JP2009094896A - 無線装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力を低減すること。
【解決手段】本発明は、複数の無線装置20のうちの基幹装置10を根元として、複数の無線装置によってツリー状に形成されたセンサネットワークシステムに関する。ネットワークを構成する無線装置20ごとに、基幹装置10までのホップ数と、その無線装置20の下位の無線装置20に固有に設定されたサブスロットとに応じて、起床すべきタイミングを特定する。特定されたタイミングの前後において起床状態となって送受信処理が実行される一方、それ以外の区間においては停止状態となるように間欠制御が実行される。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、複数の無線装置20のうちの基幹装置10を根元として、複数の無線装置によってツリー状に形成されたセンサネットワークシステムに関する。ネットワークを構成する無線装置20ごとに、基幹装置10までのホップ数と、その無線装置20の下位の無線装置20に固有に設定されたサブスロットとに応じて、起床すべきタイミングを特定する。特定されたタイミングの前後において起床状態となって送受信処理が実行される一方、それ以外の区間においては停止状態となるように間欠制御が実行される。
【選択図】図1
Description
本発明は、無線技術に関し、特に、複数の無線装置によって形成されたマルチホップ無線ネットワークにおける無線装置に関する。
現在、複数の無線端末によってネットワークを構成し、隣接した無線端末間でパケットを中継することによって、直接電波の届かない無線端末同士間での通信を実現するマルチホップ無線ネットワーク方式が提案されており、センサネットワークシステムへの適用が研究されている。このシステムは、災害時の被災状況の把握、建築物の劣化診断、住宅内の防犯・防火装置などの多種多様な分野への応用が考えられている。
一般的に、マルチホップ無線ネットワークにおいては、ネットワーク内の無線装置の数が増えるほど、同一の無線リソースが同時に使用される可能性が増え、衝突が多発することとなる。また、一般的に、センサネットワークシステムに使用される無線装置には、電池で駆動されるタイプが多い。したがって、上述したような衝突の発生の防止や、消費電力の増大を回避できるような、効率の良い中継処理の実現が望まれていた。
従来、送信元の無線端末からの中継回数に応じて、送信すべきタイミングを決定することによって、衝突の発生を抑制していた(たとえば、特許文献1参照)。また、周囲の端末装置間において、次回の送信開始タイミングと送信量とを事前に通知し合うことによって、効率的に間欠受信処理を実施していた(たとえば、特許文献2参照)。
特開2006−157637号公報
特開2007−174145号公報
しかしながら、送信信号の中に、次回の送信開始タイミング等を含める必要があるため、送信可能なデータ量が抑制されていた。本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信可能なデータ量に影響を与えずに、消費電力を低減できる技術を提供することにある。特に、中継経路が自在に変化する環境において、効率的に消費電力を低減できる。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線装置は、複数の無線装置のうちの基幹装置を根元として、複数の無線装置によってツリー状に形成されたマルチホップ無線ネットワークに含まれた無線装置であって、基幹装置に至るまでのホップ数を取得するホップ数取得部と、ホップ数取得部によって取得されたホップ数に応じて、複数のタイムスロットのうちのいずれかを特定するタイムスロット特定部と、タイムスロットを形成する複数のサブスロットのうちのいずれかのサブスロットであって、本無線装置を経由して基幹装置に至る別の無線装置に対して固有に設定されたサブスロットを取得するサブスロット取得部と、タイムスロット特定部において特定したタイムスロットと、サブスロット取得部において取得したサブスロットとの組み合わせによって、本無線装置を起床させるべき間欠受信タイミングをサブスロット単位で特定するタイミング特定部と、タイミング特定部によって特定された間欠受信タイミングにおいて、本無線装置を起床させ、間欠受信タイミング以外のタイミングにおいて、本無線装置の動作を停止する間欠制御部と、間欠制御部によって本無線装置を起床させている間に、別の無線装置についての信号を中継する中継部と、を備える。
この態様によると、ホップ数によって特定されたタイムスロットと、下位の無線装置に対して割り当てられたサブスロットとの組み合わせによって、本無線装置を起床させるべき間欠受信タイミングをサブスロット単位で特定することによって、起床しておくべき時間をサブスロット単位で制御することができる。このため、効率的な間欠受信が可能となり、消費電力を低減できる。
また、本発明の別の態様の無線装置は、複数の無線装置のうちの基幹装置を根元としてツリー状に形成されたマルチホップ無線ネットワークにおける複数の無線装置のうちのいずれかの無線装置であって、基幹装置に至るまでのホップ数を取得するホップ数取得部と、複数のタイムスロットによって形成されたフレームが連続しており、ホップ数取得部によって取得されたホップ数に応じて、各フレームにおいて通信を実行すべきタイムスロットを設定するタイムスロット設定部と、各フレームを形成する複数のタイムスロットのうち、タイムスロット設定部によって設定されたタイムスロットにおいては、本無線装置を起床させて、通信を実行する一方、タイムスロット設定部によって設定されたタイムスロット以外のタイムスロットにおいては、本無線装置の動作を停止する間欠処理部と、を備える。
この態様によると、ホップ数に応じて設定されたタイムスロットにて間欠受信を実行することによって、効率的に消費電力を低減できる。
タイムスロット設定部は、基幹装置に向けての上り通信を実行するための複数の上り通信用のタイムスロットを設定し、さらに、設定した上り通信用のタイムスロットの数よりも多くなるように、基幹装置から本無線装置への経路の延長上の無線装置に向けての下り通信を実行するための複数の下り通信用のタイムスロットを設定してもよい。
ここで、「基幹装置に向けての上り通信」とは、基幹装置に向けての送信処理や、他の無線装置から基幹装置への通信を中継する際の受信処理を含む。また、「基幹装置から本無線装置への経路の延長上の無線装置に向けての下り通信」とは、ツリー状のネットワークにおいて下層となる無線装置に対する送信処理や、基幹装置などのツリー状において上層となる無線装置から送信された中継パケットの受信処理を含む。また、「通信用のタイムスロット」は、送信用のタイムスロットと受信用のタイムスロットとを含む。
送信用のタイムスロットは1つのみ設定され、受信用のタイムスロットは送信用のタイムスロットの前後に複数設定されてもよい。下り送信用のタイムスロットの前に設定される下り受信用のタイムスロットは複数であってもよい。複数の下り受信用の第1のタイムスロットと、下り送信用の1つのタイムスロットと、下り受信用の第2のタイムスロットが連続するように設定されてもよい。下り受信用の第1のタイムスロットにおいて、無線装置は、上層の無線装置から送信されるホップ数が含まれた制御信号を受信してもよい。下り受信用の第2のタイムスロットにおいて、無線装置は、下層の無線装置からの受信応答を示す信号を受信してもよい。この場合、下り通信を実行するためのタイムスロットをより多く設定することによって、経路変更のための制御情報が受信しやすくなるため、ホップ数の変更を伴う経路変更の可能性を向上でき、効率的なネットワークを容易に形成できる。
タイムスロット設定部は、複数のフレームに1回の割合で、他の無線装置からホップ数を含む制御信号が報知されるように規定されている場合、制御信号が報知されるフレームにおいては、制御信号を受信すべき下り通信用のタイムスロットを上り通信用のタイムスロットよりも多く設定する一方、制御信号が報知されないフレームにおいては、下り通信用のタイムスロットと上り通信用のタイムスロットとを同じ数に設定してもよい。上り通信用のタイムスロットは、本無線装置に割り当てられた送信スロットと、その前後のスロットが設定され、それら3つのスロットのみ起床すればよい。この場合、上層の無線装置から制御信号が報知されるフレームにおいて、下り通信用のタイムスロットを上り通信用のタイムスロットよりも多く設定することによって、経路制御への影響を与えることなく、効率的に間欠受信が実行できる。
間欠処理部は、タイムスロット設定部において設定されたタイムスロットであっても、本無線装置が送信すべき他の無線装置への送信に対する応答信号が受信された後は、本無線装置の動作を強制的に停止させてもよい。本無線装置が送信すべき送信が複数存在する場合、間欠処理部は、それらに対応するすべての応答信号の受信を契機として、本無線装置の動作を停止する。この場合、他の無線装置への送信に対する応答信号が受信された後は、強制的に、本無線装置の動作を停止させることによって、通信の安定性を向上させながら、効率的に消費電力を低減できる。
ホップ数取得部によってホップ数が取得できなかった場合、間欠処理部は、本無線装置の起床状態を継続してもよい。「ホップ数が取得できなかった場合」とは、無線装置を起動した直後や、無線通信環境が悪化した場合や、ホップ数の変動を伴う経路変更が発生した直後などを含む。このような場合、間欠処理を行わずに常時起動状態となるように制御することによって、通信の安定性を向上できる。
本発明の別の態様もまた、無線装置である。この装置は、複数の無線装置のうちの基幹装置を根元として、複数の無線装置によってツリー状に形成されたマルチホップ無線ネットワークにおいて、基幹装置との通信を要求する無線装置と、基幹装置との間の経路に含まれた無線装置であって、基幹装置に至るまでのホップ数を取得する第1取得部と、第1取得部によって取得されたホップ数に応じて、複数のタイムスロットのうちのいずれかを特定する第1特定部と、基幹装置との通信を要求する無線装置に対して固有に規定されたサブスロットであって、タイムスロットを形成する複数のサブスロットのうちのいずれかを取得する第2取得部と、第2取得部において取得したサブスロットと、第1特定部において特定したタイムスロットとの組み合わせによって、送信タイミングを特定する第2特定部と、第2特定部において特定した送信タイミングにて、基幹装置との通信を要求する無線装置についての信号を送信する送信部と、を備える。
ここで、「ツリー状」とは、木構造を含み、たとえば、親と子の関係が1対多の関係を有する階層構造を含む。また、「ホップ数」とは、基幹装置に至るまでの中継回数を示し、たとえば、基幹装置と無線装置との間に存在する中継装置の台数に1を加えた値を示す。この態様によると、ホップ数に応じて割り当てられたタイムスロットと、基幹装置との通信を要求する無線装置に対して固有に規定されたサブスロットとの組み合わせによって、送信タイミングを決定することによって、衝突を回避できる。
第1特定部において特定したタイムスロットとは異なるタイムスロットと、第2取得部において取得したサブスロットとの組み合わせによって、受信タイミングを特定する第3特定部と、第3特定部において特定した受信タイミングにて、基幹装置との通信を要求する無線装置についての信号を受信する受信部とをさらに備えてもよい。送信部は、受信部によって受信した信号を中継してもよい。ここで、「異なるタイムスロット」は、第1特定部において特定したタイムスロットに従属して決定されてもよく、たとえば、第1特定部において特定したタイムスロットから1を減じたタイムスロットであってもよい。この場合、送信タイミングに関連して受信するタイミングが規定されるため、効率的に中継できる。
本発明の別の態様もまた、無線装置である。この装置は、複数の無線装置のうちの基幹装置を根元として、複数の無線装置によってツリー状に形成されたマルチホップ無線ネットワークにおいて、基幹装置との間で通信を実行する無線装置であって、基幹装置に至るまでのホップ数を取得する第1取得部と、第1取得部によって取得されたホップ数に応じて、複数のタイムスロットのうちのいずれかを特定する第1特定部と、当該無線装置に対して固有に規定されたサブスロットであって、タイムスロットを形成する複数のサブスロットのうちのいずれかを取得する第2取得部と、第2取得部において取得したサブスロットと、第1特定部において取得したタイムスロットとの組み合わせによって、送信タイミングを特定する第2特定部と、第2特定部において特定した送信タイミングにて、当該無線装置についての信号を送信する送信部と、を備える。この態様によると、当該無線装置において予め規定された固有のタイミングをもとに送信処理を実行することによって、衝突を回避できる。
送信タイミングを特定した後に、第1取得部によって新たにホップ数が取得された場合、第2取得部において新たにサブスロットを取得させることなく、第2特定部は、新たに取得されたホップ数と、第2取得部においてすでに取得されているサブスロットとにもとづいて、送信タイミングを再特定してもよい。この場合、ホップ数の変化により特定されるスロットが変化した場合であっても、サブスロットを割り当て直すことなく、送信タイミングを特定できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、無線装置の低消費電力化を実現できる。
本発明の実施形態を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施形態は、センサネットワークシステムに関する。センサネットワークシステムは、さまざまなセンサが無線で自律的に情報を伝達しあい、収集したデータからその場に適したサービスを提供するためのシステムである。このシステムは、災害時の被災状況の把握、建築物の劣化診断、住宅内の防犯・防火装置などの多種多様な分野への応用が考えられている。
一般的に、センサネットワークシステムにおいては、マルチホップ無線ネットワークが形成される。通常、マルチホップ無線ネットワークにおいては、ネットワーク内の無線装置の数が増えるほど、同一の無線リソースが同時に使用される可能性が増え、衝突が多発することとなる。
また、各々の無線装置は、センサとしての機能と、取得したセンサ情報を送信したり、他の無線装置から通知されたセンサ情報を基幹装置に中継するための通信機能とを有する。このように、マルチホップ無線ネットワークにおける無線装置においては、自己の通信だけでなく、他の無線装置から送信されたデータを中継する必要があるため、消費電力が増大する。
一般的に、センサネットワークシステムに使用される無線装置には、電池で駆動されるタイプが多い。したがって、上述したような衝突の発生の防止や、消費電力の増大を回避できるような、効率の良い中継処理の実現が望まれる。
したがって、本発明の実施形態においては、ネットワークを構成する無線装置ごとに、固有の送信タイミングを規定することによって、衝突を回避することとした。このような態様をとることによって、効率の良い中継処理を実現できる。詳細は後述する。
図1は、本発明の実施形態にかかるセンサネットワークシステム100の構成例を示す。センサネットワークシステム100は、基幹装置10と、無線装置20で代表される第1無線装置20a〜第5無線装置20eとを含む。基幹装置10はゲートノード(Gate Node)、それぞれの無線装置20はセンサノード(Sensor Node)である。図1においては、5台の無線装置20を示したが、それ以外の台数の無線装置20がネットワークシステムに参加していてもよい。また、基幹装置10は、図示しない他のネットワークと接続されてもよい。
基幹装置10は、たとえば、無線通信機能を有するコンピュータであってもよい。センサネットワークシステム100の経路の確立、制御や、各々の無線装置20から報告されるセンサ情報を管理する。基幹装置10は、複数の無線装置20との間における通信に先立って、無線装置20の無線ネットワークへの参加処理を実行し、経路を形成する。図1に示すセンサネットワークシステム100において、基幹装置10は、第1無線装置20aと第3無線装置20cとの間で経路を形成した状態となっている。
一方、第1無線装置20aと第3無線装置20c以外の第2無線装置20b、第4無線装置20d、第5無線装置20eは、基幹装置10との距離が遠く、基幹装置10と直接通信することができない。したがって、第2無線装置20bは、第1無線装置20aとの間の経路を形成し、第1無線装置20aを経由することによって、基幹装置10との間で通信を実行できるようになる。同様に、第4無線装置20dと第5無線装置20eは、第3無線装置20cをそれぞれ経由するように、経路が形成される。経路は、基幹装置10を根元として、ツリー状に階層関係が構成される。
以下においては、2つの無線装置20の間の直接的な経路において、基幹装置10に近いほうの無線装置20を親、上位、もしくは、上層と呼び、また、基幹装置10から遠いほうの無線装置20を子、下位、もしくは、下層と呼ぶ。たとえば、第1無線装置20aと第2無線装置20bにおいては、第1無線装置20aが上位となり、第2無線装置20bが下位となる。
また、ツリー状とは、親と子の関係が1対多の関係にあることを示す。いいかえると、基幹装置10から任意の無線装置20への経路は1以上存在し、逆に、任意の無線装置20から基幹装置10へ向かう上りの経路は1つのみ存在することとなる。このような態様により、上り通信においては、中継局数の増大による通信の爆発を回避できる。一方、上りの経路が1つのみとなるため、衝突などによる通信の失敗を極力回避しなければならないことになる。詳細は後述するが、本実施形態においては、個々の無線装置20に固有の送信タイミングを設定することによって、衝突による通信の失敗を防止している。
それぞれの無線装置20は、それぞれが有するセンサ機能によって、さまざまなセンサ情報を取得し、基幹装置10に報告する。このような報告処理に先立って、無線装置20は、まず、センサネットワークシステム100に参加するために、参加処理を実行する。参加処理において、無線装置20は、親子関係を形成すべき他の無線装置20を選択する。他の無線装置20ではなく、基幹装置10を選択してもよい。また、この選択は、基幹装置10との間に存在する他の無線装置20の数が最小になるように実施される。なお、以下においては、「基幹装置10との間に存在する他の無線装置20の数」に1を加えた値を「ホップ数」という。
ここで、センサネットワークシステム100におけるフレーム構成、および、スロットとサブスロットの関係について説明する。図2(a)は、図1のセンサネットワークシステム100におけるフレームフォーマット200の構成例を示す図である。図示するごとく、フレームフォーマット200においては、1スーパフレームはFsec(Fは整数)として規定されてもよい。また、スーパフレームは、時分割(TimeDivisionDuplex)され、1フレーム中の前半のmスロット(mは整数)が下り通信用として割り当てられ、後半のmスロットが上り通信用として割り当てられる。なお、下り通信用、上り通信用としてそれぞれ割り当てられるスロット数は、システムで許容する最大ホップ数によって決定されればよい。
図2(b)は、図2(a)のスロットのスロットフォーマット210の例を示す図である。また、スロットは、1からnまでのn個のサブスロット区間212と、予備区間214とを含む。サブスロット区間においては、データやハローパケットなどが送信される。なお、サブスロット区間212に存在するサブスロットの個数は、システムで許容するセンサノードの最大数によって決定されてもよい。データとは、それぞれのセンサノードに備えられたセンサによって測定されたセンサ情報が含まれる。ハローパケットは、経路を確立するための報知情報であって、報知元の無線装置20を示す識別情報や、基幹装置10から報知元の無線装置20までのホップ数などが含められる。
ここで、(1)参加処理、(2)間欠処理、(3)中継処理について具体的に説明する。図3は、図1のセンサネットワークシステム100の第2の構成例を示す図である。第2の構成例においては、基幹装置10は、第1無線装置20aと第3無線装置20cとの間で、それぞれ経路を形成している。また、第1無線装置20aは第2無線装置20bとの間で、また、第3無線装置20cは第5無線装置20eとの間でそれぞれ経路を形成している。以上の状況の下、第4無線装置20dがセンサネットワークシステム100に新たに参加する場合について説明する。
(1)参加処理
(1−1)送信スロットの特定
スロットは、図2(b)に図示するごとく複数のサブスロットより構成される。したがって、各々の無線装置20は、送信タイミングとして、スロットとサブスロットの双方を決定する必要がある。ここでは、送信スロットの特定について説明する。
(1−1)送信スロットの特定
スロットは、図2(b)に図示するごとく複数のサブスロットより構成される。したがって、各々の無線装置20は、送信タイミングとして、スロットとサブスロットの双方を決定する必要がある。ここでは、送信スロットの特定について説明する。
第4無線装置20dは、まず、基幹装置10、もしくは、すでにネットワークに参加している無線装置20から報知されたハローパケットを受信する。図示するごとく、第4無線装置20dは、第3無線装置20cから報知されたハローパケットCと第5無線装置20eから報知されたハローパケットEとをそれぞれ受信する。受信したそれぞれのハローパケットには、そのハローパケットの報知元の無線装置20を示す情報や、報知元の無線装置20におけるホップ数が含まれる。
前述したように、経路の形成は、基幹装置10との間に存在する他の無線装置20の数が少なくなるように実行される。ここで、ハローパケットCには、ホップ数として「1」が含まれており、ハローパケットEには、ホップ数として「2」が含まれている。したがって、第4無線装置20dは、取得したホップ数のうち、最小のホップ数「1」にかかるハローパケットを送信した第3無線装置20cを選択する。このように選択することによって、第4無線装置20dは、基幹装置10との間の中継回数を低減でき、通信の確実性を向上できる。以上の場合、第3無線装置20cを上位として経路が形成されるため、第4無線装置20dにおけるホップ数は、第3無線装置20cのホップ数に「1」を加えた「2」となる。
つぎに、第4無線装置20dは、選択したホップ数を用いて、自己の送信スロットを特定する。ここで、第4無線装置20dは、自己のホップ数「2」に応じて、たとえば、「2」に「1」を加えて、図2(a)の3スロット目を送信スロットとして特定する。このように、ホップ数に応じて送信スロットのタイミングを決定することによって、スムーズな通信が可能となる。
別の図を用いて、スロット割り当ての作用効果を示す。図4(a)は、本発明の実施形態にかかるスロット割当ての例を示す図である。ここでは、基幹装置10を根元として、最大ホップ数がmホップからなるマルチホップ無線ネットワークが形成されているものと仮定している。図4において、縦軸は、任意のフレームにおけるスロット番号を示す。横軸は、それぞれの無線装置20におけるホップ数を示す。なお、1ホップ目は、図3の基幹装置10から無線装置20へのホップに対応し、2ホップ目以上においては、図3の無線装置20同士のホップに対応する。なお、図4においては、基幹装置10や無線装置20の図示を省略している。
タイムスロット1からmにおいては、1ホップ目の基幹装置10を起点として、2ホップ目の無線装置20に下り信号を送信し、3ホップ目の無線装置20、4ホップ目の無線装置20の順で中継され、mホップ目の無線装置20までデータが伝わる様子を示している。ここで、下り信号は、ハローパケットなどを含む。ハローパケットには、たとえば、経路を確立するための情報や、個々の無線装置20に割り当てられるべきサブスロット番号などが含まれる。
タイムスロット(m+1)から2mにおいては、mホップ目の無線装置20を起点として、上り信号が(m−1)ホップ目の無線装置20に送信され、順に中継されて、基幹装置10まで伝わる様子を示している。上り信号には、モニタデータ、経路情報などや、サブスロット割当要求などの信号が含まれる。
図示するごとく、それぞれの無線装置20の下り送信スロットのタイミングは、下層にいくにつれて、1スロットずつずれていく。そのため、下り信号が滞ることなく、mホップ目の無線装置20まで到達している。上り送信についても同様である。このような態様により、いずれの無線装置20においても、中継データを余分に長く保持する必要がないため、消費電力を低減できる。また、保有バッファ量を低減できるため、小型化を促進できる。
なお、図4のように、上り送信と下り送信とでスロットを異ならせる場合、一方を他方に従属させて特定してもよい。たとえば、前述した例の場合、第4無線装置20dは、送信スロットとして3スロット目を特定している。この場合、上りスロットとして、(2m−2)スロット目を特定してもよい。「(2m−2)」という値は、図2(a)に示す1フレームあたりのスロット数の「2m」から、ホップ数「2」を引くことによって得られる値である。
(1−2)サブスロットの割り当て
図3に戻る。サブスロットの割り当てにおいて、基幹装置10は、無線装置20ごとに、固有の値を設定する。サブスロット番号を無線装置20に固有の値とすることで、同一ネットワーク内における衝突を完全に防止できる。また、無線装置20が移動し同一ネットワーク上の他の経路に切り替わる場合においても、そのサブスロット番号を継続して使用できる。
図3に戻る。サブスロットの割り当てにおいて、基幹装置10は、無線装置20ごとに、固有の値を設定する。サブスロット番号を無線装置20に固有の値とすることで、同一ネットワーク内における衝突を完全に防止できる。また、無線装置20が移動し同一ネットワーク上の他の経路に切り替わる場合においても、そのサブスロット番号を継続して使用できる。
具体的に説明する。スロットの割り当ての後、第4無線装置20dは、第3無線装置20cを介して、基幹装置10との間で通信を実行できることとなる。ここで、第4無線装置20dは、固有のサブスロット番号を基幹装置10に要求する。基幹装置10は、要求に応じて、第4無線装置20dに対して固有のサブスロット番号、たとえば、Xを割り当てる。第4無線装置20dは、割り当てられたサブスロット番号Xを記憶する。以後、第4無線装置20dは、3スロット目のXのサブスロットにおいて、送信処理を実行することとなる。参加処理が完了した後、第4無線装置20dは、定期的に、ハローパケットを報知する。このハローパケットには、自己の識別情報や、自己のホップ数である2が含められる。また、第4無線装置20dは、自己の送信処理や、他の無線装置20から送信された信号の中継処理を実行する。
(2)間欠処理
(1)の参加処理を完了した後、無線装置20は、間欠処理を実行する。なお、スロットが特定されてない場合は、常時、送受信処理が実行可能な状態となる。「スロットが特定されてない場合」とは、ホップ数を正確に受信できなかった場合を含み、また、無線装置を起動した直後や、無線通信環境が悪化した場合や、ホップ数の変動を伴う経路変更が発生した直後などを含む。以下においては、スロットが特定されたものと仮定して説明する。間欠処理は、停止状態と起床状態とを含む。停止状態とは、維持すべきデータを保持しつつ本無線装置20の動作を停止することを含む。また、起床状態とは、送受信等の処理が実行可能な状態を含む。停止状態と起床状態とは、1フレームにつき、少なくとも2回ずつ切り替えられる。具体的には、(1−1)で特定した上り送信スロットと下り送信スロットとのそれぞれに応じて、スロット単位で切り替えられる。図2(a)に示すごとく、1フレームは、下り通信処理のためのスロットと上り通信処理のためのスロットとから構成されるため、下り通信処理と上り通信処理を実行する時間帯においては起床状態となり、他の時間帯は、停止状態となるように制御される。
(1)の参加処理を完了した後、無線装置20は、間欠処理を実行する。なお、スロットが特定されてない場合は、常時、送受信処理が実行可能な状態となる。「スロットが特定されてない場合」とは、ホップ数を正確に受信できなかった場合を含み、また、無線装置を起動した直後や、無線通信環境が悪化した場合や、ホップ数の変動を伴う経路変更が発生した直後などを含む。以下においては、スロットが特定されたものと仮定して説明する。間欠処理は、停止状態と起床状態とを含む。停止状態とは、維持すべきデータを保持しつつ本無線装置20の動作を停止することを含む。また、起床状態とは、送受信等の処理が実行可能な状態を含む。停止状態と起床状態とは、1フレームにつき、少なくとも2回ずつ切り替えられる。具体的には、(1−1)で特定した上り送信スロットと下り送信スロットとのそれぞれに応じて、スロット単位で切り替えられる。図2(a)に示すごとく、1フレームは、下り通信処理のためのスロットと上り通信処理のためのスロットとから構成されるため、下り通信処理と上り通信処理を実行する時間帯においては起床状態となり、他の時間帯は、停止状態となるように制御される。
図を用いて具体的に説明する。図4(b)は、本発明の実施形態にかかる間欠処理の例を示す図である。この間欠処理の例は、スロット番号欄300と状態欄310と処理欄320と下り処理対象欄330と上り処理対象欄340とを含む。スロット番号欄300は、スロット番号を示す。なお、ホップ数に応じて特定された下り送信スロット番号、もしくは、上り送信スロット番号をkとしている。下り送信、上り送信の別は、本図に示される間欠処理が下り通信の間欠処理か上り通信の間欠処理かで区別される。下り通信の間欠処理は、図2(a)の下りのスロット区間において実施される間欠処理を示す。また、上り通信の間欠処理は、図2(a)の上りのスロット区間において実施される間欠処理を示す。また、jは、正の整数として設定されるパラメータである。状態欄310は、停止状態と起床状態を含む。処理欄320は、受信処理と、送信処理と、Ack(Acknowledge)待機処理とを含む。Ack待機処理については後述する。下り処理対象欄330は、本図が下り通信の間欠処理を示す場合における処理対象を示す。また、上り処理対象欄340は、本図が上り通信の間欠処理を示す場合における処理対象を示す。
図示するごとく、スロット番号が(k−j−2)以下である場合、無線装置20は、停止状態となる。このとき、処理欄320に示されるように、無線装置20は、処理を停止した状態となる。したがって、下り処理対象欄330、上り処理対象欄340に示される処理対象は、共に「なし」となる。そのため、待機電力等の微小な電力を除き、無駄な電力が消費されることはない。なお、jは、上り通信の場合は0が設定され、下り通信の場合は0以上の整数が設定される。jの具体的な値については後述する。また、以下においては、説明の便宜上、下り通信の間欠処理と上り通信の間欠処理とに分けて説明する。
<下り通信の間欠処理>
スロット番号が(k−j−1)において、無線装置20は、停止状態から起床状態に状態変移する。ここで、スロット番号が(k−j−1)から(k−1)の間にあるとき、下り処理対象欄330に示すように、無線装置20は、ハローパケットを受信可能な状態となる。このハローパケットは、すでに確立した経路における上層の無線装置20から報知されたものや、他の経路の無線装置20から報知されたものを含む。
スロット番号が(k−j−1)において、無線装置20は、停止状態から起床状態に状態変移する。ここで、スロット番号が(k−j−1)から(k−1)の間にあるとき、下り処理対象欄330に示すように、無線装置20は、ハローパケットを受信可能な状態となる。このハローパケットは、すでに確立した経路における上層の無線装置20から報知されたものや、他の経路の無線装置20から報知されたものを含む。
ここで、ハローパケットを受信したタイムスロットの番号を用いて、そのハローパケットの報知元の無線装置20におけるホップ数を推定できる。なぜなら、報知元の無線装置20においても、前述の(1−1)にしたがって、ホップ数により、送信スロットが規定されるためである。具体的に説明する。たとえば、スロット番号が(k−1)において受信するハローパケットは、本無線装置20のホップ数よりも1つ少ないホップ数を有する無線装置20から報知されたものとなる。このときの無線装置20は、すでに形成された経路上の上層の無線装置20である場合もあるし、他の経路における無線装置20である場合もある。
また、スロット番号が(k−2)以前のスロットにおいて、ハローパケットを受信することは、現状の経路のホップ数よりも小さいホップ数が含まれたハローパケットを他の経路の無線装置20から受信することを意味する。このような場合、無線装置20は、経路切り替えの処理を実行する。ホップ数が小さい無線装置20との間で通信を確立することによって、基幹装置10との中継回数を低減でき、通信を安定できるからである。
つまり、jの値が大きく設定されているほど、より上層の無線装置20、すなわち、よりホップ数の小さい無線装置20からのハローパケットを受信できることとなる。一方、jが0に設定されている場合、1つ上層の無線装置20からのハローパケットしか受信できないこととなる。すなわち、jを大きな値に設定することによって、経路切り替えの際のホップ数を変化させることができる。実際のシステムにおいては、経路切り替えの際のホップ数の変化の許容範囲が決定され、この許容範囲を満たすように、jが設定されることとなる。
なお、jは、ハローパケットの受信に関して意味を持つパラメータであるため、ハローパケットが送信されないフレームにおいてはjを0に設定し、ハローパケットが送信されるフレームのみ、jを1以上に設定してもよい。たとえば、ハローパケットがNフレームおきに送信されるように規定されている場合、通常はjを0に設定し、ハローパケットの送信フレームに同期するように、Nフレームに1回の割合でjの値を1以上に変更すればよい。このように制御することによって、より効率的に起床時間を短縮できるため、消費電力をより低減できる。
つぎに、スロット番号が(k−1)のタイミングで、下り処理対象欄330に示すように、1つ上層の無線装置20からの中継パケットを受信する。さらに、つぎのスロットのkのタイミングで、受信した中継パケットや自己の送信パケットに対しての送信処理や、ハローパケットの報知処理などを実行する。これらの処理の詳細については、後述する。
スロット番号が(k+1)においては、Ack待機処理を実行する。Ack待機処理とは、スロット番号がkのときに送信した信号を受信した無線装置20からのAck信号を受信した後は、スロットの途中であっても、起床状態から停止状態に遷移することを含む。なお、スロット番号が(k+1)において、Ack信号を受信しなかったときも同様に、起床状態から停止状態に遷移する。ホップ数に応じて送信タイミングが規定されているため、(k+2)以上のタイミングにおいては、1つ下層の無線装置20からAck信号が送信されることはないからである。
<上り通信の間欠処理>
上り通信の間欠処理においては、jは0に固定され、下り通信の間欠処理のように0以外の値に設定されることはない。それ以外の点については、上り処理対象欄340と下り処理対象欄330に示すごとく、下り通信における間欠処理と同等となる。したがって、(k−2)以前および(k+2)以降は停止状態となり、他は起床状態となる。また、(k−1)においては、下層の無線装置20からの中継パケットを受信し、上り送信スロットタイミングであるkにおいて上層の無線装置20に向けて送信し、(k+1)においてAck待機処理を実行する。
上り通信の間欠処理においては、jは0に固定され、下り通信の間欠処理のように0以外の値に設定されることはない。それ以外の点については、上り処理対象欄340と下り処理対象欄330に示すごとく、下り通信における間欠処理と同等となる。したがって、(k−2)以前および(k+2)以降は停止状態となり、他は起床状態となる。また、(k−1)においては、下層の無線装置20からの中継パケットを受信し、上り送信スロットタイミングであるkにおいて上層の無線装置20に向けて送信し、(k+1)においてAck待機処理を実行する。
(3)中継処理
次に、中継処理について説明する。中継処理は、(2)の間欠処理における起床状態であって、かつ、(1)の参加処理時において特定したスロットにおいて実行される。しかし、サブスロット番号は、(1−2)において自己に割り当てたサブスロット番号ではなく、基幹装置10との通信を要求する無線装置20に割り当てられたサブスロット番号を用いる。基幹装置10との通信を要求する無線装置20とは、送信するデータを生成し、そのデータを基幹装置10に向けて送信をした無線装置20を示す。以後、説明の便宜上、このような無線装置20を起点無線装置と呼ぶ。
次に、中継処理について説明する。中継処理は、(2)の間欠処理における起床状態であって、かつ、(1)の参加処理時において特定したスロットにおいて実行される。しかし、サブスロット番号は、(1−2)において自己に割り当てたサブスロット番号ではなく、基幹装置10との通信を要求する無線装置20に割り当てられたサブスロット番号を用いる。基幹装置10との通信を要求する無線装置20とは、送信するデータを生成し、そのデータを基幹装置10に向けて送信をした無線装置20を示す。以後、説明の便宜上、このような無線装置20を起点無線装置と呼ぶ。
中継処理の例について、図を用いて説明する。図5は、図1のセンサネットワークシステム100における送信タイミングの例を模式的に示す図である。図5においては、図1に示したセンサネットワークシステム100において、個々の無線装置20における送信タイミングの関係を示している。また、図5においては、第2無線装置20bと第4無線装置20dとが、それぞれ起点無線装置となる。ここで、第2無線装置20bには、固有のサブスロット番号として、Xが割り当てられていると仮定する。また、第4無線装置20dには、固有のサブスロット番号として、Yが割り当てられていると仮定する。また、第2無線装置20bと第4無線装置20dにおいては、(2m−2)スロット目が上りスロットとして特定され、第1無線装置20aと第3無線装置20cにおいては、(2m−1)スロット目が上りスロットとして特定されているものとする。なお、それぞれの無線装置20における受信タイミングは、図示を省略している。
この場合、第2無線装置20bが基幹装置10に対して上りデータを送信する場合、第2無線装置20bは、(2m−2)スロット目のXのタイミングで第1無線装置20aに送信する。第2無線装置20bからの上り信号を受信した第1無線装置20aは、自己の送信スロットタイミングである(2m−1)スロット目において、起点無線装置である第2無線装置20bのサブスロット番号であるXのタイミングで基幹装置10に中継する。
同様に、第4無線装置20dは、(2m−2)スロット目のYのタイミングで第3無線装置20cに送信する。第3無線装置20cは、(2m−1)スロット目のYのタイミングで基幹装置10に送信する。
このように、第1無線装置20a〜第4無線装置20dにおいて、同一のフレームにおいて複数の送信処理が実行されているが、それぞれの送信タイミングがずれているために、互いに衝突することはない。なお、第1無線装置20aは、起点無線装置である第2無線装置20bのサブスロットを知っているものとする。第1無線装置20aは、第2無線装置20bがセンサネットワークシステム100に参加した後、第1無線装置20aに対して最初にデータを送信した際に、サブスロットを通知されてもよい。また、第1無線装置20aは、第2無線装置20bに割り当てるべきサブスロット番号を中継する際に、そのサブスロット番号を読み取ってもよい。
図6は、図1のセンサネットワークシステム100の無線装置20の構成例を示す図である。無線装置20は、受信部22と、解析部24と、タイミング割当部26と、記憶部28と、タイミング設定部30と、送信制御部32と、送信部34と、センサ36とを含む。以下においては、参加処理時、および、自己のセンサ36による測定結果についての送信処理、他の無線装置20による送信データの中継処理のそれぞれの場合に分けて説明する。
まず、参加処理時の場合について説明する。参加処理時において、受信部22は、基幹装置10または他の無線装置20から報知されたハローパケットを受信する。解析部24は、ハローパケットを受信部22から受け取った場合、ハローパケットから、ホップ数と報知元の無線装置20を示す識別情報を読み取ってタイミング割当部26に通知する。その後、一定期間の間に受信されるハローパケットについても、同様にホップ数を通知する。
タイミング割当部26は、解析部24から通知されたホップ数のうち、最小のホップ数を検索する。つぎに、タイミング割当部26は、「検索したホップ数を含むハローパケットを報知した無線装置20の識別情報」を記憶部28に記憶する。さらに、タイミング割当部26は、検索したホップ数に1を加えた値を自己の下り送信スロットの番号として特定し、記憶部28に記録してもよい。また、タイミング割当部26は、1フレーム中のスロット数から、下り送信スロットの番号を引いた値を上り送信スロットの番号として、記憶部28に記録してもよい。
タイミング割当部26は、ホップ数に応じて特定した下り送信スロット番号、上り送信スロット番号をもとに、間欠処理を行う。間欠処理は、送信処理もしくは受信処理を実行すべき少なくとも1スロット以上の間の起動状態と、他のスロットにおける停止状態との2つの状態を管理することによって実施される。また、間欠処理は、1フレーム中において、図2(a)で示された上りスロット区間において上り通信の間欠処理が実施され、また、下りスロット区間において下り通信の間欠処理が実施される。具体的には、まず、前述のごとく、下り通信と上り通信のそれぞれについて、送信スロットの番号kが決定される。ついで、図4(b)に示すごとく、送信スロットの番号kを含む前後の区間において起床状態となり、他の区間において停止状態となるように、状態遷移を管理することによって、間欠処理が実施される。
タイミング割当部26は、停止状態においては、タイムスロットを管理するタイマ以外に対しての電力の供給を停止する。停止状態から起床状態になる場合、タイミング割当部26は、送受信処理が可能となるように、すべての機能に対して電力の供給を開始する。また、タイミング割当部26は、図4(b)のように、(k+1)のタイミングでAck待機処理を実行する。ここで、起床状態から停止状態になる場合、保護すべきデータやパラメータをメモリなどに待避した後に、電力の供給を停止する。
図2(a)で示す下りスロット区間における下り通信の間欠処理は、上りスロット区間における間欠処理と異なり、起床状態に入るスロットが相対的に早くなる。具体的には、図4(b)で示したように「j」で示すパラメータにより、そのタイミングが設定される。jは、フレームごとに設定されるパラメータであり、下り通信の間欠処理においては0以上の整数が設定され、上り通信の間欠処理においては0が固定的に設定される。
下り通信の間欠処理においては、上層の無線装置20からハローパケットが送信されるフレームにおいては1以上の値が設定され、他のフレームにおいては0に設定される。ここで、jが1以上に設定されているときは、2階層以上上層の無線装置20から報知されたハローパケットを受信できる可能性がある。そのような無線装置20から報知されたハローパケットには、現状の経路におけるホップ数よりも小さな値を示すホップ数が含まれていることとなる。このような場合、無線装置20は、そのハローパケットを送信した無線装置20との間で接続処理を実行する。この接続処理は、参加処理において実行した接続処理と同等であるため、説明を省略する。また、起床状態における送信処理や中継処理についての詳細は後述する。すなわち、以下の説明は、起床状態における動作の説明となる。
つぎに、タイミング割当部26は、送信制御部32に対して、自己のサブスロット番号の割り当てを要求させる。また、タイミング割当部26は、サブスロット番号の割当要求の送信タイミングとして、タイミング設定部30に対して、設定した上り送信スロット番号と、所定のサブスロット番号とを通知する。この段階においては、まだ、固有のサブスロット番号を割り当てられていないため、所定のサブスロット番号は、他の無線装置20に割り当てられていないサブスロット番号が設定される。通信妨害を防止するためである。
なお、センサネットワークシステム100において、いずれの無線装置20に対しても割り当てられることのないサブスロット番号(以下、「臨時サブスロット番号」と表記する。)を予め複数用意し、任意の無線装置20における割当要求、もしくは、その中継の際に、用意した臨時サブスロット番号のいずれかを使用させるようにしてもよい。このような態様は、基幹装置10において、いずれの無線装置20に対しても、臨時サブスロット番号を割り当てることが禁止され、センサネットワークシステム100に参加している無線装置20において、臨時サブスロット番号が認識されることによって実現される。このような態様をとることによって、システム内の既存の無線装置20に対する通信妨害を防止できる。
送信制御部32は、タイミング割当部26からの指示にしたがって、送信部34を介して、サブスロット番号の割当要求を基幹装置10に向けて送信する。ここで、タイミング割当部26において検索されたホップ数が2以上の場合、当該無線装置20と基幹装置10との間に他の無線装置20が存在するため、宛先は、他の無線装置20となる。なお、他の無線装置20は、記憶部28に記憶された「検索したホップ数を含むハローパケットを報知した無線装置20の識別情報」によって識別される。
割当要求後、受信部22は、自己の無線装置20に割り当てられたサブスロット番号を受信する。なお、一定期間を経過しても受信できなかった場合、割当要求を再送してもよい。解析部24は、自己の無線装置20に固有に割り当てられたサブスロット番号を受信部22から通知された場合、タイミング割当部26に転送し、記憶部28に記憶させる。
タイミング設定部30は、通知されたタイミングに従って、送信部34、または、受信部22を制御する。通知されるタイミングは、上り送信スロット番号と、サブスロット番号である。タイミング設定部30は、通知された上り送信スロット番号から、下り送信スロット番号を導出する。また、タイミング設定部30は、上り送信スロット番号、下り送信スロット番号から、1を引くことによって、上り受信スロット番号、下り受信スロット番号をそれぞれ導出する。なお、タイミング設定部30は、上り/下り送信スロット番号、上り/下り受信スロット番号の全てを通知されてもよい。なお、このタイミング設定部30の処理は、参加処理、送信処理、中継処理にかかわらず、共通の処理となる。
つぎに、送信処理時の場合について説明する。ここでの送信処理とは、自己の無線装置20が主体的に送信する場合の送信処理を指す。上り送信処理においては、センサ36からの送信要求を契機として、開始される。センサ36は、温度や湿度などのセンサデータを観測し、定期的に、送信制御部32に対して、観測したセンサデータの送信を要求する。タイミング割当部26は、タイミング設定部30に対し、特定した送信スロット番号と、当該無線装置20に固有に割り当てられたサブスロット番号とを通知して、タイミングを設定させる。送信制御部32は、送信すべきデータを送信部34を介して、基幹装置10に向けて送信する。
下り送信処理においては、タイミング割当部26は、タイミング設定部30に対し、特定した下り送信スロット番号と、自己のサブスロット番号とを通知する。また、送信制御部32は、自己の識別番号やホップ数を含ませたハローパケットを送信部34に報知させる。
つぎに、中継処理時の場合について説明する。まず、上り中継処理について説明する。まず、受信部22は、1つ下の層の無線装置20から中継すべきデータを受信して、解析部24に通知する。ここでの中継すべきデータは、たとえば、起点無線装置において観測されたセンサ情報やサブスロット割当要求信号などである。解析部24は、中継すべきデータから、起点無線装置を割り出して、データと共にタイミング割当部26に通知する。
中継すべき上りデータがサブスロット割当要求である場合、起点無線装置においてサブスロットは未割当のため、タイミング割当部26は、臨時サブスロット番号をタイミング設定部30に通知する。他の無線装置20への干渉を低減するためである。また、図2(b)のサブスロット区間212に示す複数のサブスロットにおいて、サブスロット割当要求のための専用のサブスロットを予め規定しておき、そのサブスロットを用いてもよい。
一方、中継すべき上りデータがサブスロット割当要求以外の情報、たとえば、センサ情報である場合、タイミング割当部26は、記憶部28から、起点無線装置に対応付けて記憶されているサブスロット番号を読み出して、タイミング設定部30に通知する。ここで、タイミング割当部26は、解析部24から通知された中継すべきデータを送信制御部32に転送する。送信制御部32は、転送されたデータを送信部34に送信させる。
つぎに、下り中継処理について説明する。まず、受信部22は、1つ上の層の無線装置20から中継すべきデータを受信して、解析部24に通知する。ここでの中継すべきデータは、たとえば、起点無線装置に割り当てられるべきサブスロット番号である。
タイミング割当部26は、中継すべきサブスロット番号と、そのサブスロット番号が割り当てられる起点無線装置を示す識別番号とを対応づけて、記憶部28に記憶する。すなわち、上位の無線装置20は、下位における1以上の無線装置20のサブスロット番号を管理することとなる。
また、タイミング割当部26は、タイミング設定部30に、下り送信スロット番号と、中継すべきサブスロット番号そのものを中継時のサブスロット番号として通知する。衝突を防止するためである。送信制御部32は、送信部34を介して、サブスロット番号を要求した起点無線装置に向けて、起点無線装置に割り当てられるべきサブスロット番号を中継する。
また、上り送信/下り送信において、任意の無線装置20における受信タイミングは、自己の送信タイミングの1スロット前となる。いいかえると、自己の送信タイミングを基準に、受信タイミングが規定されるため、タイミング管理が容易となる。
上述したこれらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図7は、図1のセンサネットワークシステム100における動作シーケンスの例を示す図である。この動作シーケンスの例は、図3を用いて説明した例に基づいている。すなわち、第3無線装置20cと第5無線装置20eは、すでに、基幹装置10を根元とするセンサネットワークシステム100に参加しているものとする。なお、以下においては、第4無線装置20dにおいて受信されるハローパケット以外のハローパケットについては、図示を省略している。
まず、第3無線装置20cは、ハローパケットを報知する(S10)。このハローパケットには、「ホップ数=1」を示す情報が含まれているものとする。第5無線装置20eは、ハローパケットを報知する(S12)。このハローパケットには、「ホップ数=2」を示す情報が含まれているものとする。第4無線装置20dは、第3無線装置20cと第5無線装置20eから報知されたハローパケットをそれぞれ受信する。
第4無線装置20dは、受信したそれぞれのハローパケットに含まれるホップ数のうち、最小のホップ数を検索する(S14)。ここでは、「ホップ数=1」が最小となる。つぎに、第4無線装置20dは、検索した最小ホップ数に1を加えて、自己のホップ数を2と設定する。さらに、自己のホップ数にしたがって、上り送信スロットを特定する(S18)。
ここで、第4無線装置20dは、特定した送信スロットのタイミングで、基幹装置10に対して、サブスロット番号の割り当てを要求する(S20)。この要求は、第3無線装置20cにおいて受信される。ここで、第3無線装置20cは、自己の上り送信スロットを設定して(S22)、基幹装置10に割当要求に係る信号を中継する(S24)。S20の送信処理とS24の中継処理とにおいて使用されるサブスロット番号は、基幹装置10が割り当てることのない臨時サブスロット番号が用いられる。このため、これらの処理は、既存の無線装置20における中継処理に干渉することはない。基幹装置10は、第3無線装置20cによって中継された割当要求を受信したことを契機として、第4無線装置20dに対して、固有のサブスロット番号を割り当てる(S26)。
基幹装置10は、割り当てたサブスロット番号を送信するために、自己の下り送信スロットを設定して(S28)、第3無線装置20cに対して、サブスロット番号を通知する(S30)。第3無線装置20cは、受信したサブスロット番号を送信するために、自己の下り送信スロットを設定して(S32)、第4無線装置20dに対して、サブスロット番号を中継する(S34)。第3無線装置20cは、中継の際に、第4無線装置20dのサブスロット番号と、第4無線装置20dを示す情報とを対応づけて記憶してもよい。第4無線装置20dは、第3無線装置20cから受信したサブスロット番号を記憶する(S36)。
図8は、図5の無線装置20における参加処理時の動作例を示すフローチャートである。この処理は、無線装置20の電源がオンされた場合や、経路が切断され、新たに経路を確立する場合に開始されてもよい。
まず、無線装置20は、他の無線装置20から報知されたハローパケットを受信する(S50)。ハローパケットの受信は、所定時間が経過するまで、繰り返される(S52のN)。所定時間を経過した場合(S52のY)、無線装置20は、受信したハローパケットに含まれるホップ数のうち、最小のホップ数を検索する(S54)。つぎに、無線装置20は、検索したホップ数に1を加えて、自己の送信スロットを特定する(S56)。送信スロットが特定できた場合(S57のY)、S58の処理に移行する。一方、送信スロットが特定できなかった場合(S57のN)、S50の処理に戻る。
ここで、無線装置20は、割り当てた送信スロットで、サブスロット番号の割り当てを基幹装置10に要求する(S58)。この送信処理において使用されるサブスロット番号は、基幹装置10が割り当てることのない臨時サブスロット番号が用いられる。このため、既存の無線装置20における中継処理に干渉することはない。ここで、所定時間経過してもサブスロット番号を受信できなかった場合(S60のN)、受信できるまで、S58の処理を繰り返す。サブスロット番号を受信した場合(S60のY)、無線装置20は、受信したサブスロット番号を記憶する(S62)。
図9は、図5の無線装置20における中継処理時の動作例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図8に示した参加処理が完了した後に実施される処理である。この処理は、送信すべきデータが発生した場合や、他の無線装置20からの中継すべきデータを受信したことを契機として開始されてもよい。
まず、無線装置20は、他の無線装置20のための中継処理、あるいは、自己の無線装置20のための送信処理のいずれであるかを判定する(S80)。中継処理である場合(S80のY)、無線装置20は、起点無線装置のサブスロット番号を読み出して、タイミングの設定をする(S82)。中継データがサブスロット番号の割り当て要求の場合、任意のサブスロット番号を設定する。一方、中継処理でない場合(S80のN)、無線装置20は、自己に割り当てられた固有のサブスロット番号を送信タイミングとして設定する(S84)。
つぎに、無線装置20は、上り送信か下り送信かを判定する(S86)。上り送信である場合(S86のY)、無線装置20は、記憶されている上り送信スロット番号を読み出して、タイミングの設定をする(S88)。下り送信である場合(S86のN)、下り送信スロット番号を読み出して、タイミングの設定をする(S90)。タイミングの設定後、無線装置20は、送信処理を実行する。
図10は、図5の無線装置20における間欠処理の動作例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図8に示した参加処理が完了した後に実施される処理である。また、この処理は、下り通信の間欠処理を示す。また、この処理は、フレームの先頭で開始されてもよい。また、jは0以上の整数として設定される。
まず、無線装置20は、スロットの番号を管理するタイマstを0に設定する(S104)。ここで、タイマstが(k−j−1)よりも小さい場合、すなわち、まだ起床すべきない場合(S106のN)、無線装置20は、停止状態を継続し、以後、起床すべきスロットになるまで、S108の処理を繰り返す。
S108においては、タイマstを1つ進めるとともに、つぎのタイムスロットの先頭まで待機処理を実行する(S109)。ここで、タイマstが(k−j−1)以上になった場合、すなわち、起床すべき場合(S106のY)、無線装置20は、停止状態から起床状態に状態変移する。起床後は、タイマstに応じて処理を実行する(S110)。
タイマstが(k−j−1)以上k未満の場合(S110のcase1)、無線装置20は、上層の無線装置20から報知されたハローパケットを受信可能な状態となる。ここで、ハローパケットを受信した場合(S112のY)であって、かつ、受信したハローパケットに含まれたホップ数が、現状の経路におけるホップ数よりも小さな値を示す場合(S114のY)、無線装置20は、kを再設定する(S116)。無線装置20は、kの再設定とともに、より小さいホップ数となるべく、そのホップ数を含むハローパケットを報知した無線装置20との間で接続処理を実行し、現状の経路を切り替える。その後、無線装置20は、S108の処理に移行する。
一方、ハローパケットを受信しなかった場合(S112のN)や、受信したハローパケットに含まれたホップ数が現状の経路におけるホップ数以上である場合(S114のN)、kを変更することなく、S108の処理に移行する。なお、タイマstが(k−1)の場合、無線装置20は、ハローパケットの他に、上層の無線装置20から送信された中継パケットを受信する。
タイマstがkの場合(S110のcase2)であって、上層の無線装置20から送信された中継パケットや送信すべき無線パケット、あるいは、報知すべきハローパケットなどの送信対象が存在する場合(S118のY)、無線装置20は、すべての送信対象に対して、送信処理を実行して(S120)、S108の処理に移行する。一方、送信対象が存在しない場合(S118のN)も、S108の処理に移行する。
タイマstがkより大きい場合(S110のcase3)であって、かつ、S120におけるすべての送信対象の送信に対するすべてのAck信号を受信した場合(S122のY)、無線装置20は、起床状態から停止状態に状態遷移する(S126)。一方、Ack信号を受信していない場合(S122のN)、受信するまでAck信号を待つ(S124のN)。Ack信号を受信する前に、タイマstにかかるタイムスロットが終了した場合(S124のY)、S126の処理に移行して、停止状態に強制的に状態遷移する。
本実施形態によれば、ホップ数に応じて割り当てられたスロットを形成する複数のサブスロットのうち、基幹装置10との通信を要求する無線装置20に対して割り当てられたサブスロット番号示されたサブスロットにおいて、送信処理を実行することによって、衝突を回避できる。基幹装置10との間に存在する他の無線装置20の数が少なくなるように経路を選択することによって、中継回数を低減でき、通信の確実性を向上できる。
自己の送信タイミングを基準に、受信タイミングを規定できるため、間欠受信等の制御を効果的に実行できる。また、ホップ数に応じて特定されたタイムスロットにしたがって間欠受信を実行することによって、消費電力を低減できる。また、制御信号を受信すべき下り通信を実行するための期間を上り通信のための期間よりも長く設定することによって、経路変更のための制御情報が受信しやすくなり、効率的なネットワークを容易に形成できる。また、上層の無線装置20から制御信号が送信されるフレームにおいて、上りの間欠処理の起床期間を下りの間欠処理の起床期間よりも長く設定することによって、効率的に間欠受信が実行できる。他の無線装置20への送信に対する応答信号が受信された後に、通信実行部の動作を停止させることによって、通信の安定性を向上できる。制御信号のない時間帯ではデータパケットのみが送受信の対象となるので、自己のホップ数に対応するタイムスロットの前後のみにおいて起床すればよい。
つぎに、本実施形態の変形例について示す。なお、前述した実施形態と共通する部分については同一の符号を付して説明を簡略化する。本変形例は、前述の実施形態と同様に、センサネットワークシステムに関する。前述の実施形態との相違点は、間欠制御における制御間隔である。詳細は後述するが、前述の実施形態ではスロット単位にて起床/停止していたのに対し、本変形例においては、スロット単位より細かい単位であるサブスロット単位で起床し、また、停止(以下、「スリープ」ともいう)する。
図11は、本変形例にかかるセンサネットワークシステム110の構成例を示す図である。センサネットワークシステム110は、基幹装置10と、無線装置20で代表される第1無線装置20aと第2無線装置20bと第3無線装置20cとを含む。センサネットワークシステム110においては、基幹装置10を根元として、まず、第1無線装置20aが接続され、ついで、第2無線装置20b、第3無線装置20cが順に接続された構成となる。したがって、センサネットワークシステム110においては、上り方向、下り方向のいずれにおいても、1つの経路のみしか存在しないこととなる。なお、図11は、説明の便宜上、簡易なツリー構成を説明したが、図1に示したようなツリー構成であってもよい。また、以下においては、説明の便宜上、上り送信についてのみ説明する。
無線装置20は、図6に示した構成と同様の構成をとる。前述の実施形態において述べたように、タイミング割当部26は、自己のホップ数に応じて、送信スロットを確定し、記憶部28に記憶する。また、各無線装置20は、送信タイミングとして、基幹装置10から固有のサブスロット番号が割り当てられる。このサブスロット番号は、基幹装置10から、上位の無線装置20を経て通知される。そのため、上位の無線装置20は、下位の無線装置20に中継する際に、そのサブスロット番号を読み取り、記憶部28に記憶する。
たとえば、第1無線装置20aにサブスロット番号Xが割り当てられ、第2無線装置20bにサブスロット番号Yが割り当てられ、第3無線装置20cにサブスロット番号Zが割り当てられたとする。この場合、第1無線装置20aはXとYとZを記憶し、第2無線装置20bはYとZを記憶し、第3無線装置20cはZを記憶する。
この状態において、無線装置20におけるタイミング割当部26は、自己のホップ数によって確定された送信スロットと、記憶部28に記憶された下位の無線装置20についてのサブスロット番号を利用して、スリープ状態から起床状態に遷移すべきタイミング、すなわち、間欠受信タイミングを決定する。
具体的に説明する。ここで、第1無線装置20aは、上り送信スロットタイミングとして、スロット番号(M+2)が用いられるものとする。以下、上り送信スロットタイミングとしてのスロット番号を送信スロット番号という。また、第2無線装置20bは送信スロット番号(M+1)が用いられ、第3無線装置20cは送信スロット番号(M)が用いられるとする。なお、それぞれの無線装置20における受信タイミングは、送信スロット番号から1を減じたスロットとなる。
図12(a)は、図11の第1無線装置20aの記憶部28に記憶される割当タイミングテーブル400の構成例を示す図である。割当タイミングテーブル400は、端末欄410と上りスロット番号欄420と割当サブスロット番号欄430とを含む。端末欄410は、端末装置を示す欄である。上りスロット番号欄420は、端末欄410に示される端末装置における送信スロットタイミングを示す欄である。割当サブスロット番号欄430は、端末欄410に示される端末装置において割り当てられたサブスロット番号を示す欄である。
図示するごとく、第1無線装置20aは、自己の送信スロット番号(M+2)と、1つ下位の第2無線装置20bの送信スロット番号(M+1)を割当タイミングテーブル400に記憶する。1つ下位の無線装置20の送信スロット番号を記憶することによって、下位の無線装置20からの送信信号を受信できる。すなわち、1つ下位の無線装置20の送信スロット番号は、当該無線装置20における受信スロットとなる。また、第1無線装置20aは、自己のサブスロット番号Xと、すべての下位の無線装置20、すなわち、第2無線装置20bと第3無線装置20cについてのサブスロット番号(YとZ)を割当タイミングテーブル400に記憶する。
図12(b)は、図11の第2無線装置20bの記憶部28に記憶される割当タイミングテーブル400の構成例を示す図である。図示するごとく、第2無線装置20bは、自己と第3無線装置20cについて、上り送信スロット番号と割当サブスロット番号とを記憶する。なお、図示を省略したが、第3無線装置20cについては、自己の上り送信スロット番号と割当サブスロット番号とを記憶している。
このような状況において、第3無線装置20cが起点となって基幹装置10に向けてデータを送信する場合、第1無線装置20aと第2無線装置20bは、図12(a)、(b)の上りスロット番号欄420に示された送信スロット番号において、起点となった第3無線装置20cに割り当てられたサブスロット番号Zのタイミングにて、中継処理を実行する。
具体的には、まず、第3無線装置20cは、スロット番号Mかつサブスロット番号Zのタイミングでデータを送信し、第2無線装置20bに受信させる。第2無線装置20bは、送信スロット番号(M+1)かつサブスロット番号Zのタイミングにおいて、第3無線装置20cから受信したデータを第1無線装置20aに送信する。第1無線装置20aは、送信スロット番号(M+2)かつサブスロット番号Zのタイミングにおいて、第2無線装置20bから中継されたデータを基幹装置10に送信する。
上述したような中継処理を実現するためには、第1無線装置20aおよび第2無線装置20bは、自己の1つ下位の無線装置20の送信スロット番号および自己の送信スロット番号の双方のスロットにおいて、第3無線装置20cに割り当てられたサブスロット番号Zのタイミングにおいて起床している必要がある。同様に、第2無線装置20bが第1無線装置20aを介して基幹装置10に対してデータを送信するような場合、第1無線装置20aは、第2無線装置20bの送信スロット番号および第2無線装置20bのサブスロット番号において起床している必要がある。
まとめると、任意の無線装置20は、自己と1つ下位の無線装置20における送信スロット番号のいずれかのスロット内であって、かつ、下位に存在するすべての無線装置20に割り当てられた複数のサブスロット番号において、起床するように制御される必要がある。そのため、上位の無線装置20は、下位に存在するすべての無線装置20のサブスロット番号をそれぞれ記憶しておくこととなる。このような態様により、上位の無線装置20は、起床しておくべき送信タイミングを容易に把握することができる。このため、最低限の時間のみ起床することが可能となり、効率的な間欠受信処理が実行されるため、より省電力となる。
上述した具体例における間欠制御タイミングについて、図を用いて説明する。図13(a)は、図11の無線装置20における起床タイミングが示された第1起床タイミングテーブル500である。第1起床タイミングテーブル500は、端末欄510と、上り起床スロット番号欄520と、起床サブスロット番号欄530とを含む。端末欄510は、無線装置20を示す。上り起床スロット番号欄520は、上り送信において起床すべきスロット番号を示す。起床サブスロット番号欄530は、図12(a)、(b)において示された自己および下位の無線装置20に割り当てられたサブスロット番号、すなわち、起床すべきサブスロット番号を示す。
上り起床スロット番号欄520においては、図12(a)、(b)のそれぞれに示された送信スロット番号と、その番号の1つ前のスロットが示される。図4(b)に示したように、1つ下位の無線装置20、すなわち、ホップ数が1だけ少ない無線装置20からの送信を受信するためには、自己の送信スロット番号の1つ前のスロットから起床しておく必要があるからである。
図13(b)は、図11の無線装置20における起床タイミングが示された第2起床タイミングテーブル600である。図13(b)は、図13(a)に基づいて決定される間欠制御のための起床およびスリープスケジュールを示している。第2起床タイミングテーブル600は、スロット番号欄610と、サブスロット番号欄620と、第2無線装置欄630と、第1無線装置欄640と、起床タイミング欄650とを含む。スロット番号欄610はスロット番号を示し、サブスロット番号欄620はサブスロット番号を示す。第2無線装置欄630と第1無線装置欄640は、それぞれの無線装置20における起床タイミングと、停止タイミングとを示す。起床タイミング欄650においては、起床タイミングをWで示し、停止タイミングをSで示した。
第2無線装置欄630に図示するごとく、第2無線装置20bは、スロット番号(M)のサブスロット番号Z、および、スロット番号(M+1)のサブスロット番号YとZにおいて、起床するように制御される。その他のタイミングにおいては、スリープ状態となる。この場合、第2無線装置20bは、スロット番号(M)のサブスロット番号Zのタイミングにおいて、第3無線装置20cからのデータを受信する。また、第2無線装置20bは、スロット番号(M+1)のサブスロット番号YとZのタイミングにおいて、第3無線装置20cから受信したデータを第1無線装置20aに送信する。
同様に、第1無線装置欄640に図示するごとく、第1無線装置20aは、スロット番号(M+1)のサブスロット番号YとZ、および、スロット番号(M+2)のサブスロット番号XとYとZのタイミングにおいて、起床するように制御されて、送受信処理が実行される。すなわち、受信スロットにおいては、下位のすべての無線装置20に割り当てられたサブスロットにおいて起床する。また、送信スロットにおいては、下位のすべての無線装置20に割り当てられたサブスロットと、自己の無線装置20に割り当てられたサブスロットにおいて起床する。受信スロットとは、第2無線装置20bにおけるスロット番号(M)、第1無線装置20aにおけるスロット番号(M+1)である。送信スロットとは、受信スロットより1スロット分後ろに位置するスロットである。
なお、タイミング割当部26は、サブスロットが取得されるまでは、送信スロット番号にのみしたがって、起床すべきタイミングを特定する。また、タイミング割当部26は、ホップ数が取得されるまでは、間欠制御を行わず、常に起床状態を継続させる。
つぎに、変形例における無線装置20の間欠制御の際の動作例について説明する。図14は、図11の無線装置20の動作例を示すフローチャートである。このフローチャートの開始時において、無線装置20は、すでにスリープ状態にあるものとしている。また、このフローチャートは、任意の1フレームにおける処理を示しており、フローチャートの開始時点において、スロット番号は1で、サブスロット番号は1となっている。また、1フレーム中のスロット数をm、1スロット中のサブスロット数をnとしている。
まず、無線装置20は、現在のスロットが起床すべきスロットであるか否かを判定する(S200)。現在のスロットが起床すべきスロットであると判定された場合(S200のY)はS202の判定処理に移行し、起床すべきスロットでないと判定された場合(S200のN)、S214の処理に移行する。
S202の判定処理において、無線装置20は、現在のスロットが起床すべきサブスロットであるか否かを判定する(S202)。現在のスロットが起床すべきサブスロットであると判定された場合(S202のY)、S204の処理に移行し、起床すべきサブスロットでないと判定された場合(S202のN)、S210の処理に移行する。
S204において、無線装置20は、起床処理を実行する(S204)。つぎに、下位の無線装置20から送信されたデータを受信し、もしくは、すでに受信したデータを上位の無線装置20に送信する(S206)。S206の処理の後、無線装置20は、スリープ処理を実行する(S208)。
S210においては、サブスロット番号に関するカウンタを1つ増加する(S210)。ここで、カウンタに示されたサブスロット番号がnを超えていた場合(S212のY)、S214の処理に移行する。一方、カウンタに示されたサブスロット番号がn以下である場合(S212のN)、S202の判定処理に戻る。
S214においては、スロット番号に関するカウンタを1つ増加する(S214)。ここで、カウンタに示されたスロット番号がmを超えていた場合(S216のY)、処理を終了する。一方、カウンタに示されたスロット番号がm以下である場合(S216のN)、S200に戻る。
以上述べたように、本変形例においては、ホップ数によって特定されたタイムスロットと、下位の無線装置に対して割り当てられたサブスロットとのすべての組み合わせによって、本無線装置を起床させるべき1以上の間欠受信タイミングをサブスロット単位で特定することによって、起床しておくべき時間をサブスロット単位で制御することができる。このため、効率的な間欠受信が可能となり、消費電力を低減できる。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施形態においては、ホップ数に応じて設定された送信スロットにしたがって、間欠処理するとして説明した。しかしながらこれにかぎらず、たとえば、ハローパケット内に起床時刻を埋め込み、これをもとに間欠処理してもよい。すなわち、下層の無線装置20は、上層の無線装置20から報知されたハローパケット内の起床時刻を読取り、読み取った起床時刻にしたがって、従属的な間欠処理を実行すればよい。このように上層の無線装置20が下層の無線装置20の間欠処理を制御することによって、ネットワーク内の管理が容易となり、システムの安定性を向上できる。
前述した変形例においては、スロット単位より細かい単位であるサブスロット単位で起床するタイミングを制御するとして説明したが、各無線装置20間の時刻同期誤差を加味して、起床するタイミングを制御してもよい。各無線装置20は、お互いの動作タイミングを揃えるため、時刻の同期処理を実施している。しかしながら、無線環境の変化や、水晶の精度などにより、同期誤差が発生し、お互いのフレームの先頭タイミングがずれる場合がある。時刻同期誤差とは、お互いのフレームの先頭タイミングの「ずれ量」の推定値を含み、また、想定される最大のずれ量を含む。時刻同期誤差を加味して、起床するタイミングを制御することにより、より正確に間欠処理が実施できる。
10 基幹装置、 20 無線装置、 22 受信部、 24 解析部、 26 タイミング割当部、 28 記憶部、 30 タイミング設定部、 32 送信制御部、 34 送信部、 36 センサ、 100 センサネットワークシステム。
Claims (5)
- 複数の無線装置のうちの基幹装置を根元として、前記複数の無線装置によってツリー状に形成されたマルチホップ無線ネットワークに含まれた無線装置であって、
基幹装置に至るまでのホップ数を取得するホップ数取得部と、
前記ホップ数取得部によって取得されたホップ数に応じて、複数のタイムスロットのうちのいずれかを特定するタイムスロット特定部と、
タイムスロットを形成する複数のサブスロットのうちのいずれかのサブスロットであって、本無線装置を経由して基幹装置に至る別の無線装置に対して固有に設定されたサブスロットを取得するサブスロット取得部と、
前記タイムスロット特定部において特定したタイムスロットと、前記サブスロット取得部において取得したサブスロットとの組み合わせによって、本無線装置を起床させるべき間欠受信タイミングをサブスロット単位で特定するタイミング特定部と、
前記タイミング特定部によって特定された間欠受信タイミングにおいて、本無線装置を起床させ、間欠受信タイミング以外のタイミングにおいて、本無線装置の動作を停止する間欠制御部と、
前記間欠制御部によって本無線装置を起床させている間に、別の無線装置についての信号を中継する中継部と、
を備えることを特徴とする無線装置。 - 前記サブスロット取得部は、本無線装置に固有に設定されたサブスロットをさらに取得し、
前記タイミング特定部は、前記タイムスロット特定部において特定したタイムスロットと、前記サブスロット取得部において取得された複数のサブスロットとのすべての組み合わせにおいて、本無線装置を起床させるべき複数の間欠受信タイミングを特定することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。 - 前記タイミング特定部は、前記サブスロット取得部によってサブスロットが取得されるまでは、前記タイムスロット特定部において特定したタイムスロットにのみしたがって、間欠受信タイミングを特定することを特徴とする請求項1または2に記載の無線装置。
- 前記間欠制御部は、前記ホップ数取得部によってホップ数が取得されるまでは、本無線装置の起床状態を継続することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線装置。
- 前記中継部は、本無線装置を経由して基幹装置に至る別の無線装置からのサブスロットの割当要求に関する信号を基幹装置に中継し、また、割当要求に応じて割り当てられたサブスロットを前記基幹装置から前記別の無線装置に中継し、
前記サブスロット取得部は、前記中継部によるサブスロットの中継の際に、前記別の無線装置に割り当てられたサブスロットを取得することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無線装置。
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