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JP3682918B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
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    • B60C11/12Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロック又はリブに少なくとも1本のサイプを形成したトレッドパターンを備える空気入りタイヤに関し、特にスタッドレスタイヤとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スタッドレスタイヤのアイス性能を向上させる目的で、タイヤパターンの各部(センター部、メディエイト部、ショルダー部)に複数のサイプを配置したものが知られている。かかるサイプの形状としては、サイプの深さ方向に形状が変化しない平面又は波型のサイプが従来は一般的であった。このようなサイプをブロックに形成することにより、エッジ効果、除水効果、及び凝着効果が向上するため、サイプの本数は近年増加する傾向にあった。
【0003】
しかし、サイプの本数を増やしてサイプ密度を高めていくと、エッジ数は増えるものの、ブロック全体の剛性が低下してブロック片(又はサイプ)が過度に倒れ込むことにより、逆にエッジ効果が小さくなり、また接地面積も小さくなり、アイス性能も低下するという問題が生じる。このため、サイプの形状を深さ方向で変化させて、サイプの倒れ込みを抑制した、いわゆる3次元サイプが近年注目されている。
【0004】
これまで3次元サイプの形状としては、種々のものが提案されている。例えば、特開昭59−193306号公報には、波型サイプの振幅をサイプの深い部分ほど小さくしたものが提案されている。また、特開平11−208223号公報には、サイプの波状部分又はジグザグ状部分の波長を、タイヤ表面からサイプ最深部側へと徐々に短くして、サイプの深い部分ほどサイプ長さが長くなるようにした空気入りタイヤが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のサイプでは、波型サイプの全ての頂部(凹凸のピークを結ぶ直線)が踏面に垂直であるため、ブロック片が倒れ込む際に、十分な係合作用が得られず、ブロックの倒れ込み防止効果が殆ど得られない。その結果、アイス路面での制動性能や耐偏摩耗性能が不十分となる。
【0006】
また、後者のサイプでは、波型サイプの一部の頂部が踏面に垂直でないため、ブロック片が倒れ込む際に、十分な係合作用が得られるものの、次のような問題が生じる。即ち、サイプの最深部の波長が短くサイプ長さが長いため、ブロック片が倒れ込む際に、サイプの頂部に応力が集中し易く、一般耐久力試験において、応力集中によるブロック片のちぎれ(チャンクアウト)が生じ易いことが判明した。
【0007】
そこで、本発明の目的は、波型サイプの長所を生かしつつ、ブロックの倒れ込みを適度に抑制できるため、アイス路面での制動性能や耐偏摩耗性能が良好で、しかも耐久性に優れる空気入りタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明は、ブロック又はリブに少なくとも1本のサイプを形成したトレッドパターンを備える空気入りタイヤにおいて、前記サイプは、タイヤ表面側からサイプ最深部側へと波長を徐々に長くした波状部分又はジグザグ状部分を有すると共に、前記波状部分又はジグザグ状部分の振幅を、タイヤ表面側からサイプ最深部側へと徐々に小さくしてあることを特徴とする。
【0010】
[作用効果]
本発明によると、サイプの波状部分又はジグザグ状部分の波長を、タイヤ表面からサイプ最深部側へと徐々に長くしているため、サイプの一部の頂部(凹凸のピークを結ぶ直線)が傾斜するため、ブロック片が倒れ込む際に、十分な係合作用が得られる。また、サイプの最深部の波長が長いため形状が緩やかに変化するため、ブロック片が倒れ込む際に応力が分散されて、応力集中によるチャンクアウトが生じ難い。その結果、波型サイプの長所を生かしつつ、ブロックの倒れ込みを適度に抑制できるため、アイス路面での制動性能や耐偏摩耗性能が良好で、しかも耐久性に優れた空気入りタイヤとなる。
【0011】
前記波状部分又はジグザグ状部分の振幅を、タイヤ表面側からサイプ最深部側へと徐々に小さくしてあるため、サイプの最深部の形状変化が更に小さくなるので、応力集中によるチャンクアウトが更に生じ難くなり、タイヤの耐久性をより向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の空気入りタイヤは、図1に示すように、ブロック1又はリブに少なくとも1本のサイプ10を形成したトレッドパターンTを備える。本実施形態では、周方向溝2と横溝3,5と斜溝4により区分されたブロック1が形成され、タイヤ幅方向に6列のブロック1が配列されている例を示す。
【0013】
各々のブロック1には、タイヤ幅方向に向けて複数列のサイプ10が形成されており、各々のサイプ10の両端は、ブロック1に隣接する溝に開口しているが、それに限定されるものではなく、ブロック1の側壁から露出せずにブロック1の側壁の内側に留めたり、片側のみを留めたりと、パターン構成によって適宜使い分けることができる。
【0014】
図2は、本発明におけるブロック1の要部を示す一部破断した斜視図である。この図2では、内壁面13の凹凸形状が分かり易いように、ブロック1の一部を破断してサイプ10の内壁面13を露出させている。
【0015】
本発明におけるサイプ10は、図2に示すように、波状部分11又はジグザグ状部分を有し、その波状部分11又はジグザグ状部分の波長を、タイヤ表面からサイプ最深部側へと徐々に長くしている。図3(a)には図2のI−I矢視断面に対応するサイプの中心線を、図3(b)には図2のII−II矢視断面に対応するサイプの中心線を示しているが、本発明ではタイヤ表面の波長P1 よりサイプ最深部近傍の波長P2を長くしている。
【0016】
本発明における好ましい波長変化率としては、波長P2を有する位置でのタイヤ表面からの深さ位置をD(mm)とするとき、10×(P2/P1)/Dが1.1〜2.0が好ましく、1.2〜1.6がより好ましい。この波長変化率が1.1未満では、ブロック片の倒れ込み抑制効果が小さくなる傾向があり、波長変化率が2.0を超えると、サイプの最深部からのサイプの立ち上がり角度の傾斜が大きくなる場合が有り、チャンクアウトが生じ易くなる場合がある。本発明では、このような波長変化率のサイプ部分を少なくとも一部に有しているのが好ましい。
【0017】
一方、本実施形態では、波状部分11又はジグザグ状部分の振幅を、タイヤ表面からサイプ最深部側へと徐々に小さくしてあり、サイプ最深部で振幅がゼロ(直線)になる例を示している。つまり、図3(a)に示すタイヤ表面の振幅A1より、図3(b)に示すサイプ最深部近傍の振幅A2が小さくなるようにしている。本発明ではサイプ最深部の振幅Abとタイヤ表面の振幅A1との関係Ab/A1が0〜1.0が好ましく、0〜0.5がより好ましく、0が最も好ましい。なお、本実施形態における振幅Abは0である。
【0018】
本発明におけるタイヤ表面の波長P1 は、いわゆる波型サイプの特性を好適に発現する上で4〜6mmが好ましく、タイヤ表面の振幅A1は1〜1.7mmが好ましい。
【0019】
本実施形態のサイプ10は、以上のような波状部分11の両側に平面部分12を設けてあり、全体がタイヤ幅方向に延設されている。このような平面部分12を設けることによって、波状部分11のみでサイプ10を形成する場合と比較して、ブロック1等の端辺に対して傾斜角を小さくして端辺近傍での摩耗や破損(欠け)を防止することができる。
【0020】
本発明におけるサイプ10の波状部分11又はジグザグ状部分のタイヤ表面に平行な断面形状としては、正弦波に近いものに限られず、直線と曲線とを交互に組み合わせた波線、矩形波、ジグザグ状に近いもの等、何れの形状でもよい。
【0021】
本発明において、複数のサイプ10を並設する場合、隣接するサイプ10の波状部分11又はジグザグ状部分の波長と振幅は、同一でも異なっていてもよいが、両者の波長と振幅が同一であることが好ましい。
【0022】
サイプ10の全体の深さは、主溝深さの40〜80%、即ち4〜8mmが好ましい。サイプ10の溝幅は、ブロックの倒れ込みを適度に抑制しながら、エッジ効果を好適に発現する上で、0.2〜0.7mmが好ましく、0.2〜0.4mmがより好ましい。
【0023】
本発明では、ブロック1の倒れ込み抑制効果が大きいため、サイプ10の本数を増やしてサイプ密度を高めることで、エッジ数を増やしてエッジ効果を更に高めることができる。このような観点から本発明では、表面部でのサイプ密度0.1〜0.3mm/mm2 が好ましく、0.15〜0.25mm/mm2 がより好ましい。
【0024】
サイプ10は、1つのブロック1に対して単数又は複数形成されるが、隣接するサイプ10同士は、同一形状でも異なる波形状、傾斜角度、凹凸の波長、振幅であってもよい。但し、加硫成型後の脱型性を良好にするうえで、隣接するサイプ10同士が同一形状であることが、好ましい。
【0025】
本発明の空気入りタイヤは、上記の如きトレッドパターンTを備える以外は、通常の空気入りタイヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造、製法などが何れも本発明に採用できる。
【0026】
本発明の空気入りタイヤは、前述の如き作用効果を奏し、アイス性能に優れるため、特にスタッドレスタイヤとして有用である。
【0027】
[他の実施形態]
以下、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0028】
(1)前述の実施形態では、図2に示すようなサイプ10を形成する例を示したが、本発明ではサイプがタイヤ表面側からサイプ最深部側へと波長を徐々に長くした波状部分又はジグザグ状部分を有していればよく、例えば図4(a)〜(b)や図5(a)〜(b)に示すようなサイプ形状でもよい。
【0029】
図4(a)に示すものは、波状部分11又はジグザグ状部分の振幅を、タイヤ表面からサイプ最深部側へと略一定にしたものである。つまり、サイプ最深部の振幅Abとタイヤ表面の振幅A1との関係Ab/A1を1としている。このようなサイプでもサイプ最深部の形状(波型)が、タイヤ表面に比べて緩やかになるため、最深部近傍での応力分散が可能になる。
【0030】
図4(b)に示すものは、波状部分の代わりに、ジグザグ状部分14を設けた例である。この例では台形で半周期に相当する部分を形成しているが、三角形、矩形などの多角形でもよい。
【0031】
図5(a)に示すものは、サイプ10の比較的タイヤ表面に近い領域R1は通常の波型サイプ11aで形成し、それより深い領域R2をタイヤ表面からサイプ最深部側へと波長を徐々に長くした波状部分11bで形成した例である。このように本発明では、少なくともタイプ10の下側に当該波状部分11bが存在すればよい。
【0032】
図5(b)に示すものは、波状部分11の両側に平面部分を設けずに、波状部分11の最深部側に平面部分15を設けた例である。なお、本発明では、このように波状部分11の最深部側に平面部分15を設けてもよいが、平面部分15の深さ方向の幅は、2mm以下が好ましい。
【0033】
(2)前述の実施形態では、トレッドパターン内の全てのサイプに対して、本発明における波長変化したサイプを適用する例を示したが、同一ブロック内の一部のサイプにだけ適用してもよく、また、複数のブロックのうちの一部のブロック等の陸部にだけ適用してもよい。
【0034】
(3)前述の実施形態では、図1に示すようなブロックパターンの例を示したが、この形状のブロックに限らず、平行四辺形、V字型、5角形、又は曲線基調のブロックでもよい。また、中央付近や端部近傍まで溝の入ったブロックや一部の陸部が周方向に連続するもの、又はリブ基調(ラグを有するものでもよい)のパターンでもよい。
【0035】
(4)前述の実施形態では、図1に示すように、タイヤ幅方向に向けて複数列のサイプが形成された例を示したが、サイプの延設方向(基準線の方向)は、タイヤ幅方向と平行に限られるものではない。但し、基準線の方向とタイヤ幅方向とがなす角度は0〜30°が好ましい。
【0036】
(5)前述の実施形態では、図2に示すように、サイプの基準面がブロック表面に対して垂直になるように形成された例を示したが、ブロック表面の法線に対してサイプの基準面が若干(例えば15°以下)傾斜していてもよい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、タイヤの各性能評価は、次のようにして行った。
【0038】
(1)アイス制動性能
タイヤを実車(国産2000ccクラスのFFセダン)に装着し、1名乗車の荷重条件にて、凍結した路面を走行させ、速度40km/hで制動力をかけてフルロックした際の制動距離を指数で評価した。なお、評価は従来品(比較例1)を100としたときの指数表示で示し、数値が大きいほど良好な結果を示す。
【0039】
(2)耐摩耗性能
舗装道路を8000km走行したときの段差摩耗量(摩耗によるサイプとサイプとの段差)を測定し、指数で評価した。なお、評価は従来品(比較例1)を100としたときの指数表示で示し、数値が大きいほど良好な結果を示す。
【0040】
(3)一般耐久力
室内ドラムを用いて、JIS D4230 6.3耐久性能試験の条件にてテストを行い、チャンクアウト発生までの走行距離を測定し、指数で評価した。なお、評価は従来品(比較例1)を100としたときの指数表示で示し、数値が大きいほど良好な結果を示す。
【0041】
実施例1
図1に示すようなトレッドパターンにおいて、図2のような形状のサイプを下記のサイズにてブロック全面に形成してサイズ185/70R14のラジアルタイヤを製造した。このタイヤを用いて、上記の各性能評価を行った結果を表1に示す。
【0042】
サイプ全体の深さを7mm、溝幅を0.3mm、タイヤ表面の振幅1.5mm、波長4mm、サイプ最深部の振幅0.5mm、波長6mm、とした。
【0043】
実施例2
図1に示すようなトレッドパターンにおいて、図4(a)のような形状のサイプ(振幅が一定)を下記のサイズにてブロック全面に形成してサイズ185/70R14のラジアルタイヤを製造した。このタイヤを用いて、上記の各性能評価を行った結果を表1に示す。
【0044】
サイプ全体の深さを7mm、溝幅を0.3mm、タイヤ表面の振幅1.5mm、波長4mm、サイプ最深部の振幅1.5mm、波長6mm、とした。
【0045】
比較例1(従来品)
従来の波型サイプ(振幅1.5mm、波長4mm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、サイズ185/70R14のラジアルタイヤを製造し、上記の各性能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
比較例2
実施例1において、タイヤ表面の波長がサイプ最深部まで同じになるようにし、振幅のみをサイプ最深部で0mmとなるサイプを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、サイズ185/70R14のラジアルタイヤを製造し、上記の各性能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0047】
比較例3
実施例2において、実施例2と同じ振幅でタイヤ表面から最深部まで形成する際に、タイヤ表面の波長を実施例2と同じにする一方でサイプ最深部の波長を2mm(表面の0.5倍)としたこと以外は、実施例2と同様にして、サイズ185/70R14のラジアルタイヤを製造し、上記の各性能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003682918
表1の結果が示すように、実施例ではブロックの倒れ込みの適度な抑制効果とサイプ最深部での応力分散効果により、アイス制動性能、耐摩耗性能及び耐久性が従来品より良好であった。これに対して、振幅のみをサイプ最深部側で小さくした比較例2では、ブロックの倒れ込み抑制効果が小さく、アイス性能は向上しなかった。また、波長をサイプ最深部側で小さくした比較例3では、最深部近傍で応力集中が起き易く、チャンクアウトが起き易かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例のトレッド面を示す平面図
【図2】本発明におけるブロックの要部を示す一部破断した斜視図
【図3】図2における矢視断面に対応するサイプの中心線を示す図であり、(a)はI−I矢視断面に対応する図、(b)はII−II矢視断面に対応する図
【図4】本発明におけるサイプの他の例を示す一部破断した斜視図
【図5】本発明におけるサイプの他の例を示す一部破断した斜視図
【符号の説明】
1 ブロック
10 サイプ
11 波状部分
13 サイプ内壁面
14 ジグザグ状部分
T トレッドパターン

Claims (1)

  1. ブロック又はリブに少なくとも1本のサイプを形成したトレッドパターンを備える空気入りタイヤにおいて、
    前記サイプは、タイヤ表面側からサイプ最深部側へと波長を徐々に長くした波状部分又はジグザグ状部分を有すると共に、前記波状部分又はジグザグ状部分の振幅を、タイヤ表面側からサイプ最深部側へと徐々に小さくしてあることを特徴とする空気入りタイヤ。
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