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JP2017014021A - 媒体搬送装置、記録装置 - Google Patents

媒体搬送装置、記録装置 Download PDF

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JP2017014021A JP2016210282A JP2016210282A JP2017014021A JP 2017014021 A JP2017014021 A JP 2017014021A JP 2016210282 A JP2016210282 A JP 2016210282A JP 2016210282 A JP2016210282 A JP 2016210282A JP 2017014021 A JP2017014021 A JP 2017014021A
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Abstract

【課題】搬送ベルトを用いて被搬送物を搬送する構成を備えた装置において、インクミストの飛散を抑制するとともに、インクミストが記録面に付着した場合であってもそれを視認し難くさせ、もって良好な記録結果を得る。
【解決手段】インクジェットプリンター1は、静電吸着により記録用紙を吸着して搬送する搬送ベルト9と、搬送ベルト9を帯電させるベルト帯電手段14と、を備える。ベルト帯電手段14は、記録用紙が載置される載置領域をマイナス帯電領域Enとプラス帯電領域Epとが格子状に配置されて成る帯電領域に形成する。これにより、浮遊するインク滴が帯電領域の影響を受けて記録用紙上に付着しても、それが全体的に分散され、インク滴の付着を視認し難くすることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置、およびこれを備えた記録装置に関する。
プリンターに代表される記録装置において、搬送ベルトを用いて被搬送物、即ち記録用紙を搬送する構成が採用される場合がある。この様な構成において適切な記録品質を得る為には、記録用紙の搬送ベルトからの浮き上がりを防止する必要がある。そして記録用紙を搬送ベルトに吸着させる手段として、エアー吸引によるほか、静電吸着によるものが従来から用いられている。特許文献1〜5には、その様な従来の構成が開示されている。
特許文献1記載の印刷装置は、搬送ベルトに極性の異なる帯電領域が交番する帯電パターンを形成するにあたり、極性が反転する位置を除く領域と、記録用紙の端部とが対向するように構成されている。即ち、電荷が「+」から「−」に切り換わる部分では、電荷が零となる箇所が存在するが、この様な電荷が零となる周辺では、「+」電荷と「−」電荷とが近接しているため互いに電荷の影響を受け、帯電が不安定な領域が存在する。このことに鑑み、特許文献1記載の印刷装置は、記録用紙の端部がその様な不安定領域に望まないように、帯電パターンを形成している。
尚、搬送ベルト上に交番電圧を印加することにより、プラス帯電領域とマイナス帯電領域とを交互に形成するのは、プラス電荷からマイナス電荷に向かう電気力線または電気力、クーロン力の影響により媒体に加わる静電吸着力(マクスウェル応力による吸着力)が、搬送ベルト上に一様に同極性の帯電領域を形成することによって得られる静電吸着力(誘電分極による吸着力)より、効果的な場合がある為である。
その他、特許文献3〜5にも、搬送ベルト上に交番電圧を印加することにより記録媒体を搬送ベルトに静電吸着する構成が開示されている。
特開2006−264899号公報 特開2006−346870号公報 特開2008−74578号公報 特開2006−103022号公報 特開2006−62829号公報
ところで、インクジェット記録ヘッドから吐出されたインクのうち、記録用紙に着弾せずに漂う液滴(インクミストと呼ばれる場合がある)が、装置の構成部品に付着したり、或いは記録用紙の記録面に付着するという技術的課題は、従来から知られている。
ここで、このインクミストの帯電特性について、以下説明する。記録ヘッドからインク滴が吐出されると、このインク滴は、記録用紙に着弾するメイン液滴と、記録用紙に着弾せずに漂うサテライト液滴(これが上述のインクミストとなる)とに別れるが、空気中を漂うサテライト液滴はレナード効果によりプラス帯電(サテライト液滴周囲の空気はマイナス帯電)することになる。そしてまた、インクミストが空気中を漂う時間が長くなればなる程、当該インクミストのプラス帯電量は大きくなる。
一方、特許文献1記載の印刷装置の様に、交番電圧を利用して搬送ベルト上の帯電領域を帯状に、プラス帯電領域とマイナス帯電領域とが交互に配置される様に形成する場合、プラス帯電したインクミストが搬送ベルト上のマイナス帯電領域に付着する結果、記録画像がインクミストによって帯状に汚損された状態となり、汚損状態がより一層視認し易くなってしまう。
本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、搬送ベルトを用いて被搬送物を搬送する構成を備えた装置において、インクミストの飛散を抑制するとともに、インクミストが記録面に付着した場合であってもそれを視認し難くさせ、もって良好な記録結果を得ることにある。
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る媒体搬送装置は、静電吸着により被搬送物を吸着して搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトを帯電させるベルト帯電手段と、を備え、前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトにおいて少なくとも被搬送物が載置される載置領域をマイナス帯電領域とプラス帯電領域とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成することを特徴とする。
本態様によれば、搬送ベルトを帯電させるベルト帯電手段は、前記搬送ベルトにおいて少なくとも被搬送物が載置される載置領域を、マイナス帯電領域とプラス帯電領域とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成するので、浮遊する液滴が帯電領域の影響を受けて被搬送媒体上に付着しても、それが全体的に分散され、液滴の付着を視認し難くすることができる。
即ち、仮にマイナス帯電領域とプラス帯電領域とが、交互に帯状に形成された場合には、プラス帯電した液滴がマイナス帯電領域に付着することで、液滴の付着が帯状となって視認し易くなってしまう。しかしながら上記の様にマイナス帯電領域とプラス帯電領域とが格子状に形成されるので、液滴が全体的に分散され、被搬送物に液滴が付着してもそれを視認し難くすることができる。
そしてプラス帯電した液滴が被搬送物の全域にわたって均等に付着することで、液滴の飛散を効果的に抑制することができる。
加えて、上記格子状の帯電パターンにより、プラス帯電領域とマイナス帯電領域の切り換わり部分が搬送ベルト上に多数、形成される。プラス電荷からマイナス電荷に向かう電気力線または電気力、クーロン力の影響により媒体に加わる静電吸着力(マクスウェル応力)は、プラス帯電領域とマイナス帯電領域の切り換わり部分が多いほど、効果的となる。従って上記格子状の帯電パターンを形成することにより、搬送ベルト上に媒体をより確実に吸着させることができる。特に、媒体のエッジ部分を、良好に吸着することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトと接する第1帯電ローラーが前記搬送ベルトの移動方向と交差する第1の方向に沿って所定間隔で配置されて成る第1帯電部と、前記第1帯電部に対し前記搬送ベルトの移動方向下流側に位置し、前記搬送ベルトと接する第2帯電ローラーが前記第1の方向に沿って前記第1帯電ローラーの間に位置する様に配置されて成る第2帯電部と、前記第1帯電部及び前記第2帯電部に交番電圧を印加する電圧印加手段と、を備えて成ることを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルト帯電手段は、帯電ローラーにより構成された第1帯電部、第2帯電部と、これらに交番電圧を印加する電圧印加手段と、を備えて構成されているので、前記ベルト帯電手段を構造簡単にして且つ低コストに構成することができる。
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記ベルト帯電手段は、円周方向に沿ってプラス電圧が印加される第1領域と、当該第1領域と電気的に絶縁されるとともにマイナス電圧が印加される第2領域と、を備えて成る帯電ローラーが、前記搬送ベルトの移動方向と交差する第1の方向に沿って所定間隔で配置されて成る帯電部と、前記第1領域にマイナス電圧を、前記第2領域にプラス電圧を、それぞれ印加する、直流電源を備えて成る電圧印加手段と、を備えて成る、電圧印加手段と、を備えて成ることを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルト帯電手段は、帯電ローラーにより構成された帯電部と、これに電位を与える電圧印加手段と、を備えて構成されているので、前記ベルト帯電手段を構造簡単にして且つ低コストに構成することができる。
本発明の第4の態様は、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドの下側に前記第1搬送部が配置された、第1から第3の態様のいずれかに係る媒体搬送装置と、を備えた記録装置である。本態様によれば、記録装置において、上述した第1から第3の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
本発明の第5の態様は、第4の態様において、媒体搬送経路において前記記録ヘッドより下流側であって前記載置面と対向する位置に、プラス電圧が印加される被電圧印加部材を備えることを特徴とする。
記録ヘッドから吐出された液滴は、搬送ベルトの移動に伴う作用(空気流の作用)により、搬送方向下流側に飛散する傾向がある。本態様によれば、媒体搬送経路において前記記録ヘッドより下流側であって前記載置面と対向する位置に、プラス電圧が印加される被電圧印加部材を備えるので、前記搬送ベルトに形成されたマイナス極帯電領域と被電圧印加部材との間で電界が形成され、これにより飛散した液滴を搬送ベルト側に効果的に付着させることができ、液滴の飛散を効果的に防止することができる。
本発明に係るインクジェットプリンターにおける記録部の側面図。 (A)は第1実施例に係るベルト帯電手段の構成を示す平面図、(B)は搬送ベルト上の帯電パターンの第1実施例を模式的に示す平面図。 (A)は第2実施例に係るベルト帯電手段の構成を示す平面図、(B)は搬送ベルト上の帯電パターンの第2実施例を模式的に示す平面図。 (A)は第3実施例に係るベルト帯電手段の構成を示す平面図、(B)は搬送ベルト上の帯電パターンの第3実施例を模式的に示す平面図。 搬送ベルト上の帯電パターンの第4実施例を模式的に示す平面図。 ベルト帯電手段の構成を示す平面図。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明するが、本発明は、以下説明する実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることを前提として、以下本発明の実施例を説明するものとする。
図1は本発明の記録装置の一実施形態であるインクジェットプリンター1の、記録部の側面図、図2(A)は第1実施例に係るベルト帯電手段の構成を示す平面図、図2(B)は第1実施例に係るベルト帯電パターンを模式的に示す図、図3(A)は第2実施例に係るベルト帯電手段の構成を示す平面図、図3(B)は第2実施例に係るベルト帯電パターンを模式的に示す図、図4(A)は第3実施例に係るベルト帯電手段の構成を示す平面図、図4(B)は第3実施例に係るベルト帯電パターンを模式的に示す図である。
また、図5は搬送ベルト上の帯電パターン状態の第4実施例を模式的に示す平面図、図6はベルト帯電手段の構成を示す平面図である。
また、各図に示すx−y−z座標系は、x方向及びy方向が水平方向であり、このうちx方向は用紙幅方向及びベルト幅方向(装置奥行き方向)であり、y方向は装置左右方向及びベルト移動方向並びに用紙搬送方向である。また、z方向は重力方向(装置高さ方向)である。
図1において、インクジェットプリンター1はフィードローラー2を備え、このフィードローラー2によって、被搬送物の一例としての記録用紙Pを搬送ベルト9上に供給する構成を備える。フィードローラー2の更に上流側には、記録用紙を収容する着脱自在な用紙カセット、当該用紙カセットから記録用紙Pを送り出す給送ローラー、などを備えて成る給送手段が設けられているが、図1では当該給送手段は図示を省略している。また、記録の行われた記録用紙Pを排出する排出手段も、図示を省略している。
搬送ベルト9は、そのベルト面上に記録用紙Pを吸着して搬送する為の無端状ベルトであり、駆動ローラー7と従動ローラー8との間に係回される。駆動ローラー7と、その下流側に配置された従動ローラー8とは、略水平面内に所定の間隔で平行に配置されており、これにより搬送ベルト9は、駆動ローラー7と従動ローラー8との間に位置するベルト部分のうち上部と下部の双方が略水平面状とされている。但しこれに限られるものではなく、駆動ローラー7と従動ローラー8の径が異なる場合などは、搬送ベルト9の上部が略水平であれば、下部は水平である必要は無い。
駆動ローラー7は図示しない駆動モーターによって回転駆動される様に構成されており、またこの駆動モーターは制御部11により駆動制御され、これにより搬送ベルト9は、所定のタイミングにて、所定の方向に、所定の移動速度によって所定の移動量、駆動される。尚、図1における矢印(右矢印及び左矢印)はベルト移動方向を示し、駆動ローラー7と従動ローラー8に付記された曲線矢印は両ローラーの回転方向を示している。
搬送ベルト9は、後に説明する様にベルト帯電手段14によって所定の状態に帯電し、これにより記録用紙Pを静電吸着する。このため搬送ベルト9は、少なくとも表面(外周面)が中抵抗(1×1010Ω/□以下)の樹脂、例えばPETやポリイミド、フッ素系樹脂、ゴムなどの絶縁性材料で構成され、また必要に応じてカーボンブラックや導電性フィラーを混入させて抵抗値を調整し、帯電させる為の保持電荷量が調整される。
搬送ベルト9の上方には、平面状とされた搬送ベルト9の表面に対向してインクジェット記録ヘッド3が配置されている。インクジェット記録ヘッド3は、搬送ベルト9の移動方向、即ち記録用紙Pの搬送方向の上流側から順に、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、のこれら4色のインク滴(液滴)を吐出するノズル列(不図示)を有している。そして制御部11の制御のもと、搬送ベルト9によって搬送される記録用紙Pにそれぞれ所定のタイミングで吐出しカラー画像を形成する。
尚、インクジェットプリンター1の装置本体(不図示)には、Y、M、C、K、のこれら各色のインクが貯留されたインクタンク(不図示)が、装置本体に対して着脱自在、或いは着脱不能に設けられており、不図示のインクチューブを介して、インクタンクからインクジェット記録ヘッド3へとインクが供給される様になっている。
本実施形態においてインクジェット記録ヘッド3は、用紙搬送方向と直交する方向である搬送ベルト9の幅方向(x方向)に沿って長尺なヘッドであり、即ち使用が想定される記録用紙のうち最も大きなサイズの用紙幅全体をカバー可能な長さに形成された非走査型のヘッドである。しかしながら本発明はこれに限られず、用紙幅方向(x方向)に移動しながらインクを吐出する走査型ヘッド、所謂シリアルタイプの記録ヘッドであっても構わない。
また、インクジェット記録ヘッド3において搬送ベルト9と対向する面を形成する、インク吐出孔(不図示)が形成されたノズルプレート3aは、金属等の導体で形成しても良いし、シリコン等の絶縁体、或いは半導体で形成しても良い。尚、ノズルプレート3aを金属等の導体で形成する場合、ノズルプレート3aを接地すると、ノズルプレート3a内を移動するインクのマイナス電荷がノズルプレート3a側に移動することにより、インクは吐出される時点でプラス帯電側に帯電状態が変化することとなる。
そしてこのノズルプレート3aの下面(ノズル形成面)が、搬送ベルト9の上面、即ち記録用紙Pを載置する用紙載置面9aに向けられるとともに、ノズル形成面が搬送ベルト9の用紙載置面9aと所定距離だけ離されて配置されている。
インクジェット記録ヘッド3において搬送ベルト9と対向する面の、ノズルプレート3aから外れた位置には、第2用紙検出センサー5が設けられている。第2用紙検出センサー5は光学式のセンサーであり、図示しない発光部と受光部とを備え、発光部から放射する光を受光部で受け、その光量の多少に基づく検出信号を制御部11へと送る。これにより制御部11は、記録用紙Pの先端通過、及び後端通過を検出できるとともに、搬送ベルト9の駆動速度と合わせて、記録用紙Pの長さを把握可能となっている。
また、フィードローラー2の下流であって、搬送ベルト9の上流側、即ちフィードローラー2と搬送ベルト9との間には、第1用紙検出センサー4が設けられている。第1用紙検出センサー4は、第2用紙検出センサー5と同様の構成を備えた光学センサーであり、インクジェットプリンター1の制御部11は、第1用紙検出センサー4からの検出信号を受けることにより、搬送ベルト9への記録用紙Pの到達タイミング、より具体的には搬送ベルト9に形成する帯電パターン(後述)と記録用紙Pとの位置関係を制御できる様になっている。尚、図1では、第1用紙検出センサー4が搬送ベルト9の記録用紙Pの載置領域の近傍に示されているが、実際には搬送ベルト9の記録用紙Pの載置領域から、第2帯電部18(第2帯電ローラー20)までの距離と同等以上の距離がある必要がある。このことにより、搬送ベルト9において記録用紙Pの先端或いは後端が載置される領域が把握できるため、搬送ベルト9への帯電制御が可能となる。
続いて搬送ベルト9を駆動する駆動ローラー7の下側には、ベルト帯電手段14が設けられている。このベルト帯電手段14は、第1帯電部15と、第2帯電部18と、のこれら2つの帯電部と、これら帯電部に電圧を印加する電圧印加手段12とを備えて成る。
電圧印加手段12は交流電源、直流電源、公知のスイッチングレギュレータ、等によって構成された電源装置であり、交番電圧の整流、極性反転、パルス変調などを行える電源装置である。電圧印加手段12は、制御部11の制御のもと、第1帯電部15及び第2帯電部18に対し、所定の交番電圧を印加する。
一方、従動ローラー8の下側には、除電器10が設けられている。除電器10は、搬送ベルト9の帯電状態を解消する為の除電手段であり、ベルト駆動方向においてベルト帯電手段14の上流側に位置し、制御部11の制御のもと、ベルト帯電手段14が搬送ベルト9に帯電パターンを形成する前に、当該搬送ベルト9の帯電状態を予め解消する。尚、除電器10は、公知のイオン式の除電装置や除電ブラシに代表される自己放電式除電器等、種々のタイプの除電手段を用いることができる。
また、符号22は、インクジェット記録ヘッド3より下流側であって搬送ベルト9の用紙載置面9aと対向する位置に設けられた被電圧印加部材を示している。被電圧印加部材22は導電性材料により形成され、プラス電圧が印加される。
これにより、以下の作用が得られる。即ちインクジェット記録ヘッド3から吐出されて浮遊するインク滴は、搬送ベルト9の移動に伴う作用(空気流の作用)により、搬送方向下流側に飛散する傾向がある。しかし、搬送ベルト9における用紙載置面9aのマイナス帯電領域部分と、被電圧印加部材22との間で電界が形成され、これにより飛散したインク滴を搬送ベルト9側に効果的に付着させることができ、インク滴の飛散を効果的に防止することができる。
更に符号24は、クリーニングローラーである。クリーニングローラーは、搬送ベルト9と接触可能に設けられており、搬送ベルト9と接することにより、搬送ベルト9に付着したインク滴や異物等を除去する。クリーニングローラー24は図示しないモーターによって搬送ベルト9の移動方向に抗する方向に回転駆動され、これにより搬送ベルト9上をワイピングする様に機能する。尚、クリーニングローラー24に限らず、ワイパーなど、搬送ベルト9をクリーニングできるものであればどの様なものであっても構わない。
■■■第1実施例■■■
続いて、ベルト帯電手段14によって形成される帯電パターンの第1実施例を図2に基づいて説明する。
本実施例では、搬送ベルト9において記録用紙Pが載置される載置領域を、マイナス帯電領域とプラス帯電領域とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成することを特徴とする。
図2(B)はその様な帯電パターンを模式的に示したものであり、符号Epで示す領域(斜線ハッチング領域)はプラス帯電領域(プラス電荷が生じている領域)を、符号Enで示す領域(ハッチング無し領域)はマイナス帯電領域(マイナス電荷が生じている領域)を、それぞれ示している。
用紙搬送方向における任意の位置で、用紙幅方向に延びる帯電領域をみたとき、帯電領域Ck+1は、マイナス帯電領域Enからはじまり、図中右方向に向かってプラス帯電領域Ep、マイナス帯電領域En、・・・と交互に位置している。次の帯電領域Ck+2は、プラス帯電領域Epからはじまり、図中右方向に向かってマイナス帯電領域En、プラス帯電領域Ep、・・・と交互に位置している。尚、用紙幅方向においてプラス帯電領域Epとマイナス帯電領域Enとの間には、本実施形態では殆ど間隔がない。
また、用紙幅方向における任意の位置で、用紙搬送方向に延びる帯電領域をみたとき、帯電領域Rk+1は、マイナス帯電領域Enからはじまり、図中上方向に向かってプラス帯電領域Ep、マイナス帯電領域En、・・・と交互に位置している。次の帯電領域Rk+2は、プラス帯電領域Epからはじまり、図中上方向に向かってマイナス帯電領域En、プラス帯電領域Ep、・・・と交互に位置している。尚、用紙搬送方向においては、プラス帯電領域Epとマイナス帯電領域Enとの間には、或る程度の幅の無帯電領域が形成されている。この無帯電領域は交番電圧印加時に極性が変化する部分であり、厳密には電圧が印加されない領域(無帯電領域)と、電圧は印加されるが僅かである領域(弱帯電領域)とが含まれている。
この様に本実施例においてベルト帯電手段14は、搬送ベルト9において記録用紙が載置される載置領域をマイナス帯電領域Enとプラス帯電領域Epとが格子状に配置されて成る帯電領域に形成する。これにより、浮遊するインク滴が帯電領域の影響を受けて記録用紙上に付着しても、それが全体的に分散され、インク滴の付着を視認し難くすることができる。
即ち、仮にマイナス帯電領域とプラス帯電領域とが、交互に帯状に形成された場合には、プラス帯電したインク滴がマイナス帯電領域に付着することで、インク滴の付着が帯状となって視認し易くなってしまう。しかしながら上記の様にマイナス帯電領域Enとプラス帯電領域Epとが格子状に形成されるので、インク滴が全体的に分散され、浮遊するインクミストが記録用紙に付着してもそれを視認し難くすることができる。またプラス帯電したインク滴が記録用紙の全域にわたって均等に付着することで、インク滴の飛散を効果的に抑制することができる。
加えて、上記格子状の帯電パターンにより、プラス帯電領域Epとマイナス帯電領域Enの切り換わり部分が搬送ベルト9上に多数、形成される。プラス電荷からマイナス電荷に向かう電気力線または電気力、クーロン力の影響により媒体に加わる静電吸着力(マクスウェル応力)は、プラス帯電領域Epとマイナス帯電領域Enの切り換わり部分が多いほど、効果的となる。従って上記格子状の帯電パターンを形成することにより、搬送ベルト9上に記録用紙をより確実に吸着させることができる。特に、記録用紙Pのエッジ部分を、良好に吸着することができる。
以上の様な格子状帯電パターンを形成するベルト帯電手段14は、例えば図2(A)に示す様に構成することができる。図2(A)においてベルト帯電手段14は、第1帯電部15、第2帯電部18、電圧印加手段12、のこれらを備えている。
第1帯電部15は、搬送ベルト9と接する第1帯電ローラー17が、搬送ベルト9の移動方向(y方向)と交差する第1の方向であるベルト幅方向(x方向)に延びる軸16に沿って、所定間隔で配置されて成る。第2帯電部18は、搬送ベルト9と接する第2帯電ローラー20が、第1帯電部15の上流側(ベルト移動方向上流側)に位置し、軸16と平行に延びる軸19に沿って、第1帯電ローラー17の間に位置する様に配置されて成る。尚、第1帯電ローラー17及び第2帯電ローラー20は、例えば導電性ゴム材などで構成される。
尚、本実施例において第1帯電部15及び第2帯電部18は、用紙幅をカバーする長さに形成されているが、搬送ベルト9の幅全体をカバーする長さに形成されていても良い。
電圧印加手段12は、第1帯電部15及び第2帯電部18に交番電圧を付与する。尚、図2(A)において符号Dsは第1帯電部15と第2帯電部18の軸間距離を示しており、図2(B)に示す様な格子状帯電パターンを形成する為に、電圧印加手段12が付与する交番電圧の周期の整数倍が距離Dsと等しくなる様に、交番電圧の周期或いは距離Dsが設定される。
以上の様に、本実施例においてベルト帯電手段14は、搬送ベルト9において記録用紙が載置される載置領域をマイナス帯電領域Enとプラス帯電領域Epとが格子状に配置されて成る帯電領域に形成する。これにより、浮遊するインク滴が帯電領域の影響を受けて記録用紙上に付着しても、それが全体的に分散され、インク滴の付着を視認し難くすることができる。
■■■第2実施例■■■
続いて、ベルト帯電手段によって形成される帯電パターンの第2実施例を図3(A)、(B)に基づいて説明する。第2実施例は、図3(B)に示す様に搬送ベルト9において記録用紙が載置される載置領域をマイナス帯電領域とプラス帯電領域とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成することを特徴とする。この点は、上述した第1実施例と同じであり、本実施例は格子状帯電パターンを形成する帯電部の構成が異なる。
ベルト帯電手段は、図3(A)に示す様に帯電部26、電圧印加手段12A、のこれらを備えている。帯電部26は、搬送ベルト9と接する帯電ローラー28が、搬送ベルト9の移動方向(y方向)と交差する第1の方向であるベルト幅方向(x方向)に延びる軸27に沿って、所定間隔で配置されて成る。帯電ローラー28は、円周方向に沿ってプラス電位が与えられる第1領域28aと、当該第1領域28aと電気的に絶縁されるとともにマイナス電位が付与される第2領域28bと、を備えて成る複合体である。帯電ローラー28の第1領域28a、第2領域28bは、例えば導電性ゴム材などで構成される。
電圧印加手段12Aは、直流電源を備えて成り、帯電ローラー28の第1領域28a、第2領域28b、のそれぞれに逆極性の電圧を印加する。これにより搬送ベルト9上には、一本のローラー体により、ベルト移動方向に沿ってマイナス帯電領域Enとプラス帯電領域Epとが交互に形成される。また、隣接する帯電ローラー28は、第1領域28a、第2領域28b、のこれらの位相が反転するように、軸27に取り付けられており、これによりベルト幅方向においても、マイナス帯電領域Enとプラス帯電領域Epとが交互に形成され、以上により格子状の帯電パターンが形成される。
■■■第3実施例■■■
続いて、ベルト帯電手段によって形成される帯電パターンの第3実施例を図4(A)、(B)に基づいて説明する。第3実施例は、図4(B)に示す様に搬送ベルト9において記録用紙が載置される載置領域をマイナス帯電領域と無帯電領域(非帯電コントロール領域)とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成することを特徴とする。
図4(B)はその様な帯電パターンを模式的に示したものであり、符号Enで示す領域はマイナス帯電領域(マイナス電荷が生じている領域)を、符号E0で示す領域(マイナス帯電領域Enの間に形成される領域)は無帯電領域(非帯電コントロール領域)を示している。
用紙搬送方向における任意の位置で、用紙幅方向に延びる帯電領域をみたとき、帯電領域Ck+1は、マイナス帯電領域Enからはじまり、図中右方向に向かって無帯電領域E0、マイナス帯電領域En、・・・と交互に位置している。次の帯電領域Ck+2は、無帯電領域E0からはじまり、図中右方向に向かってマイナス帯電領域En、無帯電領域E0、・・・と交互に位置している。
また、用紙幅方向における任意の位置で、用紙搬送方向に延びる帯電領域をみたとき、帯電領域Rk+1は、マイナス帯電領域Enからはじまり、図中上方向に向かって無帯電領域E0、マイナス帯電領域En、・・・と交互に位置している。次の帯電領域Rk+2は、無帯電領域E0からはじまり、図中上方向に向かってマイナス帯電領域En、無帯電領域E0、・・・と交互に位置している。
この様に本実施例においてベルト帯電手段は、搬送ベルト9において記録用紙が載置される載置領域をマイナス帯電領域Enと無帯電領域E0とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成する。これにより、浮遊するインクミストが帯電領域の影響を受けて記録用紙上に付着しても、それが全体的に分散され、インクミストの付着を視認し難くすることができる。
尚、本実施例においては、マイナス帯電領域Enと無帯電領域E0との間に電気力線または電気力、クーロン力は形成されないが、マイナス帯電領域Enの存在によって記録用紙には誘電分極による静電吸着力が作用し、記録用紙は搬送ベルト9に吸着される。
この様な帯電パターンを形成するベルト帯電手段は、図4(A)に示す様に帯電部29、電圧印加手段12B、のこれらを備えている。帯電部29は、搬送ベルト9と接する帯電ローラー31が、搬送ベルト9の移動方向(y方向)と交差する第1の方向であるベルト幅方向(x方向)に延びる軸30に沿って、所定間隔で配置されて成る。
帯電ローラー31は、円周方向の1/2領域がカットされた半円形状を成しており、例えば導電性ゴム材などで構成され、隣接する帯電ローラー31は、位相が180°反転するように、軸30に取り付けられている。
電圧印加手段12Bは、直流電源を備えて成り、帯電ローラー31にマイナス電圧を印加する。これにより搬送ベルト9上には、一のローラー体により、ベルト移動方向に沿ってマイナス帯電領域Enと無帯電領域E0とが交互に形成される。そしてまた、ベルト幅方向においても、マイナス帯電領域Enと無帯電領域E0とが交互に形成され、以上により格子状の帯電パターンが形成される。
■■■第4実施例■■■
続いて、ベルト帯電手段によって形成される帯電パターンの第4実施例を図5に基づいて説明する。
図5において「+」或いは「−」の文字が丸囲いされて成る表示は、搬送ベルト9の用紙載置面9a上に形成される帯電極性(搬送ベルト上に生じた電荷の極性)をイメージ的に表している。符号P1は先行して搬送される記録用紙を、符号P2は記録用紙P1に続いて搬送される記録用紙を示している。
本実施例は、図5に示す様に搬送ベルト9において記録用紙が載置される載置領域をマイナス帯電領域とプラス帯電領域とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成する点において、上述した第1、第2実施例と同様である。本実施例は、用紙載置領域外の帯電パターンに特徴があり、即ち用紙載置面9a上において、記録用紙が載置される用紙載置領域を除いた領域が全体に渡ってマイナスに帯電する様に、ベルト帯電手段によって帯電状態が形成される。
従ってプラス帯電したインクミストは、搬送ベルト9の用紙載置領域外のマイナス帯電領域に引きつけられ、付着する。これにより、装置内においてインクミストの飛散を抑制し、インクミストの飛散に伴う種々の不具合を抑制し或いは防止することが可能となる。加えて、搬送ベルト9上へのインクミストの付着量を増やすことができ、記録用紙の記録面へのインクミスト付着量を減らすことができ、より良好な記録結果が得られる。
また、以上の様な帯電パターンにより、搬送ベルト9において用紙載置面9aを構成するベルト部分につき、プラス帯電量よりマイナス帯電量がより一層支配的となり、即ちマイナス帯電量がプラス帯電量より一層多くなることから、用紙載置面9aの上方を漂うインク滴(プラス帯電している)が搬送ベルト9側により効果的に引き寄せられ、より一層効果的にインク滴の飛散を抑制することができる。
この様な帯電状態を形成する帯電ローラーは、例えば図6の様にして構成する。図6において既に説明した第1帯電部15及び第2帯電部18による帯電領域幅は、長さL1(用紙幅に相当する)に形成されている。
一方、帯電ローラー33は、長さ領域L1から外れた領域に配置され、搬送ベルト9において用紙領域から外れた領域と接する。この帯電ローラー33には、電圧印加手段12Cによりマイナス電圧が印加される。これにより搬送ベルト9において帯電ローラー33と接する領域、即ち用紙外領域には、用紙搬送方向に沿ってマイナスの帯電領域が連続的に形成された状態となる。
以上により、図5に示す様な帯電パターンが搬送ベルト9に形成される。
尚、用紙領域の帯電パターン、即ちプラス帯電領域とマイナス帯電領域とにより格子状の帯電パターンを形成するにあたり、マイナス電圧印加の際にプラス電圧印加時より高電圧を印加しても良い。これは、上述した第1、第2実施例でも同様である。これにより、プラス帯電量よりマイナス帯電量がより一層支配的となり、即ちマイナス帯電量がプラス帯電量より一層多くなることから、用紙載置面9aの上方を漂うインク滴(プラス帯電している)が搬送ベルト9側により効果的に引き寄せられ、より一層効果的にインク滴の飛散を抑制することができる。
以上、説明した各実施例は一例であり、本発明がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。特に本実施形態では本発明をインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
1 インクジェットプリンター、2 フィードローラー、3 インクジェット記録ヘッド
4 第1用紙検出センサー、5 第2用紙検出センサー、7 駆動ローラー、8 従動ローラー、9 搬送ベルト、10 除電器、11 制御部、12、12A〜12C 電圧印加手段、14 ベルト帯電手段、15 第1帯電部、16 軸、17 帯電ローラー、18 第2帯電部、19 軸、20 帯電ローラー、22 被電圧印加部材、24 クリーニングローラー、26 帯電部、27 軸、28 帯電ローラー、29 帯電部、30 軸、31 帯電ローラー、33 帯電ローラー、En 負帯電領域、Ep 正帯電領域、E0 無帯電領域、P 記録用紙

Claims (5)

  1. 静電吸着により被搬送物を吸着して搬送する搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトを帯電させるベルト帯電手段と、を備え、
    前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトにおいて少なくとも被搬送物が載置される載置領域を、マイナス帯電領域とプラス帯電領域とが格子状に配置されて成る帯電領域に形成する、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  2. 請求項1に記載の媒体搬送装置において、前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトと接する第1帯電ローラーが前記搬送ベルトの移動方向と交差する第1の方向に沿って所定間隔で配置されて成る第1帯電部と、
    前記第1帯電部に対し前記搬送ベルトの移動方向下流側に位置し、前記搬送ベルトと接する第2帯電ローラーが前記第1の方向に沿って前記第1帯電ローラーの間に位置する様に配置されて成る第2帯電部と、
    前記第1帯電部及び前記第2帯電部に交番電圧を印加する電圧印加手段と、を備えて成る、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  3. 請求項1に記載の媒体搬送装置において、前記ベルト帯電手段は、円周方向に沿ってプラス電圧が印加される第1領域と、当該第1領域と電気的に絶縁されるとともにマイナス電圧が印加される第2領域と、を備えて成る帯電ローラーが、前記搬送ベルトの移動方向と交差する第1の方向に沿って所定間隔で配置されて成る帯電部と、
    前記第1領域にマイナス電圧を、前記第2領域にプラス電圧を、それぞれ印加する、直流電源を備えて成る電圧印加手段と、を備えて成る、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  4. 記録を行う記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドと対向する様に前記載置領域が配置された、請求項1から3のいずれか一項に記載の前記媒体搬送装置と、
    を備えた記録装置。
  5. 請求項4に記載の記録装置において、媒体搬送経路において前記記録ヘッドより下流側であって前記載置面と対向する位置に、プラス電圧が印加される被電圧印加部材を備える、
    ことを特徴とする記録装置。
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