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JP2870050B2 - ディジタルデータの高能率符号化方法 - Google Patents

ディジタルデータの高能率符号化方法

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JP2870050B2
JP2870050B2 JP27077789A JP27077789A JP2870050B2 JP 2870050 B2 JP2870050 B2 JP 2870050B2 JP 27077789 A JP27077789 A JP 27077789A JP 27077789 A JP27077789 A JP 27077789A JP 2870050 B2 JP2870050 B2 JP 2870050B2
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義仁 藤原
健三 赤桐
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、入力ディジタルデータの符号化を行うディ
ジタルデータの高能率符号化方法に関するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、入力ディジタルデータを複数のサンプルデ
ータからなるブロックに変換して各ブロック単位に直交
変換を行い、得られた係数データを周波数軸方向のバン
ド毎に所定のビット数で量子化するようにしたディジタ
ルデータの高能率符号化方法において、ブロック化され
たデータの時間軸方向のレベル変化のパターンの検出出
力に応じてビット配分を制御するようにしたことによ
り、入力ディジタルデータの性質に応じた効率的な符号
化を行うことができるディジタルデータの高能率符号化
方法を提供するものである。
〔従来の技術〕
オーディオ,音声等の信号の高能率符号化において
は、オーディオ,音声等の入力信号を時間軸又は周波数
軸で複数のチャンネルに分割すると共に、各チャンネル
毎のビット数を適応的に割当てるビットアロケーション
(ビット割当て)による符号化技術がある。例えば、オ
ーディオ信号等の上記ビット割当てによる符号化技術に
は、時間軸上のオーディオ信号等を複数の周波数帯域に
分割して符号化する帯域分割符号化(サブ・バンド・コ
ーディング:SBC)や、時間軸の信号を周波数軸上の信号
に変換(直交変換)して複数の周波数帯域に分割し各帯
域毎で適応的に符号化するいわゆる適応変換符号化(AT
C)、或いは、上記SBCといわゆる適応予測符号化(AP
C)とを組み合わせ、時間軸の信号を帯域分割して各帯
域信号をベースバンド(低域)に変換した後複数次の線
形予測分析を行って予測符号化するいわゆる適応ビット
割当て(APC−AB)等の符号化技術がある。
ここで、上述のような高能率符号化の適応変換符号化
の一手法として、例えば、オーディオ信号等を高速フー
リエ変換等を用いて周波数分析し、その分析結果に基づ
いた適応的な割当てビット数で符号化を行うような方法
がある。このような場合には、例えば、音質上(人間の
聴覚特性上)の重要な周波数帯域に多くのビット数を割
当て、逆に重要性の少ない帯域には割当てるビット数を
少なくするようにしている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上述のような適応変換符号化のように周波数
軸上でのビットアロケーションを行うような場合、上記
周波数分析精度と時間分析精度は反比例の関係にあるた
め、例えば、周波数分析精度を上げようとすると、時間
分析精度が低下することになり、入力信号の過渡的な変
化に対応できない場合が生ずる。すなわち、例えば、オ
ーディオ信号等を高速フーリエ変換(FFT)等によって
直交変換(周波数軸に変換)して周波数分析を行うよう
な場合において、サンプリング周波数fsが45kHz,周波数
分析長2048ポイントの場合、分析時間は約43msとなる。
このように、分析時間が約43msと長くなるような時に
は、その分析時間ブロック内で信号の状態が大きく変化
してしまうような場合が発生する虞れがある。例えば、
第9図に示すように、分析される時間ブロックBの前半
部が無信号で後半部に信号(エネルギ)が偏っているよ
うな信号となる場合があり、このような時に、当該分析
時間ブロックBのオーディオ信号を例えば高速フーリエ
変換した後、逆高速フーリエ変換することで得られる信
号は第10図に示すような信号となる。すなわち、この第
10図においては、高速フーリエ変換処理を行うことによ
って、分析時間ブロックBの後半部の信号によって、本
来無信号であって前半部にノイズが目立ってくるように
なる。
そこで、本発明は、上述のような実情に鑑みて提案さ
れたものであり、入力信号の時間軸上の過渡的な変化に
対応して最適な周波数軸上のビットアロケーションを行
うことができるディジタルデータの高能率符号化方法を
提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のディジタルデータの高能率符号化方法は、上
述の目的を達成するために提案されたものであり、入力
ディジタルデータを複数のサンプルデータからなるブロ
ックに変換した後、各ブロック単位に直交変換を行い、
得られた係数データを周波数軸方向のバンド毎に所定の
ビット数を与えて量子化するようにしたディジタルデー
タの高能率符号化方法において、上記ブロック化された
データの時間軸方向のレベル変化のパターンを検出し、
この検出出力に応じて上記ビット配分を制御するように
したものである。
〔作用〕
本発明によれば、ブロック化されたデータの時間軸方
向のレベル変化のパターンを検出し、この検出出力に応
じてビット配分を制御することによって、人間の耳の特
性を考慮した、特に時間軸方向のマスキングを考慮した
最適な周波数軸のビット割当てが行えるようになる。
〔実施例〕
以下、本発明を適用した実施例について図面を参照し
ながら説明する。
本発明のディジタルデータの高能率符号化方法が適用
される一実施例のディジタルデータの高能率符号化装置
は、オーディオ或いは音声等の入力ディジタルデータ
を、適応変換符号化(ATC)によって高能率符号化する
ものである。
先ず、第1図に示す本実施例装置の入力端子41に供給
されたオーディオ等の入力ディジタルデータは、ブロッ
ク化回路51に伝送される。当該ブロック化回路51では、
例えば、2048サンプルの入力ディジタルデータを所定時
間毎にブロック化することで複数のサンプルデータから
なる時間ブロックを得ている。このブロック化回路51で
単位時間毎にブロック化された入力ディジタルデータ
は、高速フーリエ変換(FFT)回路52によって各単位時
間ブロック毎に直交変換されることで、時間軸が周波数
軸に変換されたFFT係数データがブロック毎に得られ
る。すなわち、当該高速フーリエ変換回路52では、時間
軸の入力信号に対して、例えば2048点(サンプル)の高
速フーリエ変換処理を行うとすると、例えば、1023点の
位相角,1025点の振幅項(又は1023点の虚数部,1025点の
実数部)のFFT係数データが得られる。
次に、後述する割当てビット数決定回路66からの割当
てビット数情報に基づいて、これら各FFT係数データの
ブロック毎に所定のビット数を与えて量子化回路67で量
子化するようにしている。この量子化回路67の量子化出
力が本実施例装置の出力端子42から出力される。
また、上記高速フーリエ変換回路52で得られたブロッ
ク単位のFFT係数データは、クリティカルバンド分割回
路53に伝送される。当該クリティカルバンド分割回路53
では、いわゆる臨界帯域幅(クリティカルバンド)で上
記FFT係数データをバンド分割している。ここで、上記
クリティカルバンドとは、人間の聴覚特性(周波数分析
能力)を考慮したものであり、オーディオ信号等を例え
ば25バンドに分け、高い周波数帯域ほどバンド幅を広く
しているものである。また、当該クリティカルバンド分
割回路53では、各クリティカルバンド毎のエネルギ(各
バンドでのスペクトル強度)が、各バンド内のそれぞれ
のFFT係数データの総和(ピーク或いは平均又はエネル
ギ総和)をとることにより求められている。該クリティ
カルバンド分割回路53の出力すなわち各バンドの総和ス
ペクトルは、一般にバークスペクトルと呼ばれ、この各
バンドのバークスペクトルSBは例えば、第2図に示すよ
うになる。なお、この第2図では図示を簡略化するた
め、本来、クリティカルバンドの25バンドに対応して25
個となるバークスペクトルSBを12個で表している。
ところで、前述したように、入力信号の時間ブロック
の高速フーリエ変換による周波数分析を行うような場合
において、その分析時間ブロック内で信号の状態が大き
く変化してしまうような場合、例えば、前述の第9図及
び第10図に示したように、分析される時間ブロックBの
後半部に信号(エネルギ)が偏っているような信号とな
る場合には、該分析時間ブロックBの後半部の信号によ
り、量子化後に得られる分析ブロックBでは本来無信号
であった前半部にノイズが目立ってくるようになる。
上述のようなことから、本実施例装置においては、上
記ブロック化回路51後のブロック化されたデータの時間
軸方向のレベル変化のパターンを検出し、この検出出力
に応じて量子化回路67での量子化の際のビット配分を制
御するようにしている。
すなわち、本実施例装置では、上記ブロック化回路51
からの各単位時間ブロックB(すなわち時間分析ブロッ
ク)を、例えば、第3図〜第5図に示すように前,中,
後の3つのサブブロックSf,Ss,Seに分割し、これら各サ
ブブロックSf,Ss,Se内の例えばエネルギ値を比較するこ
とで、上記単位時間ブロックB(時間分析ブロック)内
のデータの時間軸方向のレベル変化のパターンを検出し
ている。
ここで、該レベル変化のパターンが、例えば第3図に
示すように変化の少ない定常状態の信号の時には、後述
するようなマスキング効果を有効に利用した許容ノイズ
レベルを設定するようにしている。ここで、上記マスキ
ング効果とは、人間の聴覚上の特性により、ある信号に
よって他の信号がマスクされて聞こえなくなる現象をい
うものであり、このマスキング効果には、時間軸上のオ
ーディオ信号等に対するマスキング効果と周波数軸上の
信号に対するマスキング効果とがある。すなわち、該周
波数軸のマスキング効果により、マスキングされる部分
にノイズがあったとしても、このノイズは聞こえないこ
とになる。このため、実際のオーディオ信号では、該周
波数軸でマスキングされる部分内のノイズは許容可能な
ノイズとされる。したがって、量子化の際には、該許容
ノイズレベル分の割当てビット数を減らすことができる
ようになる。すなわち、上述の第3図のような場合に
は、各単位時間ブロックBの周波数軸上のマスキング効
果を考慮した許容ノイズレベルを設定するようにしてい
る。例えば後述するように、高い周波数程同一のエネル
ギに対する許容ノイズレベルを高く設定するようにして
いる。
また、レベル変化のパターンが、例えば、第4図に示
すように、単位時間ブロックBの後半部で変化の激しい
ものであったような場合には、S/Nが最大になるように
すなわちノイズがフラットになるように許容ノイズレベ
ルを設定する。
更に、上記パターンが、例えば、第5図に示すよう
に、単位時間ブロックBの前半部で変化の激しいもので
あったような場合には、そのレベル変化の程度に応じて
時間軸でのマスキング効果を利用した許容ノイズレベル
を設定するか或いはS/Nが最大になるような許容ノイズ
レベルを設定するようにする。すなわち、人間の聴覚に
おいては、単位時間ブロックB内の前半部に変化の激し
い信号がきた場合のように、例えば大きな音の後には長
時間マスキング(時間軸マスキング)される特性がある
ため、上記ブロックBの前半部の信号による時間軸マス
キング効果がこの単位時間ブロックBの最後まで影響す
るような場合には、この時間軸マスキング効果を最大限
に利用するようにする。また、上記前半部の信号による
時間軸マスキング効果が単位時間ブロックBの最後まで
とどかないような場合には、S/Nが最大になるような許
容ノイズレベルの設定を行うようにする。
上述のようなことを行うために、本実施例装置では、
上記ブロック化回路51からの各単位時間ブロックBを、
3つのサブブロック化回路58〜60に伝送している。これ
らサブブロック化回路58〜60は、上述したような3つの
サブブロックSf,Ss,Seに上記単位時間ブロックBを分割
する。次に各サブブロック化回路58〜60の出力は、それ
ぞれエネルギ検出回路61〜63に伝送され、各サブブロッ
クSf,Ss,Se毎のエネルギ値が検出される。これら各サブ
ブロックSf,Ss,Seのエネルギ値は、比較分析回路64に伝
送され、当該比較分析回路64では、上記各エネルギ値の
例えば大小関係を求めることで、上述した単位時間ブロ
ックB内のデータの時間軸方向のレベル変化のパターン
が検出される。例えば、サブブロックSf,Ss,Seのエネル
ギ値に差の少ないような場合には、この単位時間ブロッ
クBのパターンは第3図のようなものであるとし、また
サブブロックSeのエネルギ値が他のエネルギ値よりも特
に大きいような場合には、第4図のようなパターンであ
るとし、サブブロックSfのエネルギ値が特に大きいよう
な場合には、第5図のようなパターンであるとする。
このようにして、上記比較分析回路64で上記パターン
が検出され、その検出出力は切換選択スイッチ57に送ら
れ、この検出出力に基づいて上記切換選択スイッチ57の
切換制御が行われるようになる。ここで、当該切換選択
スイッチ57の各被選択端子57a〜57cには、上記クリティ
カルバンド分割回路53からの1単位時間ブロックB毎の
データが、許容ノイズレベル設定回路54,55及びミキシ
ング回路56を介したデータが供給されるようになってい
る。
該許容ノイズレベル設定回路54では、上記単位時間ブ
ロックB内のデータの上述したマスキングを考慮した許
容ノイズレベル設定が行われており、これは、特に上述
した第3図に示したようにサブブロックSf,Ss,Seのエネ
ルギ値にあまり差の無い定常状態の場合に特に有効なも
のとなる。該許容ノイズレベル設定回路54の出力は上記
切換選択スイッチ57の被選択端子57aに送られている。
また、上記許容ノイズレベル設定回路55では、上記単
位時間ブロックB内のS/Nが最大になるようにすなわち
ノイズがフラットになるよう許容ノイズレベルが設定さ
れている。これは、特に、上述の第4図のように、単位
時間ブロックBの後半部に信号のエネルギが集中してい
るような場合に有効なものとなる。このようなことか
ら、量子化回路67での量子化の際には周波数軸上のエネ
ルギに比例したビットアロケーションが行えるようにな
る。この許容ノイズレベル設定回路55の出力は、上記切
換選択スイッチ57の被選択端子57cに送られる。
更に、上記許容ノイズレベル設定回路54及び55の出力
は、ミキシング回路56にも伝送されるようになってお
り、当該ミキシング回路56では、上記許容ノイズレベル
設定回路54及び55の出力を混合することで、特に、第5
図のように単位時間ブロックBの前半部で変化の激しい
ものであったような場合に有効な許容ノイズレベルが得
られることになる。このミキシング回路56の出力は、切
換選択スイッチ57の被選択端子57bに送られる。
ここで、当該切換選択スイッチ57が上述した比較分析
回路64からの検出出力によって切換制御されることで、
前述した第3図〜第5図に示したようなパターンに応じ
た切換制御が行われるようになる。
上述のようにして、上記パターンに応じて上記切換選
択スイッチ57から出力される上記許容ノイズレベル設定
回路54又は55或いはミキシング回路56からの出力は、差
分検出回路65に伝送される。当該差分検出回路65には、
上記クリティカルバンド分割回路53からの各バンドのデ
ータすなわちバークスペクトルSBも供給されており、し
たがって、この差分検出回路65では、上記クリティカル
バンド分割回路53からの各バークスペクトルSBから上記
切換選択スイッチ57からのデータすなわち許容ノイズレ
ベルを引いた残りのデータ(差分データ)が出力される
ようになる。
この差分データが、割当てビット数決定回路66に伝送
されており、当該割当てビット数決定回路66から上記差
分データに基づいた割当てビット数情報が上記量子化回
路66に出力されている。したがって、上記量子化回路67
での量子化の際には、上記差分データに応じた割当てビ
ット数情報により適応的なビット数で上記ブロック化さ
れたFFT係数のブロック単位での量子化が行われるよう
になっている。
上述したように、本実施例の高能率符号化装置におい
ては、単位時間ブロック内の信号のパターンに応じて、
マスキング効果を考慮した量子化或いはS/Nが最大にな
るように量子化を行うことができるようになるため、時
間軸上で過渡的に変化する信号に対応した最適な処理す
なわち入力ディジタルデータの性質に応じた効率的なビ
ットアロケーションで符号化を行うことができるように
なる。
ここで、上述した許容ノイズレベル設定回路54の一具
体的構成例を第6図に示す。この回路で行われる許容ノ
イズレベル設定処理の際には、上述したように、マスキ
ング効果を考慮した許容ノイズレベル設定が行われる。
この時、マスキング効果を考慮して、例えば、上記クリ
ティカルバンドの高い周波数のバンド程同一のエネルギ
に対する許容ノイズレベルを高く設定するようにするこ
とが可能である。
すなわち、第1図のクリティカルバンド分割回路53か
らのバークスペクトルSBのデータは、入力端子31に伝送
される。ここで、上記バークスペクトルSBのマスキング
における影響を考慮するため、上記バークスペクトルSB
に所定の重みづけの関数を畳込む(コンボリューショ
ン)。このため、上記バークスペクトルSBの各値は、フ
ィルタ回路33に伝送される。該フィルタ回路33は、第7
図に示すように、入力データすなわち上記バークスペク
トルSBのデータを順次遅延させる遅延素子(z-1)101
m-2〜101m+3と、各遅延素子101m-2〜101m+3からの出力
にフィルタ係数(重みづけの関数)を乗算する乗算器10
2m-3〜102m+3と、総和加算器104とから構成されるもの
である。この時乗算器102m-3〜102m+3において、例え
ば、乗算器102m-3でフィルタ係数0.0000086を、乗算器1
02m-2でフィルタ係数0.0019を、乗算器102m-1でフィル
タ係数0.15を、乗算器102mでフィルタ係数1を、乗算器
102m+1でフィルタ係数0.4を、更に乗算器102m+2でフィ
ルタ係数0.06を、また乗算器102m+3でフィルタ係数0.00
7を各遅延素子の出力に乗算することにより、上記バー
クスペクトルSBの畳込み処理が行われる。該畳込み処理
により、上述の第2図中点線で示す部分の総和がとられ
る。
ところで、上記バークスペクトルSBのマスキングスペ
クトル(許容可能なノイズスペクトル)を算出する場合
の後述する許容可能なノイズレベルに対応するレベルα
においては、このレベルαが小さいとマスキングのスペ
クトルが下降することになり、結果として量子化回路67
での量子化の際に割り当てるビット数を増やさなければ
ならないようになる。逆に、上記レベルαが大きいとマ
スキングスペクトルが上昇することになり、結果として
量子化の際の割り当てるビット数を減少することができ
るようになる。なお、上記許容可能なノイズレベルに対
応するレベルαとは、逆コンボリューション処理を行う
ことによってクリティカルバンドの各バンド毎の許容ノ
イズレベルとなるようなレベルである。また、一般にオ
ーディオ信号等では、高域部分のスペクトル強度(エネ
ルギ)が小さい。したがって本具体例においては、これ
らのことを考慮して、エネルギの小さい高域にいく程、
上記レベルαを大きくし、当該高域部分のビット割当て
数を減らすようにしている。このようなことから、上記
許容ノイズレベル設定の際には高い周波数程同一のエネ
ルギに対する上記レベルαを高く設定している。
すなわち本具体例では、上記許容ノイズレベルに対応
するレベルαを算出し、該レベルαが高域程高くなるよ
うに制御している。このため、上記フィルタ回路33の出
力は引算器34に送られる。該引算器34は、上記畳込んだ
領域でのレベルαを求めるものである。ここで、上記引
算器34には、上記レベルαを求めるための許容関数(マ
スキングレベルを表現する関数)が供給される。該許容
関数を増減させることで上記レベルαの制御を行ってい
る。該許容関数は、関数発生回路36から供給されてい
る。
すなわち、許容ノイズレベルに対応するレベルαは、
クリティカルバンドのバンドの低域から順に与えられる
番号をiとすると、第(1)式で求めることができる。
α=S−(n−ai) ……(1) この第(1)式において、n,aは定数でa>0、Sは
畳込み処理後のバークスペクトルの強度であり、第
(1)式中(n−ai)が許容関数となる。ここで、上述
した様に、エネルギの少ない高域からビット数を減らす
方が全体のビット数削減に有利であるため、本具体例で
はn=38,a=1としており、この時の音質劣化はなく、
良好な符号化が行えた。
上述のようにして、上記レベルαが求められ、このデ
ータは、割算器35に伝送される。当該割算器35では、上
記畳込み処理された領域でのレベルαを逆コンボリュー
ションするためのものである。したがって、この逆コン
ボリューション処理を行うことにより、上記レベルαか
ら、マスキングスペクトルが得られるようになる。すな
わち、このマスキングスペクトルが許容ノイズスペクト
ルとなる。なお、上記逆コンボリューション処理は、複
雑な演算を必要とするが、本具体例では簡略化した割算
器35を用いて逆コンボリューションを行っている。この
割算器35の出力が出力端子37を介して上述の切換選択ス
イッチ57の被選択端子に伝送されている。
その後、上記マスキングスペクトルは、上記切換選択
スイッチ57を介して上記差分検出回路65に伝送される。
ここで、当該差分検出回路65には、上記バークスペクト
ルSBが供給されている。したがって、この差分検出回路
65で上記マスキングスペクトルとバークスペクトルSBと
の減算演算が行われることで、第8図に示すように、上
記バークスペクトルSBは、該マスキングスペクトルMSの
各レベルで示すレベル以下がマスキングされることにな
る。したがって、当該バークスペクトルSBとマスキング
スペクトルMSとの差が上述した差分データとなる。
上述したように、本具体例においては、エネルギの小
さい高域にいく程、許容ノイズレベルを大きくし、当該
高域部分のビット割当て数を減らすようにしているた
め、量子化の際の割当てビット数を減らすことができる
ようになる。
〔発明の効果〕
本発明のディジタルデータの高能率符号化方法におい
ては、ブロック化されたデータの時間軸方向のレベル変
化のパターンの検出出力に応じてビット配分を制御する
ようにしたことにより、入力ディジタルデータの時間軸
上の過渡的な変化に対応して最適な周波数軸上のビット
アロケーションを行うことができ、効率的な符号化を行
うことが可能となる。
したがって、例えば高速フーリエ変換等を用いた符号
化で周波数分析長を長くとって時間軸精度が悪くなった
ような場合の欠点を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例のディジタルデータの高能率
符号化装置の概略構成を示すブロック回路図、第2図は
バークスペクトルを示す図、第3図は変化の少ない定常
状態のブロック内の波形図、第4図はブロックの後半部
に変化の激しい部分のあるブロック内の波形図、第5図
はブロックの前半部に変化の激しい部分のあるブロック
内の波形図、第6図は許容ノイズレベル設定のための一
具体的構成を示すブロック回路図、第7図はフィルタ回
路を示す回路図、第8図はマスキングスペクトルを示す
図、第9図は高速フーリエ変換前の波形図、第10図は高
速フーリエ変換に伴うノイズの発生した波形図である。 51……ブロック化回路 52……高速フーリエ変換回路 53……クリティカルバンド分割回路 54,55……許容ノイズレベル設定回路 56……ミキシング回路 57……切換選択スイッチ 58,59,60……サブブロック化回路 61,62,63……エネルギ値検出回路 64……比較分析回路 65……差分検出回路 66……割当てビット数決定回路 67……量子化回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−42621(JP,A) 特開 昭61−201526(JP,A) 特開 昭63−142399(JP,A) 特開 昭63−285032(JP,A) 特開 昭60−96041(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03M 7/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力ディジタルデータを複数のサンプルデ
    ータからなるブロックに変換した後、各ブロック単位に
    直交変換を行い、得られた係数データを周波数軸方向の
    バンド毎に所定のビット数を与えて量子化するディジタ
    ルデータの高能率符号化方法において、 上記ブロック化されたデータの時間軸方向のレベル変化
    のパターンを検出し、 この検出出力に応じて上記ビット配分を制御する ことを特徴とするディジタルデータの高能率符号化方
    法。
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