JP2011151352A - 化学機械研磨パッドおよびそれを用いた化学機械研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減を両立させることができる化学機械研磨パッドを提供する。
【解決手段】 本発明に係る化学機械研磨パッドは、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成された研磨層を有し、前記研磨層の比重が1.15以上1.30以下であり、かつ、前記研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率が0.8%以上5.0%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】 本発明に係る化学機械研磨パッドは、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成された研磨層を有し、前記研磨層の比重が1.15以上1.30以下であり、かつ、前記研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率が0.8%以上5.0%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、化学機械研磨パッドおよび該化学機械研磨パッドを用いた化学機械研磨方法に関する。
従来、ガラスや半導体素子を研磨するための研磨パッドとしては、不織布にポリウレタン溶液を含浸させて得られる多孔質不織布やポリウレタン成型物が使用されてきた。特に、半導体基板表面を平坦化する化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下「CMP」ともいう)に好適な化学機械研磨パッドとしては、ポリウレタンにフィラー状の成分を分散させた研磨パッド(例えば、特許文献1参照)、発泡ウレタンを使用した研磨パッド(例えば、特許文献2および特許文献3参照)、ポリオールやイソシアネートの使用量を調整してウレタン樹脂の架橋度を調節することにより物性値を制御した研磨パッド(例えば、特許文献4参照)等が検討されている。
しかしながら、これらの従来の材料を用いた化学機械研磨パッドは、CMPにおける被研磨面の平坦性を向上させることを目的として、特に研磨層の高弾性率化に着目することが多く、研磨層の比重と硬度との関係については十分な議論がなされてこなかった。
例えば特許文献3に記載されている研磨パッドは、研磨層を多孔質構造とすることにより高弾性率化を図っている。該研磨パッドは、研磨層を構成する材質の硬度が高いものの、その多孔質構造のために研磨層自体の比重が低くなり、且つ、その多孔質構造によるクッション効果のために被研磨面の凹凸に追随して容易に変形するので、CMPにおける被研磨面の平坦性が不十分となりやすい。
その一方で、被研磨面の凹凸に追随しないように単純に研磨層の比重を高めるだけでは、研磨層が硬くなりすぎてCMPにおける被研磨面の平坦性が不十分となりやすく、研磨欠陥(スクラッチ)も増大しやすい。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記課題を解決することで、CMPにおける被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができる化学機械研磨パッド、および該化学機械研磨パッドを用いた化学機械研磨方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る化学機械研磨パッドの一態様は、
熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成された研磨層を有し、
前記研磨層の比重が、1.15以上1.30以下であり、かつ、
前記研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率が、0.8%以上5.0%以下であることを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨パッドの一態様は、
熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成された研磨層を有し、
前記研磨層の比重が、1.15以上1.30以下であり、かつ、
前記研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率が、0.8%以上5.0%以下であることを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の化学機械研磨パッドにおいて、
前記研磨層のデュロD硬度が、50D以上80D以下であることができる。
適用例1の化学機械研磨パッドにおいて、
前記研磨層のデュロD硬度が、50D以上80D以下であることができる。
[適用例3]
本発明に係る化学機械研磨方法の一態様は、
適用例1または適用例2に記載の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨することを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨方法の一態様は、
適用例1または適用例2に記載の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨することを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨パッドによれば、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成され、且つ、特定の範囲の比重および体積変化率を有する研磨層を備えることにより、CMPにおける被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、単に「硬度」というときはデュロD硬度のことを指す。
1.化学機械研磨パッド
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの構成としては、少なくとも一方の面に研磨層を備えていれば特に限定されない。前記研磨層は、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から後述する製造方法により形成される。また、前記研磨層の比重は1.15以上1.30以下であり、前記研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率は0.8%以上5.0%以下であることを特徴とする。以下、本実施の形態に係る化学機械研磨パッドについて詳細に説明する。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの構成としては、少なくとも一方の面に研磨層を備えていれば特に限定されない。前記研磨層は、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から後述する製造方法により形成される。また、前記研磨層の比重は1.15以上1.30以下であり、前記研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率は0.8%以上5.0%以下であることを特徴とする。以下、本実施の形態に係る化学機械研磨パッドについて詳細に説明する。
1.1.研磨層を作製するための組成物
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドは、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物(以下、単に「組成物」ともいう)から形成された研磨層を有する。前記組成物は、熱可塑性ポリウレタンを80質量部以上99質量部以下と、吸水率3%以上3000%以下の高分子化合物(以下、単に「高分子化合物」ともいう)を1質量部以上20質量部以下と、を含有することが好ましい。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドは、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物(以下、単に「組成物」ともいう)から形成された研磨層を有する。前記組成物は、熱可塑性ポリウレタンを80質量部以上99質量部以下と、吸水率3%以上3000%以下の高分子化合物(以下、単に「高分子化合物」ともいう)を1質量部以上20質量部以下と、を含有することが好ましい。
1.1.1.熱可塑性ポリウレタン
本実施の形態で使用することのできる熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールとを反応させて得られる。
本実施の形態で使用することのできる熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールとを反応させて得られる。
イソシアネートとしては、一般的なポリウレタンを製造する際に使用されるジイソシアネートが挙げられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオールとしては、一般的なポリウレタンを製造する際に使用されるポリオールが挙げられる。例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステル系ポリオ−ル;ポリカプロラクトンポリオ−ル等のポリエステルグリコ−ルとアルキレンカーボネ−トとの反応生成物に代表されるポリカーボネート系ポリオ−ル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、加水分解を起こさない化学構造を有するポリエーテル系ポリオールとジイソシアネートとを反応させて成る熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。
研磨層を作製するための組成物における熱可塑性ポリウレタンの含有量は、熱可塑性ポリウレタンおよび高分子化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは80質量部以上99質量部以下、より好ましくは85質量部以上97質量部以下、特に好ましくは90質量部以上95質量部以下である。熱可塑性ポリウレタンの含有量が前記範囲内にあると、研磨層の比重を1.15以上1.30以下に調整することができる。そして、研磨層の比重が前記範囲内であると、研磨層の硬度が適度となるため被研磨面の平坦性が良好になると共に、被研磨面の凹凸に対する研磨層の弾性変形(追随性)が適度となるため研磨欠陥(スクラッチ)を低減させることができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドに使用される熱可塑性ポリウレタンは、一般的なポリウレタンの製造方法に準じ、従来公知の一括法またはプレポリマー法により作製することができる。
1.1.2.吸水率3%以上3000%以下の高分子化合物
吸水率が3%以上3000%以下の高分子化合物を添加する理由は、吸水率が前記範囲内にあれば研磨層に適度な吸水性を付与することができ、吸水による膨潤によって研磨層の体積変化をコントロールしやすいという利点があるからである。
吸水率が3%以上3000%以下の高分子化合物を添加する理由は、吸水率が前記範囲内にあれば研磨層に適度な吸水性を付与することができ、吸水による膨潤によって研磨層の体積変化をコントロールしやすいという利点があるからである。
本実施の形態で使用することのできる吸水率3%以上3000%以下の高分子化合物は、前述した熱可塑性ポリウレタンとは異なる高分子化合物であり、エーテル結合、エステル結合およびアミド結合から選択される少なくとも1種の結合を含む高分子化合物であることが好ましい。
エーテル結合を含む高分子化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビット、オキシエチレン−エピクロロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体、ポリオキエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリメチロールプロパン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、エーテル結合を含むモノマーとオレフィンとの共重合体、塩素含有ポリエーテル、ポリアセタール樹脂、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミン等を挙げることができる。
エステル結合を含む高分子化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アクリル酸エステル共重合体(アクリルゴム)等を挙げることができる。上記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えばモノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジステアレート等を挙げることができる。
アミド結合を含む化合物としては、例えば、脂肪酸アルカノールアミド、変性ポリアミド樹脂等を挙げることができる。
吸水率3%以上3000%以下の高分子化合物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として、好ましくは500〜1,000,000であり、より好ましくは5,000〜500,000である。
なお、本発明における高分子化合物の吸水率は、「JIS K6258」に準拠した以下の方法により求めた。高分子化合物を厚さ2mmのシート状に成型し、さらに2cm×2cmの大きさに切り出し、23℃の水に24時間浸漬させる。その後、浸漬前の空気中の重量(W1)と浸漬後の空気中の重量(W3)を測定し、下記の計算式(1)により、吸水率を算出した。
吸水率(%)={(W3−W1)/W1}×100 …(1)
吸水率(%)={(W3−W1)/W1}×100 …(1)
研磨層を作製するための組成物における吸水率3〜3000%の高分子化合物の含有量は、熱可塑性ポリウレタンおよび高分子化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上15質量部以下であり、特に好ましくは5質量部以上10質量部以下である。高分子化合物の含有量が前記範囲にあると、23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率を0.8%以上5.0%以下の範囲に調整しやすくなる。そして、研磨層の体積変化率が前記範囲内であると、吸水による研磨層表面の軟化が適度となるため被研磨面の平坦性が良好になると共に、研磨欠陥(スクラッチ)を低減させることができる。
1.1.3.その他成分
本実施の形態で使用することのできる組成物は、水溶性粒子を含んでもよい。このような水溶性粒子は、組成物中に粒子状に分散された状態で存在していることが好ましい。
本実施の形態で使用することのできる組成物は、水溶性粒子を含んでもよい。このような水溶性粒子は、組成物中に粒子状に分散された状態で存在していることが好ましい。
前記水溶性粒子は、砥粒および薬液からなるスラリーと接触することにより、研磨層表面から水溶性粒子が遊離して、該スラリーを保持することのできる空孔(ポア)を形成する目的で用いられる。このため、気泡構造を有するポリウレタン発泡体を用いることなく、上述の水溶性粒子を用いることにより研磨層の表面に空孔が形成され、スラリーの保持がより良好となる。さらに、比重の大きい粒子を使用することで研磨層の比重を大きくすることが可能である。
熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物が水溶性粒子を含有する場合、前記研磨層は、(1)比重を大きくできることから被研磨面の平坦性を向上させることができ、(2)非発泡タイプの中実体であることから機械的強度に優れ、さらに(3)発泡セル構造を均一に制御するという精緻な技術を用いる必要がないことから生産性に優れる点でより好ましい。
前記水溶性粒子としては、特に限定されないが、有機水溶性粒子および無機水溶性粒子が挙げられる。具体的には、水溶性高分子のように水に溶解する物質の他、吸水性樹脂のように水との接触により膨潤またはゲル化して研磨層表面から遊離することができる物質が挙げられる。
前記有機水溶性粒子を構成する材料としては、例えば、糖類(澱粉、デキストリンおよびシクロデキストリン等の多糖類、乳糖、マンニット等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、蛋白質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化イソプレン共重合体等が挙げられる。
前記無機水溶性粒子を構成する材料としては、例えば、酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。
前記水溶性粒子を構成する材料は、有機水溶性粒子を構成する材料または無機水溶性粒子を構成する材料を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、研磨層の硬度その他の機械的強度を適正な値とすることができるという観点から、水溶性粒子は中実体であることが好ましい。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物は、熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、水溶性粒子を3〜50質量部含むことが好ましい。水溶性粒子の含有量が前記範囲内にあると、化学機械研磨において高い研磨速度を示し、かつ適正な硬度その他の機械的強度を有する化学機械研磨パッドの研磨層を製造することができる。
前記水溶性粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜200μmである。水溶性粒子が化学機械研磨パッドの研磨層表面から遊離することにより形成される空孔の大きさは、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜200μmである。水溶性粒子の平均粒径が前記範囲にあると、高い研磨速度を示し、かつ機械的強度に優れた研磨層を有する化学機械研磨パッドを製造することができる。
1.2.研磨層の比重
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドが備える研磨層の比重は1.15以上1.30以下であり、1.18以上1.27以下がより好ましい。研磨層の比重が前記範囲内であると、研磨層の硬度が適度となるため被研磨面の平坦性が良好になると共に、被研磨面の凹凸に対する研磨層の弾性変形(追随性)が適度となるため研磨欠陥(スクラッチ)を低減させることができる。研磨層の比重が前記範囲未満である場合、研磨層の硬度が低くなりすぎて、被研磨面の平坦性が悪化するため好ましくない。また、比重が前記範囲を超える場合、研磨層の硬度が高くなりすぎて、研磨欠陥(スクラッチ)が増大するため好ましくない。なお、比重は組成物の組成を変化させることにより調整できるが、研磨層の成型条件や空孔を導入することによっても調整することができる。しかしながら、研磨層を発泡させて比重を下げた場合、研磨層が軟質になり、平坦性が悪化するために好ましくない場合がある。なお、本発明において、研磨層の比重は「JIS Z8807」に準拠した方法で測定することができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドが備える研磨層の比重は1.15以上1.30以下であり、1.18以上1.27以下がより好ましい。研磨層の比重が前記範囲内であると、研磨層の硬度が適度となるため被研磨面の平坦性が良好になると共に、被研磨面の凹凸に対する研磨層の弾性変形(追随性)が適度となるため研磨欠陥(スクラッチ)を低減させることができる。研磨層の比重が前記範囲未満である場合、研磨層の硬度が低くなりすぎて、被研磨面の平坦性が悪化するため好ましくない。また、比重が前記範囲を超える場合、研磨層の硬度が高くなりすぎて、研磨欠陥(スクラッチ)が増大するため好ましくない。なお、比重は組成物の組成を変化させることにより調整できるが、研磨層の成型条件や空孔を導入することによっても調整することができる。しかしながら、研磨層を発泡させて比重を下げた場合、研磨層が軟質になり、平坦性が悪化するために好ましくない場合がある。なお、本発明において、研磨層の比重は「JIS Z8807」に準拠した方法で測定することができる。
なお、本実施の形態に係る化学機械研磨パッドが備える研磨層は、前記範囲内の比重とする観点から、非発泡タイプであることが好ましい。なお、本発明において、非発泡タイプとは、実質的に気泡を含んでいない研磨層であることをいう。参考までに、現在市販されている発泡タイプの研磨層を備えるウレタンパッド、例えばROHM&HAAS社製の「IC1000」などの一般的な市販研磨パッドの比重は、0.40〜0.90程度である。
1.3.研磨層の体積変化率
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドが備える研磨層は、研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率が0.8%以上5%以下であり、1%以上3%以下が好ましい。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドが備える研磨層は、研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率が0.8%以上5%以下であり、1%以上3%以下が好ましい。
化学機械研磨パッドは、研磨作業中、研磨用水分散体(以下、「スラリー」ともいう)に晒される。このため、水に浸漬したときの体積変化率が前記範囲内の場合には、吸水による膨潤により研磨層表面が適度に軟化して、スクラッチの発生を低減させることができる。体積変化率が前記範囲未満の場合には、吸水による膨潤が小さく研磨層表面の軟化が不十分なため、スクラッチの発生を低減させる効果を発揮できない。体積変化率が前記範囲を超える場合には、吸水による膨潤が大きくなりすぎて、スクラッチの発生を低減できるものの、被研磨物の平坦性が悪くなってしまう。特に研磨面に凹部パターンが形成されている場合、吸水による膨潤が大きくなると凹部パターンの形状や寸法が、研磨時間に応じて変化し、安定した研磨特性が得られなくなる場合がある。このため、研磨表面を軟化させるために膨潤することは好ましいが、過剰な膨潤は研磨面の変形を引き起こすため好ましくない。
なお、本発明における研磨層の体積変化率は、「JIS K6258」に準拠した以下の方法により測定した。まず、厚さ2.8mmに成形した研磨層を2cm×2cmの大きさに切り出し、それを23℃の水に24時間浸漬させる。その後、浸漬前の空気中の重量(W1)と浸漬前の水中の重量(W2)、浸漬後の空気中の重量(W3)と浸漬後の水中の重量(W4)を測定し、下記の計算式(2)により、体積変化率を算出した。
体積変化率(%)=[{(W3−W4)−(W1−W2)}/(W1−W2)]×100 …(2)
体積変化率(%)=[{(W3−W4)−(W1−W2)}/(W1−W2)]×100 …(2)
1.4.研磨層のデュロD硬度
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドが備える研磨層のデュロD硬度は、50D以上80D以下であることが好ましく、55D以上80D以下であることがより好ましく、55D以上75D以下であることがさらに好ましく、60D以上70D以下であることが特に好ましい。研磨層のデュロD硬度が前記範囲内であると、研磨層のデュロD硬度が適度であるため被研磨面の平坦性が良好になると共に、被研磨面の凹凸に対する研磨層の弾性変形(追随性)が適度となるため研磨欠陥(スクラッチ)を低減させることができる。研磨層のデュロD硬度が前記範囲未満であると、被研磨面の平坦性が悪化するため好ましくない。また、研磨層のデュロD硬度が前記範囲を超えると、研磨欠陥(スクラッチ)が増大するため好ましくない。なお、本発明において、研磨層のデュロD硬度は、「JIS K6253」に準拠した方法で測定することができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドが備える研磨層のデュロD硬度は、50D以上80D以下であることが好ましく、55D以上80D以下であることがより好ましく、55D以上75D以下であることがさらに好ましく、60D以上70D以下であることが特に好ましい。研磨層のデュロD硬度が前記範囲内であると、研磨層のデュロD硬度が適度であるため被研磨面の平坦性が良好になると共に、被研磨面の凹凸に対する研磨層の弾性変形(追随性)が適度となるため研磨欠陥(スクラッチ)を低減させることができる。研磨層のデュロD硬度が前記範囲未満であると、被研磨面の平坦性が悪化するため好ましくない。また、研磨層のデュロD硬度が前記範囲を超えると、研磨欠陥(スクラッチ)が増大するため好ましくない。なお、本発明において、研磨層のデュロD硬度は、「JIS K6253」に準拠した方法で測定することができる。
1.5.研磨層の形状および凹部
研磨層の平面形状は、特に限定されないが、例えば円形状であることができる。研磨層の平面形状が円形状である場合、その大きさは、好ましくは直径150mm〜1200mm、より好ましくは直径500mm〜1000mmである。研磨層の厚さは、好ましくは0.5mm〜5.0mm、より好ましくは1.0mm〜3.0mm、特に好ましくは1.5mm〜3.0mmである。
研磨層の平面形状は、特に限定されないが、例えば円形状であることができる。研磨層の平面形状が円形状である場合、その大きさは、好ましくは直径150mm〜1200mm、より好ましくは直径500mm〜1000mmである。研磨層の厚さは、好ましくは0.5mm〜5.0mm、より好ましくは1.0mm〜3.0mm、特に好ましくは1.5mm〜3.0mmである。
研磨層の被研磨物と接触する面(以下、「研磨面」という)には、複数の凹部を形成してもよい。前記凹部は、CMPの際に供給されるスラリーを保持し、これを研磨面に均一に分配すると共に、研磨屑や使用済みのスラリー等の廃棄物を一時的に滞留させ、外部へ排出するための経路となる機能を有する。
凹部の深さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.1mm〜2.5mm、特に好ましくは0.2mm〜2.0mmとすることができる。凹部の幅は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.1mm〜5.0mm、特に好ましくは0.2mm〜3.0mmとすることができる。研磨面において、隣接する凹部の間隔は、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.05mm〜100mm、特に好ましくは0.1mm〜10mmとすることができる。また、凹部の幅と隣り合う凹部の間の距離との和であるピッチは、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.15mm〜105mm、特に好ましくは0.6mm〜13mmとすることができる。凹部は、前記範囲内の一定の間隔を設けて形成されたものであることができる。前記範囲の形状を有する凹部を形成することで、被研磨面のスクラッチ低減効果に優れ、寿命の長い化学機械研磨パッドを容易に製造することができる。
前記各好ましい範囲は、各々の組合せとすることができる。すなわち、例えば、深さが0.1mm以上、幅が0.1mm以上、間隔が0.05mm以上であることが好ましく、深さが0.1mm〜2.5mm、幅が0.1mm〜5.0mm、間隔が0.05mm〜100mmであることがより好ましく、深さが0.2mm〜2.0mm、幅が0.2mm〜3.0mm、間隔が0.1mm〜10mmであることが特に好ましい。
前記凹部を加工するための工具は、特開2006−167811号公報、特開2001−18164号公報、特開2008−183657号公報等に記載されている形状の多刃工具を用いることができる。使用する工具の切削刃は、ダイヤモンドあるいは、Ti、Cr、Zr、V等の周期表第4、5、6族金属から選択された少なくとも1種の金属元素と、窒素、炭素および酸素から選択された少なくとも1種の非金属元素と、で構成されるコーティング層を有してもよい。さらにコーティング層は1層設ける場合に限らず、材料を違えて複数層設けてもよい。このようなコーティング層の膜厚は、0.1〜5μmが好ましく、1.5〜4μmがより好ましい。コーティング層の成膜には、アークイオンプレーティング装置等の公知の技術を工具材質、コーティング材質等に応じて適時選択して使用することができる。
1.6.研磨層の製造方法
本実施の形態で用いられる研磨層は、前述した熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物を成型することにより得られる。研磨層を成型する方法としては、120℃〜230℃で可塑化した前記組成物をプレス機または射出成形機で成形し冷却固化させる方法、またはTダイを備えたエクストルーダーを用いて可塑化・シート化する方法を用いて成型すればよい。かかる成型条件を適宜調整することで比重や硬度をコントロールすることもできる。
本実施の形態で用いられる研磨層は、前述した熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物を成型することにより得られる。研磨層を成型する方法としては、120℃〜230℃で可塑化した前記組成物をプレス機または射出成形機で成形し冷却固化させる方法、またはTダイを備えたエクストルーダーを用いて可塑化・シート化する方法を用いて成型すればよい。かかる成型条件を適宜調整することで比重や硬度をコントロールすることもできる。
このようにして成型した後、切削加工により研磨面に凹部を形成してもよい。また、凹部となるパターンが形成された金型を用いて上述した組成物を金型成型することにより、研磨層の概形と共に凹部を同時に形成することもできる。
1.7.化学機械研磨パッドの構成
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの構成としては、少なくとも一方の面に研磨層を備えていれば特に限定されない。本実施の形態に係る化学機械研磨パッドは、前述した研磨層のみで構成される場合もあるが、研磨層の凹部を形成していない面へ支持層を設けることもできる。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの構成としては、少なくとも一方の面に研磨層を備えていれば特に限定されない。本実施の形態に係る化学機械研磨パッドは、前述した研磨層のみで構成される場合もあるが、研磨層の凹部を形成していない面へ支持層を設けることもできる。
支持層は、化学機械研磨パッドにおいて、研磨装置用定盤に研磨層を支持するために用いられる。支持層は、接着層であってもよいし、接着層を両面に有するクッション層であってもよい。
接着層は、例えば粘着シートからなることができる。粘着シートの厚さは、50μm〜250μmであることが好ましい。50μm以上の厚さを有することで、研磨層の研磨面側からの圧力を十分に緩和することができ、250μm以下の厚さを有することで、凹凸の影響を研磨性能に与えない程度に均一な厚みを有する化学機械研磨パッドが得られる。
粘着シートの材質としては、研磨層を研磨装置用定盤に固定することができれば特に限定されないが、研磨層より弾性率の低いアクリル系またはゴム系の材質であることが好ましい。粘着シートの接着強度は、化学機械研磨パッドを研磨装置用定盤に固定することができれば特に限定されないが、「JIS Z0237」の規格で粘着シートの接着強度を測定した場合、その接着強度が好ましくは3N/25mm以上、より好ましくは4N/25mm以上、特に好ましくは10N/25mm以上である。
クッション層は、研磨層よりも硬度が低い材質からなれば、その材質は特に限定されず、多孔質体(発泡体)または非多孔質体であってもよい。クッション層としては、例えば、発泡ポリウレタン等を成形した層が挙げられる。クッション層の厚さは、好ましくは0.1mm〜5.0mm、より好ましくは0.5mm〜2.0mmである。
2.化学機械研磨方法
本実施の形態に係る化学機械研磨方法は、前述の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨することを特徴とする。前述の化学機械研磨パッドは、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成され、特定の範囲の比重および体積変化率を兼ね備えた研磨層を有している。そのため、本実施の形態に係る化学機械研磨方法によれば、特にCMP工程における被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨方法は、前述の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨することを特徴とする。前述の化学機械研磨パッドは、熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成され、特定の範囲の比重および体積変化率を兼ね備えた研磨層を有している。そのため、本実施の形態に係る化学機械研磨方法によれば、特にCMP工程における被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨方法においては、市販の化学機械研磨装置を用いることができる。市販の化学機械研磨装置としては、例えば、型式「EPO−112」、型式「EPO−222」(以上、株式会社荏原製作所製);型式「LGP−510」、型式「LGP−552」(以上、ラップマスターSFT社製);型式「Mirra」(アプライドマテリアル社製)等が挙げられる。
また、スラリーとしては、研磨対象(銅膜、絶縁膜、低誘電率絶縁膜等)に応じて適宜最適なものを選択することができる。
3.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1.化学機械研磨パッドの製造
3.1.1.実施例1
熱可塑性ポリウレタン(BASF社製、商品名「エラストラン1174D」)を67質量部、熱可塑性ポリウレタン(BASF社製、商品名「エラストランNY1197A」)を30質量部、ポリオレフィン−ポリエーテル共重合体(三洋化成工業株式会社製、商品名「ペレスタット300」、吸水率38%の高分子化合物)を3質量部に対して、水溶性粒子としてβ−サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社製、商品名「デキシパールβ−100」)20質量部を180℃に調温されたルーダーにより混練して熱可塑性ポリウレタン組成物を作製した。作製した組成物を、プレス金型内で180℃に圧縮成形し、直径845mm、厚さ3.2mmの円柱状の成形体を作製した。次に、作製した成形体を、サンドペーパーを用いて研削し、直径845mm、厚さ2.8mmに厚みを調整し、さらに切削加工機(加藤機械株式会社製)により幅0.5mm、深さ1.4mmの同心円状の凹部を中心から半径10mm以遠の所にピッチ2mmで形成し、さらに、同機械を用いて、中心から300mmのところを切削することで、直径600mm、厚さ2.8mmの研磨層を得た。このようにして作製した研磨層の凹部を形成していない面へ、両面テープ#442JA(住友スリーエム株式会社製)をラミネートし、化学機械研磨パッドを作製した。
3.1.1.実施例1
熱可塑性ポリウレタン(BASF社製、商品名「エラストラン1174D」)を67質量部、熱可塑性ポリウレタン(BASF社製、商品名「エラストランNY1197A」)を30質量部、ポリオレフィン−ポリエーテル共重合体(三洋化成工業株式会社製、商品名「ペレスタット300」、吸水率38%の高分子化合物)を3質量部に対して、水溶性粒子としてβ−サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社製、商品名「デキシパールβ−100」)20質量部を180℃に調温されたルーダーにより混練して熱可塑性ポリウレタン組成物を作製した。作製した組成物を、プレス金型内で180℃に圧縮成形し、直径845mm、厚さ3.2mmの円柱状の成形体を作製した。次に、作製した成形体を、サンドペーパーを用いて研削し、直径845mm、厚さ2.8mmに厚みを調整し、さらに切削加工機(加藤機械株式会社製)により幅0.5mm、深さ1.4mmの同心円状の凹部を中心から半径10mm以遠の所にピッチ2mmで形成し、さらに、同機械を用いて、中心から300mmのところを切削することで、直径600mm、厚さ2.8mmの研磨層を得た。このようにして作製した研磨層の凹部を形成していない面へ、両面テープ#442JA(住友スリーエム株式会社製)をラミネートし、化学機械研磨パッドを作製した。
3.1.2.実施例2〜5、比較例1〜2、4〜5
組成物の各成分の種類および含有量を表1または表2に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜5、比較例1〜2、4〜5の化学機械研磨パッドを作製した。
組成物の各成分の種類および含有量を表1または表2に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜5、比較例1〜2、4〜5の化学機械研磨パッドを作製した。
3.1.3.実施例6、7
空気雰囲気下で、撹拌機を備えた2Lの4つ口セパラブルフラスコに、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日油株式会社製、商品名「ユニオールDA400」)を38質量部およびポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業株式会社製、商品名「PTG−1000SN」、Mn=1012)を31質量部投入し、40℃に調温して撹拌した。
空気雰囲気下で、撹拌機を備えた2Lの4つ口セパラブルフラスコに、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日油株式会社製、商品名「ユニオールDA400」)を38質量部およびポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業株式会社製、商品名「PTG−1000SN」、Mn=1012)を31質量部投入し、40℃に調温して撹拌した。
次いで、前記フラスコに、80℃の油浴で溶解させた4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「MILLIONATE MT」)を31質量部加え、15分撹拌・混合した。
次いで、得られた混合物を表面加工されたSUS製のバットに拡げ、110℃で1時間静置して反応させ、さらに80℃で16時間アニールし、熱可塑性のポリウレタンAを得た。
熱可塑性ポリウレタンとしてポリウレタンAを用い、組成物の他の成分および含有量を表1に記載したものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして化学機械研磨パッドを作製した。
3.1.4.比較例3
(a)1,2-ポリブタジエン(JSR株式会社製、硬度47D、商品名:RB830)100質量部に、水溶性粒子として(b)β−サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社製、商品名:デキシパールβ−100、平均粒径20μm)38質量部を混合された組成物を得た後、有機過酸化物(日油株式会社製、商品名:パークミルD−40)を上記(a)、(b)の合計100質量部に対して、1質量部さらに混練した組成物を得た後、実施例1と同様にして、水溶性粒子含有熱架橋ポリブタジエン樹脂からなる化学機械研磨パッドを作製した。
(a)1,2-ポリブタジエン(JSR株式会社製、硬度47D、商品名:RB830)100質量部に、水溶性粒子として(b)β−サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社製、商品名:デキシパールβ−100、平均粒径20μm)38質量部を混合された組成物を得た後、有機過酸化物(日油株式会社製、商品名:パークミルD−40)を上記(a)、(b)の合計100質量部に対して、1質量部さらに混練した組成物を得た後、実施例1と同様にして、水溶性粒子含有熱架橋ポリブタジエン樹脂からなる化学機械研磨パッドを作製した。
3.1.5.比較例6
市販の化学機械研磨パッド(ROHM&HAAS社製、商品名:IC1000、熱架橋ポリウレタン樹脂により研磨層が作製されている)を使用した。
市販の化学機械研磨パッド(ROHM&HAAS社製、商品名:IC1000、熱架橋ポリウレタン樹脂により研磨層が作製されている)を使用した。
なお、表1における略称は、以下の通りである。
・「PU1−1」:非脂環式ポリウレタン(硬度74D、BASF社製、商品名「エラストラン1174D」)
・「PU1−2」:非脂環式ポリウレタン(硬度64D、BASF社製、商品名「エラストラン1164D」)
・「PU1−3」:非脂環式ポリウレタン(硬度41D、BASF社製、商品名「エラストラン1180A」)
・「PU2−1」:脂環式ポリウレタン(硬度61D、BASF社製、商品名「エラストランNY1197A」)
・「PU2−2」:脂環式ポリウレタン(硬度64D、BASF社製、商品名「エラストランNY1164D」)
・「PM1」:ポリオレフィン−ポリエーテル共重合体(三洋化成工業株式会社製、商品名「ペレスタット300」)
・「PM2」:ポリアルキレンオキサイド(住友精化株式会社製、商品名「アクアコークTWB」)
・「β−CD」:β−サイクロデキストリン(平均粒径20μm、塩水港精糖株式会社製、商品名「デキシパールβ−100」)
・「熱架橋ポリブタジエン樹脂」:1,2-ポリブタジエン(硬度47D、JSR株式会社製、商品名「RB830」)
・「有機過酸化物」:ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名「パークミルD−40」、架橋剤)
・「PU1−1」:非脂環式ポリウレタン(硬度74D、BASF社製、商品名「エラストラン1174D」)
・「PU1−2」:非脂環式ポリウレタン(硬度64D、BASF社製、商品名「エラストラン1164D」)
・「PU1−3」:非脂環式ポリウレタン(硬度41D、BASF社製、商品名「エラストラン1180A」)
・「PU2−1」:脂環式ポリウレタン(硬度61D、BASF社製、商品名「エラストランNY1197A」)
・「PU2−2」:脂環式ポリウレタン(硬度64D、BASF社製、商品名「エラストランNY1164D」)
・「PM1」:ポリオレフィン−ポリエーテル共重合体(三洋化成工業株式会社製、商品名「ペレスタット300」)
・「PM2」:ポリアルキレンオキサイド(住友精化株式会社製、商品名「アクアコークTWB」)
・「β−CD」:β−サイクロデキストリン(平均粒径20μm、塩水港精糖株式会社製、商品名「デキシパールβ−100」)
・「熱架橋ポリブタジエン樹脂」:1,2-ポリブタジエン(硬度47D、JSR株式会社製、商品名「RB830」)
・「有機過酸化物」:ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名「パークミルD−40」、架橋剤)
3.2.研磨層の物性評価
3.2.1.比重
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で作製した研磨層およびIC1000の研磨層について、比重を測定した。研磨層の比重は、「JIS Z8807」に準拠して測定した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
3.2.1.比重
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で作製した研磨層およびIC1000の研磨層について、比重を測定した。研磨層の比重は、「JIS Z8807」に準拠して測定した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
3.2.2.体積変化率
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で作製した研磨層およびIC1000の研磨層について、体積変化率を測定した。研磨層の体積変化率は、「JIS K6258」に準拠した以下の方法により測定した。まず、研磨層を厚さ2.8mm、2cm×2cmの角形に切り出して、これを測定用試料とした。この測定用試料を23℃の水に24時間浸漬させた。浸漬前の空気中の重量(W1)と浸漬前の水中の重量(W2)、浸漬後の空気中の重量(W3)と浸漬後の水中の重量(W4)を電子天秤(チョウバランス株式会社製、型式「JP−300」)を用いて測定し、下記の計算式(2)により、体積変化率を算出した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
体積変化率(%)=[{(W3−W4)−(W1−W2)}/(W1−W2)]×100 …(2)
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で作製した研磨層およびIC1000の研磨層について、体積変化率を測定した。研磨層の体積変化率は、「JIS K6258」に準拠した以下の方法により測定した。まず、研磨層を厚さ2.8mm、2cm×2cmの角形に切り出して、これを測定用試料とした。この測定用試料を23℃の水に24時間浸漬させた。浸漬前の空気中の重量(W1)と浸漬前の水中の重量(W2)、浸漬後の空気中の重量(W3)と浸漬後の水中の重量(W4)を電子天秤(チョウバランス株式会社製、型式「JP−300」)を用いて測定し、下記の計算式(2)により、体積変化率を算出した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
体積変化率(%)=[{(W3−W4)−(W1−W2)}/(W1−W2)]×100 …(2)
3.2.3.デュロD硬度
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で作製した研磨層およびIC1000の研磨層について、デュロD硬度を測定した。研磨層のデュロD硬度は、「JIS K6253」に準拠して測定した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で作製した研磨層およびIC1000の研磨層について、デュロD硬度を測定した。研磨層のデュロD硬度は、「JIS K6253」に準拠して測定した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
3.3.化学機械研磨の評価
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置(荏原製作所社製、形式「EPO−112」)に装着し、ドレッサー(アライド社製、商品名「#325−63R」)を用いてテーブル回転数20rpm、ドレッシング回転数19rpm、ドレッシング荷重5.1kgfの条件でドレッシングを30分行った。その後、ドレッシングした化学機械研磨パッドを用いて以下の条件にて化学機械研磨を行い、研磨特性を評価した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
・研磨ヘッド回転数:61rpm
・研磨ヘッド押し付け圧:3psi(20.6kPa)
・研磨定盤回転数:60rpm
・スラリー供給速度:300cm3/分
・スラリー:CMS8401/CMS8452(JSR株式会社製)
前記「3.1.化学機械研磨パッドの製造」で製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置(荏原製作所社製、形式「EPO−112」)に装着し、ドレッサー(アライド社製、商品名「#325−63R」)を用いてテーブル回転数20rpm、ドレッシング回転数19rpm、ドレッシング荷重5.1kgfの条件でドレッシングを30分行った。その後、ドレッシングした化学機械研磨パッドを用いて以下の条件にて化学機械研磨を行い、研磨特性を評価した。その結果を表1〜表2に併せて示す。
・研磨ヘッド回転数:61rpm
・研磨ヘッド押し付け圧:3psi(20.6kPa)
・研磨定盤回転数:60rpm
・スラリー供給速度:300cm3/分
・スラリー:CMS8401/CMS8452(JSR株式会社製)
3.3.1.平坦性の評価
被研磨物として、シリコン基板上にPETEOS膜を5,000オングストローム順次積層させた後、「SEMATECH 854」マスクパターン加工し、その上に250オングストロームのタンタルナイトライド膜、1,000オングストロームの銅シード膜および10,000オングストロームの銅膜を順次積層させたテスト用の基板を用いた。
被研磨物として、シリコン基板上にPETEOS膜を5,000オングストローム順次積層させた後、「SEMATECH 854」マスクパターン加工し、その上に250オングストロームのタンタルナイトライド膜、1,000オングストロームの銅シード膜および10,000オングストロームの銅膜を順次積層させたテスト用の基板を用いた。
前記「3.3.化学機械研磨の評価」に記載の条件で、前記被研磨物を1分間化学機械研磨処理し、処理前後の膜厚を電気伝導式膜厚測定器(ケーエルエー・テンコール社製、形式「オムニマップRS75」)を用いて測定し、処理前後の膜厚および研磨処理時間から研磨速度を算出した。その上でCuクリアになる終点時間を、研磨開始からテーブルトルク電流の変化によって検出した終点に至るまでの時間で算出し、前記パターン付きウエハに対して終点検出時間の1.2倍の時間を研磨した後に、幅100μmの銅配線部と幅100μmの絶縁部とが交互に連続したパターンが長さ方向に対して垂直方向に3.0mm連続した部分について、精密段差計(ケーエルエー・テンコール社製、形式「HRP−240」)を使用して、配線幅100μm部分の銅配線の窪み量(以下、「ディッシング量」ともいう)を測定することによりディッシングを評価し、平坦性の指標とした。その結果を表1〜表2に示す。なお、ディッシング量は、好ましくは300Å未満、より好ましくは250Å未満、特に好ましくは200Å未満である。
3.3.2.スクラッチの評価
研磨処理後の前記パターン付きウエハの被研磨面において、ウエハ欠陥検査装置(ケーエルエー・テンコール社製、型式「KLA2351」)を使用して、ウエハ全面におけるスクラッチの個数を測定した。なお、スクラッチは、好ましくは40個未満、より好ましくは20個未満、特に好ましくは15個未満である。
研磨処理後の前記パターン付きウエハの被研磨面において、ウエハ欠陥検査装置(ケーエルエー・テンコール社製、型式「KLA2351」)を使用して、ウエハ全面におけるスクラッチの個数を測定した。なお、スクラッチは、好ましくは40個未満、より好ましくは20個未満、特に好ましくは15個未満である。
3.4.化学機械研磨パッドの評価結果
表1によれば、実施例1〜7の化学機械研磨パッドは、平坦性、スクラッチの2項目の研磨特性においていずれも好ましい結果が得られた。
表1によれば、実施例1〜7の化学機械研磨パッドは、平坦性、スクラッチの2項目の研磨特性においていずれも好ましい結果が得られた。
これに対して表2によれば、比較例1〜6の化学機械研磨パッドは、上述した2項目の各研磨特性のうち、1項目以上が不良となる結果が得られた。
比較例1では、組成物中に高分子化合物が含まれていないため、研磨層の体積変化率が0.5%となった。その結果、研磨層の吸水による膨潤が小さくなり研磨層表面の軟化が不十分であることにより、スクラッチの低減効果が得られなかった。
比較例2では、組成物中に高分子化合物PM2が含まれることで、研磨層の体積変化率が6.4%となった。その結果、研磨層の吸水による膨潤が大きくなり研磨層の表面が軟化することにより、スクラッチの低減効果は十分に満足できるものであったが、被研磨面の平坦性が著しく悪化した。
比較例3では、組成物中に熱架橋性ポリブタジエン樹脂が含まれることで、研磨層の比重が1.03、研磨層の体積変化率が0.1%となった。その結果、研磨層の比重が低すぎるため硬度が不十分となり、被研磨面の平坦性の悪化が認められた。また、研磨層の吸水による膨潤が小さくなり研磨層表面の軟化が不十分であることにより、スクラッチの低減効果も得られなかった。
比較例4および比較例5では、研磨層の比重がいずれも1.15以下であった。その結果、研磨層の比重が低すぎるため硬度が不十分となり、被研磨面の平坦性の悪化が認められた。
比較例6の市販パッドでは、研磨層の比重が0.81、研磨層の体積変化率が0.2%であった。その結果、研磨層の比重が低すぎるため硬度が不十分となり、被研磨面の平坦性の悪化が認められた。また、研磨層の吸水による膨潤が小さくなり研磨層表面の軟化が不十分であることにより、スクラッチの低減効果も得られなかった。
以上の実施例および比較例の結果から、本発明に係る化学機械研磨パッドを使用することにより、被研磨面の平坦性を損なうことなく、スクラッチの発生を低減できることが判った。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (3)
- 熱可塑性ポリウレタンを含有する組成物から形成された研磨層を有し、
前記研磨層の比重が、1.15以上1.30以下であり、かつ、
前記研磨層を23℃の水に24時間浸漬したときの体積変化率が、0.8%以上5.0%以下であることを特徴とする、化学機械研磨パッド。 - 前記研磨層のデュロD硬度が、50D以上80D以下である、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
- 請求項1または請求項2に記載の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨する、化学機械研磨方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010211819A JP2011151352A (ja) | 2009-12-24 | 2010-09-22 | 化学機械研磨パッドおよびそれを用いた化学機械研磨方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009291613 | 2009-12-24 | ||
JP2009291613 | 2009-12-24 | ||
JP2010211819A JP2011151352A (ja) | 2009-12-24 | 2010-09-22 | 化学機械研磨パッドおよびそれを用いた化学機械研磨方法 |
Publications (1)
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