本発明に係る無線通信装置は、中継無線端末を介して親無線端末と無線通信を行う子無線端末として用いられる無線通信装置であって、前記中継無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信し、当該中継無線端末の時計に自局の時計を同期させ、当該中継無線端末から送信される無線信号の受信を間欠的に待ち受けるよう構成され、さらに、前記無線信号の受信を間欠的に待ち受ける間欠受信タイミングを特定する間欠受信タイミング情報を作成して、自局から送信する無線信号に組み込み、前記中継無線端末を介して前記親無線端末に送信するタイミング情報送信部を備え、前記無線信号の受信の間欠的な待ち受けは、前記間欠受信タイミング情報で特定される前記間欠受信タイミングで行われる構成である。
前記構成によれば、子無線端末は自局の間欠受信タイミングを自ら決定して親無線端末に送信することになる。そのため、前記子無線端末の間欠受信タイミングを雑音等の少ない最適なタイミングに選ぶことが可能となり、その受信性能を向上させることができる。
また、本発明に係る他の無線通信装置は、親無線端末と子無線端末との間に介在し、これら無線端末の間での無線通信の中継を行う中継無線端末として用いられる無線通信装置であって、前記子無線端末が、前記中継無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信し、当該中継無線端末の時計に自局の時計を同期させ、当該中継無線端末から送信される無線信号の受信を間欠的に待ち受けるよう構成され、前記子無線端末から送信される無線信号には、当該子無線端末が受信を間欠的に待ち受ける間欠受信タイミングを特定する間欠受信タイミング情報が含まれており、前記子無線端末宛の無線信号を受信したときに、当該無線信号に含まれる前記間欠受信タイミング情報を解析し、前記子無線端末における前記間欠受信タイミングに合わせて、前記無線信号を中継送信するタイミング情報解析部を備えている構成である。
前記構成によれば、子無線端末は間欠受信タイミング毎にビーコン信号を受信する必要がなく、また例えばポーリングデータとともに送信される間欠受信タイミング情報を元に当該ポーリングデータの送信タイミングを決定することができる。そのため、前記ポーリングデータを中継する中継無線端末は前記ポーリングデータを送信したい子無線端末の間欠受信タイミングを常時記憶している必要がなく、その構成を簡素化にすることができる。
また、本発明に係るさらに他の無線通信装置は、中継無線端末を介して子無線端末と無線通信を行う親無線端末として用いられる無線通信装置であって、前記中継無線端末が、前記親無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信し、当該親無線端末の時計に自局の時計を同期させ、前記親無線端末からのビーコン信号に同期して定期的にビーコン信号を送信するよう構成され、前記子無線端末が、前記中継無線端末から送信されるビーコン信号を受信し、当該中継無線端末の時計に自局の時計を同期させ、当該中継無線端末から送信される無線信号の受信を、間欠受信タイミング情報により特定される間欠受信タイミングで間欠的に待ち受けるよう構成され、前記ビーコン信号を送信するビーコン送信部と、前記子無線端末からの無線信号を受信したときに、当該無線信号に含まれる前記間欠受信タイミング情報を少なくとも記憶する記憶部と、前記子無線端末宛の無線信号を送信するときに、前記記憶部で記憶している前記間欠受信タイミング情報を当該無線信号に組み込んで送信するタイミング情報送信部と、を備えている構成である。
前記構成によれば、親無線端末は子無線端末から送信された前記子無線端末の間欠受信タイミング情報を記憶するため、前記子無線端末宛のポーリングデータに前記間欠受信タイミング情報を組み込んで送信することができる。それゆえ、前記ポーリングデータを無線中継する次段の「親無線端末」(すなわち、ポーリングデータを無線中継する中継無線端末)に前記子無線端末の間欠受信タイミングを知らせることができる。
本発明に係る無線通信システムは、前記各構成の子無線端末、中継無線端末、および親無線端末を備える構成であればよいが、より具体的には、複数の子無線端末と、これら子無線端末との間で無線通信を行う親無線端末と、前記子無線端末および親無線端末の間に介在し、これら無線端末の間で無線通信の中継を行う中継無線端末を備えている無線通信システムであって、前記子無線端末は、前記中継無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信し、当該中継無線端末の時計に自局の時計を同期させ、当該中継無線端末から送信される無線信号の受信を、予め決定される間欠受信タイミングで間欠的に待ち受けるよう構成されるとともに、さらに当該間欠受信タイミングを特定する間欠受信タイミング情報を作成して、自局から送信する無線信号に組み込み、前記中継無線端末を介して前記親無線端末に送信するタイミング情報送信部を備えており、前記中継無線端末は、前記親無線端末からのビーコン信号に同期して定期的にビーコン信号を送信するよう構成されるとともに、前記子無線端末宛の無線信号を受信したときに、当該無線信号に含まれる前記間欠受信タイミング情報を解析し、前記子無線端末における前記間欠受信タイミングに合わせて、前記無線信号を中継送信するタイミング情報解析部を備えており、前記親無線端末は、前記ビーコン信号を送信するビーコン送信部と、前記子無線端末からの無線信号を受信したときに、当該無線信号に含まれる前記間欠受信タイミング情報を少なくとも記憶する記憶部と、前記子無線端末宛の無線信号を送信するときに、前記記憶部で記憶している前記間欠受信タイミング情報を当該無線信号に組み込んで送信するタイミング情報送信部と、を備えている構成である。
本発明に係る無線通信システムは、前記構成において、前記ビーコン信号の送信間隔が複数のタイムスロットに分割可能となっており、前記子無線端末における前記間欠受信タイミングが、前記タイムスロットの整数倍に設定されている構成であってもよい。
前記構成によれば、ビーコン信号の間を複数の時間スロットに分割し、子無線端末の間欠受信タイミングを前記時間スロットに関係づけることになる。それゆえ、親無線端末が管理する子無線端末の数が増大しても、各子無線端末の間欠受信タイミングの管理が複雑になるおそれを抑制または防止することができる。
また、本発明に係る無線通信システムは、前記構成においては、無線通信を予め設定される所定時間毎に区切り、当該所定時間を無線通信の1周期としたときに、当該1周期がさらにn個(ただしnは自然数)のタイムスロットに区分され、前記n個のタイムスロットに1からnのスロット番号が順次付与され、前記子無線端末が前記無線信号の受信を間欠的に待ち受ける間隔のスロット数を間欠受信周期Mとし、基準スロット番号Y0を下記式(1)
Y0=(A×M)+1 ・・・(1)
(ただし、A=0〜(n−1)/Mのいずれかの整数)
としたときに、
前記間欠受信タイミング情報は、前記間欠受信周期Mと、下記式(2)で示される待ち受けスロット番号Y
Y=Y0+(Z−1) ・・・(2)
(ただし、Z=1〜Mのいずれかの整数)
を決定するためのZに関わる2つの情報とから構成されてもよい。
前記構成によれば、前記タイムスロットのスロット構成は、n個のタイムスロットを1周期とし、当該1周期の各タイムスロットにスロット番号1からnを順次付与した構成であって、子無線端末が受信を間欠的に待ち受けるスロット間隔をMとしたときに、1周期中に含まれる基準スロット番号Y0を、スロット間隔の整数倍(またはスロット番号1)として、子無線端末の間欠受信タイミング情報は前記Mと前記Y0からいくつ後ろのタイムスロットであるかというスロット情報と、の2つの情報から構成されることになる。それゆえ、親無線端末が管理する子無線端末の数が増大しても、前記子無線端末の間欠受信タイミングをより簡単に管理することができる。
本発明に係る無線通信方法は、中継無線端末を介して親無線端末と無線通信を行う子無線端末に用いられる無線通信方法であって、前記中継無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信し、当該中継無線端末の時計に自局の時計を同期させるステップと、前記中継無線端末から送信される無線信号の受信を間欠的に待ち受ける間欠受信タイミングを特定する間欠受信タイミング情報を作成して、自局から送信する無線信号に組み込み、前記中継無線端末を介して前記親無線端末に送信するステップと、前記間欠受信タイミング情報で特定される間欠受信タイミングで前記無線信号の受信を間欠的に待ち受けるステップと、を含む構成である。
前記構成によれば、子無線端末は、自局の間欠受信タイミングを自ら決定して親無線端末に送信することができる。そのため、前記子無線端末の間欠受信タイミングを雑音等の少ない最適なタイミングに選ぶことができるので、受信性能を向上させることができる。
また、本発明に係る無線通信方法は、親無線端末と子無線端末との間に介在し、これら無線端末の間での無線通信の中継を行う中継無線端末に用いられる無線通信方法であって、前記子無線端末が、前記中継無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信し、当該中継無線端末の時計に自局の時計を同期させ、当該中継無線端末から送信される無線信号の受信を間欠的に待ち受けるよう構成され、前記無線信号には、当該子無線端末が受信を間欠的に待ち受ける間欠受信タイミングを特定する間欠受信タイミング情報が含まれており、前記親無線端末または前記中継無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信するステップと、前記子無線端末宛の無線信号を受信したときに、当該無線信号に含まれる前記間欠受信タイミング情報を解析するステップと、前記子無線端末における前記間欠受信タイミングに合わせて、前記無線信号を中継送信するステップと、を含む構成であってもよい。
前記構成によれば、ポーリングデータを中継する中継無線端末は、子無線端末の間欠受信タイミングを常時記憶している必要がないので、その構成を簡単にすることができる。
また、本発明に係る無線通信方法は、中継無線端末を介して子無線端末と無線通信を行う親無線端末に用いられる無線通信方法であって、前記中継無線端末が、前記親無線端末から定期的に送信されるビーコン信号を受信し、当該親無線端末の時計に自局の時計を同期させ、前記親無線端末からのビーコン信号に同期して定期的にビーコン信号を送信するよう構成され、前記子無線端末が、前記中継無線端末から送信されるビーコン信号を受信し、当該中継無線端末の時計に自局の時計を同期させ、当該中継無線端末から送信される無線信号の受信を間欠的に待ち受ける間欠受信タイミングを特定する間欠受信タイミング情報を作成し、当該間欠受信タイミングで前記中継無線端末からの無線信号を間欠的に待ち受けるよう構成され、前記ビーコン信号を送信するステップと、前記子無線端末から送信される、前記間欠受信タイミング情報を取得するステップと、取得した前記間欠受信タイミング情報を記憶するステップと、前記子無線端末宛の無線信号を送信するときに、記憶した前記間欠受信タイミング情報を当該無線信号に組み込んで送信するステップと、を含む構成であってもよい。
前記構成によれば、親無線端末は、子無線端末から送信された前記子無線端末の間欠受信タイミング情報を記憶するため、前記子無線端末宛のポーリングデータに前記間欠受信タイミング情報を組み込んで送信することができる。それゆえ、前記ポーリングデータを無線中継する次段の親無線端末(すなわち、ポーリングデータを無線中継する中継無線端末)に前記子無線端末の間欠受信タイミングを知らせることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
[無線通信装置の概略構成]
図1(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の要部構成の一例を示すブロック図であり、図1(a)が親無線端末として機能する無線通信装置の構成例を示し、図1(b)が中継無線端末として機能する無線通信装置の構成例を示し、図1(c)が子無線端末として機能する無線通信装置の構成例を示す。また、図2は、図1に示す無線通信装置を用いて構成される、本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの一例を示す模式図である。
まず、本実施の形態に係る無線通信装置の概略構成について説明する。図1(a)に示すように、本実施の形態に係る無線通信装置のうち親無線端末101は、アンテナ11、送受信部12、制御部13、記憶部14、ビーコン送信部21、リンク接続部22、ルート情報解析作成部23、タイミング情報送信部24を備えている。
アンテナ11は、所定の帯域の電波を送受信できるものであれば特に限定されず、各種公的な規格で定められている帯域の電波を送受信可能な公知のアンテナが用いられる。送受信部12は、アンテナ11から空中へ電波を送信したり、空中を伝わってきた電波を受信したりするために、データを所定の帯域の無線信号に変調したり、所定の帯域の無線信号をデータに復調したりする無線送受信回路として構成されている。その具体的な構成は特に限定されず、無線通信ネットワークの分野で公知の高周波回路(RF回路)が用いられる。
制御部13は、例えば、マイクロコンピュータのCPUで構成され、親無線端末101(無線通信装置)の動作、特に無線通信動作に関する種々の制御を行う。例えば、親無線端末101の全体の時間管理、送受信部12、ビーコン送信部21、リンク接続部22、ルート情報解析作成部23、タイミング情報送信部24等の制御等が挙げられる。記憶部14は、制御部13の制御により記憶されている各種情報が読み出されるものであり、例えば、CPUの内部メモリ、あるいは独立したメモリ装置等として構成されればよい。
ビーコン送信部21は、制御部13の制御により他の無線通信装置(後述する中継無線端末201、子無線端末301)に対してビーコン信号を送信する。リンク接続部22は、制御部13の制御により、他の無線通信装置に対してリンク接続要求信号を送信することにより無線リンクを接続する(リンク接続動作)。ルート情報解析作成部23は、中継要求のあった中継無線端末201に関する情報(中継端末情報)を含むルート情報の解析および作成を行う。タイミング情報送信部24は、子無線端末301における間欠受信タイミングを特定する情報(間欠受信タイミング情報)の作成および送信を行う。
間欠受信タイミング情報は、本実施の形態では後述するスロット位置情報であり、前記ルート情報には、中継端末情報に加えてスロット位置情報も含まれる。なお、中継端末情報、スロット位置情報およびルート情報については後述する。また、記憶部14は、スロット位置情報および中継端末情報を含むルート情報とこれに関する種々の付随情報を記憶可能となっている。
ビーコン送信部21、リンク接続部22、ルート情報解析作成部23、およびタイミング情報送信部24の具体的な構成は特に限定されず、公知のスイッチング素子、減算器、比較器等による論理回路等として構成されてもよいし、制御部13の機能構成であって、制御部13としてのCPUが、記憶部14に格納されるプログラムに従って動作することにより実現される構成であってもよい。
次に、図1(b)に示すように、本実施の形態に係る無線通信装置のうち中継無線端末201は、アンテナ11、送受信部12、制御部13、ビーコン送信部21、ビーコン受信部25、リンク接続部22、タイミング情報解析部26を備えている。
アンテナ11、送受信部12、制御部13、ビーコン送信部21、およびリンク接続部22の具体的な構成は親無線端末101が備える構成と同様であり、その説明は省略する。なお、中継無線端末201が親無線端末101から送信される無線信号を受信する際には、リンク接続部22は、リンク接続要求信号を受信することによりリンク接続動作を行う。ビーコン受信部25は、親無線端末101から送信されたビーコン信号を受信し、制御部13に出力する。タイミング情報解析部26は前記スロット位置情報を含むルート情報の解析および作成を行う。ビーコン受信部25およびタイミング情報解析部26も論理回路等として構成されてもよいし制御部13の機能構成であってもよい。
次に、図1(c)に示すように、本実施の形態に係る無線通信装置のうち子無線端末301は、アンテナ11、送受信部12、制御部13、記憶部14、ビーコン受信部25、リンク接続部22、タイミング情報送信部24を備えている。アンテナ11、送受信部12、制御部13、記憶部14、ビーコン送信部21、リンク接続部22、およびタイミング情報送信部24の具体的な構成は親無線端末101または中継無線端末201が備える構成と同様であり、その説明は省略する。
[無線通信システムの概略構成]
次に、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成について説明する。図2に示すように、本実施の形態に係る無線通信システムは、無線通信装置として、親無線端末101、中継無線端末211,221,231および子無線端末311〜313,321〜323,331〜333を含んでいる。なお、図2における中継無線端末211,221,231は、図1(b)に示す中継無線端末201に対応し、子無線端末311〜313,321〜323,331〜333は、図1(c)に示す子無線端末301に対応する。
また、図2においては、説明の便宜上、親無線端末101を1台、中継無線端末201を3台(中継無線端末211〜231)、子無線端末301を9台(子無線端末311〜333)図示しているが、無線通信システムの構成はこれに限定されるものではなく、これら無線通信装置は、図示されている台数を超えて含まれてもよいし、図示されている台数未満であってもよい。
親無線端末101および中継無線端末211,221,231は、ビーコン信号を送信する側の無線通信装置であり、また、中継無線端末211,221,231と、子無線端末311〜313,321〜323,331〜333は、ビーコン信号を受信する側の無線通信装置である。したがって、中継無線端末211〜231は、ビーコン信号を送受信できる無線通信装置である。
親無線端末101は、子無線端末311〜313および中継無線端末211それぞれに対してビーコン信号を送信可能であるとともに、子無線端末311〜313および中継無線端末211との間で、それぞれ無線によるデータ通信が可能となっている。したがって、図2においては、これら無線通信装置の間を、双方向の点線の矢印で結んでいる。親無線端末101、子無線端末311〜313および中継無線端末211は、無線通信システムの第一階層のネットワークを構成している。なお、親無線端末101は子無線端末311〜313および中継無線端末211から見て「上位機器」となる。また、上位機器である親無線端末101に直接つながる子無線端末311〜313および中継無線端末211は、親無線端末101から見て「下位機器」となる。
また中継無線端末211は、子無線端末321〜323および中継無線端末221それぞれに対して、ビーコン信号を送信可能であるとともに、子無線端末321〜323および中継無線端末221との間でそれぞれデータ通信が可能となっている。それゆえ、中継無線端末211は、親無線端末101から見れば「下位機器」となるが、子無線端末321〜323および中継無線端末221から見れば「上位機器」となる。そこで、前記第一階層のネットワークと同様に、中継無線端末211、子無線端末321〜323および中継無線端末221は、無線通信システムの第二階層のネットワークを構成している。
同様に、中継無線端末221は、子無線端末331〜333および中継無線端末231に対してビーコン信号を送信可能であるとともに、子無線端末331〜333および中継無線端末231との間でそれぞれデータ通信が可能となっている。それゆえ、中継無線端末221は、中継無線端末211から見れば「下位機器」となるが、子無線端末331〜333および中継無線端末231から見れば「上位機器」となるので、中継無線端末221、子無線端末331〜333および中継無線端末231は、無線通信システムの第三階層のネットワークを構成している。
さらに中継無線端末231は、図2には図示されない複数の子無線端末301、あるいは複数の子無線端末301と1台以上の中継無線端末201に対してビーコン信号を送信可能であるとともに、これら無線通信装置との間でそれぞれデータ通信が可能となっている。それゆえ、中継無線端末231と図示されない子無線端末301および中継無線端末201とは、無線通信システムの第四階層のネットワークを構成しているとともに、図示されない中継無線端末201を「上位機器」として第五階層の以降のネットワークが形成可能である。なお、第四階層のネットワークに中継無線端末201が含まれていなければ、図2に示す無線通信システムは、第一〜第四階層のネットワークのみで構成されていることになる。
前記構成の無線通信システムの通信動作について、その概要を説明する。親無線端末101は、子無線端末311〜313とは直接通信することができるが、子無線端末321〜323および子無線端末331〜333とは電波状況が悪く直接通信を行うことができないとする。そこで、中継無線端末211,221,231等を介して子無線端末321〜323,331〜333等と通信する。
したがって、子無線端末311〜333(および中継無線端末211〜231)は、親無線端末101または中継無線端末211〜231のいずれと直接通信するか、中継無線端末211〜231を介する場合には親無線端末101まで何台の中継無線端末201を経由するか、に基づいて階層化されている。例えば、親無線端末101と直接通信できる子無線端末311〜333は前記の通り第一階層を構成し、1台の中継無線端末211を介して親無線端末101と通信する子無線端末321〜323は第二階層を構成し、中継無線端末221および211を介して親無線端末101と通信する子無線端末331〜333は第三階層を構成する。
また、親無線端末101および中継無線端末211〜231は「上位機器」であり、「下位機器」の無線通信装置(例えば第一階層であれば子無線端末311〜313と中継無線端末211)に対してビーコン信号を間欠的に送信する。「下位機器」の無線通信装置はビーコン信号を捕捉(受信)することにより、「上位機器」の無線通信装置のクロック部(内部時計)の時間を「上位機器」の無線通信装置のクロック部(内部時計)の時間に同期させる(時計合わせする)ことができる。
また、後述するように、「下位機器」の無線通信装置が受信を間欠的に待ち受けるときのタイミング情報(間欠受信タイミング情報)は、ポーリング情報とともに無線信号に含められて当該「下位機器」の無線通信装置に送信される。そのため、図2に示す無線通信システムのように、親無線端末101と子無線端末301との間に中継無線端末201が挿入されていても、中継無線端末201は、子無線端末301の間欠受信タイミングで中継情報を送信することができる。
[無線通信装置のスロット構成およびスロット位置関係]
本実施の形態に係る無線通信システムでは、「上位機器」の無線通信装置と「下位機器」の無線通信装置との間で時分割多重方式によりデータ通信を行っている。そのため、無線通信の1周期は複数のタイムスロットに分割され、各タイムスロットには所定の通信データ(無線信号)が割り当てられて通信されることになる。そこで、図1(a)〜(c)に示す各無線通信装置において管理されるタイムスロットの基本構成について、図3(a)、(b)を参照して説明する。
(I.タイムスロットの基本構成)
時分割多重方式においては、無線通信を予め設定される所定時間毎に区切り、この所定時間(1周期)をさらに複数のタイムスロットに区分する。図3(a)に示すように、基本となるタイムスロット(基本スロット40)は、その長さ(スロット長)がT1秒(例えばT1=2秒)に設定され、通信時には、この基本スロット40が1周期の時間軸上で繰り返されることになる。
基本スロット40は、さらに下位スロット41および上位スロット42の2つのタイムスロットで構成されている。下位スロット41および上位スロット42のそれぞれのスロット長は、基本スロット40のスロット長であるT1の半分(1/2×T1)に設定されている。下位スロット41は下位機器と通信するためのタイムスロットであり、上位スロット42は上位機器と通信するためのタイムスロットである。
下位スロット41は、さらにビーコン送信用スロット411(図中BT)、リンク接続用スロット412(図中L)、およびデータ通信用スロット413(図中D)の3つのタイムスロットに分割されている。同様に上位スロット42も、ビーコン受信用スロット421(図中BR)、リンク接続用スロット422(図中L)、およびデータ通信用スロット423(図中D)の3つのタイムスロットに分割されている。
次に各タイムスロットについて説明する。無線通信装置が上位機器であれば、ビーコン送信部21(図1(a),(b)参照)により、ビーコン送信用スロット411において下位機器に対して定期的にビーコン信号が送信される。ビーコン信号は、ビーコン送信用スロット411において必ず送信されてもよいし、複数回に1回毎のビーコン送信用スロット411において送信されてもよい。例えば、ビーコン信号が、2回に1回毎のビーコン送信用スロット411で送信される(2スロット毎で送信される)ように設定されれば、T1=2秒であればビーコン信号の送信間隔は4秒となる。
また、無線通信装置が下位機器であれば、ビーコン受信部25(図1(b),(c)参照)により、ビーコン受信用スロット421において定期的に上位機器からのビーコン信号が受信される。ビーコン信号の受信間隔は、当該ビーコン信号の送信間隔の整数倍に設定することができる。例えば、送信間隔が2秒であって受信間隔を送信間隔の256倍に設定すれば、当該受信間隔=8分32秒となる。
無線通信装置が上位機器であっても下位機器であっても、リンク接続部22(図1(a)〜(c)参照)により、リンク接続用スロット412,422においてリンク接続動作が行われる。また、無線通信装置の間ではデータ通信が行われるが、このデータ通信はリンク接続動作の後に行われる。それゆえ、リンク接続用スロット412,422に続くデータ通信用スロット413,423においてデータ通信(データのやり取り)が行われる。
ここで、リンク接続用スロット412,422は、図3(b)に示すように、下位発呼用スロット402aおよび上位応答/上位発呼用スロット402bの2つのタイムスロットから構成されている。下位発呼用スロット402aは、下位機器から上位機器に無線リンクを接続したいときに当該下位機器がリンク接続要求信号を送信するためのタイムスロットである。また、上位応答/上位発呼用スロット402bは、下位機器からのリンク接続要求信号に対して上位機器が応答を返すためのタイムスロットであり、また、上位機器から下位機器に無線リンクを接続したいときに当該上位機器からリンク接続要求信号を送信するためのタイムスロットである。
なお、リンク接続用スロット412,422のスロット長は特に限定されない。図3(b)に示す例では、下位発呼用スロット402aのスロット長がT2に設定され、上位応答/上位発呼用スロット402bのスロット長がT3に設定されている。そして、図面上では、スロット長T2とスロット長T3とがほぼ同じ長さ(T2=T3)となっているが、もちろんこれに限定されず、リンク接続要求信号の送信または応答に応じて適切なスロット長が設定されればよい。
(II.タイムスロットの位置関係)
次に、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて、上位機器および下位機器の間でのタイムスロットの位置関係を、図4を参照して具体的に説明する。図4では、図2に示す無線通信システムにおいて、親無線端末101と第三階層の子無線端末331との間に、2台の中継無線端末211,221が介在している場合を例に挙げて、各無線通信装置の1周期内でのタイムスロットの位置関係を説明している。また、図4に示す基本スロット40において、下位スロット41は図中「下」と記載しており、上位スロット42は図中「上」と記載している。
図4に示す例では、親無線端末101、中継無線端末211,221、および子無線端末331においては、1周期が256個の基本スロット40に分割され、各基本スロット40は、1から256までのスロット番号が付与されている。そして、最後のスロット番号256の基本スロット40の次には、最初のスロット番号1の基本スロット40が位置することになる。なお、以下の説明では、便宜上、スロット番号Xの基本スロット40を「No.X−基本スロット40」と記載する。また、図4に関する説明では、上位の中継無線端末211および下位の中継無線端末221を明確に区別する便宜上、前者を「第一中継無線端末211」と称し、後者を「第二中継無線端末221」と称する。
また、図4においては、親無線端末101および第一中継無線端末211の間では、定期的に第一階層のビーコン信号Biが送信され、第一中継無線端末211および第二中継無線端末221の間では、第二階層のビーコン信号Biiが送信され、第二中継無線端末221および子無線端末331の間では、第三階層のビーコン信号Biiiが送信されている。なお、子無線端末331は最下位の下位機器であり、当該子無線端末331につながる下位機器は存在しないので、子無線端末331からビーコン信号は送信されない。
上位機器から送信されたビーコン信号Bi〜Biiiは、後述するように、下位機器においては1周期毎で1回受信される。1周期の長さ(周期長)をT4とすれば、図4に示す例では、T4=256×T1となる。例えば、T1=2秒であれば、T4=512秒(8分32秒)となる。また、ビーコン信号Bi〜Biiiは、2回に1回毎(1回置き)のビーコン送信用スロット411の周期で上位機器から送信される。したがって、2つの基本スロット40で1回の周期でビーコン信号Bi〜Biiiが送信されることになり、ビーコン信号Bi〜Biiiの送信間隔T5=2×T1となる。例えば、T1=2秒であれば、T5=4秒となる。
なお、図4においては、1周期内で送受信されるビーコン信号Bi〜Biiiの序数を括弧書きで示している。例えば、第一中継無線端末211から第二中継無線端末221に送信される第二階層のビーコン信号Biiについて見れば、No.1−基本スロット40で送信される1番目のビーコン信号Biiは「Bii(1)」と記載し、No.3−基本スロット40で送信される2番目のビーコン信号Biiは「Bii(2)」と記載し、No.255−基本スロット40で送信されるm番目のビーコン信号Biiは「Bii(m)」と記載している。
次に、図4に示す例において、上位機器から下位機器に対するビーコン信号Bi〜Biiiの送信動作と、下位機器におけるビーコン信号Bi〜Biiiの受信動作とについて、より具体的に説明する。
図4に示す例では、最上位の上位機器は親無線端末101であり、親無線端末101からはT5=2×T1の周期で定期的に第一階層のビーコン信号Biが下位機器に対して送信される。図4では、No.1−基本スロット40の下位スロット41に含まれるビーコン送信用スロット411(図3(a)参照)から1番目のビーコン信号Bi(1)が送信される。2番目のビーコン信号Bi(2)は、No.3−基本スロット40から送信され、3番目のビーコン信号Bi(3)は、No.5−基本スロット40から送信され、4番目のビーコン信号Bi(4)は、No.7−基本スロット40から送信される。その後、奇数のスロット番号の基本スロット40から順次ビーコン信号Biが送信され、再びNo.1−基本スロット40に達すると、1番目のビーコン信号Biが送信される。
一方、親無線端末101の直下に属する下位機器は第一中継無線端末211であるが、この第一中継無線端末211は、親無線端末101から送信されるビーコン信号Biを定期的に受信する。ビーコン信号Biの受信は1周期に1回であり、図4に示す例では、1番目のビーコン信号Bi(1)を基本スロット40の上位スロット42に含まれるビーコン受信用スロット421(図3(a)参照)で受信する。第一中継無線端末211は、ビーコン信号Bi(1)を受信すると、親無線端末101のNo.1−基本スロット40のスロット位置を、当該第一中継無線端末211のNo.255−基本スロット40のスロット位置に位置合わせする。
具体的には、第一中継無線端末211は、No.1−基本スロット40の下位スロット41の先頭位置(ビーコン送信用スロット411に対応)が、No.255−基本スロット40の上位スロット42の先頭位置(ビーコン受信用スロット421に対応)に対応するように、自局のタイムスロットを構成し直す。なお、図4では、ビーコン信号Bi〜Biiiを受信するタイムスロットである、下位機器のNo.255−基本スロット40の上位スロット42を黒く塗りつぶして示している。
ここで、第一中継無線端末211は、親無線端末101等とともに第一階層を構成するとともに、第二中継無線端末221等とともに第二階層を構成している(図2参照)ので、第一中継無線端末211から見て第二中継無線端末221は直下に属する下位機器となる。そして、第一中継無線端末211からは、奇数のスロット番号の基本スロット40から第二階層のビーコン信号Biiが下位機器に対して送信される。第二中継無線端末221は、上位機器である第一中継無線端末211のビーコン信号Biiのうち、1番目のビーコン信号Bii(1)を受信して、第一中継無線端末211のNo.1−基本スロット40と第二中継無線端末221のNo.255−基本スロット40とのスロット位置を合わせるよう、自局のタイムスロットを再構成する。
また、第二中継無線端末221は、子無線端末331等とともに第三階層を構成している(図2参照)ので、第二中継無線端末221から子無線端末331に対しても、T5の周期となるように、奇数のスロット番号の基本スロット40から第三階層のビーコン信号Biiiが送信される。最下位の下位機器である子無線端末331も、第一中継無線端末211および第二中継無線端末221と同様に、1番目のビーコン信号Biii(1)を受信して、第二中継無線端末221のNo.1−基本スロット40と子無線端末331のNo.255−基本スロット40とのスロット位置を合わせるよう、自局のタイムスロットを再構成する。
図4に示す例を1番目のビーコン信号の送信タイミングを基準として説明すると、第一中継無線端末211は親無線端末101から送信される1番目のビーコン信号Bi(1)を、当該第一中継無線端末211のNo.255−基本スロット40で受信する。また、第一中継無線端末211は、自局のNo.1−基本スロット40から1番目のビーコン信号Bii(1)を送信する。このとき、親無線端末101のNo.3−基本スロット40から送信される2番目のビーコン信号Bi(2)は、第一中継無線端末211のNo.1−基本スロット40の上位スロット42のタイミングで送信されていることになる。
言い換えれば、第一中継無線端末211は、親無線端末101が2番目のビーコン信号Bi(2)を送信する直前である、自局のNo.1−基本スロット40の下位スロット41のビーコン送信用スロット411(図3(a)参照)でビーコン信号Bii(1)を送信する。同様に第二中継無線端末221は、第一中継無線端末211が2番目のビーコン信号Bii(2)を送信する直前である、自局のNo.1−基本スロット40の下位スロット41のビーコン送信用スロット411でビーコン信号Biii(1)を送信する。
このように、下位機器となる中継無線端末201(第一中継無線端末211および第二中継無線端末221)は、上位機器(第一中継無線端末211から見た親無線端末101、第二中継無線端末221から見た第一中継無線端末211)が2番目のビーコン信号を送信する直前のスロット位置で、1番目のビーコン信号を送信するよう構成されている。
なお、前記構成では、下位機器は、全てのビーコン信号を受信して時計合わせを行うわけではなく、上位機器が送信するビーコン信号を定期的に受信し(図4に示す例ではT4秒、すなわち256個の基本スロット40毎に受信し)、時計合わせを行う。
また、上位機器から下位機器に向かう通信(下方向通信)では、中継無線端末は、全ての上位スロット42のリンク接続用スロット422で間欠的な受信待ち受け(受信キャリアセンス動作)を行い、上位機器から無線信号を待ち受ける。上位機器は、ビーコン信号を送信した直後のリンク接続用スロット412だけでなく、全ての下位スロット41のリンク接続用スロット412でリンク接続のための無線信号を送信することができる。
また、下位機器から上位機器に向かう通信(上方向通信)では、下位機器は、通信の必要性が生じたときに、直近で送信される上位機器からのビーコン信号を上位スロット42のビーコン受信用スロット421で受信し、次に続くリンク接続用スロット422と上位機器の下位スロット41のリンク接続用スロット412のタイミングを合わせ、前記リンク接続用スロット422でリンク接続のための無線信号を送信する。上位機器はビーコン信号を送信した直後のリンク接続用スロット412で間欠的な受信待ち受けを行う。
[親無線端末から子無線端末へのデータ通信]
次に、図4に示す例において、最上位の親無線端末101から最下位の子無線端末331に対してデータを送信する場合の通信動作について、図3(a),(b)と図5とを参照して具体的に説明する。
(I.データ通信動作)
まず、中継機である第一中継無線端末211および第二中継無線端末221は、全ての基本スロット40で毎回受信キャリアセンス動作を行っている。受信キャリアセンス動作とは、上位機器からの受信レベルが所定のレベル以上であるかどうかを検出し、前記所定のレベル未満であれば受信キャリアセンス動作を中止し待機状態に移行し、前記所定レベル以上であれば上位機器からのリンク接続要求信号を受信する、という動作である。
より具体的には、図3(a)に示すように、基本スロット40の上位スロット42にはリンク接続用スロット422が含まれており、このリンク接続用スロット422には、図3(b)に示すように、上位応答/上位発呼用スロット402bが含まれているので、第一中継無線端末211および第二中継無線端末221は、この上位応答/上位発呼用スロット402bにおいて受信キャリアセンス動作を行う。それゆえ、図5に示すように、親無線端末101は、子無線端末331宛のデータ送信要求(図中ブロック矢印Ds)が例えばNo.5−基本スロット40で発生した場合、No.6−基本スロット40の下位スロット41中の上位応答/上位発呼用スロット402bでリンク接続要求信号を送信する。
第一中継無線端末211は、No.4−基本スロット40の上位スロット42中の上位応答/上位発呼用スロット402bで受信キャリアセンス動作を行っており、親無線端末101からの前記リンク接続要求信号をキャリアセンスした後、受信することとなる。これにより、上位機器である親無線端末101と下位機器である第一中継無線端末211との間で無線リンクが接続されたことになる(リンク接続動作)。そこで、親無線端末101のNo.6−基本スロット40の下位スロット41と第一中継無線端末211のNo.4−基本スロット40の上位スロット42との間でデータ通信動作が行われ、親無線端末101から第一中継無線端末211にデータが伝送される(図中矢印L/D)。
次に、第一中継無線端末211は、親無線端末101と同様の動作により下位機器である第二中継無線端末221との間でリンク接続動作およびデータ通信動作を行い、第二中継無線端末221に対してデータを伝送する。すなわち、第一中継無線端末211は、No.4−基本スロット40の上位スロット42で親無線端末101からデータを受信しているので、No.5−基本スロット40の下位スロット41において親無線端末101と同様に、受信キャリアセンス動作を行う。
具体的には、図5に示すように、第一中継無線端末211のNo.5−基本スロット40の下位スロット41には、第二中継無線端末221のNo.3−基本スロット40の上位スロット42が対応するので、これらタイムスロットの間で、受信キャリアセンス動作が行われる。そして、第一中継無線端末211からのリンク接続要求信号を第二中継無線端末221が受信すれば、無線リンクが接続されたことになるので、続いてデータ通信動作が行われる(図中矢印L/D)。
さらに、第二中継無線端末221も、親無線端末101と同様の動作により下位機器である子無線端末331との間でリンク接続動作およびデータ通信動作を行い、子無線端末331に対してデータを伝送する。
ここで、中継機ではない末端の無線端末である子無線端末331は、第一中継無線端末211および第二中継無線端末221とは異なり、消費電力を削減するために受信キャリアセンス動作を間引いて行っている。例えば、本実施の形態では、4スロット毎に受信キャリアセンス動作を行っている。子無線端末331の基本スロット40が受信キャリアセンス動作を行っていなければ、当該基本スロット40に合わせて第二中継無線端末221がリンク接続要求信号を送信しても、子無線端末331はリンク接続要求信号を受信しないので、第二中継無線端末221と子無線端末331と間には無線リンクは接続されない。
後述するように、親無線端末101から送信される無線信号には、当該親無線端末101から子無線端末331に至るまでのルート情報が含まれており、このルート情報には、子無線端末331が受信キャリアセンス動作を行うスロット番号の情報も含まれている。それゆえ、第二中継無線端末221は、タイミング情報解析部26でルート情報を解析し、子無線端末331で受信キャリアセンス動作が行われているスロット番号が、例えば1、5、9・・・であることを認識する。
そして第二中継無線端末221は、図5に示すように、No.3−基本スロット40から見て子無線端末331の直近のキャリアセンスタイミングが、No.5−基本スロット40である(図中ブロック矢印Cs)ことを把握できるので、当該第二中継無線端末221のNo.7−基本スロット40の下位スロット41でリンク接続要求信号を送信する。子無線端末331はNo.5−基本スロット40で受信キャリアセンス動作を待ち受けているので、前記リンク接続要求信号を受信して無線リンクを接続し、第二中継無線端末221からデータの伝送を受ける。
(II.リンク接続動作)
ここで、前述した親無線端末101から子無線端末331までのデータ伝送に際して、上位機器および下位機器の間で行われるリンク接続動作について、図6(a),(b)および図7を参照して具体的に説明する。
まず、リンク接続要求信号の電文フォーマットは、図6(a)に示すように、n個の繰返しフレーム51とこれに続く本体フレーム52とから構成されている。このうちn個の繰返しフレーム51は、それぞれフレーム番号が1〜nまで付与されている。そして、1つの繰返しフレーム51は、図6(b)に示すように、ビット同期信号511、フレーム同期信号512、制御信号513および簡易ID514から構成されている。なお、繰返しフレーム51のフレーム長はT6であるので、n個の繰返しフレーム51のフレーム長(繰返し時間)T7=n×T6となる。
繰返しフレーム51を構成するビット同期信号511は、ビットのサンプリング位置を決定するための信号であり、フレーム同期信号512は、繰返しフレーム51に含まれるデータの先頭を検出するための信号である。また、制御信号513は、各種制御情報を記載する信号であり、簡易ID514は送信先の機器を識別する識別符号(ID)を短縮したものである。短縮していない元のIDのビットサイズが64ビットであれば、簡易ID514は元のIDを4分割して得られる16ビットの情報となる。なお、簡易ID514は発信元の機器を識別する識別符号(ID)を短縮したものとすることもできる。
制御信号513に記載されている制御情報には、簡易ID514に関する情報、繰返しフレーム51のフレーム番号等が含まれる。例えば、簡易ID514に関する情報とは、元のIDを4分割したうちの何れの情報が簡易ID514となっているか、という情報である。また、n個の繰返しフレーム51にそれぞれ付与されている前記フレーム番号も、制御情報として制御信号513に記載されている。図6(a)に示すように、繰返しフレーム51は、フレーム番号の大きいもの(最大のフレーム番号がn)から送信されるので、リンク接続要求信号50の先頭から繰返しフレーム51のフレーム番号は1つずつ減少し、本体フレーム52の直前の繰返しフレーム51のフレーム番号は1となる。
このようなリンク接続要求信号50を受信するために、前述したように受信キャリアセンス動作が行われるが、この受信キャリアセンス動作では、上位機器および下位機器がそれぞれ備える内部時計(クロック部)の時間がずれていることを考慮する必要がある。具体的には、図7の上段Iに示すように、上位機器からリンク接続要求信号50が送信され、これに対応して、図7の下段IIに示すように、下位機器では、リンク接続要求信号50の受信キャリアセンス動作が行われる。
なお、図7に関する説明では、下位機器の上位応答/上位発呼用スロット402bの先頭位置Psを「発呼用スロット先頭位置Ps」と略し、下位機器で受信キャリアセンス動作を行うタイミングCsを「キャリアセンスタイミングCs」と略す。このキャリアセンスタイミングは、後述する間欠受信タイミングに一致する。また、n個の繰返しフレーム51を「繰返しフレーム群51n」と称し、繰返しフレーム群51nの先頭位置Pnは「フレーム群先頭位置Pn」と略し、繰返しフレーム群51nの末尾位置P0は「フレーム群末尾位置P0」と略す。
図7の下段IIのうちII−1は、上位機器の時計と下位機器の時計との間で時間にずれが生じていない場合であり、下位機器の発呼用スロット先頭位置Psは、上位機器からのリンク接続要求信号50の先頭位置すなわちフレーム群先頭位置Pnに合致している。また、下位機器のキャリアセンスタイミングCsは、発呼用スロット先頭位置Psから時間T8後に設定され、このキャリアセンスタイミングCsが繰返しフレーム群51nを構成するn個の繰返しフレーム51のいずれかに対応していれば、下位機器は受信キャリアセンス動作に成功して本体フレーム52を受信することができる。なお、この時間T8を、説明の便宜上、「タイミング設定時間」と称する。
一方、図7の下段IIのうちII−2は、下位機器の時計が上位機器の時計よりも+ΔTだけ進んでいる場合である。この例では、下位機器の時計のずれがタイミング設定時間T8よりも少し短い程度(ΔT≒T8)に進んでいるために、下位機器の発呼用スロット先頭位置Psは、フレーム群先頭位置Pnよりも+ΔTだけ進んだ位置となり、それゆえ発呼用スロット先頭位置Psからタイミング設定時間T8後に設定されるキャリアセンスタイミングCsは、フレーム群先頭位置Pnの直後となっている。
また、図7の下段IIのうちII−3は、下位機器の時計が上位機器の時計よりも−ΔTだけ遅れている場合である。この例では、下位機器の時計のずれがタイミング設定時間T8よりも少し短い程度(ΔT≒T8)に遅れているために、下位機器の発呼用スロット先頭位置Psは、フレーム群先頭位置Pnよりも−ΔTだけ後れた位置となり、それゆえ発呼用スロット先頭位置Psからタイミング設定時間T8後に設定されるキャリアセンスタイミングCsは、フレーム群末尾位置P0の直前となっている。
キャリアセンスタイミングCs(受信キャリアセンス動作を行うタイミング)は、n個の繰返しフレーム51のいずれかに対応するタイミングでなければならない。したがって、図7に示すように、キャリアセンスタイミングCsは、フレーム群先頭位置Pnからフレーム群末尾位置P0の間に設定される必要がある。そこで、発呼用スロット先頭位置Psを基準として設定されるタイミング設定時間T8は、繰返しフレーム群51nのフレーム長T7の半分に設定される。これにより、上位機器および下位機器における時計ずれΔTが、−T8≦ΔT≦+T8の範囲内であれば、キャリアセンスタイミングCsは、フレーム群先頭位置Pnからフレーム群末尾位置P0の間に入るので、n個の繰返しフレーム51のいずれかで受信キャリアセンス動作を行うことができ、本体フレーム52を受信することができる。
より具体的には、上位機器の時計と下位機器の時計との最大相対誤差を±100ppmとし、下位機器の時計合わせ(ビーコン信号の受信)がT4=512秒の周期で行われれば、生じる時計ずれΔTは、最大で51.2ミリ秒となる。したがって、T8≧51.2ミリ秒となるように繰返しフレーム51の個数n(繰返しフレーム51の送信回数)を設定すれば、リンク接続要求信号の受信に失敗することは回避される。
さらに、本実施の形態においては、消費電力の増大を抑制または回避するために、上位機器では、ビーコン信号の受信(時計合わせ)からキャリアセンスタイミングまでの時間に応じて、繰返しフレーム51の送信回数nを変化させる制御が行われる。
具体的には、図4に示す例において、親無線端末101で子無線端末331宛のデータ送信要求がNo.5−基本スロット40で発生したとする。このとき、親無線端末101は、No.6−基本スロット40の下位スロット41における上位応答/上位発呼用スロット402bでリンク接続要求信号50を送信する。これに対して、第一中継無線端末211は、No.4−基本スロット40の上位スロット42における上位応答/上位発呼用スロット402bで受信キャリアセンス動作を行い、その後に親無線端末101からのリンク接続要求信号50を受信することになる。
ただし、下位機器である第一中継無線端末211は、親無線端末101から送信された第一階層のビーコン信号Bi(1)の受信タイミングで時計合わせを行っている。そのため、第一中継無線端末211のNo.4−基本スロット40では、親無線端末101との間で時計ずれはほとんど生じていない(ΔT≒0)。したがって、リンク接続要求信号50の繰返しフレーム51の送信回数nを最大時計ずれΔTmax(前述した例では、ΔTmax=51.2ミリ秒)に合わせて変更することは、通信制御の上で無駄が多く、消費電力を増大させてしまうおそれがある。
そこで、親無線端末101は、ビーコン信号Bi(1)を送信して第一中継無線端末211が時計合わせを行った時点から受信キャリアセンス動作を行うタイミングまでの時間を計測し、この計測時間の長さに応じて、リンク接続要求信号50中の繰返しフレーム51の送信回数nを変化する制御を行う。なお、時計合わせの時点から受信キャリアセンス動作のタイミングまでの時間を、説明の便宜上、「時計ずれ評価時間」と称する。
前記時計ずれ評価時間は、ビーコン信号Bi(1)を受信した基本スロット40から受信キャリアセンス動作を行った基本スロット40までの経過時間に対応するので、その長さはスロット番号と相関を有する。つまり、時計ずれ評価時間が短ければ、時計合わせしてから時間がそれほど経過していないため時計ずれΔTは小さいが、時計ずれ評価時間が長くなるほど時計ずれΔTは大きくなる。そこで、親無線端末101は、スロット番号が大きくなれば繰返しフレーム51の送信回数nを大きくするように変化させる制御を行えばよい。
例えば、ビーコン信号Bi(1)を送信した基本スロット40はスロット番号1であるので、親無線端末101がスロット番号Xの基本スロット40(No.X−基本スロット40)でリンク接続要求信号50を送信すれば、スロット番号Xを基本スロット40の総数で除算した数値を、繰返しフレーム51の送信回数nの可変制御に利用することができる。
具体的には、1周期における基本スロット40の総数は256個であるので、スロット番号Xを基本スロット40の総数で除算した数値はX/256となる。さらに、1つの繰返しフレーム51のフレーム長は、予めT6に設定されているので、送信回数nは、繰返しフレーム群51nのフレーム長T7を規定することになる。そして、最大時計ずれΔTmaxは、前述した例では51.2ミリ秒である。そこで、親無線端末101の制御部13は、T7≧(X/256)×(±51.2秒)となるように、繰返しフレーム51の送信回数nを設定する。
親無線端末101が、例えばNo.4−基本スロット40でリンク接続要求信号を送信する場合には、T7≧±0.8ミリ秒となるように送信回数nを変化させればよい。なお、1つの繰返しフレーム51のフレーム長T6が0.8ミリ秒よりも長い場合には、送信回数nは1回以上であればよい。
ここで、1つの基本スロット40内で行われる受信キャリアセンス動作のタイミング(キャリアセンスタイミングCs)は、基本スロット40中のリンク接続用スロット412内の上位応答/上位発呼用スロット402bの開始(発呼用スロット先頭位置Ps)からタイミング設定時間T8が経過したタイミングとして設定されている。そして、このタイミング設定時間T8はフレーム長T7の半分に設定されている(T8=T7/2)。それゆえ、繰返しフレーム51の送信回数n、すなわち、繰返しフレーム群51nのフレーム長T7が変化しても、タイミング設定時間T8が固定されていれば、親無線端末101と第一中継無線端末211との間の時計ずれΔTを実質的に相殺できても(ΔT=0)、フレーム長T7の半分の時間にキャリアセンスタイミングCsが位置しないことになる(図7参照)。これは、時計ずれΔTが正の場合と負の場合とで許容範囲に差が生じることを意味する。
そこで、第一中継無線端末211では、時計ずれΔT=0の場合に、キャリアセンスタイミングCsがフレーム長T7の中間時間(T7/2)となるように、タイミング設定時間T8をフレーム長T7の変化に連動して変化するよう制御を行えばよい。前述したように、フレーム長T7は、親無線端末101のスロット番号に相関を有するので、第一中継無線端末211では、受信キャリアセンス動作を行った基本スロット40のスロット番号(例えばスロット番号W)が、親無線端末101のいずれのスロット番号(例えばスロット番号X)に対応するかを換算し(W=X)、この換算したスロット番号からフレーム長T7の変化を算出すれば(例えば、T7≧(X/256)×(±52.2ミリ秒))、タイミング設定時間T8をフレーム長T7に連動させて変化させることができる。
なお、前述した説明では、タイミング設定時間T8をスロット番号に基づいて変化させているが、本発明はこれに限定されず、例えば、下位機器においてタイミング設定時間T8を固定値として設定し、代わりに、上位機器においてリンク接続要求信号50の送信を開始する位置(図7におけるフレーム群先頭位置Pnに対応する時間)を変化させることもできる。
上位機器からのリンク接続要求信号50は、基本スロット40の下位スロット41中の上位応答/上位発呼用スロット402bで送信されるが、リンク接続要求信号50の送信を開始するタイミングを、基本スロット40のスロット番号に応じて変化させる制御を行う。スロット番号が大きくなるとフレーム長T7が大きくなるので、リンク接続要求信号50の送信開始のタイミングを早く進めることで、フレーム長T7の中間時間がキャリアセンスタイミングCsの位置に対応させることができる。
[子無線端末から親無線端末へのデータ通信]
次に、図4に示す例において、最下位の子無線端末331から最上位の親無線端末101に対してデータを送信する場合の通信動作について、図3(a),(b)と図8とを参照して具体的に説明する。
下位機器から上位機器に対してデータ送信要求が発生した場合、前述したように、下位機器は上位機器が送信するビーコン信号をビーコン受信用スロット421(図3(a)参照)で受信して時計合わせを行う。さらに、下位機器から上位機器へデータ送信を行うには、前述した親無線端末101から子無線端末331へのデータ送信と同様にリンク接続動作が行われるが、このときのリンク接続要求信号(図6(a)参照)の送信は、ビーコン信号を受信したビーコン受信用スロット421の直後となるリンク接続用スロット412中の下位発呼用スロット402aで行われる。
図4に示す例では、前述したように、子無線端末331は、第二中継無線端末221からの第三階層のビーコン信号Biiiを受信して時計合わせを行う。このビーコン信号Biiiは、前述したように2スロット毎に送信されるので、基本スロット40のスロット長T1=2秒であれば、ビーコン信号Biiiは4秒毎に送信されることになる。それゆえ、子無線端末331は、データ送信要求が発生してから4秒以内に第二中継無線端末221からのビーコン信号Biiiを受信することができる。
例えば、図8に示すように、子無線端末331のNo.252−基本スロット40でデータ送信要求(図中ブロック矢印Ds)が発生した場合、当該子無線端末331は、第二中継無線端末221のNo.255−基本スロット40で送信されるビーコン信号Biii(m)をNo.253−基本スロット40で受信して時計合わせを行う。これにより、子無線端末331のNo.253−基本スロット40の上位スロット42中のリンク接続用スロット422のスロット位置は、第二中継無線端末221のNo.255−基本スロット40の下位スロット41のリンク接続用スロット412に位置合わせされる。
このリンク接続用スロット412,422の位置合わせ(時計合わせ)により、子無線端末331から送信されたリンク接続要求信号は、前述した受信キャリアセンス動作(図7参照)と同様に第二中継無線端末221のNo.255−基本スロット40の下位スロット41で受信され、リンク接続動作が行われる。なお、リンク接続要求信号の電文フォーマットは、図6(a)に示す構成と同様であるが、時計ずれΔTがほとんど生じていないため、繰返しフレーム51の送信回数(繰返し回数)nは少なくてよい。
このようにリンク接続動作が行われれば、子無線端末331は、No.253−基本スロット40の上位スロット42中のデータ通信用スロット423において、親無線端末101宛の無線信号を送信する(図中矢印L/D)。第二中継無線端末221は、子無線端末331のNo.243−基本スロット40に対応するNo.255−基本スロット40の下位スロット41中のデータ通信用スロット413で親無線端末101宛の無線信号を受信する(図中矢印L/D)。
次に、第二中継無線端末221は、第一中継無線端末211が送信する第二階層のビーコン信号Biiを受信して第一中継無線端末211との間で時計合わせを行う。第二中継無線端末221は、子無線端末331との間でNo.255−基本スロット40の下位スロット41でデータ通信を行っているので、この下位スロット41に続く上位スロット42でビーコン信号Biiを受信することができる。No.255−基本スロット40に対応する第一中継無線端末211の基本スロット40は、No.1−基本スロット40であるため、第二中継無線端末221は、このNo.1−基本スロット40から送信されるビーコン信号Bii(1)を受信することになる。
ビーコン信号Bii(1)の受信によって、第二中継無線端末221のNo.255−基本スロット40の上位スロット42中のリンク接続用スロット422のスロット位置は、第一中継無線端末211のNo.1−基本スロット40の下位スロット41のリンク接続用スロット412に位置合わせされるので、第二中継無線端末221から送信されたリンク接続要求信号は、第一中継無線端末211のNo.1−基本スロット40の下位スロット41で受信される。これにより、リンク接続動作が行われ、第二中継無線端末221と第一中継無線端末211との間でデータ通信動作(親無線端末101宛の無線信号の送受信)が行われる(図中矢印L/D)。
同様に、第一中継無線端末211は、親無線端末101が送信する第一階層のビーコン信号Biを受信して親無線端末101との間で時計合わせを行う。第一中継無線端末211は、第二中継無線端末221との間でNo.1−基本スロット40の下位スロット41でデータ通信を行っているので、この下位スロット41に続く上位スロット42でビーコン信号Biを受信することができる。No.1−基本スロット40に対応する親無線端末101の基本スロット40は、No.3−基本スロット40であるため、第一中継無線端末211は、このNo.3−基本スロット40から送信されるビーコン信号Bi(2)を受信することになる。
ビーコン信号Bi(2)の受信によって、第一中継無線端末211のNo.1−基本スロット40の上位スロット42中のリンク接続用スロット422のスロット位置は、親無線端末101のNo.3−基本スロット40の下位スロット41のリンク接続用スロット412に位置合わせされるので、第一中継無線端末211から送信されたリンク接続要求信号は、親無線端末101のNo.3−基本スロット40の下位スロット41で受信される。これにより、リンク接続動作が行われ、第一中継無線端末211と親無線端末101との間でデータ通信動作(親無線端末101宛の無線信号の送受信)が行われる(図中矢印L/D)。
このように、下位機器から上位機器宛のデータ送信が行われる場合、図8に示す例では、下位機器において、当該下位機器からビーコン信号が送信された直後の基本スロット40で、上位機器からビーコン信号が送信される。それゆえ、当該直後の基本スロット40においてリンク接続動作およびデータ通信動作を行うことができるので、最下位の子無線端末331から複数の中継無線端末201(第一中継無線端末211および第二中継無線端末221)を介して親無線端末101宛に無線信号を中継伝送する場合に、大きな遅延の発生を抑えることができ、効率的な無線通信が可能となる。
[子無線端末の無線通信システムへの参入]
次に、前記構成の無線通信システムに対して、新規の子無線端末301が参入する際の動作について、図9を参照して具体的に説明する。なお、図9では、図中上方から下方に向かって時間の経過を示し、また、無線信号の送信を黒く塗りつぶした菱形で示すとともに無線信号の受信を白抜きの丸で示している。
(I.子無線端末の新規参入)
例えば図9に示すように、無線通信システムが、親無線端末101、第一中継無線端末211、および第二中継無線端末221を含む構成(図2および図4参照)であり、この構成の無線通信システムに対して、例えば子無線端末331を新規に参入させるとする。子無線端末331の電源をONすれば、当該子無線端末331は、受信動作を所定時間行うことにより、ビーコン信号の受信を試みる。前記所定時間内に複数のビーコン信号を受信した場合には、所定の判断条件に従って、いずれのビーコン信号に基づいて自局の時計合わせを行うか決定する。このときの判断条件としては、受信したビーコン信号の受信レベル、受信したビーコン信号の送信元の中継無線端末201の中継段数情報を挙げることができる。
図9に示す例では、子無線端末331は、第二中継無線端末221からの第三階層のビーコン信号Biiiを受信して時計合わせを行い、リンク接続要求信号を第二中継無線端末221に送信する。例えば、ビーコン信号BiiiがNo.X−基本スロット40の上位スロット42のビーコン受信用スロット421で受信されれば、これに続くリンク接続用スロット422(図3(a)参照)中の下位発呼用スロット402aでリンク接続要求信号50(図6(a)参照)が送信される。このとき、リンク接続要求信号50の繰返しフレーム51の数(送信回数)n=5である。そして、下位発呼用スロット402aに続く上位応答/上位発呼用スロット402b(図3(b)参照)で、第二中継無線端末221からのリンク接続を許可する応答信号を受信する。これにより、第二中継無線端末221と子無線端末331との間で無線リンクの接続が確立される(図9では、無線リンクの接続を「L」で示す)。
次に、子無線端末331は、最終宛先が親無線端末101宛である参入要求信号Sdを無線リンクが接続された第二中継無線端末221に送信し、中継伝送を依頼する。この参入要求信号Sdは、前記応答信号を受信した上位応答/上位発呼用スロット402b(リンク接続用スロット422)に続くデータ通信用スロット423(図3(a)参照)で送信される。そして、この参入要求信号Sdには、最終宛先まで中継伝送するためのフレーム信号(後述するレイヤ3フレーム)と、子無線端末331からのルート情報とが含まれ、このルート情報にはスロット位置情報dt0が含まれる。
前述したように、子無線端末301は、中継無線端末201とは異なり、受信キャリアセンス動作(受信の待ち受け動作)を毎回の基本スロット40で行わずに、数スロット毎の周期で間欠的に行っている。それゆえ、子無線端末331も間欠的に受信キャリアセンス動作(受信の間欠待ち受け動作)を行うが、新規参入時には、親無線端末101から参入許可信号Saを受信する必要がある。この参入許可信号Saは子無線端末331から送信された参入要求信号Sdに基づいて親無線端末101が作成し、中継無線端末201を介して子無線端末331に送信される。それゆえ、中継無線端末201は、子無線端末331における間欠的な受信キャリアセンス動作に合わせた参入許可信号Saを送信することが望ましい。
そこで、前記ルート情報には、子無線端末331が受信キャリアセンス動作を行うタイミング(キャリアセンスタイミングCs、図5および図7参照)の基本スロット40のスロット番号を示す情報、すなわちスロット位置情報dt0が含まれる。言い換えれば、スロット位置情報dt0は、親無線端末101からの参入許可信号Saの受信を間欠的に待ち受けるタイミング(間欠受信タイミング)のスロット番号に相当し、子無線端末331のタイミング情報送信部24で作成されて送信される。なお、スロット位置情報dt0は、子無線端末331の間欠受信タイミングを特定するための情報であるので、「間欠受信タイミング情報」ということができる。また、スロット位置情報dt0に関する情報は前述したように記憶部14に記憶される。
第二中継無線端末221は、子無線端末331から参入要求信号Sdを受信すれば、当該参入要求信号Sdに含まれるルート情報をタイミング情報解析部26により解析する。タイミング情報解析部26は、解析結果に基づいて新たにルート情報を作成するが、このルート情報には、子無線端末331で作成された前記スロット位置情報dt0に加え、当該第二中継無線端末221に関する中継端末情報dr2が含まれている。第二中継無線端末221は、作成したルート情報を参入要求信号Sdに組み込み、第一中継無線端末211に送信する。
第一中継無線端末211は、第二中継無線端末221から参入要求信号Sdを受信すれば、第二中継無線端末221と同様にタイミング情報解析部26によりルート情報を解析する。タイミング情報解析部26は、解析結果に基づいて新たにルート情報を作成するが、このルート情報には、前記スロット位置情報dt0、第二中継無線端末221に関する中継端末情報dr2に加えて、第一中継無線端末211に関する中継端末情報dr1が含まれている。第一中継無線端末211は、作成したルート情報を参入要求信号Sdに組み込み、親無線端末101に送信する。
このように、発信元の子無線端末331は、タイミング情報送信部24でスロット位置情報dt0を作成してルート情報に組み込むよう構成されており、発信元の下位機器と最終宛先の上位機器との間に介在する中継無線端末201は、タイミング情報解析部26でルート情報を作成する際に、自局の中継端末情報(dr1,dr2)をルート情報に組み込むよう構成されている。それゆえ、ルート情報は、参入要求信号Sdの中継ルートに関する情報が含まれるとともに、参入要求信号Sdを受けて返送される参入許可信号Saを子無線端末331が受信を間欠的に待ち受けるタイミングの情報(間欠受信タイミング情報、図9ではスロット位置情報dt0)も含まれていることになる。
親無線端末101は、第一中継無線端末211から参入要求信号Sdを受信すれば、第二中継無線端末221および第一中継無線端末211と同様にルート情報解析作成部23によりルート情報を解析する。ルート情報には中継端末情報dr1,dr2が含まれているため、これら中継端末情報dr1,dr2を解析することで、親無線端末101から子無線端末331までの中継ルートを把握することができる。親無線端末101は、参入要求信号Sdに基づいて参入許可信号Saを作成するが、この参入許可信号Saにもルート情報(スロット位置情報dt0および中継端末情報dr1,dr2を含む)が組み込まれる。このルート情報は、親無線端末101のルート情報解析作成部23で作成されて参入許可信号Saに組み込まれる。なお、ルート情報に関わる情報(スロット位置情報dt0および中継端末情報dr1,dr2を含む)は親無線端末101の記憶部14に記憶される。
図9に示すように、親無線端末101は、作成した参入許可信号Saを第一中継無線端末211に送信する。第一中継無線端末211は、前述したように、受信した参入許可信号Saに含まれるルート情報(スロット位置情報dt0および中継端末情報dr1,dr2等)を解析して新たなルート情報(スロット位置情報dt0および中継端末情報dr2)を作成して参入許可信号Saに組み込み、第二中継無線端末221に送信する。
第二中継無線端末221も、前述したように、受信した参入許可信号Saに含まれるルート情報を解析して新たなルート情報を作成して参入許可信号Saに組み込み、子無線端末331に送信する。このときルート情報にはスロット位置情報dt0が含まれているので、第二中継無線端末221は、スロット位置情報dt0に基づいて、子無線端末331における間欠受信タイミング(受信を間欠的に待ち受けるタイミング)に合わせて参入許可信号Saを送信する(図9では、間欠受信タイミングをキャリアセンスタイミングCsとして図示している)。それゆえ、子無線端末331は、例えば、雑音等の少ない適切なタイミングに合わせて参入許可信号Saを受信することが可能となる。
このように、子無線端末331は、新規参入時に、親無線端末101から返送されてくる参入許可信号Saを待ち受ける間欠受信タイミングのスロット位置(スロット位置情報dt0)を自局で決定している。これにより、子無線端末331の間欠受信タイミングに合わせて上位機器から参入許可信号Saが送信されることになるので、子無線端末331は、自局で決定した間欠受信タイミング(キャリアセンスタイミングCsとなる基本スロット40)まで待機状態で維持することができる。
その結果、参入許可信号Saを受信するために受信キャリアセンス動作の回数を増やしたり周期を変更したりする必要がなくなり、消費電力の増加をより一層有効に抑えることができるとともに、適切なタイミングに合わせて参入許可信号Saを受信することができるので、受信性能をより一層向上することができる。
なお、図9では、子無線端末331が参入要求信号Sdを送信する場合のみリンク接続動作を行うように図示しているが、実際には、第二中継無線端末221および第一中継無線端末211から送信される参入要求信号Sdについてもリンク接続動作を行っており、同様に、参入許可信号Saの送信についてもリンク接続動作を行っている。つまり、図9では、説明の便宜上、子無線端末331が参入要求信号Sdを送信する場合のみを図示し、他のリンク接続動作についてはその図示を省略している。
また、無線通信システムを構成する各無線通信装置におけるルート情報の管理の概要について説明する。まず、子無線端末301は、自局の上位機器となる中継無線端末201(子無線端末331であれば第二中継無線端末221)のスロット位置情報dt0だけを管理する。次に、中継無線端末201は、自局の直下に属する中継無線端末201(下位機器、例えば第一中継無線端末211から見て第二中継無線端末221)をテーブルにより管理している。具体的には、中継無線端末201は、自局の管理対象となる中継無線端末201(下位機器)を管理するテーブルを保有しており、このテーブルは、テーブル番号と管理対象の中継無線端末201(下位機器)との対応が取れるように構成されている。親無線端末101は、子無線端末301のスロット位置情報dt0および子無線端末301から親無線端末101までの中継ルートに存在する中継無線端末201のテーブル番号を管理している。
(II.データ通信用信号の構成)
ここで、子無線端末331(下位機器)から親無線端末101(上位機器)宛に送信される参入要求信号Sdと、親無線端末101(上位機器)から子無線端末331(下位機器)宛に返送される参入許可信号Saとは、いずれも共通の構成を有している。つまり、参入要求信号Sdも参入許可信号Saも、基本スロット40のデータ通信用スロット423(図3(a)参照)で通信されるデータ通信用信号60であり、それゆえ、これら無線信号もこれら以外の無線信号も基本的に同一の電文フォーマットを有している。そこでデータ通信用信号60の詳細について、図10を参照して具体的に説明する。
図10に示すように、データ通信用信号60(参入要求信号Sd、参入許可信号Sa、その他の信号)は、ビット同期信号61、フレーム同期信号62、制御信号63、リンク相手ID64、自局ID65、およびレイヤ3フレーム66から構成されている。
ビット同期信号61は、ビットのサンプリング位置を決定するための信号であり、フレーム同期信号62は、データ通信用信号60に含まれるデータの先頭を検出するための信号であり、制御信号63は、各種制御情報を記載する信号である。なお、制御信号63には、リンク相手ID64の先頭からレイヤ3フレーム66の末尾までの信号長の情報も含まれている。それゆえ、データ通信用信号60を受信した上位機器の無線通信装置では、制御信号63を解析することにより、当該データ通信用信号60をどこまで受信したらよいか把握することができる。
リンク相手ID64は、データ通信用信号60が送信される相手先、すなわち無線リンクが接続された相手先のIDであり、データ通信用信号60が子無線端末331から送信されるのであれば、第二中継無線端末221のIDである。また、自局ID65は、データ通信用信号60の送信元のIDであり、送信元が子無線端末331であれば、当該子無線端末331のIDである。
レイヤ3フレーム66は、データ通信用信号60を最終宛先まで中継伝送するためのフレーム信号である。つまり、データ通信用信号60を構成する他の信号およびIDは、当該データ通信用信号60を送受信する下位機器および上位機器の組合せに応じて作成されて送信されるが、レイヤ3フレーム66は、発信元(最初の送信元)である子無線端末331から、第一中継無線端末211および第二中継無線端末221を経由して最終宛先である親無線端末101まで送信される。
レイヤ3フレーム66は、図10に示すように、認証コード661、ルート情報662、レイヤ3ID663、およびアプリケーションデータ664から構成されている。認証コード661はレイヤ3フレーム66が正規のフレームであるか否かをチェックするためのコードである。ルート情報662は、子無線端末331から親無線端末101までの中継ルートの情報であり、子無線端末331および親無線端末101の間に介在する第一中継無線端末211および第二中継無線端末221で作成され、レイヤ3フレーム66に組み込まれる。レイヤ3ID663は、発信元である子無線端末331のIDである。アプリケーションデータ664は、最終宛先である親無線端末101に伝送するアプリケーションに関係したデータである。
(III.ルート情報の構成)
レイヤ3フレーム66に含まれるルート情報662について、図11(a)〜(c)を参照して具体的に説明する。図11(a)に示すように、ルート情報662は8バイトで構成され、1バイト目から7バイト目までは中継端末情報620(図9における中継端末情報dr1,dr2に対応)が格納され、8バイト目にはスロット位置情報665(図9におけるスロット位置情報dt0に対応)が格納される。
中継端末情報620は、データ通信用信号60の最初の発信元である子無線端末331から最終宛先である親無線端末101までの中継ルート上に存在する中継無線端末201に関する情報であり、そのサイズは8ビットである。図2に示す例では、第一中継無線端末211および第二中継無線端末221の2台であるが、ルート情報662には、最大7段目までの中継端末情報620を格納することができる。
図11(a)に示すように、ルート情報662の1バイト目には1段目中継端末情報621が格納され、図2に示す例では、親無線端末101から見て1段目である第一中継無線端末211の情報が格納される。また、2バイト目には2段目中継端末情報622が格納され、図2に示す例では、親無線端末101から見て2段目である第二中継無線端末221の情報が格納される。3バイト目から7バイト目までも同様に、3段目中継端末情報623、4段目中継端末情報624、5段目中継端末情報625、6段目中継端末情報626、7段目中継端末情報627がそれぞれ格納される。
中継端末情報620のビット構成について具体的に説明すると、図11(b)に示すように、ルート情報662が上位機器から下位機器に送信される場合と、下位機器から上位機器に送信される場合とで一部のビット構成が異なっている。子無線端末331から親無線端末101に送信される参入要求信号Sdは、下位機器から上位機器に送信されるデータ通信用信号60であるが、親無線端末101から子無線端末331に送信される参入許可信号Saは、上位機器から下位機器に送信されるデータ通信用信号60であるので、これらデータ通信用信号60においては、それぞれ含まれるルート情報662のビット構成に違いが生ずる。
図11(b)の上段に示す中継端末情報620aは、下位機器から上位機器に送信される場合(参入要求信号Sd等)に対応し、そのデータビットD7は、中継無線端末201が管理するテーブルが限界に達しているか否かを識別する識別子となっている。つまり、前述したルート情報662の管理に関して説明したように、中継無線端末201は、自局の直下に属する中継無線端末201(下位機器)をテーブルにより管理しているが、管理対象となる中継無線端末201の数が上限に達しているか否かを、前記識別子で識別する。
一方、図11(b)の下段に示す中継端末情報620bは、上位機器から下位機器に送信される場合(参入許可信号等)に対応し、そのデータビットD7は、中継無線端末201がそれぞれ保有するテーブル番号の削除要求があるか否かとなっており、この削除要求は親無線端末101が行う。つまり、中継無線端末201が保有するテーブルは、テーブル番号と管理対象の中継無線端末201(下位機器)との対応が取れるように構成されているが、親無線端末101の要求によりテーブル番号を削除して、特定の中継無線端末201(下位機器)を管理対象から外すか否かを、前記識別子で識別する。
また、上段の中継端末情報620aのデータビットD6は、直下に属する中継無線端末201(下位機器)がテーブルに登録されておらず、その段階で最初にテーブルに登録された中継無線端末201であるか否かを識別する識別子となっている。一方、下段の中継端末情報620bのデータビットD6は「0」に固定されている。
次に、上段の中継端末情報620aおよび下段の中継端末情報620bのいずれにおいても、そのデータビットD5〜D0は、いずれも中継ルートに介在する中継無線端末201がそれぞれ管理対象の中継無線端末201(下位機器)のテーブル番号となっている。本実施の形態では、管理できるテーブル番号は「63」までとなっている。すなわち、テーブル番号「0」を除いて、テーブル番号「1」〜「63」までの63個の中継無線端末201を管理することができる。
より具体的な例を挙げると、図2に示すように、無線通信システムが3階層で構成されており、中継無線端末201が、第一中継無線端末211、第二中継無線端末221、および第三中継無線端末231の3台含まれていれば、ルート情報662の1バイト目には第一中継無線端末211のテーブル番号が格納され、2バイト目には第二中継無線端末221のテーブル番号が格納される。そして、3バイト目にはテーブル番号として「0」が格納される。これは、第三中継無線端末231には、下位機器となる中継無線端末201が接続されていないためである。なお、4バイト目以降についてもテーブル番号として「0」が格納される。
言い換えれば、無線通信システムがw階層(w:自然数)で構成されていれば、当該無線通信システムに含まれる複数の中継無線端末201の台数(すなわち中継段数)もwとなるので、ルート情報662の1〜7バイト目のうち1〜w−1バイト目までは、1〜w−1段目までの中継無線端末201のテーブル番号が格納される。そして、wバイト目には、w段目の中継無線端末201のテーブル番号が格納されることになるが、当該w段目の中継無線端末201は「中継器として最下位」でありテーブル番号が不要なので、テーブル番号として「0」が格納される。
このように、ルート情報662の1〜7バイト目は中継端末情報620が格納されるが、8バイト目は、前述したようにスロット位置情報665が格納されている。このスロット位置情報665とは、データ通信用信号60の発信元である子無線端末331が、直上の第二中継無線端末221からの無線信号の受信を待ち受けるスロット番号(スロット位置)を意味する。前述したように末端の無線端末である子無線端末301は、消費電力を削減するために、無線信号の受信を待ち受ける動作、すなわち受信キャリアセンス動作を間引いて行っている。そこで、8バイト目には、受信キャリアセンス動作を行うスロット位置情報665が格納される。このスロット位置情報665のサイズも8ビットである。
スロット位置情報665のビット構成について具体的に説明すると、図11(c)に示すように、中継端末情報620とは異なり、ルート情報662が上位機器から下位機器に送信される場合であっても、下位機器から上位機器に送信される場合であっても、ビット構成は基本的に同じである。
具体的には、図11(c)に示すように、スロット位置情報665においては、そのデータビットD7およびD6は「0」固定となっている。また、データビットD5およびD4は、下位機器における間欠受信周期Mを示している。この間欠受信周期Mとは、下位機器が上位機器に対する受信キャリアセンス動作を行う周期である。例えば、下位機器が中継無線端末201であれば、通常、中継無線端末201は毎回の基本スロット40で受信キャリアセンス動作を行っているので、間欠受信周期M=1となる。一方、前述した子無線端末331のように、4スロット毎に受信キャリアセンス動作を行っている場合には、間欠受信周期M=4となり、2スロット毎に受信キャリアセンス動作を行っている場合には、間欠受信周期M=2となる。
なお、データビットD5およびD4に格納される値は、間欠受信周期Mそのものではなく、次に示すように対応付けしたMa値の二進数が格納される。
M=1…Ma=0、M=2…Ma=1、M=4…Ma=2、M=8…Ma=4
すなわち間欠受信周期Mは、「1」、「2」、「4」および「8」の4パターンに設定することができる。
また、ルート情報662が上位機器から下位機器に送信される場合には、データビットD5およびD4の間欠受信周期Mは、「上位機器から見て最終宛先となる下位機器の間欠受信周期M」を示すことになる。一方、ルート情報662が下位機器から上位機器に送信される場合には、データビットD5およびD4の間欠受信周期Mは、「発呼元である下位機器の間欠受信周期M」を示すことになる。
次に、スロット位置情報665のデータビットD3〜D0は、センターポーリングを行っているスロット番号Yを導き出すためのスロット情報Zを示している。センターポーリングは、上位機器から下位機器に対する無線通信要求であるので、センターポーリングを行っているスロット番号Yとは、上位機器となる中継無線端末201からの無線信号の受信を間欠的に待ち受けている(受信キャリアセンス動作を行っている)スロット番号Yを意味する。このスロット番号Yを説明の便宜上「待ち受けスロット番号Y」と称すれば、スロット情報Zとは、基準スロット番号Y0から数えて(Z−1)番目の基本スロット40のスロット番号を示している。なお、Zの範囲は、Z=1〜Mまでである。
ここで、基準スロット番号Y0は、次の式(1)で定義される。なお、式(1)におけるAは、0からスロット数255(すなわちn−1)を間欠受信周期Mで除した数までの整数(すなわち、A=0〜(n−1)/Mのいずれかの整数)である。
Y0=(A×M)+1 ・・・(1)
より具体的には、基準スロット番号Y0は、スロット番号1、M+1、2M+1、3M+1・・・となり、Mスロット毎に存在することになる。それゆえ、待ち受けスロット番号Y、すなわち、実際に受信待ち受け状態にある基本スロット40のスロット番号は、次に示す式(2)で表すことができる。ただし、スロット情報Zは前記の通り1〜Mのいずれかの整数である。
Y=Y0+(Z−1) ・・・(2)
なお、親無線端末101は、子無線端末331の間欠受信周期Mとスロット情報Zとの2つの情報を受信すれば、子無線端末331のルート情報テーブルを作成する。ここで、間欠受信周期Mは、無線通信システムを構成する各無線通信装置に共通の値を用いることが望ましいが、それぞれの子無線端末301で異なる値であってもかまわない。また、スロット情報Zはそれぞれの子無線端末301で任意に設定することができる。
(IV.ルート情報の作成および管理の一例)
図2に示す無線通信システムにおいて、前記構成のルート情報662の作成および管理について、一例を挙げて具体的に説明する。まず、子無線端末331で作成されたルート情報662は、1台も中継無線端末201を経由していないので、8バイト目のスロット位置情報665のみであり、1バイト目から7バイト目までの中継端末情報620(1段目中継端末情報621〜7段目中継端末情報627)には「0X00」が挿入される。なお、ルート情報662(これを含むデータ通信用信号60)の発信元が中継無線端末201であれば、すなわち新規に中継無線端末201が参入する場合には、1バイト目から7バイト目までの中継端末情報620には「0XFF」が挿入される。
子無線端末331で作成されたルート情報662は、データ通信用信号60に組み込まれて第二中継無線端末221に送信される。第二中継無線端末221は、子無線端末331からデータ通信用信号60を受信すると、これに含まれるルート情報662を解析する。具体的には、ルート情報662における自局の段数に相当するバイトを解析する。第二中継無線端末221は親無線端末101から見て2段目の中継無線端末201に対応するので、ルート情報662の2バイト目(図11(a)参照)を解析する。解析結果が「0X00」であれば、第二中継無線端末221は、第三階層に属する下位機器のうち子無線端末301のいずれか、すなわち子無線端末331〜333のいずれかから中継要求があった(データ通信用信号60が送信された)と解釈する。
したがって、第二中継無線端末221は、子無線端末331〜333のいずれかからの中継要求であれば、自局の属する段数目のバイトにテーブル番号「0」を設定する。第二中継無線端末221は、前記の通り2段目であり、送信元が子無線端末331であるので、2バイト目のデータビットD5〜D0(図11(b)の上段参照)にテーブル番号「0」を設定する。そして、一段上位の中継段数に対応する、1バイト目のデータビットD5〜D0(図11(b)の上段参照)に「0XFF」を挿入する。
なお、ルート情報662の解析結果が「0XFF」であれば、第三階層に属する下位機器のうち中継無線端末201、すなわち図2に示す3段目の中継無線端末231(第三中継無線端末231)から中継要求があったと解釈する。この場合、中継無線端末231に対応するテーブル番号を、自局の属する段数目のバイト(2バイト目のデータビットD5〜D0)に設定する。ここで、中継要求が中継無線端末231からであるにも関わらず、自局が管理するテーブルに中継端末情報620が存在しない場合には、当該テーブルに中継無線端末231を登録し、登録したテーブル番号を自局の属する段数目のバイト(2バイト目のデータビットD5〜D0)に設定する。
このように第二中継無線端末221で解析されて作成されたルート情報662は、データ通信用信号60に組み込まれて第一中継無線端末211に送信される。そして、第一中継無線端末211においても第二中継無線端末221と同様にしてルート情報662の解析と作成とが行われる。第一中継無線端末211は、第二階層の上位機器(すなわち1段目の中継器)であるので1バイト目を解析する。このとき1バイト目は「0XFF」であるので、第二階層に属する下位機器のうち中継無線端末201、すなわち図2に示す2段目の中継無線端末221(第二中継無線端末221)から中継要求があったと解釈する。そして、第一中継無線端末221は、親無線端末101から見て1段目の中継無線端末201に対応するので、ルート情報662の1バイト目のデータビットD5〜D0に第二中継無線端末221に対応するテーブル番号を設定する。
そして、第一中継無線端末211で解析されて作成されたルート情報662は、データ通信用信号60に組み込まれて親無線端末101に送信される。親無線端末101ではルート情報662を解析することにより、子無線端末331までの中継ルートを確認することができる。すなわち、ルート情報662の1バイト目には、第一中継無線端末211が管理する第二中継無線端末221のIDに対応したテーブル番号が格納されており、ルート情報662の2バイト目には、テーブル番号「0」が格納されているので、データ通信用信号60の発信元が、第二中継無線端末221の下位機器となる子無線端末301のいずれかであることが明らかとなる。
そして、ルート情報662の8バイト目には、発信元である子無線端末331の間欠受信周期Mとスロット情報Zとを含むスロット位置情報665が格納されている。また、発信元である子無線端末331のIDは、レイヤ3ID663から知ることができる。
このように、親無線端末101は、当該子無線端末331から発信されるデータ通信用信号60により、子無線端末331までの中継ルートを把握することができる。データ通信用信号60は、子無線端末331が新規に参入した時点で親無線端末101に送信されるので、親無線端末101と子無線端末331との間で何度も中継伝送(中継通信)をする必要がなく、親無線端末101は、初回の通信で中継ルートを確認することができる。また、データ通信用信号60に含まれるルート情報662は、前述した構成を有しているので、親無線端末101は、ルート情報662を解析することにより、ルート情報テーブルを作成することができ、中継ルートを適切に確認することができる。
[ポーリングデータの送信]
次に親無線端末101から子無線端末301にポーリングデータを送信する場合について、図2を参照して具体的に説明する。
親無線端末101は、例えば子無線端末331に対するポーリングデータの送信要求が発生すれば、自局の有するルート情報テーブルを参照し、子無線端末331までの中継ルートおよび子無線端末331の間欠受信周期Mおよびスロット情報Zを含むルート情報662を作成する。このルート情報662は、データ通信用信号であるポーリング信号(図10参照)のレイヤ3フレーム66に組み込まれる。
そして、親無線端末101は、下位スロット41のリンク接続用スロット412中の上位応答/上位発呼用スロット402bで第一中継無線端末211宛にリンク接続要求信号(図6(a)参照)を送信する。第一中継無線端末211は全ての上位スロット42(具体的には、上位応答/上位発呼用スロット402b)で受信キャリアセンス動作を行っているので、親無線端末101から送信された自局宛のリンク接続要求信号を速やかに受信することができる。
その後、第一中継無線端末211は、上位スロット42のデータ通信用スロット423で親無線端末101から送信されるポーリング信号を受信し、当該ポーリング信号のレイヤ3フレーム66に含まれるレイヤ3ID663を確認し、自局宛のポーリング信号であるか否かを判定する。自局宛でなければ中継要求であると判定し、ルート情報662の1バイト目(図11(a)参照)を解析する。
ルート情報662の解析の結果、1バイト目のデータビットD5〜D0に格納されているテーブル番号が「0」であれば、受信したポーリング信号は、自局の直下に属する子無線端末301宛であると判定されるが、このポーリング信号は子無線端末331宛であるため、1バイト目のデータビットD5〜D0に格納されているテーブル番号は、第二中継無線端末221のIDに対応するテーブル番号となっている。したがって第一中継無線端末211は、1バイト目のデータビットD5〜D0格納されているテーブル番号から、自局の保有するテーブルを参照し、次の中継先である第二中継無線端末221のIDを把握する。
その後、第一中継無線端末211は、親無線端末101と同様な手順で第二中継無線端末221との間にリンク接続動作を行い、第二中継無線端末221に対してポーリング信号を中継送信する。第二中継無線端末221は、前述した第一中継無線端末211と同様に受信したポーリング信号のルート情報662を解析し、当該ルート情報662の2バイト目のデータビットD5〜D0に格納されているテーブル番号を確認する。2バイト目のデータビットD5〜D0に格納されているテーブル番号は「0」であるので、第二中継無線端末221は、受信したポーリング信号が、自局の直下に属する子無線端末331〜333のいずれか宛であると認識する。さらに、ポーリング信号中のレイヤ3ID663(図10参照)を確認することで、最終的な宛先である子無線端末331のIDを確認することができる。
さらに、第二中継無線端末221は、ルート情報662の8バイト目のスロット位置情報665を解析し、子無線端末331の間欠受信周期Mおよびスロット情報Zを確認する。前述したように、受信キャリアセンス動作を行う基本スロット40のスロット番号は、間欠受信周期Mおよびスロット情報Zから計算できるので、第二中継無線端末221は、計算されたスロット番号に応じて、子無線端末331との間でリンク接続動作を行い、ポーリング信号を中継送信する。
ここで、ポーリング信号のレイヤ3フレーム66(図10参照)は、親無線端末101で作成され、中継機である第一中継無線端末211および第二中継無線端末221では何ら変更されずに、最終宛先である子無線端末331までそのままの状態で中継伝送される。それゆえ、子無線端末331は、親無線端末101からのアプリケーションデータ664を確実に受信することができる。
以上のように、本実施の形態では、子無線端末301における間欠受信タイミングに対応する基本スロット40のスロット番号は、親無線端末101に対する通信時に無線信号に組み込まれて送信される。それゆえ、中継無線端末201は、自局の直下に属する中継無線端末201(下位機器)のみを管理するテーブルを保有するだけでよく、自局の直下に属する子無線端末301の情報を一切保有する必要がない。したがって、本実施の形態に係る中継無線端末201は、自局の直下に属する子無線端末301の数に制限を設ける必要がなく、従来よりも多くの子無線端末301を中継することができる。言い換えれば、本実施の形態に係る中継無線端末201は、従来と同じ数の子無線端末301を中継しても、自局が保有するテーブルのサイズを小さくすることができる。
また、本実施の形態に係る親無線端末101は、直下に属する中継無線端末201を直接管理するだけでよいので、子無線端末301までのルート情報662を格納するテーブルを小さくすることができる。例えば、親無線端末101は、直下に属する第一中継無線端末211のIDを管理する必要はあるが、直下ではない第二中継無線端末221のIDを直接管理する代わりに、第一中継無線端末211が管理している第二中継無線端末221のテーブル番号を管理すればよい。各中継無線端末201が管理する最大の中継無線端末201の数を63とすれば、必要となるテーブル数は63となるので、テーブル番号は6ビットの情報で充分となる。したがって、従来では、1台の中継無線端末201につき64ビットの情報を管理することが必要であったのに対して、本実施の形態では、6ビットの管理で済むことになる。
また、データ通信用信号に組み込まれるルート情報662は、中継ルートに介在する中継無線端末201のIDではなく、当該IDに対応したテーブル番号を含んでいる。それゆえ、ルート情報662のバイト数を小さくすることができる。例えば、各中継無線端末201が管理する最大の中継無線端末201の数を63とすれば、6ビットの情報で1段当たりの中継ルートを設定することができる。
一般に、無線通信装置を指定するためのIDとしては、例えば64ビットのものが知られており、このようにビット数が大きくなる傾向にある。それゆえ、ルート情報662として、中継ルートに介在する中継無線端末201のIDを全て送信するのであれば、ルート情報662のビット数が非常に大きくなり通信に無駄が生じる。これに対して、本実施の形態では、テーブル番号をルート情報662として送信するので、ルート情報662のビット数を小さくすることができ、効率的な通信を行うことができる。
また、本実施の形態では、親無線端末101は、子無線端末331のスロット位置情報665を記憶部14に記憶することで管理しているが、子無線端末331から見て直上の第二中継無線端末221において管理することもできる。この場合、第二中継無線端末221のテーブルが大きくなるものの、ルート情報662の8バイト目のスロット位置情報665が不要となる利点がある。
[変形例、代表的な用途等]
ここで、前述した本実施の形態は、一般的な無線通信装置または無線通信システムに適用可能であり、それゆえ、無線通信装置または無線通信システムの具体的な構成は、図1(a)〜(c)または図2に示す構成に限定されず、公知のさまざまな構成の無線通信装置または無線通信システムに適用可能である。
また、本実施の形態では、無線通信システムを構成する無線通信装置として、親無線端末、中継無線端末および子無線端末の3種類を用いる例を説明しているが、本発明はこれに限定されず、子無線端末と中継無線端末との関係は、子無線端末と親無線端末との関係と同じであり、それゆえ、無線通信システムは、親無線端末および子無線端末の2種類から構成されてもよい。
また、親無線端末、中継無線端末および子無線端末による通信動作は、コンピュータを動作させるためのプログラムによって実現可能であり、電気機器、情報機器、および/またはコンピュータ等のハードリソースを協働させて実現することができる。また、このようなプログラムを記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることで、プログラムの配布および更新、プログラムのインストール作業等を簡単に行うことができる。
さらに、本実施の形態では、ルート情報に含まれる間欠受信タイミング情報としては、受信を間欠的に待ち受けるスロット番号である「スロット位置情報」を用いているが、本発明はこれに限定されず、間欠受信タイミング(受信の間欠的な待ち受けタイミング)を特定することができれば、スロット番号に限定されず、公知の他の形式の情報を用いることができる。
また、本発明に係る無線通信装置、無線通信システム、および無線通信方法、あるいはプログラム等は、一般的な無線通信分野全般に適用可能な構成であるが、中でも、末端の子無線端末において可能な限り省電力化が要求されるような分野に特に好適に用いることができる。このような分野の代表例としては、ガスメータ用無線検針システムを挙げることができる。
一般に、ガスメータは非常に長期間(通常、10年間程度)交換なしに電池電源で動作するよう構成され、AC電源を備える構成はほとんど存在しない。そのため、ガスメータに取り付けられる無線通信装置(子無線端末)は、電池駆動で例えば10年間電池交換なしに動作する必要がある。それゆえ、無線通信装置は、所定の周期で受信を待ち受けるとともに、自局あての電波が検出できなければ、すぐに受信(受信の試行)を中止し待機状態になるという間欠待ち受け動作を行っている。また、ガスメータの検針は、頻繁に測定する必要はなく、せいぜい1日1回程度であり、それゆえ無線通信の頻度は大きくない。
そこで、通信頻度の観点から、典型的なガスメータ用無線検針システムでは、無線通信を相互に行う無線通信装置がそれぞれの時計を同期させずに非同期でそれぞれ間欠待ち受け動作を行う方式、すなわち「非同期方式」が用いられている。この方式では、送信したい情報(送信情報)が発生した時だけ、通信相手の間欠受信周期よりも長いヘッダー信号をつけて、前記送信情報を送信するため、信相手は間欠受信周期よりも長いヘッダー信号を検出することができ、当該ヘッダー信号を検出すると、受信を継続してヘッダー信号に続いて送られてくる前記送信情報を受信することができる。
ここで、近年では、コスト削減を目的として、単一の親無線端末で多数のガスメータの検針値を収集するために、中継無線端末を設けて、当該中継無線端末が多数の子無線端末と一対複数で無線通信を行う構成が採用されている。ここで、子無線端末は受信を間欠的に待ち受けるため、通常、上位機器である中継無線端末は、直下に属する子無線端末の間欠的な待ち受け情報を管理することになるが、子無線端末の数が多くなれば、中継無線端末から見て直下に属する子無線端末の受信待ち受け情報を管理することが煩雑または困難となる。
これに対して、本発明であれば、中継無線端末は、子無線端末の間欠受信タイミングを常時記憶している必要がないため、その構成を簡単にすることができる。しかも、末端の子無線端末の受信間隔を間引いて相対的に長期の間欠受信タイミングを設定しても、当該間欠受信タイミングに応じた適切なリンク接続および無線通信を実現することができる。また、本発明によれば、中継無線端末を経由しても、親無線端末および子無線端末の間で、子無線端末の間欠受信タイミングに合わせて好適なタイミングで各種通信が可能となり、さらに、簡素な構成で消費電力の増加を抑制することができる。
なお、前述した例では、ガスメータからガス流量データ(ガス検針データ)を自動収集する構成を例示しているが、本発明はこれに限定されず、水道、電気などの流量を検針するシステムであってもよいことはいうまでもない。
また、本発明に係る無線通信システムは、1台の親無線端末と、複数の子無線端末と、前記親無線端末および子無線端末の間に介在し、これら無線端末(無線通信装置)の間での無線通信の中継を行う、少なくとも1台の中継無線端末と、から構成されていればよく、前記親無線端末および中継無線端末は、ビーコン信号を送信可能な上位機器であり、前記中継無線端末および子無線端末は、上位機器から送信されたビーコン信号を受信して、上位機器の時計に自局の時計を同期させる下位機器であればよい。
ここで、上位機器は、1台で複数の下位機器との間で無線通信(1対複数通信)を可能とする構成である。さらに、前記無線通信システムが2台以上の中継無線端末を含む場合には、これら複数の中継無線端末は、前記親無線端末から見て複数の通信階層を構成するように、中継無線端末同士でビーコン信号の送受信および無線通信が可能となっている。そして、下位機器のうち子無線端末は、上位機器から送信される無線信号の受信を間欠的に待ち受けるように構成され、前記無線信号には、子無線端末が受信を間欠的に待ち受けるタイミング(間欠受信タイミング)を特定する間欠受信タイミング情報が含まれていればよい。
前記無線信号に前記間欠受信タイミング情報が含まれていれば、前記中継無線端末は、無線通信に含まれる間欠受信タイミング情報を解析して、前記子無線端末で行われる間欠受信タイミングに合わせて前記無線信号を中継送信するタイミング情報解析部を備えていればよい。また、前記子無線端末は、前記間欠受信タイミング情報を作成して、前記中継無線端末を介して前記親無線端末に送信するタイミング情報送信部を備え、前記無線信号の受信の間欠的な待ち受けは、前記間欠受信タイミング情報で特定される間欠受信タイミングで行われるよう構成されていればよい。なお、前記間欠受信タイミング情報は、子無線端末または中継無線端末(下位機器)から直上の中継無線端末または親無線端末(上位機器)に送信される無線信号に組み込まれればよい。
また、前記親無線端末は、子無線端末からの前記間欠受信タイミング情報を記憶可能となっており、前記子無線端末宛の情報を送信するときに、記憶している前記間欠受信タイミング情報を、前記子無線端末宛の情報とともに前記無線信号に組み込んで送信するタイミング情報送信部を備えていればよい。さらに、前記親無線端末は、ルート情報の解析および作成を行うルート情報解析作成部を備えてもよい。このルート情報には、中継要求のあった中継無線端末に関する情報(中継端末情報)と、前記間欠受信タイミング情報とが含まれる。この間欠受信タイミング情報としては、本実施の形態では、受信の間欠的な待ち受けを行うスロット番号であるスロット位置情報が用いられるが、本発明はこれに限定されず、公知の他の情報を好適に用いることができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。