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JP6115709B2 - 媒体搬送装置、記録装置 - Google Patents

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JP6115709B2
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Description

本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置、およびこれを備えた記録装置に関する。
プリンターに代表される記録装置において、搬送ベルトを用いて被搬送物、即ち記録用紙を搬送する構成が採用される場合がある。この様な構成において適切な記録品質を得る為には、記録用紙の搬送ベルトからの浮き上がりを防止する必要がある。そして記録用紙を搬送ベルトに吸着させる手段として、エアー吸引によるほか、静電吸着によるものが従来から用いられている。特許文献1〜5には、その様な従来の構成が開示されている。
特許文献1記載の印刷装置は、搬送ベルトに極性の異なる帯電領域が交番する帯電パターンを形成するにあたり、極性が反転する位置を除く領域と、記録用紙の端部とが対向するように構成されている。即ち、電荷が「+」から「−」に切り換わる部分では、電荷が零となる箇所が存在するが、この様な電荷が零となる周辺では、「+」電荷と「−」電荷とが近接しているため互いに電荷の影響を受け、帯電が不安定な領域が存在する。このことに鑑み、特許文献1記載の印刷装置は、記録用紙の端部がその様な不安定領域に望まないように、帯電パターンを形成している。
尚、搬送ベルト上に交番電圧を付与することにより、プラス帯電領域とマイナス帯電領域とを交互に形成するのは、プラス電荷からマイナス電荷に向かう電気力線または電気力、クーロン力の影響により媒体に加わる静電吸着力(マクスウェル応力による吸着力)が、搬送ベルト上に一様に同極性の帯電領域を形成することによって得られる静電吸着力(誘電分極による吸着力)より、効果的な場合がある為である。
その他、特許文献2〜4にも、搬送ベルト上に交番電圧を付与することにより記録媒体を搬送ベルトに静電吸着する構成が開示されている。
また、特許文献5記載のインクジェット記録装置は、搬送ベルトの帯電がインク滴の飛翔精度に悪影響を及ぼすことを課題とする。即ち、搬送ベルトの記録ヘッド直下の表面領域に対応する所定範囲の裏面側領域に、搬送ベルトの帯電による記録用紙内部での誘電分極を消失させるべく、搬送ベルトとは逆極性に帯電した電荷保持ローラを当接させる構成を備えている。これにより、記録媒体の誘電分極が弱められ、インク滴の正規の飛翔を妨げることがなく、高品位の記録を行うことができる。
特開2006−264899号公報 特開2006−346870号公報 特開2008−74578号公報 特開2006−103022号公報 特開2006−62829号公報
ところで、インクジェット記録ヘッドから吐出されたインクのうち、記録用紙に着弾せずに漂う液滴(インクミストと呼ばれる場合がある)が、装置の構成部品に付着したり、或いは記録用紙の記録面に付着するという技術的課題は、従来から知られている。
ここで、このインクミストの帯電特性について、以下説明する。記録ヘッドからインク滴が吐出されると、このインク滴は、記録用紙に着弾するメイン液滴と、記録用紙に着弾せずに漂うサテライト液滴(これが上述のインクミストとなる)とに別れるが、空気中を漂うサテライト液滴はレナード効果によりプラス帯電(サテライト液滴周囲の空気はマイナス帯電)することになる。そしてまた、インクミストが空気中を漂う時間が長くなればなる程、当該インクミストのプラス帯電量は大きくなる。
一方、搬送ベルトと対向する領域には、記録用紙を検出する検出手段、具体的には光学センサーが設けられる場合がある。この光学センサーは発光部と受光部とを備えるため、浮遊するインクミストが発光部や受光部に付着すると、検出感度の低下により誤検出を招くこととなる。そしてインクミストは搬送ベルト上の特にプラス帯電領域の影響を受け、反発し、光学センサーに向かって飛散することで、より一層光学センサーに付着する傾向が生じるおそれがある。
そしてこの様な技術的課題については、上記特許文献1〜5においては、格別配慮されていなかった。
本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、搬送ベルトを用いて被搬送物を搬送する構成を備えた装置において、インクミストが搬送ベルト上のプラス帯電領域によって反発し、検出手段の側へ飛散することを抑制することにある。
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る媒体搬送装置は、静電吸着により被搬送物を吸着して搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトを帯電させるベルト帯電手段と、前記搬送ベルトにおいて被搬送物が載置される載置面と対向配置された、前記載置面上の被検出物を検出する検出手段と、を備え、前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトの、前記検出手段と対向する帯電領域をマイナス帯電領域とすることを特徴とする。
本態様によれば、搬送ベルトを帯電させるベルト帯電手段は、搬送ベルトの、検出手段と対向する帯電領域をマイナス帯電領域とするので、プラス帯電した液滴が検出手段直下の帯電領域(具体的には、プラス帯電領域)から反発力を受けて検出手段に向けて飛散するといった問題を回避することができ、これにより検出手段に液滴が付着することに伴う不具合を抑制することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ベルト帯電手段は、前記被搬送物の搬送方向と交差する方向である第1の方向において前記検出手段と対向する帯電領域から前記搬送ベルトの外側に向かって所定の間隔を空けて形成されたマイナス帯電領域について、前記検出手段と対向する帯電領域の帯電量を基準として、前記搬送ベルトの外側に向かって帯電量が多くなる様に前記マイナス帯電領域を形成することを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルト帯電手段は複数のマイナス帯電領域を形成するに際し、検出手段と対向する領域からベルト外側に向かって帯電量が多くなる様に搬送ベルトを帯電させるので、浮遊する液滴は検出手段の領域からベルト外側方向に誘引されることとなり、これにより検出手段に液滴が付着することをより効果的に抑制することができる。
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトと接する帯電ローラーと、前記帯電ローラーに電圧を印加する電圧印加手段と、を備えて成り、前記帯電ローラーは、前記検出手段と対向する帯電領域を形成する部分を基準とし、前記搬送ベルトの外側に向かって電気抵抗値が低くなる様に構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記帯電ローラーは、前記検出手段と対向する帯電領域を形成する部分を基準とし、前記搬送ベルトの外側に向かって電気抵抗値が低くなる様に構成されているので、前記電圧印加手段は前記帯電ローラーに対し一定電圧を印加することでベルト外側の帯電量を多くすることができ、電圧制御が簡易となる。
本発明の第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記検出手段は、発光部と受光部とを備えて成る光学センサーであることを特徴とする。
本態様によれば、検出手段が光学センサーにより構成された媒体搬送装置において、上記第1から第3の態様のいずれかの作用効果を得ることができる。
本発明の第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記ベルト帯電手段は、被搬送物が載置される載置領域を除いた領域をマイナス帯電させることを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルト帯電手段は、搬送ベルトにおいて被搬送物が載置される載置領域を除いた領域をマイナス帯電させるので、プラス帯電した液滴は搬送ベルトの被搬送物載置領域外のマイナス帯電領域に引きつけられ、付着する。これにより、被搬送物上より搬送ベルト上への液滴(この場合、サテライト液滴)の付着量を増やすことができ、被搬送物への液滴の付着量を減らすことができる。そしてまた、液滴の飛散をより一層抑制し、良好な結果を得ることが可能となる。
本発明の第6の態様は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、前記ベルト帯電手段は、前記載置面を構成するベルト部分全体についてマイナス帯電量がプラス帯電量より多くなる様に前記搬送ベルトを帯電させることを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルト帯電手段は、前記載置面を構成するベルト部分全体についてマイナス帯電が支配的となる様に前記搬送ベルトを帯電させるので、前記載置面の上方を漂う液滴が搬送ベルト側に引き寄せられ、より一層効果的に液滴の飛散を抑制することができる。
本発明の第9の態様は、静電吸着により被搬送物を吸着して搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトを帯電させるベルト帯電手段と、前記搬送ベルトにおいて被搬送物が載置される載置面と対向配置された、前記載置面上の被検出物を検出する検出手段と、前記被搬送物にインクを吐出する記録ヘッドと、を備え、前記ベルト帯電手段は、前記記録ヘッドから吐出され、プラス帯電したインクミストを、前記検出手段から遠ざかる方向に誘導するように前記搬送ベルトを帯電させることを特徴とする。
本態様によれば、前記ベルト帯電手段は、前記記録ヘッドから吐出され、プラス帯電したインクミストを、前記検出手段から遠ざかる方向に誘導するように前記搬送ベルトを帯電させるので、インクミストが検出手段直下の帯電領域から反発力を受けて検出手段に向けて飛散するといった問題を回避することができ、これにより検出手段にインクミストが付着することに伴う不具合を抑制することができる。
本発明の第8の態様は、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向する様に前記載置面が配置された、第1から第7の態様のいずれかに係る媒体搬送装置と、を備えた記録装置である。本態様によれば、記録装置において、上述した第1から第7の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
本発明の第9の態様は、第8の態様において、媒体搬送経路において前記記録ヘッドより下流側であって前記載置面と対向する位置に、プラス電圧が印加される被電圧印加部材を備えることを特徴とする。
記録ヘッドから吐出された液滴は、搬送ベルトの移動に伴う作用(空気流の作用)により、搬送方向下流側に飛散する傾向がある。本態様によれば、媒体搬送経路において前記記録ヘッドより下流側であって前記載置面と対向する位置に、プラス電圧が印加される被電圧印加部材を備えるので、前記搬送ベルトにおけるマイナス帯電領域と被電圧印加部材との間で電界が形成され、これにより飛散した液滴を搬送ベルト側に効果的に付着させることができ、液滴の飛散を効果的に防止することができる。
本発明に係るインクジェットプリンターにおける記録部の側面図。 搬送ベルト上の帯電パターンの第1実施例を模式的に示す平面図。 ベルト帯電手段の構成を示す平面図。 搬送ベルト上の帯電パターンの第2実施例を模式的に示す平面図。 ベルト帯電手段の第2実施形態の構成を示す平面図。 搬送ベルト上の帯電パターンの第3実施例を模式的に示す平面図。 ベルト帯電手段の第3実施形態の構成を示す平面図。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、以下説明する実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることを前提として、以下本発明の一実施形態を説明するものとする。
図1は本発明の記録装置の一実施形態であるインクジェットプリンター1の、記録部の側面図、図2は搬送ベルト上の帯電パターン状態の第1実施例を模式的に示す平面図、図3はベルト帯電手段の構成を示す平面図である。また、図4はベルト帯電手段の第2実施形態の構成を示す平面図、図5は搬送ベルト上の帯電パターンの第2実施例を模式的に示す図、図6は同第3実施例を模式的に示す図である。更に、図7はベルト帯電手段の第3実施形態の構成を示す平面図である。尚、各図においてはインクジェットプリンター1の構成要素を適宜簡略化して描いている。
また、各図に示すx−y−z座標系は、x方向及びy方向が水平方向であり、このうちx方向は用紙幅方向及びベルト幅方向(装置奥行き方向)であり、y方向は装置左右方向及びベルト移動方向並びに用紙搬送方向である。また、z方向は重力方向(装置高さ方向)である。
図1において、インクジェットプリンター1はフィードローラー2を備え、このフィードローラー2によって、被搬送物の一例としての記録用紙Pを搬送ベルト9上に供給する構成を備える。フィードローラー2の更に上流側には、記録用紙を収容する着脱自在な用紙カセット、当該用紙カセットから記録用紙Pを送り出す給送ローラー、などを備えて成る給送手段が設けられているが、図1では当該給送手段は図示を省略している。また、記録の行われた記録用紙Pを排出する排出手段も、図示を省略している。
搬送ベルト9は、そのベルト面上に記録用紙Pを吸着して搬送する為の無端状ベルトであり、駆動ローラー7と従動ローラー8との間に係回される。駆動ローラー7と、その下流側に配置された従動ローラー8とは、略水平面内に所定の間隔で平行に配置されており、これにより搬送ベルト9は、駆動ローラー7と従動ローラー8との間に位置するベルト部分のうち上部と下部の双方が略水平面状とされている。但しこれに限られるものではなく、駆動ローラー7と従動ローラー8の径が異なる場合などは、搬送ベルト9の上部が略水平であれば、下部は水平である必要は無い。
駆動ローラー7は図示しない駆動モーターによって回転駆動される様に構成されており、またこの駆動モーターは制御部11により駆動制御され、これにより搬送ベルト9は、所定のタイミングにて、所定の方向に、所定の移動速度によって所定の移動量、駆動される。尚、図1における矢印(右矢印及び左矢印)はベルト移動方向を示し、駆動ローラー7と従動ローラー8に付記された曲線矢印は両ローラーの回転方向を示している。
搬送ベルト9は、後に説明する様にベルト帯電手段14によって所定の状態に帯電し、これにより記録用紙Pを静電吸着する。このため搬送ベルト9は、少なくとも表面(外周面)が中抵抗(1×1010Ω/□以下)の樹脂、例えばPETやポリイミド、フッ素系樹脂、ゴムなどの絶縁性材料で構成され、また必要に応じてカーボンブラックや導電性フィラーを混入させて抵抗値を調整し、帯電させる為の保持電荷量が調整される。
搬送ベルト9の上方には、平面状とされた搬送ベルト9の表面に対向してインクジェット記録ヘッド3が配置されている。インクジェット記録ヘッド3は、搬送ベルト9の移動方向、即ち記録用紙Pの搬送方向の上流側から順に、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、のこれら4色のインク滴(液滴)を吐出するノズル列(不図示)を有している。そして制御部11の制御のもと、搬送ベルト9によって搬送される記録用紙Pにそれぞれ所定のタイミングで吐出しカラー画像を形成する。
尚、インクジェットプリンター1の装置本体(不図示)には、Y、M、C、K、のこれら各色のインクが貯留されたインクタンク(不図示)が、装置本体に対して着脱自在、或いは着脱不能に設けられており、不図示のインクチューブを介して、インクタンクからインクジェット記録ヘッド3へとインクが供給される様になっている。
本実施形態においてインクジェット記録ヘッド3は、用紙搬送方向と直交する方向である搬送ベルト9の幅方向(x方向)に沿って長尺なヘッドであり、即ち使用が想定される記録用紙のうち最も大きなサイズの用紙幅全体をカバー可能な長さに形成された非走査型のヘッドである。しかしながら本発明はこれに限られず、用紙幅方向(x方向)に移動しながらインクを吐出する走査型ヘッド、所謂シリアルタイプの記録ヘッドであっても構わない。
また、インクジェット記録ヘッド3において搬送ベルト9と対向する面を形成する、インク吐出孔(不図示)が形成されたノズルプレート3aは、金属等の導体で形成しても良いし、シリコン等の絶縁体、或いは半導体で形成しても良い。尚、ノズルプレート3aを金属等の導体で形成する場合、ノズルプレート3aを接地すると、ノズルプレート3a内を移動するインクのマイナス電荷がノズルプレート3a側に移動することにより、インクは吐出される時点でプラス帯電側に帯電状態が変化することとなる。
そしてこのノズルプレート3aの下面(ノズル形成面)が、搬送ベルト9の上面、即ち記録用紙Pを載置する用紙載置面9aに向けられるとともに、ノズル形成面が搬送ベルト9の用紙載置面9aと所定距離だけ離されて配置されている。
インクジェット記録ヘッド3において搬送ベルト9と対向する面の、ノズルプレート3aから外れた位置には、第2用紙検出センサー5が設けられている。第2用紙検出センサー5は光学式のセンサーであり、図示しない発光部と受光部とを備え、発光部から放射する光を受光部で受け、その光量の多少に基づく検出信号を制御部11へと送る。これにより制御部11は、記録用紙Pの先端通過、及び後端通過を検出できるとともに、搬送ベルト9の駆動速度と合わせて、記録用紙Pの長さを把握可能となっている。
また、フィードローラー2の下流であって、搬送ベルト9の上流側、即ちフィードローラー2と搬送ベルト9との間には、第1用紙検出センサー4が設けられている。第1用紙検出センサー4は、第2用紙検出センサー5と同様の構成を備えた光学センサーであり、インクジェットプリンター1の制御部11は、第1用紙検出センサー4からの検出信号を受けることにより、搬送ベルト9への記録用紙Pの到達タイミング、より具体的には搬送ベルト9に形成する帯電パターン(後述)と記録用紙Pとの位置関係を制御できる様になっている。尚、図1では、第1用紙検出センサー4が搬送ベルトにおける記録用紙Pの載置領域の近傍に示されているが、実際には搬送ベルト9における記録用紙Pの載置領域から、第2帯電部18(第2帯電ローラー20)までの距離と同等以上の距離がある必要がある。このことにより、搬送ベルト9における記録用紙Pの先端或いは後端が載置される領域が把握できるため、搬送ベルト9への帯電制御が可能となる。
続いて搬送ベルト9を駆動する駆動ローラー7の下側には、ベルト帯電手段14が設けられている。このベルト帯電手段14は、第1帯電部15と、第2帯電部18と、のこれら2つの帯電部(帯電ローラー)と、これら帯電部へ電圧を印加する電圧印加手段12とを備えて成る。
電圧印加手段12は交流電源、直流電源、公知のスイッチングレギュレータ、等によって構成された電源装置であり、交番電圧の整流、極性反転、パルス変調などを行える電源装置である。電圧印加手段12は、制御部11の制御のもと、第1帯電部15、第2帯電部18、のこれら帯電部に対し、所定の電圧(直流電圧または交番電圧)を印加する。
一方、従動ローラー8の下側には、除電器10が設けられている。除電器10は、搬送ベルト9の帯電状態を解消する為の除電手段であり、ベルト駆動方向においてベルト帯電手段14の上流側に位置し、制御部11の制御のもと、ベルト帯電手段14が搬送ベルト9に帯電パターンを形成する前に、当該搬送ベルト9の帯電状態を予め解消する。尚、除電器10は、公知のイオン式の除電装置や除電ブラシに代表される自己放電式除電器等、種々のタイプの除電手段を用いることができる。
また、符号22は、インクジェット記録ヘッド3より下流側であって搬送ベルト9の用紙載置面9aと対向する位置に設けられた被電圧印加部材を示している。被電圧印加部材22は導電性材料により形成され、プラス電圧が印加される。
これにより、以下の作用が得られる。即ちインクジェット記録ヘッド3から吐出されて浮遊するインク滴は、搬送ベルト9の移動に伴う作用(空気流の作用)により、搬送方向下流側に飛散する傾向がある。しかし、搬送ベルト9における用紙載置面9aのマイナス帯電領域部分と、被電圧印加部材22との間で電界が形成され、これにより飛散したインク滴を搬送ベルト9側に効果的に付着させることができ、インク滴の飛散を効果的に防止することができる。
更に符号24は、クリーニングローラーである。クリーニングローラーは、搬送ベルト9と接触可能に設けられており、搬送ベルト9と接することにより、搬送ベルト9に付着したインク滴や異物等を除去する。クリーニングローラー24は図示しないモーターによって搬送ベルト9の移動方向に抗する方向に回転駆動され、これにより搬送ベルト9上をワイピングする様に機能する。尚、クリーニングローラー24に限らず、ワイパーなど、搬送ベルト9をクリーニングできるものであればどの様なものであっても構わない。
■■■第1実施例■■■
続いて、ベルト帯電手段14によって形成される帯電パターンの第1実施例を図2に基づいて説明する。図2において「+」或いは「−」の文字が丸囲いされて成る表示は、搬送ベルト9の用紙載置面9a上に形成される帯電極性(搬送ベルト上に生じた電荷の極性)をイメージ的に表している。符号P1は先行して搬送される記録用紙を、符号P2は記録用紙P1に続いて搬送される記録用紙を示している。
本実施例において搬送ベルト9における用紙載置面9a上には、用紙搬送方向(y方向)に沿って延びるプラス帯電領域とマイナス帯電領域とが、搬送方向と交差する方向である第1の方向としてのベルト幅方向(x方向)に交互に配置されて成る帯電パターンが、ベルト帯電手段14によって形成される。
図2において破線T0は、搬送ベルト9において第2用紙検出センサー5の直下を通過するラインを示している(以下「検出ラインT0」と言う)。図示する様にベルト帯電手段14は、搬送ベルト9の用紙載置面9a上において検出ラインT0上を、マイナス帯電領域とする。即ち、搬送ベルト9において第2用紙検出センサー5と対向する帯電領域をマイナス帯電領域とする。
これにより、プラス帯電したインクミストが第2用紙検出センサー5直下の帯電領域から反発力を受けて第2用紙検出センサー5に向けて飛散することを抑制することができ、これにより第2用紙検出センサー5にインクミストが付着することに伴う不具合(誤検出)を抑制することができる。
即ち、ベルト帯電手段14は、プラス帯電したインクミストを、第2用紙検出センサー5から遠ざかる方向に誘導するように搬送ベルト9を帯電させるので、第2用紙検出センサー5にインクミストが付着することに伴う不具合(誤検出)を抑制することができる。
この様な帯電状態を形成する第1帯電部15および第2帯電部18の構成は、図3に示される。第1帯電部15は、搬送ベルト9と接する第1帯電ローラー17が、搬送ベルト9の移動方向(y方向)と交差する第1の方向であるベルト幅方向(x方向)に延びる軸16に沿って、所定間隔で配置されて成る。第2帯電部18は、搬送ベルト9と接する第2帯電ローラー20が、第1帯電部15の上流側(ベルト移動方向上流側)に位置し、軸16と平行に延びる軸19に沿って、第1帯電ローラー17の間に位置する様に配置されて成る。尚、第1帯電ローラー17及び第2帯電ローラー20は、例えば導電性ゴム材などで構成される。
電圧印加手段12は、第1帯電部15及び第2帯電部18にそれぞれ逆極性の直流電圧を印加する(第1帯電部15にはプラス電圧、第2帯電部18にはマイナス電圧)。これにより搬送ベルト9には、用紙搬送方向に延びるプラス帯電領域とマイナス帯電領域とが、用紙幅方向に交互に配置されて成る帯電パターンが形成される。そして検出ラインT0上の帯電領域は、マイナス電圧が印加される第2帯電ローラー20と接するので、これにより検出ラインT0上にはマイナス帯電領域が形成される。
■■■第2実施例■■■
続いて、ベルト帯電手段によって形成される帯電パターンの第2実施例を図4に基づいて説明する。図4に示す帯電パターンにおいて図2に示した第1実施例と異なるのは、検出ラインT0上のマイナス帯電領域の帯電量を基準として、搬送ベルト9の外側(x方向外側)に向かって帯電量が多くなる様に帯電パターンが形成されている点である。図4中、太い丸で囲われた「−」表示は、帯電量が多いことをイメージ的に示している。
図4の実施例では、マイナス帯電領域は、検出ラインT0上に加え、ラインT1、T2上にそれぞれ形成される。ラインT1上に形成されたマイナス帯電領域の帯電量は、検出ラインT0上に形成されたマイナス帯電領域の帯電量よりも多い。また、ラインT2上に形成されたマイナス帯電領域の帯電量は、ラインT1上に形成されたマイナス帯電領域の帯電量よりも多い。
この様な帯電パターンにより、浮遊するインクミストは検出ラインT0上、即ち第2用紙検出センサー5の下側領域からベルト外側方向に誘引されることとなり、これにより第2用紙検出センサー5にインクミストが付着することをより効果的に抑制することができる。
この様な帯電状態を形成する第2帯電部は、図5において符号18Aで示す第2帯電部の様に構成することができる。図5に示す第2帯電部18Aは、第2帯電ローラー20A、20B、20C、を備えて成る。図3に示した第2帯電部18と異なるのは、第2帯電ローラー20A、20B、20C、のこれらの電気抵抗値が異なる点である。
検出ラインT0上のマイナス帯電領域を形成する第2帯電ローラー20Aは、抵抗値AΩである。ラインT1上のマイナス帯電領域を形成する第2帯電ローラー20Bは、抵抗値BΩである。ラインT2上のマイナス帯電領域を形成する第2帯電ローラー20Cは、抵抗値CΩである。これらの抵抗値は、A>B>Cの関係をとる。即ち、第2用紙検出センサー5と対向するマイナス帯電領域を形成する部分を基準とし、搬送ベルト9の外側に向かって電気抵抗値が低くなる様に構成されている。
これにより、電圧印加手段12は第2帯電部18Aに対し一定電圧を印加することでベルト外側の帯電量を多くすることができ、電圧制御が簡易となる。
なお、以上の様な構成に代えて、電気抵抗値の同じ複数の第2帯電ローラー20(図3)に対し、異なる電圧を与えることで、図4に示す帯電パターンを形成する様にしても良い。即ち、ベルト外側に向かって高電圧を与える構成である。
■■■第3実施例■■■
続いて、ベルト帯電手段によって形成される帯電パターンの第3実施例を図6に基づいて説明する。図6に示す帯電パターンにおいて図2に示した第1実施例及び図4に示した第2実施例と異なるのは、用紙載置面9a上において、記録用紙が載置される用紙載置領域を除いた領域が全体に渡ってマイナスに帯電する様に、ベルト帯電手段によって帯電状態が形成される点である。
従ってプラス帯電したインクミストは、搬送ベルト9の用紙載置領域外のマイナス帯電領域に引きつけられ、付着する。これにより、装置内においてインクミストの飛散をより効果的に抑制し、インクミストの飛散に伴う種々の不具合をより一層抑制し或いは防止することが可能となる。加えて、搬送ベルト9上へのインクミストの付着量を増やすことができ、記録用紙の記録面へのインクミスト付着量を減らすことができ、より良好な記録結果が得られる。
また、以上の様な帯電パターンにより、搬送ベルト9において用紙載置面9aを構成するベルト部分につき、プラス帯電量よりマイナス帯電量がより一層支配的となり、即ちマイナス帯電量がプラス帯電量より一層多くなることから、用紙載置面9aの上方を漂うインク滴(プラス帯電している)が搬送ベルト9側により効果的に引き寄せられ、より一層効果的にインク滴の飛散を抑制することができる。
この様な帯電状態を形成するベルト帯電手段は、図7のように構成することができる。図7において第1帯電部15、第2帯電部18の基本的構成はすでに説明した第1実施例(図3)と同様である。異なる点は、第1実施例では第1帯電部15および第2帯電部18により形成される帯電パターンはベルト幅全体をカバーする幅に形成されるが、本実施例では第1帯電部15および第2帯電部18により形成される帯電パターンは用紙幅をカバーする幅に形成される。
そして、用紙領域外には、軸26に取り付けられた帯電ローラー27が接する。帯電ローラー27にはマイナス電圧が印加され、これにより用紙領域外には図6に示す様にマイナス帯電領域が形成される。尚、用紙間領域(図6において記録用紙P1と記録用紙P2の間の領域)においてもマイナス帯電領域が形成されるが、これは電圧印加手段12Aにおいて第1帯電部15に電圧を印加する回路がプラス電圧とマイナス電圧とをスイッチング可能に構成されている。
用紙領域に帯電パターンを形成する際、電圧印加手段12Aは第1帯電部15にプラス電圧を印加する。用紙間領域に帯電パターンを形成する際、電圧印加手段12Aは第1帯電部15にマイナス電圧を印加する。この様な構成により、図6に示す帯電パターン、即ち用紙領域外が一様にマイナス帯電する帯電パターンが形成される。
以上、説明した各実施例は一例であり、本発明がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。特に本実施形態では本発明をインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
1 インクジェットプリンター、2 フィードローラー、3 インクジェット記録ヘッド、4 第1用紙検出センサー、5 第2用紙検出センサー、7 駆動ローラー、8 従動ローラー、9 搬送ベルト、10 除電器、11 制御部、12、12A 電圧印加手段、14 ベルト帯電手段、15 第1帯電部、16 軸、17 帯電ローラー、18 第2帯電部、19 軸、20 帯電ローラー、22 被電圧印加部材、24 クリーニングローラー、26 軸、27 帯電ローラー、En マイナス帯電領域、Ep プラス帯電領域、E0 無帯電領域、P 記録用紙

Claims (7)

  1. 静電吸着により被搬送物を吸着して搬送する搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトを帯電させるベルト帯電手段と、
    前記搬送ベルトにおいて被搬送物が載置される載置面と対向配置された、前記載置面上の被検出物を検出する検出手段と、を備え、
    前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトの、前記検出手段と対向する帯電領域をマイナス帯電領域と
    前記ベルト帯電手段は、前記被搬送物の搬送方向と交差する方向である第1の方向において前記検出手段と対向する帯電領域から前記搬送ベルトの外側に向かって所定の間隔を空けて形成されたマイナス帯電領域について、前記検出手段と対向する帯電領域の帯電量を基準として、前記搬送ベルトの外側に向かって帯電量が多くなる様に前記マイナス帯電領域を形成する、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  2. 請求項に記載の媒体搬送装置において、前記ベルト帯電手段は、前記搬送ベルトと接する帯電ローラーと、
    前記帯電ローラーに電圧を印加する電圧印加手段と、を備えて成り、
    前記帯電ローラーは、前記検出手段と対向する帯電領域を形成する部分を基準とし、前記搬送ベルトの外側に向かって電気抵抗値が低くなる様に構成されている、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  3. 請求項1又は2に記載の媒体搬送装置において、前記検出手段は、発光部と受光部とを備えて成る光学センサーである、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、前記ベルト帯電手段は、被搬送物が載置される載置領域を除いた領域をマイナス帯電させる、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、前記ベルト帯電手段は、前記載置面を構成するベルト部分全体についてマイナス帯電量がプラス帯電量より多くなる様に前記搬送ベルトを帯電させる、
    ことを特徴とする媒体搬送装置。
  6. 記録を行う記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドと対向する様に前記載置面が配置された、請求項1からのいずれか一項に記載の前記媒体搬送装置と、
    を備えた記録装置。
  7. 請求項に記載の記録装置において、媒体搬送経路において前記記録ヘッドより下流側であって前記載置面と対向する位置に、プラス電圧が印加される被電圧印加部材を備える、
    ことを特徴とする記録装置。
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