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JP2008259753A - ミシンの糸切断装置 - Google Patents

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JP2008259753A JP2007106229A JP2007106229A JP2008259753A JP 2008259753 A JP2008259753 A JP 2008259753A JP 2007106229 A JP2007106229 A JP 2007106229A JP 2007106229 A JP2007106229 A JP 2007106229A JP 2008259753 A JP2008259753 A JP 2008259753A
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剛 花田
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Abstract

【課題】縫い糸を適切な長さに切断する
【解決手段】糸切り機構100は、糸捕捉部111を有し針板8の下方で進退移動して縫い糸Tを捕捉する第一糸捕捉体110と、糸捕捉部121を有し第一糸捕捉体110により捕捉されることで針穴9と糸捕捉部111との間に掛け渡された縫い糸Tを捕捉して固定刃150に案内し切断する第二糸捕捉体120と、第一糸捕捉体110による捕捉動作の後に第二糸捕捉体120による捕捉動作と切断動作とを行わせる動作装置200とを有する。そして、縫い糸Tを捕捉して最後退位置に後退した第一糸捕捉体110の糸捕捉部111と針穴9との間に掛け渡された縫い糸Tを、さらに第二糸捕捉体120で捕捉して固定刃150に案内して切断することで、該切断後に布側に残る縫い糸Tの残端長さを従来よりも短縮し、且つ、切断後にミシン1側に残る縫い糸Tの残端長さを従来より長く確保することができる。
【選択図】図18

Description

本発明は、ミシンの糸切断装置に関し、特に、糸捕捉体で捕捉した糸を固定刃に案内して切断するミシンの糸切断装置に関する。
従来、水平釜に対して縫いの終了時に上糸や下糸等の縫い糸を切断するミシンの糸切断装置(例えば、特許文献1参照)には、ミシンベッド内に配設され、ミシンモータによって駆動される下軸から動力を得て進退移動を行う糸捕捉体610が設けられている(図20(a)参照)。そして、この糸捕捉体610の進退移動における後退移動の際に、当該糸捕捉体610の先端に設けられた二股の糸捕捉部で下糸Tを捕捉した後、固定刃に案内することで下糸Tが切断されるようになっている。
ここで、一般にミシンモータとして採用されるサーボモータは、低速領域での制御が困難であるため、下軸に連動する糸捕捉体610の動作速度を十分に低速とすることは困難である。このため、ボビン240から繰り出される下糸Tを糸捕捉体610で捕捉する場合、捕捉の際に勢い良く下糸Tが引かれてボビン240が回転過剰となり、下糸Tが余分に繰り出される引き出し過剰が生じることとなる(図20(b)参照)。この引き出し過剰により、次回縫製の際に縫い品質が低下するという問題が生じる。
かかる問題に鑑みて、近年では、糸捕捉時における糸捕捉体610の駆動源をステッピングモータとして下糸Tを低速で捕捉し、切断時にはミシンモータの駆動力により、強い力で下糸T及び上糸を切断する構成としたミシンの糸切断装置も開発されている。
特許第3106472号公報
ところで、布側に縫着される上糸や下糸Tは、仕上げの美しさや後処理の効率化のため、切断後の残端長さが短い方が好ましいとされている。一方、切断後にミシン側に残る上糸や下糸Tは、次の縫い始めの際に確実に縫い目を形成することができるように、ある程度の残端長さが確保されていることが望ましいとされている。そのためには、上糸及び下糸Tの針穴により近い部分を捕捉して切断することが望ましい。しかしながら、次回縫製時に縫い糸を確実に絡ませる為には、切断後にミシン側に残る縫い糸の残端長さを確保することが必要となる為、第1糸捕捉部材と固定刃とで縫い糸を切断する従来のミシンの糸切断装置によれば、切断後にミシン側に残る縫い糸の残端長さを確保しようとすると、切断後に布側に残る縫い糸の残端長さもそれに伴い長くなってしまうという問題があった(図21参照)。
本発明は、縫い糸を適切な長さに切断するミシンの糸切断装置を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、水平釜と針穴との間に渡る上糸又は下糸の少なくとも何れか一方の縫い糸を切断するミシンの糸切断装置であって、糸捕捉部を有し、針板の下方で進退移動して縫い糸を捕捉する第一糸捕捉部材と、糸捕捉部を有し、前記第一糸捕捉部材により捕捉されることで前記針穴と前記第一糸捕捉部材の糸捕捉部との間に掛け渡された縫い糸を捕捉して固定刃に案内し切断する第二糸捕捉部材と、前記第一糸捕捉部材による捕捉動作の後に前記第二糸捕捉部材による捕捉動作と切断動作とを行わせる動作装置とを備えることを特徴とするミシンの糸切断装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記動作装置は、少なくとも前記第一糸捕捉部材による捕捉動作の駆動源となるステッピングモータを備えることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記動作装置は、ミシンモータにより回転される下軸に設けられた第一カム部材と、前記第一カム部材に並設され前記ステッピングモータにより駆動する第二カム部材と、前記第一カム部材と第二カム部材の双方の原節に当接可能な従節を有し、前記第一及び第二のカム部材から前記第一糸捕捉部材に進退移動の動力を伝達する第一動力伝達手段と、前記第一カム部材と第二カム部材の双方の原節に当接可能な従節を有し、前記第一及び第二カム部材から前記第二糸捕捉部材に進退移動の動力を伝達する第二動力伝達手段と、前記ステッピングモータを駆動することで前記第一糸捕捉部材を移動して縫い糸を捕捉した後、前記ミシンモータを駆動することで前記第二糸捕捉部材を移動して縫い糸を切断する切断制御手段と、を備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記第一カム部材は、前記下軸のスラスト方向の両端面に原節を有する端面カムであり、前記第二カム部材は、前記第一カム部材と同心に配置され、該第一カム部材を内側に擁するとともに、その周面と下軸のスラスト方向の一端面とに原節を有する円筒カムであることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の発明において、前記第二カム部材の原節は、前記第一糸捕捉部材及び第二糸捕捉部材を後退させて前記第一カム部材の原節と前記各従節とを何れも非係合とする位置に各従節を保持する当接部位を有することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項3から請求項5の何れか一項記載の発明において、前記第二カム部材は、各々の原節が、前記ステッピングモータの正転により第一糸捕捉部材及び第二糸捕捉部材を共に最後退位置から最前進位置まで移動した後、前記ステッピングモータの逆転により前記第二糸捕捉部材を最前進位置に配置したまま第一糸捕捉部材を後退途中の糸捕捉位置に配置するように前記各従節を案内し、前記第一カム部材は、各々の原節が、ミシンモータの駆動により、前記第二糸捕捉部材を最前進位置に配置したまま縫い糸を捕捉した第一糸捕捉部材を最後退位置に後退し、その後、第二糸捕捉部材を最後退位置に移動するように前記各従節を案内するようになっていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか一項記載の発明において、前記第二糸捕捉部材は、糸捕捉部により、前記第一糸捕捉部材の糸捕捉部と前記針穴との間に掛け渡された縫い糸を捕捉可能とする所定高さを通過するようになっていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、動作装置により、第一糸捕捉部材で縫い糸を捕捉した後、さらに、この第一糸捕捉部材の糸捕捉部と針板の針穴との間に掛け渡された縫い糸が第二糸捕捉部の糸捕捉部によって捕捉されて固定刃に案内されることで縫い糸が切断される。つまり、請求項1記載の発明によれば、第一糸捕捉部材のみを備え、この第一糸捕捉部材と固定刃とで縫い糸を切断する従来のミシンの糸切断装置に比べて、縫い糸のより針穴に近い部分を切断することができる。従って、縫い糸を適切な長さに切断して当該切断後に布側に残る縫い糸の残端長さを短縮することができるとともに、縫い糸が第一糸捕捉部材で折り返される為、ミシン側に残る縫い糸の残端長さを従来よりも長く確保することができる(図19参照)。これにより、布側に残る縫い糸の残端処理に要する手間や時間を低減することができ、且つ、次回縫製時に縫い糸を効率良く絡ませることができるため、作業の効率化が図られる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、動作装置が、少なくとも第一糸捕捉部材による捕捉動作の駆動源となるステッピングモータを備えることにより、例えば、糸捕捉時におけるステッピングモータの動作速度を低速とすることで、第一糸捕捉部材による縫い糸の捕捉動作を低速で行うことができる。従って、ボビンから縫い糸が過剰に引き出される引き出し過剰を防止することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、第一動力伝達手段及び第二動力伝達手段の各々が、ミシンモータによって作動する第一カム部材とステッピングモータによって作動する第二カム部材の双方の原節に当接可能な従節を有することにより、各カム部材の原節の形状に応じて何れか一方のカム部材を駆動することで、第一糸捕捉部材と第二糸捕捉部材の駆動源をミシンモータ又はステッピングモータの何れか一方に選択的に切替えることができる。これにより、縫い糸を捕捉する際の駆動源と縫い糸を切断する際の駆動源とをミシンモータ或いはステッピングモータの何れか一方に選択的に切替えることができる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、切断制御手段がステッピングモータを駆動源として第一糸捕捉部材を駆動して縫い糸を捕捉した後、ミシンモータを駆動して第二糸捕捉部材を駆動することで、この第二糸捕捉部材によって固定刃に案内された縫い糸が切断される。つまり、糸捕捉時における第一糸捕捉部材の駆動源をステッピングモータすることで縫い糸を低速で引き出すことができる上に、第二糸捕捉部材で縫い糸を切断する際の駆動源をミシンモータとすることで、切断の際の駆動源をステッピングモータとする場合に比べて強い力で縫い糸を切断することができる。従って、使用される縫い糸の種類(例えば、太さや硬さ等)を考慮することなく糸切りを実行することができるため、糸切り不良を防止することができる。
請求項4記載の発明によれば請求項3記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、第二カム部材を周面とスラスト方向の一端面とに原節を有する円筒カムとし、この第二カム部材を第一カム部材と同心に配置して当該第一カム部材を内側に擁する構成とし、さらに、第一カム部材をその両端面に原節を有する端面カムとしたことにより、ミシンの糸切断装置の省スペース化を図りつつ、簡易な構成で縫い糸の捕捉動作及び切断動作の円滑化を図ることができる。
また、請求項4記載の発明によれば、例えば、軸周りに回転される第一カム部材及び第二カム部材の各原節を所望の位相及び案内量に形成することにより、簡易な構成で第一糸捕捉部材及び第二糸捕捉部材を所望のタイミング及び移動量で動作させることができる他、第一カム部材の両端面に形成される各原節同士、及び、第二カム部材の周面と一端面とに形成される各原節同士を所望の位相及び案内量とすることにより、第一糸捕捉部材と第二糸捕捉部材の動作タイミングの関係と移動量とを所望に設定することができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項3又は請求項4記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、
第一動力伝達手段及び第二動力伝達手段の各従節は、第二カム部材の原節に設けられた当接部位により、第一カム部材の原節と非係合となる位置に後退移動して保持される。従って、縫製中に当接部位で各従節を保持することにより、下軸と共に回転される第一カム部材の原節と第一動力伝達手段及び第二動力伝達手段の各従節との干渉を防止することができるため、円滑な縫製動作を実現することができる。
請求項6記載の発明によれば、請求項3から請求項5の何れか一項記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、第二カム部材が、第二糸捕捉部材を最前進位置に配置したまま第一糸捕捉部材を後退途中の糸捕捉位置に配置することにより、例えば、糸捕捉位置における第一糸捕捉部材の糸捕捉部と最前進位置における第二糸捕捉部材の糸捕捉部とが近接する配置とすることで、ミシンモータを駆動した際に該ミシンモータに連動する釜によって捕捉され当該釜をくぐり抜ける縫い糸を、何れの糸捕捉部にも効率良く捕捉させることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、第二糸捕捉部材が最前進位置に配置されたまま、縫い糸を捕捉した第一糸捕捉部材が最後退位置まで後退する構成としたことにより、例えば、針板の針穴と最後退位置に配置された第一糸捕捉部材の糸捕捉部とを結ぶ線上に、最前進位置に配置された第二糸捕捉部材の糸捕捉部が配置されるようにすることで、第一糸捕捉部材で捕捉された縫い糸を当該第一糸捕捉部の後退移動によって第二糸捕捉部材の糸捕捉部に案内して捕捉させることができる。従って、第二糸捕捉部材をより針穴に近い位置に配置して、第一糸捕捉部材の糸捕捉部と針穴との間に渡る縫い糸のより針穴に近い部分を切断することができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項1から請求項6の何れか一項記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、第二糸捕捉部材の糸捕捉部が、第一糸捕捉部材の糸捕捉部と針穴との間に掛け渡された縫い糸を捕捉可能な所定高さを通過することにより、縫い糸を捕捉する捕捉動作及び当該縫い糸を切断する切断動作の確実性を向上することができる。
(ミシンの全体構成)
以下、図1〜図18を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳しく説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。また、本実施形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にしてミシン1(後述する)の各部の方向を定めるものとする。ミシン1を水平面に設置した状態において、Z軸方向は鉛直方向となる上下方向を示し、Y軸方向はアーム部11の長手方向と一致する左右方向を示し、X軸方向は水平且つY軸方向に直交する前後方向を示す。
図1は本発明の実施形態であるミシンの糸切断装置たる糸切り機構100を搭載するミシン1の全体構成を示す概略斜視図である。
ミシン1は、所定の布送り方向に沿う正逆方向について任意の送りピッチで布送りを行いつつ、布の送り方向に直交する方向に針振りを行い、一針ごとに被縫製物に対して任意の位置に針落ちを行うことで任意の模様縫いを行う家庭用ミシンである。
かかるミシン1は、図1に示すように、縫い糸Tを切断するミシンの糸切断装置たる糸切り機構100(図2及び図3参照)と、この糸切り機構100を内蔵するミシンフレーム10と、ミシンフレーム10内に設けられ、縫い針3を上下に駆動する図示しない針駆動機構と、この針駆動機構と協働して縫い目を形成する釜機構20(図3参照)と、
縫い針3の上下動の駆動源となるミシンモータ5(図5参照)と、このミシンモータ5の回転量を検出するエンコーダ6(図9参照)と、糸切り機構100を作動する糸切り開始スイッチとしての糸切りボタン30と、ミシンモータ5により回転する主軸の一周における定位置(例えば上位置)を検出する主軸位置検出センサ7(図9参照)と、ミシンモータ5の動作制御を行う制御部50(図9参照)とを備えている。以下、各部を詳しく説明する。
なお、ミシン1は、針振りの駆動源となる針棒揺動用ステッピングモータ90と、布送りの駆動源となる送り歯駆動用ステッピングモータ91と、縫い対象として選択された模様を表示する液晶パネルである選択模様表示器92と、ミシン1の縫い動作の起動と停止を入力する起動停止スイッチ16と、縫い対象としての模様選択を行う模様選択スイッチ17と、運針の速度を設定する速度設定手段としての速度設定ボリューム18とを備えているが、これらは従来周知のものと同様の構成であるため、本実施形態では詳述しない。
(ミシンフレーム)
図1に示すように、ミシンフレーム10は、当該ミシンフレーム10の上部をなすアーム部11と、ミシンフレーム10の下部をなしアーム部11と平行に延設されたベッド部12と、アーム部11とベッド部12とを連結し、アーム部11及びベッド部12の長手方向と直交する上下方向(Z軸方向)に立設される縦胴部13とからなり、その外形が正面視にて略コ字状に成形されている。
アーム部11内には、その長手方向であるY軸方向に沿って主軸としての上軸(図示略)が回転自在に設けられており、該上軸にはミシン動作の主たる駆動源となるミシンモータ5が連結されている。また、アーム部11の先端における作業者側の端面には、糸切り機構100による糸切り動作の開始を入力する糸切りボタン30が設けられている。
一方、ベッド部12内には、図示しないプーリ及びベルトを介して上軸と連結された下軸2が該ベッド部12の長手方向(Y軸方向)に沿って回転自在に設けられている。そして、ミシンモータ5の駆動により上軸が回転されると、プーリ及びベルトを介して下軸2が回転される。本実施形態では、上軸に対して下軸2が一対一の回転数(回転速度)で回転し、該上軸の回転角度と下軸の回転角度とが互いに対応する。従って、上軸の所定の回転角度を検出することで、対応する下軸の回転角度を検出することができるようになっている。また、ベッド部12の先端側には、縫い針3が針落ちを行う針穴9を有する針板8が該ベッド部12の上面に沿って設けられている。
(針駆動機構)
図示しない針駆動機構は、アーム部11の先端内部において上軸の先端に固定された回転錘(図示略)と、回転錘の偏心部に回転自在に連結されたクランクロッド(図示略)と、クランクロッドの下端に連結された針棒と、針棒の下端に支持された縫い針3とを備えている。そして、ミシンモータ5の駆動により上軸が回転すると、回転錘及びクランクロッドを介して針棒に上下動が伝達され、縫い針3が往復上下動を行う。
(釜機構)
釜機構20は、ベッド部12の先端側の内部であって、上記針駆動機構による縫い針3の針落ち近傍に配置されており、Z軸方向に沿って垂直に設けられた図示しない釜軸を中心に回転する水平釜21を備えている。この
水平釜21は、図示しない釜軸ギヤを介して下軸2から動力を得て回転する外釜22と、外釜22の内側に配設された回転しない内釜23とを備えている。外釜22は、上軸及び下軸2の二倍の回転速度、すなわち二倍の回転数で回転し、縫い針3が上昇する際にベッド部12内に形成される上糸T1のループを外周に設けられた剣先25で捕捉する。そして、内釜23の内部には、下糸T2が巻かれたボビン24が交換且つ回転自在に装備される。かかる水平釜21の上部は解放されており、ボビン24から繰り出される下糸T2が当該下糸T2の下糸経路に沿って供給され、上糸T1と交絡されることで縫い目が形成される。
(糸切り機構)
ここで、図2〜図9に基づき本実施形態たるミシンの糸切断装置としての糸切り機構100について、詳しく説明する。
図2は糸切り機構100の全体構成を示す分解斜視図である。この図2に示すように、
糸切り機構100は、水平釜21と針穴9との間に渡る上糸T1又は下糸T2の少なくとも何れか一方の縫い糸Tを切断するミシンの糸切断装置であって、糸捕捉部111を有し、針板8の下方で進退移動して縫い糸Tを捕捉する第一糸捕捉部材たる第一糸捕捉体110と、糸捕捉部121を有し、第一糸捕捉体110により捕捉されることで針穴9と糸捕捉部111との間に掛け渡された縫い糸Tを捕捉して固定刃150に案内し切断する第二糸捕捉部材たる第二糸捕捉体120と、第一糸捕捉体110による捕捉動作の後に第二糸捕捉体120による捕捉動作と切断動作とを行わせる動作装置200とを備えている。
第一糸捕捉体110は、図2及び図4(a)に示すように、先端が進退移動の後方側C2に向けて曲成された返し部すなわちフック状の糸捕捉部111を有し、後述する動作装置200の第一リンク機構130により図示しないレールに沿って下軸2の長手方向(Y軸方向)に沿って進退移動(往復直線動作)を行うことで、上糸T1及び下糸T2を捕捉する。なお、本実施形態では、糸捕捉部111を二股に形成しているが(図2参照)、例えば、単一のフックであってもよい。また、この第一糸捕捉体110の側方には、当該第一糸捕捉体110が初期状態すなわち最後退位置(後述する)に配置された状態で、先端の糸捕捉部111の側面に当接されることで、切断後の縫い糸Tを保持するための図示しないクランプ部材(糸保持部材)が設けられている。
第二糸捕捉体120は、上記第一糸捕捉体110と同様、その先端に進退移動の後方側D2に向けて曲成された返し部であるフック状の糸捕捉部121を有し、下糸T2及び上糸T1を捕捉した第一糸捕捉体110の糸捕捉部111と針穴9との間に掛け渡された縫い糸Tを捕捉する(図18参照)。この第二糸捕捉体120は、後述する動作装置200の第二リンク機構140により図示しないレールに沿って往復直線動作を付与されて進退移動することで、先端の糸捕捉部121が、第一糸捕捉体110の糸捕捉部111と針穴9との間に掛け渡された縫い糸Tを平面視にて交差するように動作可能な針落ち近傍の位置に配置されている(図18参照)。
かかる第二糸捕捉体120は、第一糸捕捉体110の糸捕捉部111と針穴9との間に掛け渡された縫い糸Tを捕捉可能な高さ(所定高さ)を通過する(図4(b)参照)。つまり、第二糸捕捉体120は、図4(b)に示すように、その前端が針板8に近い上部側ほど先鋭となっており、この前端が、第一糸捕捉体110の糸捕捉部111に捕捉された縫い糸Tと針板8との間を通過するように移動する。
また、第二糸捕捉体120は、先端の糸捕捉部121を含めて、長手方向の全体が下方に向けて平行に延出する二股状に形成されている(図3及び図4(c)参照)。この二股部の内側には、当該第二糸捕捉体120の前進移動方向に刃先を向けて固定刃150が設けられている(図4(b)及び図4(c)参照)。そして、第二糸捕捉体120は、動作装置200により進退移動の動力を付与され固定刃150に沿って往復直線動作を行うことで、先端の糸捕捉部121で捕捉した縫い糸Tを固定刃150に案内して切断する。
動作装置200は、図2に示すように、第一糸捕捉体110による捕捉動作の駆動源となる糸捕捉体駆動用ステッピングモータ180(以下、単にステッピングモータ180とする)と、ミシンモータ5により回転される下軸2に設けられた第一カム部材たる糸切りカム160と、この糸切りカム160に並設され上記ステッピングモータ180により駆動する第二カム部材たる糸捕捉体駆動カム170と、糸切りカム160と糸捕捉体駆動カム170の双方の原節に当接可能な従節たるカム当接部131を有し、糸切りカム160及び糸捕捉体駆動カム170から第一糸捕捉体110に進退移動の動力を伝達する第一動力伝達手段たる第一リンク機構130と、糸切りカム160と糸捕捉体駆動カム170の双方の原節に当接可能な従節たるカム当接部141を有し、糸切りカム160及び糸捕捉体駆動カム170から第二糸捕捉体120に進退移動の動力を伝達する第二動力伝達手段たる第二リンク機構140と、を備えている。
ステッピングモータ180は、図2及び図5に示すように、ベッド部12内における縦胴部13側(図5における右側)に位置し、出力軸がY軸方向に沿うように配置されている。このステッピングモータ180の出力軸には、ギヤ181、192を介して下軸2と平行に延在するトルク伝達軸191の一端が連結されており、トルク伝達軸191の他端にはギヤ193が設けられている。そして、このステッピングモータ180が駆動されると、ギヤ181、192、トルク伝達軸191及びギヤ193からなる動力伝達機構190を介して後述する糸捕捉体駆動カム170に回動力が付与される。
なお、本実施形態では、第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120が各々の前進方向であるC1方向,D1方向に移動する方向に後述する糸捕捉体駆動カム170を回動する方向をステッピングモータ180の正転方向とし、逆に、第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120が各々の後退方向であるC2方向、D2方向に移動する方向に糸捕捉体駆動カム170を回動する方向をステッピングモータ180の逆転方向とする(図7参照)。また、軸周りに回動することで、後述する第一リンク機構130を介して第一糸捕捉体110に進退移動を付与するとともに第二リンク機構140を介して第二糸捕捉体120に進退移動を付与する糸捕捉体駆動カム170の、当該軸周りの回動量に対応するステッピングモータ180の駆動量は、様々な進退移動量に対応するパルス数が予め試験的に求められ後述する制御部50の記憶部であるROM52に記憶されている。
糸切りカム160は、図2及び図5に示すように、下軸2に固定されて当該下軸2とともに回転可能な端面カムからなり、下軸2のスラスト方向すなわちY軸方向の両端面に原節を有している。このうち一方の端面であって上記第一糸捕捉体110の進退移動における後方側、すなわち当該糸切りカム160におけるベッド部12先端側の端部(図5における左端)が、従節たる第一リンク機構130のカム当接部131(後述する)と係合する糸切りカム160の原節たる端面カム部161となっている。さらに、本実施形態では、糸切りカム160におけるスラスト方向の他端であって、ベッド部12内における縦胴部13側の端部(図5における右端)が、従節たる第二リンク機構140のカム当接部141(後述する)と係合する糸切りカム160の原節たる端面カム部162となっている。
かかる糸切りカム160は、各々の原節が、ミシンモータ5の駆動により、第二糸捕捉体120を最前進位置に配置したまま縫い糸Tを捕捉した第一糸捕捉体110を最後退位置に後退し、その後、第二糸捕捉体120を最後退位置に移動するように各々の原節に対する従節を案内するようになっている。
具体的に、上記各原節たる端面カム部161,162は、後述する切断制御手段としての制御部50によりミシンモータ5が駆動されることで回転する下軸2の回転量に応じて、各従節131,141を所定のタイミング及び所定の移動量で案内するように、回転方向の位相に応じて段階的に起伏した端面形状を有している(図8参照)。
糸捕捉体駆動カム170は、図2及び図5に示すように、軸方向がY軸方向に沿うように配設された円筒カムであり、下軸2に固定された糸切りカム160と同心で、該糸切りカム160を内部に擁するように配置されている。すなわち、糸捕捉体駆動カム170の内側には、下軸2に固定された糸切りカム160が下軸2ごと回転自在に挿通されている(図5及び図6参照)。
この糸捕捉体駆動カム170の外周部におけるスラスト方向の両端部近傍には、それぞれ当該糸捕捉体駆動カム170を回動自在に支持する支持部材178に当接されることで該糸捕捉体駆動カム170のスラスト方向の位置決めを行うギヤ171及びフランジ172が設けられている。このうち、ギヤ171は、ステッピングモータ180から当該糸捕捉体駆動カム170に回動力を伝達するための従動ギヤとなっている。
かかる糸捕捉体駆動カム170には、該糸捕捉体駆動カム170の周面部を内周から外周まで貫通する開口部173が設けられている。この開口部173は、図7に示すように、当該開口部173のうちギヤ171側(図7における下方側)の端面が、当該糸捕捉体駆動カム170の周方向の一端側であってステッピングモータ180による回動動作における逆転方向側(図7における右側)ほどギヤ171に近接するように拡開されており、X軸方向及びY軸方向に対して斜めに形成された傾斜部を有する円周カム部174となっている。
円周カム部174は、糸捕捉体駆動カム170がY軸周りに回動されることで、後述するばね134の付勢力により当該円周カム部174に当接されるカム当接部131をY軸方向に移動する。かかる円周カム174のうち、フランジ172側の一端すなわちステッピングモータ180による回動動作の正転方向側(図7における左側)には、糸捕捉体駆動カム170のスラスト方向と直交する周方向に沿って形成された待機部176が設けられている。
待機部176は、後述する第一リンク機構130のカム当接部131が該待機部176に係合した際に、第一糸捕捉体110をその進退移動における最後退位置である待機位置(図11(b)参照)に配置する。すなわち、待機部176は、第一糸捕捉体110を後退させて、糸切りカム160の原節たる端面カム部161とその従節たる第一リンク機構130のカム当接部131とを非係合とする位置に当該カム当接部131を移動して保持する本発明の当接部位として機能する。つまり、カム当接部131を待機部176に保持して第一糸捕捉体110を待機位置(図11(b)参照)に配置した際には、下軸2及び糸切りカム160は回転を害されることなく自在に回転できるようになっている。
一方、端面カム部175もまた、上記円周カム部174と同様に、第二リンク機構140を介して第二糸捕捉体120を最後退位置に後退させることで、糸切りカム160の原節たる端面カム部162とその従節たるカム当接部141とを非係合とする位置にカム当接部141を移動させて保持する本発明の当接部位として機能する。つまり、カム当接部141を、スラスト方向と直交するように周方向に沿って形成された待機部177に保持して第二糸捕捉体120を待機位置(図11(b)参照)に配置した際には、カム当接部141と糸切りカム170とが当接することなく非係合となり(図11(a)参照)、下軸2及び糸切りカム160は回転を害されることなく自在に回転できるようになっている。
つまり、糸捕捉体駆動カム170は、その原節たる円周カム部174及び端面カム部175が第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120を後退させて、糸切りカム160の原節が何れのカム当接部131,141とも非係合となる位置に当該各カム当接部131,141を移動及び保持する形状になっている。
そして、糸捕捉体駆動カム170は、原節である円周カム部174及び端面カム部175が、ステッピングモータ180の正転により第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120を共に最後退位置から最前進位置まで移動した後、ステッピングモータ180の逆転により第二糸捕捉体120を最前進位置に配置したまま第一糸捕捉体110を後退途中の糸捕捉位置に配置するように各カム当接部131,141を案内する(図7参照)。
第一リンク機構130は、図2及び図3に示すように、ベッド部12内に固定された図示しない台座に一端が回動自在に支持されたリンク132と、このリンク132の他端部と回動自在に連結されたリンク133と、リンク132を一方の旋回方向に向けて常時付勢するばね134とを備えている。
リンク132の一端は、糸捕捉体駆動カム170の側方でZ軸方向を軸中心とする旋回軸138に支持されており、糸捕捉体駆動カム170の上方を通るようにして水平方向に延出された他端が旋回軸138を回動支点として水平旋回自在に設けられている。このリンク132の長手方向におけるほぼ中央部には、下方に向けて延出された棒状のカム当接部131が設けられている。カム当接部131は、その下端が糸捕捉体駆動カム170の開口部173内に挿通されており、該糸捕捉体駆動カム170の原節たる円周カム174と糸切りカム160の原節たる端面カム部161の双方に当接可能な本発明の従節として機能する。また、リンク132の他端には、上方に向けてピン137が突設されている。
リンク133は、その長手方向のほぼ中央部をZ軸方向に貫通し当該長手方向に沿って形成された長穴136を有し、該長穴136内に摺動自在に嵌合されたピン137を介してリンク132と回動自在に連結されている。このリンク133は、リンク132との連結部を挟んでリンク132の旋回軸138と逆側の一端が、ベッド部12内に固定された図示しない台座にZ軸方向に沿う旋回軸139を回動支点として回動自在に支持され、水平旋回自在に設けられている。また、リンク133の他端には、該リンク133を長手方向に沿ってZ軸方向に貫通する長穴135が設けられており、当該長穴135には第一糸捕捉体110の下部に設けられたピン112が摺動自在に嵌合されている。
ばね134は、リンク132を図3に示す矢印A1方向に回動するように常に付勢しており、該リンク132の下端に設けられたカム当接部131を円周カム部174及び端面カム部161側に向けて常時付勢することで、リンク133を介してリンク132と連結された第一糸捕捉体110を図3に示す右方向すなわち前進移動方向C1に向けて常時付勢している。
そして、第一リンク機構130は、ばね134の付勢力により、第一糸捕捉体110に常に前進移動方向C1(図3及び図5における右方向)に向かう移動力を伝達するとともに、糸切りカム160又は糸捕捉体駆動カム170が回動することでばね134の付勢力に抗してカム当接部131がベッド部12先端側(図3及び図5における左側)に移動された際には、第一糸捕捉体110に後退方向C2(同左側)に向かう移動力を伝達する。
第二リンク機構140は、図2及び図3に示すように、第一リンク機構130よりも針落ちに近接する位置で一端が水平旋回自在に軸支されたリンク142と、このリンク142の他端に連結されたリンク143と、リンク142を一方の旋回方向B1に向けて常時付勢するばね144とを備えている。
リンク142は、略L字状のリンク部材であり、その一端がZ軸方向に沿う旋回軸148を回動支点として水平旋回自在に支持されている。このリンク142の他端は、下軸2の上方まで水平に延出されて水平旋回自在に設けられている(図5参照)。かかるリンク142の他端には、上方に向けてピン146が突設されている。また、この他端には下方に向けて延出された棒状のカム当接部141が設けられている。カム当接部141は、その下端が下軸2の近傍まで延設されており、糸捕捉体駆動カム170の原節たる端面カム部175と糸切りカム160の原節たる端面カム部162の双方に当接可能な本発明の従節として機能する。
リンク143は、略L字状のリンク部材であって、当該L字の折曲部においてZ軸方向に沿う旋回軸149を回動支点として水平旋回自在に支持されている。このリンク143の短辺側の一端には、旋回軸149を中心とする半径方向に沿う長穴145がZ軸方向に貫通して設けられており、該長穴145内に摺動自在に挿通されたピン147を介してリンク142とリンク143とが回動自在に連結されている。また、リンク143の長辺側の他端には、旋回軸149を中心とする半径方向に沿う長穴146がZ軸方向に貫通して設けられており、該長穴146内には第二糸捕捉体120の下部に設けられたピン122が摺動自在に嵌合されている。
ばね144は、リンク142を図3に示す矢印B1方向に回動するように常に付勢することで、該リンク142の下端に設けられたカム当接部141を端面カム部175及び端面カム部162側に向けて常時付勢するとともに、リンク143を介してリンク142と連結された第二糸捕捉体120を図3に示す矢印D1方向すなわち前進移動方向に向けて常時付勢している。
そして、第二リンク機構140は、ばね144の付勢力により、第二糸捕捉体120に常に前進移動方向(図3に示す矢印D1方向)に向かう移動力を伝達するとともに、糸切りカム160又は糸捕捉体駆動カム170が回動することでばね144の付勢力に抗してカム当接部141が縦胴部13側(図3及び図5における右方向)に移動された際には、第二糸捕捉体120に後退方向(図3に示す矢印D2方向)に向かう移動力を伝達する。
(ミシンの制御系)
次に、図9に基づきミシン1の制御系の構成について詳しく説明する。
図9は、本発明たるミシン1の電気的構成を示す制御ブロック図である。図9に示すように、制御部50は、後述する各種の制御及び処理を行うための各種プログラムと各種の模様縫いを行うための縫製データその他各種設定データを記憶するROM52と、ROM52内の各種のプログラムを実行するCPU51と、各種のプログラムの実行に際して作業領域となるRAM53と、CPU51,ROM52及びRAM53とバスを介して接続された入力インターフェース54及び出力インターフェース55と、ミシンモータ5への電源供給により駆動を行うスイッチング駆動回路56と、針棒揺動用ステッピングモータ90への電源供給により駆動を行う駆動回路57と、送り歯駆動用ステッピングモータ91への電源供給により駆動を行う駆動回路58と、糸捕捉体駆動用ステッピングモータ180への電源供給により駆動を行う駆動回路59とを備えている。
入力インターフェース54は、起動停止スイッチ16、模様選択スイッチ17、速度設定ボリューム18、エンコーダ6及び主軸位置検出センサ7からの入力信号をCPU51に伝達し、出力インターフェース55は、駆動回路106、107、108及び選択模様表示器92に対してCPU51の指令に従い所定の制御を行う。
エンコーダ6は、ミシンモータ5の回転軸に取り付けた図示しない円盤と光学センサによって構成されている。円盤には円周に沿って等間隔にスリットが開けられており、光学センサは円盤を挟んで配置された光源と受光素子とを備えている。そして、図示しない上軸が1回転すると光源からの光の透過と遮断との繰り返しにより受光素子からパルス信号が発生する。このエンコーダ6では、上軸一回転につき光学センサが180パルスを発生するように設計されている。エンコーダ6が出力するパルス信号は、入力インターフェース54のパルスカウンタに入力される。
そして、制御部50は、起動停止スイッチ16、模様選択スイッチ17、速度設定ボリューム18、エンコーダ6及び主軸位置検出センサ7からの入力信号に応じて、CPU51がROM52に記憶された各種制御プログラムに基づき、RAM53を作業領域として演算処理を行い、その演算結果に応じた出力信号をミシンモータ5、針棒揺動用ステッピングモータ91、送り歯駆動用ステッピングモータ91等の各種アクチュエータに出力することで各アクチュエータを駆動して所定の縫いを行う制御処理を実行する。
さらに、本実施形態における制御部50は、
ステッピングモータ180を駆動することで第一糸捕捉体110を移動して縫い糸Tを捕捉した後、ミシンモータ5を駆動することで第二糸捕捉体120を移動して縫い糸Tを切断する本発明の切断制御手段として機能する。
具体的に、制御部50は、糸切り開始スイッチである糸切りボタン30の押下が検出されると、切断制御手段として、CPU51が主軸位置検出センサ18の検出信号を読み込み、下軸2が所定の回転角度(例えば、針棒が下停止する際の下軸角度)に位置する際にステッピングモータ180を正転方向に駆動することにより、第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120を共に最後退位置から最前進位置まで移動した後、ステッピングモータ180を逆転方向に駆動して第二糸捕捉体120を最前進位置に配置したまま第一糸捕捉体110を後退途中の糸捕捉位置に配置する制御を実行する。なお、かかる制御は、糸捕捉体駆動カム170の周方向に渡って所定の位相に形成された円周カム部174及び端面カム部175の各カム形状(図7参照)に応じて、当該糸捕捉体駆動カム170を軸周りに所定量回動させるようにCPU51がステッピングモータ180を駆動することで行われる。
また、制御部50は、切断制御手段として、ステッピングモータ180を逆転方向に駆動して第二糸捕捉体120を最前進位置に配置したまま第一糸捕捉体110を糸捕捉位置に配置する上記制御を実行した後、ステッピングモータ180を停止するとともにミシンモータ5を駆動することで、第二糸捕捉体120を最前進位置に配置したまま縫い糸Tを捕捉した第一糸捕捉体110を最後退位置に後退し、その後、第二糸捕捉体120を最後退位置に移動する制御を実行する。
(実施形態の動作説明)
次に、図10に示すフローチャートに基づき上記構成を備えるミシン1の動作説明を行う。
まず、縫製中は、図11(a)に示すように、第一リンク機構130のカム当接部131が糸捕捉体駆動カム170における円周カム部174の待機部176に配置されるとともに、第二リンク機構140のカム当接部141が糸捕捉体駆動カム170における端面カム部175の待機部177に配置された状態で保持されている。このため、各カム当接部131,141と糸切りカム160とが相互に干渉することはなく、下軸2及び糸切りカム160は自由に回転することができる。また、第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120は、図11(b)に示すように、それぞれの進退移動方向における最後退位置すなわち待機位置に配置された状態で待機している。
次に、縫製が終了すると、ミシンモータ5が停止し、縫い針3が下停止の状態で上軸及び下軸2が停止する。このとき、糸切りカム160は、図12(a)に示すように、その端面カム部161の先端161aが下軸2の軸線を挟んでカム当接部131と逆側、すなわち、下方側に配置されて停止する。これにより、糸捕捉体駆動カム170が駆動された際に、第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120をそれぞれ最前進位置まで移動するようにカム当接部131,141が移動できるスペースが確保されることとなる。また、図12(b)に示すように、この段階で第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120は、それぞれが未だ待機位置に配置された状態で待機している。
次に、オペレータによって糸切りボタン30が押下され、糸切り動作の開始信号が検出されると(ステップS1)、CPU51は、駆動回路59を介してステッピングモータ180を正転方向に駆動し(ステップS2)、糸捕捉体駆動カム170を周方向(図12(a)に示す矢印G方向)に回転する処理を実行する。すると、ばね134の付勢力により、円周カム部174に当接されているカム当接部131が該円周カム部174に沿って図12(a)及び図12(b)中における右方向に移動され、リンク132が回動支点138を中心に第一糸捕捉体110を前進させる方向(矢印A1方向)に旋回する。これにより、第一糸捕捉体110が前進方向C1に移動される(ステップS3)。また、上記糸捕捉体駆動カム170の回転により、ばね144の付勢力によって端面カム部175に当接されているカム当接部141が該端面カム部175に沿って図12(a)及び図12(b)中における左方向に移動される。これにより、リンク142が回動支点148を中心に矢印B1方向に旋回され、第二糸捕捉体120が前進方向D1に移動する(ステップS3)。
そして、図13(a)に示すように、糸捕捉体駆動カム170が初期位置から矢印G方向に180°回動されるまでステッピングモータ180が駆動されると(ステップS4)、図13(b)に示すように、針板8の下方でボビン24と針穴9との間に掛け渡された下糸T2の当該下糸経路を糸捕捉部111が通過するように第一糸捕捉体110が最前進位置まで移動される。また、上記糸捕捉体駆動カム170の回動により、第二糸捕捉体120は、その先端の糸捕捉部121が水平釜21の上方であって第一糸捕捉体110に近接する針落ち近傍の最前進位置まで移動される(図13(b)参照)。
第一糸捕捉体110が最前進位置まで移動されると、CPU51は、駆動回路59を介して糸捕捉体駆動用ステッピングモータ180を低速で逆方向に回転(ステップS5)することで、糸捕捉体駆動カム170を逆方向に回転し、第一リンク機構130を介して第一糸捕捉体110を低速で後退させる処理を実行する(ステップS6)。これにより、第一糸捕捉体110が後退移動を行い、糸捕捉部111で下糸Tが捕捉される(ステップS7)と共に、ボビン24から下糸Tがゆっくりと引き出される。そして、図14(a)に示すように、糸捕捉体駆動カム170が初期位置から90°の位置まで逆回転され(ステップS8)、図14(b)に示すように第一糸捕捉体110が後退途中の上糸捕捉位置まで後退(前半)すると、CPU51は、駆動回路59を介してステッピングモータ180を停止する(ステップS9)と共に、駆動回路56を介してミシンモータ5を駆動する処理を実行する(ステップS10)。ここで、図14(b)に示すように、ステップS9でステッピングモータ180が停止された状態において、上糸捕捉位置に配置された第一糸捕捉体110と最前進位置に配置された第二糸捕捉体120とが互いの先端を付き合わせたような配置となり、糸捕捉部111と糸捕捉部121とが接近して並んで配置された状態となる。なお、この状態で糸捕捉部111には下糸T2のみが捕捉されており、糸捕捉部121には何れの縫い糸(T1,T2)も捕捉されていない。
ミシンモータ5が駆動されると、図15(a)及び図16(a)に示すように、下軸2及び糸切りカム160が回転し、該下軸2に連結された水平釜30(外釜22)が回転する(ステップS11)。
ここで、上述したように、水平釜30(外釜22)は下軸2の回転数に対して二倍の回転数で回転されるため、下軸2が半回転すなわち180°程回転すると、水平釜30(外釜22)はほぼ360°すなわち一回転することとなる。つまり、下軸2及び糸切りカム160が半回転する間に外釜22を通過した上糸が、図15(b)に示すように、各糸捕捉体110,120の糸捕捉部111,121に同時に捕捉される(ステップS12)。つまり、この時点で、糸捕捉部111には上糸T1及び下糸T2が捕捉され、糸捕捉部121には上糸T1が捕捉された状態となる。また、図15(a)に示すように、糸切りカム160の端面カム部161がカム当接部131に当接する位置まで回転すると、糸切りカム160の端面カム部161を原節として従節たるカム当接部131が、図16(a)に示すように、端面カム部161に沿って左方向に移動される。これに伴い、第一糸捕捉体110がさらに後退(後半)する。
ここで、上糸捕捉位置から最後退位置に向かう第一糸捕捉体110の後退移動により、糸捕捉部111で捕捉した上糸T1及び下糸T2のうち、該糸捕捉部121と針穴9との間に掛け渡された下糸T2の角度が図18に示すように変化することとなる。すなわち、第一糸捕捉体110の後退移動(後半)により、糸捕捉部111と針穴9との間に掛け渡された下糸T2が、針穴9を中心として、平面視にてY軸方向と平行に近くなるように変化する。本実施形態では、かかる下糸T2の角度の変化により、下糸T2が第二糸捕捉体120先端の曲面に沿って下方に案内されて糸捕捉部121に捕捉されることとなる。従って、第一糸捕捉体110が図16(b)に示す最後退位置に配置された状態においては、糸捕捉部111に上糸T1及び下糸T2が捕捉されるとともに、糸捕捉部121にも上糸T1及び下糸T2が捕捉された状態となる(ステップS13)。
そして、第二糸捕捉体120の糸捕捉部121が、糸切断位置を通過してさらに後退移動し最後退位置まで移動(ステップS14)することで、図17(b)に示すように、当該糸捕捉部121によって固定刃150に導かれた上糸T1及び下糸T2が切断される(ステップS15)。
その後、図17(a)に示すように、下軸2及び糸切りカム160が180°回転すると、従節たるカム当接部131は、糸切りカム160における端面カム部161の先端161aまで案内され、第一糸捕捉体110は所期位置である待機位置の近傍まで後退される。また、カム当接部141は、糸切りカム160における端面カム部162の先端まで案内され、第二糸捕捉体120は初期位置である待機位置の近傍まで後退される。
さらに、CPU51は、駆動回路56を介してミシンモータ5を停止した後(ステップS16)、駆動回路59を介してステッピングモータ180の逆転駆動(後半)を再開することで糸糸捕捉体駆動カム170を逆方向(戻り方向)に原点位置まで駆動する処理を実行する(ステップS17)。これにより、糸捕捉体駆動カム170が初期位置(0°)まで逆方向に回転し、カム当接部131が円周カム部174の待機部176内に案内されるとともに、カム当接部141が端面カム部175の待機部177に案内される。従って、第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120が何れも最後退位置に保持され(ステップS18)、縫製可能な状態となって糸切り処理が終了する。
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態たる糸切り機構100によれば、第一糸捕捉体110で縫い糸Tを捕捉した後、該第一糸捕捉体110の糸捕捉部111と針穴9との間に掛け渡された縫い糸Tをさらに第二糸捕捉体120で捕捉して固定刃150に案内して切断する構成としたことにより、
縫い糸Tのより針穴9に近い部分を切断することができる。従って、第一糸捕捉体110で捕捉した縫い糸Tを固定刃150に導いて切断する従来のミシンの糸切断装置に比べて、切断後に布側に残る縫い糸Tの残端長さを短縮することができ、且つ、第一糸捕捉対110で縫い糸Tを折り返す為ミシン1側に残る縫い糸Tの残端長さを従来よりも長く確保することができる(図19参照)。これにより、縫い糸Tを適切な長さに切断して布側に残る縫い糸Tの残端処理に要する手間や時間を低減することができるとともに、次回縫製時に縫い糸Tを効率良く絡ませることができるため、作業の効率化が図られる。
また、第一リンク機構130及び第二リンク機構140の各々が、ミシンモータ5によって作動する糸切りカム160とステッピングモータ180によって作動する糸捕捉体駆動カム170の双方の原節に当接可能な従節(131,141)を有することにより、制御部50が第一糸捕捉体110を駆動する際の駆動源と第二糸捕捉体120を駆動する際の駆動源を、ミシンモータ5又はステッピングモータ180の何れか一方に選択的に切替えることができる。具体的には、制御部50が、ステッピングモータ180を駆動源として第一糸捕捉体110を駆動して縫い糸Tを捕捉した後にミシンモータ5を駆動して第二糸捕捉体120を駆動して固定刃150に案内した縫い糸Tを切断することにより、制御部50が、第一糸捕捉体110による捕捉動作の際に、その駆動源となるステッピングモータ180を低速で駆動することで、第一糸捕捉体110による縫い糸Tの捕捉動作を低速で行うことができる。従って、ボビン24から縫い糸Tを低速で引き出すことができる。その結果、ボビン24から縫い糸Tが過剰に引き出される引き出し過剰を防止することができる。また、第二糸捕捉体120で縫い糸Tを固定刃150に導いて切断する際の駆動源をミシンモータ5としたことにより、切断の際の駆動源をステッピングモータ180とする場合に比べて切断力を強力にすることができる。その結果、使用される縫い糸Tの種類(例えば、太さや硬さ等)を考慮することなく糸切りを実行することができるため、糸切り不良を防止することができる。
また、糸捕捉体駆動カム170が、糸切りカム160と同心に配置され該糸切りカム160を内側に擁する構成とした他、糸切りカム160を両端面に原節を有する端面カムとし、糸捕捉体駆動カム170を周面とスラスト方向の一端面とに原節を有する円筒カムとしたことで、ベッド部12内の省スペース化を図りつつ上記各効果を得ることができる。
また、縫製中に当接部位たる待機部176,177で従節たるカム当接部131,141を保持することにより、下軸2と共に回転される糸切りカム160の原節と第一リンク機構130及び第二リンク機構140の従節との干渉を防止して円滑な縫製動作を実現することができる。
また、第二糸捕捉体120が最前進位置に配置されるとともに第一糸捕捉体110が後退途中の糸捕捉位置に配置された状態でミシンモータ5が駆動することにより、ミシンモータ5に連動する外釜22によって捕捉されて水平釜21をくぐり抜ける縫い糸Tを何れの糸捕捉部111,121も効率良く捕捉することができる。また、第二糸捕捉体120が最前進位置に配置されたまま、縫い糸Tを捕捉した第一糸捕捉体110が最後退位置まで後退する構成としたことにより、第一糸捕捉体110で捕捉された縫い糸Tを当該第一糸捕捉体110の後退移動によって第二糸捕捉体120の糸捕捉部121に容易に捕捉させることができる。
また、第二糸捕捉体120の糸捕捉部121が、第一糸捕捉体110の糸捕捉部111と針穴9との間に掛け渡された縫い糸Tを捕捉可能な高さを通過することにより、縫い糸Tを捕捉する捕捉動作及び当該縫い糸Tを切断する切断動作の確実性を向上することができる。
(その他)
なお、本実施形態では、糸切りボタン30の押下に伴う糸切り信号の入力に応じてステッピングモータ180が駆動される構成としているが、例えば、下軸2が所定の回転角度に位置することを検出する検出手段(例えば、主軸位置検出センサ7でもよい)を設け、該検出手段からの検出信号に応じて制御部50がステッピングモータ180を自動的に駆動するように制御することとしてもよい。
また、制御部50は、予め設定された縫製データに基づき縫製を終了した際に、糸捕捉体駆動用ステッピングモータ180及びミシンモータ5を駆動することで上記糸切り動作を順次実行することとしてもよい。
また、ばね134,144は、第一糸捕捉体110及び第二糸捕捉体120をそれぞれ前進方向に付勢することができればよく、例えば、ゴム等の弾性体を有する付勢手段であってもよい。
本発明におけるミシンの外観を示す概略斜視図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の構成を示す分解斜視図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の配置を示す平面図である。 (a)は本発明における第一糸捕捉部材を示す概略側面図、(b)は第二糸捕捉部材及び固定刃と、針板、水平釜及び縫い糸の高さ関係を示す概略図、(c)は第二糸捕捉部材と固定刃とを示す平面図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の要部構成を示す概略図である。 図5におけるE−E断面を示す端面図である。 本発明における糸切りカムの形状を示す展開図である。 本実施形態における糸捕捉体駆動カムの形状を示す展開図である。 本発明におけるミシンの電気的構成を示す制御ブロック図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作を示すフローチャートである。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の動作説明図である。 本発明たるミシンの糸切断装置の縫い糸残り量を示す説明図である。 従来のミシンの糸切断装置における糸捕捉動作を示す模式図である。(a)は捕捉前、(b)は捕捉後を示す。 従来のミシンの糸切断装置の縫い糸残り量を示す説明図である。
符号の説明
1 ミシン
2 下軸
3 縫い針
5 ミシンモータ
6 エンコーダ
7 主軸位置検出センサ
8 針板
9 針穴
10 ミシンフレーム
11 アーム部
12 ベッド部
13 縦胴部
20 釜機構
21 水平釜
22 外釜
23 内釜
24 ボビン
25 剣先
30 糸切りボタン(糸切り開始スイッチ)
50 制御部(切断制御手段)
51 CPU
52 ROM
53 RAM
100 糸切り機構(ミシンの糸切断装置)
110 第一糸捕捉体(第一糸捕捉部材)
111 糸捕捉部
120 第二糸捕捉体(第二糸捕捉部材)
121 糸捕捉部
130 第一リンク機構(第一動力伝達手段)
131 カム当接部(従節)
132,133 リンク
134 ばね(付勢手段)
135,136 長穴
137 ピン
138,139 旋回軸(回動支点)
140 第二リンク機構(第二動力伝達手段)
141 カム当接部(従節)
142,143 リンク
144 ばね(付勢手段)
145,146 長穴
147 ピン
148,149 旋回軸(回動支点)
150 固定刃
160 糸切りカム(第一カム部材)
161 端面カム部(原節)
162 端面カム部(原節)
170 糸捕捉体駆動カム(第二カム部材)
171 ギヤ
172 フランジ
173 開口部
174 円周カム部(原節)
175 端面カム部(原節)
176,177 待機部
178 支持部材
180 糸捕捉体駆動用ステッピングモータ(ステッピングモータ)
181 ギヤ
190 動力伝達機構
191 トルク伝達軸
192 ギヤ
193 駆動ギヤ
200 動作装置
T1 上糸(縫い糸)
T2 下糸(縫い糸)

Claims (7)

  1. 水平釜と針穴との間に渡る上糸又は下糸の少なくとも何れか一方の縫い糸を切断するミシンの糸切断装置であって、
    糸捕捉部を有し、針板の下方で進退移動して縫い糸を捕捉する第一糸捕捉部材と、
    糸捕捉部を有し、前記第一糸捕捉部材により捕捉されることで前記針穴と前記第一糸捕捉部材の糸捕捉部との間に掛け渡された縫い糸を捕捉して固定刃に案内し切断する第二糸捕捉部材と、
    前記第一糸捕捉部材による捕捉動作の後に前記第二糸捕捉部材による捕捉動作と切断動作とを行わせる動作装置とを備えることを特徴とするミシンの糸切断装置。
  2. 前記動作装置は、少なくとも前記第一糸捕捉部材による捕捉動作の駆動源となるステッピングモータを備えることを特徴とする請求項1記載のミシンの糸切断装置。
  3. 前記動作装置は、
    ミシンモータにより回転される下軸に設けられた第一カム部材と、
    前記第一カム部材に並設され前記ステッピングモータにより駆動する第二カム部材と、
    前記第一カム部材と第二カム部材の双方の原節に当接可能な従節を有し、前記第一及び第二カム部材から前記第一糸捕捉部材に進退移動の動力を伝達する第一動力伝達手段と、
    前記第一カム部材と第二カム部材の双方の原節に当接可能な従節を有し、前記第一及び第二カム部材から前記第二糸捕捉部材に進退移動の動力を伝達する第二動力伝達手段と、
    前記ステッピングモータを駆動することで前記第一糸捕捉部材を移動して縫い糸を捕捉した後、前記ミシンモータを駆動することで前記第二糸捕捉部材を移動して縫い糸を切断する切断制御手段と、を備えることを特徴とする請求項2記載のミシンの糸切断装置。
  4. 前記第一カム部材は、前記下軸のスラスト方向の両端面に原節を有する端面カムであり、
    前記第二カム部材は、前記第一カム部材と同心に配置され、該第一カム部材を内側に擁するとともに、その周面と下軸のスラスト方向の一端面とに原節を有する円筒カムであることを特徴とする請求項3記載のミシンの糸切断装置。
  5. 前記第二カム部材の原節は、前記第一糸捕捉部材及び第二糸捕捉部材を後退させて前記第一カム部材の原節と前記各従節とを何れも非係合とする位置に各従節を保持する当接部位を有することを特徴とする請求項3又は請求項4記載のミシンの糸切断装置。
  6. 前記第二カム部材は、各々の原節が、前記ステッピングモータの正転により第一糸捕捉部材及び第二糸捕捉部材を共に最後退位置から最前進位置まで移動した後、前記ステッピングモータの逆転により前記第二糸捕捉部材を最前進位置に配置したまま第一糸捕捉部材を後退途中の糸捕捉位置に配置するように前記各従節を案内し、
    前記第一カム部材は、各々の原節が、ミシンモータの駆動により、前記第二糸捕捉部材を最前進位置に配置したまま縫い糸を捕捉した第一糸捕捉部材を最後退位置に後退し、その後、第二糸捕捉部材を最後退位置に移動するように前記各従節を案内するようになっていることを特徴とする請求項3から請求項5の何れか一項記載のミシンの糸切断装置。
  7. 前記第二糸捕捉部材は、糸捕捉部により、前記第一糸捕捉部材の糸捕捉部と前記針穴との間に掛け渡された縫い糸を捕捉可能とする所定高さを通過するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項記載のミシンの糸切断装置。
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