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JP2010105715A - 注ぎ性を付与した自立包装袋 - Google Patents

注ぎ性を付与した自立包装袋 Download PDF

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俊之 真枝
Hiroyuki Otsuka
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Abstract

【課題】液状内容物が充填される包装袋において、プラスチック成形物を付設することなく、注ぎ性を付与した自立包装袋を提供することが課題である。
【解決手段】液状内容物を充填する自立包装袋において、少なくとも注出部を含む、袋を構成する積層体の一部に発泡ポリオレフィン層を使用したことを特徴とする注ぎ性を付与した自立包装袋。さらには製袋時の罫線付けにより注出部に開口状態を保持するための山折り構造を施されている注ぎ性を付与した自立包装袋。
【選択図】図1

Description

本発明は、液状内容物が充填された包装袋に関する。更に詳細には、シャンプー、リンス、ボディーソープ、液体洗剤、柔軟剤、液体芳香剤、消臭剤、漂白剤などの低粘度のトイレタリー製品の充填に好適な自立包装袋(スタンディングパウチ)に関する。
近年、シャンプー・リンスなどの詰め替え容器に代表される自立包装袋(スタンディングパウチ)は、様々な機能が付与されている為、形状や構成が複雑化している。とりわけ内容物を簡単に素早く詰め替えるという市場要望は高く、注出口付近にプラスチック成形物を熱溶着し内部空洞を確保したり、真空成形により注出口付近にエンボス加工と呼ばれる凹凸を設けたり、注ぎ口自身をプラスチック成形物にしたりなどの様々な方法が実施されている。しかし、求められる要求が高くなるにつれて製袋時の工程が多く複雑になり、製造コストも高くなることは避けられなかった。更には、プラスチック成形物溶着の際にピンホールが発生したり、エンボス加工成形時にピンホールが発生したりするなど、ピンホール部分からの内容物漏れも報告されている。
自立包装袋で上記のような付加的な手法を用いないで液状内容物を簡単に素早く詰め替えようとした場合の障害としては、包装袋上部をカットして開口した注出部の断面積が注出作業中に元に戻って小さくなってしまい大量の注出が継続できないことが挙げられる。
このように、力を加えて変化させた状態が元に戻るのが不都合である場合に、放置しても形状を保持する性質をデッドホールド性と称し、カップラーメンの蓋材を初めとして、容器の開口を保持したい用途で利用されている性質である。
包装材料で、デッドホールド性を必要とする場合、アルミニウム箔を有する積層包装材料を用いて密封包装するのが一般的であった。アルミニウム箔を有する積層包装材料は、デッドホールド性が優れ、しかもガスバリア性が優れるが、使用後の焼却処理で残渣が発生する問題、あるいは金属探知機による異物検査が出来ない等の問題があった。
これに対して、耐熱性のある合成樹脂フィルムを主構成材とし、袋上部にデッドホールド性を有する紙材を使用して構成した自立性袋が電子レンジ用調理袋として提案されている(特許文献1)。加熱調理に際して、調理袋の上端部を折曲げさえすれば、袋上部の前後壁部の少なくとも一方に配された紙材のデッドホールド性により、折曲げ部に折り癖が付いて、簡易封緘状態に保持される。
包装袋の開口部の形状保持に紙材のデッドホールド性を利用する方法は、紙の吸湿性と寸法安定性に劣ることが欠点であった。
アルミ箔や紙を使用しないでデッドホールド性を発現させる方法として、合成樹脂の材料または製造方法の視点からの提案もある。
たとえば、延伸と直角方向での変形戻り力が小さいことによるデッドホールド性を利用して、プラスチックの一軸延伸フィルムからなる形状保持層と、形状保持層の下面側に配置され容器本体に熱シールされるヒートシール層とで構成するようにしたことを特徴とする蓋材がある(特許文献2)。
また、樹脂種類およびそれらの組み合わせで実現されたデッドホールド性を利用する提
案としては、ブチレンテレフタレートを主たる構成単位とする樹脂シートからなるカップ型食品包装シートの提案もある(特許文献3)。
これらの従来技術においては、デッドホールド性に方向性があること、用いる樹脂が限定される結果ヒートシール等の加工工程への適性がない場合が多いこと等の問題があり、液体内容物を充填する自立容器に応用するのは困難な場合があった。
また、発泡ポリオレフィンを包装袋に使用する例として、特許文献4には、フィルム表面に独立した空気室を多数備える袋の記載があるが、緩衝性、耐衝撃性の為に使用されており、本発明とは異なる。
特開平7−291366号公報 特開2000−103470号公報 特開2003−267429号公報 特開平6−329161号公報
本発明は従来技術の問題を解決するためになされたものであり、液状内容物が充填される包装袋において、プラスチック成形物を付設することなく、注ぎ性を付与した自立包装袋を提供する事を課題としている。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、請求項1の発明は、液状内容物を充填する自立包装袋において、少なくとも注出部を含む、袋を構成する積層体の一部に発泡ポリオレフィン層を使用したことを特徴とする注ぎ性を付与した自立包装袋である。積層構成の一部に発泡ポリオレフィンを使用する事で、特別なプラスチック成形物を溶着させる事無く、注出時に発泡ポリオレフィンのデッドホールド性を活かした注ぎ性を付与している。
請求項2の発明は、製袋時の罫線付けにより注出部に開口状態を保持するための山折り構造を施されていることを特徴とする請求項1に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋である。注ぎ性を付与する為に、注出時に使用者自身が山折り構造を施すことを省略できるように製袋時に罫線付けにより注ぎ部に山折り構造を施すことで包装袋のデッドホールド性を利用している。
請求項3の発明は、発泡ポリオレフィン層の発泡倍率が1.2倍以上、2倍未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋である。
請求項4の発明は、袋を構成する積層体が少なくとも発泡ポリオレフィン層とそれに接着剤を介してラミネートされた印刷基材層を含み、該ラミネート強度が5.0N/15mm以上(JIS K6854準拠、剥離速度300mm/分、剥離角度90度(T型))である事を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋である。
請求項5の発明は、袋を構成する積層体が少なくとも発泡ポリオレフィン層と非発泡のポリオレフィン層からなる熱溶着層を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋である。
発泡ポリオレフィン層の気泡(ボイド)の存在により、包装袋を罫線で折り曲げるなど
のくせをつける行為で変形が入りやすく、その後の自然の戻りが小さいデッドホール性を有するため、成型物の溶着や積層体のエンボスなどの凹凸加工を付与せずにスムーズに内容物を注出することができる。更には、エンボス成形を実施した場合においても、その成形性、及び成形保持性は高く、従来のエンボスよりも大きな効果が得られる。
プラスチック成形物を溶着していないため、成形物起因の不具合は発生しない。アルミ箔を使用していないため、焼却時の残渣の問題もなく廃棄可能であり、金属探知機による密封後の異物検査も可能である。製袋時の工程数も従来の包装袋と変わらず、成形物を使用しない為大幅なコストアップも発生しない。
請求項2の発明に係る注ぎ性を付与した自立包装袋では、製袋形状の工夫により、包装袋の開封前に使用者が山折りなどの癖つけをしてから注出作業を実施するのが最も簡便な方法ではあるが、従来の包装袋にはみられない作業であることから、製袋時にあらかじめ山折り罫線を施す事によってこの作業を省略することが出来る。
請求項3の発明に係る注ぎ性を付与した自立包装袋では、1.2倍以上で2倍未満の低い発泡倍率のポリオレフィンを使用する事で、安定的なラミネーションが可能になり、接着剤硬化後のラミネート強度を落とすことなく注ぎ性を付与した自立包装袋が提供可能となった。これにより、発泡ポリオリフィン層と印刷基材層のラミネート強度を請求項4の範囲にすることが出来、包装材料として適切な強度を確保することが出来る。
請求項5の発明に係る注ぎ性を付与した自立包装袋では、単層の発泡ポリオレフィンを熱溶着層に使用した場合、ヒートシール強度が弱くなり、落下衝撃によって内容物の漏れが発生する危険性があるため、2層以上の多層構造とすることでこの危険を防止出来る。3層構造の中間層にのみ発泡ポリオレフィンを使用することが望ましい。また、熱溶着層が2層構造となる場合、印刷基材とのラミネート側に発泡ポリオレフィン層をもってくるのが望ましい。
以下に本発明を実施するための最良の形態の一例について具体的に説明する。
図1は本発明の注ぎ性を付与した自立包装袋の一例の正面図である。
袋を構成する積層体の一部に発泡ポリオレフィン層を使用した積層体を用いて周知の方法により製袋された自立包装袋の、サイドシール部(1)、底シール部(2)、注出口シール部(3)、トップシール部(4)、開封時の切り取り線(5)、山折り罫線部(6)を示しており、トップシール部は内容物充填後にシールされている。
図2は本発明の注ぎ性を付与した自立包装袋を構成する積層体の一例の断面図を示している。
印刷基材層(7)は、延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルムなど延伸フィルム、またはアルミナ、シリカなどで透明蒸着された延伸フィルムであれば各社から上市されているものが使用可能であり、絵柄の印刷はグラビア印刷等の周知の方法で通常フィルムの容器内面側に行われる。
印刷基材層フィルムの厚みに関しては特に制限はないが、PETフィルムであれば30μm以下、OPPフィルムであれば20μm〜40μm程度、ONyフィルムであれば10μm〜30μm程度が適当である。
耐ピンホール層(8)は、延伸ナイロンフィルム、印刷基材と共押し出しされたバリアナイロンフィルム、PETフィルム、透明蒸着されたフィルムなどあり、印刷基材層に用いたフィルムも使用可能である。厚みに関しては特に制限はなく、汎用的な厚みが望ましい。当該層に発泡ポリオレフィンを用いても問題はない。
熱溶着層(9)は、発泡ポリオレフィン層と積層された未延伸ポリオレフィンフィルムであれば使用でき、未延伸ポリオレフィンフィルムとしては低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、中密度ポリエチレン(MDPE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルムなどが使用可能である。
望ましくは発泡ポリオレフィン層と非発泡ポリオレフィン層の多層構造であり、このとき使用している各層のポリオレフィンは同様の種類が望ましい。更には、内容物に接液する側の層に、発泡ポリオレフィンを用いない事が、なおさら好適である。
接着剤層(10)は、ドライラミネーションに用いられる1液、あるいは2液硬化型ウレタン系接着剤ならどれも使用可能であり、乾燥時の塗布量は2g/m2〜5g/m2程度が接着強度の観点から望ましい。
<実施例1>
以下の層構成の積層体を用いて図1に示すような幅140mm×高さ220mm×底テープ折込幅40mmの自立包装袋を試作した。
自立包装袋を構成する積層体の層構成(袋外面から)
<印刷済の透明蒸着PET12μ/接着剤/延伸ナイロン15μ/接着剤/熱溶着層140μ>
印刷基材:透明蒸着PET12μ:凸版印刷(株)、GL−ARH
耐ピンホール層:延伸ナイロン15μ:ユニチカ(株)、ONMB−RT、片面易接着処理、片面コロナ処理
熱溶着層:日生化学(株)、開発品、[発泡ポリエチレン100μ/LLDPE40μ]140μ、2層共押し出しフィルム、発泡倍率1.3倍
接着剤:三井化学ポリウレタン(株)、A−525/A−52、ドライ塗布量3g/m2
その他:山折り罫線あり(幅2mm×長さ30mm)
<比較例1>
熱溶着層として、タマポリ(株)製のMZ−561、m‐LLDPE140μを用いた他は実施例1と同様にして自立包装袋を作成した。
<比較例2>
山折り罫線を施さなかった他は比較例1と同様にして自立包装袋を作成した。
<比較例3>
熱溶着層として(株)JSP製の開発品で発泡ポリエチレン300μの発泡倍率が20倍のフィルムを用いた他は実施例1と同様にして自立包装袋を作成した。
上記の実施例および比較例の自立包装袋に水道水400mlを充填した後、トップシールを施して試作包装体を作成した。これらの包装袋および包装体を用いて以下の方法でラミネート強度試験および内容物注出試験を行った。その結果を表1に示す。
<実験1>
ラミネート強度試験:JIS K6854に準拠した方法で、剥離速度300mm/分、剥離角度90度(T型)の条件で自立包装袋を構成する積層体のONy層と熱溶着層間のラミネート強度を測定した。
<実験2>
内容物注出試験:開封時の切り取り線を引き裂いた後、底部を持ち注出口から内容物を自由落下させ、すべて注出し終わるまでの時間を測定した。異なる3人にて注出試験を実施し、その平均時間を記載した。
ラミネート強度は熱溶着層の発泡ポリエチレンの発泡倍率が20倍と高い比較例3の場合を除いてはほぼ同じ結果となっているが、注出試験での注ぎ出しに要する時間は山折り罫線を施さなかった比較例2では実施例1に比べて2倍以上かかる結果となった。なお、比較例3の注出試験はラミネート強度が極端に弱く注出口が正常に開いていないため実施しなかった。
この結果から、本発明の注ぎ性を付与した自立包装袋は内容物の抽出が早く安定に行えることが確認された。
本発明の注ぎ性を付与した自立包装袋の一例の正面図 本発明の注ぎ性を付与した自立包装袋を構成する積層体の一例の断面図
符号の説明
1…サイドシール部
2…底シール部
3…注出口シール部
4…トップシール部
5…開封時の切り取り線(注出部)
6…山折り罫線部
7…印刷基材層
8…耐ピンホール層
9…熱溶着層
10…接着剤層
11…発泡ポリオレフィン層
12…ポリオレフィン層

Claims (5)

  1. 液状内容物を充填する自立包装袋において、少なくとも注出部を含む、袋を構成する積層体の一部に発泡ポリオレフィン層を使用したことを特徴とする注ぎ性を付与した自立包装袋。
  2. 製袋時の罫線付けにより注出部に開口状態を保持するための山折り構造を施されていることを特徴とする請求項1に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋。
  3. 発泡ポリオレフィン層の発泡倍率が1.2倍以上、2倍未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋。
  4. 袋を構成する積層体が少なくとも発泡ポリオレフィン層とそれに接着剤を介してラミネートされた印刷基材層を含み、該ラミネート強度が5.0N/15mm以上(JIS K6854準拠、剥離速度300mm/分、剥離角度90度(T型))である事を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋。
  5. 袋を構成する積層体が少なくとも発泡ポリオレフィン層と非発泡のポリオレフィン層からなる熱溶着層を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の注ぎ性を付与した自立包装袋。
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