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JP2015086283A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】作業性に優れ、活性エネルギー線による硬化速度が大きく、保存安定性に優れるだけでなく、透明性に優れしかも強度等の力学物性に優れる硬化物を作製できる硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】変性液状ジエン系ゴム(A)、(メタ)アクリレート単量体(B)及び活性エネルギー線重合開始剤(C)を含み、変性液状ジエン系ゴム(A)と(メタ)アクリレート単量体(B)との質量比[(A)/(B)]が0.01〜100であり、変性液状ジエン系ゴム(A)と(メタ)アクリレート単量体(B)の合計100質量部に対して、活性エネルギー線重合開始剤(C)を0.1〜20質量部含む樹脂組成物であり、前記変性液状ジエン系ゴム(A)が、下記(I)〜(III)の要件を満たす樹脂組成物。
(I)変性液状ジエン系ゴム(A)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にある。
(II)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した際、最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜120,000の範囲であり、得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%である。
(III)変性液状ジエン系ゴム(A)が、変性化合物を液状ジエン系ゴム(A’)に付加して得られたものであり、変性化合物の付加反応率が40〜100mol%である。
【選択図】なし

Description

本発明は硬化性樹脂組成物に関する。
電子線又は紫外線などの活性エネルギー線を利用した硬化技術は、種々の技術分野で、有機溶剤排出規制、製造工程におけるエネルギー使用量削減の観点から、接着剤、粘着剤、コーティング剤、インキ、シーリング材、ポッティング材などの用途において重要な技術となっている。特に、電気・電子分野においては、デジタル技術の発展に伴い、電気・電子部品の小型化、軽量化が進展しており、これらに使用される接着剤、粘着剤、コーティング剤、封止材、インキ、シーリング材、ポッティング材にも小型化、薄膜化に伴う性能の向上が求められている。
例えば、電気・電子部品などの精密部品の製造工程においては、200℃以上に加熱する工程(例えば、基板に電子部品を実装する工程)を含む場合があり、このような工程でクラック等が発生しないことが求められる。また、電気・電子部品の使用に際しては発熱を伴うもので、基材の熱膨張により発生する応力を封止層や接着層等で緩和するため、柔軟性だけでなく長期の熱履歴に対して十分な強度を有することなどが要求されている。また、光学材料の接着剤やコーティング剤においては透明性が高いことが要求されている。
このような強度、透明性等を満たす硬化物を製造する方法として、活性エネルギー線で硬化可能なメタクリレート又はアクリレートを含む樹脂組成物に、低分子量のジエン系重合体を配合する技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、得られる硬化物の強度等については改善の余地があり、また、硬化物の透明性をより高めることも求められる。また、硬化性樹脂組成物を製造する際には、高粘度では作業性に劣るため改善が求められており、また保存安定性をより高めること、更に硬化物製造時の作業性等の観点から硬化速度を大きくすることも求められている。
特開2003−192750号公報 特開2003−26715号公報
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、作業性に優れ、活性エネルギー線による硬化速度が大きく、保存安定性に優れるだけでなく、透明性に優れしかも強度等の力学物性に優れる硬化物を製造できる硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、特定の変性液状ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート単量体、及び活性エネルギー線重合開始剤を特定の配合割合で含む硬化性樹脂組成物は、作業性に優れ、活性エネルギー線による硬化速度が大きく、保存安定性に優れるだけでなく、透明性に優れしかも強度等の力学物性に優れる硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕変性液状ジエン系ゴム(A)、(メタ)アクリレート単量体(B)及び活性エネルギー線重合開始剤(C)を含み、変性液状ジエン系ゴム(A)と(メタ)アクリレート単量体(B)との質量比[(A)/(B)]が0.01〜100であり、変性液状ジエン系ゴム(A)と(メタ)アクリレート単量体(B)の合計100質量部に対して、活性エネルギー線重合開始剤(C)を0.1〜20質量部含む樹脂組成物であり、前記変性液状ジエン系ゴム(A)が、下記(I)〜(III)の要件を満たす硬化性樹脂組成物。
(I)変性液状ジエン系ゴム(A)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にある。
(II)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した際、最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜120,000の範囲であり、得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%である。
(III)変性液状ジエン系ゴム(A)が、変性化合物を液状ジエン系ゴム(A’)に付加して得られたものであり、変性化合物の付加反応率が40〜100mol%である。
〔2〕変性液状ジエン系ゴム(A)が(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムである、〔1〕に記載の硬化性樹脂組成物。
本発明によれば、作業性に優れ、活性エネルギー線による硬化速度が大きく、保存安定性に優れる硬化性樹脂組成物を製造することができ、該組成物から製造した硬化物は、透明性に優れしかも強度等の力学物性に優れる。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物は電気・電子分野、光学分野をはじめとする種々の技術分野に好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との総称であり、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との総称であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」と「メタクリロイル」との総称である。
[変性液状ジエン系ゴム(A)]
本発明の硬化性樹脂組成物に用いる変性液状ジエン系ゴム(A)とは、液状の重合体であり、38℃で測定したその溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にあり、未変性の液状ジエン系ゴム(A’)に変性化合物を付加することにより得られる物をいう。
本発明の硬化性樹脂組成物に上記変性液状ジエン系ゴム(A)を含ませることにより、低粘度で作業性に優れるだけでなく、該硬化性樹脂組成物から製造できる硬化物は柔軟性に優れ、高強度となる。
変性液状ジエン系ゴム(A)の原料となる上記未変性の液状ジエン系ゴム(A’)としては、共役ジエン(a1)を含む単量体を後述の方法で重合して得られる重合体、及び該重合体に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を水素添加した重合体が好ましい。
共役ジエン(a1)としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、及びクロロプレンなどが挙げられる。これら共役ジエンの中でも、ブタジエン又はイソプレンが好ましい。これら共役ジエンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン(a1)を含む単量体には、上記共役ジエン(a1)に加え、他の共重合体可能な単量体、例えば、芳香族ビニル化合物(b2)が含まれていてもよい。芳香族ビニル化合物(a2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中では、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(A’)における、共役ジエン(a1)単位及び芳香族ビニル化合物(a2)単位の合計に対する芳香族ビニル化合物(a2)単位の割合は、後述する(メタ)アクリレート単量体(B)との相容性、粘度低減、硬化後の良好な柔軟性などの観点から50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(A’)は、例えば、乳化重合法又は溶液重合法等により製造できる。
上記乳化重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、所定量の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及びロジン酸塩などが挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩などが挙げられる。
分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる液状ジエン系ゴム(A’)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、通常0〜100℃の範囲、好ましくは0〜60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、液状ジエン系ゴム(A’)を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって液状ジエン系ゴム(A’)を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、未変性の液状ジエン系ゴム(A’)が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展した液状ジエン系ゴム(A’)として回収してもよい。
上記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、共役ジエンを含む単量体を重合する。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。
有機アルカリ金属化合物の使用量は、未変性の液状ジエン系ゴム(A’)及び変性液状ジエン系ゴム(A)の溶融粘度、分子量などに応じて適宜設定できるが、共役ジエンを含む全単量体100質量部に対して、通常0.01〜3質量部の量で使用される。
上記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン部位のミクロ構造を調整するため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して、通常0.01〜1000モルの量で使用される。
溶液重合の温度は、通常−80〜150℃の範囲、好ましくは0〜100℃の範囲、より好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、未変性の液状ジエン系ゴム(A’)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより未変性の液状ジエン系ゴム(A’)を単離できる。
未変性の液状ジエン系ゴム(A’)の製造方法としては、上記方法の中でも、溶液重合法が好ましい。
このようにして得られた未変性の液状ジエン系ゴム(A’)は、そのまま後述する官能基による変性が行われてもよいが、その液状ジエン系ゴム中に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を水素添加した後に変性が行われてもよい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(A’)は種々の官能基により変性され、変性ジエン系ゴム(A)として用いられる。官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、メルカプト基、イソシアネート基、ニトリル基、酸無水物基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
変性液状ジエン系ゴム(A)の製造方法としては、例えば、上記未変性の液状ジエン系ゴム(A’)に重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、ジブチル錫クロリド、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤である変性化合物や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルイミダゾリジノン等の重合末端変性化合物、又は特開2011−132298号公報に記載のその他の変性化合物を添加し、未変性のジエン系ゴム(A’)に付加する方法が挙げられる。
また、後述する(メタ)アクリレート単量体(B)に対する相容性等の観点から、単離後の未変性の液状ジエン系ゴム(A’)に不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体を変性化合物として付加するグラフト反応により製造された変性液状ジエン系ゴム(A)が、本発明では好ましく用いられる。
上記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
また、上記不飽和カルボン酸誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル、マレイン酸アミド、フマル酸アミド、イタコン酸アミドなどの不飽和カルボン酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸イミドなどの不飽和カルボン酸イミドなどが挙げられる。
これらの中でも、経済性等の観点から、無水マレイン酸を変性化合物として用い、未変性の液状ジエン系ゴム(A’)に無水マレイン酸を付加して得られた無水マレイン酸変性液状ジエン系ゴムが好ましい。
変性化合物を未変性の液状ジエン系ゴム(A’)に付加させる方法は特に限定されず、例えば、液状ジエン系ゴム中に不飽和カルボン酸又はその誘導体、更に必要に応じてラジカル触媒を加えて、有機溶媒の存在下又は非存在下に、加熱する方法を採用することができる。
上記方法で使用される有機溶媒としては、一般的には炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これら有機溶媒の中でも、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
また、上記方法で使用されるラジカル触媒としては、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。これらラジカル触媒の中でも、アゾイソブチロニトリルが好ましい。
また、(メタ)アクリレート単量体(B)との相容性を改善する等の観点から、上記の様に、不飽和カルボン酸を未変性の液状ジエン系ゴム(A’)に付加して不飽和カルボン酸変性液状ジエン系ゴムを得た後に、更にその不飽和カルボン酸変性液状ジエン系ゴムと、アルコール等の水酸基含有化合物、アンモニア、アミン等のアミノ基含有化合物などを反応させて、不飽和カルボン酸エステル変性液状ジエンゴム、不飽和カルボン酸アミド変性液状ジエン系ゴム、又は不飽和カルボン酸イミド変性液状ジエン系ゴムを製造して、これを変性液状ジエン系ゴム(A)として用いてもよい。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化する際に、(メタ)アクリレート単量体(B)により形成される架橋ネットワーク中により強固に変性液状ジエン系ゴム(A)を取り込ませ、硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の柔軟性、伸度等の力学物性特性を充分に発揮させる観点から、不飽和カルボン酸変性液状ジエン系ゴムと反応させる水酸基含有化合物として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いて、(メタ)アクリロイル基変性液状ジエン系ゴムを製造し、変性液状ジエン系ゴム(A)として用いるのが好ましい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これら水酸基含有(メタ)アクリレートの中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
変性液状ジエン系ゴム(A)の変性化合物の付加反応率は40〜100mol%であり、60〜100mol%であることが好ましく、80〜100mol%であることがより好ましく、90〜100mol%であることが更に好ましい。付加反応率が上記範囲にあると、得られる変性液状ジエン系ゴム(A)に、変性化合物又は変性化合物に由来する低分子化合物が残存することが少なくなるため、これら化合物に由来する悪影響、例えば無水マレイン酸などの酸性成分に由来すると思われる保存安定性の悪化や、透明性悪化などの悪影響をより抑制することができる。変性化合物の付加反応率は、例えば、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体を変性化合物として用いた場合、変性反応後の試料において洗浄前後の酸価を比較すること等により、未反応の変性化合物の量を算出し、求めることができる。また、核磁気共鳴分光法等を用いて変性反応前後のスペクトルの強度比から、付加した変性化合物量を算出することによっても求めることができる。
特定の付加反応率にある変性液状ジエン系ゴム(C)を製造する手法としては、変性化合物を付加する反応を適切な反応温度において、充分な反応時間で反応させることが有効である。例えば、未変性の液状ジエン系ゴム(C’)に無水マレイン酸を付加させる反応における温度は100〜200℃が好ましく、120℃〜180℃がより好ましい。また反応時間は3〜200時間が好ましく、4〜100時間がより好ましく、5〜50時間が更に好ましい。
変性液状ジエン系ゴム(A)中に付加された変性化合物量に、厳密な意味での制限はないが、得られるゴム組成物及び架橋物における特性を十分に発揮させる観点から、未変性重合体100質量部に対して0.05〜40質量部の範囲が好ましく、0.1〜30質量部の範囲がより好ましく、0.1〜20質量部の範囲が更に好ましい。付加された変性化合物量が40質量部より多い場合には得られる硬化性樹脂組成物の柔軟性、接着性、粘着性が低下する傾向があり、0.05質量部より低い場合には得られる硬化性樹脂組成物の(メタ)アクリレート単量体(B)への相容性が低下する傾向がある。
また、変性液状ジエン系ゴム(A)として(メタ)アクリロイル基変性液状ジエン系ゴムを用いた場合には、その(メタ)アクリル当量(アクリル当量及びメタアクリル当量の合計を意味する)が700〜20,000g/eqの範囲であることが好ましく、1,100〜15,000g/eqであることがより好ましく、2,000〜10,000g/eqであることが更に好ましい。変性液状ジエン系ゴム(A)の(メタ)アクリル当量が上記範囲にあることにより、柔軟性の高い硬化物が得られる。なお、本明細書における(メタ)アクリル当量とは、(メタ)アクリロイル基1個当たりの分子量を意味する。
なお、変性液状ジエン系ゴム(A)中に付加された変性化合物量及び(メタ)アクリル当量は、変性化合物の付加反応率を基に算出することもできるし、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の各種分析機器を用いて求めることもできる。
この変性液状ジエン系ゴム(A)において、官能基が導入される位置については重合末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよい。また上記官能基は1種単独で含まれていてもよく2種以上含まれていてもよい。したがって、変性液状ジエン系ゴム(A)は、変性化合物1種により変性されたものであってもよく、また2種以上の変性化合物で変性されていてもよい。
上記変性液状ジエン系ゴム(A)の38℃で測定した溶融粘度は0.1〜3,000Pa・sの範囲にあるが、好ましくは0.8〜2,000Pa・sの範囲、より好ましくは10〜1,000Pa・sの範囲にある。変性液状ジエン系ゴム(A)の溶融粘度が前記範囲内であると、硬化性樹脂組成物を製造する際の作業性に優れるだけでなく、(メタ)アクリレート単量体(B)との相容性を向上させることができ、硬化後のブリードアウトを低減できる傾向にある。なお、本発明において変性液状ジエン系ゴム(A)の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
変性液状ジエン系ゴム(A)の最大ピーク分子量(Mt)は3,000〜120,000であり、4,000〜110,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましく、6,000〜90,000が更に好ましく、7,000〜70,000がより更に好ましい。上記液状ジエン系ゴム(A)のMtが前記範囲内であると、粘度が低く作業性に優れ、活性エネルギー線による硬化速度が速く、硬化後の柔軟性に富む硬化性樹脂組成物が得られる。なお、本発明において液状ジエン系ゴム(A)のMtは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の最大ピーク分子量である。
上記変性液状ジエン系ゴム(A)では、そのGPC測定により得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%の範囲にあることに特徴がある。このような高分子量成分が少なく、粘度が相対的に低い変性液状ジエン系ゴム(A)を硬化性樹脂組成物に配合することにより、その組成物を製造する際の作業性が優れるだけでなく、透明性及び強度に優れた硬化物を作製できる。また、この組成物の保存性にも優れる。その理由の詳細は明らかではないが、未変性液状ジエン系ゴムを変性する際に生じる、上記分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体、典型的にはカップリング体などの副生成物に由来する高分子量体の含有量が少なく、また、効率的に液状ジエン系ゴムの変性反応が行われることにより、液状ジエン系ゴムの変性には用いられなかった変性化合物に由来する物質の残存量が少ないため作業性に優れると共に、保存安定性に問題が生じることがなく、硬化の際にも十分に硬化速度が大きくなり、該組成物から得られる硬化物においても、透明性の低下、力学物性の低下等の悪影響が生じないためではないかと推定される。
低粘度化、活性エネルギー線による速硬化、硬化膜の良好な柔軟性などの観点からは、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、0〜15%の範囲であることが好ましく、0〜10%の範囲であることがより好ましい。なお、本発明において、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、後述する実施例に記載した条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定した際に得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%とした際の、当該領域にある重合体の面積比から求めた値である。
このような特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(A)を製造する手法としては、未変性の液状ジエン系ゴム(A’)を精製し、変性化合物を付加する反応を阻害する成分を十分に除去することが挙げられる。精製する方法としては、水若しくは温水、又は、メタノール、アセトンなどに代表される有機溶媒若しくは超臨界流体二酸化炭素による洗浄が好ましい。
また、特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(A)を合成する手法としては、変性化合物を付加する反応時における老化防止剤の添加も有効である。この時に用いる好ましい老化防止剤としては、例えば、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(AO−40)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(AO−80)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1520L)、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1726)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジt−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジt−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer GS)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer GM)、6−t−ブチル−4−[3−(2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)プロピル]−2−メチルフェノール(Sumilizer GP)、亜りん酸トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)(Irgafos 168)、ジオクタデシル3,3’−ジチオビスプロピオネート、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(ノクラック6C)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(LA−77Y)、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン(Irgastab FS 042)、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン(Irganox 5057)等が挙げられる。上記老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の添加量は、未変性の液状ジエン系ゴム(A’)又は変性液状ジエン系ゴム(A)100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
更に、特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(A)を合成する手法としては、変性化合物を付加する反応中の適切な温度管理も有効である。例えば、未変性液状ジエンゴム(A’)に無水マレイン酸を付加させる反応における温度は、100〜200℃が好ましく、120℃〜180℃がより好ましい。
これらの特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(C)を製造する手法は、2つ以上を組み合わせて行ってもよく、3つとも行ってもよい。
変性液状ジエン系ゴム(A)の重量平均分子量(Mw)は1,000〜500,000が好ましく、2,000〜400,000がより好ましく、3,000〜300,000が更に好ましく、5,000〜300,000がより更に好ましい。上記変性液状ジエン系ゴム(A)のMwが前記範囲内であると、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化後のブリードアウトを低減し、(メタ)アクリレート単量体(B)との相容性を向上させることができる傾向にある。
変性液状ジエン系ゴム(A)の分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0が更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる変性液状ジエン系ゴム(A)の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
変性液状ジエン系ゴム(A)のガラス転移温度(Tg)は、共役ジエン(a1)に由来する単位のビニル含量、共役ジエン(a1)の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含量などによって変化し得るが、−100〜10℃が好ましく、−100〜0℃がより好ましく、−100〜−5℃が更に好ましい。Tgが上記範囲であると、例えば、硬化性樹脂組成物の塗工性や硬化後の低温における機械強度及び柔軟性が良好となる。変性液状ジエン系ゴム(A)のビニル含量は99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
上記変性液状ジエン系ゴム(A)は1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
[(メタ)アクリレート単量体(B)]
本発明の硬化性樹脂組成物には、(メタ)アクリレート単量体(B)が含まれる。これら(メタ)アクリレート単量体としては、後述する活性エネルギー線重合開始剤(C)で重合することができる限り特に制限はない。上記(メタ)アクリレート単量体(B)としては、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の多価(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキルモノ(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式モノ(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のジシクロペンテニル基含有モノ(メタ)アクリレート;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアリールモノ(メタ)アクリレート;フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のフェノキシ基含有モノ(メタ)アクリレート;ブチルエトキシ(メタ)アクリレート、ブチルエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキルモノ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシジアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、へプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素基含有(メタ)アクリレート;ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モルフォリン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のエステル基含有ジオール骨格を有するジ(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の脂環式ジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシプロピルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビス(ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)、プロポキシ化ビスフェノールAビス(ヒドロキシフロロピル(メタ)アクリレート)などが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン型多価(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール型多価(メタ)アクリレート;トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート型多価(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これら(メタ)アクリレート単量体(B)の中でも、アルキルモノ(メタ)アクリレート、脂環式モノ(メタ)アクリレート、シクロペンテニル基含有モノ(メタ)アクリレート、アリールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシ基含有モノ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、アルコキシジアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フッ素基含有(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート及びアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、脂環式ジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレートが好ましく、アルキルモノ(メタ)アクリレート、脂環式モノ(メタ)アクリレート、シクロペンテニル基含有モノ(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートが更に好ましい。
上記(メタ)アクリレート単量体(B)は1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、上記変性液状ジエン系ゴム(A)及び(メタ)アクリレート単量体(B)との質量比[(A)/(B)]は0.01〜100であり、好ましくは0.05〜50、より好ましくは0.1〜25、更に好ましくは0.1〜15、より更に好ましくは0.1〜10である。変性液状ジエン系ゴム(A)と(メタ)アクリレート単量体(B)との配合割合が上記範囲にあることにより、低粘度で作業性に優れ、硬化時の体積変化が小さく、硬化後の柔軟性が良好な硬化性樹脂組成物が得られる。
[活性エネルギー線重合開始剤(C)]
本発明の硬化性樹脂組成物には、活性エネルギー線重合開始剤(C)が含まれる。このような活性エネルギー性重合開始剤(C)が含まれることにより、活性エネルギー線が本発明の硬化性樹脂組成物に照射されると、その組成物に含まれる(メタ)アクリレート単量体(B)などの重合が可能となり、硬化物を製造できる。本発明の硬化性樹脂組成物で使用される活性エネルギー線としては、電磁波、粒子線及びこれらの組み合わせが挙げられる。電磁波としては紫外線(UV)、可視光線、赤外線、γ線、X線などが挙げられ、粒子線としては電子線(EB)、α線などが挙げられる。これら活性エネルギー線の中でも、紫外線(UV)及び電子線(EB)が好ましい。
活性エネルギー線として紫外線(UV)によって硬化を行う場合には、活性エネルギー線重合開始剤(C)として光重合開始剤を用いることが好ましく、ラジカル系光重合開始剤を用いることがより好ましい。
ラジカル系光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのケトン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン類;1,2−オクタンジオン−1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル類; オキシフェニル酢酸2−〔2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ〕エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルなどのオキシフェニル酢酸エステル類などが挙げられる。これらラジカル系光開始剤の中でも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのケトン類、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド類が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、変性液状ジエン系ゴム(A)及び(メタ)アクリレート単量体(B)の合計100質量部に対する活性エネルギー線重合開始剤(C)の含有量は0.1〜20質量部であり、0.5〜15質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましく、1.5〜6質量部が更に好ましい。活性エネルギー線重合開始剤(C)の含有量が前記範囲内であると、硬化速度と硬化後の力学物性の点で好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、硬化促進剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、軟化剤、消泡剤、顔料、染料、有機充填剤、香料などの添加剤を添加してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、変性液状ジエン系ゴム(A)、(メタ)アクリレート単量体(B)、活性エネルギー線重合開始剤(C)及び必要に応じて添加される添加剤等を室温下、攪拌機やニーダーなどの通常の混合手段を用いて混合することで製造することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物から硬化物を製造する方法は、特に制限されないが、例えば、上述した活性エネルギー線を発生可能な種々の装置から、活性エネルギー線を硬化性樹脂組成物に照射することにより、硬化物を製造できる。
硬化物を製造する際に電子線(EB)を用いる場合には、線源として例えばタングステンフィラメントが挙げられる。電子線(EB)により硬化物を製造する際には、加速電圧としては通常0.1〜10MeV、照射線量としては通常1〜500kGyの範囲が好適である。
硬化物を作製する際に紫外線(UV)を用いる場合には、線源として例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線用水銀灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、蛍光灯、自然光に含まれる紫外線などが挙げられる。紫外線(UV)により硬化物を作製する際には、放射波長が200nm〜450nmのランプが好適である。
なお、活性エネルギー線の硬化性樹脂組成物への照射時間は、エネルギーの大きさによっても異なるが、概ね0.5〜300秒の範囲である。
本発明の硬化性樹脂組成物は作業性に優れ、活性エネルギー線による硬化速度が大きく、保存安定性に優れる。また、その組成物から得られる硬化物は透明性に優れ、しかも強度等の力学物性に優れる。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物は、接着剤、粘着剤(接着剤及び粘着剤を粘接着剤ということがある)、コーティング剤、封止材、インキなどの用途に好適に用いることができる。粘接着剤の用途としては、例えばデジタルバーサティルディスク(DVD)などの光ディスクの貼り合せ用途、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイに使用される光学フィルムの張り合わせ用途、カメラやDVD、コンパクトディスク(CD)再生用光ヘッドに用いられる光学レンズの接着用途、光ファイバなど光学部材の接着用途等の光学用途、半導体などの精密部品とプリント配線板との接着用途、半導体製造のダイシング工程においてウェハーを保持するダイシングテープとしての用途等の電気・電子部材用途などが挙げられる。コーティング剤の用途としては、例えば自動車用ヘッドランプのコーティング用途、光ファイバのコーティング用途等のなどが挙げられる。封止材の用途としては、例えば液晶表示素子、半導体などの精密部品の封止材用途などが挙げられる。インキの用途としては、例えば半導体やプリント配線板の製造の際に使用されるレジストインキの用途、アルミホイル紙、ポリエチレンコート紙、塩化ビニルシート、ポリエステルシート、ポリプロピレンシート、食缶、飲料缶などの印刷に使用する印刷インキの用途などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<変性液状ジエン系ゴム(A)>
後述の製造例1〜5で得られた変性液状ポリイソプレン
<(メタ)アクリレート単量体(B)>
B−1: 単官能メタクリレート ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(商品名 FA−512M:日立化成株式会社製)
Figure 2015086283
<活性エネルギー線重合開始剤(C)>
C−1: 光ラジカル重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名 DAROCUR 1173:BASF社製)
製造例1:変性液状ポリイソプレン(A−1)の製造
(1)十分に乾燥した耐圧容器を窒素置換し、この耐圧容器に、ヘキサン600g、及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)44.9gを仕込み、70℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を70℃となるように制御しながら、イソプレン2050gを加えて1時間重合した。その後、メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合溶液(2695g)を得た。得られた重合反応液に水を添加して撹拌し、水で重合反応液を洗浄した。撹拌を終了し、重合溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合反応液を70℃で12時間乾燥することにより、未変性液状ポリイソプレン(X’−1)を得た。
(2)続いて、窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ポリイソプレン(X’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gと2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)3.0gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(X−1)を得た(無水マレイン酸の付加反応率は99mol%)。
(3)引き続いて2−ヒドロキシエチルメタクリレート6.3g、ヒドロキノン0.15g、N,N−ジメチルベンジルアミン0.9gを加え、80℃で6時間反応させることで、分子内にメタクリロイル基を有する変性液状ポリイソプレン(A−1)を得た。なお、未変性液状ポリイソプレン(X’−1)に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートの付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(A−1)のメタクリル当量は6700g/eqであった。得られた変性液状ポリイソプレン(A−1)の物性を表1に示す。
製造例2:変性液状ポリイソプレン(A−2)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1(1)と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(X’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(X−2)を得た(無水マレイン酸の付加反応率は99mol%)。
上記で得られた変性液状ポリイソプレン(X−2)を用いた以外は製造例1(3)と同様に反応を行い、分子内にメタクリロイル基を有する変性液状ポリイソプレン(A−2)を得た。なお、未変性液状ポリイソプレン(X’−1)に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートの付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(A−2)のメタクリル当量は6700g/eqであった。得られた変性液状ポリイソプレン(A−2)の物性を表1に示す。
製造例3:変性ポリイソプレン(A−3)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1(1)と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(X’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(X−3)を得た(無水マレイン酸の付加反応率は99mol%)。
上記で得られた変性液状ポリイソプレン(X−3)を用いた以外は製造例1(3)と同様に反応を行い、分子内にメタクリロイル基を有する変性液状ポリイソプレン(A−3)を得た。なお、未変性液状ポリイソプレン(X’−1)に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートの付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(A−3)のメタクリル当量は6700g/eqであった。得られた変性液状ポリイソプレン(A−3)の物性を表1に示す。
製造例4:変性液状ポリイソプレン(A−4)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1(1)と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(X’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で150分間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(X−4)を得た(無水マレイン酸の付加反応率は35mol%)。
上記で得られた変性液状ポリイソプレン(X−4)を用いた以外は製造例1(3)と同様に反応を行い、分子内にメタクリロイル基を有する変性液状ポリイソプレン(A−4)を得た。なお、未変性液状ポリイソプレン(X’−1)に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートの付加反応率は35%、変性液状ポリイソプレン(A−4)のメタクリル当量は16000g/eqであった。得られた変性液状ポリイソプレン(A−4)の物性を表1に示す。
製造例5:変性液状ポリイソプレン(A−5)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1(1)と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(X’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で30分間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(X−5)を得た(無水マレイン酸の付加反応率は10mol%)。
上記で得られた変性液状ポリイソプレン(X−5)を用いた以外は製造例1(3)と同様に反応を行い、分子内にメタクリロイル基を有する変性液状ポリイソプレン(A−5)を得た。なお、未変性液状ポリイソプレン(X’−1)に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートの付加反応率は10mol%、変性液状ポリイソプレン(A−5)のメタクリル当量は67000g/eqであった。得られた変性液状ポリイソプレン(A−5)の物性を表1に示す。
なお、変性液状ジエン系ゴム(A−1)〜(A−5)の各物性値の測定方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量及び分子量分布の測定方法)
製造例で得た変性液状ジエン系ゴム(A)のMw、Mw/Mn及びMtはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
なお、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、上記条件によるGPC測定で得られたGPCクロマトグラムから、Mt×1.45以上の領域にある重合体の面積を求めて、重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%とした際の面積比として求めた。
(溶融粘度の測定方法)
製造例で得た変性液状ジエン系ゴム(A)の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
製造例で得た変性液状ジエン系ゴム(A) 10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(付加反応率)
日本電子株式会社製1H−NMR(500MHz)を使用し、サンプル/重クロロホルム=100mg/1mLの濃度、積算回数512回、測定温度50℃で測定した。
まず、変性反応前の液状ジエン系ゴム及び無水マレイン酸の混合物の1H−NMRを測定し、液状ジエン系ゴムの二重結合に由来するピーク面積と、無水マレイン酸の二重結合に由来するピーク面積との強度比(1)を算出した。次に、変性反応後、メタノールで洗浄した変性液状ジエン系ゴムの1H−NMRを測定し、液状ジエン系ゴムの二重結合に由来するピーク面積と、該液状ジエン系ゴムに付加した無水マレイン酸の二重結合に由来するピーク面積との強度比(2)を算出した。強度比(1)に対する強度比(2)の割合から、無水マレイン酸の重合体に対する付加反応率を算出した。2−ヒドロキシエチルメタクリレートの付加反応率についても同様の手法で算出した。
(メタクリル当量)
日本電子株式会社製1H−NMR(500MHz)を使用し、サンプル/重クロロホルム=100mg/1mLの濃度、積算回数512回、測定温度50℃で測定した。
得られたスペクトルのメタクリロイル基の二重結合に由来するピークと、重合体主鎖に由来するピークとの面積比から、メタクリロイル基の重合体重量に対する当量を算出した。
Figure 2015086283
(実施例1〜2及び比較例1〜3)
変性液状ポリイソプレン(A−1)〜(A−5)、(メタ)アクリレート単量体(B−1)、重合開始剤(C−1)を、表2に示す割合でステンレス製300mL容器に投入し、室温下、攪拌翼を用いて20分混合することにより樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を下記方法により評価した。結果を表2に示す。
なお、各評価の測定方法は以下のとおりである。
(1)粘度
実施例及び比較例の硬化性樹脂組成物の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
(2)硬化時UV照射量
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、縦70mm、横70mm、厚さ0.5mmの型枠に注入し、組成物表面を厚さ50μmのPETフィルムで覆った硬化用試料を6つ作製した。
その後、UV照射装置(株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション製、水銀ランプとしてHAK125L−Fを使用)を用い、照度30mW/cm2、コンベアー速度2m/minに設定し(1回の操作でのUV照射量:150mJ/cm2)、この条件でのUV照射操作をそれぞれ1回(UV照射量合計:150mJ/cm2)、2回(UV照射量合計:300mJ/cm2)、4回(UV照射量合計:600mJ/cm2)、6回(UV照射量合計:900mJ/cm2)、8回(UV照射量合計:1,200J/cm2)、16回(UV照射量合計:2,400mJ/cm2)行った硬化物試料を6つ作製した。これら硬化物試料からPETフィルムを剥がした後、得られた硬化物をまず秤量し、その後この硬化物をトルエン中に室温で24時間浸漬させ、200メッシュの金網で不溶部をろ別し、洗浄した後80℃で12時間真空乾燥し、この乾燥後のトルエン不溶部を秤量した。これらの結果から、下記の式に従って各UV照射量における試料のゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(トルエン不溶部の質量)/(トルエン浸漬前の硬化物の質量)×100
当試験によって得られたゲル分率とUV照射量との関係から、ゲル分率が80%に到達したときのUV照射量を概算し、この値を硬化時に要したUV照射量とした。
(3)破断強度
実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、縦70mm、横70mm、厚さ0.5mmの型枠に注入し、組成物表面を厚さ50μmのPETフィルムで覆った後、UV照射装置(株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション製、水銀ランプとしてHAK125L−Fを使用)を用い、照度45mW/cm2、コンベアー速度0.25m/minに設定し、1回の作業で1000mJ/cm2のUVを照射した。このUV照射を更に2回、(トータルで3回)繰り返し硬化物を得た。硬化物よりPETフィルムを剥がした後、幅6mm、長さ70mmの短冊状のサンプルを打ち抜き、50mm/minの引っ張り速度で引っ張り試験を行った際の破断強度をインストロン社製引張試験機により測定した。
(4)外観
上記(3)において得られた硬化物の外観を、目視により観察して評価した。
○:無色透明
△:若干の着色が認められるが透明
×:明らかな着色又は濁りが見られる
(5)保存安定性
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、3ヶ月間遮光下、室温で保存した後、目視観察及び上記(1)と同様の手法により、外観と粘度の変化を評価した。
○:変化なし
△:若干の黄変
×:変色及び粘度の増加
Figure 2015086283
実施例1又は2と比較例1とを比較すると、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が本発明の範囲内である変性液状ポリイソプレンを用いた樹脂組成物は、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が本発明の範囲外である変性液状ポリイソプレン(A−3)を用いた樹脂組成物よりも溶融粘度が低く、硬化の際に要する活性エネルギー線量が少なく、硬化後の強度が高いことが分かる。
また、実施例1又は2と比較例2又は3とを比較すると、変性化合物の付加反応率の低い変性液状ポリイソプレンを用いると、得られる樹脂組成物の保存安定性が悪化し、更に硬化の際に多量の活性エネルギー線を必要とし、かつ硬化後の外観及び強度にも劣ることが分かる。
本発明で得られる硬化性樹脂組成物は作業性に優れ、活性エネルギー線による硬化速度が大きく、保存安定性に優れる。またこの組成物から得られる硬化物は、透明性に優れしかも強度等の力学物性に優れる。そのため、接着剤、粘着剤、コーティング剤、封止材、インキ等として、光学用途、電気・電子部材用途等の種々の用途に好適であり、有用な材料である。

Claims (2)

  1. 変性液状ジエン系ゴム(A)、(メタ)アクリレート単量体(B)及び活性エネルギー線重合開始剤(C)を含み、変性液状ジエン系ゴム(A)と(メタ)アクリレート単量体(B)との質量比[(A)/(B)]が0.01〜100であり、変性液状ジエン系ゴム(A)と(メタ)アクリレート単量体(B)の合計100質量部に対して、活性エネルギー線重合開始剤(C)を0.1〜20質量部含む樹脂組成物であり、前記変性液状ジエン系ゴム(A)が、下記(I)〜(III)の要件を満たす硬化性樹脂組成物。
    (I)変性液状ジエン系ゴム(A)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜3,000Pa・sの範囲にある。
    (II)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した際、最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜120,000の範囲であり、得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%である。
    (III)変性液状ジエン系ゴム(A)が、変性化合物を液状ジエン系ゴム(A’)に付加して得られたものであり、変性化合物の付加反応率が40〜100mol%である。
  2. 変性液状ジエン系ゴム(A)が(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
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