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JP2014069931A - トラバースアーム、及びこれを備えた糸巻取機 - Google Patents

トラバースアーム、及びこれを備えた糸巻取機 Download PDF

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Yasunobu Tanigawa
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Abstract

【課題】軽量かつ強度に優れ、安価に製造可能なトラバースアームを提供する。
【解決手段】トラバースアーム74は、アーム本体71と、アーム本体71の先端部に設けられたトラバースガイド73と、を備え、アーム本体71の長手方向に略直交する旋回駆動軸77によって旋回駆動される。アーム本体71は、板状部材から構成されており、当該板状部材の少なくとも一部が長手方向と直交する断面内で曲げられることにより、旋回駆動軸方向に凸となる凸部82が形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、糸巻取機において糸をトラバースするためのトラバースアームに関する。
糸巻取機は、巻取ボビンに巻き取られる糸をトラバース(綾振り)するためのトラバース装置を備えている。このようなトラバース装置として、往復旋回駆動されるトラバースアームを備えたアーム式のトラバース装置が従来から知られている。このようなトラバース装置は、例えば特許文献1及び2に記載されている。
トラバースアームは高速で左右に往復旋回駆動させられるので、可能なかぎり軽量であることが望まれる。一方で、トラバースアームは、糸が引っ掛かるなどして力が加わったときに、折れたり曲がったりしないように強度が要求される。
この点、特許文献2は、2枚のプレートの間にビームを挟み込んでトラス構造としたトラバースアームを開示している。特許文献2は、トラバースアームにトラス構造を採用することにより、当該トラバースアームを軽量化できるとともに剛性を高めることができるとしている。
特開2011−195217号公報 特開2010−137944号公報
しかし、特許文献2が開示するトラス構造のトラバースアームは、2枚プレートとビームを貼り合わせた複雑な構造であるため、製造コストが高く、製造が難しいという課題がある。
本発明の目的は、軽量かつ強度に優れ、安価に製造可能なトラバースアームを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の観点によれば、トラバースアームは、アーム本体と、前記アーム本体の長手方向の先端に設けられたトラバースガイドと、を備え、前記アーム本体の前記長手方向に略直交する旋回駆動軸によって旋回駆動される。前記アーム本体は、板状部材から構成されており、当該板状部材の少なくとも一部が前記長手方向と直交する断面内で曲げられることにより、前記旋回駆動軸と同じ方向に凸となる凸部が形成されている。
このように、アーム本体を板状部材から構成することにより、アーム本体を薄く構成できるので、当該アーム本体を軽量化できる。そして、長手方向に直行する平面内で板状部材を曲げてアーム本体に凸部を形成することにより、簡単な構成でアーム本体の剛性を確保できる。板状部材の曲げ加工には、例えばプレスなどを利用でき、製造が容易である。
上記のトラバースアームにおいて、前記アーム本体の前記凸部は、前記長手方向において前記先端部から離れるに従って、前記旋回駆動軸と同じ方向への突出量が大きくなるように形成されていることが好ましい。
トラバースアームは、先端部から離れた部分ほど剛性が要求されるので、上記のように構成することで、先端部から離れるに従ってトラバースアームの剛性を徐々に高めることができる。
上記のトラバースアームにおいて、前記板状部材が鈍角で折れ線状に折り曲げられることにより、前記凸部が形成されていることが好ましい。
このように、板状部材を鈍角で折り曲げて凸部を形成する構成としたので、例えば直角に折り曲げる場合と比べて、プレス等による曲げ加工が容易になる。
上記のトラバースアームは、前記アーム本体とは別体で、前記旋回駆動軸に取り付けられる取付部材を有することが好ましい。前記取付部材は、前記アーム本体の前記長手方向の基端部に固定される。
トラバースアームの基端部には、当該トラバースアームを旋回駆動するためのトルクがかかるので、特に剛性が要求される。そこで上記のように、十分な剛性を有する取付部材をアーム本体の基端部に固定する構成とすることで、トラバースアームの基端部の剛性を確保できる。
上記のトラバースアームの前記アーム本体は、前記長手方向の基端部に、前記旋回駆動軸と略直交する平板状部を有する。前記取付部材は、少なくとも前記平板状部に固定される。
平面状部をアーム本体の基端部に設け、当該平板状部に取付部材を取り付ける構成としたので、アーム本体の基端部に対して取付部材を安定して固定できる。
上記のトラバースアームにおいて、前記取付部材は、前記平板状部と前記凸部とにまたがって配置されており、かつ、前記平板状部と、前記凸部と、にそれぞれ固定されていることが好ましい。
このように、凸部と平板状部にまたがって取付部材を配置することにより、アーム本体に対して取付部材をより安定して固定できる。
上記のトラバースアームにおいて、前記アーム本体には、固定具を挿通させるための挿通孔が形成されていることが好ましい。前記取付部材は、前記固定具により、前記アーム本体に対して固定されている。
アーム本体に形成された挿通孔を介して固定具を取付部材に取り付けることにより、アーム本体と取付部材を強固に締結できる。なお、固定具を挿通するための挿通孔は、プレス等によってアーム本体に形成できる。
本発明の別の観点によれば、糸巻取機は、複数の巻取ユニットを有する。各巻取ユニットは、上記のトラバースアームによって糸のトラバースを行うトラバース装置を備える。
この糸巻取機は、軽量かつ剛性に優れ、かつ安価に製造できる本願発明のトラバースアームを備えているので、巻き取る糸を安定してトラバースでき、しかもコストを抑えることができる。従って、本発明の糸巻取機によれば、高品質なパッケージを安価に形成できる。
本発明の一実施形態に係る自動ワインダの正面図。 ワインダユニットの概略的な正面図。 トラバース装置近傍の様子を示す側面図。 (a)トラバースアームの側面図。(b)トラバースアームの正面図。(c)トラバースアームの斜視図。 アーム本体の正面図。 図5のA−A断面矢視図。 図5のB−B断面矢視図及びC−C断面矢視図。
次に、発明の実施の形態を説明する。初めに、図1から図3を参照して、本実施形態の自動ワインダ(糸巻取機)1の構成について説明する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、糸巻取時での糸の走行方向における上流及び下流を意味する。
図1に示すように、自動ワインダ(糸巻取機)1は、並べて配置された複数のワインダユニット(巻取ユニット)10を備えている。
それぞれのワインダユニット10は、図2に示すように、給糸部11と、糸解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、スプライサ装置(糸継装置)14と、クリアラ(糸欠点検出装置)15と、巻取部16を配置した構成となっている。また、ワインダユニット10は、当該ワインダユニット10が備える各部の動作を制御するユニット制御部50を備えている。
給糸部11は、糸20を供給する給糸ボビン21を所定の位置に保持する。
糸解舒補助装置12は、給糸ボビン21の芯管に被さる規制部材40を備えている。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸20が遠心力によって給糸ボビン21の周囲を振り回されている部分(バルーン)に接触する。糸解舒補助装置12は、これにより、バルーンを適切な大きさに制御して、給糸ボビン21からの糸20の解舒を補助する。
テンション付与装置13は、走行する糸20に所定のテンションを付与する。テンション付与装置13としては、例えば、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものを用いることができる。噛み合わせた状態の櫛歯の間を屈曲させながら糸20を通過させることにより、走行する糸20に抵抗を付与して適切なテンションを与えることができる。なお、テンション付与装置13には、上記ゲート式のもの以外にも、例えば、ディスク式のものを採用することができる。
クリアラ15は、糸20の異常部分(糸欠点)を検出するための図略のセンサを備えている。クリアラ15の近傍には、当該クリアラ15が糸欠点を検出したときに直ちに糸20を切断するためのカッタ39が設けられている。
スプライサ装置14は、クリアラ15が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン21からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン21側の下糸と、巻取ボビン22側の上糸とを接合(糸継ぎ)する。このような上糸と下糸とを糸継ぎする糸継装置としては、機械式のものや、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用することができる。
前記スプライサ装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の糸端を捕捉してスプライサ装置14に案内する下糸捕捉部材25と、巻取ボビン22側の糸端を捕捉してスプライサ装置14に案内する上糸捕捉部材26と、がそれぞれ設けられている。
巻取部16は、糸20を巻き取るための巻取ボビン22を支持するクレードル23と、巻取ボビン22の周面に接触して回転可能な接触ローラ29と、を備えている。巻取部16は、クレードル23に支持された巻取ボビン22を回転駆動する図略の回転駆動源を備えている。巻取ボビン22を回転駆動することにより、当該巻取ボビン22の外周に糸20を巻き取っていくことができる。なお、このように糸20が巻き取られた状態の巻取ボビン22を、パッケージ30と称する。
ワインダユニット10は、巻取ボビン22に巻き取られる糸20をトラバース(綾振り)させるためのアーム式のトラバース装置70を、クレードル23近傍に備えている。図3に示すように、トラバース装置70は、トラバース駆動モータ76と、旋回駆動軸77と、トラバースアーム74と、を備えている。
トラバース駆動モータ76は、トラバースアーム74を往復旋回駆動するためのものであって、サーボモータ等により構成されている。トラバース駆動モータ76の出力軸は、前記旋回駆動軸77である。図3に示すように、旋回駆動軸77は、トラバースアーム74の長手方向の基端部に接続されている。トラバースアーム74は、旋回駆動軸77に対して相対回転不能に固定されている。なお、図3に示すように、旋回駆動軸77にトラバースアーム74を固定した状態では、当該トラバースアーム74の長手方向と旋回駆動軸77とが略直交した状態となる。
トラバースアーム74の先端部(長手方向で前記基端部とは反対側の端部)には、トラバースガイド73が形成されている。トラバースガイド73は、巻取ボビン22に巻き取られる糸20に係合できる形状(糸20を引っ掛けることができる形状)に形成されている。
トラバース駆動モータ76のロータが正逆回転を繰り返し、トラバースアーム74を往復旋回運動させることにより、トラバースガイド73がパッケージ30の巻幅方向(図2の左右方向、図3の紙面垂直方向)に対して往復運動を行う。このトラバースガイド73に糸20を係合させた状態で巻取ボビン22を回転させることにより、糸20をトラバースしながら巻取ボビン22に巻き取っていき、所定形状のパッケージ30を形成することができる。
続いて、本実施形態に係るトラバースアーム74について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、本実施形態のトラバースアーム74は、アーム本体71と、ガイド部材75と、取付部材72と、から構成されている。
図4に示すように、アーム本体71は、細長い形状に形成されている。当該アーム本体71の長手方向で、旋回駆動軸77が取り付けられる側を「基端」、反対側(トラバースガイド73側)を「先端」とする。なお、以下の説明では、アーム本体71の長手方向のことを、単に「長手方向」と言う場合がある。また、以下の説明では、旋回駆動軸77の軸線と平行な方向を、「旋回駆動軸方向」と呼ぶ。旋回駆動軸方向は、アーム本体71の長手方向に直交している。長手方向と旋回駆動軸方向に直交する方向(図4(b)の左右方向)を、「トラバース幅方向」と呼ぶ。
アーム本体71は、板状部材を加工して形成されている。このように、アーム本体71を板状の部材から構成することで、当該アーム本体71を薄く構成でき、アーム本体71を軽量化できる。
具体的には、本実施形態のアーム本体71は、アルミ板をプレス加工して形成されている。このように、アーム本体71をアルミ板から構成することで、当該アーム本体を軽量に構成でき、かつ適度な剛性を確保できる。プレス加工によりアーム本体71を形成しているので、当該アーム本体71を量産することが容易である。
図4に示すように、アーム本体71の先端部には、トラバースガイド73が形成されている。前述のように、トラバースガイド73は、糸20に係合できる形状に形成される。本実施形態のトラバースガイド73は、図4(b)に示すように鉤状(フック状)に形成されている。
トラバースガイド73が糸20に接触する部分(本実施形態の場合は、鉤状のトラバースガイド73の内側の部分)には、ガイド部材75が配置されている。ガイド部材75は、セラミックスなどの耐摩耗性に優れた素材により形成されており、アーム本体71に対して固定されている。トラバース装置70によってトラバースされる糸20は、このガイド部材75に接触した状態で、摺動しながら走行する。
トラバースアーム74を往復旋回駆動する際には、当該トラバースアーム74と旋回駆動軸77との間に大きなトルクが加わる。従って、トラバースアーム74の旋回駆動軸77を取り付ける部分には、十分な剛性が必要となる。本実施形態のアーム本体71はアルミ板によって形成されているので、当該アーム本体71の基端部に、旋回駆動軸77を直接取り付け得るほどの剛性を持たせることは難しい。
本実施形態のトラバースアーム74の基端部には、旋回駆動軸77を取り付けるための取付部材72が設けられている。取付部材72には、旋回駆動軸77を取り付けるための取付孔78が形成されている。なお、この取付孔78には、旋回駆動軸77に対してトラバースアーム74が相対回転することを防ぐためのキー溝79が形成されている。
本実施形態のトラバースアーム74においては、取付部材72を、アーム本体71と別体としている。取付部材72をアーム本体71とは別体としているので、当該取付部材72を、プレス加工以外の製造方法(例えば削り出しなど)で形成することができる。従って、取付部材72を、十分な剛性を確保できるような任意の形状に形成できる。なお、本実施形態において、取付部材72はアルミ製である。
続いて、アーム本体71の構成について、図5から図7を参照して詳しく説明する。
前述のように、アーム本体71の先端側には、鉤状のトラバースガイド73が形成されている。図5に示すように、アーム本体71の基端側には、前記取付部材72を固定するための平板状部80が形成されている。以下の説明では、アーム本体71の、トラバースガイド73と平板状部80の間の部分を、中間部85と呼ぶ。
本実施形態のアーム本体71は、1枚のアルミ板をプレス加工することにより、トラバースガイド73、中間部85、及び平板状部80を形成している。トラバースガイド73、中間部85、及び平板状部80は一体形成である。
図6に示すように、平板状部80は、旋回駆動軸77に直交する平板状に形成されている。平板状部80を旋回駆動軸77に直交する平板状に形成したことにより、当該平板状部80に取付部材72を安定して取り付けることができる。
図6に示すように、トラバース幅方向で見たときに、アーム本体71は、トラバースガイド73と中間部85との境界部分において、曲げられている。これは、図3に示すように、トラバースガイド73を、接触ローラ29の外周面に対して近づけるためである。なお、トラバースガイド73と中間部85の境界部分の曲げは、前述のプレスによる曲げ加工によって形成できる。
図5に示すように、旋回駆動軸方向で見たときに、アーム本体71の中間部85の輪廓形状は、先端部から基端部に近づくに従って徐々に太くなるように形成されている。これにより、旋回駆動軸77に直交する平面内(図5に示す平面内)において、基端部に近い部分ほどアーム本体71の剛性が高くなっている。従って、例えばトラバースガイド73に糸20が引っ掛かってトラバースアーム74に力が加わったとしても、旋回駆動軸77に直交する平面内でアーム本体71が変形しにくい。
図7に示すように、本実施形態のアーム本体71の中間部85には、長手方向に直交する断面内(図7で示す断面内)で旋回駆動軸方向の一側に向けて凸となる凸部82が形成されている。なお、この凸部82を裏から見れば、旋回駆動軸方向の一側に向けて凹となる凹部が形成されていると言える。凸部と凹部は表裏一体であるから、以下の説明ではもっぱら凸部82として説明する。
凸部82は、前述のプレスによる絞り加工又は曲げ加工等によって形成されている。このように、アーム本体71に凸部82を形成することで、旋回駆動軸方向及び長手方向を含む平面内(図6に示す平面内)でのアーム本体71の剛性を高めることができる。
図6及び図7の断面図に示すように、凸部82は、先端部から基端部に近づくに従って、旋回駆動軸方向への突出量が徐々に大きくなるように形成されている。これにより、旋回駆動軸方向及び長手方向を含む平面内(図6に示す平面内)において、基端部に近い部分ほどアーム本体71の剛性が高い。
以上の構成により、例えばトラバースガイド73に糸20が引っ掛かってトラバースアーム74に力が加わったとしても、旋回駆動軸方向及び長手方向を含む平面内(図6に示す平面内)でアーム本体71が変形しにくい。
続いて、凸部82の構成についてより具体的に説明する。
図7のB−B断面矢視図、及びC−C断面矢視図に示すように、凸部82は、長手方向に直交する断面内で、アーム本体71を構成する板状部材(本実施形態の場合はアルミ板)が曲げられることにより形成されている。本実施形態では、図7に示すように、長手方向に直交する断面内において、アルミ板が折れ線状に折り曲げられることにより、凸部82が形成されている。
図4(c)の斜視図等に示すように、凸部82は、互いに異なる方向を向いた平面同士が接続されて構成されている。具体的には、図5及び図7等に示すように、アーム本体71は、正面部83及び側面部84を備えている。
図5及び図4(c)に示すように、正面部83及び側面部84は、それぞれ、先端部から基端部に近づくに従って幅が拡がる三角形状の平面として形成されている。
正面部83は、その法線が旋回駆動軸方向となるように形成されている(つまり、正面部83は、旋回駆動軸方向を向いている)。正面部83のトラバース幅方向の両端部には、それぞれ、側面部84が接続している。図7に示すように、長手方向に直交する断面内において、側面部84は、正面部83に対して斜めに接続されている。従って、側面部84の法線は、旋回駆動軸方向に対して斜めの方向を向いている。
図7に示すように、長手方向に直交する断面内において、正面部83と側面部84は、鈍角で接続している。当該断面内において、アーム本体71を構成するアルミ板は、鈍角で折り曲げられている。このように、アルミ板を折り曲げる角度が鈍角となっているので、プレス加工によってアルミ板を曲げて凸部82を形成することが容易である。
図5及び図6に示すように、本実施形態のアーム本体は、正面部83の基端部側の辺と、平板状部80と、を接続する平面状の底面部86を備えている。図5に示すように、底面部86は台形状に形成されており、正面部83及び側面部84の基端部側の辺にそれぞれ接続されている。
図6に示すように、平板状部80と、正面部83とは、略平行に配置されている。正面部83と平板状部80の間には、旋回駆動軸方向で段差87が形成されている。
アーム本体71に対する取付部材72の取り付け構造について、詳しく説明する。
図5に示すように、平板状部80には、ネジ(固定具)を挿入する挿通孔81が形成されている。この挿通孔81を介して、固定用のネジを取付部材72に螺入することにより、平板状部80に対して取付部材72を固定できる。挿通孔81の形成方法は特に限定されないが、本実施形態では、プレスによる打ち抜きによって挿通孔81を形成している。これによれば、プレス加工によってアーム本体71を形成する際に、挿通孔81の形成を同時に行うことができる。
本実施形態の平板状部80には、トラバース幅方向で並べて2つの挿通孔81が形成されている。取付部材72を平板状部80に固定する際には、2つの挿通孔81それぞれにネジを通して、当該ネジを取付部材72に螺入する。このように、取付部材72を、アーム本体71に形成された複数の挿通孔を介してネジ止めすることにより、アーム本体71に対して取付部材72を安定して固定できる。
本実施形態では、図5及び図6に示すように、凸部82の基端側(具体的には、正面部83の基端側)にも、挿通孔88が形成されている。図4に示すように、取付部材72は、凸部82と平板状部80にまたがるように配置される。取付部材72をアーム本体71に固定する際には、凸部82に形成された挿通孔88にネジを通して、当該ネジを取付部材72に螺入する。これにより、取付部材72を、凸部82と平板状部80の両方に固定できるので、アーム本体71に対して取付部材72を安定して固定できる。
更に、本実施形態では、図5に示すように、旋回駆動軸方向で見たときに、凸部82に形成された挿通孔88と、平板状部80に形成された2つの挿通孔81は、三角形の頂点を構成している。本実施形態の取付部材72は、旋回駆動軸方向で見たときに、アーム本体71に対して3点でネジ止めされる構成である。これにより、旋回駆動軸方向に直交する平面内(図5に示す平面内)で、アーム本体71に対して取付部材72をより安定して固定できる。
以上で説明したように、本実施形態のトラバースアーム74は、アーム本体71と、アーム本体71の長手方向の先端部に設けられたトラバースガイド73と、を備え、アーム本体71の長手方向に略直交する旋回駆動軸77によって旋回駆動される。アーム本体71は、板状部材から構成されており、当該板状部材の一部が長手方向と直交する断面内(図7で示す断面内)で曲げられることにより、旋回駆動軸方向に凸となる凸部82が形成されている。
このように、アーム本体71を板状部材から構成することにより、アーム本体71を薄く構成できるので、当該アーム本体71を軽量化できる。長手方向に直行する平面内で板状部材を曲げてアーム本体71に凸部82を形成することにより、簡単な構成でアーム本体71の剛性を確保できる。板状部材の曲げ加工にはプレスなどを利用でき、製造が容易である。
本実施形態のトラバースアーム74において、アーム本体71の凸部82は、長手方向において先端部から離れるに従って、旋回駆動軸方向への突出量が大きくなるように形成されている。
トラバースアーム74は、先端部から離れた部分ほど剛性が要求されるので、上記のように構成することで、先端部から離れるに従ってトラバースアーム74の剛性を徐々に高めることができる。
本実施形態のトラバースアーム74において、アーム本体71を構成するアルミ板が、長手方向に直交する平面内で、鈍角で折れ線状に折り曲げられている。
このように、アルミ板を鈍角で折り曲げて凸部82を形成する構成としたので、例えば直角に折り曲げる場合と比べて、プレス等による曲げ加工が容易になる。
本実施形態のトラバースアーム74は、アーム本体71とは別体で、旋回駆動軸77に取り付けられる取付部材72を有する。取付部材72は、アーム本体71の長手方向の基端部に固定されている。
トラバースアーム74の基端部には、当該トラバースアーム74を旋回駆動するためのトルクがかかるので、特に剛性が要求される。そこで上記のように、十分な剛性を有する取付部材72をアーム本体71の基端部に固定する構成とすることで、トラバースアーム74の基端部の剛性を確保できる。
本実施形態のトラバースアーム74において、アーム本体71は、長手方向の基端部に、旋回駆動軸77と略直交する平板状部80を有する。取付部材72は、平板状部80に固定されている。
このように、平板状部80をアーム本体71の基端部に設け、当該平板状部80に取付部材72を取り付ける構成としたので、アーム本体71の基端部に対して取付部材72を安定して固定できる。
本実施形態のトラバースアーム74において、取付部材72は、平板状部80と凸部82とにまたがって配置されており、かつ、平板状部80と、凸部82にそれぞれ固定されている。
このように、凸部82と平板状部80にまたがって取付部材72を配置することにより、アーム本体71に対して取付部材72をより安定して固定できる。
本実施形態のトラバースアーム74において、アーム本体71には、ネジを挿通させるための挿通孔81及び88が形成されている。取付部材72は、挿通孔81及び88を介してネジを締め付けることにより、アーム本体71に対して固定されている。
アーム本体71に形成された挿通孔81及び88を介してネジを取付部材72に螺入することにより、アーム本体71と取付部材72を強固に締結できる。なお、ネジを挿通するための挿通孔81及び88は、プレス等によってアーム本体71に形成できる。
本実施形態の自動ワインダ1は、複数のワインダユニット10を有している。各ワインダユニット10は、上記のトラバースアーム74によって糸20のトラバースを行うトラバース装置70を備えている。
この自動ワインダ1は、軽量かつ剛性に優れ、かつ安価に製造できる本実施形態のトラバースアーム74を備えているので、巻き取る糸20を安定してトラバースでき、しかもコストを抑えることができる。従って、本実施形態の自動ワインダ1によれば、高品質なパッケージ30を安価に形成できる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態では、アーム本体71をアルミ板のプレス加工により形成しているが、これに限らず、適宜の金属板によってアーム本体71を形成できる。アーム本体71の素材としては、軽量かつ適度な剛性を有する素材であることが好ましい。
アーム本体71の素材としては金属板に限らず、その他の板状部材を適宜折り曲げることによりアーム本体71を構成しても良い。例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)板などを素材として、上記実施形態のアーム本体71と同等の形状のアーム本体を形成することが可能である。
アーム本体71に、軽量化のための孔を適宜形成しても良い。
上記実施形態において、アーム本体71は、長手方向に直交する平面内で折れ線状に折り曲げられることにより、凸部82を形成している。この場合、図4(c)の斜視図に示すように、凸部82は多面状となる。しかしこれに限らず、例えばアーム本体71を、長手方向に直交する平面内で曲線状に折り曲げることにより、凸部82を形成しても良い。この場合、凸部82は曲面状となる。要は、長手方向に直交する平面内でアーム本体71が折り曲げられることにより凸部82(又は凹部)が形成されていれば良く、その形状は特に限定されない。
凸部は、アーム本体71に少なくとも1つ形成されていれば良く、複数の凸部を形成することもできる。
上記実施形態では、取付部材72の素材は、アルミである。しかし、取付部材72の素材はアルミに限定されず、ある程度の剛性を有する素材であれば良い。取付部材72の素材とアーム本体71の素材は異なっていても良い。
アーム本体71に対する取付部材72の取付構造は、上記のものに限定されず、適宜の構造を採用できる。取付部材72を省略し、旋回駆動軸77に対してアーム本体71を直接取り付けても良い。
アーム本体71に取付部材72を固定するための固定具はネジに限らず、例えばカシメピンであっても良い。
1 自動ワインダ(糸巻取機)
2 巻取ユニット(ワインダユニット)
70 トラバース装置
71 トラバースアーム
72 取付部材
74 アーム本体
77 旋回駆動軸
82 凸部

Claims (8)

  1. アーム本体と、
    前記アーム本体の長手方向の先端部に設けられたトラバースガイドと、
    を備え、前記アーム本体の前記長手方向に略直交する旋回駆動軸によって旋回駆動されるトラバースアームであって、
    前記アーム本体は、板状部材から構成されており、当該板状部材の少なくとも一部が前記長手方向と直交する断面内で曲げられることにより、前記旋回駆動軸と同じ方向に凸となる凸部が形成されていることを特徴とするトラバースアーム。
  2. 請求項1に記載のトラバースアームであって、
    前記アーム本体の前記凸部は、前記長手方向において前記先端部から離れるに従って、前記旋回駆動軸と同じ方向への突出量が大きくなるように形成されていることを特徴とするトラバースアーム。
  3. 請求項1又は2に記載のトラバースアームであって、
    前記板状部材が鈍角で折れ線状に折り曲げられることにより、前記凸部が形成されていることを特徴とするトラバースアーム。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載のトラバースアームであって、
    前記アーム本体とは別体で、前記旋回駆動軸に取り付けられる取付部材を有し、
    前記取付部材は、前記アーム本体の前記長手方向の基端部に固定されていることを特徴とするトラバースアーム。
  5. 請求項4に記載のトラバースアームであって、
    前記アーム本体は、前記長手方向の基端部に、前記旋回駆動軸と略直交する平板状部を有し、
    前記取付部材は、少なくとも前記平板状部に固定されていることを特徴とするトラバースアーム。
  6. 請求項5に記載のトラバースアームであって、
    前記取付部材は、前記平板状部と前記凸部とにまたがって配置されており、かつ、前記平板状部と、前記凸部と、にそれぞれ固定されていることを特徴とするトラバースアーム。
  7. 請求項5又は6に記載のトラバースアームであって、
    前記アーム本体には、固定具を挿通させるための挿通孔が形成されており、
    前記取付部材は、前記固定具により、前記アーム本体に対して固定されていることを特徴とするトラバースアーム。
  8. 請求項1から7までの何れか一項に記載のトラバースアームによって糸のトラバースを行うトラバース装置を備えた複数の巻取ユニットを有することを特徴とする糸巻取機。
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