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JP7022599B2 - 粉砕茶葉を含有する緑茶飲料 - Google Patents

粉砕茶葉を含有する緑茶飲料 Download PDF

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JP7022599B2 JP2018008488A JP2018008488A JP7022599B2 JP 7022599 B2 JP7022599 B2 JP 7022599B2 JP 2018008488 A JP2018008488 A JP 2018008488A JP 2018008488 A JP2018008488 A JP 2018008488A JP 7022599 B2 JP7022599 B2 JP 7022599B2
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Description

本発明は、粉砕茶葉を含有する緑茶飲料に関する。
従来、粉体を多く配合した不溶性固形を含有する飲料は、飲用時に粉っぽさやざらつき感を感じるという問題を抱えている。このような問題の対策として、乳化処理、均質化処理等の製造工程上の処理で改善する方法や、粉っぽさの要因となっている物質を予めより細かくする方法や、ざらつき感を低減しうる成分を配合する方法などが実施されている。
例えば、粉砕した緑茶葉等の粉砕茶葉(例えば、抹茶)を配合した緑茶飲料の場合、不溶性の抹茶の粒子径をより細かくしてざらつき感を低減する方法(特許文献1、特許文献2)、粒子径7μm以上20μm以下の粒子の数の割合が60%~90%となるように抹茶の粒子径と分布を制御して抹茶の香り立ちを保持しながらざらつき感を低減する方法(特許文献3)、テアニン及び/又はグルタミン酸濃度を特定範囲に調整して高濃度に含有する茶葉由来粒子のざらつき感を低減する方法(特許文献4)、抹茶の粒子径を細かくし、かつグリセロ糖脂質を含有させることによりざらつき感を低減する方法(特許文献5)等が提案されている。
一方、ヘキサナール等の脂肪族アルデヒドは、食品や飲料中の風味阻害物質として知られている(特許文献6、特許文献7)。特許文献6には、フレッシュな風味を損なう酸化臭や青臭い香気を呈するヘキサナール及び2,4-ヘプタジエナールを所定の含有量(20.0ppb以下、好ましくは0~10.0ppb)に制限した烏龍茶飲料が開示されている。また、ヘキサナールの効果に関する記載はないが、ヘキサナールを26ppbの濃度で含有するレディトゥドリンクティーも開示されている(特許文献8)。ヘキサナールを用いて飲食品の風味を改善する方法としては、食酢飲料、スープ等の酢酸含有飲食物における酢酸臭低減に利用することが提案されている(特許文献9)。
特開平10-234301号公報 WO2004/110161号パンフレット 特開2014-68635号公報 特開2017-000071号公報 特開2014-68636号公報 特開2016-140305号公報 特許第5955030号公報 特表2009-523016号公報 特許第5436843号公報
本発明の課題は、粉砕茶葉を含有するにもかかわらず、該粉砕茶葉由来のざらつき感を低減した緑茶飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。製造上の煩雑な工程を避けるため、配合の工夫により粉砕茶葉によるざらつき感を低減すべく種々の成分を検討した結果、香気成分であるヘキサナールを含有させることにより、不溶性の粉砕茶葉が含まれていても、飲用時に口内のざらつき感を感じにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下を含む。
(1)粉砕茶葉を含有し、以下の条件(A)~(C)を満たす緑茶飲料;
(A)飲料中のヘキサナール濃度が0.7~100ppb
(B)飲料の濁度が0.05~2.0
(C)飲料中の粉砕茶葉の90%積算粒子径(D90)が10~80μm。
(2)容器詰飲料である、(1)に記載の飲料。
本発明により、不溶性の粉砕茶葉を含有するにもかかわらず、ざらつき感が低減された緑茶飲料が得られる。この緑茶飲料は、粉砕茶葉が持つコクと深い味わいを十分に味わうことができる。
まず、本明細書で使用する用語について説明する。
「濁度」とは、飲料を500mLPETボトルに充填して20℃にし、攪拌(上下に10回振る)して10秒静置後に取得される、680nmにおける吸光度OD680を意味する。

「茶葉」とは、ツバキ科カメリア属(Camellia sinensis(L)O.Kuntze)の植物から得られる葉を製茶加工したものを意味する。一般的に緑茶を製茶する際には、まず、摘茶後の生茶葉が、蒸熱処理→粗揉→揉捻→中揉→精揉→乾燥の各工程を経て荒茶とされる。さらにこの荒茶が、篩分け→切断→火入れ乾燥→選別→合組→の各工程を経て仕上茶となる。本発明でいう茶葉とは、ツバキ科カメリア属の生茶葉が前記工程を経た後のものであり、例えば、荒茶、煎茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、番茶、ほうじ茶、等の蒸し製の不発酵茶のすべてが包含される。 「粉砕茶葉」とは、粉砕した緑茶葉等、茶葉を粉末状にしたものを意味する。水に不溶の粒子からなり、その形状は特に制限されるものではなく、繊維状のものも含まれる。
「緑茶飲料」とは、茶葉から水や熱水、抽出助剤を添加した水溶液で抽出した茶葉の抽出液を主成分として含有する飲料を意味する。抽出原料となる茶葉には、やぶきた種に加えて、ゆたかみどり、おくみどり、さえみどり、さやまかおり、あさつゆ、おくひかり、さみどり、及びごこう等の緑茶の調製にふさわしい植物品種が含まれる。
「ざらつき感」とは、口に入れた時にざらざらとした不快な舌触りを感じる食感で、粉砕茶葉等の不溶性固形を含有することによる、物理的な食感をいう。
「コク」とは、濃厚で深い味わいをいう。
「レトロネーザルアロマ」とは、飲料を飲み込んだ後に喉から鼻を通じて戻ってくる香りをいう。
なお、本明細書における「ppb」は、質量/容量(w/v)の濃度を表す。
(茶飲料)
本発明の緑茶飲料は、粉砕茶葉を含有する。粉砕茶葉の含有度合いは、濁度を指標とすることができ、本発明の飲料における(B)濁度は0.05~2.0、好ましくは0.2~1.5、より好ましくは0.3~1.2、さらに好ましくは0.4~1.0である。

一般に、粉砕茶葉を含有する緑茶飲料において、飲料中の粉砕茶葉の粒子径は大きくなるほどそれ自体の風味を強く感じられるが、ざらつき感が強く出てしまう傾向にある。一方で、飲料中の粉砕茶葉の粒子径は小さくなるほど滑らかな食感となるが、粉砕茶葉の風味が感じられなくなる傾向にある。本発明の飲料に含まれる粉砕茶葉の90%積算粒子径(D90)は、風味と食感の観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。また、80μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。ここで、90%積算粒子径(D90)とは、レーザー回折型粒度分布測定装置で測定したD90の方法で測定したものであり、体積分率で粒子の小さい方から90%が含まれる粒子径を意味する。 粉砕茶葉の粒子径は、当該分野でよく知られた方法によって調整できる。具体的には、粉砕方式(湿式粉砕、乾式粉砕)、粉砕機の種類(石臼、ミル、ミキサー、ホモジナイザー、ラインミキサー、エマルダー、マイルダー、チョッパー、パルパーフィッシャー等)、粉砕圧、供給量・速度、粉砕時間等を適宜設定することに調整できる。
粉砕茶葉としては、緑茶葉の粉砕物を1以上、好ましくは複数種類を併用して用いることができる。
本発明は、粉砕茶葉を含有する緑茶飲料において、香り成分である(A)ヘキサナール(Hexanal)を特定量含有させることで、不溶性の粉砕茶葉に起因するざらつき感を低減することを特徴とする。香気成分、しかも風味阻害物質として知られているヘキサナールを用いて食感の改善が図られることは、本発明者らが初めて見出したことである。
本発明の緑茶飲料中の(A)ヘキサナール濃度は、粉砕茶葉由来のざらつき感が低減されるという本発明の作用効果が発揮される観点から0.7ppb以上であり、好ましくは2.0ppb以上であり、より好ましくは3.0ppb以上である。ヘキサナールの濃度が高くなるほど、ざらつき感の低減効果が高くなる。一方、緑茶飲料中のヘキサナール濃度が100ppbを著しく超えると、ヘキサナールの青臭さが強くなりすぎて飲用に適さない場合がある。効果および風味の観点から、飲料中のヘキサナールの濃度の上限は、100ppbであり、好ましくは30ppb以下であり、より好ましくは19ppb以下である。なお、緑茶飲料中のヘキサナール濃度は、質量分析計付きのガスクロマトグラフィー(GC/MS)を用いて測定することができる。
ヘキサナールは、化学合成品を用いてもよいし、精油などの天然の食品原料を用いて緑茶飲料中の濃度を調整することが可能である。その他、これらの成分を多く含む食品原料を用いてもよい。かかる食品原料としては、本発明の効果を享受しやすい点から、ヘキサナールを含む緑茶葉抽出物を好適な態様として例示できる。ヘキサナールを含む緑茶葉として、例えば、浅蒸し、一茶刈番や秋冬番などの硬葉化した茶葉が挙げられる。
本発明の緑茶飲料の中でも、飲料中の粉砕茶葉の90%積算粒子径(D90)が20μm以上となる比較的大きい粉砕茶葉を含有する緑茶飲料では、前述するようにヘキサナールを配合することで、ざらつき感が低減されるだけでなく、レトロネーザルアロマが強化されるという効果も有するので、緑茶の風味の余韻を味わうことができる飲料となる。
(その他成分)
前述するように、90%積算粒子径(D90)が20μm以上となる大きい粉砕茶葉を含有する緑茶飲料は、レトロネーザルが強化される観点で本発明の緑茶飲料の好適な態様の一つである。かかる飲料において、特に、(A)ヘキサナールに加えて、(D)リナロールを含有させた場合に、レトロネーザルがより顕著に感じられるようになる。好ましいリナロール濃度は、3.5~100ppbであり、好ましくは3.5~30ppb、4.0~25ppbであり、より好ましくは5.0~20ppbであり、さらに好ましくは6.0~20ppbである。なお、粉砕茶葉含有飲料中のリナロール濃度は、質量分析計付きのガスクロマトグラフィー(GC/MS)を用いて測定することができる。リナロールは、化学合成品を用いてもよいし、精油などの天然の食品原料を用いて粉砕茶葉含有飲料中の濃度を調整することが可能である。その他、これらの成分を多く含む食品原料を用いてもよい。かかる食品原料としては、ツバキ科カメリア属の植物から得られる茶葉の抽出物が挙げられる。リナロールを含む茶葉として、アッサム種(特許文献8参照)、深蒸し茶等が挙げられるが、中でも本発明の効果を譲受しやすい点から、深蒸し茶が好適に用いられる。
(容器詰緑茶飲料)
本発明の緑茶飲料は、高い飲用性(drinkability)を有し、喉の渇きを癒すため一気に大量をゴクゴク飲むことができる。本発明の緑茶飲料は、350mL~2000mL、好ましくは500mL~1000mL容量の容器詰飲料の形態として提供できる。
使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などである。PETボトル等の透明容器は、本発明の特徴である濃い濁り茶の外観を楽しむことができるので、好ましい容器の一例である。
また、90%積算粒子径(D90)が20μm以上の大きい粉砕茶葉を含有する緑茶飲料は、レトロネーザルアロマを強く感じることができるという特徴を有することから、PETボトルのような狭い開口部に直接口をつけて飲用することができるような容器に詰めるのに適している。
開口部の狭い容器とは、飲み口となる開口部の面積が1200mm以下、好ましくは1000mm以下、より好ましくは900mm以下、特に好ましくは800mm以下の容器をいう。そのような開口部の狭い飲料用容器としては、キャップ(φ28mm、φ38mm)を備えたPETボトルやボトル缶、プルタブ式又はステイオンタブ式など蓋の一部のみが開口するパーシャルオープンエンドの缶蓋を備えるアルミ缶やスチール缶、ストローが付けられた紙パック、同じくストローが付けられたチルドカップなどが挙げられる。通常、PETボトルやボトル缶のような開口部の狭い容器に飲料を詰めて飲用する場合には、コップのような開口部の広い容器を用いた場合と比べて、飲料の表面からの香りが鼻に直接には入りにくいため、香りが弱く感じられる傾向があるが、本発明の緑茶飲料は、開口部の狭い容器に詰められた場合であっても、急須で淹れた緑茶飲料を湯呑みで飲んだときのような緑茶のフレッシュな香りが感じられる。
以下、実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(飲料中の香気成分の定量方法)
飲料(試料溶液)中のヘキサナールとリナロールの濃度(ppb)を以下の方法により測定した。
バイアル瓶(容量20ml)に試料溶液を10ml入れ3gのNaClを加え、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法によりGCMS(アジレント社製)に導入した。以下に示す条件で分析を行った。
・装置:GC:Agilent Technologies社製 GC7890B
MS : Agilent Technologies 社製 5977A
HS:Gestel 社製 MPS,
Tube:Tenax TA, Carbon bx1000
・カラム:HP-INNOWAX 60m x 0.25mmi.d. df=0.25μm
・定量イオン:ヘキサナール 56.0m/z、リナロール 93m/z
・温度条件 40℃(4分)~5℃/分~260℃
・キャリアガス流量He 1.5ml/分
・注入法:スプリットレス
・イオン源温度260℃
1.粉砕茶葉含有液の調製
碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶を約20倍量の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザー(連続式)により10MPaの圧力で処理した後に遠心分離(6000rpm、10分)を行って粗大な粉砕茶を除去して、粉砕茶葉懸濁液を得た。この懸濁液の90%積算粒子径(D90)をベックマン・コールター社製のレーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS 13 320を使用し、マルチウェーブ・湿式にて測定したところ、20μmであった(粉砕茶葉含有液B)。
2.緑茶飲料のベースとなる緑茶葉抽出液の調製
煎茶葉(一番茶を中心とした弱火煎茶)の乾燥重量1重量部に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃の水で5分間抽出(開始から30秒間攪拌)した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶葉粒子などの固形分を除去して、緑茶葉抽出液を得た(緑茶葉抽出液A)。
3.評価
以下の緑茶飲料について、専門パネル3人で飲用した。パネル3名にて、下記の評価基準に基づき、ざらつき感(口に入れたときに感じる舌触り)を各パネルが評価した。
<評価基準>
◎:ざらつき感を感じない
○:ざらつき感を少し感じるが、後味には残らない
×:ざらつき感を強く感じ、後味に大きく残る
実験例1.粉砕茶葉含有液の配合によるざらつき感の評価
緑茶葉抽出液Aに、種々の割合で粉砕茶葉含有液Bを添加して濁度が異なる緑茶飲料を調製した(配合割合は表1に記載。以下、表中の緑茶葉抽出液もしくは粉砕茶葉含有液の表中の単位はg/Lとする)。500mLずつをPETボトルに充填し、容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉砕茶葉無添加の試料1-1は濁りがなく、試料1-2~1-6は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について、濁りのない試料1-1を対照としてざらつき感を評価した。また濁度の測定を行った。濁度の測定は、20℃の容器詰緑茶飲料を上下に10回振り粉砕茶葉が十分に拡散されたことを確認し、10秒静置した後に行った。
結果を表1に示す。粉砕茶葉を含有する緑茶飲料は、ざらつき感を有することが明らかである。
Figure 0007022599000001
実験例2.ヘキサナールの配合によるざらつき感の評価(1)
実験例1の比較例1~6にヘキサナール(関東化学株式会社製;型番07126-30)を添加して攪拌した後、500mLずつをPETボトルに充填し、ヘキサナール濃度2.0ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、比較例1及び7以外の飲料は濁りを有する飲料であった。これら緑茶飲料について、試料1-1を対照として、ざらつき感を評価した。
結果を表2に示す。粉砕茶葉を含有しざらつき感を有する飲料について、濁度が2.0以下の飲料ではヘキサナールを2.0ppb含有させることで、粉砕茶葉に起因するざらつき感を低減させることができた(実施例1~4)。濁度が2.5の飲料では、ヘキサナールを添加しても、十分なざらつき感の改善効果はなかった(比較例6、8)。なお、粉砕茶葉を含有していない飲料については、ヘキサナールを添加してもその食感に変化はなく、ざらつき感を有していなかった(比較例7)。
実施例1~4の飲料について、PETボトルに直接口をつけて飲用したところ、豊かなレトロネーザルアロマを有し、飲用後まで茶の香りの余韻を味わうことができた。
Figure 0007022599000002
実験例3.ヘキサナールの配合によるざらつき感の評価(2)
実験例2と同様にして、実験例1の飲料にヘキサナールを添加して、ヘキサナール濃度10ppb及び18ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、比較例9及び11以外の飲料は、濁りを有する飲料であった。これら緑茶飲料について、試料1-1を対照として、ざらつき感を評価した。
結果を表3に示す。粉砕茶葉を含有しざらつき感を有する飲料について、濁度が2.0以下の飲料ではヘキサナールを10~18ppb含有させることで、粉砕茶葉に起因するざらつき感を低減させることができた(実施例5~12)。濁度が2.5の飲料では、ヘキサナールを添加しても、十分なざらつき感の改善効果はなかった(比較例10,12)。なお、粉砕茶葉を含有していない飲料については、ヘキサナールを添加してもその食感に変化はなく、ざらつき感を有していなかった(比較例9,11)。
Figure 0007022599000003
実験例4.ヘキサナールの配合によるざらつき感の評価(3)
実験例2と同様にして、実験例1の比較例2の飲料に種々の濃度のヘキサナールを添加して、0.6~200ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、全ての試料について濁りを有する飲料であった。これら緑茶飲料について、試料1-1を対照として、ざらつき感を評価した。また、実験例1と同様に濁度を測定した。
結果を表4に示す。濁度が0.05となる粉砕茶葉を含有する飲料では、該粉砕茶葉由来のざらつき感は、0.7~200ppbのヘキサナールを含有させることで低減させることができた。一方、ヘキサナール濃度が100ppbより多くなると、ヘキサナールでのざらつき感低減効果はあるが、ヘキサナール由来の青臭い風味により、飲みづらい飲料であった。また、実施例1,5,9,13~17の飲料について、PETボトルに直接口をつけて飲用したところ、豊かなレトロネーザルアロマを有し、飲用後まで茶の香りの余韻を味わうことができた。
Figure 0007022599000004
実験例5.ヘキサナールの配合によるざらつき感の評価(4)
実験例1で調整した濁度0.8の飲料(比較例4)を倍量の水で希釈して、濁度0.4の飲料(比較例13)を調製した。この飲料に実験例4と同様にヘキサナールを添加して、ヘキサナール濃度0.6~200ppbの容器詰緑茶飲料を得、評価した。
結果を表5に示す。濁度が0.4となる粉砕茶葉を含有する飲料においても、該粉砕茶葉由来のざらつき感は、0.7~200ppbのヘキサナールを含有させることで低減させることができた。一方、ヘキサナール濃度が100ppbより多くなると、ヘキサナールでのざらつき感低減効果はあるが、ヘキサナール由来の青臭い風味により、飲みづらい飲料であった。また、実施例18~24の飲料について、PETボトルに直接口をつけて飲用したところ、豊かなレトロネーザルアロマを有し、飲用後まで茶の香りの余韻を味わうことができた。
Figure 0007022599000005
実験例6.ヘキサナールの配合によるざらつき感の評価(5)
実験例4と同様にして、実験例1の比較例5の飲料に種々の濃度のヘキサナールを添加して、0.6~200ppbの容器詰緑茶飲料を得、評価した。結果を表6に示す。濁度が2.0となる粉砕茶葉を含有する飲料では、該粉砕茶葉由来のざらつき感は、0.7~200ppbのヘキサナールを含有させることで低減させることができた。一方、ヘキサナール濃度が100ppbより多くなると、ヘキサナールでのざらつき感低減効果はあるが、ヘキサナール由来の青臭い風味により、飲みづらい飲料であった。また、実施例4、8、12、25~29の飲料について、PETボトルに直接口をつけて飲用したところ、豊かなレトロネーザルアロマを有し、飲用後まで茶の香りの余韻を味わうことができた。
Figure 0007022599000006
実験例7.茶葉抽出液・粉砕茶葉の違いによるざらつき感の評価
ここでは、新たに別の緑茶葉抽出液と粉砕茶葉含有液を調製した。
緑茶飲料のベースとなる緑茶葉抽出液に関しては、上記とは異なる煎茶葉(三番茶・秋冬番茶を中心とした強火煎茶)を用い、煎茶葉の乾燥重量1重量部に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃の水で5分間抽出した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶葉粒子などの固形分を除去して、緑茶葉抽出液を得た(緑茶葉抽出液C)。
粉砕茶葉含有液に関しては、碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶を約20倍量の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより10MPaの圧力で処理した後に遠心分離(6000rpm、10分)を行って粗大な粉砕茶を除去して、粉砕茶葉懸濁液を得た。この懸濁液の90%積算粒子径(D90)を測定したところ、25μmであった(粉砕茶葉含有液D)。同様に、異なる粒度の抹茶を使用して、D90が30μmとなるように調整した粉砕茶葉含有液E、90%積算粒子径(D90)が70μmとなるように調整した粉砕茶葉含有液F、90%積算粒子径(D90)が80μmとなるように調整した粉砕茶葉含有液Gを得た。
緑茶葉抽出液Cに粉砕茶葉含有液Dを添加して濁度が異なる緑茶飲料を調製した(試料7-1)。これら緑茶飲料にヘキサナール(関東化学株式会社;型番07126-30)を添加して500mLずつをPETボトルに充填し、ヘキサナール濃度3.2ppbの容器詰緑茶飲料を得た。また、同様に緑茶葉抽出液Aと粉砕茶葉含有液E~Gについても種々の割合で混合を行った。これら緑茶飲料について飲用し、実験例2と同様、ざらつき感を評価し、濁度を測定した。
結果を表7に示す。本例においても、濁度が0.4~2.0である粉砕茶葉を含有する緑茶飲料では、ヘキサナールを3.2ppbの濃度で含有させることで粉砕茶葉由来のざらつき感が低減された。
Figure 0007022599000007
実験例8.ヘキサナールとリナロールの併用によるざらつき感の評価
ヘキサナールを3.2ppbの濃度で含有する飲料(実験例6の実施例25の飲料)に、さらにリナロールを添加して500mLずつをPETボトルに充填し、ヘキサナール濃度3.2ppb、リナロール濃度0~100ppbとなる容器詰緑茶飲料を得、評価した。
結果を表8に示す。ヘキサナールに加えて特定量のリナロールを含有させることで、粉砕茶葉由来のざらつき感が低減され、さらには、レトロネーザルアロマが強化された緑茶飲料となった。
Figure 0007022599000008
実験例9.ヘキサナール高含有茶葉を用いた緑茶飲料の製造とそのざらつき感の評価
次の方法により、容器詰緑茶飲料を製造した。緑茶飲料の原料として、緑茶葉抽出液、粉砕茶葉懸濁液を用いた。緑茶葉抽出液は、ヘキサナール高含有茶葉(一茶刈番)8gを、70℃の湯で5分間抽出した後、遠心分離機を用いて固液分離して調製した。粉砕茶葉含有液は、実施例1で用いたものと同様にして調製した。前記緑茶葉抽出液、粉砕茶葉含有液を任意の割合で混合し、濁度:0.49、ヘキサナール:3.2ppbとなる緑茶飲料を製造した。
得られた緑茶飲料についてその風味を評価した。この緑茶飲料は、粉砕茶葉を高濃度で含有するにもかかわらず、ざらつき感が低減された緑茶飲料であった。粉砕茶葉を高濃度に含有するので、粉砕茶葉が持つコクと深い味わいを十分に味わうことができ、3名のパネル全員が従来にない美味しさと評価した。

Claims (2)

  1. 粉砕茶葉を含有し、以下の条件(A)~(C)を満たす容器詰緑茶飲料;
    (A)飲料中のヘキサナール濃度が0.7~100ppb
    (B)飲料の濁度が0.05~2.0
    (C)飲料中の粉砕茶葉の90%積算粒子径(D90)が10~80μm。
  2. (C)飲料中の粉砕茶葉の90%積算粒子径(D90)が20~80μmである、請求項1に記載の飲料。
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