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JP2015068943A - 反射スクリーン及びその製造方法並びに映像表示システム - Google Patents

反射スクリーン及びその製造方法並びに映像表示システム Download PDF

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JP2015068943A JP2013202050A JP2013202050A JP2015068943A JP 2015068943 A JP2015068943 A JP 2015068943A JP 2013202050 A JP2013202050 A JP 2013202050A JP 2013202050 A JP2013202050 A JP 2013202050A JP 2015068943 A JP2015068943 A JP 2015068943A
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Abstract

【課題】割れや剥がれの発生を防止した光吸収層を備える、外観が良好な反射スクリーン及びその製造方法の提供。
【解決手段】本発明による反射スクリーンは、レンズ面及び非レンズ面を備える単位レンズが複数配列されたフレネルレンズ形状を背面側に有するレンズ層と、レンズ層の前記レンズ面上に形成される反射層と、レンズ層及び前記反射層の背面側に形成される光吸収層と、を備えてなり、単位レンズの略三角形状の頂部から前記光吸収層の背面側の端までの寸法が4〜7μmであり、光吸収層が、−20〜40℃のTgを有する樹脂と、光吸収材料とを含むものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、投射された映像光を反射して画面に映像を表示する反射スクリーン及びその製造方法、並びに該反射スクリーンを備える映像表示システムに関するものである。
近年、反射型や透過型等の各種スクリーンを備える表示装置や表示システムが、様々な用途で利用され、その光学特性等に関して、様々な開発が行われている。例えば、反射スクリーンでは、至近距離から比較的大きな入射角度で映像光を投写して大画面表示を実現する短焦点型の映像投射装置(プロジェクタ)等が広く利用されており、このような短焦点型の映像投射装置に対応した反射スクリーンの開発が行われている(例えば、特許文献1)。
このような短焦点型の映像投射装置は、反射スクリーンに対して、上方又は下方から従来の映像源よりも大きな角度で映像光を投射することができ、反射スクリーンを用いた映像表示システムの省スペース化等に寄与している。
特開2008−76523号公報 特開2013−68676号公報
上述のような短焦点型の映像投射装置に対応した反射スクリーンでは、各レンズ形状を構成する単位レンズのレンズ形状の表面に反射層を形成し、投影された映像光を反射して映像を表示する。このような反射スクリーンの中には、映像光の反射に寄与しない非レンズ面に光を吸収する作用を有する光吸収層を形成することにより、外光や迷光等を吸収させ、コントラストの向上等を図ったものがある(例えば、特許文献2)。しかし、本発明者らは、光吸収層を形成する際に、光吸収層形成用樹脂組成物の乾燥収縮によりレンズ層の頂部付近で割れが発生し、光漏れが起こるという技術的課題を知見した。
本発明は、上記の背景技術および新たに知見した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、割れや剥がれの発生を防止した光吸収層を備える、外観が良好な反射スクリーン及びその製造方法の提供することにある。また、良好な映像を表示可能な該反射スクリーンを備える映像表示システムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の樹脂を含む光吸収層形成用樹脂組成物を用いて、光吸収層を特定の厚みで形成することで、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
映像源から投射される映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、
レンズ面及び非レンズ面を備え、背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたレンズ層と、
少なくとも前記レンズ面上に形成され、光を反射する反射層と、
前記レンズ層及び前記反射層の背面側に形成される、光吸収層と、
を備えてなり、
前記単位レンズの略三角形状の頂部から前記光吸収層の背面側の端までの寸法が4〜7μmであり、
前記光吸収層が、−20〜40℃のTgを有する樹脂と、光吸収材料とを含む、反射スクリーンが提供される。
本発明の態様においては、前記樹脂が、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、及びアクリルウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記光吸収材料が、黒色顔料を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記レンズ層が、フレネルレンズ形状を有することが好ましい。
本発明の他の態様によれば、
映像源から投射される映像光を反射させて観察可能に表示し、
レンズ面及び非レンズ面を備え、背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたレンズ層と、
少なくとも前記レンズ面上に形成され、光を反射する反射層と、
前記レンズ層及び前記反射層の背面側に形成される光吸収層と、
を備えてなる、反射スクリーンの製造方法であって、
前記レンズ面上に、光を反射する反射層を形成する工程と、
前記レンズ層及び前記反射層が形成された面に、−20〜40℃のTgを有する樹脂と、光吸収材料とを含む光吸収層形成用樹脂組成物を塗布して、光吸収層を形成する工程と、
を含んでなり、
前記単位レンズの略三角形状の頂部から前記光吸収層の背面側の端までの寸法が4〜7μmである、反射スクリーンの製造方法が提供される。
本発明の更なる他の態様によれば、
上記の反射スクリーンと、
前記前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備えてなる、映像表示システムが提供される。
本発明によれば、割れや剥がれの発生を防止した光吸収層を備える、外観が良好な反射スクリーン及びその製造方法を提供することができる。また、良好な映像を表示可能な該反射スクリーンを備える映像表示システムを提供することができる。
実施形態の映像表示システム1を説明する図である。 実施形態の反射スクリーン10の層構成を説明する図である。 実施形態のレンズ層13を説明する図である。 実施例1の反射スクリーンの断面の電子顕微鏡写真である。 比較例1の反射スクリーンの断面の電子顕微鏡写真である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。さらに、本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
図1は、本実施形態の映像表示システム1を説明する図である。図1(a)は、映像表示システム1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示システム1の側面図である。映像表示システム1は、反射スクリーン10、映像源LS等を有している。この映像表示システム1は、映像源LSから投影された映像光Lを反射スクリーン10が反射して、その画面上に映像を表示する。本実施形態の映像表示システム1は、フロントプロジェクションテレビシステム等として用いることができる。
映像源LSは、映像光Lを反射スクリーン10へ投射する映像光投射装置である。本実施形態の映像源LSは、汎用の短焦点型プロジェクタである。この映像源LSは、使用状態において、反射スクリーン10の画面を正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、反射スクリーン10の画面左右方向において中央であって、反射スクリーン10の画面(表示領域)よりも下方側であって観察者側となる位置に配置されている。映像源LSは、反射スクリーン10のスクリーン面の法線方向(反射スクリーン10の厚み方向)における反射スクリーン10との距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から映像光Lを投射できる。即ち、この映像源LSは、従来の汎用プロジェクタに比べて、反射スクリーン10までの投射距離が短く、その映像光Lの反射スクリーン10に対する入射角度が従来のものに比べて大きい。
なお、スクリーン面とは、この反射スクリーン10全体として見たときにおける、反射スクリーン10の平面方向となる面を示すものとする。本実施形態において、反射スクリーン10のスクリーン面は、反射スクリーン10の画面に平行である。
反射スクリーン10は、映像源LSが投射した映像光Lを観察者O側へ向けて反射し、映像を表示するスクリーンである。使用状態において、本実施形態の反射スクリーン10の画面は、観察者O側から見て、長辺方向が画面左右方向となる略矩形状であるとする。以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、この反射スクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であるとする。
反射スクリーン10は、その背面側に、平板状の支持板50が、粘着材等からなる不図示の接合層を介して設けられており、この支持板50により、その平面性を維持している。なお、これに限らず、反射スクリーン10は、不図示の枠部材等によって支持され、その平面性を維持する形態としてもよい。この支持板50は、剛性が高く、光透過性を有しない平板状の部材である。この反射スクリーン10は、例えば、対角80インチや100インチ等の大きな画面(表示領域)を有している。
図2は、本実施形態の反射スクリーン10の層構成を説明する図である。図2では、反射スクリーン10の画面(表示領域)の幾何学的中心となる点A(図1(a)、(b)参照)を通り、画面上下方向に平行であって、スクリーン面に直交(厚み方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。反射スクリーン10は、その映像源側(観察者側)から順に、表面層15、基材層14、レンズ層13、反射層12、光吸収層11等を備えている。以下に、各層について説明する。
基材層14は、観察者側に、表面層15が一体に形成され、背面側(裏面側)に、レンズ層13が一体に形成されている。この基材層14は、レンズ層13を形成する基材(ベース)となる層である。基材層14は、光拡散層141と、着色層142とを有し、これらが一体に積層されている。本実施形態では、図2(a)に示すように、光拡散層141が背面側であり、着色層142が観察者側(映像源側)に位置する例を示したが、これに限らず、光拡散層141が観察者側に位置し、着色層142が背面側に位置する形態としてもよい。
光拡散層141は、光透過性を有する樹脂と、光を拡散する拡散材とを含み、光を拡散する作用を有する層である。この光拡散層141は、視野角を広げたり、明るさの面内均一性の向上を図ったりする機能を有する。光拡散層141を形成する樹脂としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、アクリル系樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂等を用いることができる。
この光拡散層141の厚さは、反射スクリーン10の画面サイズにもよるが、約150〜3000μm(約0.15〜3mm)とすることが好ましい。また、拡散材としては、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系等の樹脂製の粒子や無機粒子等を用いることができ、その平均粒径が約1〜50μmであるものを使用ですることが好ましい。
着色層142は、所定の透過率とするための灰色や黒色等の染料や顔料等の着色材により着色が施された層である。この着色層142は、反射スクリーン10に入射する照明光等の不要な外光や迷光を吸収し、映像のコントラストを向上させる機能を有する。着色層142は、染料や顔料等を含有するPET樹脂や、PC樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、アクリル系樹脂、TAC樹脂、PEN樹脂等により形成することが好ましい。また、着色材としては、グレー系や黒色系等の暗色系の染料や顔料等や、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等を用いることができる。着色層142の厚さは、反射スクリーン10の画面サイズにもよるが、約30〜3000μmとすることが好ましい。本実施形態の基材層14は、光拡散層141と着色層142とを共押出成形することにより、これらの層が一体に積層されて形成されている。
図3は、本実施形態のレンズ層13を説明する図である。図3(a)は、レンズ層13を背面側正面方向から観察した様子を示しており、理解を容易にするために、反射層12や光吸収層11は省略して示している。図3(b)は、図2に示す断面の一部分を示すものである。レンズ層13は、基材層14の背面側に設けられた光透過性を有する層であり、フレネルレンズ形状を有することが好ましい。本実施形態のレンズ層13は、図3(a)に示すように、背面側の面に、点Cを中心として、単位光学要素である単位レンズ131が同心円状に複数配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を有している。
本実施形態では、この単位レンズ131が配列されて形成されるサーキュラーフレネルレンズは、反射スクリーン10の画面を正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、その光学的中心であるフレネルセンターのある点Cが、反射スクリーン10の画面左右方向において中央であって、反射スクリーン10の画面(表示領域)の領域外の下方に位置している。なお、本実施形態では、上述のようにレンズ層13が背面側の面にサーキュラーフレネルレンズを有する例を挙げて説明するが、背面側の面にリニアフレネルレンズを有する形態としてもよい。
単位レンズ131は、図2、図3(b)に示すように、スクリーン面に直交する方向(反射スクリーン10の厚み方向)に平行であって、単位レンズ131の配列方向に平行な断面における断面形状が、略三角形形状である。この単位レンズ131は、背面側に凸であり、レンズ面132と、このレンズ面132と対向する非レンズ面133とを備えている。反射スクリーン10の使用状態において、レンズ面132は、頂点tを挟んで非レンズ面133よりも鉛直方向上側に位置している。
単位レンズ131において、図3(b)に示すように、レンズ面132がスクリーン面に平行な面となす角度は、αであり、非レンズ面133がスクリーン面に平行な面となす角度は、β(β>α)である。また、単位レンズ131の配列ピッチは、Pであり、単位レンズ131のレンズ高さ(スクリーンの厚み方向における頂点tから単位レンズ131間の谷底となる点vまでの寸法)は、hである。理解を容易にするために、図2等では、単位レンズ131の配列ピッチP、角度α,βは、単位レンズ131の配列方向において一定であるように示している。しかし、本実施形態の単位レンズ131は、実際には、配列ピッチP等が一定であるが、角度αが単位レンズ131の配列方向においてフレネルセンターとなる点Cから離れるにつれて次第に大きくなる形態となっている。
なお、これに限らず、角度α等は、一定としてもよいし、配列ピッチPが、単位レンズ131の配列方向に沿って次第に変化する形態としてもよい。角度α,β、配列ピッチP等は、映像光を投影する映像源LSの画素(ピクセル)の大きさや、映像源LSの投射角度(反射スクリーン10のスクリーン面への映像光の入射角度)、反射スクリーン10の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜変更可能である。
レンズ層13は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂により形成されている。なお、レンズ層13は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。本実施形態のレンズ層13は、例えば、基材層14の一方の面(本実施形態では、光拡散層141側の面)を、紫外線硬化型樹脂が充填されたサーキュラーフレネルレンズ形状を賦形する成形型に押圧し、紫外線を照射して硬化させた後に成形型から離型するといった紫外線成形法等により形成している。そのため、このレンズ層13を形成する紫外線硬化型樹脂等には、金型からの離型性を向上させるための離型剤等の各種添加剤を配合してもよい。
また、レンズ層13は、熱可塑性樹脂を用いてもよく、レンズ層13のフレネルレンズ形状に応じて、プレス成形法や射出成形法、押出成形法等により形成してもよい。このようなレンズ層13の場合には、不図示の接合層等を介して、その映像源側に基材層14(光拡散層141)等を積層する形態としてもよい。また、押出成形法が可能な場合には、レンズ層13と基材層14とを一体に積層した状態で成形してもよい。
反射層12は、光を反射する作用を有する層である。この反射層12は、少なくともレンズ面132に形成される。本実施形態では、反射層12は、図2や図3(b)に示すように、レンズ面132に形成されているが、非レンズ面133には形成されていない形態となっている。なお、反射層12は、光を反射しない程度の薄さであれば、非レンズ面133の少なくとも一部に形成された形態としてもよい。反射層12は、レンズ面132上に、アルミニウムや銀、ニッケル等の金属を蒸着する、スパッタリングする、又は、金属箔を転写する等により形成することが好ましい。また、反射層12は、白色又は銀色系の塗料や、白色又は銀色系の顔料やビーズ等を含有する紫外線硬化型樹脂又は熱硬化性樹脂、銀やアルミニウム等の金属蒸着膜や金属箔等を粉砕した粒子や微小なフレークを含む塗料等を、スプレーコートや、ダイコート、スクリーン印刷、ワイピングによる溝充填等の各種塗布方法により塗布して硬化させることにより形成することも可能である。本実施形態の反射層12は、アルミニウム等をレンズ面132に蒸着することにより形成されている。
光吸収層11は、反射層12及びレンズ層13の背面側に、これらを被覆するように設けられており、光を吸収する作用を有する層である。この光吸収層11は、単位レンズ131間の谷部等を十分に充填しており、また、光吸収層11の背面側の面は、不図示の粘着層を介して支持板50の映像源側の面と接合されている。光吸収層11は、図2等に示すように、非レンズ面133上に形成された形態となっているので、観察者側から入射した外光等を吸収して、コントラストを向上させることができる。特に、支持板50が光透過性を有する場合等は、背面側から入射した外光を光吸収層11が吸収することで、コントラストの低下を抑制することもできる。さらに、光吸収層11は、反射層12の酸化等の劣化やこれによる剥離等を抑制する機能を有することが好ましく、例えば、反射層12等を保護するための酸化防止機能や防湿機能、紫外線吸収機能等を有していることが好ましい。
光吸収層11は、特定のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂と、光吸収材料とを含むものである。光吸収層11を形成する樹脂のTgは、−20〜40℃であり、好ましくは−15〜35℃、より好ましくは−10〜30℃である。樹脂のTgが上記範囲内であれば、光吸収層を形成する際の乾燥収縮による割れや剥がれの発生を抑制することができる。このような樹脂は、熱硬化型樹脂であってもよいし、紫外線硬化型樹脂であってもよい。例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、及びアクリルウレタン系樹脂等が挙げられる。また、光吸収材料としては、カーボンブラック等の黒色顔料や他色の顔料、光吸収作用を有するビーズ等を用いることができる。光吸収効率の観点から、黒色顔料を用いることが好ましい。
光吸収層11は上記の樹脂と光吸収材料とを含む光吸収層用樹脂組成物を、反射層12をレンズ面132に形成したレンズ層13の背面側(フレネルレンズ形状側)に塗布して硬化させることにより、形成することができる。光吸収層用樹脂組成物は、有機溶剤や水を加えて粘度を調整してもよい。光吸収層11を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、スクリーン印刷、ロールコート、グラビアリバースコート、インクジェット方式、フローコート方式、及びダイコート方式等が挙げられる。
光吸収層11は、反射スクリーン10の厚み方向において、単位レンズ131間の略三角形状の頂部となる点tから光吸収層の背面側の端までの寸法Lが、4〜7μmであり、好ましくは4.5〜6.5μmであり、より好ましくは5〜6μmである。寸法Lが上記範囲程度であれば、光吸収層の割れを防いで光漏れを防ぐことができ、また外観が良好となる。
図2に戻って、表面層15は、反射スクリーン10において観察者側(映像源側)に設けられる層である。本実施形態では、表面層15は、基材層14の観察者側であり、反射スクリーン10において最も観察者側となる位置に設けられている。表面層15には、反射防止機能や防眩機能、紫外線吸収機能、防汚機能や帯電防止機能、ハードコート機能、タッチパネル機能等、適宜必要な機能を1つ又は複数選択して設けることができる。この表面層15は、基材層14とは別層であって不図示の粘着材等により基材層14に接合される形態としてもよいし、基材層14の観察者側の面に、各種機能を有する樹脂等を塗布する等により直接形成される形態としてもよい。
本実施形態の表面層15は、防眩機能とハードコート機能を有している。この表面層15は、観察者側の表面に微細な凹凸形状(マット形状)を有しており、ハードコート機能を有する電離放射線硬化型樹脂等により形成されている。この表面層15の厚さは、約10〜100μm程度とすることができる。
本実施形態の反射スクリーン10へ入射する映像光及び外光の様子を説明する。理解を容易にするために、表面層15、基材層14(着色層142及び光拡散層141の母材)、レンズ層13の屈折率は等しいものとし、映像光L1及び外光G1,G2に対する光拡散層141の光拡散作用等は省略して、図2に示している。図2に示すように、映像源LSから投影された大部分の映像光L1は、反射スクリーン10の下方から入射し、表面層15及び基材層14を透過してレンズ層13の単位レンズ131へ入射する。そして、映像光L1は、レンズ面132へ入射して反射層12によって反射され、観察者O側へ向かって反射スクリーン10から出射する。なお、映像光L1が反射スクリーン10の下方から投射されており、かつ、角度β(図3(b)参照)が反射スクリーン10の画面上下方向の各点における映像光L1の入射角度よりも大きいので、映像光L1が非レンズ面133に直接入射することはなく、非レンズ面133は、映像光L1の反射には影響しない。
一方、照明光等の不要な外光G1,G2は、図2に示すように、主として反射スクリーン10の上方から入射し、表面層15及び基材層14を透過してレンズ層13の単位レンズ131へ入射する。そして、一部の外光G1は、非レンズ面133へ入射して、光吸収層11によって吸収される。また、一部の外光G2は、レンズ面132で反射して、主として反射スクリーン10の下方側へ向かうので、観察者Oには直接届かず、また、届いた場合にもその光量は、映像光L1に比べて大幅に少ない。従って、反射スクリーン10は、外光G1,G2による映像のコントラスト低下を抑制できる。従って、本実施形態の反射スクリーン10によれば、明室環境下であっても、コントラストが高く明るく良好な映像を表示できる。
本発明による反射スクリーン及び映像表示システムは、以下(1)〜(9)の変形形態とすることもできる。
(1)本実施形態において、反射層12をアルミ蒸着により形成する例を示したが、他の金属の蒸着膜でもよい。また、反射層12を白色や銀色の塗料を塗布して形成してもよいし、転写箔等により形成してもよい。
(2)本実施形態において、レンズ層13は、エポキシアクリレート樹脂等の紫外線硬化型樹脂を用いる例を挙げたが、これに限らず、例えば、レンズ層13は、熱可塑樹脂製としてもよい。このときも、押出成形や射出成形時の離型性を良好とする離型剤として、リン酸エステル等のリン酸系離型剤を用いずにシリコーン系離型剤を用いてもよい。また、離型剤を加えなくてもよい。
(3)本実施形態において、映像表示システム1は、短焦点型のプロジェクタである映像源LSと、この映像源LSから投射された映像光を反射して映像を表示する反射スクリーン10とを備えるものとした。しかし、これに限らず、例えば、映像源LSを、投射距離が長く、映像光の投射角度(即ち、スクリーンへの映像光の入射角度)が小さい従来の汎用プロジェクタとし、反射スクリーン10をその映像源LSに対応する形態としてもよい。
(4)本実施形態において、基材層14は、光拡散層141と着色層142とを共押出成形することによりこれらの層が一体に積層されて形成されている。しかし、これに限らず、例えば、光拡散層141と着色層142とをそれぞれ別々に押出成形し、粘着剤層等により一体に接合して基材層14としてもよい。また、基材層14を単層とし、拡散材と顔料や染料等の着色材とを共に含有する形態としてもよい。さらに、基材層14は、光拡散層141と着色層142とを備え、着色層142が着色材に加えて拡散材を含有する形態としたり、光拡散層141が拡散材に加えて着色材を含有する形態としたりしてもよい。
(5)本実施形態において、単位レンズ131は、図2等に示す断面形状が略三角形形状である例を示したが、これに限らず、例えば、略台形形状であり、レンズ面と非レンズ面とが、スクリーン面に平行な頂面を挟んで対向する形態としてもよい。このとき、頂面は、映像光の反射に寄与しない領域に形成されることが好ましい。頂面上には、光吸収層を形成してもよいし、反射層を形成してもよい。また、本実施形態において、単位レンズ131は、図2等に示す断面において、レンズ面132及び非レンズ面133が直線状となる例を示したが、これに限らず、この断面において、例えば、レンズ面132や非レンズ面133の一部が曲線状となっていてもよい。さらに、本実施形態において、単位レンズ131のレンズ面132及び非レンズ面133は、いずれも1つの面である例を示したが、これに限らず、例えば、少なくとも一方の面が、複数の面から構成される形態としてもよい。
(6)本実施形態において、反射スクリーン10は、非レンズ面133が、光吸収層11で被覆される例を示したが、これに限らず、非レンズ面133上にも反射層12が形成される形態としてもよい。この場合、反射層12は、単位レンズ131間の谷部を充填しその背面側の面が略平面状となるように形成してもよいし、単位レンズ131の凹凸形状に沿って所定の厚さで形成される形態としてもよいし、十分な反射特性を有しているならば、その厚さが均一でなくともよい。
(7)本実施形態において、反射スクリーン10は、その背面側に設けられた支持板50に不図示の粘着材層等を介して接合されており、略平板状である例を示したが、これに限らず、例えば、支持板50を備えず、反射スクリーン10が粘着材層等を介して壁面等に接合される形態としてもよいし、支持板50を裏面に接合した状態で壁面に固定されたり、フック等の支持部材で壁面に吊り下げられる形態等としてもよい。また、本実施形態において、反射スクリーン10は、使用時及び不使用時には略平板状である例を示したが、これに限らず、不使用時には巻き取って保管できる巻き取り可能な形態としてもよい。このような形態の場合には、支持板50等を設けず、反射スクリーン10の背面側を、光を透過しにくい布製又は樹脂製の遮光幕や耐傷性を向上させる層等で被覆する形態とすれば、コントラスト向上や、レンズ層や反射層の破損の防止を図ることができる。
(8)本実施形態において、反射スクリーン10は、背面側から光吸収層11、反射層12、レンズ層13、基材層14(光拡散層141、着色層142)、表面層15の順で構成される例を説明したが、これに限定されない。例えば、反射スクリーン10は、基材層14とレンズ層13との間に、レンズ層13の基材となる透明基材層を設けてもよいし、画面上下方向及び画面左右方向で拡散特性の異なる異方性拡散層等を備えてもよく、所望する光学特性等に合わせて、反射スクリーン10の層構成は適宜変更することができる。
(9)本実施形態において、映像源LSは、鉛直方向において反射スクリーン10より下方に位置し、映像光Lが反射スクリーン10の下方から斜め上に投射される例を示したが、これに限らず、例えば、映像源LSが、鉛直方向において反射スクリーン10より上方に位置し、映像光Lが反射スクリーン10の上方から斜め下に投射される形態としてもよい。このとき、反射スクリーン10は、図2や図3等に示すレンズ層13の上下方向を反転させ、サーキュラーフレネルレンズの光学的中心(フレネルセンター)である点Cが反射スクリーン10の上方に位置する形態とすればよい。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
<反射スクリーン1の製造>
まず、基材層14を用意し、その一方の面に表面層15を形成した。続いて、基材層14の表面層15とは反対側の面にレンズ層13を形成した。このレンズ層13は、紫外線硬化型樹脂を含むレンズ層形成用樹脂組成物を充填したフレネルレンズ形状を賦形する成形型に基材層14を押圧し、紫外線を照射して硬化させた後に成形型を離型する紫外線成形法等により作成した。そして、レンズ面132上に、アルミ蒸着により反射層12を形成した。
次に、ロールコート法により、ウレタン系樹脂(Tg=0〜10℃、ブチルセロソルブ及びブチルジグリコール含有、粘度:約15000mPa・s)と黒色顔料とを含む光吸収層形成用樹脂組成物(固形分:33%)を塗布して、60℃で10分間乾燥、硬化させ、光吸収層11を形成して、反射スクリーン1を得た。単位レンズの略三角形状の頂部から光吸収層の背面側の端までの寸法Lは、5μmであった。
<反射スクリーン2〜6の製造>
表1に示すように、Tgの異なるウレタン系樹脂に変更するか、あるいは光吸収層の寸法Lを変更した以外は、反射スクリーン1と同様にして反射スクリーン2〜6を製造した。
<光吸収層の状態評価>
上記で製造した反射スクリーン1〜6の断面を金属顕微鏡(OLYMPUS(株)製、型番:STM6−F10−2)で観察し、単位レンズ131の略三角形状の頂点t付近の光吸収層11の状態を、下記の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
・○:光吸収層11の割れも剥がれも発生していなかった。
・×:光吸収層11の割れ又は剥がれが発生していた。
また、実施例1の反射スクリーン1及び比較例1の反射スクリーン3の断面の電子顕微鏡写真を、それぞれ図4及び図5に示す。図4では、単位レンズ131の略三角形状の頂点t付近で光吸収層11の割れも剥がれも発生していないことが分かる。一方、図5では、点線で丸く囲んだ箇所を見ると、単位レンズ131の略三角形状の頂点t付近で光吸収層11の剥がれが発生していることが分かる。
<外観評価>
上記で製造した反射スクリーン1〜6について、目視により映像源側(観察者側)からの外観を、下記の評価基準で評価した。
<評価基準>
・○:光吸収層11の影響による外観の変化はなかった。
・×:光吸収層11の影響で木目調が観察された。
1 映像表示システム
10 反射スクリーン
11 光吸収層
12 反射層
13 レンズ層
131 単位レンズ
132 レンズ面
133 非レンズ面
14 基材層
141 光拡散層
142 着色層
15 表面層
LS 映像源

Claims (6)

  1. 映像源から投射される映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、
    レンズ面及び非レンズ面を備え、背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたレンズ層と、
    少なくとも前記レンズ面上に形成され、光を反射する反射層と、
    前記レンズ層及び前記反射層の背面側に形成される、光吸収層と、
    を備えてなり、
    前記単位レンズの略三角形状の頂部から前記光吸収層の背面側の端までの寸法が4〜7μmであり、
    前記光吸収層が、−20〜40℃のTgを有する樹脂と、光吸収材料とを含む、反射スクリーン。
  2. 前記樹脂が、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、及びアクリルウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の反射スクリーン。
  3. 前記光吸収材料が、黒色顔料を含む、請求項1または2に記載の反射スクリーン。
  4. 前記レンズ層が、フレネルレンズ形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射スクリーン。
  5. 映像源から投射される映像光を反射させて観察可能に表示し、
    レンズ面及び非レンズ面を備え、背面側に凸となる単位レンズが複数配列されたレンズ層と、
    少なくとも前記レンズ面上に形成され、光を反射する反射層と、
    前記レンズ層及び前記反射層の背面側に形成される、光吸収層と、
    を備えてなる、反射スクリーンの製造方法であって、
    前記レンズ面上に、光を反射する反射層を形成する工程と、
    前記レンズ層及び前記反射層が形成された面に、−20〜40℃のTgを有する樹脂と、光吸収材料とを含む光吸収層形成用樹脂組成物を塗布して、光吸収層を形成する工程と、
    を含んでなり、
    前記単位レンズの略三角形状の頂部から前記光吸収層の背面側の端までの寸法が4〜7μmである、反射スクリーンの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射スクリーンと、
    前記前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
    を備えてなる、映像表示システム。
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