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JP2008232617A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シンプルで、合理的な運転により、快適性の向上を図ることができる空気調和装置を得るものである。
【解決手段】室内温度センサー15と室内湿度センサー16により検出される湿球温度と、リモコン13の設定温度17と設定湿度18により決定される湿球温度設定値の差に基づいて、圧縮機1出口と室外熱交換器5から第1の室内熱交換器23にいたる冷媒流路とを連結するバイパス流路に介装したバイパス弁の開度を制御する。
【選択図】図9

Description

本発明は温度と湿度の両者を制御目標とする空気調和装置に関するものである。
従来、ルームエアコンなどの冷凍サイクル応用空気調和装置については、能力制御及び制御信号が室内空気の温度と温度目標値の偏差に応じて実施されるものや、例えば特開平6−241534号公報に示されるように、ドライ運転時に、室内温度と設定温度との偏差、室内湿度と設定湿度との偏差に応じてファジー制御ルールに従って室外ファンの風量および圧縮機の容量を制御するものが示されている。
上記のような従来の空気調和装置では、室内空気の温度と温度目標値の偏差に応じて制御する場合は、人間の快適性にとって重要な要素である湿度という要因が考慮されず、快適性の向上が図れないという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、人間の快適性にとって、温度と湿度の両者が重要であることに着目し、両目標値を同時に満足する運転制御方法を考案し、暖房ぎみ除湿を可能とし、室内気温が低い条件においても快適な室内温湿度環境を実現することができる空気調和装置を得るものである。
この発明に係る空気調和装置においては、冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機、この圧縮機からの冷媒を凝縮液化する室外熱交換器、この室外熱交換器による冷媒を断熱膨張させ中圧二相冷媒とする室外絞り機構、前記室外熱交換器に設けられた室外熱交換器用送風機を有する室外機と、この室外機からの冷媒を中圧二相冷媒から中圧の液冷媒に凝縮させ、室内空気に放熱する第1の室内熱交換器、この第1の室内熱交換器からの冷媒を断熱膨張させ低圧二相冷媒とする室内絞り機構、この室内絞り機構から低圧二相冷媒を流入し蒸発ガス化させ、室内の空気を冷却除湿し、冷媒を前記圧縮機へ帰す第2の室内熱交換器、室内の温湿度を検出する温湿度検出手段、室内の温湿度を設定する温湿度設定手段を有する室内機とを備える空気調和装置において、前記圧縮機と前記室外熱交換器との間と前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器との間に開閉自在の吐出バイパス弁を有する配管が設けられたものである。
また、前記室外熱交換器用送風機の回転数を前記室外機の電子部品を冷却するに要する回転数以下には下げないものである。
さらに、前記第2の室内熱交換器への配管の温度を検出する室内熱交換器配管温度センサーを備え、この室内熱交換器配管温度センサーにより検出される前記第2の室内熱交換器への配管の温度による冷凍サイクル蒸発温度の設定値を、機器側顕熱比を低減する所定の温度以上にするものである。
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機、この圧縮機からの冷媒を凝縮液化する室外熱交換器、この室外熱交換器による冷媒を断熱膨張させ中圧二相冷媒とする室外絞り機構、前記室外熱交換器に設けられた室外熱交換器用送風機を有する室外機と、この室外機からの冷媒を中圧二相冷媒から中圧の液冷媒に凝縮させ、室内空気に放熱する第1の室内熱交換器、この第1の室内熱交換器からの冷媒を断熱膨張させ低圧二相冷媒とする室内絞り機構、この室内絞り機構から低圧二相冷媒を流入し蒸発ガス化させ、室内の空気を冷却除湿し、冷媒を前記圧縮機へ帰す第2の室内熱交換器、室内の温湿度を検出する温湿度検出手段、室内の温湿度を設定する温湿度設定手段を有する室内機とを備える空気調和装置において、前記圧縮機と前記室外熱交換器との間と前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器との間に開閉自在の吐出バイパス弁を有する配管が設けられたので、暖房ぎみ除湿を可能とし、室内気温が低い条件においても快適な室内温湿度環境を実現することができる。
また、前記室外熱交換器用送風機の回転数を前記室外機の電子部品を冷却するに要する回転数以下には下げないので、室外機にある電子機器の冷却が実行でき、電子機器の性能劣化を防止できる。
さらに、前記第2の室内熱交換器への配管の温度を検出する室内熱交換器配管温度センサーを備え、この室内熱交換器配管温度センサーにより検出される前記第2の室内熱交換器への配管の温度による冷凍サイクル蒸発温度の設定値を、機器側顕熱比を低減する所定の温度以上にするので、顕熱比の低減を確保できる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す空気調和装置の冷媒回路図であり、図2はこの空気調和装置における空気線図上の動作点を示す図である。
図において、9は空気調和装置の室外機であり、1は圧縮機、2は圧縮機1の回転速度を可変とするインバータ、3は室外機9を制御する室外マイコン、4は四方弁、5は室外熱交換器、6は室外熱交換器用送風機、7は室外熱交換器用送風機6の回転数可変なモーター、8は室外絞り機構である。
14は空気調和装置の室内機であり、10は室内熱交換器、11は室内熱交換器用送風機、12は室内機14を制御する室内マイコン、13はリモコン、15は室内熱交換器10の吸込空気温度を検出する室内温度センサー、16は室内熱交換器10の吸込空気湿度を検出する室内湿度センサー、17はリモコン13により設定された設定温度、18はリモコン13により設定された設定湿度である。
なお、リモコン13は湿球温度設定手段を示し、温度設定手段により設定温度17を定め、湿度設定手段により設定湿度18を定める。
次に、動作について説明する。
冷媒の流れと各構成機器の動作について説明する。
まず、圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、冷房運転時は図1中実線のように流れ、四方弁4を経由して、室外熱交換器5で凝縮液化し、室外絞り機構8で断熱膨張して低圧の気液二相冷媒となり、室内熱交換器10に至る。室内熱交換器10で冷媒は蒸発ガス化して、室内空気を冷却除湿して、自身は四方弁4を経由して再び圧縮機1に循環吸入される。
次にインバータ2により、空気調和負荷に応じて圧縮機1の回転速度を可変にする制御方法について図2に基づいて説明する。
まず、図2は横軸方向に乾球温度TDB[℃]、縦軸方向に絶対湿度X[kg/kg´]、斜め方向に湿球温度TWB[℃]、エンタルピーI[kcal/kg]をそれぞれ示す。0は設定値(目標値)を示し、リモコン13の設定温度17と設定湿度18により決定される。一方、室内温度と室内湿度(図2中のi)は、室内温度センサー15と室内湿度センサー16の各検出値により決定される。
そこで、空気調和負荷Q[kcal/h]は一般に次式で表される。
Q=Ga・(Ii−Io) ・・・・・(1)
Ga:室内熱交換器用送風機11の風量[kg/h]
Ii:室内空気エンタルピー[kcal/kg]
Io:設定空気エンタルピー[kcal/kg]
従って、空気調和負荷Qは設定空気と室内空気のエンタルピー差(Ii−Io)に比例する。
ここで、図2中、湿球温度TWB[℃]とエンタルピーI[kcal/kg]が略比例しており、設定空気と室内空気のエンタルピー(Ii−Io)は、設定空気と室内空気の湿球温度差(TiWB−ToWB)に比例するのと等価である。よって、室内空気負荷を湿球温度差で代替することが可能である。
そこで、室内温度センサー15と室内湿度センサー16の室内温度と室内湿度から図2により室内空気の湿球温度TiWBを検出し、リモコン13の設定温度17と設定湿度18から図2により設定空気の湿球温度ToWBを決定し、空気調和負荷Q=Ga・(TiWB−ToWB)・a(aは比例定数)に基づき、圧縮機1の回転速度をインバータ2により可変制御し、空調運転を行う。
よって、通常冷房運転時には湿球温度を制御目標とすることにより、空気調和負荷に応じた最適運転が可能となる。
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2を示す空気調和装置の再熱除湿運転時の冷媒回路図、図4はこの空気調和装置の再熱除湿運転を示すモリエル線図、図5はこの空気調和装置の再熱除湿運転モード時の室内空気の状態を示す空気線図である。
図において、上記実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。24は第1室内熱交換器、19は第1室内熱交換器24へ至る配管温度を検出する配管温度センサーCT、21は再熱除湿用電磁弁、22は室内絞り機構、23は第2室内熱交換器、20は第2室内熱交換器23へ至る配管温度を検出する配管温度センサーETである。
次に、動作について説明する。
まず、冷房運転モードの冷媒の流れと各構成機器の動作について説明する。
圧縮機1を出た高温高圧のガス冷媒は四方弁4を経由して、室外熱交換器5で凝縮液化し、室外絞り機構8で断熱膨張し、低圧ニ相冷媒となって室内機14に至る。
この冷房運転モード時には、再熱除湿用電磁弁21は全開となっており、第1室内熱交換器24で一部蒸発し、低圧ニ相冷媒はそのまま再熱除湿用電磁弁21を通過して、さらに第2室内熱交換器23にて蒸発ガス化することにより、第1室内熱交換器24と第2室内熱交換器23の両熱交換器が蒸発器として機能し、通常の冷房運転モードとなる。その後、冷媒は四方弁4を経由して圧縮機1に帰る。
次に、再熱除湿運転モードの冷媒の流れと各構成機器の動作について図4に基づいて説明する。
圧縮機1を出た高温高圧のガス冷媒1は四方弁4を経由して、室外熱交換器5で外気に放熱し、冷媒自身は凝縮し2、室外絞り機構8で断熱膨張し中圧ニ相冷媒3となる。室内に入った中圧ニ相冷媒3は、第1室内熱交換器24で再び室内空気に放熱し、冷媒自身は中圧の液冷媒4に凝縮する。
この中圧液冷媒4は、再熱除湿用電磁弁21を閉にすることにより、室内絞り機構22を通過する。これにより、再び断熱膨張して低圧ニ相冷媒5となり、第2室内熱交換器23へ流入し、室内の空気を冷却除湿し、冷媒自身は蒸発ガス化6して再び四方弁4を経由して圧縮機1に帰る。
この時、室内空気は第1室内熱交換器24を通過する空気は加熱され、第2室内熱交換器23を通過する空気は冷却・除湿されて、室内に吹き出される。
次に、図5に基づいて負荷の顕熱比SHFの制御について説明する。
まず、図5は湿り空気線図を示し、横軸に乾球温度TDB[℃]、縦軸に絶対湿度X[kg/kg´]をそれぞれ示すとともに、顕熱比SHFも示す。lは飽和線である。室内吸込空気をI、その空気の温度をTi、湿度φiとする。
なお、説明を簡単にするために室内熱交換器を通過する総風量は第1室内熱交換器24側と第2室内熱交換器23側と同一風量とする。
再熱除湿運転モードの場合には、第1室内熱交換器24を通過する室内空気は、図4の凝縮温度CTによって加熱され、図5のベクトルIQへと加熱される。一方、第2室内熱交換器23を通過する室内空気は図4の蒸発温度ETによって、図5のベクトルIPへと冷却・除湿される。結局、図5に示すようにベクトルIQ+ベクトルIP=ベクトルIRとなり、室内熱交換器を出た風は合流してベクトルIRとなる。
図5にはSHFを示しており(SHF=顕熱/(顕熱+潜熱))、ベクトルIRではSHFが小さくなる。すなわち、温度を下げないで湿度をとることが可能となる。さらに、積極的にベクトルIQの加熱量を大きくすれば、ベクトルIRが図面の右方向に移動し、SHF<0、つまり、暖めながら除湿することも可能になる。よって、この凝縮温度CTを制御することで、SHFを所望の値に近づけることが可能になる。
一方、冷房運転モードの場合には、加熱すなわちベクトルIQを作り出すことが出来ないため、SHFはベクトルIP(=ベクトルIR)に等しくなる。このため、冷房SHFには下限値が生じることになり、蒸発温度ETに依存する。
また、冷房運転モードと、再熱除湿運転モードの比較をした場合には、SHFの範囲を広くとることができるという点で再熱除湿運転モードの方が広い温湿度範囲に適応可能であるが、冷房運転に比べ蒸発器伝熱面積が減少するために冷房除湿能力が低下し、冷房運転と同等の除湿能力を得るためには圧縮機運転周波数を上昇させる必要がある。このため、消費電力は冷房運転に比べて増加する傾向となる。
従って、冷房運転モードのSHF範囲で運転が可能な場合には、SHFを運転目標とした冷房運転を実行することにより除湿運転時の消費電力量を低減し、省エネ化を図ることが可能となる。
なお、冷房、再熱除湿の最適切替運転制御方法については、実施の形態4において後述する。
次に、SHFの可変動作について説明する。
図6はこの発明の実施の形態2を示す空気調和装置の室外熱交換器用送風機のファン回転数N0[rpm]に対する、室外熱交換器5内の冷媒凝縮温度OTと、第1室内熱交換器24内の冷媒の再凝縮温度CTの変化を示す図、図7はこの空気調和装置のSHFを変化させる原理図である。
図6は横軸に室外熱交換器用送風機6の回転数N0、縦軸に室外熱交換器5内の冷媒凝縮温度OTと、第1室内熱交換器24内の冷媒の再凝縮温度CTを示す。図6では室外熱交換器用送風機6の回転数N0[rpm]を落とすことによって、第1室内熱交換器24内の冷媒凝縮温度CTが上昇することを示している。すなわち、室外熱交換器用送風機6の回転数をN1[rpm]からN2[rpm]に低下させることにより、第1室内熱交換器24の凝縮温度はCT1からCT2に上昇する。これにより、空気線図上では図7に示すように、室内熱交換器出口の合流空気はベクトルIR1からベクトルIR2へとなり、SHFが小さくすることができ、温度を下げずに湿度のみとる運転ができる。
次に、上記SHFの可変動作による具体的な制御アルゴリズムについて説明する。
図8はこの発明の実施の形態2を示す空気調和装置の制御フローチャートである。まず、ステップS1では、リモコン13による設定温度17の値Tsと湿度の設定湿度18の値Xsを読み込む。ステップS2では、除湿運転中の室内吸込空気温度センサー15による温度値Tiと室内吸込空気湿度センサー16による湿度値Xiを検出する。
ステップS3では、除湿運転中の第1室内熱交換器24の配管温度センサー19による凝縮温度値CTと、第2室内熱交換器23の入口配管温度センサー20による蒸発温度値ETを読み込む。ステップS4では、目標SHF*の値を設定温湿度S(Ts,Xs)と室内吸込み空気温湿度I(Ti,Xi)により求める。
求める式は、
SHF=Cp(Ti−Ts)/(Cp(Ti−Ts)+Cv(Xi−Xs))
を使用する。
ここでCp(Ti−Ts)は顕熱を、Cv(Xi−Xs)は潜熱をそれぞれ示す。Cp:[kcal/kg´・℃]は乾き空気の定圧比熱、Cv:[kcal/kg]は湿り空気の潜熱を示す。Xiの単位は[kg/kg´]である。
ステップS5では、除湿運転中の現状SHFを、吸い込み空気I(Ti,Xi)と凝縮温度CTと蒸発温度ETに基づいて図5より求める。ステップS6では、目標とするSHF*と運転中のSHFとの比較し、現状SHFが目標SHF*より大の場合は、ステップS7に進み、凝縮温度値CTを上げるために室外熱交換器用送風機6の回転数N0[rpm]を下げる。逆に現状SHFが目標SHF*より小の場合はステップ8に進み、凝縮温度値CTを下げるために室外熱交換器用送風機6の回転数N0[rpm]を上げる。その後、ステップS1へ戻る。
なお、室外熱交換器用送風機6から風は、インバータ2へも送られ、運転によるインバータ2内の発熱による基板他の電子部品の温度上昇を防止する。このため、室外熱交換器用送風機6の回転数N0の可変時には、インバータ2内の基板他の電子部品を冷やすために要する回転数以下に下げず、少なくとも電子部品の温度上昇を防止する回転数N0以上を維持するように、室外マイコン3によりモーター7を制御する。
以上のように制御することにより、室内の温湿度の目標設定値に対して、SHFを制御目標にできるので、高温多湿でも梅雨時の低温多湿時でも、除湿量が自由に制御でき快適性の向上が図れる。
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3を示す空気調和装置の吐出バイパス再熱除湿運転時の冷媒回路図、図10はこの空気調和装置の吐出バイパス再熱除湿運転を示すモリエル線図である。図において、上記実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。25は室外マイコン3により制御される吐出バイパス弁25である。
次に、動作について説明する。
再熱除湿運転モードの冷媒の流れと各構成機器の動作状態について説明する。
圧縮機1を出た高温高圧のガス冷媒1は吐出バイパス弁25を経由して、第1室内熱交換器24で室内空気に放熱し、冷媒自身は凝縮液化し2、室内絞り機構22で断熱膨張し、低圧ニ相冷媒3となって第2室内熱交換器23へ流入し、室内の空気を冷却除湿し、冷媒自身は蒸発ガス化4して再び四方弁を経由して圧縮機1に帰る。この時、室内空気は第1室内熱交換器24を通過する空気は加熱され、第2室内熱交換器23を通過する空気は冷却・除湿されて、室内に吹き出される。
ここで、本実施の形態3と前記実施の形態2との差異について説明する。実施の形態2では、第1室内熱交換器24の凝縮温度CTは、室外熱交換器5における放熱を経て1段膨張を行った後の温度となるため、1段目の膨張以前の凝縮温度と比較して低めとなる。一方、本実施の形態3では、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が第1室内熱交換器24へ直接流入し凝縮を行うため、凝縮温度CTを高くすることが可能となる。
このため、本実施の形態3では実施の形態2に比べ、凝縮温度CTの高温化が可能となり、図5においてはベクトルIQを大きくできるため、SHFをさらに小さくすることができる。すなわち、実施の形態2よりも、より積極的にベクトルIQの加熱量を大きくし、強力に暖めながら除湿することが可能になる。
よって、本実施の形態3では、凝縮温度CTをさらに高温化制御することにより暖房ぎみ除湿を可能とし、室内気温が低い条件においても快適な室内温湿度環境を実現することができる。
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記実施の形態1、2、3を用いて、最適運転モードを検索するアルゴリズムについて説明する。
図11はこの発明の実施の形態4を示す空気調和装置の空気線図上の運転ゾーン分布を示す図、図12はこの空気調和装置のゾーン別運転モード判定方法のフローチャートである。なお、空気調和装置の冷媒回路図は、図9を用いる。
次に、動作について説明する。
まず、運転ゾーン判定法を図11に基づいて説明する。図11は横軸方向に乾球温度TDB[℃]、縦軸方向に絶対湿度X[kg/kg´]、斜め方向に湿球温度TWB[℃]を示し、lは飽和線を示す。空気線図上、室内温湿度iが目標温湿度Oに対してどの位置に存在するかにより、選択すべき最適運転モードをゾーンに分けて示す。さらに、ETminは冷凍サイクル蒸発温度の設定最低値であり、ゾーンはETminと目標温湿度Oを結ぶ直線と、目標絶対湿度φo、目標湿球温度TOWB+α、TOWB−βの線によって分けられる。なお、α、βは、任意の設定値であり、空気調和装置の特性に合わせて設定可能であり、例えばα=2℃、β=1℃と設定できる。
ここで、冷凍サイクルETの極端な低下は空気調和装置の入力増大(性能悪化)を招くため、冷凍サイクル蒸発温度の設定最低値ETminは不要に低過ぎない範囲内で設定する必要がある。これは、空気線図上、飽和線lは低温領域になるに従い、傾きが徐々に水平に近づく特性を有するため、冷凍サイクルETを極端に低下させてもSHFが低下しなくなり、ET低下(入力増加)に見合ったSHFの低減が見込めなくなるためである。このため、例えば目標温湿度24℃、湿球温度18.6℃(相対湿度60%)の条件では、ETmin=5℃程度に設定する必要がある。
次に、各ゾーンでの動作に図12に基づいて説明する。
まず、ステップS11で、室内吸込空気温度センサー15による温度値Tiと室内吸込空気湿度センサー16による湿度値Xiを検出し、室内吸込み室内温湿度i(Ti,Xi)がどのゾーンに存在するかを検出する。
そこで、室内温湿度iがAゾーンに存在する場合には、ステップS12へ進む。Aゾーンは通常冷房運転モード実行領域であり、冷房運転を実行する。空気調和装置の冷媒回路図は、吐出バイパス弁25を全閉、再熱除湿用電磁弁21を全開し、図1の冷媒回路図と等価な冷媒回路を構成する。そこで、空気調和装置の制御は、実施の形態1に示すように、湿球温度差を制御信号に用いる。
Aゾーンでは、室内湿球温度iと目標湿球温度TOWBとの差が大きく(空気調和負荷大)、再熱除湿運転よりも消費電力量の少ない冷房運転による、室内空気調和負荷(顕熱負荷、潜熱負荷とも)除去効率の高い運転を目的とする。
また、ステップS11で、室内温湿度iがBゾーンに存在する場合には、ステップS13へ進む。Bゾーンは、Aゾーンと同様に冷房運転モード実行領域であるが、室内温湿度iがETminと目標温湿度Oを結ぶ直線よりも低湿側にあるため、室内温湿度iを目標温湿度Oに近づけるためには、ET>ETminとし(ステップS14)、冷凍サイクルの蒸発温度ETを適切に制御する(ステップS15)。ETは、室内ファン回転数と圧縮機運転周波数を変化させることにより制御可能である。なお、空気調和装置の冷媒回路図は、上記Aゾーンの冷媒回路図と同じである。
さらに、ステップS11で、室内温湿度iがCゾーンに存在する場合には、ステップS13へ進む。Cゾーンは再熱除湿運転モード実行領域である。この領域では、実施の形態2、3に示すように冷凍サイクル凝縮温度CT、蒸発温度ETを同時に制御することにより、目標温湿度Oへ向けた運転が可能となる。なお、除湿能力を最大限に発揮するために蒸発温度ETは極力小さい値で運転を実行したいが、ET≧ETminの範囲で運転を行う必要があるため、CゾーンではET=ETminにて運転を実行する(ステップS16)。また、Cゾーンの範囲内でも凝縮温度CTを特に高温にしたい場合には実施の形態3の吐出バイパス再熱除湿方式を用い、冷媒回路図は吐出バイパス弁25を全開、再熱除湿用電磁弁21を全閉した構成である。一方、そこまで高温の凝縮温度CTを必要としない場合には実施の形態2の室外送風機回転数制御にて対応し(ステップS17)、冷媒回路図は吐出バイパス弁25を全閉し、図3の冷媒回路図と等価な構成である。
以上のように、室内温湿度iの条件に応じて、A、B、Cのゾーン分けをすることにより、Aゾーンでは、空気調和負荷除去主体の運転を行い、そして、空気調和負荷が小さくなり、B、Cゾーンに入った場合には目標温湿度Oへ近づけるためのSHF制御運転を実行することが可能となり、効率良く室内目標温湿度の実現が可能となる。
なお、この実施の形態4では、室内温湿度と目標温湿度との差に基づき室外送風機回転数制御も行うものを示したが、同一ゾーン内での運転時間が所定値を超えた時、室内湿球温度と湿球設定値との差が小さくなるような圧縮機1の回転速度に変えて圧縮機1を運転し、室内湿球温度と湿球設定値の差を制御目標ゾーン内に制御するようにしてもよい。つまり、オフセット防止のため、圧縮機1の回転速度を上げる。
この発明の実施の形態1を示す空気調和装置の冷媒回路図である。 この発明の実施の形態1を示す空気調和装置の空気線図上の動作点を示す図である。 この発明の実施の形態2を示す空気調和装置の冷媒回路図である。 この発明の実施の形態2を示す空気調和装置の再熱除湿運転を示すモリエル線図である。 この発明の実施の形態2を示す空気調和装置の再熱除湿運転モード時の室内空気の状態を示す空気線図である。 この発明の実施の形態2を示す空気調和装置の室外熱交換器用送風機回転数に対する凝縮温度特性を示す図である。 この発明の実施の形態2を示す空気調和装置のSHFを変化させる原理図である。 この発明の実施の形態2を示す空気調和装置の制御フローチャートである。 この発明の実施の形態3を示す空気調和装置の冷媒回路図である。 この発明の実施の形態3を示す空気調和装置の吐出バイパス再熱除湿運転を示すモリエル線図である。 この発明の実施の形態4を示す空気調和装置の空気線図上の運転ゾーン分布を示す図である。 この発明の実施の形態4を示す空気調和装置のゾーン別運転モード判定方法のフロチャートである。
符号の説明
1 圧縮機、 2 インバーター、 3 室外マイコン、 4 四方弁、 5 室外熱交換器、 6 室外熱交換器用送風機、 7 室外機熱交換器用送風機モーター、 8 室外絞り機構、 9 室外機、 10 室内熱交換器、 11 室内熱交換器用送風機、 12 室内マイコン、 13 リモコン、 14 室内機、 15 室内吸込空気温度センサー、 16 室内吸込空気湿度センサー、 17 設定温度、 18 設定湿度、 19 第1室内熱交換器配管温度センサー、 20 第2室内熱交換器配管温度センサー、 21 再熱除湿用電磁弁、 22 室内絞り機構、 23 第2室内熱交換器、 24 第1室内熱交換器、 25 吐出バイパス弁。

Claims (3)

  1. 冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機、この圧縮機からの冷媒を凝縮液化する室外熱交換器、この室外熱交換器による冷媒を断熱膨張させ中圧二相冷媒とする室外絞り機構、前記室外熱交換器に設けられた室外熱交換器用送風機を有する室外機と、
    この室外機からの冷媒を中圧二相冷媒から中圧の液冷媒に凝縮させ、室内空気に放熱する第1の室内熱交換器、この第1の室内熱交換器からの冷媒を断熱膨張させ低圧二相冷媒とする室内絞り機構、この室内絞り機構から低圧二相冷媒を流入し蒸発ガス化させ、室内の空気を冷却除湿し、冷媒を前記圧縮機へ帰す第2の室内熱交換器、室内の温湿度を検出する温湿度検出手段、室内の温湿度を設定する温湿度設定手段を有する室内機とを備える空気調和装置において、
    前記圧縮機と前記室外熱交換器との間と前記室外熱交換器と前記第1の室内熱交換器との間に開閉自在の吐出バイパス弁を有する配管が設けられたことを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記室外熱交換器用送風機の回転数を前記室外機の電子部品を冷却するに要する回転数以下には下げないことを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
  3. 前記第2の室内熱交換器への配管の温度を検出する室内熱交換器配管温度センサーを備え、この室内熱交換器配管温度センサーにより検出される前記第2の室内熱交換器への配管の温度による冷凍サイクル蒸発温度の設定値を、機器側顕熱比を低減する所定の温度以上にすることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の空気調和装置。
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