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JP2016203049A - ガラスフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯状ガラスフィルムに対して洗浄工程を実行した後、液切工程の実行時に帯状ガラスフィルムの本来の送り方向からの斜行を防止すること。【解決手段】帯状ガラスフィルムGを平置き姿勢で搬送しつつ、その搬送経路上の洗浄領域R1で洗浄液Lによって洗浄する洗浄工程と、搬送経路上の液切領域R2で洗浄後の帯状ガラスフィルムGに対してガスAを噴射して、洗浄工程で付着した洗浄液Lを除去する液切工程とを含んだガラスフィルムの製造方法において、ガスAを帯状ガラスフィルムGの上面Gaの全幅に対して噴射し、その圧力で上面Gaに付着した洗浄液Lの下流側への移送を堰き止め、上面Ga上に液溜りLLを形成した。これにより、帯状ガラスフィルムGにおける液溜まりLLを通過中の部位Gcが、本来の送り方向に沿って直進しやすくなり、当該部位Gc、ひいては、帯状ガラスフィルムGの本来の送り方向からの斜行を防止できる。【選択図】図1

Description

本発明は、帯状ガラスフィルムを搬送しつつ洗浄液によって洗浄する洗浄工程と、洗浄後の帯状ガラスフィルムに対してガスを噴射することで、洗浄工程で帯状ガラスフィルムに付着した洗浄液を除去する液切工程とを含んだガラスフィルムの製造方法に関する。
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いられるガラス基板は、軽量化への要請の高まりに伴って薄板化が推進されている。そして、このような要請に応えるべく、厚みが300μm以下、或いは、200μm以下にまで薄板化されたガラスフィルムが開発、製造されるに至っている。
このガラスフィルムを製造するための工程として、ガラスフィルムの元となる帯状ガラスフィルムを搬送しつつ洗浄液(例えば水)によって洗浄する洗浄工程や、洗浄後の帯状ガラスフィルムに対してガス(例えば空気)を噴射することで、洗浄工程で帯状ガラスフィルムに付着した洗浄液を除去する液切工程がある。液切工程後の帯状ガラスフィルムは、例えばロール状に巻き取られてガラスロールとして保管される。
ここで、帯状ガラスフィルムに対して洗浄工程、及び液切工程を実行するための手法ではないが、既に一枚一枚に切り出されたガラス基板に対して洗浄工程、及び液切工程を実行するための手法の一例が特許文献1に開示されている。
ガラス基板の一般的な洗浄方法では、ガラス基板の搬送経路の上流側において、ガラス基板に対して洗浄用ノズルから洗浄液を噴射することで洗浄工程を実行している。その後、図7に示すように、ガラス基板GPの搬送経路の下流側において、搬送方向Tに搬送されるガラス基板GPに対し、第一のエアーナイフ100と第二のエアーナイフ101との各々からガスAを噴射することで液切工程を実行している。
第一のエアーナイフ100及び第二のエアーナイフ101は、共にガラス基板GPの搬送経路の上流側に向けてガスAを噴射している。さらに、両エアーナイフ100,101は、ガラス基板GPを平面視した場合に、いずれもガラス基板GPの搬送方向Tに対して傾斜した向きにガスAを噴射している。
特開2014−38914号公報
しかしながら、このような手法を帯状ガラスフィルムの洗浄工程、及び液切工程に適用した場合には、以下のような解決すべき問題が生じていた。
すなわち、同手法を帯状ガラスフィルムの洗浄工程、及び液切工程に適用した場合には、図8に示すように、両エアーナイフ100,101の各々から噴射されるガスAの圧力により、液切工程における帯状ガラスフィルムGは、搬送方向Tに直交する幅方向の一方側(幅方向においてガスAの風下となる側)へと負荷を受ける。ここで、帯状ガラスフィルムGはその厚みが極めて薄いことから、単位長さあたりの重さが非常に軽量である。そのため、負荷を受けた帯状ガラスフィルムGが本来の送り方向(搬送方向T)から斜行してしまい、当該帯状ガラスフィルムGに捻じれが発生する場合がある。そして、この捻じれの発生に起因して帯状ガラスフィルムGに作用する応力により、当該帯状ガラスフィルムGが破損に至ってしまうことがあった。
また、帯状ガラスフィルムが破損に至らない場合であっても、例えば、液切工程後の帯状ガラスフィルムを巻芯の周りにロール状に巻き取ってガラスロールを作製するような場合には、以下のような問題が生じている。すなわち、液切工程における帯状ガラスフィルムGの本来の送り方向からの斜行に起因して、ガラスロールにおいてロール状に重なった帯状ガラスフィルムGの層の相互間に幅方向(巻芯の軸方向)へのずれが発生し、作製したガラスロールが保管に不適な状態に陥ってしまうことがあった。
上記のような事情に鑑みなされた本発明は、帯状ガラスフィルムに対して洗浄工程を実行した後、液切工程の実行時に帯状ガラスフィルムの本来の送り方向からの斜行を防止することを技術的な課題とする。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、可撓性を有する帯状ガラスフィルムを長尺方向に沿って平置き姿勢で搬送しつつ、その搬送経路に配置された洗浄領域で帯状ガラスフィルムを洗浄液によって洗浄する洗浄工程と、洗浄領域よりも搬送経路の下流側に配置された液切領域で帯状ガラスフィルムに対してガスを噴射することで、液切領域から下流側へと搬出される帯状ガラスフィルムについて、洗浄工程で付着した洗浄液を除去する液切工程とを含んだガラスフィルムの製造方法であって、ガスを帯状ガラスフィルムの上面に対して噴射し、その圧力で上面に付着した洗浄液の液切領域からの下流側への移送を堰き止めることで、上面上に洗浄液でなる液溜りを形成することに特徴付けられる。ここで、「平置き姿勢」とは、帯状ガラスフィルムが水平面に対して平行な姿勢をとっている場合、又は、帯状ガラスフィルムが水平面に対して10°以下の範囲内で傾斜した姿勢をとっている場合を意味する。
このような方法によれば、帯状ガラスフィルムの上面に付着した状態で液切領域まで移送されてきた洗浄液は、液切領域内において上面に対して噴射されるガスからの圧力で下流側への移送を堰き止められる。そして、上流側から連続的に移送されてくる洗浄液が次々に堰き止められることで、帯状ガラスフィルムの上面上に液溜まりが形成される。この液溜まりはガスからの圧力で液切領域内に止まった状態となり、当該液溜まりを帯状ガラスフィルムが上流側から下流側へと順次に通過していく。そして、帯状ガラスフィルムにおける液溜まりを通過中の部位(以下、液溜通過部と表記)では、その上面上に液溜まりが形成されている分だけ、当該部位の重さが増加することになる。この重さの増加によって液溜通過部が本来の送り方向に沿って直進しやすくなり、当該部位の斜行を回避することができる。その結果、液切領域内で実行される液切工程の実行時において、帯状ガラスフィルムの本来の送り方向からの斜行を防止することが可能となる。
上記の方法では、液切領域内の帯状ガラスフィルムを搬送経路に沿って並べられた複数の搬送部材で下面を支持しながら搬送すると共に、複数の搬送部材の相互間で洗浄液を堰き止めて液溜まりを形成することが好ましい。
このようにすれば、複数の搬送部材の相互間では、帯状ガラスフィルムの下面を支持するものが存在しないため、この箇所で洗浄液を堰き止めて液溜まりを形成すれば、液溜通過部は上面上に形成された液溜まりの重さで下方に撓むようになる。そして、液溜通過部の下方への撓みに伴って、当該液溜通過部の上面が液溜まりを形成しやすい凹湾曲面へと変形する。これにより、液溜まりの形成を安定して維持することが可能になり、帯状ガラスフィルムの本来の送り方向からの斜行をより好適に防止することができる。
上記の方法では、ガスを搬送経路の上流側に向けて噴射することが好ましい。
このようにすれば、帯状ガラスフィルムの上面に付着した洗浄液に対してガスからの圧力を作用させやすくなる。これにより、上面に付着した洗浄液の液切領域からの下流側への移送をより安定して堰き止めることができ、液溜まりをより形成しやすくなる。その結果、帯状ガラスフィルムの本来の送り方向からの斜行をさらに好適に防止することが可能となる。
上記の方法では、液切領域内の帯状ガラスフィルムの下面に対してガスを噴射することで、下面から洗浄工程で付着した洗浄液を除去することが好ましい。
このようにすれば、帯状ガラスフィルムの下面から好適に洗浄液を除去することが可能である。
上記の方法では、帯状ガラスフィルムの上面に対して噴射するガスと、下面に対して噴射するガスとを、帯状ガラスフィルムの長尺方向における同一部位を指向させて噴射することが好ましい。
上面に対して噴射するガス(以下、上面側ガスと表記)と、下面に対して噴射するガス(以下、下面側ガスと表記)とを、帯状ガラスフィルムの長尺方向における相互に異なった部位を指向させて噴射した場合には、以下のような問題が生じるおそれがある。すなわち、上面側ガス及び下面側ガスが噴射された部位の各々において、ガスからの圧力に起因して帯状ガラスフィルムに作用する外力により、当該帯状ガラスフィルムに揺れが生じるおそれがある。そして、揺れに起因して帯状ガラスフィルムが本来の送り方向から斜行してしまうことが危惧される。しかしながら、上面側ガスと下面側ガスとを、帯状ガラスフィルムの長尺方向における同一部位を指向させて噴射すれば、以下のような好ましい作用・効果が得られる。つまり、上面側ガスからの圧力に起因して帯状ガラスフィルムに作用する外力と、下面側ガスからの圧力に起因して帯状ガラスフィルムに作用する外力との両外力の厚み方向成分が互いに打消し合い、結果として両外力の合力における厚み方向成分の大きさを抑制できる。これにより、帯状ガラスフィルムに揺れが生じ、この揺れに起因して帯状ガラスフィルムが本来の送り方向から斜行するような事態の発生を的確に回避することが可能となる。
上記の方法では、帯状ガラスフィルムに後続させる帯状シート体を用いて、帯状ガラスフィルムの長尺方向における最後部と、帯状シート体の長尺方向における先頭部とを、両部間に掛け渡されたシート状連結部材を介して連結すると共に、シート状連結部材に、両部のそれぞれに取り付けられる幅広部と、両部の幅方向中央同士を結ぶ仮想直線に沿って延び、且つ両幅広部の相互間に介在する幅狭部とを設けることが好ましい。
このようにすれば、帯状ガラスフィルムの長尺方向における最後部と、帯状シート体の長尺方向における先頭部とを、シート状連結部材を介して連結したことで、帯状ガラスフィルムが帯状シート体を牽引する形となる。そして、シート状連結部材に設けた幅狭部が、両部(帯状ガラスフィルムの最後部、及び帯状シート体の先頭部)の幅方向中央同士を結ぶ仮想直線に沿って延びていることから、シート状連結部材の幅広部が取り付けられた帯状ガラスフィルムの最後部では、その幅方向中央の近傍ほど、大きな張力(帯状シート体の牽引に伴って発生する張力)が作用した状態となる。そのため、帯状ガラスフィルムの最後部においては、張った状態にある幅方向中央の近傍に対して緩んだ状態にある幅方向外方が下方へと垂れ下がった状態となる。これにより、帯状ガラスフィルムの最後部が液溜まりを通過する際には、液溜まりを構成する洗浄液を垂れ下がった幅方向外方へと誘導することができ、帯状ガラスフィルムの上面上から好適に洗浄液を排除することが可能となる。
上記の方法では、液切領域よりも搬送経路の下流側で帯状ガラスフィルムを巻芯の周りにロール状に巻き取ってガラスロールとする巻取工程を含むことが好ましい。
このようにすれば、液切工程において帯状ガラスフィルムの本来の送り方向からの斜行が防止されることから、この帯状ガラスフィルをロール状に巻き取って作製したガラスロールでは、ロール状に重なった帯状ガラスフィルムの層の相互間に幅方向(巻芯の軸方向)へのずれが発生することを回避できる。
本発明によれば、帯状ガラスフィルムに対して洗浄工程を実行した後、液切工程の実行時に帯状ガラスフィルムの本来の送り方向からの斜行を防止することが可能となる。
本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法に用いるシート状連結部材を示す平面図である。 本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法を示す平面図である。 本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法の変形例を示す平面図である。 本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法の変形例を示す平面図である。 従来におけるガラス基板の製造方法を示す平面図である。 従来におけるガラスフィルムの製造方法を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法について添付の図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るガラスフィルムの製造方法は、可撓性を有する帯状ガラスフィルムGを長尺方向に沿って平置き姿勢で搬送しつつ、その搬送経路に配置された洗浄領域R1で帯状ガラスフィルムGを洗浄液Lによって洗浄する洗浄工程と、洗浄領域R1よりも搬送経路の下流側に配置された液切領域R2で帯状ガラスフィルムGに対してガスAを噴射することで、液切領域R2から下流側へと搬出される帯状ガラスフィルムGについて、洗浄工程で付着した洗浄液Lを除去する液切工程と、液切領域R2よりも搬送経路の下流側で帯状ガラスフィルムGを巻芯1の周りにロール状に巻き取ってガラスロールGRとする巻取工程とを含んでいる。このガラスフィルムの製造方法では、搬送中の帯状ガラスフィルムGについて、シート状連結部材2を介して帯状ガラスフィルムGに後続する帯状シート体3と直列に連結している。
まず、本実施形態に用いる帯状ガラスフィルムG、帯状シート体3、及びシート状連結部材2について説明する。
帯状ガラスフィルムGは、一方向に長尺に成形されると共に、ロール状に巻き取れる程度の可撓性を付与できる厚み(例えば300μm以下)に成形されている。この帯状ガラスフィルムGは、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、リドロー法等に代表されるダウンドロー法をはじめとして、種々の成形方法によって成形することが可能である。
帯状シート体3は、帯状ガラスフィルムGと同様にして一方向に長尺に成形されると共に、ロール状に巻き取れる程度の可撓性を付与できる厚みに成形されている。この帯状シート体3の材質としては、例えばPET等の樹脂を採用することができる。
シート状連結部材2は、例えばPET等の樹脂で構成することができる。このシート状連結部材2は、図2に示すように、帯状ガラスフィルムGの長尺方向における最後部Ge(搬送中の帯状ガラスフィルムGにおいて最後尾となる部位)と、帯状シート体3の長尺方向における先頭部3f(搬送中の帯状シート体3において先頭にくる部位)との両部Ge,3f間に掛け渡されている。このシート状連結部材2には、両部Ge,3fのそれぞれに取り付けられる幅広部2aと、両部Ge,3fの幅方向中央同士を結ぶ仮想直線2bに沿って延び、且つ両幅広部2aの相互間に介在する幅狭部2cとが設けられている。両幅広部2aの各々は、粘着テープ4によって帯状ガラスフィルムGの最後部Ge、帯状シート体3の先頭部3fにそれぞれ貼着されている。
次に、本実施形態に係るガラスフィルムの製造方法の具体的な態様について説明する。
図1に示すように、洗浄工程では、ベルトコンベア5によって洗浄領域R1へと平置き姿勢で搬送されてきた帯状ガラスフィルムGに対し、その上下面Ga,Gbの各々に向けて洗浄液Lを噴射する。この洗浄液Lは、帯状ガラスフィルムGを厚み方向に挟んで上面Ga側と下面Gb側とにそれぞれ配置された洗浄液噴射器6から噴射される。上面Ga側に配置された洗浄液噴射器6と、下面Gb側に配置された洗浄液噴射器6との両者は、帯状ガラスフィルムGの長尺方向における同一部位を指向して洗浄液Lを噴射している。また、上下面Ga,Gbの各々に向けて噴射される洗浄液Lは、いずれも帯状ガラスフィルムGの全幅に対して噴射されている。ここで、洗浄液Lとしては、例えば水等を使用することが可能である。
上記の洗浄工程を経た帯状ガラスフィルムGは、その上下面Ga,Gbに洗浄液Lが付着した状態で洗浄領域R1から下流側へと搬出される。
図1及び図3に示すように、液切工程では、洗浄工程を経た帯状ガラスフィルムGの上面Gaの全幅に対してガスA(以下、上面側ガスAと表記)を噴射する。そして、噴射された上面側ガスAからの圧力により、図3に白抜き矢印で示すように、帯状ガラスフィルムGの上面Gaに付着した状態で液切領域R2へと移送されてくる洗浄液Lが、当該液切領域R2からさらに下流側へ移送されるのを堰き止める。これにより、帯状ガラスフィルムGの上面Ga上に洗浄液Lでなる液溜まりLLを形成する。また、同工程においては、液切領域R2内の帯状ガラスフィルムGの下面Gbに対してもガスA(以下、下面側ガスAと表記)を噴射し、当該帯状ガラスフィルムGの下面Gbに付着した洗浄液Lを除去する。
上面側ガスA及び下面側ガスAは、いずれも帯状ガラスフィルムGの搬送経路の上流側に向けて噴射されると共に、帯状ガラスフィルムGの長尺方向における同一部位を指向して噴射される。上面側ガスA及び下面側ガスAは、帯状ガラスフィルムGを厚み方向に挟んで上面Ga側と下面Gb側とにそれぞれ配置されたエアーナイフ7,8から噴射される。両エアーナイフ7,8の各々は、平面視で自身の長手方向が帯状ガラスフィルムGの幅方向と平行となるように配置されている。また、エアーナイフ7(8)には、その長手方向に沿って複数の上面側ガスA(下面側ガスA)の噴射口が形成されており、これら噴射口の各々から圧縮された上面側ガスA(下面側ガスA)が均等な圧力で噴射される。ここで、上面側ガスA(下面側ガスA)としては、例えば圧縮空気を使用することが可能である。
液切領域R2内の帯状ガラスフィルムGは、その搬送経路に沿って並べられた複数の搬送部材としてのローラー9で下面Gbを支持しながら搬送する。隣り合うローラー9同士の相互間の距離Dは、例えば300mmである。この隣り合うローラー9同士の相互間で上面Gaに付着した洗浄液Lの移送を堰き止めて液溜まりLLを形成する。ここで、本実施形態においては、エアーナイフ7を基準として帯状ガラスフィルムGの搬送経路の上流側に液溜まりLLを形成している。液溜まりLLは、上面側ガスAからの圧力で液切領域R2内に止まった状態となり、この液溜まりLLを帯状ガラスフィルムGが上流側から下流側へと順次に通過していく。帯状ガラスフィルムGにおける液溜まりLLを通過中の部位Gc(以下、液溜通過部Gcと表記)は、上面Ga上に形成された液溜まりLLの重さで下方へと撓む。そして、この撓みの発生に伴って、液溜通過部Gcの上面Gaが液溜まりLLを形成しやすい凹湾曲面へと変形する。
ここで、帯状ガラスフィルムGの上面Ga上に形成した液溜まりLLの重さにより、帯状ガラスフィルムGが複数のローラー9から脱落してしまうような事態の発生や、帯状ガラスフィルムGの破損を防止するため、液溜まりLLは、その幅寸法が帯状ガラスフィルムGの幅寸法を基準として、50%〜100%の長さとなるように形成することが好ましく、50%〜90%の長さとなるように形成することがより好ましい。さらに、液溜まりLLは、その深さ寸法が1mm〜10mmとなるように形成することが好ましく、3mm〜5mmとなるように形成することがより好ましい。なお、液溜まりLLを構成する洗浄液Lは、その一部が帯状ガラスフィルムGの幅方向両端部から流出していてもよい。
液溜まりLLを構成する洗浄液Lは、液溜まりLLを帯状ガラスフィルムGの最後部Geが通過する際に、帯状ガラスフィルムGの上面Ga上から排除される。詳述すると、帯状ガラスフィルムGの最後部Geでは、図4に示すように、幅方向中央Gecの近傍に対して幅方向外方が下方へと垂れ下がった状態となる。これにより、帯状ガラスフィルムGの最後部Geの通過時に、液溜まりLLを構成する洗浄液Lが垂れ下がった幅方向外方へと誘導され、上面Ga上から落下して排除される。
なお、本実施形態では、エアーナイフ7から噴射される上面側ガスAが、帯状ガラスフィルムGの搬送経路の上流側に向けて噴射される態様となっているが、このような態様に限定されるものではない。変形例として、上面側ガスAからの圧力で上面Gaに付着した洗浄液Lの下流側への移送を堰き止めることが可能な範囲において、エアーナイフ7から真下に向けて上面側ガスAを噴射する態様としてもよいし、帯状ガラスフィルムGの搬送経路の下流側に向けて上面側ガスAを噴射する態様としてもよい。また、液溜まりLLは液切領域R2内の任意の位置に形成してよく、変形例として、エアーナイフ7の真下に液溜まりLLを形成してもよい。さらに、本実施形態では、上面側ガスAと下面側ガスAとが、帯状ガラスフィルムGの長尺方向における同一部位を指向して噴射される態様となっているが、変形例として、異なる部位を指向して噴射される態様としてもよい。
さらに、本実施形態では、エアーナイフ7(8)に形成された複数の上面側ガスA(下面側ガスA)の噴射口が、均等な圧力で上面側ガスA(下面側ガスA)を噴射する態様となっているが、これに限定されるものではない。変形例として、図5に示すように、エアーナイフ7は、帯状ガラスフィルムGの幅方向外方に向けて上面側ガスAを噴射する噴射口ほど、より高い圧力で上面側ガスAを噴射する態様としてもよい。加えて、本実施形態では、両エアーナイフ7,8の各々は、平面視で自身の長手方向が帯状ガラスフィルムGの幅方向と平行となるように配置される態様となっているが、この限りではない。変形例として、エアーナイフ7を二つに分割し、図6に示すように、分割された両エアーナイフ7a,7bの各々における長手方向が、帯状ガラスフィルムGの幅方向に対して傾斜するようにエアーナイフ7a,7bを配置する態様としてもよい。
上記の液切工程を経た帯状ガラスフィルムGは、その上下面Ga,Gbから洗浄液Lが除去された状態で液切領域R2から下流側へと搬出される。
図1に示すように、巻取工程においては、液切工程を経た帯状ガラスフィルムGと、当該帯状ガラスフィルムGの上下面Ga,Gbを保護するための保護シートSとを重ね合わせた状態の下で、これらを巻芯1の周りにロール状に巻き取ってガラスロールGRを作製する。保護シートSは、当該保護シートSがロール状に巻き取られてなるシートロールSRから順次に巻き外すことで供給する。
以上の洗浄工程、液切工程、及び巻取工程を帯状ガラスフィルムGが経ることで、本実施形態に係るガラスフィルムの製造方法が完了する。
次に、本実施形態に係るガラスフィルムの製造方法による主たる作用・効果について説明する。
本実施形態に係るガラスフィルムの製造方法によれば、液切領域R2内に止まった液溜まりLLを通過する液溜通過部Gcは、その上面Ga上に液溜まりLLが形成されている分だけ、その重さが増加する。そして、この重さの増加によって液溜通過部Gcが本来の送り方向に沿って直進しやすくなるため、液溜通過部Gcの斜行を回避することが可能となる。その結果、液切領域R2内で実行される液切工程の実行時において、帯状ガラスフィルムGの本来の送り方向からの斜行を防止することができる。
ここで、本発明に係るガラスフィルムの製造方法は、上記の実施形態で説明した態様に限定されるものではない。上記の実施形態では、液切領域内の帯状ガラスフィルムをその搬送経路に沿って並べられた複数のローラーで搬送すると共に、隣り合うローラー同士の相互間に液溜まりを形成する態様となっているが、この限りではない。例えば、液切領域内の帯状ガラスフィルムについて、その幅方向両端部を下面側からそれぞれ支持する一対のベルトコンベアで搬送すると共に、両ベルトコンベアの相互間(一対のベルトコンベアのいずれにも支持されていない部位)に液溜まりを形成する態様としてもよい。この場合、液溜通過部は、その上面上に形成された液溜まりの重さで幅方向に沿って湾曲変形するように下方へと撓む。
1 巻芯
2 シート状連結部材
2a 幅広部
2b 仮想直線
2c 幅狭部
3 帯状シート体
3f 先頭部
9 ローラー
A ガス
G 帯状ガラスフィルム
Ga 上面
Gb 下面
Ge 最後部
GR ガラスロール
L 洗浄液
LL 液溜まり
R1 洗浄領域
R2 液切領域

Claims (7)

  1. 可撓性を有する帯状ガラスフィルムを長尺方向に沿って平置き姿勢で搬送しつつ、その搬送経路に配置された洗浄領域で前記帯状ガラスフィルムを洗浄液によって洗浄する洗浄工程と、前記洗浄領域よりも前記搬送経路の下流側に配置された液切領域で前記帯状ガラスフィルムに対してガスを噴射することで、該液切領域から下流側へと搬出される前記帯状ガラスフィルムについて、前記洗浄工程で付着した洗浄液を除去する液切工程とを含んだガラスフィルムの製造方法であって、
    前記ガスを前記帯状ガラスフィルムの上面に対して噴射し、その圧力で上面に付着した前記洗浄液の前記液切領域からの下流側への移送を堰き止めることで、上面上に前記洗浄液でなる液溜りを形成することを特徴とするガラスフィルムの製造方法。
  2. 前記液切領域内の前記帯状ガラスフィルムを前記搬送経路に沿って並べられた複数の搬送部材で下面を支持しながら搬送すると共に、該複数の搬送部材の相互間で前記洗浄液を堰き止めて前記液溜まりを形成することを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
  3. 前記ガスを前記搬送経路の上流側に向けて噴射することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスフィルムの製造方法。
  4. 前記液切領域内の前記帯状ガラスフィルムの下面に対してガスを噴射することで、下面から前記洗浄工程で付着した前記洗浄液を除去することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラスフィルムの製造方法。
  5. 前記帯状ガラスフィルムの上面に対して噴射する前記ガスと、下面に対して噴射する前記ガスとを、前記帯状ガラスフィルムの長尺方向における同一部位を指向させて噴射することを特徴とする請求項4に記載のガラスフィルムの製造方法。
  6. 前記帯状ガラスフィルムに後続させる帯状シート体を用いて、
    前記帯状ガラスフィルムの長尺方向における最後部と、前記帯状シート体の長尺方向における先頭部とを、両部間に掛け渡されたシート状連結部材を介して連結すると共に、
    前記シート状連結部材に、前記両部のそれぞれに取り付けられる幅広部と、前記両部の幅方向中央同士を結ぶ仮想直線に沿って延び、且つ両幅広部の相互間に介在する幅狭部とを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガラスフィルムの製造方法。
  7. 前記液切領域よりも前記搬送経路の下流側で前記帯状ガラスフィルムを巻芯の周りにロール状に巻き取ってガラスロールとする巻取工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガラスフィルムの製造方法。
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