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JP3511648B2 - 高強度Cu合金薄板条の製造方法 - Google Patents

高強度Cu合金薄板条の製造方法

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JP3511648B2
JP3511648B2 JP26301993A JP26301993A JP3511648B2 JP 3511648 B2 JP3511648 B2 JP 3511648B2 JP 26301993 A JP26301993 A JP 26301993A JP 26301993 A JP26301993 A JP 26301993A JP 3511648 B2 JP3511648 B2 JP 3511648B2
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alloy
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淳一 熊谷
俊一 千葉
一徳 菊川
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、従来よりも一層曲げ
加工性に優れた電気電子部品、例えばコネクターやリー
ドフレームなどを形成するための高強度Cu合金薄板条
(板および条)の製造法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】Cu−Ni−Si系のCu合金は、強度
と導電率を兼ね備えていることからコネクター、リード
フレーム等の電気電子部品材として古くから使用されて
きた。このCu−Ni−Si系Cu合金薄板条の製造工
程は、一般に鋳塊を熱間圧延後水冷により急冷し、面削
し、引き続いて冷間圧延と焼鈍を繰り返し、仕上げ前冷
間圧延を施したのち仕上げ処理を施す工程からなり、上
記仕上げ処理は、650〜900℃で溶体化処理する工
程、圧延率:15〜75%程度の仕上げ冷間圧延する工
程、および350〜550℃で時効処理する工程からな
ることが知られている(特開平5−59505号公報参
照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】近年、かかる小型のコ
ネクターやリードフレームなどの電気電子部品を作成す
るには、極端な曲げ加工を必要とする。しかし、上記従
来の製造工程により製造されたCu−Ni−Si系Cu
合金薄板条を用いて極端な曲げ加工を施し、小型のコネ
クターやリードフレームなどの電気電子部品を作成する
と、極端な曲げ加工部分にクラックが発生するなどの課
題があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
導電性、引張強さ、伸びなどの特性を損なうことなく、
極端な曲げ加工を行ってもクラックが発生することない
曲げ加工性に優れた高強度Cu合金薄板条を得るべく研
究を行った結果、Cu合金鋳塊を熱間圧延後水冷により
急冷し、面削し、引き続いて冷間圧延と焼鈍を繰り返し
たのち仕上げ圧延前冷間圧延を施した薄板条を溶体化処
理し、一次時効処理を施したのち仕上げ冷間圧延を施
し、ついで一次時効処理温度よりも高い温度で二次時効
処理を施すと、従来よりも曲げ加工性に優れたCu合金
薄板条が得られるという知見を得たのである。 【0005】この発明は、かかる知見にもとづいてなさ
れたものであって、質量でNi:2〜5%、Si:0.
3〜1%、Zn:0.1〜1%、Mg:0.001〜
0.05%、Sn:0.05〜1%を含有し、残りがC
uおよび不可避不純物からなり、かつ不可避不純物とし
ての硫黄(S)および炭素(C)の含有量をそれぞれ
S:20ppm 以下、C:20ppm 以下とした組成を有す
るCu合金鋳塊を熱間圧延後水冷により急冷し、面削
し、引き続いて冷間圧延と焼鈍を繰り返し施したのち、
仕上げ前冷間圧延を施し、ついで仕上げ処理を施す高強
度Cu合金薄板条の製造法において、上記仕上げ処理
は、溶体化処理したのち一次時効処理し、ついで仕上げ
冷間圧延したのち二次時効処理を施し、かつ上記二次時
効処理は一次時効処理よりも相対的に高い温度で行う高
強度Cu合金薄板条の製造法に特徴を有するものであ
る。 【0006】上記仕上げ処理における溶体化処理は、7
00〜900℃で5秒〜60分間保持後急冷の条件で行
うことが好ましく、仕上げ冷間圧延は5〜35%の範囲
で行うことが好ましく、二次時効処理は350〜650
℃で0.01〜600分保持の条件で行うことが好まし
く、これらの条件は従来のCu−Ni−Si系Cu合金
の製造条件の範囲内に含まれるが、この発明の高強度C
u合金薄板条の製造法においては、溶解体化処理と仕上
げ冷間圧延工程の間に300〜600℃で0.5〜12
時間保持の条件の一次時効処理を挿入することおよび上
記一次時効処理は二次時効処理よりも相対的に低温度で
行うことを特徴とするものである。 【0007】この発明の製造法で使用するCu合金の成
分組成を限定した理由は下記の通りである。 【0008】(a) NiおよびSi これら両成分は、結合して素地に微細に分散する、主体
がNi2 Siからなる金属間化合物を形成し、もって強
度を向上させる作用をもつが、その含有量がNi:2%
未満およびSi:0.3%未満では所望の強度向上効果
が得られず、一方、Niの含有量が5%を超えると導電
率が低下するようになり、またSiの含有量が1%を超
えると熱間加工性が低下するようになることから、その
含有量をそれぞれNi:2〜5%、Si:0.3〜1%
と定めた。 【0009】(b) Zn Zn成分には、はんだの耐熱剥離性を向上させる作用が
あるが、その含有量が0.1% 未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含
有量が2%を超えると導電率が急激に低下するようにな
ることから、その含有量を0.1〜2%と定めた。 【0010】(c) Mg Mg成分には、熱間加工性を向上させる作用があるが、
その含有量が0.001%未満では所望の熱間加工性向
上効果が得られず、一方その含有量が0.05%を超え
てもより一層の向上効果が現れないことから、その含有
量を0.001〜0.05%と定めた。 【0011】(d) Sn Sn成分には、半導体デバイス等の封止材であるエポキ
シ樹脂との密着強度を向上させる作用があるが、その含
有量が0.05%未満では前記作用に所望の向上効果が
得られず、一方その含有量が1%を超えると導電性が低
下するようになることから、その含有量を0.05〜1
%と定めた。 【0012】(e) 不可避不純物としてのSおよびC 一般に、この種のCu合金は不可避不純物としてSおよ
びCをそれぞれ30ppm 以下含有するが、これらのSお
よびCの含有量をそれぞれ20ppm 以下にしないと、上
記のSnによる所望の密着強度向上効果が得られないこ
とから、これらSおよびCの含有量をそれぞれ20ppm
以下に制限しなければならない。 【0013】この発明の製造方法においては、上記成分
組成のCu合金集会を得た後、従来製造方法と同じよう
に、熱間圧延後水冷により急冷し、面削し、冷間圧延と
焼鈍を繰り返し、仕上げ前圧延を行うが、引き続いて以
下の仕上げ処理を施すことに特徴があり、この仕上げ処
理に含まれる各処理の条件限定理由は以下の通りであ
る。 【0014】(f) 溶体化処理 Ni珪化物の析出をできるだけ抑え、再結晶粒の粗大化
を避けるために行う処理であって、処理温度が低い場合
には長時間、処理温度が高い場合には短時間保持するよ
うにして実施するものであるが、700℃未満で60分
を超えて保持しても固溶限以上のNi珪化物が粗大化し
好ましくなく、一方、950℃を超える温度で5秒未満
保持してもNi珪化物の固溶化が不十分なので好ましく
ない。したがって、溶体化処理条件は700〜950℃
に5秒〜60分保持に定めた。 【0015】(g) 一次時効処理 上記溶体化処理を行ってNi珪化物の析出をできるだけ
抑え、再結晶粒の粗大化を防止したのち、仕上げ冷間圧
延前にNi珪化物を微細かつ多量に析出させ、強度を向
上させた状態で仕上げ冷間圧延を行うと、曲げ加工性が
大幅に向上するが、その際に、300℃未満で12時間
を超えて保持しても、また600℃を超えて0.5時間
未満保持しても曲げ加工性向上に十分な効果が得られな
いことから、一次時効処理条件は300〜600℃、
0.5〜12時間保持に定めた。 【0016】(h) 仕上げ冷間圧延 仕上げ冷間圧延は、二次時効処理の効果を一層高めるた
めに実施するが、圧延率が5%未満では強度向上の効果
が少なく、圧延率が35%を超えると曲げ加工時にクラ
ックが発生するようになるところから、その圧延率は5
〜35%に定めた。 【0017】(i) 二次時効処理 Ni珪化物を微細に析出させ、強度を向上させるために
行うが、特に曲げ加工性を向上させるためには一次時効
処理温度よりも相対的に高い温度で処理することが好ま
しいところから、350〜650℃、0.01〜600
分の条件に定めた。 【0018】 【実施例】実施例1 表1に示す成分組成(質量%)を有するCu合金を、通
常の低周波誘電溶解炉を用い、半連続鋳造法にて厚さ:
150mm、幅:500mm、長さ:3000mm、の寸法を
持った鋳塊にした。この鋳塊に950℃の圧延開始温度
で熱間圧延を施して厚さ:11mmの熱延板とし、水冷
後、前記熱延板の上下面を面削して厚さ:10mmとし
た。これを冷間圧延、焼鈍および酸洗を繰り返し、仕上
げ前冷間圧延により表2〜表4に示される厚さの薄板を
製作した。 【0019】上記仕上げ前冷間圧延されて得られた表2
〜表4に示される厚さの薄板を、塩浴炉内にて表2〜表
4に示される温度×時間保持したのち、ただちに水冷の
溶体化処理を施し、酸洗、研磨したのち無酸化炉にて表
2〜表4に示される温度×時間の一次時効処理を施し、
ついで表2〜表4に示される圧延率で仕上げ冷間圧延し
たのち、引き続いて表2〜表4に示される温度×時間保
持の二次時効処理を施すことにより本発明法1〜20お
よび比較法1〜7を実施した。さらに、二次時効処理を
省略した比較法8、および一次時効処理のない従来法1
を実施した。これら本発明法1〜20、比較法1〜8お
よび従来法1により製造したCu合金薄板について、下
記の方法で引張強さ、伸び、曲げ加工性および導電率を
測定し、それらの測定結果を表5〜表8に示した。 【0020】(A) 引張強さおよび伸びの測定 試料を圧延方向に平行(表5〜表8にBWで示す)およ
び直角(表5〜表8にGWで示す)に採取したJIS
13号 B試験片を用いて引張強さおよび伸びを測定し
た。 【0021】(B) 導電率の測定 JIS H0505に準拠して測定した。 【0022】(C) 曲げ加工性の測定 CES M0002−5に準拠し、荷重:9807N、
内側曲げ半径R:0〜0.75mm(0.075mmの倍
数)、曲げ軸を圧延方向に平行および直角にし、W曲げ
の中央曲げ部を75倍の光学顕微鏡で観察し、クラック
が発生したときの内側曲げ半径(R)/板厚(t)の値
を測定した。このようにして測定したR/tの値は小さ
いほど曲げ加工性が優れており、大きいほど曲げ加工性
が悪いことを示すものである。 【0023】 【表1】 【0024】 【表2】【0025】 【表3】 【0026】 【表4】【0027】 【表5】 【0028】 【表6】【0029】 【表7】【0030】 【表8】【0031】表2〜表8に示される内容、結果から、溶
体化処理→一次時効処理→仕上げ冷間圧延→二次時効処
理という工程の仕上げ処理した本発明法1〜20により
得られたCu合金薄板は、溶体化処理→仕上げ冷間圧延
→時効処理という工程の仕上げ処理した従来法1により
得られたCu合金薄板に比べて、いずれも曲げ加工性が
優れていることがわかる。しかし、同じ仕上げ処理を行
ってもこの発明の条件から外れた温度および圧延率で仕
上げ処理した比較法1〜7、並びに二次時効処理を省略
した比較法8は、引張強さ、伸び、曲げ加工性、導電率
のうち少なくとも1つは好ましくない値となることがわ
かる。 【0032】実施例2 表9に示される成分組成の異なるCu合金鋳塊を実施例
1と同じ条件で厚さ:11mmの熱延板を作製し、水冷
後、前記熱延板の上下面を面削して厚さ:10mmとし、
これに冷間圧延、焼鈍および酸洗を繰り返し施し、仕上
げ前圧延により厚さ:1.0mmの仕上げ前圧延板を用意
した。この仕上げ前圧延板に、温度:800℃、10秒
保持後水冷の溶体化処理を施したのち、温度:450
℃、3時間保持の一次時効処理を施し、この一次時効処
理を施したCu合金薄板に、さらに圧延率:15%の仕
上げ冷間圧延を施し、ついで、温度:500℃、0.5
分保持の二次時効処理を施すことにより厚さ:0.15
mmのCu合金薄板を作製し、本発明法21〜23、比較
法10〜21を実施した。 【0033】この発明法21〜23、比較法10〜21
で得られたCu合金薄板を実施例1と同様にして引張強
さ、伸び、曲げ加工性および導電率を測定し、それらの
測定結果を表10および表11に示した。さらにその他
の特性についても表10および表11の備考欄に示し
た。 【0034】 【表9】【0035】 【表10】 【0036】 【表11】【0037】表9〜表11に示される結果から、原料と
して、Ni:2〜5%、Si:0.3〜1%、Zn:
0.1〜2%、Mg:0.001〜0.05%、Sn:
0.05〜1%を含有し、残りがCuおよび不可避不純
物からなり、かつ不可避不純物としての硫黄(S)およ
び炭素(C)の含有量をそれぞれS:20ppm 以下、
C:20ppm 以下とした組成を有するCu−Ni−Si
系Cu合金を用いた本発明法21〜23により得られた
Cu合金薄板は、この発明の条件から外れている比較法
10〜21に比べて、いずれも特性が優れていることが
わかる。 【0038】 【発明の効果】上述のように、この発明によると、強度
および導電性を劣化させることなく曲げ加工性の優れた
Cu合金薄板条を製造することができ、この発明の製造
法により製造されたCu合金薄板条を用いて過酷な曲げ
加工を施すことが可能となり、一層小型のコネクター、
リードフレームなどの電気電子部品を製造することがで
き、産業の発展に大いに貢献しうるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊川 一徳 福島県会津若松市扇町128−7 三菱伸 銅株式会社 若松製作所内 (56)参考文献 特開 平3−56649(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/00 - 3/02 C22C 9/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 量%で、Ni:2〜5%、Si:0.
    3〜1%、Zn:0.1〜2%、Mg:0.001〜
    0.05%、Sn:0.05〜1%を含有し、残りがC
    uおよび不可避不純物からなり、かつ不可避不純物とし
    て硫黄(S)および炭素(C)の含有量をそれぞれS:
    20ppm 以下、C:20ppm 以下とした組成を有するC
    u合金鋳塊を熱間圧延後冷し、面削したのち冷間圧延
    と焼鈍を繰り返し施し、仕上げ前冷間圧延を施したの
    ち、引き続いて仕上げ処理を施すCu合金薄板条の製造
    法において、 上記仕上げ処理は、700〜900℃で5秒〜60分保
    持したのち水冷の条件の溶体化処理したのち、300〜
    600℃で0.5〜12時間保持の条件の一次時効処理
    を施し、ついで圧延率:5〜35%の範囲内で仕上げ冷
    間圧延したのち350〜650℃で0.01〜600分
    保持の条件の二次時効処理を施す工程からなり、かつ上
    記二次時効処理は一次時効処理よりも相対的に高い温度
    で行なうことを特徴とする高強度Cu合金薄板条の製造
    法。
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