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JP2022178831A - 発熱ロールの製造方法、発熱ロール、定着装置および画像形成装置 - Google Patents

発熱ロールの製造方法、発熱ロール、定着装置および画像形成装置 Download PDF

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孝 大橋
Takashi Ohashi
拓真 石原
Takuma Ishihara
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Abstract

【課題】粉体塗装を行う場合に比べて、膜厚の均一性を向上させること。【解決手段】金属製の基材(11)の表面に、電気絶縁性で熱収縮性のポリエーテルエーテルケトン樹脂(21)を被せた状態で加熱して、基材(11)の表面に絶縁部(12)を形成する工程と、絶縁部(12)の表面に通電時に発熱する発熱部(13)を形成する工程と、を実行することを特徴とする発熱ロールの製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、発熱ロールの製造方法、発熱ロール、定着装置および画像形成装置に関する。
画像形成装置において、媒体に転写された未定着の現像剤を定着させる定着装置に関し、以下の特許文献1,2に記載の技術が公知である。
特許文献1としての特開平10-3226号公報には、ローラ本体(11)の内面に、ポリイミド樹脂製の絶縁膜材(14)が配置され、絶縁膜材(14)の更に内側に加熱素子(15)が配置された加熱ローラ(10)が記載されている。
特許文献2としての特開2001-201970号公報には、円筒状の芯金(1)の内周面に、フッ素樹脂のような撥水性樹脂からなる絶縁層(2)を形成し、絶縁層(2)のさらに内周に抵抗発熱体(3)を形成した発熱定着ロール(10)が記載されている。特許文献2では、芯金(1)の外周側に離型層として、フッ素樹脂のような撥水性樹脂からなるトナー付着防止層(4)も形成されている。
特開平10-3226号公報(「0022」-「0025」、図2) 特開2001-201970号公報(「0017」-「0021」、図1)
本発明は、粉体塗装を行う場合に比べて、膜厚の均一性を向上させることを技術的課題とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の発熱ロールの製造方法は、
金属製の基材の表面に、電気絶縁性で熱収縮性のポリエーテルエーテルケトン樹脂を被せた状態で加熱して、前記基材の表面に絶縁部を形成する工程と、
前記絶縁部の表面に通電時に発熱する発熱部を形成する工程と、
を実行することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発熱ロールの製造方法において、
筒状のポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発熱ロールの製造方法において、
前記ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、筒の長さ方向の熱収縮率は、筒の径方向の熱収縮率よりも小さく形成されていることを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の発熱ロールは、
金属製の基材と、
通電時に発熱する材料で構成された発熱部と、
前記基材と前記発熱部との間に配置され、前記基材と前記発熱部との間を電気的に絶縁する絶縁部であって、筒状のポリエーテルエーテルケトン樹脂が基材の外面に熱収縮で固定された前記絶縁部と、
を備えたことを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の定着装置は、
請求項4に記載の発熱ロールを有する加熱手段と、
前記加熱手段に対向して配置された加圧手段と、
を備え、
前記加熱手段と前記加圧手段との間を通過する媒体の現像剤を定着させることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の定着装置において、
前記加圧手段に対向する領域を通過する無端状の帯状手段と、前記帯状手段を支持し且つ前記帯状手段を加熱する前記発熱ロールと、を有する前記加熱手段と、
前記帯状手段との間を通過する媒体の現像剤を定着させる前記加圧手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の定着装置において、
前記加圧手段に対向して配置された前記発熱ロール、
を備えたことを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項8に記載の発明の画像形成装置は、
像保持手段と、
前記像保持手段に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持手段の潜像を現像する現像手段と、
前記像保持手段の像を媒体に転写する転写手段と、
前記媒体の像を定着させる請求項5ないし7のいずれかに記載の定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
請求項1,4,5,8に記載の発明によれば、粉体塗装を行う場合に比べて、膜厚の均一性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、筒状のPEEK樹脂を使用しない場合に比べて、継ぎ目のない膜厚が均一な絶縁部を形成することができる。
請求項3に記載の発明によれば、長さ方向の熱収縮率が径方向の熱収縮率よりも大きい場合に比べて、絶縁部の表面にしわが発生することを抑制できる。
請求項6に記載の発明によれば、帯状手段を発熱ロールで加熱して、帯状手段と加圧手段との間で現像剤を定着させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、発熱ロールと加圧手段との間で現像剤を定着させることができる。
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。 図2は実施例1の発熱ロールの概略説明図である。 図3は実施例1の発熱ロールの要部断面図である。 図4は実施例1の発熱ロールの製造方法の説明図であり、図4Aは基材にPEEK樹脂を被せる前の状態の説明図、図4Bは図4Aの状態から基材にPEEK樹脂を被せた状態の説明図、図4Cは図4Bの状態からPEEK樹脂を熱収縮させた状態の説明図、図4Dは図4Cの状態から発熱部を固定した状態の説明図である。 図5は実施例2の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としてのコピー機Uは、操作部UI、画像読取装置の一例としてのスキャナ装置U1、給紙装置U2、画像記録装置の一例としてのプリンタ部U3、および用紙排出部U4を有している。
前記操作部UIは、入力部の一例としての電源ボタンやコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等や、表示部等を有している。
前記スキャナ装置U1は、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、プリンタ部U3に入力する。
給紙装置U2は、給紙部の一例としての複数の給紙トレイTR1~TR4を有する。各給紙トレイTR1~TR4には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。各給紙トレイTR1~TR4からプリンタ部U3に向けて、媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1が延びている。
図1において、プリンタ部U3は、制御部Cや、前記制御部Cにより制御されてプリンタ部U3の各部材に給電する電源回路E等を有する。制御部Cは、スキャナ装置U1で読み取られた原稿の画像情報や、コピー機Uに接続された図示しない情報送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータから送信された画像情報を受信する。
前記制御部Cは、受信した画像情報を、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の印刷用の情報に処理して、潜像書込装置の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路Dに出力する。レーザ駆動回路Dは、制御部Cから入力されたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成手段の一例としての露光装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
各露光装置ROSy~ROSkの下方には、Y,M,C,Kの像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukが配置されている。
図1において、K:黒の像保持体ユニットUkは、像保持手段の一例としての感光体ドラムPkと、帯電手段の一例としての帯電コロトロンCCkと、像保持手段用の清掃手段の一例としての感光体クリーナCLkとを有する。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUy,Um,Ucも、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電コロトロンCCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有する。
なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPy,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電コロトロンCCy,CCm,CCc,CCkにより一様に帯電された後、露光装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより、感光体ドラムPy~Pkの表面に静電潜像が形成される。前記感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面の静電潜像は、現像手段の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに設けられた現像部材の一例としての現像ロールR0により、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色のトナー像に現像される。
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写手段の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、1次転写領域Q3において、中間転写手段の一例であって、像保持手段の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面に残留した残留トナーは感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkによりクリーニングされる。
前記各像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukと、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkとにより、可視像形成部の一例としてのトナー像形成部材Uy+Gy,Um+Gm,Uc+Gc,Uk+Gkが構成されている。
プリンタ部U3の上部には、補給手段の一例としてのトナーディスペンサーU3aが配置されており、トナーディスペンサーU3aには、現像剤の収容手段の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkが着脱可能に装着されている。画像形成に伴って現像装置Gy~Gkにおいてトナーが消費されると、各トナーカートリッジKy~Kkから各現像装置Gy~Gkにトナーが供給される。
前記感光体ドラムPy~Pkの下方に配置された中間転写ベルトBは、中間転写手段の駆動手段の一例としての中間駆動ロールRdと、中間転写ベルトBに張力を付与する張力付与手段の一例としての中間テンションロールRtと、中間転写ベルトBの片寄り、蛇行を補正する第1の片寄り補正手段の一例としての中間ステアリングロールRwと、従動手段の一例としての複数の中間アイドラロールRfと、2次転写領域の対向手段の一例としてのバックアップロールT2aと、により張架されている。そして、前記中間転写ベルトBは、中間駆動ロールRdの駆動により矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
前記中間駆動ロールRd、中間テンションロールRt、中間ステアリングロールRw、中間アイドラロールRf、バックアップロールT2a、1次転写ロールT1y~T1k、中間転写ベルトB等により、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが構成されている。なお、実施例1のベルトモジュールBMは、プリンタ部U3に対して、着脱、交換が可能なユニットにより構成されている。
前記バックアップロールT2aの下方には、転写搬送手段の一例としての2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有する。2次転写ロールT2bは、バックアップロールT2aに対向して配置されている。2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと対向する領域により2次転写領域Q4が構成されている。また、前記バックアップロールT2aには、電圧印加用の接触手段の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。コンタクトロールT2cには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
前記各ロールT2a~T2cにより、2次転写手段の一例としての2次転写器T2が構成されている。また、中間転写ベルトBや1次転写ロールT1y~T1k、2次転写器T2等により、転写手段の一例としての転写装置B+T1+T2が構成されている。
前記ベルトモジュールBMの下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、搬送手段の一例としての搬送ロールRaで用紙搬送路SH2に搬送される。用紙搬送路SH2の記録用紙Sは、送出手段の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて送り出され、媒体案内手段の一例としての用紙ガイドSG1,SG2に案内されて、2次転写領域Q4に搬送される。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に、前記2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写手段の清掃手段の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。
トナー像が2次転写された記録用紙Sは、搬送手段の一例としての媒体搬送ベルトBHに送られる。媒体搬送ベルトBHは、記録用紙Sを定着装置Fに搬送する。定着手段の一例としての定着装置Fは、加熱手段の一例としての加熱ユニットFhと、加圧手段の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ユニットFhと加圧ロールFpとが対向、接触する領域により定着領域Q5が形成されている。
記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。定着装置Fでトナー像が定着された記録用紙Sは、排出部の一例としての排出トレイTRhに排出される。
前記符号SH1,SH2等により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,SG1,SG2,BH等により用紙搬送装置SUが構成されている。
(定着装置の説明)
図1において、実施例1の定着装置Fの加熱ユニットFhは、帯状手段の一例として、無端状の定着ベルト1を有する。実施例1の定着ベルト1は、発熱部材の一例としての発熱ロール2と、駆動手段の一例としての駆動ロール3と、対向手段の一例としての定着パッド4とで支持されている。発熱ロール2は、画像形成動作時に発熱して定着ベルト1を加熱する。駆動ロール3は、画像形成時に定着ベルト1を回転させる。定着パッド4は、定着領域Q5で定着ベルト1を加圧ロールFpに対向させる。
(発熱ロールの説明)
図2は実施例1の発熱ロールの概略説明図である。
図3は実施例1の発熱ロールの要部断面図である。
図2、図3において、実施例1の発熱ロール2は、基材の一例としての芯金11を有する。実施例1の芯金11は、導電性の金属材料で構成されている。芯金11は、一例として、アルミで構成することが好ましいが、鉄あるいは、ステンレス等の導電性の合金を使用することも可能である。また、実施例1の芯金11は、回転軸方向に延びる円筒状に形成されている。
芯金11の外周には、絶縁部の一例としての絶縁層12が形成されている。実施例1の絶縁層12は、電気的な絶縁材料であって、吸水率、含水率がポリイミド樹脂に比べて低い材料の一例として、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Poly-ether-ether-ketone)樹脂で構成されている。なお、吸水率は、JISK7209で定められているように、試験片を、23℃で、水中に24時間浸漬して計測されるものである。一例として、PEEK樹脂は吸水率が0.04%であり、ポリイミド樹脂が0.8%、ポリアミド樹脂が0.4%程度、ポリアミドイミド樹脂が0.3%程度、フッ素樹脂の一例としてのPFA(パーフルオロアルコキシアルカン樹脂)は0.01%である。
絶縁層12の外表面側には、発熱部の一例としての発熱層13が形成されている。発熱層13は、通電時に発熱する抵抗発熱体により構成されている。なお、抵抗発熱体は、例えば、特許文献1,2等に記載されており、従来公知であるため、詳細な説明は省略する。
発熱層13の外表面側には、外層の一例としての表面層14が形成されている。
実施例1の表面層14は、絶縁性の材料で構成することが望ましい。表面層14が導電性の材料で構成されていると、発熱層13から電流が流れやすくなり、電源回路Eの電源容量を大きくする必要があったり、定着ベルト1へのリーク等の問題がある。よって、表面層14は電気絶縁性の材料で構成することが望ましい。電気絶縁性の材料としては、一例として、ポリイミド樹脂、ガラス樹脂、PEEK樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)樹脂等を使用可能である。
また、実施例1の表面層14は、定着ベルト1との接触、摩耗に対応して、耐摩耗性の材料で構成することが望ましい。耐摩耗性の材料としては、一例として、ポリイミド樹脂やガラス樹脂、PEEK樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。
さらに、実施例1の表面層14は、定着ベルト1への熱の伝達効率の観点から、絶縁層12よりも(熱抵抗)=(熱伝導率)×(厚さ)が低いことが望ましい。すなわち、発熱層13を挟む絶縁層12と表面層14のうち、熱抵抗が小さいほうが熱が伝わりやすいことから、定着ベルト1側の表面層14の熱抵抗の方が小さいほうが望ましい。よって、表面層14が絶縁層12と同じPEEK樹脂で構成されている場合は、表面層14の厚さは、絶縁層12の厚さよりも薄くすることで熱抵抗を低くすることが可能であり、好ましい。
図2において、実施例1の発熱ロール2は、回転軸方向の長さは、芯金11の長さL1が一番長く、絶縁層12の長さL2、発熱層13の長さL3、表面層14の長さL4について、L1>L2>L3≧L4に設定されている。なお、発熱層13の軸方向の両端部には、給電用の銀ペースト16が付与されている。
(発熱ロールの製造方法の説明)
図4は実施例1の発熱ロールの製造方法の説明図であり、図4Aは基材にPEEK樹脂を被せる前の状態の説明図、図4Bは図4Aの状態から基材にPEEK樹脂を被せた状態の説明図、図4Cは図4Bの状態からPEEK樹脂を熱収縮させた状態の説明図、図4Dは図4Cの状態から発熱部を固定した状態の説明図である。
図4において、実施例1の発熱ロール2を製造する場合、図4Aに示すように、芯金11の外径よりも内径が大きな筒状のPEEK樹脂で構成された筒体21を準備する。筒体21は、バルク(固まり)状のPEEK樹脂を200℃以上の高温に熱した状態で、押出成形で筒状に構成する。この時、バルクの状態から筒状にする際に、冷ましながら広げることで、残留応力、残留歪みが残った状態で筒状に固めることが可能である。残留歪みが残った状態の筒体21は、再加熱すると収縮するが、筒体21の長さ方向(軸方向)の収縮率よりも筒体21の径方向の収縮率の方が大きくなるように成形することが好ましい。また、筒体21の肉厚は10μm~50μm程度であることが絶縁性の確保の観点から好ましく、30μm程度が好適である。
図4Bにおいて、筒体21を芯金11に被せた状態とした後、筒体21と芯金11とを160℃以上に加熱する。芯金11と筒体21とを加熱すると、筒体21が熱収縮して芯金11に密着して固定されて、図4Cに示すように、絶縁層12が形成される。
そして、図4C、図4Dにおいて、絶縁層12の外周に発熱層13を固定する。そして、表面層14が設けられる場合は、表面層14を、絶縁層12と同様の筒体の熱収縮や塗装等で形成し、発熱ロール2が製造される。
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のコピー機Uでは、画像形成動作が開始されると、発熱層13に通電され、発熱層13が発熱し、発熱ロール2が定着ベルト1を加熱して、定着領域Q5を予め定められた定着温度に昇温する。そして、定着領域Q5を通過する記録用紙Sを加熱して、トナーを定着させる。
実施例1や特許文献1,2に示すような発熱層13やシート状、フィルム状の抵抗発熱体を使用した発熱ロールでは、実施例1や特許文献1,2のように、抵抗発熱体と芯金との間を電気的に絶縁する絶縁層が必要である。特許文献1に記載の構成のように、絶縁層としてポリイミドを使用した場合、吸水率、含水率の高いポリイミドの水分が加熱により膨張し、表面に凹凸が発生して加熱ムラ、定着ムラの原因となる。特許文献2に記載の構成のように、絶縁層として、含水率の低いフッ素樹脂を使用することで定着ムラの問題は解消可能であるが、フッ素樹脂は離型性が高い。すなわち、絶縁層の表面に発熱層を固定しようとしても濡れ性、接着性が低く、発熱層の接着ムラが発生して、発熱ロール2の全体の膜厚にムラが発生する問題がある。よって、フッ素樹脂を絶縁層として使用すると、膜厚均質性、膜厚均一性が低下し、定着ムラが発生する恐れがある。
これらに対して、実施例1の発熱ロール2は、絶縁層12として、電気絶縁性で、吸水率の低く、且つ、発熱層13等の濡れ性、接着性の高いPEEK樹脂が使用されている。よって、絶縁層としてフッ素樹脂を使用する場合に比べて、絶縁層12の表面に発熱層13をムラなく固定することが可能である。よって、フッ素樹脂を使用する場合に比べて、膜厚均一性を向上させることが可能であり、定着ムラが抑制される。
また、実施例1では、表面層14として絶縁性の材料で構成されており、導電性の材料で構成される場合に比べて、電源回路の容量が大きくなったり、定着ベルト1へのリーク等の問題の発生が抑制される。
さらに、実施例1では、表面層14として耐摩耗性の材料で構成されており、耐摩耗性材料で構成されない場合に比べて、定着ベルト1と接触する発熱ロール2の耐摩耗性が向上し、長寿命化されている。
また、実施例1では、表面層14は、絶縁層12に比べて熱抵抗が低く構成されており、熱抵抗が高い場合に比べて、定着ベルト1への熱の伝達効率が向上している。
さらに、実施例1では、芯金11、絶縁層12、発熱層13、表面層14の軸方向の長さL1~L4についてL1>L2>L3≧L4に設定されている。L2<L3の場合では、芯金11と発熱層13との絶縁が不十分になるが、実施例1ではこれが防止されている。また、L3<L4では、発熱層13への給電が困難になるが、実施例1ではこれが防止されている。
また、実施例1では、絶縁層12を形成する場合に、筒状(チューブ状)の筒体21を芯金11に被せた状態で熱収縮させて固定している。現状では、PEEK材料で被膜を作製するコーティング加工は、粉体塗装が一般的である。具体的には、直径が10μm~50μm程度のPEEK粒子を使用して、PEEK粒子を乾燥状態で吹き付けた後に焼き付けるか、PEEK粒子が分散した分散液を塗布した後に焼き付けることで、PEEK樹脂の被膜を形成している。しかしながら、直径が10μm~50μmのPEEK粒子を使用して、30μm~50μmの膜厚の絶縁層12を作製すると、絶縁層12の表面に凹凸が残り、均一の膜厚を得ることは困難である。したがって、その外側の発熱層13や表面層14の膜厚にも悪影響が及ぶ問題がある。絶縁層12の膜厚を厚くすればこの問題は解決するが、膜厚が厚くなると、PEEK材料の使用量が増えて材料費が上昇すると共に、発熱ロール2の全体の熱容量が大きくなって、目的の温度まで上昇するのにかかる時間が長くなり、画像形成動作の開始までに時間がかかる問題もある。
これに対して、実施例1では、筒状に成形された筒体21を熱収縮させており、粒子を使用する場合に比べて、膜厚の均一性、均質性が向上する。したがって、発熱ロール2の全体の膜厚も、粉体塗装を行う場合に比べて、均一性、均質性が向上すると共に、薄膜化可能である。
また、実施例1では、筒体21の軸方向の収縮率が径方向の収縮率よりも小さく形成されている。軸方向の収縮率の方が高い場合、熱収縮の際に、軸方向の収縮が大きくなって、絶縁層12の表面にしわが発生しやすくなる問題がある。これに対して、実施例1では、径方向の収縮率の方が大きくなっており、絶縁層12の表面にしわが発生することが抑制される。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例2は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図5は実施例2の画像形成装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
図5において、実施例2のコピー機Uの加熱手段Fh′は、実施例1の加熱ユニットFhと異なり、発熱ロールの一例としての加熱ロールFh′で構成されている。実施例2の加熱ロールFh′は、実施例1の発熱ロール2と同様に、芯金11、絶縁層12、発熱層13を有し、実施例1の表面層14とは異なる表面層14′を有する。実施例2の表面層14′は離型性の高いフッ素樹脂が使用されている。
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の加熱ロールFh′では、加圧ロールFpと直接対向する加熱ロールFh′において、絶縁層12にPEEK樹脂が使用されており、定着ムラが抑制されている。特に、記録用紙Sの表面の未定着トナーに直接接触する表面層14′には、離型性の良いフッ素樹脂が使用されている。したがって、フッ素樹脂に比べて離型性の悪いポリイミド樹脂等を使用する場合に比べて、実施例2の加熱ロールFh′では、表面にトナーが付着しにくい。よって、付着したトナーで加熱ロールFh′の表面が汚れることが低減され、加熱ロールFh′の表面のトナーが記録用紙Sに再付着して記録用紙Sが汚れることが抑制される。
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのコピー機を例示したが、これに限定されず、例えば、FAX、プリンタ、複合機により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、画像形成装置として、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、3色以下または5色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
(H03)前記実施例において、芯金11の表面に絶縁層12が直接配置され、絶縁層12の表面に発熱層13が直接配置される構成を例示したがこれに限定されない。例えば、絶縁層12と発熱層13との間に、濡れ性、接着性を向上させるためのプライマーを塗布したプライマー層を設ける場合のように、絶縁層12と発熱層13との間に別の層が介在する構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、表面層14は設けることが望ましいが、設けない構成とすることも可能である。
(H05)前記実施例において、表面層14として、絶縁性の材料で構成することが望ましいが、導電性の材料で構成することも可能である。
(H06)前記実施例において、表面層14として、耐摩耗性の材料で構成することが望ましいが、例えば、離型性を重視して、摩耗しやすい材料で構成することも可能である。
(H07)前記実施例において、表面層14として、熱抵抗が低い構成が望ましいが、熱抵抗の高い構成とすることも可能である。
(H08)前記実施例において、各部の軸方向の長さL1~L4は実施例に例示した構成が望ましいが、設計や仕様等に応じて適宜変更可能である。
(H09)前記実施例において、絶縁層12は筒体21を使用して形成する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、PEEK樹脂の薄膜、フィルムを芯金に巻き付けた状態で熱収縮させて密着させる構成とすることも可能である。ただし、フィルムを巻き付ける場合は継ぎ目が発生することとなるため、筒体21を使用することが好ましい。
1…帯状手段、
2,Fh′…発熱ロール、
11…基材、
12…絶縁部、
13…発熱部、
14…外層、
21…ポリエーテルエーテルケトン樹脂、
B+T1+T2…転写手段、
F…定着装置、
Fh,Fh′…加熱手段、
Fp…加圧手段、
Gy,Gm,Gc,Gk…現像手段、
L1…基材の回転軸方向の長さ、
L2…絶縁部の回転軸方向の長さ、
L3…発熱部の回転軸方向の長さ、
L4…外層の回転軸方向の長さ、
Py,Pm,Pc,Pk…像保持手段、
ROSy,ROSm,ROSc,ROSk…潜像形成手段、
S…媒体、
U…画像形成装置。

Claims (8)

  1. 金属製の基材の表面に、電気絶縁性で熱収縮性のポリエーテルエーテルケトン樹脂を被せた状態で加熱して、前記基材の表面に絶縁部を形成する工程と、
    前記絶縁部の表面に通電時に発熱する発熱部を形成する工程と、
    を実行することを特徴とする発熱ロールの製造方法。
  2. 筒状のポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用することを特徴とする請求項1に記載の発熱ロールの製造方法。
  3. 前記ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、筒の長さ方向の熱収縮率は、筒の径方向の熱収縮率よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項2に記載の発熱ロールの製造方法。
  4. 金属製の基材と、
    通電時に発熱する材料で構成された発熱部と、
    前記基材と前記発熱部との間に配置され、前記基材と前記発熱部との間を電気的に絶縁する絶縁部であって、筒状のポリエーテルエーテルケトン樹脂が基材の外面に熱収縮で固定された前記絶縁部と、
    を備えたことを特徴とする発熱ロール。
  5. 請求項4に記載の発熱ロールを有する加熱手段と、
    前記加熱手段に対向して配置された加圧手段と、
    を備え、
    前記加熱手段と前記加圧手段との間を通過する媒体の現像剤を定着させることを特徴とする定着装置。
  6. 前記加圧手段に対向する領域を通過する無端状の帯状手段と、前記帯状手段を支持し且つ前記帯状手段を加熱する前記発熱ロールと、を有する前記加熱手段と、
    前記帯状手段との間を通過する媒体の現像剤を定着させる前記加圧手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記加圧手段に対向して配置された前記発熱ロール、
    を備えたことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  8. 像保持手段と、
    前記像保持手段に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持手段の潜像を現像する現像手段と、
    前記像保持手段の像を媒体に転写する転写手段と、
    前記媒体の像を定着させる請求項5ないし7のいずれかに記載の定着装置と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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