JP2018116104A - 定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、ヒータによって定着ベルトが直接的に加熱されて、ニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像がニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着されることになる。
しかし、従来の定着装置は、シート状部材に含浸された潤滑剤が、幅方向端部において定着ベルトと保持部材との隙間から漏れ出してしまう可能性があった。そして、そのように漏れ出てしまう潤滑剤の量が多くなってしまうと、シート状部材によって定着ベルトとニップ部形成部材とのニップ部における摺動抵抗を減ずる機能が消失してしまい、定着ベルトやニップ部形成部材の磨耗劣化が進んでしまうことになる。
図1に示すように、本実施の形態における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2〜図4等を参照して、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21(ベルト部材)、ニップ部形成部材26(固定部材)、補強部材23、加熱手段としてのヒータ25(熱源)、加圧回転体としての加圧ローラ31、温度センサ40、シート状部材22(潤滑剤供給部材)、ネジ24、板状部材28(固定板)、反射部材27、等で構成される。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が5〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
定着ベルト21の内部(内周面側)には、ニップ部形成部材26、ヒータ(加熱手段)、補強部材23、反射部材27、シート状部材22、ネジ24、板状部材28(固定板)、等が固設されている。
ここで、ニップ部形成部材26は、定着ベルト21の内周面21aに摺接するように固定されている。そして、ニップ部形成部材26が定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接することで、記録媒体Pが搬送されるニップ部が形成される。図3及び図5を参照して、ニップ部形成部材26は、その幅方向両端部が、定着装置20の側板43に固定支持された一対のフランジ29(保持部材)に回転可能に保持されている。
そして、定着ベルト21は、その内部に設置されたヒータ25(加熱手段)の輻射熱により直接的に加熱される。
なお、本実施の形態では、定着ベルト21の内周面側に1本のヒータ25を設置したが、定着ベルト21の内周面側に複数のヒータを設置することもできる。
特に、本実施の形態における定着装置20は、定着ベルト21がヒータ25(加熱手段)によって直接的に加熱されるように構成されているため、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上するとともに、定着装置20をさらに低コスト化・小型化することができる。
なお、本実施の形態における定着装置20において、フランジ29のストッパ部の位置に、定着ベルト21の端部の磨耗を軽減するために、PEEK、PPS、PAI、PTFE等の低摩擦性・耐熱性材料からなるスリッピング部材(リング状部材)を、フランジ29とは別部材として設置することもできる。
このように、本実施の形態における定着装置20は、定着ベルト21のさらなる加熱効率の向上や装置の低コスト化・小型化等を目的として、パイプ状の加熱部材を取り外して、パイプ状の加熱部材を介することなく定着ベルト21を加熱手段(ヒータ25)によって直接的に加熱する構成を採用している。具体的に、定着ベルト21の内周面21aをフランジ29で保持する構成を採用している。
そして、補強部材23がニップ部形成部材26及び定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接することで、ニップ部においてニップ部形成部材26が加圧ローラ31の加圧力を受けて大きく変形する不具合を抑止している。本実施の形態において、補強部材23は、ヒータ25が位置する側に凹部が対向するように形成された略コの字状の板状部材である。この補強部材23は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが好ましい。
なお、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の一部又は全部に、鏡面処理を施したり断熱部材を設けたりした場合であっても、同じような効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径とほぼ同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
なお、本実施の形態では、ニップ部を形成するニップ部形成部材26の形状を凹状に形成したが、ニップ部を形成するニップ部形成部材26の形状を平面状に形成することもできる。すなわち、ニップ部形成部材26の摺接面(加圧ローラ31に対向する面である。)が平面形状になるように形成することができる。これにより、ニップ部の形状が記録媒体Pの画像面に対して略平行になって、定着ベルト21と記録媒体Pとの密着性が高まるために定着性が向上する。さらに、ニップ部の出口側における定着ベルト21の曲率が大きくなるために、ニップ部から送出された記録媒体Pを定着ベルト21から容易に分離することができる。
また、本実施の形態では、ニップ部形成部材26を覆うようにシート状部材22を設置して、補強部材23に対向する側に形成されたシート状部材22の重合部を板状部材28で挟んで、その板状部材28をネジ24でニップ部形成部材26に締結している。
なお、このシート状部材22の構成・動作については、後でさらに詳しく説明する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、ニップ部における加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動回転する。
その後、給紙部12から記録媒体Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、記録媒体P上に未定着のカラー画像が担持(転写)される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、ガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、ヒータ25によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強されたニップ部形成部材26と加圧ローラ31との押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
先に説明したように、本実施の形態における定着装置20には、ニップ部の位置でニップ部形成部材26と定着ベルト21との間に介在されるように、シート状部材22(低摩擦材料からなり潤滑剤が含浸されている。)が覆設されている。
このシート状部材22は、厚さが150〜500μmの範囲内で設定され、PTFE等のフッ素樹脂からなる繊維材料で形成され、粘度が50〜1000csの範囲内で設定された潤滑剤(シリコーンオイルやフッ素グリス等である。)が繊維内に含浸されている。
ここで、上述した2つのフランジ29の間の幅方向の範囲Nは、左方のフランジ29と定着ベルト21との当接部分の幅方向中央側の端面と、右方のフランジ29と定着ベルト21との当接部分の幅方向中央側の端面と、の間の幅方向の範囲である。換言すると、2つのフランジ29の間の幅方向の範囲Nは、2つのフランジ29に対して定着ベルト21が当接しない幅方向中央側の範囲となる。
すなわち、本実施の形態では、まず、シート状部材22の幅方向の長さMが、2つのフランジ29の間の長さNよりも小さく形成されている(M<N)。また、2つのフランジ29の間の範囲N内にシート状部材22が入るように配置されている。
ここで、「最大通紙領域H」とは、画像形成装置1において通紙可能な最大サイズの記録媒体Pにおける通紙領域(幅方向の範囲)である。
このように構成することで、どのようなサイズの記録媒体Pが通紙されたとしても、その記録媒体Pが通過するニップ部(定着ニップ)に相当する範囲では、潤滑剤によって定着ベルト21とニップ部形成部材26との摺動抵抗が減ぜられて、良好で均一なニップ圧が幅方向にわたって形成されることになる。したがって、ニップ部から送出される記録媒体Pにシワが生じる不具合も低減されることになる。
このように構成することで、ニップ部(定着ニップ)の幅方向全範囲で、潤滑剤によって定着ベルト21とニップ部形成部材26との摺動抵抗が減ぜられて、良好で均一なニップ圧が幅方向にわたって形成されることになる。したがって、ニップ部から送出される記録媒体Pにシワが生じる不具合も低減されることになる。
このように構成することで、シート状部材22に含浸された潤滑剤が幅方向端部に向けて移動して、万が一、定着ベルト21とフランジ29とが当接する位置まで達したとしても、定着ベルト21とフランジ29との間に介在された高粘度の潤滑剤がバリアとなって、シート状部材22の潤滑剤がそれ以上に幅方向端部に移動することはない。そのため、シート状部材22に含浸された潤滑剤が、幅方向端部において定着ベルト21とフランジ29との隙間から漏れ出してしまう不具合が軽減されることになる。
具体的に、本実施の形態におけるシート状部材22は、図6(A)に示すように、幅方向両端部(図中の範囲Sである。)では、白矢印で示す走行方向(定着ベルト21が移動する方向である。)に対して所定の傾斜角度θで傾斜するように織り目が形成されていて、それ以外の幅方向の範囲では、走行方向に沿うように織り目が形成されている。
ここで、シート状部材22の織り目は、繊維を編んでシート状部材22を形成する際にその編み方(織り方向)によってシート状部材22の表面に形成される凹凸であって、凹部(溝部)が潤滑剤の移動を促進する流路として機能することになる。シート状部材22の織り目の方向は、繊維の編み方(織り方向)によって自在に調整することができる。すなわち、幅方向両端部Sの編み方(織り方向)と、その他の範囲の編み方(織り方向)と、を異ならせることで、図6(A)に示すような織り目を有するシート状部材22を形成することができる。
なお、上述したように編み方による方法の他、幅方向全域において織り目が走行方向に沿うように形成されたものに対して、幅方向両端部の走行方向上流側を引っ張るような負荷をかけて変形させることによっても、図6(A)に示すような織り目を有するシート状部材22を形成することができる。
このように構成することで、シート状部材22に含浸された潤滑剤が、幅方向端部において定着ベルト21とフランジ29との隙間から漏れ出してしまう不具合がさらに軽減されることになる。
なお、本実施の形態において、幅方向一端側の範囲Sと、幅方向他端側の範囲Sと、は同等の長さとなっているが、潤滑剤の幅方向への流動の状態に応じて、それらの長さに差異を設けることもできる。
また、本実施の形態において、図6(B)に示すように、シート状部材22の幅方向の全範囲Mに、傾斜する織り目を形成することもできる。具体的に、図6(B)に示すように、シート状部材22は、左側の部分では走行方向に沿って左方から右方に傾斜する織り目が形成されて、右側の部分では走行方向に沿って右方から左方に傾斜する織り目が形成されている。このように構成した場合であっても、上述したものと同様の効果を得ることができる。
傾斜角度θが1度を下回ると、潤滑剤が幅方向端部から幅方向中央部に向かう効果が充分に発揮されなくなってしまう。また、傾斜角度θが45度を超えてしまうと、潤滑剤が幅方向端部から幅方向中央部に向けて移動しすぎて、幅方向端部の潤滑剤量が不足してしまう。
本実施の形態では、織り目の傾斜角度θが上述した範囲で最適化されているため、幅方向端部の潤滑剤量が不足してしまうことなく、幅方向端部から潤滑剤が漏出する不具合を軽減することができる。
これにより、定着ベルト21とニップ部形成部材26との間に設置されたシート状部材22に含浸された潤滑剤が、幅方向端部において定着ベルト21とフランジ29との隙間から漏れ出してしまう不具合を軽減することができる。
また、本実施の形態における定着装置20は、略コの字状の補強部材23や、突出部26a、26bが形成されたニップ部形成部材26を用いて、ヒータ25を定着ベルト21の内部の中心に近い位置に配置したが、補強部材23やニップ部形成部材26の形態やヒータ25の位置などはこれに限定されることなく、種々の構成の定着装置に対して本発明を適用することができる。
そして、これらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
また、本願において、「幅方向」とは、記録媒体Pの搬送方向に対して直交する方向であって、定着ベルトや加圧回転体の回転軸方向と同じ方向であるものと定義する。
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 シート状部材、
23 補強部材、
25 ヒータ(加熱手段)、
26 ニップ部形成部材(固定部材)、
29 フランジ(保持部材)、
31 加圧ローラ(加圧回転体)、
P 記録媒体(シート)。
Claims (7)
- 所定方向に走行する定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面側において前記定着ベルトを介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成するニップ部形成部材と、
前記定着ベルトの幅方向両端部をそれぞれ保持する一対の保持部材と、
潤滑剤が含浸されて、前記ニップ部の位置で前記ニップ部形成部材と前記定着ベルトとの間に介在されるように設置されたシート状部材と、
を備え、
前記シート状部材は、その幅方向の範囲が、幅方向一端側に設置された前記保持部材と、幅方向他端側に設置された前記保持部材と、の間の幅方向の範囲に含まれるように形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記シート状部材は、その幅方向の範囲が、最大通紙領域を含むように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記定着ベルトと前記保持部材との間に、前記シート状部材に含浸された潤滑剤に比べて、粘度が高い潤滑剤が介在されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記シート状部材は、繊維材料で形成されて、少なくとも前記定着ベルトに摺接する幅方向両端部における前記繊維材料の織り目が前記定着ベルトの走行方向に沿って幅方向端部から幅方向中央部に向けて傾斜するように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記シート状部材は、前記織り目が傾斜するように形成された幅方向両端部の幅方向の範囲が、幅方向の全体の範囲に対して5%以上を占めるように形成されたことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
- 前記シート状部材は、前記織り目が傾斜するように形成された部分の傾斜角度が、前記走行方向に対して1〜45度の範囲になるように形成されたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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