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JP2014214376A - 圧延銅箔、フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

圧延銅箔、フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板 Download PDF

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JP2014214376A JP2013095564A JP2013095564A JP2014214376A JP 2014214376 A JP2014214376 A JP 2014214376A JP 2013095564 A JP2013095564 A JP 2013095564A JP 2013095564 A JP2013095564 A JP 2013095564A JP 2014214376 A JP2014214376 A JP 2014214376A
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Yasuyuki Ito
保之 伊藤
清水 慎一郎
Shinichiro Shimizu
慎一郎 清水
陽平 谷田川
Yohei Yatagawa
陽平 谷田川
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SH Copper Products Co Ltd
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Abstract

【課題】耐ハゼ折特性をより向上させた圧延銅箔、フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板を得る。
【解決手段】酸素濃度が5ppm以下であり、燐濃度が10ppm以下であり、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる銅合金が所定厚さまで圧延加工が行われて形成され、圧延面は、圧延面の法線方向から見た際、{211}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合が1.5以上であり、圧延面の圧延方向から見た際、<111>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する<211>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合が2以上であり、圧延面の法線方向から見た際、{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率が0.1以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧延銅箔、フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板に関する。
フレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)は、銅箔と例えばポリイミド等の合成樹脂等からなる樹脂層(基板)とが貼り合されて形成されたフレキシブル銅張積層板(FCCL:Flexible Copper Clad Laminate)を備えて構成されている。このようなフレキシブルプリント配線板は、少なくとも、銅箔と、合成樹脂等からなる樹脂層とを貼り合わせてフレキシブル銅張積層板を形成する工程と、フレキシブル銅張積層板に回路を形成するためのフォトレジスト層を印刷する工程と、フォトレジスト層に基づいてエッチング処理を行って不要箇所を除去して、フレキシブル銅張積層板上に回路を形成する工程と、を経て製造される。
フレキシブル銅張積層板は、その構成により、2層FCCLと、3層FCCLとに大別される。2層FCCLは、銅箔とポリイミド等の樹脂層とが、接着剤層を介さずに貼り合されて形成されている。すなわち、2層FCCLは、銅箔と樹脂層とが加熱圧着により貼り合されて形成される。3層FCCLは、銅箔と樹脂層とが、接着剤からなる接着剤層を介して貼り合されている。接着剤としては、例えばエポキシ樹脂等を主成分とするワニス状の樹脂組成物を用いることができる。すなわち、3層FCCLは、銅箔上にワニス状の接着剤を塗布して接着剤層を形成し、接着剤層上に樹脂層を設けた後、接着剤を乾燥させることで形成される。
2層FCCLは、3層FCCLと比べて接着剤層の分だけ厚さを薄くできる。また、2層FCCLは、上述のフレキシブル銅張積層板上に回路を形成する工程において、エッチング処理による回路形成の信頼性が高い。従って、近年、2層FCCLの需要が大きく伸びている。しかしながら、2層FCCLは、特殊なポリイミドを用いて樹脂層を形成する必要があるため、製造コストが高くなる場合があった。これに対し、3層FCCLは、エポキシ樹脂等の一般的な接着剤を用いることができる。従って、3層FCCLは、製造コストを低くできるため、その需要は未だ衰えていない。
FCCLを備えるフレキシブルプリント配線板は、例えば携帯電話のヒンジ部やスライド部等の可動部の配線材料として用いられることがある。一般的に、例えば携帯電話のヒンジ部に用いられた銅箔には、曲げ半径が比較的大きな領域(例えば曲げ半径が0.5mm〜2mmである領域)、すなわち銅箔の弾性変形域で、繰り返し曲げ変形が加えられる。このため、このような銅箔には、いわゆる優れた摺動屈曲特性を有することが要求されている。
しかしながら、近年、ヒンジ部やスライド部等の可動部を有さない携帯電話が広く浸透してきている。すなわち、スレート型のスマートフォンと呼ばれる携帯電話が普及してきている。このようなスレート型の携帯電話には、小型化、省スペース化が要求されている。このため、スレート型の携帯電話には、フレキシブルプリント配線板が折り曲げられて実装されることが増えている。このようなスレート型の携帯電話に用いられた銅箔には、曲げ半径が比較的小さい領域(例えば曲げ半径が0.5mm以下である領域)、すなわち銅箔の塑性変形域で、一般的にハゼ折変形と呼ばれる1回又は数回の曲げ変形が加えられるだけである。例えば、フレキシブルプリント配線板がスレート型の携帯電話に実装される際に、銅箔には、銅箔の塑性変形域で1回のハゼ折変形が加わる。この他、例えば、実装時のハンドリングや、実装位置の修正により、銅箔には、数回のハゼ折変形が加わることがある。従って、スレート型の携帯電話に用いられる銅箔には、優れた耐ハゼ折特性を有することが要求されている。すなわち、塑性変形域で、複数回のハゼ折変形に耐える銅箔が要求されている。
FCCLを構成する銅箔としては、例えば圧延銅箔や、電解銅箔等を用いることができる。しかしながら、電解銅箔は、圧延銅箔に比べて結晶粒が微細である。このため、電解銅箔が用いられたFCCLは、所望とする耐ハゼ折特性が得られない場合がある。すなわち、電解銅箔が用いられたFCCLは、電解銅箔にハゼ折変形が加わった際、ハゼ折変形が加わった箇所に集中的にひずみが蓄積しやすく、破断しやすい。これに対し、圧延銅箔は、一般的に、電解銅箔に比べて優れた屈曲特性を有する。また、圧延銅箔は、電解銅箔と比べて結晶粒が大きい。従って、圧延銅箔が用いられたFCCLは、優れた耐ハゼ折特性を有する。すなわち、圧延銅箔にハゼ折変形が加わった場合、銅箔内のひずみが逃げやすく、複数回のハゼ折変形に耐えることができる。
そこで、例えば結晶粒を大きくするとともに、結晶配向性を制御することで、銅箔内に十分な量のひずみを蓄積させ、屈曲性をより向上させた圧延銅箔が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
特許第4466688号公報
しかしながら、特許文献1に記載の圧延銅箔は、160℃の温度で1時間加熱した場合であっても、完全に軟化しない場合があった。従って、特許文献1に記載の圧延銅箔が、例えば2層FCCLに用いられる場合は、優れた耐ハゼ折特性を示すものの、例えば3層FCCLに用いられると、所望とする耐ハゼ折特性が得られない場合があった。すなわち、上述したように、ハゼ折変形は、銅箔の塑性変形域での変形である。従って、上述の銅箔の弾性変形域での摺動屈曲特性を向上させる技術とは大きく異なるため、圧延銅箔の摺動屈曲特性を向上させることができても、圧延銅箔の耐ハゼ折特性を向上させることができない場合があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、耐ハゼ折特性をより向上させた圧延銅箔、フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様によれば、酸素濃度が5ppm以下であり、燐濃度が10ppm以下であり、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる銅合金が所定厚さまで圧延加工が行われて形成され、圧延面は、前記圧延面の法線方向から見た際、{211}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合が1.5以上であり、前記圧延面の圧延方向から見た際、<111>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する<211>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合が2以上であり、前記圧延面の法線方向から見た際、{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率が0.1以下である圧延銅箔が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記銅合金に熱間圧延処理が行われた後、冷間圧延処理と焼鈍処理とが所定回数繰り返して行われることで形成され、最終の冷間圧延処理が行われる直前の銅条の圧延面は、平均結晶粒径が20μm以下であり、前記銅条の圧延面の法線方向から見た際、前記{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率が0.2以上である第1の態様の圧延銅箔が提供される。
本発明の第3の態様によれば、厚さが5μm以上35μm以下である第1又は第2の態様の圧延銅箔が提供される。
本発明の第4の態様によれば、160℃の温度で1時間加熱した後のヤング率が、100GPa以下である第1ないし第3の態様のいずれかの圧延銅箔が提供される。
本発明の第5の態様によれば、折り曲げ角度が90°、折り曲げ半径が0.125mm、荷重が3kgの条件で折り曲げ試験を行った際、破断に至るまでの折り曲げ回数が4回以上である第1ないし第4の態様のいずれかの圧延銅箔が提供される。
本発明の第6の態様によれば、前記圧延面には、表面処理が行われている第1ないし第5の態様のいずれかの圧延銅箔が提供される。
本発明の第7の態様によれば、第1ないし第6の態様のいずれかの圧延銅箔と、樹脂層と、を備え、前記圧延銅箔は、前記樹脂層の少なくとも片面に設けられているフレキシブル銅張積層板が提供される。
本発明の第8の態様によれば、第7の態様のフレキシブル銅張積層板を備えるフレキシブルプリント配線板が提供される。
本発明にかかる圧延銅箔、フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板によれば、耐ハゼ折特性をより向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る圧延銅箔の製造工程を示すフロー図である。
(1)圧延銅箔の構成
以下に、本発明の一実施形態に係る圧延銅箔の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る圧延銅箔は、酸素(O)濃度が5ppm以下であり、燐(P)濃度が10ppm以下であり、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる銅合金(無酸素銅(OFC:Oxyzen-Free Copper))が所定厚さとなるまで圧延加工が行われて形成されている。酸素濃度が5ppmを超えると、銅合金内で、酸化物の粒子が形成される。このような銅合金に圧延加工が行われて圧延銅箔が形成される際、酸化物の粒子の周辺に多くのひずみが蓄積されてしまう。すなわち、圧延加工によるひずみが、圧延銅箔内で不均一に蓄積する場合がある。このため、圧延加工が行われる際の加工熱で、ひずみが集中する箇所に再結晶が発生し、ひずみが解放される場合がある。その結果、圧延銅箔は、所望とする耐ハゼ折特性を得られない場合がある。また、燐濃度が10ppmを超えると、圧延銅箔の耐熱性が高くなるため、所定の加熱条件であっても軟化しない場合がある。従って、圧延銅箔は、所望とする耐ハゼ折特性を得られない場合がある。
圧延銅箔の圧延面の結晶方位(結晶配向)は、圧延面の法線方向(以下では、ND方向と言う)から見た方位と、圧延面の圧延方向(以下では、RD方向と言う)から見た方位とがある。圧延銅箔の圧延面は、少なくとも下記(a)〜(c)の3つの要件を満たす。すなわち、(a)ND方向から見た際、{211}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{211}に対する{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{011}の割合(RND{011}/RND{211})が1.5以上である。(b)RD方向から見た際、<111>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RRD<111>に対する<211>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RRD<211>の割合(RRD<211>/RRD<111>)が2以上である。(c)ND方向から見た際、{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{001}が0.1以下である。
ここで、本明細書においては、等価な結晶方位群を波括弧で括って表す。例えば、<211>結晶方位、<―211>結晶方位、<121>結晶方位、<1―21>結晶方位、<112>結晶方位、<11―2>結晶方位等は、全て{211}結晶方位として表記する。
また、{211}結晶方位、{011}結晶方位、<111>結晶方位及び<211>結晶方位はそれぞれ、方位差が15度以内である結晶方位を含んでもよい。
上記(a)〜(c)の3つの要件を満たす圧延銅箔は、優れた耐ハゼ折特性を有する。すなわち、例えば、160℃の温度で1時間加熱した場合、圧延銅箔の圧延方向のヤング率が100GPa以下となり、十分に軟化する。また、圧延銅箔は、折り曲げ角度が90°、折り曲げ半径が0.125mm、荷重が3kgの条件で折り曲げ試験(以下では、「ハゼ折特性試験」とも言う。)を行った際、圧延銅箔が破断に至るまでの折り曲げ回数が4回以上である。従って、圧延銅箔は、例えば後述する2層フレキシブル銅張積層板(2層FCCL)だけでなく、後述する3層フレキシブル銅張積層板(3層FCCL)に用いられた場合であっても、優れた耐ハゼ折特性を示す。
なお、RND{001}が0.1を超えると、銅合金に圧延加工を行って圧延銅箔を形成する際、銅合金内にひずみの解放が発生し、所望とする耐ハゼ折特性が得られない場合がある。
また、圧延面は、RD方向から見た際の{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RRD{001}が0.1未満であるとより良い。これにより、圧延銅箔の耐ハゼ折特性をより向上させることができる。
圧延銅箔の圧延面の結晶方位は、例えば圧延加工時の加工度、圧延荷重、巻取ユニットによる張力、圧延油粘度等を制御することで調整される。
圧延銅箔の圧延面が有する各結晶粒の結晶方位はそれぞれ、例えばSEM−EBSP(Scanning Electron Microscope-Electron Back Scattering Pattern)を用いて分析することで測定できる。すなわち、まず、圧延銅箔の圧延面の結晶状態をSEM−EBSPにより分析し、例えばIPF(Inverce Pole Figure)マップ等の3次元的な結晶方位の情報を得る。得られた例えばIPFマップ等の情報から、測定領域中の各結晶方位を持つ結晶粒それぞれが占める面積率を算出する。なお、面積率の算出は、例えば計算機等により行うことができる。SEM−EBSPによる分析により得られる3次元的な結晶方位の情報は、圧延銅箔をND方向から見た際の情報であるが、この情報から計算機にてRD方向から見た際の結晶方位のデータも同時に得ることができる。
上述したように、圧延銅箔は、銅合金が所定厚さとなるまで圧延加工が行われて形成されている。圧延加工は、銅合金の板材を形成する熱間圧延処理と、銅合金の板材を所定厚さの銅条(生地)に形成する冷間圧延処理及び焼鈍処理と、銅条を所定厚さの圧延銅箔に形成する最終の冷間圧延処理とを有する。冷間圧延処理と焼鈍処理とは、銅合金の板材が所定厚さの銅条となるまで、所定回数繰り返して行われても良い。
焼鈍処理が終了した後、最終の冷間圧延処理が行われる直前の銅条の圧延面(以下では、「銅条圧延面」とも言う)は、平均結晶粒径が20μm以下であると良い。これにより、最終の冷間圧延処理において、圧延銅箔内のひずみ分布を均一にすることができる。すなわち、圧延銅箔内にひずみを均一に加えて蓄積させることができる。従って、耐ハゼ折特性をより向上させることができる。
ここで、銅合金として例えば無酸素銅(OFC)が用いられ、銅合金に熱間圧延処理が行われると、形成される銅合金の板材中には、圧延集合組織である{011}結晶方位を持つ結晶粒が成長する。このような銅合金の板材に焼鈍処理が行われると、形成される銅条内には、{001}結晶方位を持つ結晶粒が再成長する。{001}結晶方位を持つ結晶粒は成長しやすいという特性を有する。このため、{001}結晶方位を持つ結晶粒の粒径が大きくなってしまい、圧延銅箔の圧延面において、{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率が高くなり、耐ハゼ折特性が低下してしまう。
そこで、例えば、焼鈍処理前の処理(例えば冷間圧延処理)の加工度や、焼鈍処理の条件等を適宜調整することで、焼鈍処理によって、銅条内に{011}結晶方位を持つ結晶粒を優先的に成長させると良い。すなわち、最終の冷間圧延処理が行われる直前の銅条の圧延面が、ND方向から見た際、{011}結晶方位を持つ結晶粒の面積率RND{011}が0.2以上となるように、{011}結晶方位を持つ結晶粒を成長させると良い。これにより、最終の冷間圧延処理時に、圧延銅箔中で結晶回転が起こりやすくなる。従って、RND{011}/RND{211}の値を1.5以上、RRD<211>/RRD<111>の値を2以上により容易にでき、耐ハゼ折特性をより向上させることができる。また、最終の冷間圧延処理の加工度を最小限に抑えることができる。
また、焼鈍処理が終了した後、最終の冷間圧延処理が行われる直前の銅条に、圧延集合組織である{011}結晶方位を持つ結晶粒を残留させることで、銅条圧延面のRND{011}が0.2以上となるようにしてもよい。しかしながら、圧延集合組織を残留させることは、銅条内に均一に蓄積されたひずみを不均一にしてしまうことである。従って、圧延銅箔は所望とする耐ハゼ折特性が得られない場合がある。
なお、銅条圧延面のRND{011}が0.2未満である場合、上記(a)〜(c)の3つの要件を満たす圧延面を備える圧延銅箔を得るためには、最終の冷間圧延処理の加工度を99.8%以上にする必要がある。最終の冷間圧延処理の加工度を99.8%以上とすると、圧延銅箔内に過剰なひずみが蓄積されてしまうため、圧延銅箔の耐ハゼ折特性が低下する傾向にある。
圧延銅箔は、厚さが5μm以上35μm以下であるとよい。これにより、圧延銅箔の耐ハゼ折特性をより向上させることができる。なお、圧延銅箔の厚さが5μm未満であると、ハンドリング性が低下する場合がある。一方で、圧延銅箔の厚さが35μmを超えると、最終の冷間圧延処理の加工度を95%以上99.5%以下としても、圧延銅箔内のひずみ分布を均一にできない場合がある。従って、上述のRND{011}/RND{211}の値が1.5未満となったり、RRD<211>/RRD<111>の値が2未満となる場合がある。その結果、圧延銅箔の耐ハゼ折特性が低下する場合がある。
圧延銅箔は、圧延面に例えば粗化処理等の表面処理が行われていてもよい。これにより、圧延銅箔が、例えば後述するフレキシブル銅張積層板に用いられる場合、例えばポリイミドフィルム等からなる樹脂層との接着力を向上させることができる。
(2)フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板の構成
次に、上述の圧延銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板、及びこのフレキシブル銅張積層板を用いたフレキシブルプリント配線板の構成について説明する。
本実施形態にかかるフレキシブル銅張積層板(FCCL)は、圧延銅箔と、樹脂層とを備えて構成されている。圧延銅箔は、樹脂層の少なくとも片面に貼り合されて設けられている。
例えば、フレキシブル銅張積層板は、圧延銅箔と所定厚さ(例えば25μm)の樹脂層とを加熱圧着して貼り合わせて形成されている。このように形成されたフレキシブル銅張積層板を、2層FCCLという。2層FCCLの場合、樹脂層の構成材料として、例えば表面に熱可塑性のポリイミド層を備えるポリイミドフィルム等の樹脂フィルムが用いられるとよい。また、樹脂層の構成材料として、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が用いられてもよい。
また、例えば、フレキシブル銅張積層板は、銅箔と所定厚さ(例えば12.5μm)の樹脂層とを接着剤層を介して貼り合わせて形成されていてもよい。このように形成されたフレキシブル銅張積層板を3層FCCLという。樹脂層の構成材料として、例えばポリイミドフィルム等の樹脂フィルムが用いられるとよい。この場合、接着剤として、例えばポリアミドイミド系接着剤の接着剤が用いられるとよい。また、樹脂層の構成材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が用いられてもよい。この場合、接着剤として、例えばエポキシ樹脂等を主成分とするワニス状の樹脂組成物を用いることができる。
上述のフレキシブル銅張積層板を備えるフレキシブルプリント配線板は、FCCLが備える圧延銅箔上に、例えばエッチング処理等により回路(銅配線)を形成することで形成される。
(3)圧延銅箔の製造方法
次に、本実施形態にかかる圧延銅箔の製造方法の一実施形態について、図1を用いて説明する。
(銅合金の鋳造工程(S10))
図1に示すように、本実施形態にかかる圧延銅箔の製造方法では、まず、例えば高周波溶解炉等を用いて母材である銅(Cu)を溶解して銅の溶湯を製造する。そして、溶湯中に所定量の酸素(O)及び燐(P)を添加した後、この銅合金の溶湯を鋳型に供給して、酸素(O)濃度が5ppm以下、燐(P)濃度が10ppm以下であり、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる銅合金の鋳塊(インゴット)を鋳造する。
(圧延加工工程(S20))
銅合金の鋳造工程(S10)が終了した後、例えば連続鋳造圧延方式によってインゴットに圧延加工を行い、圧延銅箔を製造する。すなわち、インゴットに熱間圧延処理を行った後、冷間圧延処理と、焼鈍処理とを所定回数繰り返して行う。その後、最終の冷間圧延処理を行い、圧延銅箔を製造する。
[熱間圧延工程(S21)]
まず、鋳造したインゴットを所定温度(例えば950℃)に加熱して熱間圧延処理を行い、所定厚さの銅合金の板材を形成する。熱間圧延処理が終了した後は、なるべく速やかに銅合金の板材を冷却するとよい。
[冷間圧延工程・歪み取り焼鈍工程(S22・S23)]
熱間圧延工程(S21)が終了した後、銅合金の板材に、冷間圧延工程(冷間圧延処理)と、歪み取り焼鈍工程(焼鈍処理(熱処理))とを所定回数繰り返して行い、所定厚さ(例えば0.1mm〜1.8mm)の生地と呼ばれる銅条を形成する。冷間圧延処理は、例えば50%の加工度で行うと良い。焼鈍処理は、銅合金の板材を所定温度(例えば700℃)で所定時間(例えば15秒間)加熱して行うと良い。
[最終焼鈍工程(S24)]
冷間圧延工程(S22)と歪み取り焼鈍工程(S23)とを所定回数行い、銅条が所定厚さになったら、最終の焼鈍処理を行う。最終の焼鈍処理は、銅条を所定温度(例えば700℃)で所定時間(例えば15秒間)加熱して行うと良い。
最終の焼鈍処理後であって、後述する最終の冷間圧延処理が行われる直前の銅条は、平均結晶粒径が20μm以下であるとよい。これにより、最終の冷間圧延処理において、圧延銅箔内にひずみを均一に加えて蓄積させることができる。従って、耐ハゼ折特性をより向上させることができる。平均結晶粒径が20μmを超えると、ひずみを均一に加えて蓄積させることが難しくなる場合がある。また、最終の焼鈍処理後であって、後述する最終冷間圧延処理が行われる直前の銅条の圧延面(銅条圧延面)は、{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{011}が0.2以上であるとよい。これにより、耐ハゼ折特性をより向上させることができる。
[最終冷間圧延工程(S25)]
最終焼鈍工程(S24)が終了した後、銅条に、最終の冷間圧延処理を行い、所定厚さの圧延銅箔を形成する。このとき、得られる圧延銅箔の圧延面が上述の(a)〜(c)の3つの要件を満たすように、例えば圧延荷重や巻取ユニット張力等を制御し、結晶方位を調整する。これにより、圧延銅箔は、優れた耐ハゼ折特性を有するようになる。すなわち、例えば、160℃の温度で1時間加熱した後の圧延銅箔の圧延方向のヤング率を100GPa以下にできる。また、折り曲げ角度が90°、折り曲げ半径が0.125mm、荷重が3kgの条件で折り曲げ試験(ハゼ折特性試験)を行った際、圧延銅箔が破断に至るまでの折り曲げ回数を4回以上にできる。
また、最終の冷間圧延処理の加工度は95%以上99.5%以下であるとよい。加工度が95%未満であると、最終の冷間圧延処理中に、圧延銅箔中に十分な結晶回転が起こらず、圧延銅箔内に十分なひずみを均一に蓄積させることができない場合がある。加工度が99.5%を超えると、最終の冷間圧延処理を行っている際に、圧延銅箔内に過剰なひずみが蓄積して再結晶が発生し、圧延銅箔中のひずみが解放されてしまう場合がある。従って、最終の冷間圧延処理の加工度は95%以上99.5%以下の範囲外では、RND{011}/RND{211}が1.5未満となり、RRD<211>/RRD<111>が2未満となる場合があり、所望とする耐ハゼ折特性が得られない場合がある。
また、圧延銅箔の厚さは5μm以上35μm以下であるとよい。これにより、耐ハゼ折特性をより向上させることができる。圧延銅箔の厚さが5μm未満であると、ハンドリング性が低下してしまう場合がある。また、圧延銅箔の厚さが35μmを超えると、最終の冷間圧延処理の加工度を95%以上99.5%以下としても、圧延銅箔内にひずみが均一に蓄積されない場合がある。従って、上述のRND{011}/RND{211}が1.5未満となったり、RRD<211>/RRD<111>が2未満となる場合がある。その結果、圧延銅箔の耐ハゼ折特性が低下する場合がある。
ここで、上述の(a)〜(c)の3要件を満たすような圧延銅箔を製造するための圧延条件の一例を示す。ワークロールとして表面粗さ(Ra)が0.06μmであり、粘度が4cStである圧延油を用い、冷間圧延処理を行う場合について説明する。この場合、冷間圧延処理における圧延荷重を30トン以上、冷間圧延処理を行うロールの出側の圧延張力(ユニット張力)を100MPa以上150MPa以下とするとよい。
このとき、圧延油の粘度が高すぎると、変形抵抗が大きくなるため、圧延銅箔の圧延面の結晶配向が変化し、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下する場合がある。また、ワークロールの表面粗さ(Ra)が大きすぎると、すなわちワークロールの表面が粗すぎると、圧延加工によって圧延銅箔の表面に発生するオイルピットと呼ばれる凹みの数が増加する。オイルピット部分には、圧延張力が集中する。これにより、圧延銅箔にひずみが不均一に加わり蓄積される場合がある。従って、圧延加工が行われる際の加工熱で、ひずみが集中する箇所に再結晶が発生し、ひずみが解放される場合がある。その結果、所望とする耐ハゼ折特性が得られない場合がある。
(表面処理工程(S30))
圧延処理が終了した後、圧延銅箔の少なくとも圧延面に例えば粗化処理等の表面処理を行ってもよい。これにより、圧延銅箔が、例えばフレキシブル銅張積層板に用いられる場合、樹脂層との接着力を向上させることができる。以上により、本実施形態にかかる圧延銅箔の製造工程を終了する。
(4)フレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板の製造方法
続いて、上述の圧延銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板及びフレキシブルプリント配線板の製造方法について説明する。
(フレキシブル銅張積層板の製造工程)
上述の圧延銅箔を樹脂層の少なくとも片面に貼り合わせてフレキシブル銅張積層板を製造する。
[2層FCCL]
圧延銅箔と、所定厚さ(例えば25μm)の例えばポリイミドフィルム等により構成される樹脂層とを、例えば真空プレス機を用いて加熱圧着して貼り合わせて、2層FCCLを形成する。真空プレス機を用いた加熱圧着は、例えば貼り合わせ圧力を5MPa、温度を300℃とし、15分間行うとよい。
[3層FCCL]
圧延銅箔と、所定厚さ(例えば12.5μm)の例えばポリイミドフィルム等の樹脂層とを、接着剤層を介して貼り合わせて、3層FCCLを形成する。すなわち、ポリイミドフィルムの両面に、ポリアミドイミド系接着剤を塗布して所定厚さ(例えば6μm)の接着剤層を形成した。そして、樹脂層の両面に設けられた接着剤層のそれぞれに、プレス機を用いて圧延銅箔を仮接着した。なお、プレス機を用いた仮接着は、温度を120℃、圧力を0.05MPaとし、1分間行うとよい。仮接着を行った後、真空プレス機を用いて本接着を行い、圧延銅箔と樹脂層とを貼り合わせる。なお、真空プレス機を用いた本接着は、温度を200℃とし、貼り合わせ圧力を2MPaとし1時間行うとよい。これにより、3層FCCLが製造される。
以上により、本実施形態にかかる圧延銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板が製造される。
(フレキシブルプリント配線板の製造工程)
次に、フレキシブル銅張積層板(FCCL)が備える圧延銅箔に、例えばエッチング等により回路(銅配線)を形成する。具体的には、まず、FCCLが備える圧延銅箔上に回路を形成するためのフォトレジスト層を例えば印刷等により形成する。そして、フォトレジスト層に基づいて圧延銅箔にエッチング処理を行い、圧延銅箔の不要箇所を除去する。これにより、FCCLが備える圧延銅箔上に回路を形成する。
そして、FCCLが備える圧延銅箔の表面に、回路と他の電子部材との接続信頼性を向上させるためのメッキ処理等を行ってもよい。また、圧延銅箔上の回路を保護するために、回路上の一部を覆うように例えばソルダレジスト等の保護膜を形成してもよい。
以上により、本実施形態にかかる圧延銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板が製造される。
(5)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、圧延銅箔は、酸素濃度が5ppm以下であり、燐濃度が10ppm以下であり、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる銅合金が所定厚さまで圧延加工が行われて形成されている。また、圧延銅箔の圧延面は、ND方向から見た際、{211}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{211}に対する{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{011}の割合(RND{011}/RND{211})が1.5以上である。また、RD方向から見た際、<111>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RRD<111>に対する<211>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RRD<211>の割合(RRD<211>/RRD<111>)が2以上である。また、ND方向から見た際、{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{001}が0.1以下である。
これにより、圧延銅箔は、優れた耐ハゼ折特性を有するようになる。すなわち、例えば、160℃の温度で1時間加熱された後の圧延銅箔は、圧延方向のヤング率が100GPa以下となり、十分に軟化する。また、折り曲げ角度が90°、折り曲げ半径が0.125mm、荷重が3kgの条件で折り曲げ試験(以下では、「ハゼ折特性試験」とも言う。)を行った際、圧延銅箔が破断に至るまでの折り曲げ回数を4回以上にできる。従って、圧延銅箔は、例えば2層FCCLだけでなく、3層FCCL等にも好適に用いることができる。
(b)本実施形態によれば、圧延銅箔を形成する圧延加工は、銅合金に熱間圧延処理を行って銅合金の板材を形成する熱間圧延工程(S21)と、銅合金の板材に冷間圧延処理と焼鈍処理とを所定回数繰り返して行う冷間圧延工程(S22)・歪み取り焼鈍工程(S23)と、所定厚さの銅条を形成し、銅条に最終の冷間圧延処理を行う最終の冷間圧延工程(S25)とを有している。最終の冷間圧延処理を行う直前の銅条の圧延面(銅条圧延面)は、平均結晶粒径が20μm以下であり、ND方向から見た際、{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率RND{011}が0.2以上である。これにより、圧延銅箔内に十分なひずみを均一に加えて蓄積させることができる。すなわち、圧延銅箔内のひずみ分布を均一にできる。従って、圧延銅箔の耐ハゼ折特性をより向上させることができる。
(c)本実施形態によれば、圧延銅箔の厚さは、5μm以上35μm以下である。これにより、圧延銅箔内により均一にひずみを加えて蓄積させることができる。従って、圧延銅箔の耐ハゼ折り特性をより向上させることができる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、圧延銅箔が、フレキシブル銅張積層板(FCCL)に用いられ、フレキシブルプリント配線板に用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態にかかる圧延銅箔は、リチウムイオン二次電池の負極材として用いてもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、銅合金として無酸素銅を用いた。そして、高周波溶解炉を用い、窒素雰囲気下にて無酸素銅を溶解して溶湯を作製した。窒素雰囲気下にて、溶湯中の酸素濃度が2ppm、燐濃度が2ppmとなるように調整した。その後、溶湯を鋳型に供給し、所定形状のインゴットを鋳造した。
このインゴットを所定の温度(900℃)にて加熱して熱間圧延処理を行い、厚さが14mmの銅合金の板材を作製した。次に、厚さが14mmの銅合金の板材に、加工度が50%の冷間圧延処理と、銅合金の板材を700℃で15秒間加熱する焼鈍処理とを所定回数繰り返して行い、銅合金の板材の厚さが1.0mmになったら最終の焼鈍処理を行い、銅条(生地)を作製した。
厚さが1.0mmの銅条の圧延面に機械研磨を行った後、アンモニア―過酸化水素エッチングを行った。その後、圧延面を光学顕微鏡にて観察し、ラインインターセプト法にて圧延面の結晶の平均結晶粒径を測定した。その結果、銅条の圧延面の平均結晶粒径は14μmであった。そして、銅条の圧延面の酸化膜をフラットミリング(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いたイオンミリングにより除去した後、銅条の圧延面をSEM−EBSPにより分析し、IPFマップを得た。SEM−EBSPによる分析は、測定倍率を200倍、測定範囲を400μm×800μm、測定ステップを3μm間隔として行った。得られたIPFマップをもとに、圧延面の法線方向(ND方向)から見た際の{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率(RND{011})を計算機にて算出した。その結果、この銅条の圧延面のRND{011}は0.32であった。すなわち、生地焼鈍上がりの銅条の圧延面の組織は、平均結晶粒径が14μmで、RND{011}が0.32であった。
そして、表面粗さRaが0.06μmのワークロールを用い、粘度が4cStの圧延油を用い、厚さが1.0mmの銅条に最終の冷間圧延処理を98%の加工度で行い、厚さが18μmの圧延銅箔を作製した。これを実施例1の試料とした。
(実施例2)
実施例2では、酸素濃度が5ppm、燐濃度が2ppmである無酸素銅のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い銅合金の板材を作製した。そして、この銅合金の板材に実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行って銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は18μmであり、RND{011}は0.35であった。この他は、実施例1と同様にして厚さが18μmの圧延銅箔を作製した。これを実施例2の試料とした。
(実施例3)
実施例3では、酸素濃度が2ppm、燐濃度が8ppmである無酸素銅のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い銅合金の板材を作製した。そして、この銅合金の板材に実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行って銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は18μmであり、RND{011}は0.35であった。この他は、実施例1と同様にして厚さが18μmの圧延銅箔を作製した。これを実施例3の試料とした。
(実施例4)
実施例4では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが0.36mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は17μmであり、RND{011}は0.40であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、95%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを実施例4の試料とした。
(実施例5)
実施例5では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが3.6mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は20μmであり、RND{011}は0.21であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、99.5%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを実施例5の試料とした。
(実施例6)
実施例6では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが0.7mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は20μmであり、RND{011}は0.31であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、95%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが35μmである圧延銅箔を作製した。これを実施例6の試料とした。
(実施例7)
実施例7では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが0.24mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は14μmであり、RND{011}は0.32であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、95%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが12μmである圧延銅箔を作製した。これを実施例7の試料とした。
(実施例8)
実施例8では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが0.14mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は18μmであり、RND{011}は0.25であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、95%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが7μmである圧延銅箔を作製した。これを実施例8の試料とした。
(比較例1)
比較例1では、酸素濃度が10ppm、燐濃度が5ppmである無酸素銅のインゴットを鋳造した。この他は、実施例1と同様にして厚さが18μmの圧延銅箔を作製した。これを比較例1の試料とした。
(比較例2)
比較例2では、酸素濃度が10ppm、燐濃度が30ppmである無酸素銅のインゴットを鋳造した。この他は、実施例1と同様にして厚さが18μmの圧延銅箔を作製した。これを比較例2の試料とした。
(比較例3)
比較例3では、酸素濃度が2ppm、燐濃度が2ppm、スズ(Sn)濃度が50ppmである無酸素銅ベースの合金インゴットを鋳造した。この他は、実施例1と同様にして厚さが18μmの圧延銅箔を作製した。これを比較例3の試料とした。
(比較例4)
比較例4では、実施例2と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行って銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。このとき、冷間圧延処理の加工度を実施例1よりも高くし、銅条の圧延面の平均結晶粒径を45μmまで粗大化させた。この銅条の圧延面のRND{011}は0.40であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、98%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを比較例4の試料とした。
(比較例5)
比較例5では、実施例2と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行って銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。このとき、冷間圧延処理の加工度を実施例1よりも低くし、銅条の圧延面のRND{011}を0.19まで低下させた。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は19μmであった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、98%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを比較例5の試料とした。
(比較例6)
比較例6では、実施例3と同様の銅条を作製した。この銅条に、粘度が7cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、98%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを比較例6の試料とした。
(比較例7)
比較例7では、実施例3と同様の銅条を作製した。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.10μmであるワークロールを用い、98%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを比較例7の試料とした。
(比較例8)
比較例8では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが0.12mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は18μmであり、RND{011}は0.35であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、85%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを比較例8の試料とした。
(比較例9)
比較例9では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが9mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は18μmであり、RND{011}は0.35であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、99.8%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが18μmである圧延銅箔を作製した。これを比較例9の試料とした。
(比較例10)
比較例10では、実施例1と同一のインゴットを鋳造した。このインゴットに実施例1と同様の熱間圧延処理を行い、厚さが1.0mmの銅合金の板材を作製した。この銅合金の板材に、実施例1と同様の冷間圧延処理と焼鈍処理とを行い、銅条を作製した。この銅条の圧延面の平均結晶粒径は19μmであり、RND{011}は0.21であった。この銅条に、粘度が4cStである圧延油、表面粗さRaが0.06μmであるワークロールを用い、95%の加工度で最終の冷間圧延処理を行い、厚さが50μmである圧延銅箔を作製した。これを比較例10の試料とした。
実施例1〜8及び比較例1〜10の各試料の作製条件について、まとめて表1に示す。
Figure 2014214376
以上のようにして作製した実施例1〜8及び比較例1〜10の各試料について、圧延面の組織を観察した。すなわち、圧延上がりの圧延銅箔の圧延面の組織を観察した。具体的には、まず、得られた各試料である銅箔の圧延面をSEM−EBSPにより分析し、IPFマップを得る。SEM−EBSPによる分析は、測定倍率を500倍、測定範囲を100μm×100μm、測定ステップを0.3μm間隔として行った。そして、得られたIPFマップをもとに、ND方向から見た際の{211}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合(RND{011}/RND{211})と、圧延方向(RD方向)から見た際の<111>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する<211>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合と(RRD<211>/RRD<111>)と、ND方向から見た際の{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率(RND{001})と、を計算機にて算出して評価した。
ND{011}/RND{211}、及びRRD<211>/RRD<111>の算出は、以下のように行った。すなわち、まず、得られたIPFマップをもとに、まず、ND方向から見た際の{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率(RND{011})と、ND方向から見た際の{211}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率(RND{211})と、RD方向から見た際の<111>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率(RRD<111>)と、RD方向から見た際の<211>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率(RND<211>)とを計算機にて算出した。そして、算出したRND{011}、RND{211}、RRD<111>、及びRRD<211>の値を用い、計算機にてRND{011}/RND{211}、及びRRD<211>/RRD<111>をそれぞれ算出した。
また、実施例1〜8及び比較例1〜10の各試料についてヤング率を測定して評価した。ヤング率の測定は以下のように行った。すなわち、まず、各試料から、圧延方向に幅12.5mm×長さ200mmのサンプルをそれぞれ切り出す。そして、切り出したサンプルを大気中にて160℃で1時間加熱する。その後、各サンプルにひずみ計を取付け、ひずみが0.4になるまで、各サンプルにオートグラフ(株式会社島津製作所製:AGS−5kNX)を用いて引張荷重を加え、サンプル毎に応力―ひずみ線図を得た。なお、オートグラフは、クロスヘッド速度を2mm/分とし、有効ゲージ長さを100mmとした。そして、得られた応力―ひずみ線図から、弾性域での曲線に対する接線の傾きを求め、この傾きをヤング率とした。
また、実施例1〜8及び比較例1〜10の各試料についてハゼ折試験を行い、耐ハゼ折特性について評価した。耐ハゼ折特性の評価は、各試料である圧延銅箔を用いて作製した2層FCCL及び3層FCCLのそれぞれについて行った。具体的には、まず、所定形状に切り出した各試料と、厚さが25μmであり、表面に熱可塑性のポリイミド層を備えるポリイミドフィルム(株式会社カネカ製のアピカル)とを加熱圧着して貼り合わせ、2層FCCLを作製した。また、所定形状に切り出した各試料と、厚さが25μmであるポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製のユーピレックス)とを、厚さが12.5μmである接着剤層を介して貼り合わせ、3層FCCLを作製した。そして、各試料を用いて作製した2層FCCL及び3層FCCLのそれぞれを、大気中にて160℃で1時間加熱した。その後、各2層FCCL及び3層FCCLについて、折り曲げ角度が90°、折り曲げ半径が0.125mm、荷重が3kgの条件で折り曲げを行い、各2層FCCL又は3層FCCLが破断に至った折り曲げ回数をそれぞれ測定した。なお、本実施例では、耐ハゼ折特性が4回以上を合格とした。
各試料におけるRND{011}/RND{211}、RRD<211>/RRD<111>、ヤング率、耐ハゼ折特性の評価結果をそれぞれ、表2にまとめて示す。
Figure 2014214376
表2の実施例1〜8から、酸素濃度が5ppm以下であり、燐濃度が10ppm以下であり、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる銅合金が用いられ、圧延銅箔の圧延面が、RND{011}/RND{211}の値が1.5以上、RRD<211>/RRD<111>の値が2以上であり、RND{001}の値が0.1以下である結晶配向を有すると、優れた耐ハゼ折特性を有することを確認した。すなわち、160℃で1時間加熱した後の圧延銅箔のヤング率が100GPa以下となり、圧延銅箔は十分に軟化することを確認した。また、圧延銅箔が2層FCCL、3層FCCLのいずれに用いられた場合であっても、耐ハゼ折特性が4回以上となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られることを確認した。
比較例1から、銅合金中の酸素濃度が5ppmを超えると、耐ハゼ折特性が、2層FCCL及び3層FCCLともに3回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。これは、銅合金中の酸素によって、銅合金内に酸化物の粒子が形成されることに起因する。そして、このような銅合金に熱間圧延処理を行って銅合金の板材を形成する際、ひずみが酸化物の粒子の周辺に不均一に加わって蓄積し、銅合金の板材の耐熱性が低下する。従って、熱間圧延処理後、銅合金の板材に冷間圧延処理を行って銅条を形成する際の加工熱で、銅条内で再結晶が発生し、ひずみが解放され、その結果、耐ハゼ折特性が低下する。
比較例2から、銅合金中の燐濃度が10ppmを超えると、燐によって圧延銅箔の耐熱性が高くなり、ヤング率が100GPaを超えることを確認した。従って、160℃で1時間加熱した場合であっても、3層FCCLは完全に軟化せず、耐ハゼ折特性が2回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例3から、銅合金中にスズ(Sn)を添加すると、圧延銅箔の耐熱性が高くなり、ヤング率が100GPaを超えることを確認した。従って、160℃で1時間加熱した場合であっても3層FCCLは完全に軟化せず、所望とする耐ハゼ折特性が1回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例4から、最終の冷間圧延処理を行う直前の銅条の圧延面の平均結晶粒径が粗大化すると、すなわち20μmを超えると、最終の冷間圧延処理で、圧延銅箔内に十分なひずみを均一に蓄積させることができないことを確認した。従って、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下することを確認した。その結果、3層FCCLの耐ハゼ折特性が3回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例5から、最終の冷間圧延処理を行う直前の銅条の圧延面のRND{011}が0.2未満であると、最終の冷間圧延処理時に、圧延銅箔中で結晶回転が起こりにくくなることを確認した。従って、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下することを確認した。その結果、耐ハゼ折特性が2層FCCL及び3層FCCLともに3回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例6から、最終の冷間圧延処理において、高粘度の圧延油が用いられると、変形抵抗が大きくなるため、圧延銅箔の圧延面の結晶配向が変化し、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下することを確認した。従って、圧延銅箔の耐熱性が高くなり、ヤング率が100GPaを超えることを確認した。その結果、160℃で1時間加熱した場合であっても3層FCCLは完全に軟化せず、耐ハゼ折特性が3回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例7から、最終の冷間圧延処理において、表面粗さ(Ra)の値が大きいワークロールが用いられると、圧延加工によって圧延銅箔の表面に発生するオイルピットと呼ばれる凹みの数が増加することを確認した。また、圧延銅箔にひずみが不均一に加わわって蓄積され、最終の冷間圧延処理時の加熱により、ひずみが集中する箇所に再結晶が発生し、ひずみが解放されることを確認した。従って、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下することを確認した。その結果、耐ハゼ折特性が2層FCCL及び3層FCCLともに3回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例8から、最終の冷間圧延処理の加工度が低い(すなわち95%未満である)と、最終の冷間圧延処理中に、圧延銅箔中で結晶回転が十分に起こらず、圧延銅箔内に十分なひずみを均一に蓄積させることができないことを確認した。従って、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下することを確認した。その結果、耐ハゼ折特性が2層FCCL及び3層FCCLともに3回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例9から、最終の冷間圧延処理の加工度が高い(すなわち99.5%を超える)と、最終の冷間圧延処理を行っている際に、圧延銅箔内に過剰なひずみが蓄積し、再結晶が発生することを確認した。従って、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下することを確認した。その結果、耐ハゼ折特性が2層FCCL及び3層FCCLともに3回となり、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。
比較例10から、圧延銅箔の厚さが厚すぎる(すなわち35μmを超える)と、最終の冷間圧延処理の加工度を所定範囲内としても、圧延銅箔内のひずみ分布が不均一になることを確認した。また、最終の冷間圧延処理を行っている際に、圧延銅箔内に過剰なひずみが蓄積し、再結晶が発生することを確認した。従って、RND{011}/RND{211}の値及びRRD<211>/RRD<111>の値が低下することを確認した。その結果、2層FCCLの耐ハゼ折特性が2回となり、3層FCCLの耐ハゼ折特性が3回となり、2層FCCL及び3層FCCLともに、所望とする耐ハゼ折特性が得られないことを確認した。

Claims (8)

  1. 酸素濃度が5ppm以下であり、燐濃度が10ppm以下であり、残部が銅(Cu)及び不可避的不純物からなる銅合金が所定厚さまで圧延加工が行われて形成され、
    圧延面は、前記圧延面の法線方向から見た際、{211}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合が1.5以上であり、前記圧延面の圧延方向から見た際、<111>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率に対する<211>結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率の割合が2以上であり、前記圧延面の法線方向から見た際、{001}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率が0.1以下である
    ことを特徴とする圧延銅箔。
  2. 前記銅合金に熱間圧延処理が行われた後、冷間圧延処理と焼鈍処理とが所定回数繰り返して行われることで形成され、最終の冷間圧延処理が行われる直前の銅条の圧延面は、平均結晶粒径が20μm以下であり、前記銅条の圧延面の法線方向から見た際、前記{011}結晶方位を持つ結晶粒の占める面積率が0.2以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の圧延銅箔。
  3. 厚さが5μm以上35μm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
  4. 160℃の温度で1時間加熱した後のヤング率が、100GPa以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧延銅箔。
  5. 折り曲げ角度が90°、折り曲げ半径が0.125mm、荷重が3kgの条件で折り曲げ試験を行った際、破断に至るまでの折り曲げ回数が4回以上である
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧延銅箔。
  6. 前記圧延面には、表面処理が行われている
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の圧延銅箔。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の圧延銅箔と、
    樹脂層と、を備え、
    前記圧延銅箔は、前記樹脂層の少なくとも片面に設けられている
    ことを特徴とするフレキシブル銅張積層板。
  8. 請求項7に記載のフレキシブル銅張積層板を備える
    ことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
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