JP2013023416A - セメント組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3500〜10000cm2/gの無機粉末、細骨材、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、減水剤、および、水を含むセメント組成物であって、前記繊維が、直径0.01〜0.04mm、および、長さ1〜15mmのモノフィラメント等であるセメント組成物を提供する。
【選択図】なし
Description
これに対し、有機繊維を用いたUFCは、腐食の問題はないが、無機繊維を用いたUFCと比べ、圧縮強度や曲げ強度が低くなる傾向がある。
これらの中でも、アラミドは引張強度が特に高いため、高強度が要求されるコンクリート等に用いられている。
例えば、特許文献1では、セメント、BET比表面積が5〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3500〜10000cm2/gの無機粉末、細骨材、アラミド繊維、減水剤および水を含むセメント組成物であって、前記アラミド繊維が、直径0.02〜0.2mm、長さ1〜10mmのモノフィラメント繊維であるセメント組成物が提案されている。
いずれの組成物の硬化体も、圧縮強度が180N/mm2以上と高いため、高い強度が要求される橋梁などの構造部材に用いることができる。
しかし、前記組成物の圧縮強度、曲げ強度および流動性は、鋼繊維を用いたUFCと比べ、まだ十分とはいえない。
[1]セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3500〜10000cm2/gの無機粉末、細骨材、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、減水剤、および、水を含むセメント組成物であって、
前記繊維が、直径0.01〜0.04mm、および、長さ1〜15mmのモノフィラメントであるセメント組成物。
[2]セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3500〜10000cm2/gの無機粉末、細骨材、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、減水剤、および、水を含むセメント組成物であって、
前記繊維が、直径0.01〜0.04mmのモノフィラメントを、繊維集束剤を用いて集束してなる、直径0.1〜0.5mm、および、長さ1〜30mmの繊維集束体であるセメント組成物。
[3]前記繊維集束体が、撚りを付与されてなる繊維集束体である、請求項2に記載のセメント組成物。
なお、本発明において、セメント組成物とは、フレッシュモルタル、フレッシュコンクリート、および、これらの硬化体の、いずれも含むものである。
以下に、本発明について構成材料ごとに説明する。なお、%は特に示さない限り、質量%である。
本発明で用いるセメントは、特に限定されないが、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメントが挙げられる。そして、セメント組成物の早期強度が要求される用途には、早強ポルトランドセメントが適し、セメント組成物の流動性が要求される用途には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントが適する。
本発明で用いる微粉末は、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ、および、石灰石粉末等が挙げられる。
また、該微粉末のBET比表面積は、通常,3〜25m2/gであり、好ましくは7〜15m2/gである。該値が3m2/g未満では、硬化体の圧縮強度が180N/mm2以上になることは難しく、硬化体の緻密性や耐衝撃性等も低下する。また、該値が25m2/gを越える微粉末は、入手が難しい上、単位水量が増加して、硬化体の強度、緻密性および耐衝撃性等が低下する場合がある。
シリカフュームやシリカダストのBET比表面積は、一般に、5〜25m2/gであり前記の範囲に含まれるため粉砕が不要である。また、石灰石粉末は、被粉砕性や流動性等が優れている。したがって、いずれの微粉末も本発明において好適である。
前記微粉末の配合量は、セメント100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。該値が5質量部未満では、硬化体の圧縮強度が180N/mm2以上になるのは難しく、また、緻密性や耐衝撃性等も低下する。一方、該値が50質量部を越えると、単位水量が増大して、硬化体の強度、緻密性、耐衝撃性等が低下することがある。
本発明で用いる無機粉末は、セメント以外の無機粉末であり、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。これらの中でも、スラグ、石灰石粉末、石英粉末、フライアッシュは、コストや硬化後の品質安定性の点で好ましい。
該無機粉末のブレーン比表面積は3500〜10000cm2/gが好ましく、4000〜9000cm2/gがより好ましく、5000〜9000cm2/gがさらに好ましい。該値が3500cm2/g未満では、硬化体の強度、緻密性、耐衝撃性等が低下するため好ましくなく、該値が10000cm2/gを越えると、流動性や、硬化体の強度、緻密性、耐衝撃性等が低下する場合があり、また、コストも増大する。
無機粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、5〜55質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。該値が5質量部未満では、180N/mm2以上の圧縮強度を得ることが困難であり、また、硬化体の緻密性や耐衝撃性等も低下する。一方、該値が55質量部を越えると、流動性や、硬化体の強度、緻密性、耐衝撃性等が低下する場合がある。
本発明で用いる細骨材は、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂等、または、これらの混合物が挙げられる。また、該細骨材の最大粒径は、流動性や、硬化体の強度、緻密性、耐衝撃性等から、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。また、流動性や作業性等から、細骨材中の0.15mm未満の粒子の含有率は、好ましくは5.0%以下であり、細骨材中の75μm以下の粒子の含有率は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下である。
細骨材の配合量は、流動性、施工性および強度の向上の観点や、自己収縮や乾燥収縮の低減、水和発熱量の低減の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜180質量部である。
本発明で用いるポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(以下「PBO」という。)の繊維は、下記の化学構造を有するモノフィラメントおよび繊維集束体である。
(i)直径
モノフィラメントの直径は、通常、0.01〜0.04mmであり、好ましくは0.02〜0.03mmである。該値が0.01mm未満では、セメント組成物の流動性や作業性が低下するほか、180N/mm2以上の圧縮強度は得にくく、該値が0.04mmを越えるモノフィラメントは入手が困難である。
(ii)長さ
モノフィラメントの長さは、通常、1〜15mmであり、好ましくは3〜12mmであり、より好ましくは5〜10mmである。該値が1mm未満では、入手が困難であるほか、曲げ強度や破壊エネルギーが低下する場合がある。一方、該値が15mmを越えると、セメント組成物の流動性や作業性が極端に低下するほか、180N/mm2以上の圧縮強度を得ることが困難となる。
(iii)引張強度
モノフィラメントの引張強度は、好ましくは4kN/mm2以上であり、より好ましくは6.1kN/mm2以上である。また、該モノフィラメントの初期弾性率は、好ましくは140kN/mm2以上であり、より好ましくは310kN/mm2以上である。該モノフィラメントの前記特性値が、前記範囲内にあれば、該モノフィラメントを含む硬化体の曲げ強度や耐衝撃性は向上する。
(iv)配合量
セメント組成物中のモノフィラメントの配合量は、0.5〜3.0体積%が好ましく、0.8〜2.0体積%がより好ましい。該値が0.5体積%未満では、曲げ強度や破壊エネルギーが低下する場合があり、該値が3.0体積%を超えると、セメント組成物の流動性や作業性が低下するほか、コスト高になる。
本発明で用いる繊維は、前記モノフィラメントに代えて、または、前記モノフィラメントと併用して、繊維集束体を用いることができる。該繊維集束体は、前記モノフィラメントを2本以上、繊維集束剤で集束したものである。
(i)繊維集束剤
繊維集束剤は、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニロン、酢酸ビニル樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等から選ばれる、少なくとも1種以上が挙げられる。これらに中で、エポキシ樹脂は、繊維集束体の耐久性が向上するため好ましい。
繊維集束体中の繊維集束剤の含有率は、5〜30体積%が好ましく、5〜20体積%がより好ましい。該値が5体積%未満ではモノフィラメント同士の結合力が弱く、セメント組成物の混練中に繊維集束体が解繊する。一方、該値が30体積%を超えると、繊維集束体の引張強度が低下するおそれがある。
(ii)直径
繊維集束体を構成するモノフィラメントの直径は、通常、0.01〜0.04mmであり、好ましくは0.02〜0.03mmである。該値が0.01〜0.04mmの範囲外のモノフィラメントを集束してなる繊維集束体では、180N/mm2以上の圧縮強度を得るのが困難となるほか、緻密性や耐久性等も低下する傾向がある。
また、繊維集束体の直径は、通常、0.1〜0.5mmであり、好ましくは0.2〜0.4mmである。該値が0.1〜0.5mmの範囲外では、180N/mm2以上の圧縮強度を得ることが困難となる。
(iii)長さ
前記繊維集束体の長さは、通常、1〜30mmであり、好ましくは3〜20mmであり、より好ましくは5〜15mmである。該値が1mm未満では、硬化体の曲げ強度や破壊エネルギーが低下する場合があり、該値が30mmを越えると、セメント組成物の流動性や作業性が極端に低下するほか、180N/mm2以上の圧縮強度を得ることが困難となる。
(iv)配合量
セメント組成物中の繊維集束体の配合量は、0.5〜3.0体積%が好ましく、0.8〜2.5体積%がより好ましい。該値が0.5体積%未満では、硬化体の曲げ強度や破壊エネルギーが低下する場合があり、該値が3.0体積%を超えると、セメント組成物の流動性や作業性が低下するほか、硬化体の圧縮強度も低下する傾向にある。
なお、モノフィラメントや繊維集束体は、鋼繊維や他の有機繊維と併用することができる。
本発明で用いる減水剤は、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系やポリカルボン酸系の、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、および、高性能AE減水剤が挙げられる。これらの中でも、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤が好ましい。減水剤の使用により、セメント組成物の流動性や施工性、硬化後の緻密性や強度等が向上する。
減水剤の配合量は、セメント組成物の流動性や分離抵抗性、硬化後の緻密性や強度、および、コスト等の面から、セメント100質量部に対して固形分換算で0.1〜4.0質量部が好ましく、0.1〜2.0質量部がより好ましく、0.1〜1.0質量部がさらに好ましい。
本発明で用いる水は、水道水等である。本発明において、水/セメント比は、セメント組成物の流動性および施工性や、硬化後の強度、耐久性、緻密性および耐衝撃性等から、10〜30%が好ましく、15〜25%がより好ましい。
本発明のセメント組成物は、平均粒径が1mm以下の繊維状粒子、および/または、平均粒径が1mm以下の薄片状粒子を含んでもよい。該粒子は、硬化体の靱性を高めることができる。ここで、粒径とは、粒子の最長径をいい、繊維状粒子ではその長さをいう。
前記繊維状粒子として、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられ、薄片状粒子として、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
該粒子の配合量は、セメント組成物の流動性や施工性、硬化体の靱性等から、セメント100質量部に対して35質量部以下が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
なお、繊維状粒子は、硬化後の靱性を高めるため、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものが好ましい。
本発明のセメント組成物の製造において、混練、成形および養生の各工程が含まれる。
そして、本発明におけるセメント組成物の混練方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法を用いることができる。また、該混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等が用いられる。
本発明におけるセメント組成物の成形および養生方法も、特に限定されるものではないが、硬化体の生産性や強度発現性等を考慮すると、一次養生および二次養生を行う方法が好ましい。かかる方法として、例えば、以下のような方法が挙げられる。
(i)まず、混練したセメント組成物を所定の型枠を用いて成形し、一次養生を行う。該成形方法は、特に限定されるものではなく、流し込み成形等の慣用の成形方法を採用することができる。また、該一次養生方法として、型枠に混練したセメント組成物を打設し、5〜40℃で、3〜48時間静置する方法が挙げられる。
(ii)該一次養生の終了後に、脱型して二次養生を行うことにより、硬化体が得られる。該脱型時の硬化体の圧縮強度は、10N/mm2以上であることが好ましい。該値が10N/mm2未満では脱型が困難となる。また、該二次養生方法として、75〜95℃で10〜48時間、蒸気養生する方法が挙げられる。
1.使用材料
(1)セメント
低熱ポルトランドセメント:太平洋セメント社製
(2)微粉末
シリカフューム:BET比表面積11m2/g
(3)無機粉末
石英粉末:ブレーン比表面積7000cm2/g
(4)細骨材
珪砂:粒径0.15〜0.6mm
(5)繊維集束剤
エポキシ樹脂:商品名 スコッチウェルド 住友スリーエム社製
(6)繊維
Aは、表1に示す直径および長さを有するモノフィラメント繊維である。
B〜DおよびFは、Aに対して、集束体中の含有率が10体積%になる量の前記繊維集束剤を添加し、表1に示す撚り数、直径および長さに調整してなる繊維集束体である。なお、Fは比較例1として用いた。
また、Eは、直径が0.025mmのモノフィラメント繊維に対して、集束体中の含有率が10体積%になる量の前記繊維集束剤を添加し、表1に示す撚り数、直径および長さに調整してなる繊維集束体である。
また、Gは、表1に示す直径および長さを有する鋼繊維であり、参考例として用いた。
ポリカルボン酸系高性能減水剤
(8)水
水道水
表2に示す配合に従い、各材料を二軸練りミキサに投入し、混練してセメント組成物を調製した。次に、該セメント組成物を、φ50×100mmの型枠、および、40×40×160mmの型枠に流し込み、一次養生として20℃で48時間、前置きした後、二次養生として90℃で48時間、蒸気養生を行って、それぞれ、圧縮強度用と曲げ強度用の供試体を作製した。
前記セメント組成物のフレッシュ状態における、振動を加えない状態でのフロー値は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法 11.フロー試験」に準拠して測定した。また、前記供試体の圧縮強度は、JIS A 1108「コンクリートの圧縮試験方法」に準拠して、前記供試体の曲げ強度は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
また、実施例1〜6の圧縮強度は181N/mm2以上と高く、高強度が要求される構造部材に用いることができる。
また、実施例1〜6の曲げ強度は32N/mm2以上と高く、特に、これらの中でも、実施例2〜6の曲げ強度は37〜41N/mm2であり、鋼繊維を用いた参考例とほぼ同程度の曲げ強度(40N/mm2)を示している。
なお、本発明で規定する直径0.1〜0.5mmの範囲を超える、直径が0.6mmの繊維Fを用いた比較例1の圧縮強度と曲げ強度は、実施例と比べ、いずれも低くなっている。また、石英粉末を含まない比較例2のフロー値と圧縮強度も、実施例と比べ、いずれも低くなっている。
Claims (3)
- セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3500〜10000cm2/gの無機粉末、細骨材、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、減水剤、および、水を含むセメント組成物であって、
前記繊維が、直径0.01〜0.04mm、および、長さ1〜15mmのモノフィラメントであるセメント組成物。 - セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3500〜10000cm2/gの無機粉末、細骨材、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、減水剤、および、水を含むセメント組成物であって、
前記繊維が、直径0.01〜0.04mmのモノフィラメントを、繊維集束剤を用いて集束してなる、直径0.1〜0.5mm、および、長さ1〜30mmの繊維集束体であるセメント組成物。 - 前記繊維集束体が、撚りを付与されてなる繊維集束体である、請求項2に記載のセメント組成物。
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- 2011-07-22 JP JP2011160600A patent/JP2013023416A/ja active Pending
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