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JP6390933B2 - 定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

定着装置、及び、画像形成装置 Download PDF

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JP6390933B2 JP2017090897A JP2017090897A JP6390933B2 JP 6390933 B2 JP6390933 B2 JP 6390933B2 JP 2017090897 A JP2017090897 A JP 2017090897A JP 2017090897 A JP2017090897 A JP 2017090897A JP 6390933 B2 JP6390933 B2 JP 6390933B2
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Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、そこに設置される定着装置と、に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短くて、装置を高速化した場合であっても定着不良が生じにくい定着装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、特許文献1の図2、図4等に記載の定着装置は、定着ベルト(符号21)、ニップ部を除いて定着ベルトの内周面に対向するように固設されたパイプ状の加熱部材(符号22)、加熱部材を加熱するために加熱部材に内設されたヒータ(符号25)、定着ベルトを介して加圧ローラ(符号31)に圧接してニップ部を形成するために定着ベルトの内部に設置された固定部材(符号26)、固定部材に当接して固定部材を補強する略板状の補強部材(符号23)、等で構成されている。略板状の補強部材は、固定部材の表面の一部に当接するように、その幅(搬送方向の長さである。)が比較的狭く形成されている。
そして、ヒータによって加熱されたパイプ状の加熱部材によって定着ベルトが加熱されて、ニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像がニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着されることになる。
上述した特許文献1の定着装置は、固定部材がパイプ状の加熱部材の凹部に嵌め込まれるように設置されているため、固定部材に接触する補強部材の接触面積(接触幅)が狭小であって、固定部材が補強部材から受ける力のバランスが悪くなってしまっても、それによって固定部材に倒れが生じてしまうようなことはなかった。
一方、特許文献1等の定着装置において、定着ベルトのさらなる加熱効率の向上や装置の低コスト化・小型化等を目的として、パイプ状の加熱部材を取り外して、パイプ状の加熱部材を介することなく定着ベルトを加熱手段によって直接的に加熱する構成を採用する方策が考えられる。
しかし、その場合には、固定部材の倒れを防止する加熱部材(凹部)がなくなるために、補強部材が圧接した状態の固定部材をバランスよく保持できなくなり、固定部材に倒れが生じてしまう可能性がある。そして、そのように固定部材に倒れが生じてしまうと、所望のニップを形成できずに、出力画像に定着不良が生じてしまったり記録媒体の搬送不良が生じてしまったりすることになる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短くて、装置を高速化した場合であっても定着不良等が生じることなく、補強部材が圧接した状態の固定部材に倒れが生じることのない、定着装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内周面側に固設されて、当該定着ベルトを介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する固定部材と、前記定着ベルトの前記ニップ部以外の少なくとも一部に直接対向して、前記定着ベルトを加熱する加熱源と、前記定着ベルトの内周面側において前記固定部材と前記加熱源との間に配置されて、前記固定部材に当接して当該固定部材を補強する対向面を有する補強部材と、前記定着ベルトの幅方向両端部を保持する一対の保持部材と、を備え、記録媒体の搬送方向に対する前記ニップ部の長さをAとして、前記搬送方向の上流側において前記固定部材と前記補強部材とが当接する上流側当接部から前記搬送方向の下流側において前記固定部材と前記補強部材とが当接する下流側当接部までの長さをBとしたときに、A<Bなる関係が成立するとともに、前記搬送方向に対して前記ニップ部の範囲が前記上流側当接部から前記下流側当接部までの範囲に含まれるように形成され、前記一対の保持部材は前記定着ベルトの内周面に挿入される挿入部を有し、前記挿入部は前記定着ベルト内部でそれぞれ離間しているものである。
なお、本願において、固定部材や補強部材が「固設」された状態とは、固定部材や補強部材が回転駆動されることなく非回転で保持されている状態であるものと定義する。したがって、例えば、固定部材がスプリング等の付勢手段によってニップ部に向けて付勢されている場合であっても固定部材が非回転で保持されていれば、固定部材が「固設」された状態となる。
また、本願において、記録媒体の「搬送方向」とは、ニップ部において定着ベルトや加圧回転体が変形することなく理想的な円弧を描いて当接した場合におけるニップ部の接線方向と同じ方向であるものと定義する。
また、本願において、「幅方向」とは、搬送方向に対して直交する方向であって、定着ベルトや加圧回転体の回転軸方向と同じ方向であるものと定義する。
また、本願において、「ニップ部」とは、加圧回転体が定着ベルトに接触する部分であるものと定義する。
本発明は、搬送方向に対する、ニップ部の長さと、固定部材と補強部材との当接部の長さと、の関係や、それらの範囲の関係を適正化している。これにより、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短くて、装置を高速化した場合であっても定着不良等が生じることなく、補強部材が圧接した状態の固定部材に倒れが生じることのない、定着装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 定着装置を示す構成図である。 定着装置を幅方向にみた側面図である。 ニップ部の近傍を示す拡大図である。 定着ベルトが保持部材に保持された状態を示す断面側面図である。 定着ベルトと補強部材とが保持部材に保持された状態を示す概略正面図である。 この発明の実施の形態2における定着装置を示す構成図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、本実施の形態1における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、除電部(不図示である。)等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成されることになる。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、不図示の駆動モータによって図1中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト78上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体1の下方に配設された給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98(タイミングローラ対)等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト21及び加圧ローラ31による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2〜図6にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2〜図4等を参照して、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21(ベルト部材)、固定部材26(ニップ部形成部材)、補強部材23、加熱手段としてのヒータ25(熱源)、加圧回転体としての加圧ローラ31、温度センサ40、反射部材27、シート状部材22、ネジ24、板状部材28(固定板)、等で構成される。
ここで、定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状ベルトであって、図2中の矢印方向(反時計方向)に回転(走行)する。定着ベルト21は、内周面21a(固定部材26との摺接面である。)側から、基材層、弾性層、離型層が順次積層されていて、その全体の厚さが1mm以下に設定されている。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が10〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
また、定着ベルト21の直径は15〜120mmになるように設定されている。なお、本実施の形態1では、定着ベルト21の内径が30mmに設定されている。
定着ベルト21の内部(内周面側)には、固定部材26、ヒータ(加熱手段)、補強部材23、反射部材27、シート状部材22、ネジ24、板状部材28(固定板)、等が固設されている。
ここで、固定部材26は、定着ベルト21の内周面21aに摺接するように固定されている。そして、固定部材26が定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接することで、記録媒体Pが搬送されるニップ部が形成される。図3及び図5を参照して、固定部材26は、その幅方向両端部が、定着装置20の側板43に固定支持されたフランジ29(保持部材)に保持されている。また、定着ベルト21は、その幅方向両端部が、フランジ29に回転可能に保持されている。なお、固定部材26やフランジ29の構成については、後でさらに詳しく説明する。
そして、定着ベルト21は、その内部に設置されたヒータ25(加熱手段)の輻射熱により直接的に加熱される。
加熱手段としてのヒータ25は、ハロゲンヒータ(又はカーボンヒータ)であって、その両端部が定着装置20の側板43に固定されている(図3を参照できる。)。そして、装置本体1の電源部により出力制御されたヒータ25(加熱手段)の輻射熱によって、定着ベルト21において主としてニップ部を除く部分が加熱される。さらに、加熱された定着ベルト21の表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。なお、ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に対向するサーミスタ等の温度センサ40によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。また、このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定することができる。
なお、本実施の形態1では、定着ベルト21の内周面側に1本のヒータ25を設置したが、定着ベルト21の内周面側に複数のヒータを設置することもできる。
このように、本実施の形態1における定着装置20は、定着ベルト21の一部のみが局所的に加熱されるのではなく、定着ベルト21が周方向の比較的広い範囲にわたって加熱されることになるために、装置を高速化した場合であっても定着ベルト21が充分に加熱されて定着不良の発生を抑止することができる。すなわち、比較的簡易な構成で効率よく定着ベルト21を加熱できるために、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短縮化されるとともに、装置の小型化が達成される。
特に、本実施の形態1における定着装置20は、定着ベルト21がヒータ25(加熱手段)によって直接的に加熱されるように構成されているため、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上するとともに、定着装置21をさらに低コスト化・小型化することができる。
ここで、図5及び図6を参照して、保持部材としての2つのフランジ29は、耐熱性樹脂材料等で形成されていて、定着装置20の幅方向両端部の側板43にそれぞれ嵌め込まれている。フランジ29には、定着ベルト21の円形姿勢を維持しながら定着ベルト21を保持するためのガイド部29aや、定着ベルト21の幅方向の移動(ベルト寄り)を規制するためのストッパ部29b、等が設けられている。
また、定着ベルト21の内周面21aには、その幅方向(図5の左右方向である。)の両端部に、フランジ29のガイド部29aとの摺動部(図5中、破線で囲んだ部分である。)における摺動抵抗を減ずるための、低摩擦部21a1が形成されている。具体的に、低摩擦部21a1は、基材層の表面にフッ素樹脂等の低摩擦材料をコーティングして形成されたものである。このような構成により、定着ベルト21の回転(走行)によって定着ベルト21とフランジ29(ガイド部29a)とが摺接しても、定着ベルト21やフランジ29(ガイド部29a)が磨耗劣化しにくくなる。
なお、本実施の形態1において、定着ベルト21の内周面21aに接触する部材は、幅方向両端のフランジ29と、固定部材26と、のみであって、それ以外に内周面21aに接触して定着ベルト21の回転をガイドするような部材(ベルトガイド)は存在しない。
ここで、本実施の形態1では、ニップ部を形成する固定部材26の強度を補強する補強部材23が、定着ベルト21の内周面側に固設されている。図3を参照して、補強部材23は、幅方向の長さが固定部材26と同等になるように形成されていて、その幅方向両端部が定着装置20のフランジ29(保持部材)に保持されている。詳しくは、補強部材23は、フランジ29と固定部材26との間に挟まれるようにして、その位置が定められることになる。
そして、補強部材23が固定部材26及び定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接することで、ニップ部において固定部材26が加圧ローラ31の加圧力を受けて大きく変形する不具合を抑止している。本実施の形態1において、補強部材23は、ヒータ25が位置する側に凹部が対向するように形成された略コの字状の板状部材である。この補強部材23は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが好ましい。
なお、補強部材23の構成については、後でさらに詳しく説明する。
また、本実施の形態1では、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の側に、反射部材27(反射板)が固設されている。これにより、ヒータ25から補強部材23に向かう熱(補強部材23を加熱する熱)が反射部材27で反射されて定着ベルト21の加熱に用いられることになるために、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上することになる。
なお、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の一部又は全部に、鏡面処理を施したり断熱部材を設けたりした場合であっても、同じような効果を得ることができる。
図2を参照して、ニップ部の位置で定着ベルト21の外周面に当接する加圧回転体としての加圧ローラ31は、直径が30mmであって、中空構造の芯金32上に弾性層33を形成したものである。加圧ローラ31(加圧回転体)の弾性層33は、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の材料で形成されている。なお、弾性層33の表層にPFA、PTFE等からなる薄肉の離型層を設けることもできる。加圧ローラ31は定着ベルト21に圧接して、双方の部材間に所望のニップ部を形成する。また、図3を参照して、加圧ローラ31には不図示の駆動機構の駆動ギアに噛合するギア45が設置されていて、加圧ローラ31は図2中の矢印方向(時計方向)に回転駆動される。また、加圧ローラ31は、その幅方向両端部が定着装置20の側板43に軸受42を介して回転可能に支持されている。なお、加圧ローラ31の内部に、ハロゲンヒータ等の熱源を設けることもできる。
なお、加圧ローラ31の弾性層33を発泡性シリコーンゴム等のスポンジ状の材料で形成した場合には、ニップ部に作用する加圧力を減ずることができるために、固定部材16に生じる負荷を軽減することができる。さらに、加圧ローラ31の断熱性が高められて、定着ベルト21の熱が加圧ローラ31側に移動しにくくなるために、定着ベルト21の加熱効率が向上する。
また、本実施の形態1では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径とほぼ同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
図4を参照して、定着ベルト21の内周面21aに摺接する固定部材26は、加圧ローラ31との対向面(摺接面)が、加圧ローラ31の曲率にならうように凹状に形成されている。これにより、記録媒体Pは加圧ローラ31の曲率にならうようにニップ部から送出されるために、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21に吸着して分離しないような不具合を抑止することができる。
なお、本実施の形態1では、ニップ部を形成する固定部材26の形状を凹状に形成したが、ニップ部を形成する固定部材26の形状を平面状に形成することもできる。すなわち、固定部材26の摺接面(加圧ローラ31に対向する面である。)が平面形状になるように形成することができる。これにより、ニップ部の形状が記録媒体Pの画像面に対して略平行になって、定着ベルト21と記録媒体Pとの密着性が高まるために定着性が向上する。さらに、ニップ部の出口側における定着ベルト21の曲率が大きくなるために、ニップ部から送出された記録媒体Pを定着ベルト21から容易に分離することができる。
また、固定部材26を形成する材料としては、加圧ローラ31による加圧力を受けても大きく撓むことがないように、ある程度剛性のある材料(例えば、液晶ポリマー(liquid crystal polymer)等の耐熱性と断熱性とを有する樹脂材料や、高硬度の弾性材料、等である。)で形成されている。
また、固定部材26には、定着ベルト21との摺動抵抗を減ずるために、PTFE等の低摩擦材料からなるシート状部材22が覆設されている。詳しくは、シート状部材22は、ニップ部の位置で固定部材26と定着ベルト21との間に幅方向にわたって介在されるように、固定部材26の周囲(図4に示すような断面でみた固定部材26の周囲である。)を覆うように設置されている。また、本実施の形態1におけるシート状部材22は、シリコーンオイル等の潤滑剤が含浸された繊維材料(PTFEからなる布部材である。)で形成されている。これにより、固定部材26と定着ベルト21とが当接する面に潤滑剤が保持された状態になる。したがって、固定部材26と定着ベルト21との摺接によって双方の部材21、26が磨耗する不具合が軽減される。
図4を参照して、シート状部材22には、上流側突出部26aと下流側突出部26bとに嵌合する複数の穴部が形成されている。そして、シート状部材22は、2つの突出部26a、26bを除く位置で周方向に沿って固定部材26に密着するように設置される。
詳しくは、シート状部材22は、単独の部品として展開したときの形状が矩形である。そして、矩形のシート状部材22の両端には、それぞれ、複数の穴部(突出部26a、26bに嵌合する穴部である。)と、ネジ用穴部(ネジ24のネジ部を挿通させるための穴部である。)と、が形成されている。
そして、シート状部材22は、固定部材26に覆設されるときに、矩形の両端が上流側突出部26aと下流側突出部26bとの間で折り重なって重合部が形成されることになる。そして、シート状部材22の重合部を挟み込むように固定部材26に対して板状部材28が複数のネジ24(幅方向に複数設置されている。)によって固定される。詳しくは、シート状部材22の重合部を挟み込むように固定部材26上に重合部を介して板状部材28が載置され、板状部材28のネジ用穴部とシート状部材22のネジ用穴部とを挿通させて固定部材26の雌ネジ部にネジ24のネジ部が螺合される。ここで、ネジ24は、そのネジ頭の高さが突出部26a、26bの高さを超えて補強部材23に接触しないように形成されている。
なお、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25(加熱手段)との間の空間を隔絶するように、補強部材23(及び、反射部材27)を設置している。
本実施の形態1では、定着ベルト21(内周面21a)の周方向の比較的広い範囲に対向するようにヒータ25が設置されているため、加熱待機時(プリント動作待機時)においても定着ベルト21を周方向に温度ムラなく加熱できる。したがって、プリント要求を受けた後、速やかにプリント動作をおこなうことができる。このとき、従来のオンデマンド方式の定着装置(例えば、特許第2884714号公報参照。)では、ニップ部で加熱待機時に加圧ローラを変形させたまま熱を与えてしまうと、加圧ローラのゴムの材質によっては、熱劣化を起こして加圧ローラの寿命が短くなってしまったり、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生してしまったりする(ゴムの圧縮永久ひずみは、ゴムの変形に加熱が加わることにより増大する。)。そして、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生すると、加圧ローラの一部が凹んだ状態になり、所望のニップ幅が得られないため、定着不良が発生したり、回転時に異音が生じたりする。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、加熱待機時に熱が固定部材26に達しにくくなる。したがって、加熱待機時に加圧ローラ31が変形した状態で高温加熱される不具合が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
さらに、固定部材26と定着ベルト21との摩擦抵抗を低減するために双方の部材間に塗布された潤滑剤は、ニップ部における高圧条件に加えて高温条件による使用によって劣化して、定着ベルト21のスリップ等の不具合が生じてしまう可能性がある。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、ヒータ25の熱がニップ部の潤滑剤に達しにくくなる。したがって、潤滑剤の高温による劣化が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
また、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、固定部材26が断熱されて、ニップ部では積極的に定着ベルト21は加熱されないことになる。そのため、ニップ部に送入された記録媒体Pの温度がニップ部から送出されるときには低くなる。すなわち、ニップ部出口では、記録媒体P上に定着されたトナー像の温度が低くなって、トナーの粘性が低下して、定着ベルト21に対するトナー接着力が小さくなった状態で、記録媒体Pは定着ベルト21から分離される。したがって、定着工程直後の記録媒体Pが定着ベルト21に巻き付いてジャムになる不具合が防止されるとともに、定着ベルト21に対するトナー固着も抑制される。
以下、上述のように構成された定着装置20の通常時の動作について簡単に説明する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、ニップ部における加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12から記録媒体Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、記録媒体P上に未定着のカラー画像が担持(転写)される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、不図示のガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、ヒータ25によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強された固定部材26と加圧ローラ31との押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
以下、本実施の形態1における定着装置20において特徴的な構成・動作について、詳しく説明する。
先に説明したように、本実施の形態1における定着装置20には、定着ベルト21の内周面側に固設されて定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接してニップ部を形成する固定部材26と、定着ベルト21の内周面側に固設されて定着ベルト21の内側から固定部材26に当接して固定部材26を補強する補強部材23と、が設置されている。
ここで、本実施の形態1では、図4に示すように、記録媒体の搬送方向に対するニップ部の長さ(ニップ幅)をAとして、搬送方向上流側において固定部材26と補強部材23とが当接する上流側当接部から搬送方向下流側において固定部材26と補強部材23とが当接する下流側当接部までの長さをBとしたときに、
A<B
なる関係が成立するように形成されている。
さらに、搬送方向に対してニップ部の範囲(図4中のAの範囲である。)が上流側当接部から下流側当接部までの範囲(図4中のBの範囲である。)に含まれるように形成されている。
換言すると、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向(図4の上下方向である。)の範囲内に、ニップ幅の範囲が内包されている。
このような構成により、固定部材26を嵌め込んで固定するパイプ状の加熱部材を設置しない場合であっても、補強部材23が圧接した状態の固定部材26がバランスよく保持されるため、固定部材26に倒れが生じてしまう不具合が抑止される。そして、所望のニップが精度よく形成されて、出力画像に定着不良が生じてしまったり記録媒体の搬送不良が生じてしまったり不具合が防止されることになる。
すなわち、上述した条件が達成されない場合には、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23との当接部を支点として、図4の時計方向又は反時計方向に回転しやすく(倒れやすく)なってしまうことになる。これに対して、上述した条件が達成されている場合には、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってバランスよく支持されるため、補強部材23との当接部を支点として固定部材26が倒れにくくなる。
さらに、本実施の形態1では、図4に示すように、搬送方向に対する補強部材23の固定部材26に対向する対向面23aの長さをCとしたときに、
A<B<C
なる関係が成立するように形成されている。
また、搬送方向に対して上流側当接部から下流側当接部までの範囲(図4中のBの範囲である。)が補強部材23の対向面23aの範囲(図4中のCの範囲である。)に含まれるように形成されている。
換言すると、補強部材23の対向面23aの搬送方向の範囲内に、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向の範囲が内包されている。
このような構成により、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってさらにバランスよく支持されやすくなって、固定部材26の倒れがさらに生じにくくなる。
なお、本実施の形態1では、図4を参照して、固定部材26と補強部材23とが、それぞれ、幅方向に直交する断面でみたときに、ニップ部における搬送方向の中心を通り搬送方向に直交する仮想直線(図4の一点鎖線で示した直線である。)に対して線対称になるように形成されている。
このような構成により、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってさらにバランスよく支持されやすくなって、固定部材26の倒れがさらに生じにくくなる。
特に、本実施の形態1における補強部材23は、対向面23aから離間した方向に向けて同じ長さHで起立する起立部23cが搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ形成されている。そして、それらの2つの起立部23cの端面(基準面23b)がフランジ29の保持部29c(図6を参照できる。)に当接して、補強部材23が保持されるように構成されている。
このような構成により、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってさらにバランスよく支持されやすくなって、固定部材26の倒れがさらに生じにくくなる。
なお、補強部材23を、フランジ29の保持部29cではなくて、側板43に当接させて保持させることもできる。
また、図4を参照して、本実施の形態1における固定部材26は、補強部材23との上流側当接部を形成するために補強部材23の対向面23aに向けて突出する上流側突出部26aと、補強部材23との下流側当接部を形成するために補強部材23の対向面23aに向けて突出する下流側突出部26bと、が設けられている。すなわち、固定部材26には、補強部材23に対向する側において搬送方向に離間した2つの突出部26a、26b(上流側端部と下流側端部との距離がBに設定されている。)が設けられていて、これらの2つの突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ面接触することになる。
このような構成により、補強部材23との上流側当接部から下流側当接部にかけて1つの平面となるように固定部材26を形成した場合に比べて、補強部材23と固定部材26との接触面積を減ずることができるため、固定部材26に熱が伝達されにくくなる。すなわち、ニップ部において定着ベルト21から固定部材26を通って補強部材26に向けて伝達される熱を少なくすることができる(定着ベルト21から固定部材26を介して補強部材23に向けて逃げる熱量を低減することができる。)。特に、定着ベルト21の厚みを薄くした場合(例えば、厚みを160μm以下に設定した場合である。)やニップ幅を広く設定した場合には、定着ベルト21から固定部材26へ熱量が移動しやすくなるため、本実施の形態1のように補強部材23と固定部材26との接触面積を減ずる構成が有用になる。
なお、本実施の形態1では、2つの突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ面接触するように構成したが、上述した効果をさらに確実にするために、2つの突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ線接触(又は、それに近い状態で接触)するように構成することもできる。
以上説明したように、本実施の形態1においては、搬送方向に対する、ニップ部の長さAと、固定部材26と補強部材23との当接部の長さBと、の関係や、それらの範囲の関係を適正化している。これにより、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短くて、装置を高速化した場合であっても定着不良等が生じることなく、補強部材23が圧接した状態の固定部材26に倒れが生じる不具合を防止することができる。
なお、本実施の形態1では、定着ベルトとして複層構造の定着ベルト21を用いたが、定着ベルトとしてポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、金属等からなる無端状の定着フィルムを用いることもできる。そして、その場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図7にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態2における定着装置は、定着ベルト21が電磁誘導によって加熱される点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図7に示すように、本実施の形態2における定着装置20も、前記実施の形態1のものと同様に、定着ベルト21(ベルト部材)、固定部材26、補強部材23、加圧ローラ31(加熱回転体)、温度センサ40、等で構成される。
また、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向(図7の上下方向である。)の範囲内に、ニップ幅の範囲が内包されている。さらに、補強部材23の対向面23aの搬送方向の範囲内に、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向の範囲が内包されている。
ここで、本実施の形態2における定着装置20は、加熱手段として、ヒータ25の代わりに、誘導加熱部50が設置されている。そして、本実施の形態2における定着ベルト21は、ヒータ25の輻射熱によって加熱される前記実施の形態1のものとは異なり、誘導加熱部50による電磁誘導によって加熱される。
誘導加熱部50は、励磁コイル、コア、コイルガイド、等で構成される。励磁コイルは、定着ベルト21の一部を覆うように、細線を束ねたリッツ線を幅方向(図7の紙面垂直方向である。)に延設したものである。コイルガイドは、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、励磁コイルやコアを保持する。コアは、フェライト等の強磁性体(比透磁率が1000〜3000程度である。)からなる半円筒状部材であって、定着ベルト21に向けて効率のよい磁束を形成するためにセンターコアやサイドコアが設けられている。コアは、幅方向に延設された励磁コイルに対向するように設置されている。
一方、定着ベルト21には、前記実施の形態1で説明した基材層、弾性層、離型層とは別に、誘導加熱部50によって電磁誘導加熱される発熱層(例えば、弾性層と離型層との間に形成することもできるし、基材層を発熱層として用いることもできる。)が形成されている。発熱層の材料としては、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、金、白金、銀、スズ、パラジウム、これらのうち複数の金属からなる合金、等を用いることができる。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
定着ベルト21が図7中の矢印方向に回転駆動されると、定着ベルト21は誘導加熱部50との対向位置で加熱される。詳しくは、励磁コイルに高周波の交番電流を流すことで、定着ベルト21の周囲に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このとき、定着ベルト21の発熱層の表面に渦電流が生じて、発熱層自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、発熱層が電磁誘導加熱されて、定着ベルト21が加熱される。
なお、定着ベルト21を効率的に電磁誘導加熱するためには、誘導加熱部50を定着ベルト21の周方向全域に対向するように構成することが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態2においても、前記各実施の形態と同様に、搬送方向に対する、ニップ部の長さAと、固定部材26と補強部材23との当接部の長さBと、の関係や、それらの範囲の関係を適正化している。これにより、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短くて、装置を高速化した場合であっても定着不良等が生じることなく、補強部材23が圧接した状態の固定部材26に倒れが生じる不具合を防止することができる。
なお、本実施の形態2では、定着ベルト21を電磁誘導加熱により加熱したが、定着ベルト21を抵抗発熱体の熱によって加熱することもできる。具体的に、定着ベルト21の内周面又は外周面の一部又は全部に抵抗発熱体を当接させる。抵抗発熱体は、セラミックヒータ等の面状発熱体であって、その両端部に電源部が接続されている。そして、抵抗発熱体に電流が流されると、抵抗発熱体自身の電気抵抗によって抵抗発熱体が昇温して、当接する定着ベルト21を加熱する。
このような場合にも、ニップ部の長さAと固定部材26と補強部材23との当接部の長さBと補強部材23の対向面23aの長さCとの関係やそれらの範囲の関係を適正化することで、本実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
付記
(付記1)
所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面側に固設されて、当該定着ベルトを介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する固定部材と、
前記定着ベルトの内周面側に固設されて、前記定着ベルトの内側から前記固定部材に当接して当該固定部材を補強する補強部材と、
を備え、
記録媒体の搬送方向に対する前記ニップ部の長さをAとして、前記搬送方向の上流側において前記固定部材と前記補強部材とが当接する上流側当接部から前記搬送方向の下流側において前記固定部材と前記補強部材とが当接する下流側当接部までの長さをBとしたときに、
A<B
なる関係が成立するとともに、
前記搬送方向に対して前記ニップ部の範囲が前記上流側当接部から前記下流側当接部までの範囲に含まれるように形成されたことを特徴とする定着装置。
(付記2)
前記搬送方向に対する前記補強部材の前記固定部材に対向する対向面の長さをCとしたときに、
B<C
なる関係が成立するとともに、
前記搬送方向に対して前記上流側当接部から前記下流側当接部までの範囲が前記補強部材の前記対向面の範囲に含まれるように形成されたことを特徴とする付記1に記載の定着装置。
(付記3)
前記固定部材は、前記上流側当接部を形成するために前記補強部材の前記対向面に向けて突出する上流側突出部と、前記下流側当接部を形成するために前記補強部材の前記対向面に向けて突出する下流側突出部と、を具備したことを特徴とする付記1又は付記2に記載の定着装置。
(付記4)
前記固定部材と前記補強部材とは、それぞれ、幅方向に直交する断面でみたときに、前記ニップ部における前記搬送方向の中心を通り前記搬送方向に直交する仮想直線に対して線対称になるように形成されたことを特徴とする付記1〜付記3のいずれかに記載の定着装置。
(付記5)
前記定着ベルトの幅方向両端部を保持する保持部材と、
前記定着ベルトに対向又は接触して前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、
をさらに備え、
前記補強部材は、前記対向面から離間した方向に向けて同じ長さで起立する起立部が前記搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ形成され、当該2つの起立部が前記保持部材に当接して当該補強部材が保持されることを特徴とする付記1〜付記4のいずれかに記載の定着装置。
(付記6)
付記1〜付記5のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
1 画像形成装置本体(装置本体)、
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
23 補強部材、
23a 対向面、 23b 基準面、 23c 起立部、
25 ヒータ(加熱手段)、
26 固定部材、
26a 上流側突出部、 26b 下流側突出部、
29 フランジ(保持部材)、
31 加圧ローラ(加圧回転体)。
特許2010−96782号公報

Claims (10)

  1. 可撓性を有する無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトの内周面側に固設されて、当該定着ベルトを介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する固定部材と、
    前記定着ベルトの前記ニップ部以外の少なくとも一部に直接対向して、前記定着ベルトを加熱する加熱源と、
    前記定着ベルトの内周面側において前記固定部材と前記加熱源との間に配置されて、前記固定部材に当接して当該固定部材を補強する対向面を有する補強部材と、
    前記定着ベルトの幅方向両端部を保持する一対の保持部材と、
    を備え、
    記録媒体の搬送方向に対する前記ニップ部の長さをAとして、前記搬送方向の上流側において前記固定部材と前記補強部材とが当接する上流側当接部から前記搬送方向の下流側において前記固定部材と前記補強部材とが当接する下流側当接部までの長さをBとしたときに、
    A<B
    なる関係が成立するとともに、
    前記搬送方向に対して前記ニップ部の範囲が前記上流側当接部から前記下流側当接部までの範囲に含まれるように形成され、
    前記一対の保持部材は前記定着ベルトの内周面に挿入される挿入部を有し、
    前記挿入部は前記定着ベルト内部でそれぞれ離間していることを特徴とする定着装置。
  2. 前記補強部材は、前記対向面に対して上流側であって前記固定部材とは反対の方向に略垂直に設けられた上流側壁部と、前記対向面に対して下流側であって前記固定部材とは反対の方向に略垂直に設けられて前記上流側壁部に対向する下流側壁部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記搬送方向に対する前記補強部材の前記固定部材に対向する前記対向面の長さをCとしたときに、
    B<C
    なる関係が成立するとともに、
    前記搬送方向に対して前記上流側当接部から前記下流側当接部までの範囲が前記補強部材の前記対向面の範囲に含まれるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記加熱源は、誘導加熱装置であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記加熱源は、抵抗発熱体であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記固定部材と前記補強部材とは、それぞれ、幅方向に直交する断面でみたときに、前記ニップ部における前記搬送方向の中心を通り前記搬送方向に直交する仮想直線に対して線対称になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記加熱源は、幅方向に直交する断面でみたときに、前記仮想直線上の位置になるように配置されたことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記加熱源は、ヒータであって、
    前記補強部材と前記加熱源との間に反射部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3、6、7のいずれかに記載の定着装置。
  9. 潤滑剤が含浸されて、前記固定部材の幅方向を覆うシート状部材を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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