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JP2011099076A - 製紙用薬剤及びそれを用いた抄紙方法 - Google Patents

製紙用薬剤及びそれを用いた抄紙方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 紙及び板紙の製紙工程において、地合い性を損なうことなく、歩留の向上や生産性の向上ができる製紙用薬剤並びにそれを用いた抄紙方法を提供することを課題とする。
【解決手段】抄紙前の製紙原料において、最後のスクリーンを通過した主製紙原料流の一部をバイパス流とし、該バイパス流を更に2つあるいは3つに分流し、これら分流と製紙薬剤を一つあるいは二つの混合手段により混合し、前記主製紙原料流に還流することにより、製紙薬剤を添加、混合する抄紙方法において、前記製紙薬剤はビニル系単量体あるいはビニル系単量体混合物を乳化重合することにより得た0.2%水溶液粘度が300mPa・s以下のビニル重合系水溶性カチオン性或いは両性重合体の油中水型エマルジョンが、該抄紙方法に適合する製紙薬剤であり、上記課題を解決することができる。

【選択図】 図1

Description

本発明は、紙及び板紙の製紙工程において、地合い性を損なうことなく、歩留の向上や生産性の向上ができる製紙用薬剤の提供並びにそれを用いた抄紙方法に関するものである。
塗工原紙、PPC用紙、上質紙、板紙及び新聞用紙等の抄紙工程において、微細繊維、填料等の歩留率向上を図るために、種々の歩留剤システムが用いられている。従来、汎用されている歩留剤システムとして、高分子量のアクリルアミド系水溶性ポリマーを抄造せん断工程であるファンポンプやスクリーンの前後に添加する処方がある。しかし、製紙原料中の微細繊維分の増加や填料として微粒な炭酸カルシウムの使用比率の増加など抄造状況の変化に対して、歩留率の維持・向上を図るには、極限粘度法による重量平均分子量が1000〜1500万以上を有する従来よりも高分子量のポリマーが必要とされるようになった。しかし、重量平均分子量が1000〜1500万以上のポリマーは溶解時の粘性が高いため、パルプスラリーへ添加時に分散性が不良となり浸透が不十分であるため大幅な歩留率の向上が得られず、又、形成フロックが偏在することから紙品質(地合い)が不均一となり、高分子量のポリマーの性能が最大限に発揮されない状況にあった。そのため、高分子量であり尚且つ、溶解液の粘性が低いポリマーが要望される。特開昭55−45783号公報には、少なくとも1種の水溶性単量体の水溶液を調製し、その中に溶解せしめた約2重量パーセントから水中における溶解度限界に至るまでの水溶性で油不溶性の塩を含有した水溶液を、水不溶炭化水素中で乳化させて油中水型エマルジョンを形成させ、重合した非イオン性又は陰イオン性水溶性重合体の製造方法が開示されている。しかしこの水溶性重合体は、カチオン性あるいは両性に関しては記載がなく、またこの水溶性重合体を使用した抄紙方法に関しての記載もない。
又、歩留率の向上を図るには抄造工程の最終せん断工程であるスクリーンの後にポリマーを添加するのが最も有効であるが、紙品質、特に地合いについては著しく低下するため添加率が抑制されることになり、大幅な歩留率の向上は望めない。そこで、ポリマー単独処方ではなく、スクリーンの後に無機物やアニオン性ポリマーを添加する二液歩留システムが使用されることがある。例えば、スクリーンの前に高分子量カチオン性ポリマーを加え、当該スクリーンの後にベントナイトやコロイダルシリカを加える添加処方(特許文献2)や、同様にスクリーンの前にはカチオン性ポリマーを加え、スクリーン通過後にアニオン性有機高分子微粒子を添加する処方(特許文献3)が提案されている。これらは、二液目のカチオン性ポリマーを添加後、せん断工程を通過することによって破壊されたフロックを二液目のアニオン性物質により再凝集するシステムである。しかし、これら歩留システムでも、大幅に歩留率の向上を得るためには、添加率を増加させる必要があるため地合いを低下させる。又、二液を使用することから、抄造条件により添加バランスの変更が必要な場合があり管理が煩雑である。そこで、スクリーン通過後に添加しても地合いを低下させることなく歩留率を向上させる製紙用薬剤及び抄紙方法が要望されている。
特開昭55−45783号公報 特開平5−239800号公報 特開平2005−54311号公報
本発明は、紙及び板紙の製紙工程において、製紙用薬剤の分散性を改良し、地合いを損なうことなく、歩留の向上、生産性の向上を図る製紙用薬剤及びそれを用いた抄紙方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意検討を行なった結果、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体及び無機塩を必須として含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合した後、適宜転相剤を添加して製造された油中水型エマルジョンが製紙用薬剤として使用すると、製紙原料に添加した場合、優れた分散性を有し、地合いを損なうことなく、歩留の向上、生産性の向上を図ることが可能であることが分かり本発明に到達した。
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす。
また本発明の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤は、前記単量体混合物水溶液が、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体3〜35モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜50モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体15〜97モル%からなることが好ましい。
一般式(3)
R8は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素又はCOOY2、Y1あるいはY2は水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
また本発明の抄紙方法は、抄紙前の製紙原料において、最後のスクリーンを通過した主製紙原料流の一部をバイパス流とし、前記バイパス流を更に二つに分流した後、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液と前記二つの分流とを混合手段によって混合し、その後前記主製紙原料流の一箇所に還流させることが好ましい。
更に本発明の抄紙方法は、抄紙前の製紙原料において、最後のスクリーンを通過した主製紙原料流の一部をバイパス流とし、前記バイパス流を更に三つに分流した後、前記三つに分流したうちの二つの分流と、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液を混合手段によって混合し、前記主製紙原料流の一箇所に還流させ、残りの一つの分流と無機性あるいは有機性アニオン性物質溶液流あるいは分散液流とをもう一つの同種の混合手段によって混合し、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液の添加箇所よりも下流の前記主製紙原料流の一箇所に還流させることにより添加・混合することが好ましい。
本発明の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体及び無機塩を必須として含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合した後、適宜転相剤を添加して製造されたことを特徴とする。
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす。
また本発明は、上記油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤を、歩留率及び/又は濾水性を向上させることを目的として、抄紙前の製紙原料中に添加する抄紙方法からなる。
本発明の特徴は、重合時、無機塩を含有させることにより製紙原料中に添加した場合、分散性の良い油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤を開発したことである。従来、油中水型エマルジョンはその希釈液の粘性が高く、製紙原料中における分散性が必ずしも良好ではなく、均一に分散しないことに起因するトラブルの発生、あるいは製紙薬剤としての性能が最大限発揮されないこともあった。本発明の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤の分散性の良さを適用した抄紙方法も検討されている。すなわち、抄紙前の製紙原料において、最後のスクリーンを通過した主製紙原料流の一部をバイパス流とし、前記バイパス流を更に二つに分流した後、前記油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤あるいはその希釈液と前記二つの分流とを混合手段によって混合し、その後前記主製紙原料流の一箇所に還流させる抄紙方法に適用できる。
あるいは別の実施形態として、抄紙前の製紙原料において、最後のスクリーンを通過した主製紙原料流の一部をバイパス流とし、前記バイパス流を更に三つに分流した後、前記三つに分流したうちの二つの分流と、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液を混合手段によって混合し、前記主製紙原料流の一箇所に還流させ、残りの一つの分流と無機性あるいは有機性アニオン性物質溶液流あるいは分散液流とをもう一つの同種の混合手段によって混合し、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液の添加箇所よりも下流の前記主製紙原料流の一箇所に還流させることにより添加・混合することもできる。
この抄紙方法は以下の製紙の現状に対応させたことに因る。それは従来、薬品添加方法として薬品の一次溶解液を二次希釈水により流量を増し、溶解液粘度を下げてから主製紙原料流に添加される。主製紙原料流量に対して、薬品の流量は微量であり、流速も遅いため十分なミキシングの達成が困難であった。更に薬品は配管側壁に沿って流れ、スケールを形成、断紙や汚れの原因となっていた。
この抄紙方法のメリットは、二次希釈水が不要なため用水の節減に繋がる、スクリーンを通過した後に歩留向上剤及び/又は紙質向上剤を添加するため、薬剤の劣化が少ない、大量の製紙原料に対し少量の薬剤を添加するという混ざりの問題を克服し、一度製紙原料の一部と薬剤を混合し、薬剤含有液を更に製紙原料に添加するために、製紙原料と薬剤の混ざりが向上するなどである。

本発明の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤は、原料として使用する単量体、カチオン単量体、即ち一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体を3〜35モル%、必要に応じて一般式(3)で表されるアニオン性単量体を0〜50モル%、共重合可能な非イオン性水溶性単量体を15〜97モル%からなる単量体及び無機塩を必須として含有する単量体混合物の水溶液を、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合した後、適宜転相剤を添加して製造することができる。
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
R8は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素又はCOOY2、Y1あるいはY2は水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
本発明の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤を製造する際使用するイオン性単量体のうち、カチオン性単量体、即ち一般式(2)及び/又は(3)で表される単量体は3〜35モル%であり、好ましくは5〜25モル%の範囲である。
本発明で使用するカチオン性単量体は、以下の様なものがある。すなわち、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミン等の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である。その例として一般式(1)であらわされる単量体は、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物である。一般式(1)であらわされる単量体は、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物などがある。
両性の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤を製造する場合は、上記ビニル系カチオン性単量体の他、ビニル系アニオン性単量体を併用する。その例としてはビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸あるいはp−カルボキシスチレン酸等が挙げられる。
また非イオン性単量体を共重合する場合は、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
重合時、単量体水溶液に共存させる無機塩は、単量体水溶液中に溶解度の高いものが好ましいが、以下のようなものである。すなわちナトリウムやカリウムの様なアルカリ金属イオンやアンモニウムイオン等の陽イオンと、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン等の陰イオンとを組み合わせた塩が使用可能である。これら塩類の濃度としては、油中水型エマルジョンの液量に対し0.5%〜15質量%である。
油中水型エマルジョンの製造方法としては、カチオン性単量体、アニオン性単量体及び非イオン性単量体からなる単量体混合物を水、水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合する。
また、分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類或いは灯油、軽油、中油等の鉱油、或いはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、或いはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行ない、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノ二オン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系等である。
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜100℃の範囲で行なう。特に油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の範囲で行なう。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性或いは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルプロピオネート、4、4’−アゾビス−(4−メトキシ−2、4−ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。
水溶性アゾ開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。またレドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
単量体の重合濃度は20〜50質量%の範囲であり、好ましくは25〜40質量%の範囲であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合の濃度と温度を設定する。これらの単量体を重合して得られる水溶性高分子の分子量は、固有粘度で表わすと、油中水型エマルジョンを構成する水溶性重合体の1規定NaCl水溶液中、25℃で測定した固有粘度が10〜25dl/gであることが好ましいが、更に好ましくは18〜25dl/gである。固有粘度が10であると、歩留向上効果が低下し、またより高ければ効果が上がることが期待されるが、25dl/gより高い値は現実的には製造することができないためである。ただし取り扱いの点を考慮すると25dl/g
である。
本発明の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤の0.2%水溶液のB型回転粘度計、25℃で測定した粘度が300mPa・s以下であることが好ましい。これは製紙原料への混合、分散の点から考慮したものである。
本発明の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤の製紙工程における歩留向上剤の添加場所として、せん断工程であるファンポンプやスクリーンの前後が一般的であり、本発明の油中水型エマルジョンも同様な添加場所が適用される。少ない添加率で最も歩留率を向上させるには最終せん断工程であるスクリーン通過後に添加するのが好ましい。
スクリーン通過後の添加法として、製紙用薬剤とパルプスラリーの攪拌効率を高めるための混合手段を用いる場合がある。
次に混合手段に関し説明する。本発明で使用する添加システムにおける混合手段は、本発明で使用する混合における技術思想が達成できればどのような混合手段を用いても良いが、具体的には以下のような混合装置を使用すると効率的に実施が可能である。例えば以下のフローから構成される場合がある。例えば装置の一例として、主製紙原料流の一部をバイパス流として使用し、前記バイパス流を更に二つに分流し、一つの分流は(1)大流量・高速ジェット流を形成する部分(インジェクションフロー)、(2)もう一方の分流は、薬品流が噴射される部分を広げて、薬品流をジェット流に巻き込ませる部分(ミキシングフロー)、(3)薬品を添加するには、薬品流を螺旋回転させながらジェット流に噴射する部分(ケミカルフロー)から構成されているものなどが使用できる。
前記三つのフローは、断面が同心円の配管により構成される。同心円の一番真ん中にミキシングフロー、一番外側にインジェクションフロー、ミキシングフローとインジェクションフローの間にケミカルフローが位置し、それぞれのフローは先端部で合流する形態を有する。ケミカルフローの薬品はミキシングフローにより押し広げられ、インジェクションフローに接触し、速やかにその中に混合され、主製紙原料流に添加される。
主製紙原料流の一部をバイパス流として使用し大流量・高速ジェット流を形成する部分(インジェクションフロー)では、主製紙原料流の一部をバイパス流とし、バイパス流を更に二つ以上に分流した一方の製紙原料を例えばブースターポンプなどにより加圧し、バイパス流の5〜20倍の流速に加速される強力な渦巻きジェット流を形成する。この時、流速5〜10L/sに加速することが好ましい。
薬品を螺旋回転させながら前記ジェット流に対して噴射する部分(ケミカルフロー)では、ノズル部よりジェット流に対し螺旋回転しながらフィルム状に噴出される。流速は遅くシェアは最小限に抑えられるので、薬品に対する影響は最小限となる。流速は、0.1〜1.0L/sで薬品を噴射することが好ましい。
バイパス流を分流したもう一方の分流(ミキシングフロー)は、前記ケミカルフローを広げて薬品をジェット流に巻き込ませる役割を果たし、スプレー状に放出されて、ケミカルフローを押し広げインジェクションフローに巻き込ませる。ミキシングフローの流速は、1〜2L/sが好ましい。上記説明した装置の具体例としては、ウェットエンド・テクノロジー社の「トランプジェット」などがある。
本発明における薬品の添加方法の特徴は、最終せん断工程であるスクリーンを通過した主製紙原料流に添加される。スクリーンを通過することによる大きなせん断がポリマーに掛からないため高分子が切断されることなく最大限の効果が発揮される。薬品は主製紙原料流の配管内に、広く、深く分散するので非常に高いミキシング効果を発揮するため、高分子量であっても紙の地合いを崩すことがない。
そのため従来の添加法では、地合い崩れを起こすことがある、より高分子量の歩留向上剤の使用をすることもできる。上記例にあげた混合手段では、主原料流に対して高速で添加されるため薬品の流量が0.1L/s以上で粘度が300mPa・s以下であれば希釈用の清水が不要であるため、前記流量と粘度が好ましい。その範囲内に入らなければ清水で希釈するが、従来の添加法に対して清水使用量が大幅に削減できる。
背景技術においても説明したように、製紙原料がスクリーン通過前の添加では、スクリーンのシェアにより高分子が切断されるので、大きな歩留率の向上を得るためには、歩留向上剤の添加率を増やす必要がある。一方、スクリーン通過後の添加では、混合の問題から地合いが崩れる危険が予想され、添加率を最小限に抑制しなければならず大幅な歩留率の向上、生産性の向上が望めない。従って本発明のビニル重合系水溶性カチオン性或いは両性重合体である油中水型エマルジョンと製紙原料流の混合手段を用いる添加方法により薬品が効果的にミキシングされ、スクリーン通過後に添加されるため顕著な効果を発現する。
本発明における抄紙法システムとして一種の薬品添加だけでなく、二種以上の薬品添加にも適用できる。すなわち請求項8に記載されるようにバイパス流を三つに分流した後、一種目の薬品に歩留向上剤のようなカチオン性或いは両性ポリマーの液フローと、三つに分流したうちの二つの分流を、混合手段によって混合し、主製紙原料流の一箇所に還流させ、二種目として、アニオン性ポリマー、ベントナイトあるいはコロイダルシリカのフローと残りの一つの分流をもう一つの同種の混合手段によって混合し、前記カチオン性或いは両性ポリマーを添加した箇所よりも下流の主製紙原料流の一箇所に還流させる方法もある。
上記処方を応用することにより歩留向上剤及び/又は紙質向上剤と同種の混合手段を使用して填料、紙力剤、サイズ剤、硫酸バンド他の製紙用薬品と同時に添加することができ、別の混合手段によってサイズ剤定着剤、濾水性向上剤、あるいはアニオン性水溶性高分子、ベントナイトあるいはコロイダルシリカなどより抄紙機に近い箇所で添加することができる。従って本発明においては、歩留向上剤及び/又は紙質向上剤として、ビニル重合系水溶性カチオン性或いは両性重合体である油中水型エマルジョンが、本発明で使用する添加方法と混合手段を用い、スクリーン通過後の製紙原料に添加されることにより効果的にミキシングされ、顕著な効果を発現する。
本発明で使用するビニル重合系水溶性カチオン性或いは両性重合体である油中水型エマルジョンは、0.2%水溶液の粘度が300mPa・s以下であり、従来の溶解液粘度の高いポリマーに較べて製紙原料に対する分散・吸着が促進され、より効果的なミキシングとの相乗により高い歩留効果が得られると考えられる。0.2%水溶液の粘度が300mPa・sより高いと分散性が不良となり高い効果は得られない。
混合手段の設置場所は、スクリーン通過後の主製紙原料流に循環される白水の配管系統に設置することも可能である。すなわち請求項7に記載されるように、製紙原料のバイパス流に替えて、白水の流れを二つ以上に分流した後、混合手段によって前記分流のうち、二つと歩留向上剤及び/又は紙質向上剤の原液あるいは希釈液とを混合し、前記主製紙原料流の一箇所に還流させることもできる。この概念図は、図1に記載されるように主製紙原料流のバイパスに替えて図中1の白水の流れを使用して薬剤を添加する。あるいは請求項8に記載され、図2に概念的に説明されるように、主製紙原料流のバイパスを三つに分流した後、二つの分流と歩留向上剤及び/又は紙質向上剤とを混合手段によって混合し、主製紙原料流に還流し、もう一つの分流とアニオン性水溶性高分子、ベントナイトあるいはコロイダルシリカから選択される一種以上とをもう一台の同種の混合手段により混合し、前記カチオン性或いは両性ポリマーを添加した箇所よりも下流の主製紙原料流の一箇所に主製紙原料流に還流させる。対象紙料としては特に限定はなく、あらゆる紙料に対して適用できるが、特に地合い性を損なうことなく歩留の向上が求められる新聞用紙、上質紙、PPC用紙、塗工原紙、微塗工紙や最小限の添加率で最大限の効果が求められる板紙等においてその効果がより発揮される。
(実施例)
以下に示す実施例によって本発明のビニル重合系水溶性カチオン性或いは両性重合体を具体的に説明するが、本発明は以下の合成例に限定されるものではない。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)58.1g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)307.0g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2質量部)及び硫酸アンモニウム27.2g(対油中水型エマルジョン全量5質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=5/95(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬V−601)0.7g(対単量体0.35質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンデシルエーテル10.0g(対液1.8質量%)を添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であることが判明した。この分散液の0.2%水溶液粘度を、B型粘度計により測定すると89mPa・sであり、試作−1とする。更に試作−1の製造と同様の操作によりDMQ/AAM=10/90(モル%)0.2%水溶液粘度95mPa・s(試作−2)、DMQ/AAM=10/90(モル%)0.2%水溶液粘度128mPa・s(試作−3)、DMQ/AAM=20/80(モル%)0.2%水溶液粘度149mPa・s(試作−4)、DMQ/AAM=20/80(モル%)0.2%水溶液粘度196mPa・s(試作−5)、DMQ/DMC/AAC/AAM=10/10/5/75(モル%)0.2%水溶液粘度175mPa・s(試作−6)、DMQ/DMC/AAC/AAM=10/10/5/75(モル%)、0.2%水溶液粘度225mPa・s(試作−7)、DMQ/AAM=35/65(モル%)0.2%水溶液粘度188mPa・s(試作−8)である水溶性高分子を合成した。結果を表1に示す。
(比較例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)58.1g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)307.0g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=10/90(モル%)である。
得られたエマルジョンを単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V−601)0.7g(対単量体0.35質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンデシルエーテル10.0g(対油中水型エマルジョン全量1.9質量%)を添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であることが判明した。又、0.2%水溶液粘度を、B型粘度計により測定すると414mPa・sであり、試作−9とする。結果を表1に示す。更に試作−9の製造と同様の操作によりDMQ/AAM=20/80(モル%)、0.2%水溶液粘度526mPa・sである水溶性高分子を合成した(試作−10)。
(表1)
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
DMC:メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド
無機塩;AS:硫酸アンモニウム、SC:塩化ナトリウム
ブリット式ダイナミックジャーテスターによる歩留率の測定試験を行なった。200メッシュワイヤー使用。使用原料は、固形分濃度1.1質量%で、軽質炭酸カルシウム等Ash分として29.7%対固形分濃度含んだ新聞用紙抄造原料を用いた。製紙原料の物性値は、pH7.2、Whatman No.41濾紙濾過液のミューテック社製PCD−03型を使用したカチオン要求量は、0.011meq/Lである。攪拌回転数1500rpmで20秒間攪拌後、実施例の試作−1〜8を対紙料固形分に対して150ppm添加し、スクリーン通過後に添加することを想定して攪拌回転数1500rpmで10秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)実施例1と同様な製紙原料を用いて、実施例の試作−2、試作−3、試作−5及び試作−7を対紙料固形分に対して200ppm添加し、スクリーン手前に添加することを想定して攪拌回転数1500rpmで30秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)実施例1と同様な製紙原料を用いて、比較例の試作−9及び試作−10を対紙料固形分に対して150ppm添加、スクリーン通過後に添加することを想定して攪拌回転数1500rpmで10秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表2に示す。
(表2)
実施例2の試作−1〜8をスクリーン通過後に添加することを想定し添加した場合、比較例2の試作−2、試作−3、試作−5及び試作−7のスクリーン手前に添加することを想定し添加した場合よりも低添加率でも高い歩留効果を示した。 又、比較例3のスクリーン通過後に添加することを想定した試作−9及び試作−10の添加では実施例2の効果は得られなかった。これは、試作−9及び試作−10の0.2%水溶液粘度が本発明の範囲外のため、製紙原料への分散・吸着が不良であることが要因と推察される。歩留の向上にはスクリーン通過後に実施例1の試作ポリマーを添加することが製紙原料への分散・吸着が高まり、更にシェアの掛かりが少なく最大の効果があることが確認できた。
新聞用紙抄紙マシンで抄速1370m/分、坪量42.0g/m2の条件で、スクリーン通過前に重量平均分子量1500万で0.2%水溶液粘度が474mPa・sの油中水型エマルジョンポリマーを220ppm対紙料固形分添加していたが、本発明の実施例1、試作−2の水溶性重合体を、本発明において説明した混合手段を具体化した形態を有するウェットエンド・テクノロジー社の「トランプジェット」をスクリーン通過後に位置する場所に設置し、110ppm対紙料固形分添加した。添加法変更前においては現行油中水型エマルジョンポリマー使用時のワイヤー総歩留率43%、灰分歩留率21%であった。これに対し添加法変更後では、実施例1、試作−2の水溶性重合体を、本発明で使用する添加法を用いることによりワイヤー総歩留率52%、灰分歩留率36%に向上した。実施例1、試作−2の水溶性重合体が製紙原料に対する分散・吸着が高まり効率的にミキシングされ、最大限の効果が発揮されたと考えられる。又地合いは現行油中水型エマルジョンポリマー添加時に対して実施例1、試作−2添加時では地合いの低下は認められなかった。
請求項7に記載される抄紙方法において、本発明で使用するビニル重合系水溶性カチオン性或いは両性重合体を添加するためのシステム図である。 請求項8に記載される抄紙方法において、本発明で使用するビニル重合系水溶性カチオン性或いは両性重合体を添加するためのシステム図である。
1 主製紙原料流に循環される白水
2 最後のスクリーン
3 製紙薬剤貯槽(歩留向上剤及び/又は紙質向上剤)
4 製紙薬剤流
5 バイパス流
6 バイパス流を更に分けた分流の一つ
7 バイパス流を更に分けた分流の一つ
8 混合手段
9 抄紙機への製紙原料の流れ
10 主製紙原料流
11 製紙薬剤貯槽1(歩留向上剤及び/又は紙質向上剤)
12 製紙薬剤貯槽2(アニオン性水溶性高分子、ベントナイトあるいはコロイダルシリカなど)
13 最後のスクリーン
14 主製紙原料流
15 製紙薬剤流1
16 バイパス流
17 バイパス流を更に分けた分流の一つ
18 バイパス流を更に分けた分流の一つ
19 混合手段1
20 製紙薬剤流2
21 バイパス流を更に分けた分流の一つ
22 混合手段2
23 抄紙機への製紙原料の流れ

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体及び無機塩を必須として含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合した後、適宜転相剤を添加して製造された油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤。
    一般式(1)
    R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(2)
    R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす。
  2. 前記単量体混合物水溶液が、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体3〜35モル%、下記一般式(3)で表される単量体0〜50モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体15〜97モル%からなることを特徴とする請求項1に記載の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤。
    一般式(3)
    R8は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素又はCOOY2、Y1あるいはY2は水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
  3. 前記油中水型エマルジョンを構成する水溶性重合体のB型回転粘度計、25℃で測定した0.2%水溶液の粘度が300mPa・s以下であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤。
  4. 前記油中水型エマルジョンを構成する水溶性重合体の1規定NaCl水溶液中、25℃で測定した固有粘度が10〜25dl/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤。
  5. 前記無機塩が油中水型エマルジョンの液量に対し0.5〜15質量%であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型エマルジョンからなる製紙用薬剤。
  6. 下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体及び無機塩を必須として含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合した後、適宜転相剤を添加して製造された油中水型エマルジョンあるいはその希釈液を歩留率及び/又は濾水性を向上させることを目的として抄紙前の製紙原料中に添加することを特徴とする抄紙方法。
    一般式(1)
    R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(2)
    R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす。
  7. 抄紙前の製紙原料において、最後のスクリーンを通過した主製紙原料流の一部をバイパス流とし、前記バイパス流を更に二つに分流した後、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液と前記二つの分流とを混合手段によって混合し、その後前記主製紙原料流の一箇所に還流させることを特徴とする請求項6に記載の抄紙方法。
  8. 抄紙前の製紙原料において、最後のスクリーンを通過した主製紙原料流の一部をバイパス流とし、前記バイパス流を更に三つに分流した後、前記三つに分流したうちの二つの分流と、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液を混合手段によって混合し、前記主製紙原料流の一箇所に還流させ、残りの一つの分流と無機性あるいは有機性アニオン性物質溶液流あるいは分散液流とをもう一つの同種の混合手段によって混合し、前記油中水型エマルジョンあるいはその希釈液の添加箇所よりも下流の前記主製紙原料流の一箇所に還流させることにより添加・混合することを特徴とする請求項6に記載の抄紙方法。
  9. 前記主製紙原料流のバイパス流に替えて、主製紙原料流に循環される白水をバイパス流として使用することを特徴とする請求項7或いは8に記載の抄紙方法。
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