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JP2018117608A - 高濃度の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料 - Google Patents

高濃度の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高濃度粉砕茶葉を含有するにもかかわらず、該粉砕茶葉由来のざらつき感を低減した容器詰緑茶飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】(A)カテキン類 200〜700ppm及び(B)リナロール 6.0〜30ppbを含有し、かつ(C)濁度が0.2〜2.0である容器詰緑茶飲料とする。【選択図】なし

Description

本発明は、高濃度の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料に関する。
従来、粉体を多く配合した飲料は、飲用時に粉っぽさやざらつき感を感じるという問題を抱えている。このような問題の対策として、乳化処理、均質化処理等の製造工程上の処理で改善する方法や、粉っぽさの要因となっている物質を予めより細かくする方法や、ざらつき感を低減しうる成分を配合する方法などが実施されている。
例えば、抹茶や粉砕した緑茶葉等の粉砕茶葉を配合した緑茶飲料の場合、抹茶の粒子径をより細かくしてざらつき感を低減する方法(特許文献1)、粒子径7μm以上20μm以下の粒子の数の割合が60%〜90%となるように抹茶の粒子径と分布を制御して抹茶の香り立ちを保持しながらざらつき感を低減する方法(特許文献2)、テアニン及び/又はグルタミン酸濃度を特定範囲に調整して高濃度に含有する茶葉由来粒子のざらつき感を低減する方法(特許文献3)、抹茶の粒子径を細かくし、かつグリセロ糖脂質を含有させることによりざらつき感を低減する方法(特許文献4)等が提案されている。
一方、緑茶飲料の香りに寄与する化合物について多数の報告がある。例えば、リナロールが緑茶飲料の高級茶の香りであることが特徴づけられており(非特許文献1)、その含量は、低級な煎茶を煎じて得られる飲料では約71ppbであり、高級な煎茶ではより高い量を含有することが報告されている(非特許文献2)。また、茶飲料においてリナロールの含有量は嗜好性と正の相関があることが確認されている(特許文献5参考例参照)。そこで、リナロールを含む複数の成分を用いることによる、風味の改善された容器詰緑茶飲料が種々提案されている。リナロールを含む芳香化合物をリーフティ製品と組み合わせ、これを水で煎じて得られる少なくとも50ppb以上のリナロールを含有するレディトゥドリンク(特許文献6)、香料組成物を添加して得られるリナロールを30ppb含有する茶飲料(特許文献7実施例参照)等が例示できる。また、リナロールは比較的強い香り成分であり、茶飲料の種類によってはリナロールの濃度が高くなりすぎると好ましくない場合もあることから、極微量のリナロールを用いた緑茶飲料も提案されている。例えば、5ppbのリナロールと2−フェニルエタノールを添加して得られる香りに優れ、苦味や渋味が少なく、滑らかで飲みやすい煎茶飲料(特許文献5実施例参照)、2.8〜10ppbのリナロールとフェニルアセトアルデヒドを含有させることにより、香りを増強した茶飲料(特許文献8)等がある。
さらに、粉砕茶葉を含有する茶飲料において、飲料液中のガレート型カテキン類と酸性アミノ酸の含有量の比率をそれぞれ所定の範囲に調整することで、苦味と渋味を抑制し、緑茶飲料特有の甘味を強く感じられることが開示されている(特許文献9)。
WO2004/110161号パンフレット 特開2014−68635号公報 特開2017−000071号公報 特開2014−68636号公報 特開2016−015924号公報 特表2009−523016号公報 特開2007−167004号公報 WO2014/055512号パンフレット 特開2016-041026号公報
J.Agric.Food Chem.,2001,49,pp.1349−1396 J.Agric.Food Chem.,1995,43,pp.1621−1625
本発明の課題は、粉砕茶葉を高濃度で含有するにもかかわらず、該粉砕茶葉由来のざらつき感を低減した容器詰緑茶飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。製造上の煩雑な工程を避けるため、配合でざらつき感を低減すべく種々の成分を検討した結果、香気成分であるリナロールを含有させることにより、粉砕茶葉が高濃度に含まれていても、飲用時に口内のざらつき感を感じにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)次の成分(A)及び(B):
(A)カテキン類 200〜700ppm
(B)リナロール 6.0〜30ppb
を含有し、かつ
(C)濁度が0.2〜2.0
である容器詰緑茶飲料。
(2)さらに、次のアミノ酸(D1)及び(D2):
(D1)アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択される1以上
(D2)セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン及びテアニンからなる群から選択される1以上
を含有し、(D1)と(D2)の重量比((D2)/(D1))が2.0〜6.0である、(1)に記載の飲料。
本発明により、粉砕茶葉を高濃度で含有するにもかかわらず、好適な舌触りとのど越し感を奏し得る容器詰緑茶飲料が得られる。この容器詰緑茶飲料は、粉砕茶葉を高濃度に含有するので、粉砕茶葉が持つコクと深い味わいを十分に味わうことができる。
まず、本明細書で使用する用語について説明する。
「濁度」とは、680nmにおける吸光度OD680を意味する。
「茶葉」とは、Camellia属(例えば、C. sinensis、C. assamica)やぶきた種それらの雑種から得られる葉を製茶加工したものを意味する。
「粉砕茶葉」とは、抹茶や粉砕した緑茶葉等、茶葉を粉末状にしたものを意味する。大きさの分布を有する水に不溶な多くの固体粒子からなり、繊維状のものも含む。
「茶飲料」とは、茶葉の抽出液を主成分として含有する飲料を意味し、「緑茶飲料」とは、緑茶葉(煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶など)から水や熱水、抽出助剤を添加した水溶液で抽出した緑茶葉抽出液を配合した飲料の総称をいう。
「カテキン類」とは、重合していない単量体のカテキン類((+)−カテキン(以下、「
C」)、(−)−エピカテキン(以下、「EC」)、(+)−ガロカテキン(以下、「GC」)、(−)−エピガロカテキン(以下、「EGC」)、(−)−カテキンガレート(以下、「Cg」)、(−)−エピカテキンガレート(以下、「ECg」)、(−)−ガロカテキンガレート(以下、「GCg」)、(−)−エピガロカテキンガレート(以下、「EGCg」))をいい、カテキン類の含量をいうときは、これらの総量を指す。また、カテキン類のうちガレート基を有するもの(Cg,ECg,GCg,EGCg)をガレート型カテキン(本明細書中、(a2)とも表記する)とといい、ガレート型カテキンの含有量をいうときは、これらガレート型カテキンの合計量を表す。カテキン類のうち、ガレート基を有しないもの(C、EC、GC、EGC)を遊離型カテキン(本明細書中、(a1)とも表記する)といい、遊離型カテキンの含有量をいうときは、これら遊離型カテキンの合計量を表す。
「口当たり」とは、口に入れた時の感覚、舌触りを意味し、「スッキリした口当たり」とは、ざらつき感などの不快な舌触りがない感覚をいう。
「ざらつき感」とは、ざらざらとした不快な食感をいう。
「のど越し」とは、飲用した際に喉に引っ掛かる感じを意味し、「のど越しが良い」とは喉に引っ掛かる感じが全くない感覚をいう。
「コク」とは、濃厚で深い味わいをいう。
「飲用性」とは、1回の飲用時で飲み干される飲料の容量を意味する。
なお、本明細書における「ppb」又は「ppm」は、質量/容量(w/v)の濃度を表す。
(茶飲料)
本発明は、特定量の(A)カテキン類を含有し、かつ(C)濁度が0.2〜2.0である緑茶飲料を対象とする。飲料中に含まれるカテキン類の濃度は200〜700ppmが好ましく、250〜600ppmがより好ましく、300〜500ppmがさらに好ましい。カテキン類は可溶性成分であるが、その濃度が700ppmを超えると、カテキン類由来のざらつき感が生じる場合がある。カテキン類由来のざらつき感は、飲用後に舌や歯に残るざらつきであり、後述する本発明の粉砕茶葉由来のざらつき感の低減効果が損なわれることがある。また、カテキン類が下限値の200ppm未満であると、本発明の効果が十分に得られないことがある。
カテキン類の種類に特に制限はないが、遊離型カテキン(a1)の濃度をガレート型カテキン(a2)の濃度よりも高くする、すなわち(a1)>(a2)となるように調整することが好ましい。より好ましくは、遊離型カテキン(a1)とガレート型カテキン(a2)の比率[(a2)/(a1)+(a2)]が0.25〜0.50、さらに好ましくは0.30〜0.50の比率となるように調整する。上記範囲となるように調整すると、本発明のざらつき感の低減効果をより一層強く発現させることができ、よりスッキリした口当たりやのど越しを実現できる。なお、飲料中のカテキン類含量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法によって、測定・定量される。
本発明の緑茶飲料は、粉砕茶葉を高濃度で含有する。粉砕茶葉の含有度合いは、濁度を指標とすることができ、本発明の飲料における(C)濁度は0.2〜2.0、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.4〜1.0である。なお、上記特許文献8(WO2014/055512号)の実施例には、緑茶葉の粉砕物を配合して得られる淡色茶飲料が開示されているが、本発明者らがその濁度(OD680)を測定したところ0.1程度であり、本発明の飲料の対象外であった。
一般に、粉砕茶葉を含有する緑茶飲料において、粒子径は大きくなるほどそれ自体の風
味を強く感じられるが、ざらつき感が強く出てしまう傾向にある。一方で、粒子径は小さくなるほど滑らかな口当たりとなるが、風味が感じられなくなる傾向にある。本発明の粉砕茶葉を含有する飲料の含有粒子径は、0.1〜80μmが好ましく、0.2〜65μmがより好ましく、0.5〜60μmがさらに好ましい。ここで、含有粒子径が80μm以下とは、粒子の全て(100%)が80μm以下であることを要求するものではなく、飲料中に含有される粒子の90%以上、好ましくは95%以上の粒子の粒子径が80μm以下であればよい。また、含有粒子径が0.1μm以上とは、粒子の全て(100%)が0.1μm以上であることを要求するものではなく、飲料中に含有される粒子の5%以上、好ましくは10%以上の粒子の粒子径が0.1μm以上であればよい。
本発明のざらつき低減効果は、粒子径が20μm以上と比較的大きい粉砕茶葉においてより顕著な効果を発揮する。したがって、上記範囲の中でも、含有される粒子の1%以上、好ましくは5%以上の粒子が20μm以上となるように調整すると、ざらつき感が少なく、緑茶飲料の風味がより一層豊かな飲用性の高い飲料となる。ここで、粉砕茶葉の粒子径は、粒子の長径を測定したものであり、具体的にはベックマン・コールター社製のレーザ回折・散乱法粒度分布測定装置LS 13 320によって測定した値である。
粉砕茶葉の粒子径の調整は、原材料の段階や、原料混合後の液状下で、ミル、ミキサー、ホモジナイザー、ラインミキサー、エマルダー、マイルダー、チョッパー、パルパーフィッシャー等の破砕機または摩砕機を使用することにより行うことができる。
粉砕茶葉としては、抹茶や、煎茶、かぶせ茶、玉露等の緑茶葉の粉砕物を1以上、好ましくは複数種類を併用して用いることができる。
本発明は、高濃度の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料において、香り成分である(B)リナロール(Linalool)を特定量含有させることで、粉砕茶葉由来のざらつき感を低減することを特徴とする。リナロールは、植物(ローズウッド、リナロエ、芳樟)の精油成分として存在しており、その香りはStrong, green floral note として表現され、スズラン系の花香を持つことが知られている成分である。リナロールが種々の飲料の香気に寄与することは知られているが、食感に影響を及ぼすことは全く知られておらず、本発明者らによって初めて見出されたことである。
本発明の飲料中の(B)リナロール濃度は、6.0〜30ppbであり、好ましくは6.0〜25ppbであり、より好ましくは6.0〜20ppbである。リナロールをこの濃度範囲で含有することにより、粉砕茶葉由来のざらつき感が低減され、好適な舌触りとのど越し感を奏する緑茶飲料が得られる。尚、ここでいう飲料中のリナロール濃度は容器詰緑茶飲料製造直後の濃度である。
リナロールには光学異性体(化1参照)が存在するが、本発明においてはいずれであってもよく、特に示した場合を除き、光学異性体の総量を表す。
Figure 2018117608
なお、茶飲料中のリナロール濃度は、質量分析計付きのガスクロマトグラフィー(GC/MS)を用いて測定することができる。
リナロールは、化学合成品を用いてもよいし、精油などの天然の食品原料を用いて茶飲料中の濃度を調整することが可能である。その他、これらの成分を多く含む食品原料を用いてもよい。最も好ましいのは、緑茶葉抽出物を用いる方法である。リナロールを多く含む深蒸し茶の抽出物は、本発明のリナロール原料として好適である。リナロールを多く含む緑茶葉抽出物は、例えば特許文献6(特表2009−523016号公報)に記載の方法で得ることができる。
(その他成分)
上述のとおり、粒子径が20μm以上となる比較的大きい粉砕茶葉を高濃度に含有する飲料は、本発明の好適な態様の一つである。この粒子径が大きい粉砕茶葉を含有する緑茶飲料では、(A)カテキン類、(B)リナロールに加えて、飲料中の特定のアミノ酸バランスが本発明の効果に影響することを見出している。
一般に、緑茶飲料には、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、テアニン(Theanine)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、チロシン(Tyr)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、プロリン(Pro)が含まれることが知られている。これらアミノ酸のうち、本発明のざらつき感低減効果に寄与するアミノ酸は、(D1)アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群と、(D2)セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン及びテアニンからなる群に分類されるアミノ酸である。(D1)はカルボキシル基(−COOH)を2つもつ酸性アミノ酸であり、(D2)は側
鎖に芳香族、硫黄、分岐鎖を含まない中性アミノ酸又はテアニンである。
ざらつき感の低減には、これら(D1)に分類されるアミノ酸の含有量と、(D2)に分類されるアミノ酸の含有量の重量比((D2)/(D1))が重要である。すなわち、本発明の茶飲料は、(D1)アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択される1以上と、(D2)セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン及びテアニンからなる群から選択される1以上を含有し、(D1)と(D2)の重量比((D2)/(D1))が2.0〜6.0であることが好ましい。より好ましい(D1)と(D2)の重量比は2.5〜5.5、さらに好ましい重量比は3.0〜5.0である。ここで、(D1)の含有量をいうときは、(D1)に分類されるアミノ酸の合計量を表す。また、(D2)の含有量をいうときは、(D2)に分類されるアミノ酸の合計量を表す。
これら(D1)及び(D2)に分類されるアミノ酸の重量比を上記範囲に調整することにより、ざらつき感の低減効果をより一層高めることができ、粒子径が大きい粉砕茶葉を含有するにもかかわらず、スッキリした口当たりとのど越しの良い緑茶飲料となる。(D1)に分類される2種類のアミノ酸、及び(D2)に分類される6種類のアミノ酸を全て含有する飲料は、最も好ましい飲料である。
本発明のざらつき感低減効果には、(D1)と(D2)の重量比が重要であり、その含有量は特に制限されないが、通常、アミノ酸D1の総量は5〜60ppm、好ましくは10〜50ppm、より好ましくは12〜40ppmであり、アミノ酸D2の総量は20〜150ppm、好ましくは30〜120ppm、より好ましくは40〜100ppmである。アミノ酸は、ほぼ純品のものが食品原料として市販されているので、これを用いて茶飲料中の濃度を調整することが可能である。その他、これらの成分を多く含む食品原料を用いて調整してもよい。最も好ましいのは、緑茶葉抽出物を用いる方法である。一番茶の抽出物はアミノ酸を多く含み、(D1)及び(D2)の比率が上記範囲と近似しているため、好適に用いられる。
(容器詰緑茶飲料)
本発明の飲料は、高い飲用性(drinkability)を有し、喉の渇きを癒すため一気に大量をゴクゴク飲むことができる、すなわち茶飲料を大量に飲んでも飲み飽きずにまだ美味し
く飲める性質を有する。ここで大量とは、具体的には、成人男性1回当たりの飲用量が350mL〜2000mL、好ましくは500mL〜1000mLをいう。本発明の飲料は、350mL〜2000mL、好ましくは500mL〜1000mL容量の容器詰め飲料の形態として提供できる。
使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などである。PETボトル等の透明容器は、本発明の特徴である濃い濁り茶の外観を楽しむことができるので、好ましい容器の一例である。
(製造方法)
本発明の茶飲料は、茶飲料のベースとなる茶葉抽出液とリナロールと、必要に応じてその他の原料とを混合することによって製造される。混合の順番は特に限定されるものではなく、全ての原料を同時に混合してもよく、順次混合させてもよい。
茶飲料のベースとなる茶葉抽出液は、1種類の緑茶葉から抽出されたものであってもよく、2種類以上の緑茶葉からそれぞれ別個に調整された茶葉抽出液の混合物でもよく、2種類以上の茶葉の混合物から抽出された茶葉抽出液であってもよい。なお、ここでいう茶葉抽出液には、抽出液を乾燥処理して粉末化した粉末状のものを含む。これら茶葉抽出液は、常法により製造することができる。通常、緑茶葉から熱水又は水を用いた抽出処理によって製造されるが、抽出処理の温度や抽出時間は、茶葉の種類や所望する飲料品質を考慮して適宜設計することができる。なお、茶葉抽出液は市販されているものを用いてもよい。
茶飲料のベースとなる茶葉抽出液に混合されるリナロールは、リナロールを含有する香料を用いたり、リナロールの含有量が高い茶葉の品種を選択してその抽出物を用いたりして、所望の範囲内となるように、適宜調整される。加熱殺菌処理を経て製造される容器詰飲料では、加熱工程で揮発性の高いリナロールが低減する可能性がある。したがって、低減するリナロール量を考慮してリナロールを混合することが重要である。加熱条件やリナロールの形態により異なるが、通常、ベースとなる緑茶葉抽出液中のリナロール濃度が6〜50ppb、このましくは6〜30ppbとなるように、リナロールを混合する。
その他、アミノ酸など必要な食品原料や酸化防止剤などの食品添加物を添加した後、容器に充填して容器詰飲料が製造される。
以下、実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(飲料中の香気成分の定量方法)
飲料(試料溶液)中のリナロールの濃度を以下の方法により測定した。
バイアル瓶(容量20ml)に試料溶液を10ml入れ3gのNaClを加え、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法によりGCMS(アジレント社製
)に導入した。以下に示す条件で分析を行った。
・装置:GC:Agilent Technologies社製 GC7890B
MS : Agilent Technologies 社製 5977A
HS:Gestel 社製 MPS,
Tube:Tenax TA, Carbon bx1000
・カラム:HP-INNOWAX 60m x 0.25mmi.d. df=0.25μm
・定量イオン:リナロール 93m/z
・温度条件 40℃(4分)〜5℃/分〜260℃
・キャリアガス流量He 1.5ml/分
・注入法:スプリットレス
・イオン源温度260℃
(カテキン類濃度の定量方法)
試料となる茶飲料をメンブレンフィルター(孔径0.45μm、十慈フィールド株式会
社 水系未滅菌13A)で固形分を除去した後、HPLC分析に供して測定した:
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 modelII
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1mL/min.
・グラジエントプログラム:
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
・標準物質:カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレート(栗田高純度試薬)
(アミノ酸濃度の定量方法)
飲料中のアミノ酸濃度(ppm)をHPLCを用いて、以下の方法により測定した:
・HPLC装置:Waters アミノ酸分析装置2695
・カラム:AccQ-Tagカラム(3.9mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:AccQ-TagA(pH5.8)
・移動相B:アセトニトリル
・移動層C:水/メタノール=9/1
・検出:EX250nm EM395nm Gain100
・注入量:5μL
・グラジエントプログラム:
時間(分) 流速(ml/min) %A %B %C
0 1 100 0 0
1 1 99 1 0
16 1 97 3 0
25 1 94 6 0
35 1 86 14 0
40 1 86 14 0
50 1 82 18 0
51 1 0 60 40
54 1 100 0 0
75 1 0 60 40
110 0 0 60 40
・標準物質:アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン、テアニン)
・上記の方法にて測定したアミノ酸について、(D1)アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群と、(D2)セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン及びテアニンからなる群に分類し、(D1)と(D2)の重量比((D2)/(D1))を算出した。ここで、(D1)の含有量をいうときは、(D1)に分類されるアミノ酸の合計量を表す。また、(D2)の含有量をいうときは、(D2)に分類されるアミノ酸の合計量を表す。
1.粉砕茶葉含有液の調製
碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶を約20倍量の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより10MPaの圧力で処理した後に遠心分離(6000rpm、10分)を行って粗大な粉砕茶を除去して、平均粒子径が20μm以下となる粉砕茶葉懸濁液を得た。さらに、これに20重量部の煎茶粉砕物(20μm以上の粒子を含む)を配合して、平均粒子径が20μmとなるような粉砕茶葉含有液を調製した(粉砕茶葉含有液B)。2.茶飲料のベースとなる緑茶葉抽出液の調製
煎茶葉の乾燥重量に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃の水で5分間抽出した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶葉抽出液を得た(緑茶葉抽出液A)。
3.評価
以下の茶飲料について、専門パネラー3人で飲用し評価した(評価は、協議の上決定した)。
[比較例1〜6]
緑茶抽出液Aに、種々の割合で粉砕茶葉含有液Bを添加して濁度が異なる6種類の茶飲料を調製した(配合割合は表1〜5に記載。以下、表中の緑茶抽出液もしくは粉砕茶葉含有液の表中の単位はg/Lとする)。500mLずつをPETボトルに充填し、容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例1は濁りがなく、比較例2〜6は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について濁りのない比較例1を対照として、ざらつき感を評価した。
<評価基準>
◎:ざらつき感を感じない(対照と同程度)
〇:少しざらつき感を感じる
×:ざらつき感がある
表1から明らかなとおり、リナロール濃度が3.7〜4.4ppbの場合、粉末茶葉に由来するざらつき感を低減することはできず、のど越しの悪い飲料であった。
Figure 2018117608
[実施例1〜4、比較例7〜8]
比較例1〜6に市販のリナロール(和光純薬工業株式会社製;型番126-00993)を添加
して500mLずつをPETボトルに充填し、リナロール濃度6.0ppbの容器詰緑茶
飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例7は濁りがなく、実施例1〜4及び
比較例8は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について、濁りのない比較例7を対照としてざらつき感を評価した。濁度が0.2〜2.0となる粉末茶葉を含有する飲料では、該粉末茶葉由来のざらつき感は、6ppbのリナロールを含有させることで低減させることができ、スッキリしたのど越しを有する飲料であった。特に、濁度が0.40〜0.80の茶飲料ではざらつき感がより低減されており、対照と同等レベルであった。一方、濁度が2.5となると、リナロールでのざらつき感低減効果は十分でなく、のど越しの悪い飲料であった。
Figure 2018117608
[実施例5〜12、比較例9〜18]
さらに、リナロールを添加して、リナロール濃度20ppb、30ppb及び35ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例9、11及び13は濁りがなく、粉末茶葉を添加した飲料は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について、表3は比較例9、表4は比較例11、表5は比較例13を各々対照として、ざらつき感を評価した。結果を表3〜5に示す。
濁度が0.2〜2.0となる粉末茶葉を含有する飲料では、リナロールを20ppb又は30ppbの濃度で含有させることで粉末茶葉由来のざらつき感を低減させることができた。濁度が0.40〜0.80の茶飲料ではざらつき感がより低減されており、対照(比較例9及び11)と同等レベルであった。一方、濁度が2.5となると、リナロールでのざらつき感低減効果はあるものの、それ以上に粉末茶葉を配合することによるざらつき感が増長され、飲用し難い飲料であった。リナロール量を35ppb含有する飲料は、濁度に関わらずざらつき感の低減効果はみられなかった。
Figure 2018117608
Figure 2018117608
Figure 2018117608
[実施例13]
次の方法により、容器詰緑茶飲料を製造した。緑茶飲料の原料として、緑茶葉抽出液、粉砕茶葉懸濁液を用いた。緑茶葉抽出液は、リナロール含有茶葉8gを、70℃の湯で5分間抽出した後、遠心分離機を用いて固液分離して調製した。粉砕茶葉含有液は、実施例1で用いたものと同様にして調製した。前記緑茶葉抽出液、粉砕茶葉含有液を任意の割合で混合し、濁度:0.49、リナロール:8.5ppbとなる緑茶飲料を製造した。
得られた茶飲料について、カテキン類及びアミノ酸類を分析するとともに、その香味を評価した。カテキン類の総量は、440ppmであった。このうち遊離型カテキン(a1)は270ppm、ガレート型カテキン類(a2)は170ppmであり、その比率[(a2)/(a1)+(a2)]は0.39であった。また、アミノ酸の分析結果を表6に示す。表中の値はppmである。
Figure 2018117608
この茶飲料は、粉砕茶葉を高濃度で含有するにもかかわらず、好適な舌触りとのど越し感を奏し得る緑茶飲料であった。粉砕茶葉を高濃度に含有するので、粉砕茶葉が持つコクと深い味わいを十分に味わうことができ、3名のパネラー全員が従来にない美味しさと評価した。以上より、カテキン類濃度が200〜700ppmであり、(D1)と(D2)の重量比((D2)/(D1))が2.0〜6.0である茶飲料は、本発明の好適な態様の一つであることが示唆された。
[実施例14、比較例19〜20]
ここでは、新たに別の粉砕茶葉含有液を調製した。
碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶を約20倍量の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより10MPaの圧力で処理した後に遠心分離(6000rpm、10分)を行って粗大な粉砕茶を除去して、平均粒子径が20μm以下となる粉砕茶葉懸濁液を得た。さらに、これに20重量部の煎茶粉砕物(20μm以上の粒子を含む)を配合して、平均粒子径が80μmとなるような粉砕茶葉含有液を調製した(粉砕茶葉含有液D)。
また、茶飲料のベースとなる緑茶葉抽出液も新たに調製した。
上記とは異なる煎茶葉を用い、煎茶葉の乾燥重量に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃の水で5分間抽出した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶葉抽出液を得た(緑茶葉抽出液C)。
緑茶抽出液Cに、種々の割合で粉砕茶葉含有液Dを添加して濁度が異なる3種類の茶飲料を調製した(配合割合は表7に記載)。市販のリナロール(和光純薬工業株式会社製;型番126-00993)を添加して500mLずつをPETボトルに充填し、リナロール濃度20.0ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例19は濁りがなく、実施例14と比較例20は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について飲用し、濁りのない比較例19を対照としてざらつき感を評価した。
本例においても、濁度が0.4である粉末茶葉を含有する飲料では、リナロールを20ppbの濃度で含有させることで粉末茶葉由来のざらつき感が低減され、対照(比較例19)と同等レベルであった。
Figure 2018117608
[実施例15、比較例21〜22]
緑茶抽出液Aに、種々の割合で粉砕茶葉含有液Dを添加して濁度が異なる3種類の茶飲料を調製した(配合割合は表8に記載)。市販のリナロール(和光純薬工業株式会社製;型番126-00993)を添加して500mLずつをPETボトルに充填し、リナロール濃度20.0ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例21は濁りがなく、実施例15と比較例22は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について飲用し、濁りのない比較例21を対照としてざらつき感を評価した。
本例においても、濁度が0.4である粉末茶葉を含有する飲料では、リナロールを20ppbの濃度で含有させることで粉末茶葉由来のざらつき感が低減され、対照(比較例21)と同等レベルであった。
Figure 2018117608

Claims (2)

  1. 次の成分(A)及び(B):
    (A)カテキン類 200〜700ppm
    (B)リナロール 6.0〜30ppb
    を含有し、かつ
    (C)濁度が0.2〜2.0
    である容器詰緑茶飲料。
  2. さらに、次のアミノ酸(D1)及び(D2):
    (D1)アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選択される1以上
    (D2)セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン及びテアニンからなる群から選択される1以上
    を含有し、(D1)と(D2)の重量比((D2)/(D1))が2.0〜6.0である、請求項1に記載の飲料。
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