上部パンチボディ21Uと当該上部パンチボディ21Uの上部に螺着したパンチヘッド23との間にストリッパスプリング25を弾装し、かつ上部パンチボディ21Uの下端部と下部パンチボディ21Lの上端部とを遊動連結し、さらにパンチガイド11に対して下部パンチボディ21Lが僅かに傾斜可能なように、パンチガイド11の内周面との間に僅かの間隙を形成した構成である。
【0021】
より詳細には、上記下部パンチボディ21Lの下部に一体に備えたパンチチップ15の直径又は幅の寸法Cは、前記パンチ金型1におけるパンチチップ15の直径又は幅の寸法Aよりは大きく、前記ダイ本体31における突出部31Pの寸法Bより僅かに小さく設けてある。このパンチチップ15の下端面の中央部には、前記パンチ金型1のパンチチップ15の突出部13によってワークWに形成されたガイド孔に係合可能の突出部13Aが設けてあると共に、下端面の周縁には切刃部15Cが形成してある。 前記下部パンチボディ21Lの上端部には、前記上部パンチボディ21Uとの連結部21Tが突設してあり、この連結部21Tの上端にはフランジ21Fが形成してある。そして、上記下部パンチボディ21Lの大径部とパンチガイド11の内周面との間には僅かな間隙CLが形成してある。
【0022】
上記間隙CLの範囲において、下部パンチボディ21Lが径方向に移動可能、傾斜可能であるように、前記上部パンチボディ21Uの下端部に形成した連結凹部21C内に前記フランジ21Fを係合してある。なお、連結部21Tと連結凹部21Cは相対的なものであって、上下のパンチボディのどちらに設けても良いものである。
【0023】
上記構成により、下部パンチボディ21Lは上部パンチボディ21Uに対して径方向に僅かに移動可能、傾斜可能に連結してある。すなわち、下部パンチボディ21Lと上部パンチボディ21Uとは遊動連結してある。
【0024】
なお、下部パンチボディ21Lと上部パンチボディ21Uとを遊動連結する構成としては、ワークWの打抜き加工を行うための打抜き力が上部パンチボディ21Uから下部パンチボディ21Lへ伝達される構成であって、かつ上部パンチボディ21Uに対して下部パンチボディ21Lが移動可能,傾斜可能の構成であれば良く、図2に例示した構成に限るものではない。
【0025】
以上のごとき構成において、前記ダイ本体31におけるエジェクタ33上にワークWを配置した後、パンチプレスにおけるストライカ(図示省略)によってパンチ金型1におけるパンチヘッド19を押圧すると、先ず、リフタスプリング9に抗してパンチ金型1全体が下降され、パンチガイド11の下面がワークWの上面に当接する。
【0026】
その後、前記ストライカをさらに下降せしめると、ダイ3における弾性部材35に抗してエジェクタ33が下降されるので、ダイ本体31の突出部31Pが相対的に上方向へ突出する態様になり、パンチガイド11がさらに強力に押圧されると、図3に示すように、ダイ本体31における突出部31Pがワークの下面に対して喰い込む態様となり、上記突出部31Pの周囲においてワークWの下面にダレDLが発生する。また、ワークWの上面には、パンチチップ15の下端面の中央部に備えたガイド孔加工部13によってガイド孔GHが加工される。
【0027】
この際、ダイ本体31の突出部31PがワークWの下面に喰い込むことによってワークWの上面に押し出し部WPが上方向へ突出しても突出しなくても良いものである。要は、第1工程においては、ワークWの下面にダレDLが形成され、上面にガイド孔GHが加工されれば良いものである。
【0028】
上述のごとく、ワークの下面にダレDLを形成し上面にガイド孔GHを加工した後、ワークWの上記加工部を第2のパンチ金型41に対応して相対的に位置決めする(タレットパンチプレスにおいては、ワークWに対してタレットを旋回してパンチ金型41の割出し位置決めを行う)。
【0029】
その後、前記ストライカによってパンチ金型41のパンチヘッド23を押圧すると、パンチ金型41全体が下降され、パンチガイド11がダイ45との間にワークWを押圧固定し、上記ダイ45とパンチチップ15との協働によってワークWに打抜き加工が行われる。この際、打抜き加工孔PHの下端周縁には前記第1工程において加工されたダレDLが形成されており、打抜き加工孔PHの上端周縁には打抜き加工によって新たな小さなダレDLが形成される。
【0030】
すなわち、ワークWの打抜き加工孔PHの上下両面(表裏両面)にはダレDLが発生した状態にあって、打抜き加工時のバリの発生が防止される。
【0031】
ところで、第2工程の加工時に、第1工程において加工されたガイド孔GHの軸心とパンチ金型41におけるパンチチップ15の軸心とに僅かな心ずれがある場合には、第2工程の打抜き加工時に、前記ガイド孔GHにパンチチップ15の突出部13Aが係合してガイド孔GHに倣うことにより前記僅かな心ずれが訂正される態様となり、ガイド孔GHを中心とする打抜き加工が行われる。
【0032】
ところで、第1工程の加工時に、ブランクを上方向へ突出するようにハフーブブランキング加工を行い、その後に、第2工程においてブランクを下方向へ押し出すように加工することもできる。この場合、ハーフフブランキング加工時にワークの上面にバリを生じる可能性があるので、第2工程におけるパンチ金型41におけるパンチチップ15の下端部の寸法Cは、第1工程のパンチ金型1におけるパンチチップ15の下端部の寸法Aより僅かに大きくすることが望ましい。このように、第1工程に使用するパンチ金型1のパンチチップ15の下端部の寸法Aよりも第2工程に使用する寸法Cを大きくすることにより、第1工程においてワーク上面にバリが発生した場合であっても、上記バリもを同時に打抜き加工することとなり、上面へのバリの発生を無くすることができるものである。
【0033】
また、第2工程の金型として、図4に示すように、シェービング刃部43Bを周囲に備えたシェービング金型43を用いることも可能である。この場合は、打抜き加工を行うと共に打抜き加工穴のシェービング加工をも行うことになり、抜きカスWPおよびシェービング抜きカスWSを生じるが、打抜き加工穴の加工精度の向上を図ることができるものである。
【0034】
ところで、本発明は前述のごとき実施形態に限ることなく、その他の態様でも実施可能である。すなわち、第1工程に使用するパンチ金型1において、パンチボディ16を上下動不能に固定する構成とすることも可能である。また、パンチボディ16を省略し、パンチガイド11の下面を穴のない平面となし、その中央部にガイド孔加工部13を設ける構成とすることも可能である。
【0035】
さらに、パンチガイド11をパンチヘッドホルダ17と一体的なロッド状となし、パンチボディ16を、上記ロッド状のパンチガイド11を嵌入した底付きの筒状に形成する。すなわち、図1に示す構成においてはパンチガイド11内にパンチボディ16が位置するが、この内外の位置関係を逆にすることも可能である。そして、筒状に形成したパンチボディの下面中央にガイド孔加工部13を設けた構成とすることも可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、請求項1に記載の発明によれば、板材の両面にバリを生じることなく打抜き加工を行うことができる。したがって、バリ取り加工が不要となり、生産性が向上するものである。
【0037】
請求項2に記載の発明によれば、ワークの下面にダレを形成するとき、ワークの上面にガイド孔を加工することができ、次工程において打抜き加工を行うときのパンチチップの心出しに供することができる。この際ワークの板厚が種々変る場合であっても弾性部材が圧縮されることによって容易に対応することができる。
【0038】
請求項3に記載の発明によれば、突出部が予め形成されたガイド孔に係合することとなり、僅かに心ずれがある場合であってもガイド孔に倣って心ずれの修正が行われる態様となって打抜き加工が行われるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1工程の加工を行うパンチ金型及びダイの断面説明図である。
【図2】第2工程の加工を行うパンチ金型の断面説明図である。
【図3】板材の打抜き加工状態を示す説明図である。
【図4】板材の打抜き加工状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1,41 パンチ金型
3 ダイ
11 パンチガイド
13 ガイド孔加工部
15,15A パンチチップ
17,17A パンチボディ
27 弾性部材
31 ダイ本体
31P 突出部
31A 突出部
33 エジェクタ

Claims (3)

  1. パンチとダイによって板材の打抜き加工を行うに当って、板材の打抜き加工を行う打抜き加工孔の裏面に予めダレを形成すると共に表面にガイド孔を加工する第1工程と、上記ダレを周縁とすべく前記板材の表面側からパンチによって打抜きを行うとき、当該パンチに備えた突出部を前記ガイド孔に係合して打抜きを行う第2工程とにより、前記打抜き加工孔の周縁の表裏両面にダレを生ぜしめることを特徴とする板材の打抜き加工方法。
  2. 請求項1に記載の板材の打抜き加工方法における前記第1工程に使用するパンチ金型であって、パンチヘッドと一体的に設けたパンチガイドにパンチボディを上下動可能に設け、このパンチボディの下端中央部に、板材の表面にガイド孔を加工するためのガイド孔加工部を突出して設け、前記パンチガイドの上部側の適宜位置と前記パンチボディとの間に弾性部材を介在してなることを特徴とするパンチ金型。
  3. 請求項1に記載の板材の打抜き加工方法における前記第2工程に使用するパンチ金型であって、パンチガイドの下部側に上下動可能に支持された下部パンチボディに備えたパンチチップの下端部に、板材の打抜き加工を行うための切刃部を備えると共に板材の表面に予め形成されたガイド孔に係合可能の突出部を設け、前記パンチガイドの上部側に上下動可能に支持された上部パンチボディと前記下部パンチボディとを遊動連結してなることを特徴とするパンチ金型。
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