JP3641408B2 - 自動分析装置および自動分析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学検査,免疫血清学的検査などの分析に関し、多種類の試料をいれた試料容器を試料架設機構にセットして測定する自動分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動分析装置のオペレータが測定依頼順や測定登録順に並べた試料を載置したラックは、分析装置の試料分注位置に搬送され、位置決めされた後、サンプルプローブが所定の回数,試料を分注し、一試料の分注が終了すると、ラックが投入側から収納側へと一試料分移動し、次の試料の分注動作を再び開始する。このように同じ動作を繰り返して試料容器が一試料分ずつ進んでいく。従来は一試料分の分注動作が完了すると、次の新しい試料を分注するためにラックが必ず一試料分進んだ。測定数100で測定値の再現性を測定する場合、100個の試料容器と100個の試料容器に入れる試料を準備した。この理由は、オペレータの依頼情報の入力ミスによる試料分注動作のミスを最小限に抑えるため、連続して依頼情報に同じラック番号・ポジション番号が入力できないという入力の制限を設けていたためである。評価測定専用の画面を作る方法もあったが、従来の装置では、装置の動作制御にメモリを取られ、使用できるメモリ容量が限られていたため不可能であった。
【0003】
特開平9−96643号公報には、同一の検体をマイクロプレートに分注する場合には、同一の液吸入補助管を使用することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
100個の試料容器に入れられる装置の精度管理に使用される試料は高価であり、従って高価な試料を多量準備しなければならなかった。この理由は、オペレータの依頼情報の入力ミスによる試料分注動作のミスを最小限に抑えるため、連続して依頼情報に同じラック番号・ポジション番号が入力できないという入力の制限を設けていたためである。評価測定専用の画面を作る方法もあったが、従来の装置では、装置の動作制御にメモリを取られ、使用できるメモリ容量が限られていたため不可能であった。
【0005】
臨床検査の自動分析装置には、高いレベルの測定精度の維持が要求されるため、検査室で定期的に再現性や正確性などのチェックが行われる。特に装置の据付け時には、装置メーカ,試薬メーカおよび検査施設オペレータのチェック作業が数週間に渡って行われる。従来は試料容器のセットなどの実験上の手間がかかり、再現性などのチェック作業に長時間かかっていた。手間がかかるため作業ミスも多かった。また、使用済みの試料容器や精度管理試料などの廃棄物が多量に発生していた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑み、装置の構造を複雑にすることなく、同一の試料容器からの試料の繰り返し分注を可能とすることで、自動分析装置の測定精度評価や試薬の検討で頻繁に行う同時再現性測定,直線性測定,試料の共存物質の影響測定,サンプルプローブ・試薬プローブ・攪拌棒・反応容器のキャリオーバの有無確認等の作業を容易にできる自動分析装置および自動分析方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような問題点を解決するために、本発明は次のような構成とする。
【0008】
ルーチン操作画面に基礎性能試験項目の画面を付加し、同時再現性,直線性,共存物質,攪拌棒のキャリオーバ,反応容器のキャリオーバ,試薬プローブのキャリオーバ,サンプルプローブのキャリオーバの実験選択ボタンを設けておき、このボタンを押すことによって各実験の条件設定の画面が表れ、依頼情報を入力できることとする。
【0009】
臨床検査技師が測定精度評価用の試料を持ってきた場合、一般試料の測定モードでは同一試料容器からの連続測定ができないため、オペレータは画面を評価モードへ変更し、評価モードの画面から測定依頼をする。依頼情報はメモリに記憶され、オペレータは試料を載置したラックをセットして、装置をスタートする。装置は先ずラック番号または検体IDを読み取り、試料容器の有無を検知する。読み取ったラック番号や試料IDがメモリ内に記憶した依頼情報と一致すると、依頼情報に従って項目のサンプリングを行う。従来の装置では、ラック番号,ラック上のポジション番号,試料IDの入力エリアへ、連続して同じラック番号,ポジション番号,試料IDを入力できなかった。本発明では、ラック番号,ポジション番号、または試料IDの入力エリアへ同じ数字を入力できるようにした。
【0010】
サンプルプローブは一定サイクル毎に試料分注動作を繰り返すだけで、搬送用のベルトがラックの位置決めをするため、同一の試料容器から同じ項目の分注動作を繰り返したい場合、同じラック番号・同じポジション番号を必要試料数分画面から入力しておけば、何回でも同じポジション番号から試料分注動作を繰り返すことができるようにする。
【0011】
通常は、ラック投入側からラック収納側へのみラックは進行したが、ラックを二つの爪で挟み込んで、ラックを保持することで、逆方向への移動も可能にし、サンプルキャリオーバの測定のように高濃度試料の後に低濃度試料を数回測定するような同一パターンの繰り返し測定にも、試料の使いまわしができるようにした。
【0012】
通常投入されたラックは、一ラック分の測定が終了すると排出され、次のラックが試料分注エリアに導入され、位置決めされる。本発明では例えば一ラックが5試料ラックでラックを一つだけ投入した場合、6試料目のラック番号指定が同じであれば、ラックを再検ラインを利用して投入側へ再度戻し、本ラックの1ポジション目の試料を6試料目の試料として認識して測定するものである。同一のラック番号を希望する測定回数分連続して入力し、ラックを循環させることができるようにした。ラック番号の異なるラックを割り込ませて、ラック番号の異なる複数のラックを循環させることもできる。
【0013】
同一試料容器に入った同一試料の繰り返し測定を容易にするために、装置の試料分注エリアの搬送ライン上部に、一度に多量の試料を入れられる容器を設置できるホルダを設け、一度に多量の試料をセットして同一試料を繰り返し測定ができるようにした。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。
【0015】
図1は、本実施例で示す自動分析装置のラックの搬送および収納方式を示す図であり、次にその基本動作を示す。
【0016】
自動分析装置はラック複数のラックである試料架設装置を備えた投入部1と試料分注装置および試薬分注装置で備えた2つの分析部2,分析部3,搬送ライン4、およびラック収納部5から構成される。各ラックは複数のポジションを有し、ここに試料容器が入れられる。
【0017】
試料を試料容器6に入れラック7にセットする。このラック7は、ラック投入部1に装着する。各試料6の分析項目を入力,登録後、スタートキーを押すと、装置はリセット動作に引き続き、ラックを搬送用の爪で引き、ラック搬送を開始する。ラック投入部1から送り出されたラック7は、ラック番号または試料IDをラック番号あるいは試料ID読み取り器10で読み取られる。装置は入力情報に該当するラックが投入されたかどうか判断し、該当するラックが来た時は、試料分注エリアへ搬送する。ラック上の複数載置されている試料の中の先頭の試料がメインライン8上の試料分注位置に位置決めされる。試料容器6中の試料を分取し、設定量だけ反応容器へ吐出し、依頼したテスト数だけ分取と吐出を繰り返す。試料の分取が完了したラックは、ラック収納部5に回収され、測定が完了する。
【0018】
図2は試料を受付けてから測定を完了するまでの処理のフローチャートを示したものである。
【0019】
オペレータは測定する試料をセットする(S101)。測定する試料の測定目的に従い装置画面上で測定モードを「緊急」「一般」「評価」のなかからいずれかを選択し(S102)、各試料固有の依頼情報を入力する。試料が血清なのか尿なのかその他のものかを表す試料種別(S103)、試料の通し番号である試料番号(S104)、試料をセットしたラック番号(S105)、ポジション番号(S106)、試料容器の種類を表すカップ種別(S107)、および測定依頼項目(S108)を順に入力し、装置をスタートする(S109)。装置はラック番号や検体IDを読み取り(S110)、試料容器の有無を検知し(S111)、試料を分注する(S113)。試料の分注動作中、次の試料番号のラック番号とポジション番号をチェックし、ラック番号とポジション番号入力値が同じ(一致)のとき、ラックの送り動作を行わない(S112)すなわち、ラックを同一位置に止め、同一ポジションにある試料について試料分注動作を(S113)を行う。結果の出力ととともに測定が終了する(S114)。
【0020】
図3,図4,図5は、測定モードの切り替えと依頼情報の入力を兼ねた装置の画面例である。測定モードを「評価」にして、図3は試料の識別にラック番号303とポジション番号304を使用した例、図4は試料の識別に試料ID番号401を用いた例である。また、測定項目の依頼の時は、従来一試料に対し、同じ項目を複数個依頼できない方式が採用されてきたが、本発明の実施例である図5は、ソフトウェアを変更してあり、同一試料に同じ項目を複数個依頼できるようにし、同じ項目の繰り返し測定を可能にした画面の例を示す。
【0021】
図3の画面例を使用して、具体的に説明する。試料番号1番から5番まででラック番号1のポジション番号1からASTを5回測定し、試料番号6番から10番までで同じくラック番号1のポジション番号2からASTをやはり5回、計10回測定する場合に、画面からは次のように入力する。先ず、試料種別301を入力し、次に、試料番号302,ラック番号303,ポジション番号304を入力していく。試料番号−ラック番号−ポジション番号の組み合わせで順に示すと、試料番号1で1−1−1、試料番号2で2−1−1、さらに3−1−1,4−1−1,5−1−1,6−1−2,7−1−2,8−1−2,9−1−2,10−1−2となる。すべて測定依頼項目選択キー305でAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)を依頼する。最後に測定に使用するカップ種別306を入力する。ラック番号が1番のラックが投入されると装置は、ラック番号が1番のラックのポジション番号1番を試料分注エリアに位置決めし、AST測定のため、サンプルプローブをラック番号1番のポジション番号1番の試料容器内へ5回突っ込む。5回目と6回目の分注動作のインターバルに、ラックが一試料分、進行方向へ動いて位置決めされ、ラック番号1番のポジション番号2番から5回ASTの分注動作を行う。従来は、一試料でASTを1回分注すると強制的にラックが一試料分移動するため、10個の試料容器を必要としたが、1番と2番に置いた2個の試料容器で10テストの測定を行うことができ、実験の手間を省き、試料容器を節約できる。
【0022】
図4に示すように、図3のラック番号303およびポジション番号304に代えて、試料ID番号401を用いても同様の測定を行うことができる。
【0023】
図5は、前述したように、同一試料に同じ項目を、例えばASTを複数回依頼する例を示す。
【0024】
ここで測定依頼の内容を示せば次の通りである。
【0025】
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
LD:乳酸デヒドロゲナーゼ
TP:総蛋白
ALP:アルカリ性ホスファターゼ
GLU:グリコース
ALB:アルプミン
T−BIL:総ビリルビン
D−BIL:直接ビリルビン
GGT:γ−グルタミルトランスペプチターゼ
LAP:ロイシンアミノペプチターゼ
MG:マグネシウム
IP:無機リン
FE:鉄
CHE:コリンエステラーゼ
T−CHO:総コレステロール
F−CHO:遊離型コレステロール
BUN:尿素窒素
PL:リン脂質
HDL−C:HDL−コレステロール
TTT:チモール混濁試験
ZTT:硫酸亜鉛混濁試験
NA:ナトリウム
K:カリウム
CL:塩素
CU:銅
CRP:C反応性蛋白
RF:リウマチ因子
【0026】
図6に、本実施例で示す自動分析装置のラックの搬送方式の変形例を示す。
【0027】
前述したラック搬送方式では、ラック7が投入側から収納側へ移動するだけであったが、この例では、投入側から収納側へも収納側から投入側へも移動ができるようにしている。逆行動作ができるようラックは搬送用ベルト15に連結したラックホルダ16で両側から爪ではさみ込まれ搬送される。本実施例によると、サンプルキャリオーバの測定のように、2種類以上の異なる濃度試料の測定が必要な場合、一度測定に使用し試料分注位置を通過した試料を再度試料分注位置に戻して測定することができるようになる。
【0028】
図7に、本実施例で示す自動分析装置のラックの搬送方式の他の変形例を示す。
【0029】
オペレータは試料の載置されたラックをラック投入部1にセットして、装置をスタートする。先頭のラックの測定が行われ、一度試料分注が完了した測定済みのラックは装置が持っている再検試料用の再検ライン11を利用して循環され再度測定される。よって、同一試料の連続測定ができるものである。
【0030】
試料分注エリアに位置決めされたラック7は、依頼情報に従って分注が行われ、測定後メインライン8に再度戻され、再検試料用の再検ライン11を逆戻りしてラック投入部1に戻り、ラック番号あるいは試料ID読み取り器10でラック番号あるいは試料IDを再度読み取り後、再び試料分注エリアに位置決めされ、分注が行われる。依頼した測定がすべて終ったラックはラック収納部5に収納される。同一の試料容器を繰り返し測定に使用できるため、実験の手間が省かれ、使用する試料容器の数が減る。
【0031】
図8に、本実施例で示す自動分析装置の試料の測定方法の変形例を示す。この例では、装置の試料分注位置の上部に、多量の試料を入れた連続測定試料容器、特に連続測定専用試料容器14と、本容器をセットする試料容器ホルダ13を設ける。本試料容器ホルダ13に、連続測定専用試料容器14に試料をセット、あるいは満たしてセットすると、容器がセットされたという検知が入り、装置は評価モードに入ったことを認識する。スタートスイッチを押すと、装置はオペレータの入力した評価測定用の依頼情報に従い測定をする。試料容器を一切準備する必要がないため、実験の手間を省くことができる。
【0032】
次に、装置の基礎性能測定について説明する。
【0033】
図9に同時再現性を測定する時のフローチャートを示す。
【0034】
同時再現性測定は、基礎性能測定の1種であり、試料数20程度以上での測定値の再現性(平均値,標準偏差,変動係数)をチェックする試験である。
【0035】
オペレータは装置の基礎性能測定画面上で基礎性能測定項目の1つである測定モード「再現性」を選択し(S901),試料種別(S902),カップ種別(S903),測定回数(N数)(S904),試料数(S905),測定項目(S906)を順に入力する。試料容器を載置したラックを準備してセットし(S907)、装置をスタートする(S908)。装置はラック番号や検体IDを読み取り(S909),試料容器の有無を検知し(S910),試料を分注する(S911)。結果の出力ととともに測定が終了する(S912)。測定終了後、再現性計算キーを押すと再現性結果を自動計算し表示する(S913)。
【0036】
図10は、同時再現性測定の測定条件の入力画面の例である。本画面例を用いて、動作について具体的に説明する。
【0037】
ASTの再現性を測定回数(N数)20回、試料数2個で測定する場合には、画面からは次のように入力する。まず、選択キー1001で「再現性」を選択する。試料種別1002,カップ種別1003を入力する。次に測定回数(N数)1004に20、試料数1005に2を入力し、測定項目選択キー1006でASTを依頼すると1つの試料から10回分注動作を行うことを装置が自動で計算し認識する。試料容器をラックのポジション1から順にセットし、ラックを装置に架設する。スタートキー1007を押すと、装置は測定を開始する。試料分注位置に搬送されたラックのポジション1の試料容器内にサンプルプローブはAST測定のため10回突っ込む。その後、ラックが一試料分進行方向へ動いてポジション2においてAST測定のため10回分注動作を行う。その後、ラックはラック収納部に収納される。測定終了後、再現性計算キー1008を押すと再現性結果を自動計算し表示する。従来は、一試料の分注動作が完了すると強制的にラックが一試料分移動するため、20個の試料容器を必要とした。しかし、本法で行えば2個の試料で20テストの測定を行うことができる。以上のように試料番号が変わっても同一の試料容器から同じ項目を測定できる機能を持つことによって、実験の手間が省かれ、使用済みの試料容器等の廃棄物が減る。
【0038】
図11は、直線性測定の測定条件の入力画面の例である。本画面例を用いて、動作について具体的に説明する。直線性試験は、測定目的物資の濃度が次第に濃くなるに従って、どこまで装置の測定値が直線性を持っているかを確認する試験である。
【0039】
先ずオペレータは装置画面上の選択キー1101で「直線性」を選択する。つぎに測定条件として、測定する系列数1102,各試料の濃度1103a〜j,各試料の試料種別1104,試料番号1105,ラック番号1106,ポジション番号1107,カップ種別1108、および測定項目1109を順に入力する。測定する試料をセットし、装置のスタートキー1110を押す。装置はラック番号や検体IDを読み取り、試料容器の有無を検知し、試料を分注する。最初の1試料について、依頼項目すべての分注動作が完了するまで、ラックポジションを固定し分注動作を行う。本試料の分注動作完了後、装置はラックポジション送りを一試料分行う。未測定試料が無くなるまで分注動作を継続する。結果の出力ととともに測定が終了する。データの出力は、各系列の全測定値と計算値を画面および印字で行う。結果確認キー1111を押すことで、直線性のグラフを画面上に表示する。
【0040】
以上のように試料番号が変わっても同一の試料容器から同じ項目を測定できる機能を持つことによって、実験の手間が省かれ、使用済みの試料容器等の廃棄物が減る。
【0041】
図12は、共存物質試験の測定条件入力の画面例である。本画面例を用いて、入力方法と動作について具体的に説明する。共存物質試験は、共存物質の影響度を測定するためのもので、試料中に含まれる測定目的物質と試薬との反応を妨害する物質が、本来の測定目的物質に対してどの程度測定値の上で影響を与えるかを確認する試験である。一般的に臨床検査の検査項目において本反応を妨害する代表的な物質として、イントラリポス(乳び成分),アスコルビン酸,ヘモグロビン(溶血成分),ビリルビン(黄疸成分)の4成分がある。測定では、共存物質と試料を段階的(0/10〜10/10)に混合して調製した通常11種類の試料を分析し、共存物質の添加量と測定目的物質の値の関係を比較することで妨害程度を確認する。さらに、数段階に濃度調製をした試料を複数回測定し、ばらつきの確認をする。
【0042】
オペレータは装置画面上の選択キー1201で「共存物質」を選択する。つぎに測定条件として、系列数1202および各試料の共存物質濃度1203a〜j、各試料の試料種別1204,試料番号1205,ラック番号1206,ポジション番号1207,カップ種別1208、および測定項目入力エリアで、測定項目1209を順に入力する。測定する試料を載置したラックをセットし、装置のスタートキー1210を押す。装置はラック番号や検体IDを読み取り、試料容器の有無を検知し、試料を分注する。最初の1試料について、依頼項目すべての分注動作が完了するまで、ラックポジションを固定し分注動作を行う。本試料の分注動作完了後ラックポジション送りを一試料分行う。未測定試料が無くなるまで分注動作を継続する。結果の出力ととともに測定が終了する。データの出力においては、各系列の全測定値が画面に表示され、プリンタへ印字される。結果確認キー1211を押すことで、共存物質のグラフを画面上に表示する。
【0043】
図12の画面上で、測定依頼を行う場合、複数回測定を行う試料はラック番号入力エリアへ同一ラック番号を、ポジション番号入力エリアへ同一ポジション番号を入力し、同一試料容器からの同一項目の繰り返し測定を行わせる。一つのラックに5試料載置できるラックの測定回数(N数)=5の測定を例に取ると、試料番号の1〜5番はすべてラック番号を1、ポジション番号を1として図12中のAST,ALT,LD,…等の項目を選択する。
【0044】
続けて試料番号の6〜10は全てラック番号を1,ポジション番号を2として上記と同じ項目を選択する。
【0045】
以下、試料番号11〜15はラック番号1,ポジション番号3、
試料番号16〜20はラック番号1,ポジション番号4、
試料番号21〜25はラック番号1,ポジション番号5、
試料番号26〜30はラック番号2,ポジション番号1、
試料番号31〜35はラック番号2,ポジション番号2、
試料番号36〜40はラック番号2,ポジション番号3、
試料番号41〜45はラック番号2,ポジション番号4、
試料番号46〜50はラック番号2,ポジション番号5、
試料番号51〜55はラック番号3,ポジション番号1とそれぞれ項目選択を実施した後、11段階に濃度調製をした試料をカップに分注後、指定したラックに試料をセットして分析を開始する。以上のように試料番号が変わっても同一の試料容器から同じ項目を測定できる機能を持つことによって、実験の手間が省かれ、使用済みの試料容器等の廃棄物が減る。
【0046】
攪拌棒のキャリオーバ試験は、洗浄後も攪拌棒の表面に付着した試薬成分が次の項目測定の反応液に持ち越され、次の項目の測定値に影響を与えるかどうか、また与えるならどの程度測定値上与えるのかを確認する試験である。
【0047】
例えば、項目Aから項目Bへの攪拌棒のキャリオーバを測定する場合、攪拌棒に付着して次のテストに持ち越される試薬成分が次の項目にどの程度影響を与えるか見るため、同じ値を持つ試料を連続して測定しなければならない。
【0048】
通常、オペレータはキャリオーバを受けない条件でB項目の平均値を測定回数30程度で測定し、さらに連続してA項目の後にB項目を測定することを「AAA・BBB・AAA・BBB…」のように繰り返し行う。A項目の直後のB項目の測定値とB項目の平均値を比較し、有意に差がある場合、影響有りと判断する。
【0049】
攪拌棒のキャリオーバを測定する時の装置の動作について図13の画面例と図1を使用して説明する。
【0050】
オペレータは、図13の選択キー1301で「攪拌棒キャリオーバ」を選択する。次にオペレータは測定条件の試料種別1302,カップ種別1303,測定に使用する試料容器の数を意味する試料数1304,影響を受ける側の測定項目の基準値測定の測定回数1305,影響を与える側の測定項目名1306とその連続するテスト数1307,影響を受ける側の測定項目名1308とその連続するテスト数1309,A項目からB項目への影響をみる測定ラウンド数1310を順に入力する。装置は、全テスト数を測定に使用する試料数で割り、一つの試料容器からの分注回数を自動で計算し認識する。
【0051】
オペレータは、図1の精度管理試料6を載置したラック7をラック投入部1にセットする。図13の装置のスタートキー1311を押すと、ラック7は、ラック番号あるいは試料IDをラック番号あるいは試料ID読み取り器10で読み取られラック上の試料容器の有無を検知された後、メインライン8を進み分析部2,3に導入され、試料分注位置で位置決めされる。ポジション番号が変わるまで、サンプルローブが一つの試料容器から、B項目×30回、AAABBB…と依頼情報に従い試料分注を行う。データの出力は、各テストの全測定値を画面表示すると同時に、プリンタへ印字する。図13の結果確認キー1312を押すことで、キャリオーバ率の計算値を画面表示し、プリンタへ印字する。
【0052】
以上のように試料番号が変わっても同一の試料容器から同じ項目を測定できる機能を持つことによって、実験の手間が省かれ、使用済みの試料容器等の廃棄物が減る。
【0053】
反応容器のキャリオーバ試験は、洗浄後も異なる項目の測定に繰り返し使用される反応容器の内面に付着した試薬成分が、次の項目の反応液に持ち越された時、測定値に影響を与えるか、与えるならどの程度与えるのかを確認する試験である。
【0054】
例えば項目Aから項目Bへ反応容器のキャリオーバを測定する場合、反応容器の内面に付着して次のテストに持ち越される試薬成分が次の項目の測定値へどの程度影響を与えるか見るため、同じ値を持つ試料を連続して測定しなければならない。
【0055】
通常オペレータは、まずB項目の基準値測定のため測定回数30以上で再現性測定を依頼し、A項目の試薬で反応容器を汚すため、A項目を10テスト程度に渡り測定依頼する。次のラウンドでA項目を測定した反応容器群でB項目を測定してキャリオーバを見るため、A項目反応容器群の最初の反応容器にちょうどB項目が来るように、1度目のA項目測定群の最後のテストの次のテストより次のラウンドのキャリオーバを受けるB項目測定の直前のテストまでダミー項目を依頼する。A項目を測定した反応容器で測定したB項目の測定値が、測定回数30程度のB項目の基準値(平均値)と比較し、有意に差がある場合に、影響があったと判断する。
【0056】
反応容器のキャリオーバを測定する時の装置の動作例について図14の画面例と図1を使用して説明する。
【0057】
オペレータは図14の画面上の選択キー1401で、「反応容器キャリオーバ」を選択する。次にオペレータは測定条件の試料種別1402,カップ種別1403,測定に使用する試料容器の数を意味する試料数1404,影響を受ける側の測定項目の基準値測定の測定回数1405,影響を与える側の測定項目名1406とその連続するテスト数1407,影響を受ける側の測定項目名1408とその連続するテスト数1409,インターバルを埋めるためのダミー項目の項目名1410を順に入力する。装置は、全テスト数を測定に使用する試料数で割り、一つの試料容器からの分注回数を自動で計算し認識する。
【0058】
オペレータは、図1の精度管理試料6を載置したラック7をラック投入部1にセットする。図14のスタートキー1411を押すと、ラック7はラック番号あるいは試料IDをラック番号あるいは試料ID読み取り器10で読み取られ、ラック上の試料容器の有無を検知された後、メインライン8を進み分析部2,3に導入され、試料分注位置で位置決めされる。ラック上のポジション番号が変わるまで、サンプルローブは、一つの試料容器から、B項目群,A項目群,ダミー項目群,B項目群の順に、B項目を30テスト,A項目を10テスト、このA項目群の最後のテストの次のテストから2度目のB項目群の直前のテストまで反応容器を埋めるためにダミー項目、さらにA項目からの影響を受けるB項目10テストの順に試料分注を行う。データの出力は、各テストの全測定値を画面表示し、プリンタへ印字する。結果確認キー1412を押すことで、キャリオーバ計算値を画面表示し、プリンタへ印字する。
【0059】
以上のように試料番号が変わっても同一の試料容器から同じ項目を測定できる機能を持つことによって、実験の手間が省かれ、使用済みの試料容器等の廃棄物が減る。
【0060】
以上のように、試料の分注ならびに試薬の分注によって複数の試料を次々に測定する自動分析方法において、測定試料項目と依頼測定項目および基礎性能測定項目とを画面に表示し、同一ラックの同一ポジションにある試料を複数回分注するに当って、測定試料および依頼測定の内容を画面上に指示し、これを記憶して画面を変更し、基礎性能測定項目から次の基礎性能測定、すなわち
測定値の再現性測定、
測定値の直線性測定、
共存物質影響度測定、
撹拌棒のキャリオーバ測定、
反応容器のキャリオーバ測定、
試薬プローブのキャリオーバ測定、
サンプルプローブのキャリオーバ測定
のいずれかの測定を指示し、当該ラックを同一位置に設定して、同一ポジションにある試料について試料分注を行う自動分析方法が提供される。
【0061】
試薬プローブのキャリオーバ試験は、洗浄後も試薬プローブの内外面に付着した試薬成分が次の項目の反応液に持ち越され、次の項目の測定値に影響を与えるかどうか、また与えるならどの程度測定値上与えるのかを確認する試験である。この場合、試薬プローブのキャリオーバ試験は通常、スクリーニング試験実施で受ける項目・与える項目を絞り込み、キャリオーバの確認試験を実施する。本発明の実施例では、キャリオーバの確認試験について説明をする。
【0062】
例えば、項目Aから項目Bへの試薬プローブのキャリオーバを測定する場合、試薬プローブの内外面に付着して次のテストに持ち越される試薬成分が次の項目にどの程度影響を与えるか見るため、同じ値を持つ試料を連続して測定しなければならない。
【0063】
通常、オペレータはキャリオーバを受けない条件のB項目の平均値を測定回数30程度で測定し、さらに連続してA項目の後にB項目を測定することを「AAA・BBB・AAA・BBB…」のように繰り返し行う。A項目の直後のB項目の測定値とB項目の平均値を比較し、有意に差がある場合、影響有りと判断する。
【0064】
試薬プローブのキャリオーバを測定する時の装置の動作例について図15の画面例と図1を使用して説明する。
【0065】
オペレータは図15の画面上のキャリオーバR、プローブを示す選択キー1501で「試薬プローブキャリオーバ」を選択する。次にオペレータは測定条件の試料種別1502,カップ種別1503,測定に使用する試料容器の数を意味する試料数1504,影響を受ける側の測定項目の基準値測定時の測定回数1505,影響を与える側の測定項目名1506とその連続するテスト数1507,影響を受ける側の測定項目名1508とその連続するテスト数1509,A項目からB項目への影響をみるラウンド数1510を順に入力する。装置は、全テスト数を測定に使用する試料数で割り、一つの試料容器からの分注回数を自動で計算し認識する。
【0066】
オペレータは、図1の精度管理試料6を載置したラック7をラック投入部1にセットする。図15のスタートキー1511を押すと、ラック7はラック番号あるいは試料IDをラック番号あるいは試料ID読み取り器10で読み取られ、ラック上の試料容器の有無を検知された後、メインライン8を進み分析部2,3に導入され、試料分注位置で位置決めされる。ラック上のポジション番号が変わるまで、サンプルローブが、一つの試料容器から、B項目×30回、AAABBB…と依頼情報に従い試料分注を行う。データの出力は、各テストの全測定値を画面表示し、プリンタへ印字する。図15の結果確認キー1512を押すことで、キャリオーバ率の計算値を画面表示しプリンタへ印字する。
【0067】
以上のように試料番号が変わっても同一の試料容器から同じ項目を測定できる機能を持つことによって、実験の手間が省かれ、使用済みの試料容器等の廃棄物が減る。
【0068】
サンプルプローブのキャリオーバ試験は、洗浄後もサンプルプローブの内外面に付着して残る試料成分が、次の試料の測定項目の反応液に持ち越され、次の項目の測定値に影響を与えるか、また与えるならどの程度与えるのかを確認する試験である。
【0069】
通常オペレータは、測定目的物質が高濃度に入った高濃度試料を3回連続して測定し、続けて測定目的物質が入っていない測定値がゼロの低濃度試料を3回連続して測定する。あらかじめ測定値がゼロの低濃度試料を測定回数30程度で測定しておき、その平均値(基準値)と高濃度試料を測定した直後の低濃度試料の測定値とを比較し、有為の差がある場合、影響があると判断する。サンプルプローブのキャリオーバ率は、基準値と高濃度試料を測定した直後の低濃度試料の測定値との差を高濃度試料の濃度で割って求める。高濃度試料の濃度は、通常そのままでは測定できないため希釈して測定する。
【0070】
サンプルプローブのキャリオーバを測定する時の装置の動作例について図16の画面例と図2を使用して説明する。
【0071】
オペレータは図16の画面上のキャリオーバS、プローブを示す選択キー1601で「サンプルプローブキャリオーバ」を選択する。次にオペレータは測定条件の試料種別1602,カップ種別1603,キャリオーバを測定したい測定項目1604、を順に入力する。さらに、高濃度試料をセットしたラック番号1605・ポジション番号1606・その分注回数1607,被キャリオーバの低濃度試料をセットしたラック番号1608・ポジション番号1609・その分注回数1610,高濃度試料の濃度測定用に希釈した希釈試料をセットしたラック番号1611・ポジション番号1612・その分注回数1613を順に入力する。
【0072】
5試料ラックを例に取る。オペレータが、高濃度試料(以下試料A)をセットしたラック番号に1,ポジション番号に1,分注回数に3,低濃度試料の生理食塩水(以下試料B)をセットしたラック番号に1,ポジション番号に2,3,4、各分注回数に1,希釈試料(以下試料C)をセットしたラック番号に2,ポジション番号に1,2,3,4,5、各分注回数に1を順に入力し、入力した情報に従い試料とラック番号1,ラック番号2のラックをラック投入部1にセットする。スタートキー1614を押すと、ラック7は、ラック番号あるいは試料IDをラック番号あるいは試料ID読み取り器10で読み取られ、ラック上の試料容器の有無を検知された後、メインライン8を進み分析部2,3に導入され、試料分注位置で位置決めされる。先頭ラックのポジション番号1の試料Aを3回続けて分注し、引き続き後続のポジション番号2,3,4の試料Bを各試料容器1回ずつ分注する。さらにラック番号2のポジション番号1,2,3,4,5の試料Cを各試料容器1回ずつ、計11回分注し測定を終了する。データの出力は、各テストの全測定値を画面表示し、プリンタへ印字する。結果確認キー1615を押すことで、キャリオーバ率の計算値を画面表示し、プリンタへ印字する。
【0073】
以上のように試料番号が変わっても同一の試料容器から同じ項目を測定できる機能を持つことによって、実験の手間が省かれ、使用済みの試料容器等の廃棄物が減る。
【0074】
【発明の効果】
本発明は以下の効果を持つ。
【0075】
本発明は、測定項目と基礎性能測定項目を備えた画面を追加して同一ポジションにある試料について同一項目の測定回数を指定し、この場合に当該ラックを同一位置に止めることで、自動分析装置の試薬の検討で頻繁に行われる同時再現性,測定値の直線性,共存物質の影響,サンプルプローブ・試薬プローブ・攪拌棒・反応容器のキャリオーバの有無確認等の装置の基礎性能測定を従来よりも容易にできるようになる。また、オペレータが、安心して装置から離れることができるという意味で作業の効率がアップする。取り扱う試料容器の数を減らすことができるため作業時間が短くでき、作業ミスも減らせる。
【0076】
さらに、使用する試料容器数や試料消費量が減らせることで、感染の危険がある使用済み試料容器や試料自体の廃棄物を低減でき、環境問題にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同一試料の繰り返し測定機能を持つ自動分析装置の外観図。
【図2】同一試料を繰り返し測定するためのフロー図。
【図3】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図4】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図5】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図6】同一試料の繰り返し測定機能を持つ自動分析装置の外観図。
【図7】同一試料の繰り返し測定機能を持つ自動分析装置の外観図。
【図8】同一試料の繰り返し測定機能を持つ自動分析装置の外観図。
【図9】同一試料を繰り返し測定するためのフロー図。
【図10】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図11】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図12】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図13】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図14】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図15】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【図16】自動分析装置の測定依頼画面例を示す図。
【符号の説明】
1…ラック投入部、2…分析部D、3…分析部P、4…搬送ライン、5…ラック収納部、6…試料容器、7…ラック、8…メインライン、9…再検バッファー、10…ラック番号あるいは試料ID読み取り器、11…再検ライン、12…再測定のラック、13…試料容器ホルダ、14…繰り返し測定専用試料容器、15…搬送用ベルト、16…ラックホルダ。
Claims (4)
- 複数の試料容器が架設できるラックと、
該ラックに架設された試料容器中の試料を分析する分析部と、
該ラックに該分析部に搬送する搬送ラインと、
該ラックを該搬送ラインに投入する投入部と、
分析の終了したラックを収納する収納部と、
を備えた自動分析装置において、
前記ラックに架設された同一の試料容器に入れられた試料に対して分取と吐出を複数回繰り返すことができるように指定できる評価モードと、一般試料の分析のための、同一の試料容器に入れられた試料に対して分取と吐出を複数回繰り返すことができない測定モードを切り替える画面を表示する表示装置を備えたことを特徴とする自動分析装置。 - 請求項1記載の自動分析装置において、分取と吐出を複数回繰り返すための連続測定専用試料容器と、該連続測定試料容器をセットする試料容器ホルダを備えたラックを設け、該連続測定試料容器に試料がセットされたことに応じて評価モードに自動設定される機能を備えたことを特徴とする自動分析装置。
- 請求項1または2記載の自動分析装置において、前記評価モードに切り替えると、画面上に再現性、直線性、共存物質、キャリオーバ撹拌棒、キャリオーバ反応容器、キャリオーバ試薬プローブ、キャリオーバサンプルプローブ測定からなる基礎性能測定項目グループのいずれかの項目を表示し、いずれかの項目を選択することに応じて表示された基礎性能測定項目を実行する機能を備えたことを特徴とする自動分析装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の自動分析装置において、一度試料分注が完了した測定済みラックを再度測定されるように循環する再検ラインを設けたことを特徴とする自動分
析装置。
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