JP2010221210A - 表面濾過方式集塵機用帯電防止濾布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パルスジェット払落し式集塵機で使用される不織布製濾布のように繊維質濾布基材よりなる柔軟性材料の濾過面側に導電性のナノカーボン繊維から構成された微細繊維層を層着形成することにより、集塵性能と帯電防止性能に優れる表面濾過方式のパルスジェット払落し式集塵機用濾布を提供できる。
【選択図】 図1
Description
図1に示すように、本実施形態における表面濾過方式の集塵機用帯電防止濾布1は、繊維質濾布基材3の濾過面側にナノカーボン繊維で構成された微細繊維層2を層着形成したことを特徴とする。
(ナノカーボン繊維、有機バインダを含む混合液による円筒型濾布の作成)
ナノカーボン繊維としてCNT水分散品「御国色素(株)製、製品名:CNTDW−80、溶媒:水、CNT濃度:11.5重量%、「使用したCNT」(昭和電工(株)製、商品名:VGCF、繊維径:150nm、長さ:10〜20μm)」を、有機バインダとして、ラックカイガラムシが豆科・桑科の樹木の樹液を吸って体外に分泌した、シェラック樹脂水溶液(日本シェラック工業(株)製、製品名:SB−25、溶媒:水、シェラック樹脂濃度:23.5重量%、硼砂5.5重量%)を、及び、イオン交換水とを、CNT固形分含量:シェラック樹脂固形分含量:イオン交換水=2.0:0.1:97.9の割合となるように配合した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、商品名:ULTRA−TURRAX T25)を用いて11000rpmで5分間混合して混合液(混合液1g中にCNT20mgを含む)を得た。
この混合液をポリエステルニードルパンチ不織布(目付け600g/m2)の濾過面側(毛焼き処理面)に、処理量として120g/m2スプレー塗付した後、120℃で1時間乾燥した。この乾燥後の不織布を165mmφ×1920mmLの円筒型に縫製し、円筒型濾布を得た。
(ナノカーボン繊維、無機バインダを含む混合液による円筒型濾布の作成)
ナノカーボン繊維としてCNT水分散品(実施例1と同等品)を、無機バインダとしてアモルファスシリカ水溶液(グランデックス(株)製、製品名:FJ294、溶媒:水、アモルファスシリカ濃度:37重量%)を、及びイオン交換水とを、CNT固形分含量:アモルファスシリカ固形分含量:イオン交換水=2.0:0.1:97.9の割合で配合した。その後、ホモジナイザーを用いて11000rpmで5分間混合して混合液(混合液1g中にCNT20mgを含む)を得た。この混合液をポリエステルニードルパンチ不織布(目付け600g/m2)の濾過面側(毛焼き処理面)に、処理量として120g/m2スプレー塗付した後、120℃で1時間乾燥した。この乾燥後の不織布を165mmφ×1920mmLの円筒型に縫製し、円筒型濾布を得た。
(不織布を溶融させてナノカーボン繊維を固定化した円筒型濾布の作成)
ナノカーボン繊維としてCNT水分散品(実施例1と同等品)とイオン交換水とを、CNT固形分含量:イオン交換水=2.0:98.0の割合で配合した。その後、ホモジナイザーを用いて11000rpmで5分間混合して分散液(分散液1g中にCNT20mgを含む)を得た。この分散液をポリエステルニードルパンチ不織布(目付け600g/m2)の濾過面側(毛焼き処理面)に、処理量として120g/m2スプレー塗付した後、120℃で1時間乾燥した。その後、250℃にコントロールした加熱ロールにてこの不織布を圧着し、冷却後、165mmφ×1920mmLの円筒型に縫製し、円筒型濾布を得た。
(ナノカーボン繊維、有機バインダを含む混合液によるプリーツ型濾布の作成)
実施例1と同じ調合により、ナノカーボン繊維、有機バインダを含む混合液を得た。この混合液をポリエステルスパンボンド長繊維不織布(目付け260g/m2)の濾過面側に、処理量として80g/m2スプレー塗付した後、120℃で1時間乾燥した。この乾燥後の不織布をプリーツ型に加工し、145mmφ×250mmL×谷深さ30mm×山数70プリーツ型フィルタ33を得た。このプリーツ型フィルタを用いたプリーツ型濾布本体30の概要を図3に示す。プリーツ型濾布本体30は、プリーツの形状を保持するために天板32、プリーツ型フィルタ33、底板35及びパンチングメタル内筒34により構成されており、ベンチュリー31はベンチュリー効果を得るために天板32に設置されている。
(ナノカーボン繊維、無機バインダを含む混合液によるプリーツ型濾布の作成)
実施例2と同じ調合により、ナノカーボン繊維、無機バインダを含む混合液を得た。この混合液をポリエステルスパンボンド長繊維不織布(目付け260g/m2)の濾過面側に、処理量として80g/m2スプレー塗付した後、120℃で1時間乾燥した。この乾燥後の不織布をプリーツ型に加工し、145mmφ×250mmL×谷深さ30mm×山数70プリーツ型フィルタを得た。
(不織布を溶融させてナノカーボン繊維を固定化したプリーツ型濾布の作成)
実施例3と同じ調合により、ナノカーボン繊維分散液を得た。この分散液をポリエステルスパンボンド長繊維不織布(目付け260g/m2)の濾過面側に、処理量として80g/m2スプレー塗付した後、120℃で1時間乾燥した。その後、250℃にコントロールした加熱ロールにてこの不織布を圧着し、冷却後、この不織布をプリーツ型に加工し、145mmφ×250mmL×谷深さ30mm×山数70プリーツ型フィルタを得た。
(ナノカーボン繊維による層着形成を行わない円筒型濾布の作成)
ナノカーボン繊維による層着形成を行わないポリエステルニードルパンチ不織布(目付け600g/m2)にて作成した円筒型濾布を比較例1に、同じポリエステルニードルパンチ不織布で目付けを400g/m2にしたものを比較例2に、目付けを700g/m2にしたものを比較例3、ポリエステルニードルパンチ不織布の表面にフッ素樹脂材料(デュポン社製、テフロン(登録商標))をラミネート処理したものを比較例4とした。
(ナノカーボン繊維による層着形成を行わないプリーツ型濾布の作成)
ナノカーボン繊維による層着形成を行わないポリエステルスパンボンド長繊維不織布(目付け260g/m2)にて作成したプリーツ型フィルタを比較例5とした。
試験装置の概要を図2に示す。集塵装置10内に実施例及び比較例にて作成した試験濾布15aを2本セットした。試験濾布が円筒型濾布の場合は、濾布ケージ15bおよびベンチュリー15cを用い、プリーツ型の場合は図3のプリーツ型濾布をそのまま用いた。吸引ブロア21の運転により集塵を行い、濾過速度が1.0m/min(分)となるように、流量計17および風量調節バルブ20により調整を行った。試験ダストとしてフライアッシュ(平均粒径2.8μm)をフライアッシュ定量供給装置13内に投入し、イジェクタ12を通した定量試験粉体分散用圧縮空気11により、集塵装置10内にフライアッシュを分散させながらダスト濃度が7g/m3となるよう定量供給した。フライアッシュは、試験濾布15aに捕集され、濾布差圧計14により設定圧損に達したとき、パルスジェットエアタンク16a(ガス温度:常温、タンク圧:0.5MPa)より、エアバルブ16b、パルスジェットノズル16cを通じてパルス時間:100ms(ミリ秒)にてパルスエアが放出され、試験濾布15a上のフライアッシュが払い落とされる。出口ダスト濃度は、吸引ポンプ19により円形濾紙18上に捕集されたフライアッシュの重量より求めた。濾布の払落し性能評価は、ドイツ規格VDI N3926に倣って、次のような手順で行った。
汚れ濾布抵抗係数ζdはパルス後の残留粉塵を含んだ濾布の圧力損失ΔPfに関係する係数であり、ζdが小さいほど払い落としが良い濾布(濾布の表面処理や形状、払い落とし方法なども含まれる)であることを意味する。
しかし、通常のパルス設定圧損(1000Pa)でダスト払い落としを行うと濾布種類によるζdの差が小さくて判然としないが、パルス設定圧損を大きくするとζdの差が拡大されて見やすくなることが分かっている。そこでパルス設定圧損を3000Paとして次のような手順でζdを計算で求めた。
(1)試験濾布(未使用品)を試験装置に取付ける。
(2)ダストを流して、パルス設定圧損(3000Pa)に達したらパルスを行い、この操作を30回繰り返す。
(3)ダスト無しで、5s(秒)間隔で1000回パルスを行って濾布を使い込んだ状態(エージング処理と称する)にする。
(4)安定化操作として、ダスト無しでパルスを10回行う。
(5)試験ダストを流して設定圧損3000Paでダスト払い落としを24時間行ない、最終パルス直前のΔPfinalを用いて、式(2)ΔPfinal=(ζd+α×c×u×t)×μ×u、ここで、ΔPfinal:フィルタの圧力損失(Pa)、ζd:汚れ濾布抵抗係数(1/m)、α:ダスト比抵抗係数(m/kg)、c:入口ダスト濃度(kg/m3)、u:濾過速度(m/s)、t:パルス間隔時間(s)、μ:空気の粘度(Pa・s)からζdを計算で求めた。
汚れ濾布抵抗係数ζdを求める場合は、ほとんど影響がないと考えられることから、上述のようにパルス設定圧損を3000Paにして試験を行ったが、出口ダスト濃度Cfinalを求める場合には、濾布に過大な圧力損失を加えると出口ダスト濃度に影響を与えることも考えられたので通常のパルス設定圧損を1000Paに設定して試験を行った。
(1)試験濾布(未使用品)を試験装置に取付ける。
(2)ダストを流して、パルス設定圧損(1000Pa)に達したらパルスを行い、この操作を30回繰り返えす。
(3)ダスト無しで、5s(秒)間隔で1000回パルスを行って濾布を使い込んだ状態(エージング処理と称する)にする。
(4)安定化操作として、ダスト無しでパルスを10回行う(以上の手順で使い込んだ濾布を再現)。
(5)試験ダストを流して設定圧損1000Paでダスト払い落としを24時間行なうと共に出口ダスト濃度Cfinal(mg/m3)を円形濾紙18で24時間測定した。
ドイツ規格VDI N3926に倣って濾布を使い込んだ状態(エージング処理)にした上で、試験ダストを流して設定圧損1000Paでダスト払い落としを24時間行なうと共に、出口ダスト濃度Cfinal(mg/m3)を円形濾紙18で24時間測定した。
濾布の両端に絶縁抵抗計(HIOKI 3453 didital MΩ Hitester)を接続して測定を行った。絶縁抵抗計の印加電圧を500Vとし、5回の測定を行い得られた抵抗値の結果の平均を求めた。
以上のようにして行った試験結果を、表2にまとめた。
円筒型濾布・プリーツ型濾布は何れもCNT処理濾布は、ドイツ規格VDI N3926に倣って濾布を使い込んだ条件で出口ダスト濃度および汚れ濾布抵抗係数を測定したが、出口ダスト濃度・汚れ濾布抵抗係数は何れも高価なテフロン(登録商標)メンブレンラミネート濾布と同等の優れた性能を示し、かつ性能の劣化の兆候も見られないことからナノカーボン繊維から構成された微細繊維層の脱落や剥離がほとんどないことが示唆された。
また、CNT層着形成濾布は導電性を有し、帯電防止性能にも優れていることが示唆された。更に、ナノカーボン繊維から構成された微細繊維層を層着形成するのに必要なナノカーボン繊維の量は、表面濾過方式であるため少量で済むことから価格的にも有利である。以上のことより、総合的な評価としてCNT層着形成濾布が最も優れていると考えられる(◎印は最も優れていることを示す)。
2 微細繊維層
3 繊維質濾布基材
10 集塵装置
11 試験粉体分散用圧縮空気
12 イジェクタ
13 フライアッシュ定量供給装置
14 濾布差圧計
15a 試験濾布
15b 濾布ケージ
15c ベンチュリー
16a パルスジェットエアタンク
16b エアバルブ
16c パルスジェットノズル
17 流量計
18 円形濾紙
19 吸引ポンプ
20 風量調節バルブ
21 吸引ブロア
30 プリーツ型濾布本体
31 ベンチュリー
32 天板
33 プリーツ型フィルタ
34 パンチングメタル内筒
35 底板
Claims (5)
- 繊維質濾布基材の濾過面側に、ナノカーボン繊維で構成された微細繊維層を層着形成したことを特徴とする表面濾過方式の集塵機用帯電防止濾布。
- 前記ナノカーボン繊維が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーまたはカーボンファイバーのうち少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1記載の表面濾過方式の集塵機用帯電防止濾布。
- 前記繊維質濾布基材が、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、耐熱ナイロン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、四フッ化エチレン繊維、木綿繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、黒鉛化繊維のうち少なくとも1種を含むものであること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表面濾過方式の集塵機用帯電防止濾布。
- 前記繊維質濾布基材の濾過面側に、ナノカーボン繊維で構成された微細繊維層を層着形成する方法として、有機バインダもしくは無機バインダを予めナノカーボン繊維表面に付着させ、前記繊維質濾布基材の濾過面側に層着後に乾燥して層着形成すること特徴とする請求項1記載の表面濾過方式の集塵機用帯電防止濾布。
- 前記繊維質濾布基材の濾過面側に、ナノカーボン繊維で構成された微細繊維層を層着形成する方法として、前記繊維質濾布基材が熱可塑性繊維である場合、繊維質濾布基材上にバインダを含まないナノカーボン繊維を層着後に熱風もしくは加熱ロールを用いることで熱可塑性繊維を溶融し、ナノカーボン繊維を繊維質濾布基材の濾過面側に層着形成することを特徴とする請求項1に記載の表面濾過方式の集塵機用帯電防止濾布。
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