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JP2008166023A - 車両用灯具 - Google Patents

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JP2008166023A JP2006351635A JP2006351635A JP2008166023A JP 2008166023 A JP2008166023 A JP 2008166023A JP 2006351635 A JP2006351635 A JP 2006351635A JP 2006351635 A JP2006351635 A JP 2006351635A JP 2008166023 A JP2008166023 A JP 2008166023A
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Abstract

【課題】意匠性及び視認性に優れた車両用灯具を簡素な構造で実現すること。
【解決手段】複数個の光源と、前記光源に対する光入射部及び反射部を裏面側に有し、該光入射部から入射した光が該反射部で反射されて生じた光を正面より放射する導光体であって、放射光の態様が異なる複数の区画からなり、隣接する二つの区画の境界部に反射拡散領域が形成された導光体と、を備える車両用灯具が提供される。
【選択図】図5

Description

本発明は車両用灯具に関する。詳しくはリアコンビネーションランプなどの車両用灯具の改良に関する。
リアコンビネーションランプ等、二種類以上の発光表示を行うランプ装置では、隣接する二以上の区画からそれぞれ所定の発光態様の光を発光させることになるが、発光表示の視認性向上や発光表示の際の意匠性向上のためには、発光表示に係る区画のみが発光し、隣接する区画への光漏れの生じないことが望まれる。この要請に応えるためアウタレンズの裏面にリブを突設することやアウタレンズの裏面側に別体で遮光壁を設けること等の対策が講じられる(例えば特許文献1を参照)。
特開平7−288008号公報
上記の対策はアウタレンズに到達する前の光が漏洩することを防止するためには有効である。しかしながら、光漏れはレンズ内部での導光・拡散に起因しても生じることから、上記の対策では十分といえない場合がある。特に、レンズの導光作用を積極的に利用して発光表示を行う構造の場合には必然的にレンズ内部での導光・拡散に起因する光漏れが顕著となる。また、このような構造では効率的にレンズ内へ光を導入するためにレンズに近接して光源が配置されることから、上記の対策で利用される遮光壁やリブを設けるためのスペースの確保が困難となる。
以上の課題を解決すべく本発明は以下の構成からなる。即ち、
複数個の光源と、
前記光源に対する光入射部及び反射部を裏面側に有し、該光入射部から入射した光が該反射部で反射されて生じた光を正面より放射する導光体であって、放射光の態様が異なる複数の区画からなり、隣接する二つの区画の境界部に反射拡散領域が形成された導光体と、
を備える車両用灯具である。
以上の構成では、隣接する二つの区画の境界部に形成された反射拡散領域が、導光体内を導光・拡散する光に対する障壁となる。これによって、区画間の境界を越えて光が漏洩・拡散することが防止される。その結果、発光時に区画毎の境界(見切り)が明確となり、意匠性及び視認性に優れた発光表示が可能となる。
一方、従来の構成と異なり、光の方向の制御等に利用される反射部(リフレクタ)が、レンズとしての導光体と一体的に構成されることから、構造の簡素化及びそれに伴う部品点数の削減、並びに小型化が達成される。また、導光体の裏面側に設けた反射部の作用によって良好な導光作用が生じ、輝度ムラが少ない発光を得やすくなる。さらには、裏面側に反射部が形成された導光体の正面が意匠面(発光面)となることによって、特有の立体感・クリスタル感が付与され、点灯時は勿論のこと非点灯時においても意匠性の高い車両用灯具となる。
本発明の車両用灯具では、導光体(レンズ)に入射した光源の光を導光体の裏面側の反射部で反射することによって導光体正面方向の光へと変換する。これによって、最終的に導光体正面から光が放射することになる。このように本発明では導光体正面が発光面、即ち灯具の外表面となる。つまり、外部から本発明の灯具を見たとき、導光体の発光面が直接(カバーなどを介してではなく)観察されることになる。
光源の使用数は導光体の大きさや、灯具に必要とされる発光輝度などを考慮して定めることができる。導光体の区画毎に必要な数の光源が用意される。光源の配置態様は特に限定されない。但し、導光体への入射率(導入効率)を高めるため、光源を導光体に近接して配置することが好ましい。光源の発光面と導光体の表面とが実質的な間隙のない状態で接続されるように光源を配置することが特に好ましい。
光源の種類は特に限定されるものではなく、LEDランプ、バルブ等を用いることができる。中でもLEDランプを用いることが好ましい。LEDランプは小型であるため灯具の小型化を図れるからである。また、発熱量が小さく、周囲の部材への熱の影響を少なくすることができるといった利点も有する。さらには、駆動電力が小さく、また長寿命であるといった利点も有する。LEDランプの種類は特に限定されず、砲弾型、チップ型等、種々のタイプのLEDランプを採用できるが、レンズ等によって配光制御されたLEDランプが特に好ましい。
光源の色は任意に選択できる。複数の光源を用い、これらを制御することにより発光色を変化させることも可能である。
導光体は二以上の区画に分かれている。各区画の正面からはそれぞれ特有の発光態様の光が放射されることになる。本発明を自動車のリアコンビネーションランプに適用した場合では、例えば、テールランプ表示とストップランプ表示を行う区画(テール/ストップランプ部)と、ターンシグナル表示を行う区画(ターンランプ部)の二区画を設けたり、これらの二区画とバックランプ表示を行う区画(バックランプ部)の三区画を設けたりすることになる。
導光体の裏面側には光入射部が形成される。光入射部は光源が対向する領域である。光入射部の形態は特に限定されないが、後述の反射部に導入光が効率的に到達するように光入射部の位置、形状、角度などが設定される。光導入効率の点から、光源の光が入射する面(光入射面)は平滑にすることが好ましい。光入射部を複数設けてもよい。例えば使用する光源の数と同数の光入射部を設けることにする。尚、一つの光入射部を介して複数個の光源の光を導入する構成を採ることも可能である。
光源を内包するように凹状に成形された光入射部を設けることもできる。このような光入射部は光源の光の導入効率を高めるために有効である。また、この形態の光入射部を採用することによって光源(又はその一部)を導光体内に収容させることが可能となり、灯具の小型化も図られる。尚、横方向に光を出射する光源(具体例として横放射型LEDランプ)を用いる場合には通常この形態の光入射部が採用される。
光入射部近傍が導光体縁部よりも厚肉となるように導光体を成形することが好ましい。例えば、光入射部近傍の厚さ(正面と裏面との距離)が導光体縁部(導光体の外縁からの距離が導光体の高さの5%以内の部分を縁部とする)の厚さの2.5倍〜25倍とする。より具体的には、光入射部近傍を最も厚く形成し、その厚さを例えば15mm〜50mm、好ましくは25mm〜40mmとする。一方、導光体縁部の平均厚を例えば3mm〜20mm、好ましくは5mm〜10mmとする。このように厚肉の導光体を使用することは、導光体を通して外部より光源やハウジングの接続部が観察されることの防止に有効である。また、良好な導光作用が得られることになるから、導光体の縁部まで発光させることにも有効である。
導光体の裏面側には、光入射部に加えて反射部が形成される。例えば、光入射部から離れる方向に、連結部を間に介在させながら連なった複数の反射部を形成する。この場合、反射部と連結部が交互に形成されることになる。導光体の裏面側を階段状に成形する(換言すれば複数のステップを形成する)ことによって当該構成の導光体を得ることができる。
好ましくは、光入射部から導光体外縁に亘って反射部及び連結部を形成する。即ち、最も外側に位置する反射部の縁が導光体外縁に接するように構成する。かかる構成によれば導光体の縁部においても、反射部の作用によって導光体正面方向の光が生成することから、導光体正面を縁(外周)まで十分な輝度で発光させることが容易となる。
導光体の正面から放射する光の輝度ムラを軽減するため、導光体の正面と裏面との距離が、光入射部から離れるに従って連続的又は段階的に短くなるように導光体の形状を設計することが好ましい。このような設計によれば、光源から離れた領域において光の取り出し効率が高まる結果、輝度差の少ない発光が得られる。具体的には例えば、光入射部から導光体外縁に向かって、上記のように導光体裏面を階段状に形成すればよい。
光入射部から入射した光の内で反射部に到達した光は、反射部における界面によって反射され、導光体正面方向の光へと変換される。このように裏面の一部を利用して形成された反射部によって導光体正面方向の光が生成する。各反射部を規定する面の形状や角度などは反射光の進行方向及び灯具の配光特性等を考慮して任意に設定可能である。図1に示すように、反射部を規定する面(反射面)と光入射部を規定する面(光入射面)とがなす角度をθ、導光体正面(意匠面)と光入射面とがなす角度をθ1、光入射面に対する光の入射角度をθ2、導光体の屈折率をnとしたとき、以下の関係式が導き出される。
Figure 2008166023
この関係式に基づき、各反射部を規定する面の角度を設計することができる。
反射部と異なり連結部は、積極的に正面方向の光を生成することがない領域である。例えば、そこへ到達する光の進行方向と平行になる面によって連結部を構成する。連結部によって実質的な反射が生じないようにすれば、意図しない方向への光(迷光)の生成が防止され、輝度ムラの軽減も図られる。
反射部の表面に光反射性材料からなる層(反射層)を形成することが好ましい。かかる構成を採用することによって反射部での光反射率を高めることができ、灯具の輝度(光度)が向上する。また、金属材料等を使用し反射部での正反射を促すことによって、反射光の進行方向を揃えることができる。このように配光特性の観点からも反射層を形成することは好ましい。反射層は例えば金属材料(アルミ、銀、クロムなど)の蒸着やメッキ、スパッタ、金属フィルムの貼付等によって形成することができる。
本発明の灯具を外部から観察すれば、導光体の正面を通して裏面側に形成された反射部が見える。従って、反射部の形態は本発明の灯具の意匠を構成する重要な要素となる。よって、反射部に高いデザイン性を付与することによって、灯具の意匠性の向上を図ることができる。例えば、上記のように反射部に反射層を形成すれば、使用する材料に応じた特有の質感を付与することができる。具体的にはアルミなどの金属材料で反射層を形成することにすれば、導光体を介して反射部が金属調に視認されることになり、独特の意匠性を醸し出すことができる。また、反射層を形成する代わりに又はこれに加えて、反射部の表面に粗面加工や所定パターンの溝の形成を行うことによっても独特の意匠性を付与することもできる。
次に、図2を参照しながら、導光体に形成される反射拡散領域について説明する。図2には上下左右に各2個、合計4個の区画(第1区画101、第2区画102、第3区画103、第4区画104)からなる導光体100が模式的に示される。本発明では、隣接する二つの区画の境界部に反射拡散領域105が形成される。この反射拡散領域105が光に対する障壁として機能し、区画間(例えば第1区画101から第2区画102への)の光漏れが防止される。図2に示すように、隣接する二つの区画の境界部において、導光体の表面近傍を除く全領域に反射拡散領域105を形成することが好ましい。このように広範な領域に反射拡散領域を設けることは、隣接する区画からの光漏れの量を低減することに有効である。できるだけ導光体の表面に近い領域まで反射拡散領域を設けることすることが好ましく、例えば導光体の表面から0.5mm〜1.0mmの位置まで反射拡散領域を形成するとよい。
反射拡散領域はレーザ加工等によって形成することができる。また、微細なバブル(空気)を混入させることによっても反射拡散領域を形成することが可能である。レーザ加工の場合、所望の領域に微細なクラックを形成することになる。つまり、レーザ加工による反射拡散領域は微細なクラックの集合からなる。レーザ加工によれば高精度で反射拡散領域を形成可能である。
多層構造の反射拡散領域を形成することが好ましい。かかる反射拡散領域は光を遮断する効果が高い。レーザ加工によればこのような多層構造の光拡散領域を容易に形成可能である。
十分な遮蔽効果を発揮する限りにおいて反射拡散領域の厚さ(隣接する二つの領域の境界面に対して垂直方向の長さ)は特に限定されない。例えば当該厚さを0.5mm〜1.0mmとする。
本発明の好ましい一態様では、反射拡散領域に加えて乱反射領域(図2の符号106)が導光体に形成される。乱反射領域106は導光体の正面側から裏面側に向かって連続するように形成される。乱反射領域はそこへ到達する光を乱反射する。その結果、導光体の裏面側に設けられる反射部が生成する光とは方向性の異なる光が生ずる。これによって、正面方向のみならず、側方などへも発光状態であることを知らしめることができる。図2の例では、発光状態の第3区画103及び第4区画104を斜め正面や横から観察したとき乱反射部106が発光してみえることになる。
乱反射領域の形状は特に限定されないが、乱反射領域による上記効果を良好に発揮させるため、これを面状とすることが好ましい。但し、面状の他、線状や円状等、各種形状の乱反射領域を形成することにしてもよい。また、例えばドットマトリックス状に乱反射領域を形成するなど、乱反射領域が点在するようにしてもよい。
乱反射領域を区画の縁部に形成することが好ましい。区画内の導光作用が乱反射領域によって大きく影響を受けることがなくなるからである。また、区画内の中央又はその近傍に乱反射領域が視認されることによる意匠性の低下を防止するためである。但し、区画の縁部以外に乱反射領域を形成することを妨げるものではない。即ち、例えば図2に示すようなスリット状の乱反射領域107やドットマトリックス状等の乱反射領域を採用して導光作用への影響を抑えれば、区画の縁部以外に乱反射領域を形成したとしても実用上問題とならない。
乱反射領域は、光拡散領域と同様に、レーザ加工等によって形成することができる。レーザ加工によれば、微細なクラックの集合からなる乱反射領域を高精度で且つ容易に形成可能である。単層で且つその厚さ(導光体の正面側から観察される幅。図では左右方向の長さ)が薄い乱反射領域を形成することが好ましい。正面からみたときに乱反射領域が視認されることによる意匠性の低下を抑えるためである。乱反射領域の厚さは例えば0.05mm〜0.1mmとする。
一つの区画内に形成する乱反射領域の数は一つに限られるものではない。例えば区画の左右縁部にそれぞれ乱反射領域を形成することにしてもよい。また、隣接する二つの区画の境界部を跨いで連続する乱反射部を形成することにしてもよい。
導光体の裏面側には光源を収容するハウジングが取り付けられる。ハウジングの接続は溶着、接着等によって行うことができるが、導光体とハウジングとの接続部が見え難くなり意匠性が向上するという理由から、溶着を採用することが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明の構成をより詳細に説明する。図3は実施例のリアコンビネーションランプ1が備えられた自動車後部を示す斜視図である。図4はリアコンビネーションランプ1の正面図、図5は図4のA−A線位置での断面図である。リアコンビネーションランプ1は、テールランプ表示及びストップランプ表示を行うテール/ストップランプ部10、ターンシグナル表示を行うターンランプ部20を備える。
図5に示すようにリアコンビネーションランプ1は大別してレンズ30、2種類のLEDユニット(第1LEDユニット40及び第2LEDユニット45)、及びハウジング50から構成される。リアコンビネーションランプ1ではレンズ30の正面31から放射された光が直接外部を照射する。即ち、レンズ30の正面31がリアコンビネーションランプ1の外表面となり、これによって特有の立体感・クリスタル感が得られる。
レンズ30は屈折率約1.5のアクリル樹脂製であり、最も厚い部分の厚さ(正面、裏面間の距離)が約35mmである。このように厚肉のレンズが使用される。レンズ30の正面31は全体に亘って緩やかにカーブする凸曲面である。当該凸曲面の曲率半径は400mm〜600mmである。一方、レンズ30の裏面側は、以下で詳しく説明するように、テール/ストップランプ部10を構成する下部と、ターンランプ部20を構成する上部でその形状が異なる。
尚、レンズの材質については特に限定されるものではなく、屈折率が1.4〜1.8程度の導光材料からなるレンズを採用することができる。具体的には、この実施例で使用したアクリル樹脂の他、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなどを採用することができる。
レンズ下部の下面32はそのほぼ中央付近に形成された段差によって二つの領域、即ち第1光入射面32aと光非入射面32bに分断されている。第1光入射面32aには第1LEDユニット40が対向する。このように第1光入射面32aと正面31とが離間するように構成したことによって、レンズ30の厚さを適宜調整することが可能となる。つまり、レンズ30の設計自由度が高められる。尚、第1光入射面32aは光の導入効率を高めるために平滑な面となっている。この実施例では3個の第1LEDユニット40がレンズの長手方向(図5では紙面に垂直方向)に沿って等間隔で配置されている。第1LEDユニット40は赤色発光のLEDランプ41を内蔵したLEDユニットであって、LEDランプ41の上方に備えられたレンズ42の作用によって平行光を出射する。
レンズ下部の裏面側は、第1光入射面32a近傍から上方に向かって規則的な階段状に成形されており、これによって第1反射部33と第1連結部34が交互に連なる。このように、レンズ30の一部を反射部として利用することによって簡素且つ小型の構造を実現している。
第1反射部33は、第1LEDユニット40からの光を界面によって反射して正面31方向の光を生成する領域であり、第1光入射面32aに対して所定の角度で傾斜する凸曲面(反射面)を構成する。断面において、当該凸曲面と第1光入射面32aのなす角度(図5におけるα)が約40°〜約50°である。
他方の第1連結部34の面は、断面において、第1光入射面32aに対してほぼ垂直となり、第1反射部33と異なり正面31方向への積極的な反射作用を生じない。第1反射部33の形状・角度はテール/ストップランプ部10の配光特性を考慮して設定される。尚、全ての第1反射部33に対して、第1LEDユニット40からの光が照射するように構成している。また、全ての第1反射部33の形状・角度が同一である必要はない。第1連結部34についても同様である。
上記のように裏面側が階段状に成形されることによってレンズ下部は、第1光入射面32aの近傍位置が最も厚く(約35mm)、第1光入射面32aから離れるにつれて規則的に薄くなる。尚、レンズ下部の高さ(以下で説明する突起部17を除く高さ)は約50mmである。
レンズ下部の正面側は下方に向かって平板状に突出する。この突出部17の裏面は所定のパターンの溝によってリフレックスリフレクタを構成する。これによって、正面側からみたときに第1LEDユニット40が視認されることを防止している。
レンズ上部の裏面側には、上下方向の中央位置に第2LEDユニット45に対する光入射部(第2光入射部36)が形成される。第2光入射部36は凹部であり、その中に第2LEDユニット45の光出射部が内包されることになる。第2光入射部36を構成する凹部の表面は平滑であり、これによって光導入効率が高められている。この実施例では3個の第2LEDユニット45がレンズ30の左右方向(図5では紙面に垂直方向)に沿って等間隔で配置されており、これに伴って第2光入射部36も等間隔で3箇所形成されている。第2LEDユニット45はアンバー色発光のLEDランプ46を内蔵したLEDユニットである。第2LEDユニット45はLEDランプ46の上方に備えられたレンズ47の作用によって横方向(360°全方向)の光を生成する。
レンズ上部の裏面側は、第2光入射部36を中心とし周囲に向かって規則的な階段状に成形されている。これによって第2反射部37と第2連結部38が交互に連なる。第2反射部37は第2LEDユニット45からの光を界面によって反射して正面31方向の光を生成する領域であり、第2LEDユニット45の中心軸に対する角度(図5におけるβ)が約30°〜約50°の面からなる。
第2連結部38は第2LEDユニット45の中心軸に対する角度がほぼ90°の面からなり、第2反射部37と異なり正面31方向への積極的な反射作用を生じない。
第2反射部37の形状・角度はターンシグナル部20の配光特性を考慮して設定される。全ての第2反射部37の形状・角度が同一である必要はない。第2連結部38についても同様である。
上記のように裏面側が階段状に成形されることによってレンズ上部は、第2光入射部36近傍位置が最も厚く(約30mm)、第2光入射部36から離れるにつれて規則的に薄くなる。尚、レンズ上部の高さは約35mmである。
レンズ30の裏面側には、第1光入射面32a、第2光入射部36、及びハウジング50との接続部を除いて光反射処理が施されている。具体的にはアルミ材料の蒸着によって反射層60が形成されている。反射層60を形成することによって、第1反射部33及び第2反射部37における反射効率が向上し、反射光の進行方向も揃う。また、レンズ正面側から見たときに反射層60が視認されることによって金属調の質感を与える。
レンズ上部とレンズ下部の境界部には、レンズ30の左右方向(図5では紙面に垂直方向)に沿って連続する反射拡散領域15が形成される(図3、図5)。リアコンビネーションランプ1ではこの反射拡散領域15が光に対する障壁として機能し、テール/ストップランプ部10からターンランプ部20への光漏れ、及びその逆方向の光漏れを防止する。
反射拡散領域15はレーザ加工によって形成され、レンズ30の上下方向に積層した多層構造を有する。例えば2層から8層の反射拡散領域とすればよい。各層は微細なクラックの集合からなる。反射拡散領域15の厚さ(上下方向の長さ)は約5mmである。図5に示すように、反射拡散領域15はレンズ30の表面近傍まで形成されている。具体的には反射拡散領域15とレンズ正面との距離は約3mm、反射拡散領域15とレンズ裏面との距離は約3mmである。このように境界部を広範にカバーする反射拡散領域15を設けることによって光漏れを最小限に抑えている。
一方、図3及び4に示す通りレンズ下部では、正面からみて右側縁部に面状の乱反射領域16が形成されている。乱反射領域16はレーザ加工によって形成され、微細なクラックの集合からなる。尚、反射拡散領域15と異なり、乱反射領域は一層構造であり、その厚さ(左右方向の長さ)は約1mmである。
ハウジング50は合成樹脂製であって、第1LEDユニット40の装着部53、第2LEDユニット45の装着部54を備える。ハウジング50の縁部とレンズ裏面側の縁部を熱板溶着することによって、ハウジング50はレンズ30の裏面側に取り付けられる。ハウジング50に設けられた貫通孔55を通してワイヤハーネス56が第1LEDユニット40用の基板及び第2LEDユニット45用の基板に接続される。リアコンビネーションランプ1は、ネジ57及びシートパッキング58によって自動車ボディ70に固定される。
次にリアコンビネーションランプ1の点灯態様を説明する。まず、テールランプ表示が行われるときには、車両側からの入力信号に応じて第1LEDユニット40が低輝度で点灯する。第1LEDユニット40から放射された平行光は第1光入射面32aを介してレンズ下部へと導入される。導入光は第1反射部33に至り、そこで反射作用を受け、正面31方向の光へと変換される。これによって生じた光がレンズ下部の正面(第1発光領域31a)より放射する。
発光時のテール/ストップランプ部10の状態を図6に模式的に示す。上下方向において、発光してみえる領域(第1反射部33)と発光しない領域(第1連結部34)が交互に表れることがわかる。各第1反射部33には第1LEDユニット40の鏡像40aを確認できる。ところで、凸曲面を構成する第1反射部33は凸面鏡として機能し、広範囲を映し出すことができる。これによって、各第1反射部33に第1LEDユニット40の全体の鏡像が見えることになる。即ち、全ての第1反射部33が、第1LEDユニット40の完全な鏡像を映し出し、デザイン性が向上する。
尚、図6からわかるように、一つの第1反射部33の半分に相当する距離ずつ上下方向にずれながら、第1反射部33が横方向に連なっている。このように構成することによって、レンズ裏面側の段差を小さくすることができ、もってレンズ30の型成形が容易となる。
ここで、厚肉のレンズが使用されること、及び第1連結部34を介して連なる複数の第1反射部33によってレンズ正面31方向の光が生成することから、レンズ下部の正面は、リフレックスリフレクタとなる突起部17を除いて全体に発光する。
ところで、第1LEDユニット40から離れた位置の第1反射部33に到達する光量は、第1LEDユニット40に近い位置の第1反射部33に到達する光量よりも少ない。しかしながら、上記の説明からわかるように、第1LEDユニット40から離れた位置の第1反射部33ではレンズ正面31との距離が短くなっており、そこで生成された反射光は効率的に第1発光領域31aから放射する。このように、第1LEDユニット40からの距離に起因する光量の減少が光利用率の上昇によって相殺される結果、第1発光領域31aから放射される光の輝度が均一化される。尚、全ての第1反射部33に対して第1LEDユニット40からの光が照射するように構成したことによっても発光輝度の均一化が図られている。
レンズ下部を導光する光の一部はレンズ上部へ向かって進行する。リアコンビネーションランプ1では反射拡散領域15が当該光に対する障壁となる。即ち、レンズ上部へと向かう光が反射拡散領域15で遮断される。これによってターンシグナル部20への光漏れが防止され、見切り、即ちレンズ正面31における発光領域と非発光領域の境界が明確となり、意匠性及び視認性に優れた発光表示となる。尚、上記の通り反射拡散領域15を多層構造にすることで高い光遮断効果を得ている。
一方、レンズ下部を導光する光の一部は乱反射領域16に至り、そこで乱反射される。これによって、リアコンビネーションランプ1を斜め或いは横からみれば、乱反射部16に起因する光(即ち面状の発光)が観察される。このように視野角の広い発光表示が行われることになる。尚、乱反射領域16を薄くし、且つその形成位置をレンズ下部の縁部に設定したことによって、正面からみたときに乱反射領域16が目立つことを防止し、同時に導光作用への影響を低減している。
テール/ストップランプ部10では、上記の通り非常に厚肉のレンズ30を使用するとともに、レンズ下部の裏面側に第1LEDユニット40を配置せず、そして正面31より入射する外光の中で第1光入射面32aに直接向かう光が、第1光入射面32a部分の界面で全反射されるようにレンズ30を設計しており、レンズ30を通して外部より第1LEDランプ40が直接観察されることを防止している。即ち、図5のa位置やb位置から観察した場合、レンズ正面31や第1光入射面32aの全反射によって第1LEDユニット40が視認されない。c位置から観察した場合にあっては反射層60が見えることになり、a位置又はb位置から観察した場合と同様に第1LEDユニット40の存在は分からない。ここでいう全反射が生ずるためには、図7に示すように、レンズの屈折率をnとしたとき、レンズ正面31と第1光入射面32aのなす角度θが所定の条件、即ち以下の関係式(第1光入射面32aが平面であることを条件とした場合)を満たす必要がある。
Figure 2008166023
レンズ下部の全体に渡って以上の条件を満たすようにレンズ30を設計すれば、視点の位置にかかわらず、レンズ正面31を通して第1LEDユニット40方向(即ち第1光入射面32a方向)を見たときに第1LEDユニット40が見えない。つまり、レンズ正面31を通して第1LEDユニット40が直接視認されることがなくなる。このように第1LEDユニット40の存在を完全に隠すことが好ましいが、リアコンビネーションランプ1の使用時における観察者の視点位置の範囲が限られること(例えば、通常の使用では図5のa位置からリアコンビネーションランプ1が観察されることはない)を考慮すれば、レンズ正面31の一部(例えばレンズ下部の上縁部)が上記条件を満たさなくとも実用上問題はないといえる。そこで、レンズ正面31と第1光入射面32aのなす角度θが所定の条件、即ち以下の関係式を満たすように構成するようにしてもよい。
Figure 2008166023
そこを通して外部より第1LEDユニット40が直接見える領域をレンズ正面31に積極的に形成することにしてもよい。当該構成によれば、視点位置の変化に伴い第1LEDユニット40が突然見えたり、或いは見えていたものが突然隠れたりするという意外性を演出することが可能となる。
全反射を生じやすくするためには第1光入射面32aを平滑面とすることが好ましい。第1光入射面32aを平滑面とすれば、第1LEDユニット40からの光を効率的にレンズ30内に取り込むこともでき、さらには取り込まれた光の進行方向を揃えることもできる。このように第1光入射面32aを平滑面にすることは光利用率及び配光制御の点からも好ましい。
この実施例では第1光入射面32aを平面とすることによってレンズ30に取り込まれた光の良好な配光を実現している。尚、第1光入射面32aの形状は平面に限られるものではなく、例えば任意の曲面によって第1光入射面32aを構成することもできる。また、異なる形状の面を組み合わせて第1光入射面32aを構成してもよい。
ストップランプ表示については、第1LEDユニット40が高輝度で点灯される結果として第1発光領域31aより高輝度の発光が得られること以外はテールランプ表示と同様の点灯態様となる。
ターンシグナル表示が行われるときには、車両側からの入力信号に応じて第2LEDユニット45が点灯し、レンズ上部に設けられた第2光入射部36を介してレンズ上部にアンバー色の光が導入される。テールランプ表示の場合と同様に、この導入光が第2反射部37によってレンズ正面31方向の光へと変換されることによってレンズ上部の正面(第2発光領域31b)が発光し、ターンシグナル表示が行われる。そして、テールランプ/ストップランプ部10と同様、第2LEDユニット45から離れた領域における光利用率の上昇によって、第2発光領域31bから放射される光の輝度が均一化される。尚、テール/ストップランプ部が点灯状態のときと同様にターンシグナル部20が点灯状態のときにおいても、反射拡散領域15が良好な遮断効果を発揮し、光漏れを防止する。その結果、意匠性及び視認性の高い発光態様となる。
この実施例では、レンズ30の第1光入射面32aと光非入射面32bを平行な関係で形成したが、図8に示すように、光非入射面32bに対して第1光入射面32aが傾斜するように構成することもできる。図8の例では、第1光入射面32aは、光非入射面15bとのなす角度が小さくなる方向に傾斜している。当該二つの面のなす角度γは約160°である。このような構成は、レンズ正面31を介して第1LEDユニット40が直接観察されることを防止することに有効である。即ち、第1光入射面32aを傾斜させることによって、そこを通して第1LEDユニット40が直接見えることがない領域を拡大できる。これによってレンズ正面31の設計自由度が高まり、レンズ30の薄型化などが可能となる。また、第1光入射面32aを傾斜させることは第1反射部33の数や面積の増大にも有効である。反射部の増大は輝度均一化に寄与する。尚、第1光入射面32aと光非入射面32bのなす角度は特に限定されないが、例えば120°〜180°である。
本発明は様々な車両(乗用車、バス、トラックなど)用の灯具に利用される。具体的にはリアコンビネーションランプ、テールランプ、ストップランプ、ハイマウントストップランプ、ヘッドランプ、フォグランプなどに対して本発明を適用することができる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
反射部を形成する面の角度を説明する図。 本発明における反射拡散領域及び乱反射領域の構成を説明する図。 本発明の実施例であるリアコンビネーションランプ1が装着された自動車後部の斜視図。 リアコンビネーションランプ1の平面図。 図4のA−A線位置での断面図。 テール/ストップランプ部10の発光時の状態を模式的に示す平面図。 レンズ正面31と第1光入射面32aのなす角度を説明する図。 本発明の他の実施例の断面図。第1光入射面32aが傾斜面として備えられたレンズ30aが示される。
符号の説明
1 リアコンビネーションランプ
10 テール/ストップランプ部
15 反射拡散領域
16 乱反射領域
20 ターンランプ部
30、30a レンズ(導光体)
31 レンズ正面
31a 第1発光領域
31b 第2発光領域
32 レンズ下部の下面
32a 第1光入射面
32b 光非入射面
33 第1反射部
34 第1連結部
36 第2光入射部
37 第2反射部
38 第2連結部
40 第1LEDユニット
40a 第1LEDユニットの鏡像
41、46 LEDランプ
42、47 LEDランプのレンズ
50 ハウジング
60 反射層
70 自動車ボディ
α 第1光入射面32aと第1反射部33のなす角度
β 第2LEDユニット46の中心軸と第2反射部37のなす角度
γ 第1光入射面32aと光非入射面32bのなす角度

Claims (8)

  1. 複数個の光源と、
    前記光源に対する光入射部及び反射部を裏面側に有し、該光入射部から入射した光が該反射部で反射されて生じた光を正面より放射する導光体であって、放射光の態様が異なる複数の区画からなり、隣接する二つの区画の境界部に反射拡散領域が形成された導光体と、
    を備える車両用灯具。
  2. 前記反射拡散領域は、前記境界部において導光体の表面近傍を除く全領域に形成されている、請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 前記反射拡散領域が多層構造である、請求項1又は2に記載の車両用灯具。
  4. 前記反射拡散領域が、レーザ加工による微細なクラックの集合からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
  5. 正面側から裏面側に向かって連続する乱反射領域が前記導光体に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
  6. 前記乱反射領域は、前記区画の左右いずれかの縁部に形成されている、請求項5に記載の車両用灯具。
  7. 前記乱反射領域が面状である、請求項5又は6に記載の車両用灯具。
  8. 前記光源がLEDランプからなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用灯具。
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