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JP3184517B2 - リチウムイオン伝導性固体電解質 - Google Patents

リチウムイオン伝導性固体電解質

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JP3184517B2
JP3184517B2 JP33590190A JP33590190A JP3184517B2 JP 3184517 B2 JP3184517 B2 JP 3184517B2 JP 33590190 A JP33590190 A JP 33590190A JP 33590190 A JP33590190 A JP 33590190A JP 3184517 B2 JP3184517 B2 JP 3184517B2
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ion conductive
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conductive solid
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康治 山村
繁雄 近藤
和典 高田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、全固体電池、コンデンサ、固体エレクトロ
クロミック表示素子等の固体電気化学素子の電解質とし
て利用されるリチウムイオン伝導性固体電解質に関する
ものである。
[従来の技術] 近年、リチウムイオン伝導性固体電解質を用いたリチ
ウム電池の全固体化に関する研究が盛んに行われてい
る。
このようなリチウムイオン伝導性固体電解質の一つと
して、Li2S−X(XはSiS2,GeS2,P2S5,B2S3のうち少な
くとも一種の硫化物)系硫化物ガラスが存在する。
Li2S−X系硫化物ガラスは、XがSiS2のLi2S−SiS2
において最も高い導電率の値を有し、その値は、5×10
-4S/cm程度である。
また、Li2S−X系硫化物ガラスにヨウ化リチウムを添
加したLiI−Li2S−X系ガラスでは、10-3S/cm程度と比
較的高いイオン導電率を持つことが知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記Li2S−X系硫化物ガラスの導電率
は、電気化学素子の電解質として実用化するには十分で
はないという課題を有する。
また、LiI−Li2S−X系では、10-3S/cm程度と比較的
高いイオン導電率を有しているが、分解電圧が3.0V以下
と低いという課題を有する。
本発明は、前記従来技術の課題を解決するため、導電
率および分解電圧を改善したリチウムイオン伝導性固体
電解質を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するため、本発明のリチウムイオン伝
導性固体電解質は、一般式Li2S−X(ただし、XはSi
S2,GeS2,B2S3のうち少なくとも一種の硫化物を表わす)
で表されるリチウムイオン伝導性硫化物ガラスに、リン
酸リチウム(Li3PO4)からなる高温リチウムイオン伝導
性化合物を存在させたという構成からなる。
前記構成においては、リン酸リチウム(Li3PO4)の存
在量が1〜5モル%であることが好ましい。
[作用] 前記本発明の構成によれば、一般式Li2S−Xで表され
るリチウムイオン伝導性硫化物ガラスに、高温リチウム
イオン伝導性化合物を存在させたので、Li2S−X系ガラ
ス母材よりもイオン伝導率の高いリチウムイオン伝導性
固体電解質を得ることができる。
また、前記高温リチウムイオン伝導性化合物が、リン
酸リチウム(Li3PO4)であるので、室温においても高い
イオン伝導性をもたせることができる。
Li3PO4は、高温領域においてはイオン伝導性の高い結
晶構造を示すが、室温付近の低温領域では相転移によっ
て結晶構造が変わりイオン伝導性は低下する。しかし、
Li3PO4を非晶質化し安定化させることにより、室温にお
いても高いイオン伝導性をもたせることができると考え
られる。これは、非晶質状態とすることによって、イオ
ン伝導性の高い高温領域での結晶構造の原子の配列がや
や乱れた構造をとったまま、室温においても安定に存在
することができるようになるためであると考えられる。
特に、Li2S−X(XはSiS2,GeS2,B2S3のうち少なくと
も一種の硫化物)系ガラス母材に、Li3PO4を添加し、Li
3PO4の構造を非晶質化することで、Li2S−X系ガラス母
材よりもイオン伝導率の高いリチウムイオン伝導性固体
電解質を得ることができる。
[実施例] 以下実施例を用いて説明する。
本実施例のリチウムイオン伝導性固体電解質は、母材
として前記Li2S−X系硫化物ガラス、添加する高温リチ
ウムイオン伝導性化合物としてLi3PO4を用いる。
リン酸リチウム(Li3PO4)の好ましい添加量(存在
量)は1〜5モル%程度である。
母材となる硫化物ガラスとその原料、及び、本研究に
よって合成された固体電解質が大気中の酸素や水分によ
って容易に分解するため、取扱はすべてアルゴンで満た
したドライボックス中で行った。
Li3PO4については、減圧下400℃で6時間乾燥したの
ちに使用した。
なお以下の実施例における添加物の組成比は、元素分
析などの手段によって決定することができる。
以下、本発明を具体的実施例により詳細に説明する
が、本発明は、これら実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 母材としてLi2S−SiS2系硫化物ガラスを用いたリチウ
ムイオン伝導性固体電解質について詳細に説明する。
母材に0.6Li2S−0.4SiS2を用い、3mol%のLi3PO4を添
加して、0.03Li3PO4−0.58Li2S−0.39SiS2を合成した。
最初に、0.6Li2S−0.4SiS2を以下の方法で合成した。
まず、硫化リチウム(Li2S)と硫化珪素(SiS2)をモ
ル比で3:2に混合した材料粉末をガラス状カーボン坩堝
中にいれ、これを、アルゴン気流中950℃で1.5時間反応
させた後、液体窒素中に投入して急冷し0.6Li2S−0.4Si
S2ガラスを合成した。
次に、前記によって得られた0.6Li2S−0.4SiS2ガラス
を粉砕し、リン酸リチウム(Li3PO4)をモル比で97:3に
混合した材料粉末をガラス状カーボン坩堝中にいれ、ア
ルゴン気流中950℃で1.5時間反応させた後に、液体窒素
中に投入して急冷し、0.03Li3PO4−0.58Li2S−0.39SiS2
リチウムイオン伝導性固体電解質を合成した。
以上のようにして合成した固体電解質のイオン伝導度
を調べるため、交流インピーダンス法による測定を行っ
た。
また、比較のためリン酸リチウムを添加していない0.
6Li2S−0.4SiS2についても同様に交流インピーダンス法
による測定を行った。
測定の結果、0.03Li3PO4−0.58Li2S−0.39SiS2の室温
でのイオン伝導度の値は7.0×10-4S/cmであった。
これに対し、リン酸リチウムを添加していない0.6Li2
S−0.4SiS2のイオン伝導度は5.3×10-4S/cmであった。
次に、分解電圧について調べたところ0.03Li3PO4−0.
58Li2S−0.39SiS2の分解電圧は約4.0Vであった。
比較のため0.30LiI−0.35Li2S−0.35SiS2について分
解電圧を調べたが、約2.9Vであった。
以上のように、リチウムイオン伝導性硫化物ガラス0.
6Li2S−0.4SiS2に、高温リチウムイオン伝導性化合物で
あるリン酸リチウム(Li3PO4)を添加することによっ
て、分解電圧が大きく、かつ、イオン伝導度の大きな固
体電解質を合成することができる。
実施例2 母材としてLi2S−GeS2系硫化物ガラスを用いたリチウ
ムイオン伝導性固体電解質について詳細に説明する。
母材に0.6Li2S−0.4GeS2を用い、3mol%のLi3PO4を添
加して、0.03Li3PO4−0.58Li2S−0.39GeS2を合成した。
最初に、0.6Li2S−0.4GeS2を以下の方法で合成した。
まず、硫化リチウム(Li2S)と硫化ゲルマニウム(Ge
S2)をモル比で3:2に混合した材料粉末をガラス状カー
ボン坩堝中にいれ、これを、アルゴン気流中950℃で1.5
時間反応させた後、液体窒素中に投入して急冷し0.6Li2
S−0.4GeS2ガラスを合成した。
次に、前記によって得られた0.6Li2S−0.4GeS2ガラス
を粉砕し、リン酸リチウム(Li3PO4)をモル比で97:3に
混合した材料粉末をガラス状カーボン坩堝中にいれ、ア
ルゴン気流中950℃で1.5時間反応させた後に、液体窒素
中に投入して急冷し、0.03Li3PO4−0.58Li2S−0.39GeS2
リチウムイオン伝導性固体電解質を合成した。
以上のようにして合成した固体電解質のイオン伝導度
を調べるため、交流インピーダンス法による測定を行っ
た。
また、比較のためリン酸リチウムを添加していない0.
6Li2S−0.4GeS2についても同様に交流インピーダンス法
による測定を行った。
測定の結果、0.03Li3PO4−0.58Li2S−0.39GeS2の室温
でのイオン伝導度の値は3.0×10-4S/cmであった。
これに対し、リン酸リチウムを添加していない0.6Li2
S−0.4GeS2のイオン伝導度は2.0×10-4S/cmであった。
次に、分解電圧について調べたところ0.03Li3PO4−0.
58Li2S−0.39GeS2の分解電圧は約4.0Vであった。
比較のため0.30LiI−0.35Li2S−0.35SiS2について分
解電圧を調べたところ約2.9Vであった。
以上のように、リチウムイオン伝導性硫化物ガラス0.
6Li2S−0.4GeS2に、高温リチウムイオン伝導性化合物で
あるリン酸リチウム(Li3PO4)を添加することによっ
て、分解電圧が大きく、かつ、イオン伝導度の大きな固
体電解質を合成することができる。
実施例3 母材としてLi2S−B2S3系硫化物ガラスを用いたリチウ
ムイオン伝導性固体電解質について詳細に説明する。
母材に0.5Li2S−0.5B2S3をもちい、4mol%のLi3PO4
添加して、0.04Li3PO4−0.48Li2S−0.48B2S3を合成し
た。
最初に、0.5Li2S−0.5B2S3を以下の方法で合成した。
まず、硫化リチウム(Li2S)と硫化ホウ素(B2S3)を
モル比で1:1に混合した材料粉末を石英ガラス管にいれ
真空封入し、これを、500℃で12時間、さらに800℃で3
時間反応させた後、液体窒素中に投入して急冷し0.5Li2
S−0.5B2S3ガラスを合成した。
次に、合成した0.5Li2S−0.5B2S3ガラスを粉砕し、リ
ン酸リチウム(Li3PO4)をモル比で96:4に混合し、これ
を石英ガラス管中にいれ真空封入し、800℃で3時間反
応させた後、液体窒素中に投入して急冷し、0.04Li3PO4
−0.48Li2S−0.48B2S3リチウムイオン伝導性固体電解質
を合成した。
以上のようにして合成した固体電解質のイオン伝導度
を調べるため、交流インピーダンス法による測定を行っ
た。
また、比較のためリン酸リチウムを添加していない0.
5Li2S−0.5B2S3についても同様に交流インピーダンス法
による測定を行った。
測定の結果、0.04Li3PO4−0.48Li2S−0.48B2S3の室温
でのイオン伝導度の値は3.0×10-4S/cmであった。
これに対し、リン酸リチウムを添加していない0.5Li2
S−0.5B2S3のイオン伝導度は2.0×10-4S/cmであった。
次に、分解電圧について調べたところ0.04Li3PO4−0.
48Li2S−0.48B2S3の分解電圧は、約4.0Vであった。
比較のため0.4LiI−0.3Li2S−0.3B2S3について分解電
圧を調べたところ、約2.9Vであった。
以上のように、リチウムイオン伝導性硫化物ガラス0.
5Li2S−0.5B2S3に、高温リチウムイオン伝導性化合物で
あるリン酸リチウム(Li3PO4)を添加することによっ
て、分解電圧が大きく、かつ、イオン伝導度の大きな固
体電解質を合成することができる。
[発明の効果] 以上説明した通り、本発明のリチウムイオン伝導性固
体電解質は、前記Li2S−X系リチウムイオン伝導性硫化
物ガラスに高温リチウムイオン伝導性化合物であるリン
酸リチウムを添加することによって得られるものであ
り、母材のLi2S−X系リチウムイオン伝導性硫化物ガラ
スに比べ、より高いリチウムイオン伝導性を持つもので
ある。
このリチウムイオン伝導性固体電解質を、電池、コン
デンサ、エレクトロクロミック表示素子等の電気化学素
子の電解質として用いることによって、より性能の高い
電気化学素子を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 和典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−8452(JP,A) 特開 平4−231346(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 1/00 - 14/00 H01M 6/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式Li2S−X(ただし、XはSiS2,GeS2,
    B2S3のうち少なくとも一種の硫化物を表わす)で表され
    るリチウムイオン伝導性硫化物ガラスに、リン酸リチウ
    ム(Li3PO4)からなる高温リチウムイオン伝導性化合物
    を存在させたリチウムイオン伝導性固体電解質。
  2. 【請求項2】リン酸リチウム(Li3PO4)の存在量が1〜
    5モル%である請求項1に記載のリチウムイオン伝導性
    固体電解質。
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