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JP5428402B2 - 定着装置、画像形成装置及び定着用無端ベルト - Google Patents

定着装置、画像形成装置及び定着用無端ベルト Download PDF

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JP5428402B2 JP2009052706A JP2009052706A JP5428402B2 JP 5428402 B2 JP5428402 B2 JP 5428402B2 JP 2009052706 A JP2009052706 A JP 2009052706A JP 2009052706 A JP2009052706 A JP 2009052706A JP 5428402 B2 JP5428402 B2 JP 5428402B2
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Description

本発明は、定着装置、画像形成装置及び定着用無端ベルトに関する。
電子写真方式を用いる複写機等の画像形成装置では、加熱定着法が広く採用されている。この加熱定着法に用いる定着装置として、無端ベルトを定着ロールに押圧し用紙を挟み込むニップ部形成するベルトニップ方式が開発されている(特許文献1参照)。ベルトニップ方式では、圧力付与部材(圧力パッド)により無端ベルトを定着ロールに圧接させる。この場合、圧力付与部材と無端ベルトとの間に摺動摩擦が発生する。そのため、無端ベルトの内周面に潤滑剤が塗布される。
例えば、特許文献2には、定着ロールと、内周面に凹凸が形成されている無端ベルトと、圧力パッドと、を備え、無端ベルトの内周面における潤滑剤の保持能力を向上させることにより、高品質な画像を形成する定着装置が記載されている。
また、無端ベルトの内周面から漏洩する潤滑剤を拭き取る手段が報告されている。例えば、特許文献3には、定着ロールと、内周面に潤滑剤が塗布された無端ベルトと、圧力パッドとを備え、潤滑剤拭き取り部材により、無端ベルトの内周面からの潤滑剤の漏洩を抑制する定着装置が記載されている。
特許第3298354号公報 特開2005−173441号公報 特開2005−300983号公報
本発明の目的は、無端ベルトの内周面に供給された潤滑剤の漏れを防止することにある。
請求項1に係る発明は、少なくとも、耐熱性樹脂または金属からなるベース層および離型層からなり、内周面の軸方向中央部に位置し表面粗さRaが0.3μm〜2μmであるように粗面化処理が施された粗面部と、当該内周面の軸方向両端部にそれぞれ位置し、当該内周面を周回する表面粗さRaが0.1μm以下の粗面化処理が施されていない帯状の部分であって、且つ軸方向の長さの4%〜6%の範囲である幅を有する平滑部と、を有する無端ベルトと、前記無端ベルトとの間に用紙が供給される押圧部を形成し回転駆動する回転体と、前記無端ベルトの内周面に接触しつつ当該無端ベルトの前記粗面部に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と、前記無端ベルトの内周面に接触しつつ当該無端ベルトの前記平滑部から潤滑剤を拭き取る潤滑剤拭き取り部材と、を備えることを特徴とする定着装置である。
請求項2に係る発明は、前記無端ベルトの平滑部は、前記回転体との前記押圧部に供給される用紙の最大通紙幅より当該無端ベルトの軸方向外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着装置である。
請求項3に係る発明は、前記無端ベルトの平滑部は、前記回転体との前記押圧部における最大圧力部より当該無端ベルトの軸方向外側に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置である。
請求項4に係る発明は、前記潤滑剤拭き取り部材は、前記無端ベルトの前記粗面部における接触圧と比較して当該無端ベルトの前記平滑部における接触圧が高くなるように当該無端ベルトの内周面に接触することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着装置である。
請求項5に係る発明は、トナー像を形成するトナー像形成部と、前記トナー像形成部により形成されたトナー像を記録材上に転写する転写部と、前記記録材に転写されたトナー像を当該記録材上に定着する定着部と、を備え、前記定着部は、円筒形状を有し、少なくとも、耐熱性樹脂または金属からなるベース層および離型層からなり、内周面の軸方向中央部に位置し表面粗さRaが0.3μm〜2μmであるように粗面化処理が施された粗面部を設け、当該内周面の軸方向両端部にそれぞれ位置し、当該内周面を周回する表面粗さRaが0.1μm以下の粗面化処理が施されていない帯状の部分であって、且つ軸方向の長さの4%〜6%の範囲である幅を有する平滑部を設けた定着ベルトと、前記定着ベルトとの間に記録材が供給される押圧部を形成し回転駆動する加圧ロールと、前記定着ベルトの内周面に接触しつつ潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と、前記定着ベルトの前記平滑部に対応する部分から潤滑剤を拭き取る潤滑剤拭き取り部材と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、円筒形状を有し、少なくとも、耐熱性樹脂または金属からなるベース層および離型層からなり、内周面の軸方向中央部に位置し表面粗さRaが0.3μm〜2μmであるように粗面化処理が施された粗面部と、前記内周面の軸方向両端部にそれぞれ位置し、当該内周面を周回する表面粗さRaが0.1μm以下の粗面化処理が施されていない帯状の部分であって、且つ軸方向の長さの4%〜6%の範囲である幅を有する平滑部と、を有し、回転駆動する回転体に接触しながら従動回転することを特徴とする定着用無端ベルトである。
請求項7に係る発明は、前記内周面の前記粗面部は、当該粗面部に供給された潤滑剤を保持可能な凹凸形状を有し、前記平滑部は、当該潤滑剤の拭き取りが可能な平滑面を有することを特徴とする請求項6に記載の定着用無端ベルトである。
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、無端ベルトの内周面に供給された潤滑剤の漏れが防止される。さらに、本構成を有しない場合に比べ、内周面における潤滑剤の保持性と潤滑剤の除去性とをより確実に両立することができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、無端ベルトの両端部からの潤滑剤の漏れがより防止される。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、無端ベルトの内周面に供給された潤滑剤がより効率良く拭き取られる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、無端ベルトの内周面から潤滑剤がより確実に拭き取られる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、長期間に亘り紙皺や画像ずれ等の発生を抑えて高品質な画像が形成される。さらに、本構成を有しない場合に比べ、定着ベルトの内周面における潤滑剤の保持性と潤滑剤の除去性とをより確実に両立することができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない無端ベルトと比べ、定着ベルトとして用いた場合、無端ベルトの内周面に供給された潤滑剤の漏れが防止される。さらに、本構成を有しない場合に比べ、内周面における潤滑剤の保持性と潤滑剤の除去性とをより確実に両立することができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、内周面における潤滑剤の保持性と潤滑剤の除去性とを両立することができる。
本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。 本実施の形態が適用される定着装置の一例を説明する図である。 定着ベルトの内周面の構造を説明する図である。 定着ベルトの内周面における平滑部の位置を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを現すものではない。
(画像形成装置)
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。ここでは、一般にタンデム型と呼ぶ中間転写方式の画像形成装置を例に挙げ説明する。図1に示す画像形成装置100は、像形成部として、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを備える。次に、転写部として、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成する各色成分トナー像を中間転写ベルト(像保持体)15に順次転写(一次転写)する一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写した重畳トナー画像を記録材である用紙に一括転写(二次転写)する二次転写部20を有する。さらに、定着部として、二次転写された画像を用紙上に定着する定着装置60を備える。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有する。
図1に示すように、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13と、各色成分トナーを収容し感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14とを有する。また、感光体ドラム11上に形成する各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17と、を有する。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に略直線状に配置されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールにより、図1に示す矢印B方向に循環駆動する。各種ロールとして、中間転写ベルト15を駆動する駆動ロール31と、中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に一定の張力を与え蛇行を防止するテンションロール33と、二次転写部20に設けるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けるクリーニングバックアップロール34とを有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟み感光体ドラム11に対向する一次転写ロール16を有する。二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置する二次転写ロール(転写部材)22と、二次転写ロール22の対向電極として中間転写ベルト15の裏面側に配置されたバックアップロール25と、バックアップロール25に二次転写バイアスを印加する給電ロール26とを有する。
二次転写部20の下流側に、中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ35を設ける。イエローの画像形成ユニット1Yの上流側に、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42を配設する。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43を配設する。
用紙搬送系には、用紙収容部50と、用紙収容部50中の用紙(P)を取り出して搬送するピックアップロール51と、用紙を搬送する搬送ロール52と、用紙を二次転写部20へと送る搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された用紙を定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、用紙を定着装置60に導く定着入口ガイド56とを有する。
次に、画像形成装置100の基本的な作像プロセスについて説明する。
図1に示すような画像形成装置100では、画像読取装置(IIT)(図示せず)等から出力される画像データに画像処理を施した後、画像データをY、M、C、Kの4色の色材階調データに変換し、レーザ露光器13に出力する。レーザ露光器13は、入力される色材階調データに応じ、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの矢印A方向に回転する各感光体ドラム11に照射する。各感光体ドラム11の表面を帯電器12によって帯電した後、レーザ露光器13によって表面を走査露光し、静電潜像を形成する。形成した静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像する。
つぎに、感光体ドラム11上に形成するトナー像を、一次転写部10において中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写を行う。中間転写ベルト15は矢印B方向に移動してトナー像を二次転写部20に搬送する。用紙搬送系は、トナー像を二次転写部20に搬送するタイミングに合わせて、用紙収容部50から用紙を供給する。
二次転写部20では、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像を、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれた用紙上に静電転写する。その後、トナー像を静電転写した用紙を搬送ベルト55により定着装置60まで搬送し、定着装置60は、用紙上の未定着トナー像を熱および圧力で処理し用紙上に定着する。定着画像を形成した用紙は、画像形成装置100の排出部に設けた排紙載置部に搬送する。
(定着装置60)
次に、図2、図3及び図4を用いて定着装置について説明する。図2は、本実施の形態が適用される定着装置の一例を説明する図である。図2に示すように、定着装置60は、回転方向Cに回転駆動する回転体の一例としての定着ロール61、回転方向C’に従動回転する定着用無端ベルトの一例としての定着ベルト62、定着ベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材としての圧力パッド部64(ここでは、弾性圧力パッド64aと、高剛性パッド64bにより構成している)、シート状の摺動部材68により主要部が構成されている。
また、剥離の補助手段として、押圧部Nの下流側に、剥離部材70が設置されている。剥離部材70は、定着ロール61の回転方向Cと対向する向き(カウンタ方向)に、定着ロール61と近接する状態で配置される剥離バッフル71と、剥離バッフル71を保持するホルダ72とで構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成されている。コア611の外径および肉厚は、本実施の形態では、通常、外径20mm〜40mmである。肉厚は、アルミニウムの場合、1mm〜3mm、SUSや鉄の場合は0.4mm〜1.5mm程度である。耐熱性弾性体層612の材料は、例えば、硬度が15〜45°(JIS−A)程度のシリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。離型層613は、本実施の形態では、フッ素樹脂が挙げられる。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。また、それらの複合材料、又それらの樹脂にカーボンやアルミナ、硫酸バリウムのようなフィラーを配合したものが使用できる。離型層613の厚みは、好ましくは5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜40μmである。
定着ロール61の内部には、発熱源としてのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置100(図1参照)の制御部40(図1参照)は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が設定温度(例えば、170℃)を維持するように調整している。
定着ベルト62は、内部に配置された圧力パッド部64とベルト走行ガイド63と、さらに図示しないが、両端部に配置されたエッジガイドによって回動自在に支持されている。ベルト走行ガイド63は低摩擦材料で形成され、定着ベルト62内周面との摺擦抵抗が低減される。また、ベルト走行ガイド63は低熱伝導性材料で形成され、定着ベルト62からの熱伝導を抑制している。
そして、定着ベルト62は、定着ロール61との間に用紙(P)が供給される押圧部(N)を形成し、押圧部(N)において定着ロール61に対して圧接されて配置されている。定着ベルト62の構造については後述する。
圧力パッド部64は、定着ベルト62の内側に配置され、定着ベルト62を介して定着ロール61に押圧され、定着ロール61との間で押圧部(N)を形成している。圧力パッド部64は、ホルダ65に支持され、弾性圧力パッド64a(プレニップ用)を押圧部(N)の入口側に配置し、幅の広い押圧部(N)を確保している。また、高剛性パッド64b(剥離ニップ用)を押圧部(N)の出口側に配置し、定着ロール61に歪みを与えている。
弾性圧力パッド64aの材料は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体や板バネ等が挙げられる。また、定着ロール61の外周面に倣うように凹形状を有している。
高剛性パッド64bの材料は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性樹脂や、それらの樹脂にガラスファイバー等を添加し強化した材料、鉄、アルミニウム、SUS等の金属が挙げられる。
弾性圧力パッド64aおよび高剛性パッド64bの定着ベルト62と接する面に摺動部材68が設けられ、定着ベルト62の内周面と圧力パッド部64との摺動抵抗を低減している。摺動部材68の材料は、例えば、シンタード成型したPTFE樹脂シート、フッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート、ガラス繊維にフッ素樹脂のフィルムシートを加熱融着しサンドイッチした積層シート等が挙げられる。
尚、圧力パッド部64と定着ロール61の間のニップ圧力は、スプリング等の部材(図示せず)によって荷重が負荷され、その荷重は、A4サイズ対応(A4SEF通紙幅対応)の装置で、100N〜350N、A3サイズ対応(A4LEF通紙幅対応)の装置で、150N〜450N程度である。
また、ベルト走行ガイド63は、定着ベルト62の内周面と摺擦する。ベルト走行ガイド63の材料としては、例えば、PFAやPPS等の耐熱性樹脂が挙げられる。
ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って、潤滑剤供給部材67が配設されている。潤滑剤供給部材67は、定着ベルト62の内周面に対して接触するように配置され、アミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤を適量供給する。これにより、定着ベルト62と摺動部材68との摺動部に潤滑剤を供給し、摺動部材68を介した定着ベルト62と圧力パッド部64との摺動抵抗をさらに低減している。
定着ベルト62の内側には、定着ベルト62の内周面に供給された潤滑剤をふき取る潤滑剤拭き取り部材675が配置されている。潤滑剤拭き取り部材675は、定着ベルト62の内周面に背食するように配置されている。潤滑剤拭き取り部材675は、耐熱性繊維製のフェルトや不植布、耐熱性スポンジ等などで構成される。潤滑剤拭き取り部材675の配置については後述する。
(定着ベルト62)
次に、定着ベルト62について説明する。
尚、本実施の形態では、定着ロール61に押圧される加圧側の定着ベルト62の例を示すが、必ずしもこれに限定されない。例えば、無端ベルトが、内側から圧力付与部材により押圧されて対向する回転体とニップ部を形成し、且つ無端ベルトと圧力付与部材(又はその上に設けられた低摩擦部材)との間に潤滑剤が供給される場合であれば、定着側のベルトでもかまわないし、定着側、加圧側両方がベルトを用いた定着装置の場合にも適用される。
本実施の形態が適用される定着ベルト62は、円筒形状に形成されたベース層(図示せず)と、このベース層の定着ロール61側の面または両面に被覆された離型層(図示せず)とから構成されている。本実施の形態では、定着ベルト62の直径は30mmである。また、本実施の形態では、定着ベルト62の軸方向の長さは、通常、24cm〜37cmである。
ベース層は、ポリイミド等の耐熱性樹脂、SUS等の薄膜の金属により形成されている。ベース層の厚さは、耐熱性樹脂の場合、30μm〜200μmである。また、金属の場合、10μm〜100μmである。離型層は、フッ素樹脂又はフッ素樹脂の複合材料、フッ素樹脂に充填材を配合した組成物から形成されている。離型層の厚さは、5μm〜100μmである。尚、離型層とベース層との間に弾性層を設ける場合もある。
図3は、定着ベルト62の内周面の構造を説明する図である。
図3(a)に示すように、定着ベルト62の内周面は、円筒形状の軸方向(矢印D方向)の中央部に形成された粗面部621と、内周面の軸方向の両端部にそれぞれ形成された平滑部622と、を有している。尚、矢印C’は、定着ベルト62の移動方向(回転方向)である。
本実施の形態では、内周面の粗面部621には、微細な凹凸形状が形成されている。粗面部621の表面粗さRa(算術平均粗さ、JIS 94)は、定着ベルト62の軸方向(矢印Dの方向)に測定した場合、通常、Ra=0.3μm〜2.0μm、好ましくは、Ra=0.4μm〜1.2μmの範囲である。
図3(b)は、粗面部621の一例を示す図である。図3(b)に示すように、粗面部621には、複数の凸部と溝が、定着ベルト62の移動方向C’に沿って、内周面を周回するように形成されている(移動方向溝タイプ)。
図3(c)は、図3(b)における軸方向X−X’の断面図である。図3(c)に示すように、粗面部621には、凸部と溝が交互に且つ連続的に形成されている。
粗面部621は、上述したように、凸部と溝が連続的に形成された移動方向溝タイプの他、内周面に不規則な凹凸が形成されていても良い。例えば、内周面に、定着ベルト62の移動方向に沿って溝を形成し、さらにその全面にサンドブラスト処理を施した凹凸形状(溝サンドブラストタイプ);定着ベルト62の内周面の全面に、比較的細かなサンドブラスト処理を施した凹凸形状(小サンドブラストタイプ);定着ベルト62の内周面の全面に、比較的粗いサンドブラスト処理を施した凹凸形状(大サンドブラストタイプ)等が挙げられる。
定着ベルト62の内周面に微細な凹凸形状を形成することにより、内周面における潤滑剤の保持能力が向上する。これにより、定着ベルト62と摺動部材68との摺動部において、潤滑剤が安定して維持される。そして、定着ベルト62と圧力パッド部64との摺動抵抗は低減する。その結果、用紙を定着ロール61と等速に安定して搬送することが可能となり、画像ずれや用紙への紙皺の発生が抑えられる。
定着ベルト62の内周面に形成される微細な凹凸形状の作用は以下のように考えられる。前述したように、潤滑剤供給部材67は、定着ベルト62の内周面に接触するように配置され、潤滑剤を定着ベルト62の内周面に常時供給している。潤滑剤供給部材67から内周面の全面に亘って塗布された潤滑剤は、内周面に形成された微細な凹凸形状のうち、主として凹部に保持される。凹部では、潤滑剤がそれぞれ微小な集合となり安定的に保持される。また、潤滑剤供給部材67と内周面の微細な凹凸形状の凸部との接触により潤滑剤が均され、微細な凹部には確実に潤滑剤が供給されるとともに、余分な潤滑剤は潤滑剤供給部材67に回収される。そのため、凹部における潤滑剤の保持量は略一定量に制御され、定着ベルト62の内周面の全面に亘って潤滑剤が均一に保持される。
次に、平滑部622について説明する。
図3(a)に示すように、本実施の形態が適用される定着ベルト62は、内周面の軸方向(矢印Dの方向)の両端部に、それぞれ平滑部622が設けられている。平滑部622は、粗面部621の外側において、定着ベルト62の移動方向に沿って、一定の幅で内周面を周回する帯状の部分として形成されている。平滑部622の軸方向の幅は、特に限定されないが、本実施の形態では、15mmである。
平滑部622は、定着ベルト62の内周面に表面粗し等の処理を施さず、内周面の本来の表面そのままの状態を維持している(平滑タイプ)。本実施の形態では、平滑部622の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、いずれの方向にもRa=0.2μm以下、好ましくは、0.1μm以下である。
ところで、前述したように、定着ベルト62の内周面に微細な凹凸が形成されていると、潤滑剤の保持能力が向上するものの、潤滑剤拭き取り部材675をすり抜けた潤滑剤が漏れ出すことが判明している。
即ち、本実施の形態で説明するように、ベルトニップ方式の定着装置は、圧力パッド部64により定着ベルト62を定着ロール61に圧接させるので、圧力パット部64と定着ベルト62との間に摺動摩擦が生じる。そのため、定着ベルト62の内周面に潤滑剤を塗布し、圧力パッド部64と定着ベルト62との滑り性の向上が図られている。
ここで、小型の装置の場合、潤滑剤を一定量安定的に供給する供給機構や部材を配置することは難しい。このため、従来、圧力付与部材と無端ベルトとの摺擦面に潤滑剤を供給するには、両者の摺動部の上流側に配置した潤滑剤供給部材から無端ベルトの内周面に潤滑剤を塗布し、無端ベルトの回動に伴って摺動部まで潤滑剤を搬送する方法が採用されている。この方式の場合、一定量の潤滑剤を長期に亘り安定的に塗布することが難しい。そのため、初期に必要量を潤滑剤供給部材に与えても、経時的に圧力付与部材等の隙間に潤滑剤が逃げ、無端ベルトへの塗布量が減少する。そして、圧力付与部材と無端ベルトとの摺動摩擦が増加し、定着ロールの回転に対応した無端ベルトの円滑な回動が難しくなる。その結果、押圧部での用紙の円滑な搬送が阻害され、紙皺や画像ずれ等の画像不良が生じさせる場合がある。
さらに、長期使用での潤滑剤枯れを防止しようとした場合、初期に必要量以上に潤滑剤を塗布すると、無端ベルトの両端部から余剰の潤滑剤が漏れてしまう。漏れ出た潤滑剤が対向する定着ロールの表面に付くと、用紙への染みとなる。また、潤滑剤がシリコーンオイルの場合、漏れたオイルによって定着ロールの弾性層のシリコーンゴムが膨潤する。そのため、定着ロールの弾性層はがれや、定着ロールの形状変形による紙皺等の不具合が発生する場合があった。このように、初期の潤滑剤供給部材へのオイル塗布量の管理を厳しくせざるを得ず、結果的に長期の潤滑剤摺動安定性を得ることが難しくなっていた。
このような問題に対し、無端ベルトの内周面から漏洩する潤滑剤を拭き取る潤滑剤拭き取り部材を備えた技術が提案された。しかし、無端ベルトの内周面が粗面であると、長期的な摺動安定性は向上するものの、粗面で保持された潤滑剤が潤滑剤拭き取り部材をすり抜けてしまう。そのため、長期的に無端ベルトの端部からの潤滑剤漏れを防ぐことが困難であった。
本発明者は、以上のような技術的課題に対し、定着ベルト62の内周面の両端部に平滑部622を形成することにより解決した。
図4は、定着ベルト62の内周面における平滑部622の位置を説明する図である。図4(a)に示すように、定着ベルト62の内周面において、平滑部622は、中央部分に形成された粗面部621の外側の両端部にそれぞれ形成されている。ここで、Wは用紙の最大通紙幅である。両端部にそれぞれ形成された平滑部622には、潤滑剤拭き取り部材675が接触するように配置されている。
即ち、発明者の検討結果によれば、定着ベルト62の摺動抵抗は、ニップ圧力が高くなる領域(用紙の最大通紙幅W)で増大し、定着ベルト62の両端部は低いことが判明した。そこで、定着ベルト62の内周面のニップ圧力が高くなる領域(用紙の最大通紙幅W)に粗面部621を設け、最大通紙幅Wより定着ベルト62の軸方向外側である両端部に平滑部622を設けた。
ここで、図4(a)に示すように、潤滑剤拭き取り部材675は、定着ベルト62の内周面の平滑部622に対応した部分のみに接触するように配置されても良く、また、定着ベルト62の内周面の軸方向全体に接触するように配置されても良い。その場合、潤滑剤拭き取り部材675の厚さや硬度を調整し、定着ベルト62の内周面の平滑部622に対応した部分への接触圧が高くなるようにしても良い。
このように、定着ベルト62の内周面の両端部に平滑部622を設けると、定着ベルト62の中央部に設けた粗面部621において摺動性を確保しつつ、平滑部622に接触する潤滑剤拭き取り部材675によって潤滑剤のすり抜けが防止される。
定着ベルト62を装着した定着装置60による通紙試験の結果は以下の通りである。即ち、A4LEF通紙で20万枚を通紙した後も、定着ベルト62の内周面において、摺動抵抗の上昇による紙皺や画像ずれ、モータの負荷の異常等が起きなかった。また、定着ベルト62の両端部からの潤滑剤の漏れも未発生であった。
同様な通紙試験を、内周面の全体に粗面部を形成した無端ベルトを装着した定着装置60を使用すると、A4LEF通紙8000枚で無端ベルト端部からのオイル漏れにより通紙用紙へのオイル染みが生じた。その後、定着ロール61の耐熱性弾性体層612の端部にオイル膨潤による剥れと変形が生じた。
また、内周面全体を表面粗さRa=0.1μm以下の平滑面とした無端ベルトを装着した定着装置60を使用すると、A4LEF通紙4000枚で無端ベルトの内面の摺動抵抗が上昇し、紙皺や画像ずれが発生した。
このように、本実施の形態が適用される定着ベルト62を使用することにより、定着ベルト62の内周面に供給された潤滑剤の漏れ防止を図りつつ、長期的な摺動抵抗の増大を抑制し、紙皺や画像ずれ等の発生を抑制する効果が得られることが分かる。
さらに、図4(b)は、定着装置60のニップ圧力分布Pwと平滑部622の位置を説明する図である。図4(b)のグラフにおいて、横軸は定着ベルト62の軸方向位置Mを示す。また、縦軸はニップ圧力Pを示す。Pwは非通紙時のニップ圧力分布を示す。
図4(b)に示すように、定着ベルト62の内周面において、平滑部622は、定着装置60のニップ圧力分布Pw(非通紙時)の最大ニップ圧力部分より、定着ベルト62の軸方向外側に対応した部分に形成されている。
平滑部622を最大ニップ圧力部分より定着ベルト62の軸方向外側に対応した部分に形成することにより、定着ベルト62の内面摺動性の悪化を防ぎつつ、定着ベルト62の端部からの潤滑材の漏れを防止できる。この場合、潤滑剤拭き取り部材675は、定着ベルト62の内周面の平滑部622に対応した部分のみに接触するように配置されても良く、また、定着ベルト62の内周面の軸方向全体に接触するように配置されても良い。
このような構造の定着ベルト62を装着した定着装置60による通紙試験の結果は以下の通りである。即ち、A4LEF通紙で20万枚を通紙した後も、定着ベルト62の内面の摺動抵抗の上昇による紙皺や画像ずれ、モータの負荷の異常等が起きなかった。また、定着ベルト62の端部から潤滑剤の漏れが無かった。
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、22…二次転写ロール、31…駆動ロール、40…制御部、50…用紙収容部、60…定着装置、61…定着ロール(回転体)、62…定着ベルト(無端ベルト)、64…圧力パッド部、67…潤滑剤供給部材、621…粗面部、622…平滑部、675…潤滑剤拭き取り部材

Claims (7)

  1. 少なくとも、耐熱性樹脂または金属からなるベース層および離型層からなり、内周面の軸方向中央部に位置し表面粗さRaが0.3μm〜2μmであるように粗面化処理が施された粗面部と、当該内周面の軸方向両端部にそれぞれ位置し、当該内周面を周回する表面粗さRaが0.1μm以下の粗面化処理が施されていない帯状の部分であって、且つ軸方向の長さの4%〜6%の範囲である幅を有する平滑部と、を有する無端ベルトと、
    前記無端ベルトとの間に用紙が供給される押圧部を形成し回転駆動する回転体と、
    前記無端ベルトの内周面に接触しつつ当該無端ベルトの前記粗面部に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と、
    前記無端ベルトの内周面に接触しつつ当該無端ベルトの前記平滑部から潤滑剤を拭き取る潤滑剤拭き取り部材と、
    を備えることを特徴とする定着装置。
  2. 前記無端ベルトの平滑部は、前記回転体との前記押圧部に供給される用紙の最大通紙幅より当該無端ベルトの軸方向外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記無端ベルトの平滑部は、前記回転体との前記押圧部における最大圧力部より当該無端ベルトの軸方向外側に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記潤滑剤拭き取り部材は、前記無端ベルトの前記粗面部における接触圧と比較して当該無端ベルトの前記平滑部における接触圧が高くなるように当該無端ベルトの内周面に接触することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. トナー像を形成するトナー像形成部と、
    前記トナー像形成部により形成されたトナー像を記録材上に転写する転写部と、
    前記記録材に転写されたトナー像を当該記録材上に定着する定着部と、を備え、
    前記定着部は、
    円筒形状を有し、少なくとも、耐熱性樹脂または金属からなるベース層および離型層からなり、内周面の軸方向中央部に位置し表面粗さRaが0.3μm〜2μmであるように粗面化処理が施された粗面部を設け、当該内周面の軸方向両端部にそれぞれ位置し、当該内周面を周回する表面粗さRaが0.1μm以下の粗面化処理が施されていない帯状の部分であって、且つ軸方向の長さの4%〜6%の範囲である幅を有する平滑部を設けた定着ベルトと、
    前記定着ベルトとの間に記録材が供給される押圧部を形成し回転駆動する加圧ロールと、
    前記定着ベルトの内周面に接触しつつ潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と、
    前記定着ベルトの前記平滑部に対応する部分から潤滑剤を拭き取る潤滑剤拭き取り部材と、を有することを特徴とする画像形成装置。
  6. 円筒形状を有し、少なくとも、耐熱性樹脂または金属からなるベース層および離型層からなり、内周面の軸方向中央部に位置し表面粗さRaが0.3μm〜2μmであるように粗面化処理が施された粗面部と、
    前記内周面の軸方向両端部にそれぞれ位置し、当該内周面を周回する表面粗さRaが0.1μm以下の粗面化処理が施されていない帯状の部分であって、且つ軸方向の長さの4%〜6%の範囲である幅を有する平滑部と、を有し、
    回転駆動する回転体に接触しながら従動回転することを特徴とする定着用無端ベルト。
  7. 前記内周面の前記粗面部は、当該粗面部に供給された潤滑剤を保持可能な凹凸形状を有し、前記平滑部は、当該潤滑剤の拭き取りが可能な平滑面を有することを特徴とする請求項6に記載の定着用無端ベルト。
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