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JP2007291211A - 皮革用非粘着性水系アンダーコート材 - Google Patents

皮革用非粘着性水系アンダーコート材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、上記課題を解決し、上塗り塗装後の耐寒屈曲性に優れ、型押し時の型の効きが良好で、かつ、型押し時の粘着が少なく、離型性が良い皮革用アンダーコート材を提供することを目的とする。
【解決手段】ガラス転位温度が−30℃以下の柔軟性アクリル樹脂を主骨格とし、ガラス転位温度が20℃以上であるビニル系重合体を形成する単量体とカルボキシル基を有する単量体を前記柔軟性アクリル樹脂にグラフト化した樹脂を含むアクリルエマルジョン、および前記カルボキシル基と架橋反応可能な金属架橋剤を含有する皮革用非粘着性水系アンダーコート材である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐寒屈曲性に優れ、型押し時の型の効きおよび離型性が良好な皮革用非粘着性水系アンダーコート材に関する。
従来から皮革用のアンダーコート材としてアクリルエマルジョンを主体に各種水系樹脂が使用されてきたが、柔軟性を求めようとすると型押し時に粘着が発生し、下塗り塗膜が剥離したり、型から剥離し難いなどの問題があった。また、型押し時の粘着を防止するためにガラス転移温度(以下、Tgとする)の高い樹脂を使用すると、耐寒屈曲性に問題があった。これらの問題を解決するために、グラフト法や架橋により改良を行う試みが行われている。
グラフト法としては、アクリル酸エステルにメチルメタクリレートとフッ素含有アクリル酸エステルをグラフトした共重合体(例えば、特許文献1参照)が知られているが、特許文献1においては機械的安定性、耐水性、耐溶剤性の良いアクリル酸分散液を使用することによる堅牢度と手触りの良さを目的としたものであり、低温時の柔軟性は考慮されてなく、低温屈曲性についても記載されていない。
一方、架橋による方法としては、スルホン酸もしくはリン酸含有アクリル樹脂をカルボジイミドで架橋する方法(例えば、特許文献2参照)が知られているが、非黄変性、耐溶剤性、耐傷付き向上が目的となっており、柔軟性については全く考慮されていない。
また、アセトアセテートまたはアセトアセトアミド含有モノマーを架橋必須成分とし、さらにカルボキシル基を金属架橋したエマルジョンからなる皮革用被覆材(例えば、特許文献3参照)が知られているが、該皮革用被覆材は型押し性および湿潤屈曲性が優れることについては記載されているものの、耐寒屈曲性など低温時の柔軟性については全く考慮されていない。
特開平8−048732号公報 特開平9−188823号公報 特開2000−239604号公報
本発明は、上記課題を解決し、耐寒屈曲性に優れ、型押し時の型の効きが良好で、かつ、型押し時の粘着が少なく、離型性が良い皮革用アンダーコート材を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、Tgが−30℃以下の柔軟性アクリル樹脂を主骨格とし、Tgが20℃以上であるビニル系重合体を形成する単量体とカルボキシル基を有する単量体を前記柔軟性アクリル樹脂にグラフト化した樹脂を含むアクリルエマルジョン、および前記カルボキシル基と架橋反応可能な金属架橋剤を含有する皮革用非粘着性水系アンダーコート材に関する。
本発明の皮革用非粘着性水系アンダーコート材は、Tgが低く、柔軟性の大きなアクリル主鎖に、Tgの高いビニル系重合体を形成する単量体とカルボキシル基を有する単量体をグラフト化し、それをさらに金属架橋させることにより、耐寒屈曲性に優れ、型押し時の型の効きが良好で、かつ型押し時の粘着が少なく、離型性の良い皮膜を形成することができる。
本発明は、Tgが−30℃以下の柔軟性アクリル樹脂を主骨格とし、Tgが20℃以上であるビニル系重合体を形成する単量体とカルボキシル基を有する単量体を前記柔軟性アクリル樹脂にグラフト化した樹脂を含むアクリルエマルジョンおよび前記カルボキシル基と架橋反応可能な金属架橋剤を含有する皮革用非粘着性水系アンダーコート材に関する。
本発明の皮革用非粘着性水系アンダーコート材は、主骨格をなすアクリル樹脂主鎖のTgが−30℃以下と低いため、柔軟で耐寒屈曲性に優れた皮膜を形成することができる。
主骨格をなすアクリル樹脂のTgは−30℃以下であり、−35℃以下であることが好ましく、下限値は特に限定されないが、−60℃以上であることが好ましく、−55℃以上であることがより好ましい。Tgが−30℃を超えると柔軟性が低下し、耐寒屈曲性も低下する傾向があり、−60℃より低いと粘着性を抑えることが困難になる傾向がある。
また、本発明においては、前記柔軟性アクリル樹脂に、20℃以上の高いTgを有する耐水性の優れたビニル系重合体(硬質樹脂)を形成する単量体とカルボキシル基を有する単量体をグラフト重合することにより得られる樹脂を金属架橋をすることにより、強靭でありながら柔軟性に優れ、型押し時の型の効きが良好で、かつ型押し時の粘着が少なく、耐寒屈曲性に優れた皮膜を形成することができる。
前記ビニル系重合体のTgは、20℃以上であり、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。上限値は特に限定されないが、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。Tgが20℃未満であると皮膜表面の粘着性を抑えることが困難になる傾向があり、型押し時の塗膜剥離や離型性低下の原因となるものである。また、Tgが150℃を超えると造膜性が低下し、均一な塗膜の形成が困難になる傾向がある。
本発明の皮革用非粘着性水系アンダーコート材は、最初に柔軟性アクリル樹脂を形成する単量体を水系媒体中で重合し、ついで柔軟性アクリル樹脂の組成に応じた適正な量の硬質樹脂を形成する単量体とカルボキシル基を有する単量体を前記アクリル樹脂にグラフト重合し、さらにこれを金属架橋させることにより得ることができる。
柔軟性アクリル樹脂としては、少なくとも1種以上のアルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアクリレートを主体とする。ここで、主体とするとは、前記アルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアクリレートが柔軟性アクリル樹脂中60重量%以上であることであり、70重量%以上であることが好ましい。前記アルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアクリレートが60重量%未満であると皮膜の柔軟性が低下し、耐寒屈曲性が低下する傾向がある。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソミリスチルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどをあげることができ、アルコキシアクリレートとしては、たとえば、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどをあげることができる。これらのなかでも、反応性、貯蔵安定性、耐候性などの点からアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、柔軟性アクリル樹脂を形成する単量体としては、前記アルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアクリレート以外に、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレート、ジブチルアミノエチルアクリレートなどをあげることができる。
またグラフト化剤としては、ジシクロペンテニルアクリレート、シクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和基含有(メタ)アクリレートをあげることができる。これらのなかでも、反応性、グラフト率の点から、シクロペンテニルオキシエチルアクリレートが好ましい。
グラフト化剤の含有量は、柔軟性アクリル樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましく、1〜8重量部であることがより好ましい。グラフト化剤が柔軟性アクリル樹脂に対して0.5重量部未満であるとグラフト点が少なすぎて粘着性が消えにくくなる傾向があり、10重量部を超えると皮膜物性が低下する傾向がある。
柔軟性アクリル樹脂とグラフト重合し、硬質樹脂を形成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アクリロニトリル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどをあげることができる。これらのなかでも、耐水性、耐候性、耐熱変色などの点からメチルメタクリレートが好ましい。
硬質樹脂の含有量は、特に限定されるものではなく、組み合わせる柔軟性樹脂と硬質樹脂の組成により適宜選択することができるが、柔軟性アクリル樹脂に対して1〜30重量%であることが好ましく、3〜20重量%であることがより好ましい。硬質樹脂の含有量が1重量%未満であると表面粘着性が残る傾向があり、30重量%を超えると柔軟性が低下し、上塗り塗装後の耐寒屈曲性が悪くなる傾向がある。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびその無水物、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸およびそのモノアルキルエステルなどをあげることができる。これらのなかでも、反応性、耐熱変色などの点からアクリル酸が好ましい。
カルボキシル基を有する単量体の含有量は、柔軟性樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜7重量部であることがより好ましい。カルボキシル基を有する単量体の含有量が0.1重量部未満であると金属架橋の効果が少なく粘着性が残る傾向があり、10重量部を超えると貯蔵安定性に問題が発生する傾向がある。
乳化重合方法としては、一般的な過硫酸塩、過酸化水素、水溶性アゾ化合物などを使用し、70℃以上の高温で反応することもできるが、皮膜物性、皮膜の耐候性などの点で、一般的な過硫酸塩、過酸化水素などとアスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの適切な還元剤を組み合わせた酸化還元系を用い、50℃以下で反応することが好ましい。これらの酸化剤、還元剤の使用量は、それぞれエマルジョン100重量部に対し0.01〜2.0重量部であることが好ましい。
重合の際には界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤としては、一般的なノニオン活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどをあげることができる。また、アニオン活性剤であるアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩などを同時に用いることもできる。界面活性剤の使用量は、エマルジョン100重量部に対して0.5〜5重量部であることが好ましい。
前記樹脂を含むアクリルエマルジョンの水含有量は、アクリルエマルジョン全体の40〜80重量%であることが好ましく、45〜75重量%であることがより好ましい。40重量%未満であるとエマルジョンの粘度が高くなり、貯蔵安定性に問題が発生する傾向があり、80重量%をこえると輸送コストが問題になってくるとともに塗装作業性が低下する。
金属架橋剤としては、2価以上の多価金属の塩、錯体、酸化物、水酸化物などの2価以上の多価金属化合物などをあげることができる。2価以上の多価金属としては、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、バリウム、アルミニウム、ジルコニウムなどをあげることができ、塩を形成するための陰イオンとしては炭酸イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオンなどをあげることができる。また多価金属の錯体を形成する配位子としては、前記の陰イオンに加え、グリシン、アラニン、アンモニア、エチレンジアミン、トリエタノールアミンなどをあげることができる。
具体的には、多価金属の塩としての酢酸亜鉛、多価金属の錯体としての炭酸亜鉛アンモニア、酢酸亜鉛アンモニア、リン酸亜鉛アンモニアなどを使用することができる。
金属架橋剤の使用量は、カルボキシル基1当量に当たり0.1〜1当量となることが好ましく、0.2〜0.9当量となることがより好ましい。また、金属架橋剤の使用量は、柔軟性アクリル樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。
本発明の皮革用非粘着性水系アンダーコート材は、前記ビニル重合体をグラフトしたアクリル樹脂のほかに、水、消泡剤、増粘剤、レベリング剤などを添加することができる。また、用途に応じて他の特性をもつ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などと併用することもできる。
本発明の皮革用非粘着性水系アンダーコート材のTgは、−25〜−55℃であることが好ましく、−30〜−50℃であることがより好ましい。Tgが−55℃未満であると粘着性を抑えることが困難になる傾向があり、−25℃をこえると柔軟性が低下し、耐寒屈曲性が悪化する傾向がある。
本発明の皮革用非粘着性水系アンダーコート材は、優れた型押し性を有し、耐寒屈曲性が優れていることから、自動車など低温での柔軟性が要求される皮革に好適に用いることができるものである。自動車用皮革としては、カーシート、ハンドルカバーなどがあげられる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りが無い限り、「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
実施例および比較例で得られたアンダーコート材の評価は下記の方法で行った。
<水性下塗調合液の配合>
実施例および比較例で得られたアンダーコート材を用いて、下記配合により水性下塗調合液を調合した。
ディスパーカラーブラックEX((株)トウペ製) 100部
水 150部
実施例および比較例で得られたアンダーコート材 200部
<ラッカー上塗調合液の配合>
下記配合によりラッカー上塗調合液を調合した。
ラッカー#140クリアー((株)トウペ製) 100部
ラッカーシンナー#2000((株)トウペ製) 250部
ラッカーNBシンナーM((株)トウペ製) 50部
<顔料混和性>
上記仕様で調合した水性下塗調合液をガラス板に流し塗りし、ブツなどを目視で確認し、以下の評価基準で評価した。
○・・・異常なし
×・・・凝集物があり
<アイロン離れ性>
水性下塗調合液を銀摺革に2回スプレーで塗布し乾燥後、80℃×20Kg/cm2でアイロン掛けし、塗装革の離れ具合を確認し、以下の評価基準で評価した。
○・・・塗装革が抵抗なく剥離できる
×・・・抵抗が大きく下塗塗膜が剥離する
<塗膜の粘着性>
アイロン掛け後、さらに2回スプレーで水性下塗調合液を塗布し乾燥後、指触で粘着の程度を確認し、以下の評価基準で評価した。
○・・・粘着性が感じられない
△・・・やや粘着性が感じられる
×・・・粘着性が感じられるもの
<型の効き>
粘着性を評価した塗装革を90℃×200Kgで型押し時の型の効き、型切れなどを以下の評価基準で評価した。
○・・・型切れがなく、凹凸がはっきり出ている
△・・・凸部が丸くなりシャープさに欠ける
×・・・型切れを起こす
<耐寒屈曲性>
水性下塗調合液を銀摺革に2回スプレーで塗布し乾燥した塗装革を、−15℃の条件下でフレキソメーターに掛け、亀裂が生じるまで行い、以下の評価基準で評価した。
1・・・10万回以上でも亀裂が生じなかった
2・・・5万回以上10万回未満で亀裂が生じた
3・・・1万回以上5万回未満で亀裂が生じた
4・・・1万回未満で亀裂が生じた
<引張り強さ、伸び率>
試料を型枠に流し込み、厚さ80〜90μm程度のフィルムを作製し、型抜きした試験片を万能引張り圧縮試験機(東洋精機(株)製)により、引張り速度200mm/分の条件で、引張り強さ、伸び率を測定した。(測定温度23℃、湿度50%)
実施例1
1Lビーカー中でノイゲンTDS−500F(第一工業製薬(株)製)10部、レベノール WZ(花王(株)製)10部をイオン交換水190部に溶解後、ブチルアクリレート(BA)280部、メチルメタクリレート(MMA)15部、シクロペンテニルオキシエチルアクリレート(CPOEA)10部、アクリル酸(AA)7.5部を添加した。さらに亜硫酸水素ナトリウム0.5部をイオン交換水10部に溶解して添加した後ホモミキサーにかけ、モノマーエマルジョンを得た。
攪拌機、温度センサー、還流冷却管を備えた1Lフラスコ中に、イオン交換水250部を入れ、窒素雰囲気中20℃に調整した後、上記エマルジョンの10%と過硫酸アンモニウム1部、硫酸第一鉄0.01部を添加し、反応を開始した。なお、エマルジョンを秤取した容器の洗浄と過硫酸アンモニウムおよび硫酸第一鉄の溶解、容器の洗浄にイオン交換水50部を使用した。その後温度を30℃に調整し、残りのエマルジョンを120分かけて滴下した。ここで得られたアクリル樹脂のTgは−44℃であった。
滴下終了後30分間30℃を保持し、その後40℃に昇温し、過硫酸アンモニウム0.2部、亜硫酸水素ナトリウム0.1部をイオン交換水10部で溶解して添加し、メチルメタクリレート10部、アクリル酸10部を20分間で滴下しながら反応させた。その後60分間40℃を保持し反応を終結させ、冷却後28%アンモニア水10部、イオン交換水35.7部でpH調整を行い、グラフト共重合体を得た。
その後酢酸亜鉛20%液100部を加え、アンダーコート材を得た。このアンダーコート材のTgは−39℃であり、酢酸亜鉛の添加量はカルボキシル基に対し0.75当量であった。
評価結果を表3に示す。
実施例2〜3
モノマーエマルジョン中のモノマー組成、グラフトするモノマーの組成および酢酸亜鉛添加量を表1に示すようにした以外は、実施例1と同じ方法で重合を行った。
評価結果を表3に示す。
Figure 2007291211
比較例1
1Lビーカー中でノイゲン TDS−500 10部、レベノール WZ 10部をイオン交換水190部に溶解後、ブチルアクリレート280部、メチルメタクリレート5部、シクロペンテニルオキシエチルアクリレート10部、アクリル酸17.5部を添加した。さらに亜硫酸水素ナトリウム0.5部をイオン交換水10部に溶解して添加した後ホモミキサーにかけ、モノマーエマルジョンを得た。
攪拌機、温度センサー、還流冷却管を備えた1Lフラスコ中に、イオン交換水350部を入れ、窒素雰囲気中20℃に調整した後上記エマルジョンの10%と過硫酸アンモニウム1部、硫酸第一鉄0.01部を添加し、反応を開始した。なお、エマルジョンを秤取した容器の洗浄と過硫酸アンモニウムおよび硫酸第一鉄の溶解、容器の洗浄にイオン交換水50部を使用した。その後温度を30℃に調整し、残りのエマルジョンを120分かけて滴下した。ここで得られたアクリル樹脂のTgは−44℃であった。
滴下終了後30分間30℃を保持する。その後40℃に昇温し、過硫酸アンモニウム0.2部、亜硫酸水素ナトリウム0.1部をイオン交換水10部に溶解して添加し、メチルメタクリレート20部を20分間で滴下しながら反応させた。その後60分間40℃を保持し反応を終結させ、冷却後28%アンモニア水10部、イオン交換水25.7部でpH調整を行い、グラフト共重合体を得た。このアンダーコート材のTgは−39℃であった。
評価結果を表3に示す。
比較例2
1Lビーカー中でノイゲン TDS−500 10部、レベノール WZ 10部をイオン交換水190部に溶解後、ブチルアクリレート285部、メチルメタクリレート25部、シクロペンテニルオキシエチルアクリレート10部、アクリル酸17.5部を添加する。さらに亜硫酸水素ナトリウム0.5部をイオン交換水10部に溶解して添加した後ホモミキサーにかけ、モノマーエマルジョンを得た。
攪拌機、温度センサー、還流冷却管を備えた1Lフラスコ中に、イオン交換水250部を入れ、窒素雰囲気中20℃に調整した後上記エマルジョンの10%と過硫酸アンモニウム1部、硫酸第一鉄0.01部を添加し、反応を開始した。なお、エマルジョンを秤取した容器の洗浄と過硫酸アンモニウムおよび硫酸第一鉄の溶解、容器の洗浄にイオン交換水50部を使用した。その後温度を30℃に調整し、残りのエマルジョンを150分かけて滴下した。
滴下終了後60分間30℃を保持し反応を終結させ、冷却後28%アンモニア水10部、イオン交換水31部でpH調整を行い、ランダム共重合体を得た。その後酢酸亜鉛20%液100部を加え、アンダーコート材を得た。このアンダーコート材のTgは−39℃であり、酢酸亜鉛の添加量はカルボキシル基に対し0.75当量であった。
評価結果を表3に示す。
比較例3
モノマーエマルジョン中のモノマー組成、グラフトするモノマーの組成および酢酸亜鉛添加量を表2に示すようにした以外は、実施例1と同じ方法で重合を行った。
評価結果を表3に示す。
Figure 2007291211
Figure 2007291211
この結果から明らかなように、カルボキシル基を有するモノマーをグラフトさせたエマルジョンは、カルボキシル基を有するモノマーを用いていないエマルジョンに比べて、優れた型押し性と耐寒屈曲性を有していた。

Claims (1)

  1. ガラス転位温度が−30℃以下の柔軟性アクリル樹脂を主骨格とし、ガラス転位温度が20℃以上であるビニル系重合体を形成する単量体とカルボキシル基を有する単量体を前記柔軟性アクリル樹脂にグラフト化した樹脂を含むアクリルエマルジョン、および前記カルボキシル基と架橋反応可能な金属架橋剤を含有する皮革用非粘着性水系アンダーコート材。
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