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JP2007129015A - 太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents

太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュール用裏面保護シート Download PDF

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JP2007129015A JP2005319341A JP2005319341A JP2007129015A JP 2007129015 A JP2007129015 A JP 2007129015A JP 2005319341 A JP2005319341 A JP 2005319341A JP 2005319341 A JP2005319341 A JP 2005319341A JP 2007129015 A JP2007129015 A JP 2007129015A
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Abstract

【課題】本発明は、端子ボックスに代表される太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、太陽電池素子と、熱可塑性シラン変性樹脂からなり、上記太陽電池素子を挟持する前面充填材層および裏面充填材層と、上記前面充填材層上に形成された前面透明基板と、上記裏面充填材層上に形成された裏面保護シートと、を有する太陽電池モジュールであって、上記裏面充填材層および上記裏面保護シートが貫通孔を有し、かつ、上記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積が上記裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積よりも大きいことを特徴とする、太陽電池モジュールを提供することにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、端子ボックス等の太陽電池モジュール用付属物の取付性に優れた太陽電池モジュールに関するものである。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。
太陽電池素子は単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製することが多いため太陽電池素子は物理的衝撃に弱く、また屋外に太陽電池を取り付けた場合に雨などからこれを保護する必要がある。また、太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して、実用的な電気出力が取り出せるようにする必要がある。このため複数の太陽電池素子を接続し透明基板および充填材で封入して太陽電池モジュールを作製することが通常行われている。一般に太陽電池モジュールは、透明前面基板、充填材、太陽電池素子、充填材および裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して製造される。
太陽電池モジュールに用いられる裏面保護シートは、主として太陽電池モジュールの裏面保護機能を有し、機械強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、および耐水性等の諸堅牢性を備えることが必要とされている。現在、このような太陽電池モジュール用裏面保護シ−トとしては、強度特性に優れたプラスチック基材等が最も一般的に使用され、その他、金属板等も使用されている。なかでもフッ素系樹脂フィルムと金属箔との複合フィルムが広く用いられている。
しかしながら、このようなフッ素系樹脂フイルムと金属箔との複合フイルムは、耐環境性、防湿性、加工適性、耐光性等に富むものではあるが、複合化層及びフッ素系樹脂フィルムの耐加水分解性、可撓性、軽量性、その他等の諸特性に劣り、特に、太陽電池モジュールのような比較的高電圧の負荷が想定される電子デバイスの包装材としては、その主要特性である耐短絡性に欠けるという問題がある。また、フッ素系樹脂フイルムを用いるため、その廃棄・処理方法によっては環境への高負荷も懸念され、クリ−ンエネルギ−を標榜する太陽電池モジュール部材として最適ではないという指摘もある。さらに、その高コストである点も課題となるところである。
このような状況下、特許文献1には耐熱性のポロプロピレン系樹脂を用いた太陽電池モジュール用裏面保護シートが開示されている。このようなポリプロピレン系樹脂を用いた太陽電池モジュール用裏面保護シートは、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、その他等の諸特性に優れ、さらに長期的な性能劣化を最小限に抑制できるため、保護能力性に優れ、かつ、低コストで安全な太陽電池用裏面保護シ−トが得られるという利点がある。このような利点から上記のような太陽電池モジュール用裏面保護シートは、実用性の高い太陽電池モジュール用裏面保護シートとして着目されている。
ところで、上記構成を有する太陽電池モジュールを実用化する場合、上記構成のみでは足らず、例えば太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックスや、太陽電池モジュールの強度向上等のための金属フレーム等、種々の付属品を太陽電池モジュールに取り付けることが必要となる。太陽電池モジュールは内部へ水分が浸入すると劣化が生じるため、このような付属品を取り付ける際には、太陽電池モジュールの内部に外気が侵入することの無いよう、シール性を十分に確保する必要がある。
なかでも、上記端子ボックスを取り付けるには、太陽電池モジュール用裏面保護シートに貫通孔を設け、太陽電池モジュール内部から配線を取り出すことが必要であるため、上記貫通孔を通じてモジュール外部から水分等が浸入しないよう、その取り付けに際してはシール性に特に留意する必要がある。
一般的に、太陽電池モジュールに付属品を取り付ける際には、シーリング剤を介して取り付ける方法が用いられ、上記シーリング剤により太陽電池モジュールと付属品とを接着し、かつ、両者の隙間を埋めることにより水分に対するシール性を得ている。このようなシーリング剤としては一般的にシリコーン系のコーキング剤が用いられている。
しかしながら、上記シリコーン系のコーキング剤は、従来用いられてきた複合フィルムからなる太陽電池モジュール用裏面保護シートには、良好な粘着性を示すが、上記オレフィン系樹脂からなる太陽電池モジュール用裏面保護シートに対する粘着性が不十分であり、付属品の取付け時に十分なシール性を確保できないという問題がある。このような問題から、上記オレフィン系樹脂からなる太陽電池モジュール用裏面保護シートには、端子ボックスに代表される付属品を取り付けることが困難であり、上述した利点を有するオレフィン系樹脂からなる太陽電池モジュール用裏面保護シートの実用性を損なっていた。このような状況下、太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成材料に関わらず、太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールが望まれていた。
特開2003−168814号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、端子ボックスに代表される太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、太陽電池素子と、熱可塑性シラン変性樹脂からなり、上記太陽電池素子を挟持する前面充填材層および裏面充填材層と、上記前面充填材層上に形成された前面透明基板と、上記裏面充填材層上に形成された裏面保護シートと、を有する太陽電池モジュールであって、上記裏面充填材層および上記裏面保護シートが貫通孔を有し、かつ、上記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積が上記裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積よりも大きいことを特徴とする、太陽電池モジュールを提供する。
本発明によれば、上記裏面充填材層および上記裏面保護シートが貫通孔を有し、かつ、上記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積が上記裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積よりも大きいことにより、本発明の太陽電池モジュールの裏面においては、上記裏面充填材層が有する貫通孔の周囲に、上記裏面保護シートに被覆されていない裏面充填材層が露出することになる。裏面充填材層を構成する熱可塑性シラン変性樹脂は、端子ボックスに代表される太陽電池モジュール用付属品の取付けに用いられるシーリング剤と優れた接着性を示すため、上記露出した裏面充填材層は付属品との接着性に優れた部位となる。したがって、本発明によれば太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを得ることができる。
上記発明においては、上記裏面保護シートの外周が上記裏面充填材層の外周よりも内側に形成されていることが好ましい。上記裏面保護シートの外周が、上記裏面充填材層の外周よりも内側に形成されていることにより、太陽電池モジュールの裏面外縁部に裏面保護シートにより被覆されていない裏面充填材層を露出させることができるため、金属フレームの取付性に優れた太陽電池モジュールを得ることができるからである。
また上記発明においては、上記裏面保護シートがポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体を有することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂フイルムは、太陽電池モジュールのような比較的高電圧の負荷が想定される電子デバイスに用いる材料に求められる耐電圧性や耐短絡性等に優れており、かつ低コストであるという利点を有するからである。
また上記発明においては、上記裏面保護シートがポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体上に他の層が積層された積層体であることが好ましい。上記裏面保護シートが上記支持体上に他の層が積層された積層体であることにより、本発明の太陽電池モジュールに求める諸物性に応じて、上記裏面保護シートに防湿性、耐候性等の任意の特性を付与することが容易になるからである。
また上記発明においては、上記熱可塑性シラン変性樹脂がポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体であることが好ましい。ポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体は、端子ボックスに代表される太陽電池モジュール用付属品の取付時に用いられるシーリング剤と良好な接着性を示すからである。
また上記発明においては、上記裏面保護シートの貫通孔上にシーリング剤を介して端子ボックスが接着されており、かつ、上記シーリング剤が上記裏面保護シートが有する貫通孔を通じて上記裏面充填材層と接着しているものであってもよい。このように端子ボックスが取付けられていることにより、本発明の太陽電池モジュールをより実用性の高いものにできるからである。また、上記裏面保護シートが有する貫通孔を通じて、上記裏面充填材層と接着されたシーリング剤により端子ボックスが接着されていることにより、端子ボックスを強固に接着することができるからである。
さらに上記発明においては、上記裏面充填材層上にシーリング剤を介して金属フレームが接着されているものであってもよい。金属フレームが、上記裏面充填材層上にシーリング剤を介して接着されていることにより、外気中の水分がモジュール内部へ侵入することのない、安定性に優れた太陽電池モジュールを得ることができるからである。
本発明は、貫通孔を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、上記貫通孔が、シーリング剤を用いて上記貫通孔上に、端子ボックスを接着することが可能な程度の開口面積を有することを特徴とする、太陽電池モジュール用裏面保護シートを提供する。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートによれば、上記貫通孔が、シーリング剤を用いて、上記貫通孔上に端子ボックスを接着することが可能な程度の開口面積を有することにより、太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを作製することができる。
本発明は、端子ボックスに代表される太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを提供できるといった効果を奏する。
以下、本発明の太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュール用裏面保護シートについて説明する。
A.太陽電池モジュール
まず、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子と、熱可塑性シラン変性樹脂からなり上記太陽電池素子を挟持する前面充填材層および裏面充填材層と、上記前面充填材層上に形成された前面透明基板と、上記裏面充填材層上に形成された裏面保護シートと、を有する太陽電池モジュールであって、上記裏面充填材層および上記裏面保護シートが貫通孔を有し、かつ、上記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積が上記裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積よりも大きいことを特徴とするものである。
次に本発明の太陽電池モジュールについて図を参照しながら説明する。図1(a)は本発明の太陽電池モジュールの裏面側を例示する概略図であり、図1(b)は、上記図1(a)中のS−S’線矢視断面図である。図1(b)に例示するように本発明の太陽電池モジュール10は、通常、太陽電池素子1が熱可塑性シラン変性樹脂からなる前面充填材層2aおよび裏面充填材層2bにより挟持されており、上記前面充填材層2a上には透明前面基板3が設けられ、上記裏面充填材層2b上に裏面保護シート4が設けられた構成を有する。太陽電池モジュール10において、個々の太陽電池素子1は発電電流を外部へ伝導するため、配線5により連結されており、配線5の末端は裏面充填材層2bと裏面保護シート4とに設けられたに設けられた貫通孔を通じて外部に取り出されている。上記裏面保護シート4が有する貫通孔の開口面積は、上記裏面充填材層2bが有する貫通孔の開口面積よりも大きいため、太陽電池モジュール10の裏面側には裏面保護シート4で被覆されていない裏面充填材層2bが露出することになる(図1(b)中、Aで表される部位)。
本発明の太陽電池モジュールの他の例について図を参照しながら説明する。図2(a)は本発明の太陽電池モジュールの裏面側を例示する概略図であり、図2(b)は、上記図2(a)中のS−S’線矢視断面図である。図2(a),(b)に示すように、本発明の太陽電池モジュール11は、上記裏面保護シート4の外周が、上記裏面充填材層2bの外周よりも内側に形成されていても良い。
本発明の太陽電池モジュールのさらに他の例について図を参照しながら説明する。図3は、本発明の太陽電池モジュールのさらに他の例を示す概略断面図である。図3に例示するように本発明の太陽電池モジュール12は、裏面保護シート4が有する貫通孔を通じて、裏面側に露出した裏面充填材層2bにシーリング剤6を付与し、上記シーリング剤6を介して、上記裏面保護シート4上に端子ボックス21が取付けられていてもよい。本発明の太陽電池モジュール12は、上記裏面充填材層2bを構成する熱可塑性シラン変性樹脂が、上記シーリング剤6に対して良好な接着性を有することから、このように端子ボックス21が取付けられていることにより、端子ボックスを強固に接着することができる。また、シーリング剤6を介在させることにより、上記裏面保護シート4が有する貫通孔から、外気中の水分等が、太陽電池モジュール12の内部へ侵入することを防止することができる。
また、本発明の太陽電池モジュールは、図3に示すように、上記裏面保護シート4の外周が、上記裏面充填材層2bの外周よりも内側に形成されていることにより、太陽電池モジュール12の裏面側の外縁部には、裏面保護シート4により被覆されていない裏面充填材層2bが露出することになるが、裏面充填材層2bが露出した外縁部はシーリング剤6を介在させて金属フレーム22を取付けるのに好適に用いることができる。
以上説明したように、本発明の太陽電池モジュールは、上記裏面充填材層および上記裏面保護シートが貫通孔を有し、かつ、上記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積が上記裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積よりも大きいことにより、端子ボックスに代表される太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを得ることができる。
また、本発明によれば、上記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積を、上記裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積よりも大きくすることのみで本発明の目的を達成できることから、本発明の太陽電池モジュールを製造するに際し、従来の太陽電池モジュールの製造方法を変更することを要しない。したがって、本発明の太陽電池モジュールは、従来の製造方法を用いることにより太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを得ることができるという利点を有する。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子と、前面充填材層および裏面充填材層と、前面透明基板と、裏面保護シートとを有するものである。以下、このような本発明の太陽電池モジュールの各構成について詳細に説明する。
1.裏面保護シート
まず、本発明の太陽電池モジュールに用いられる裏面保護シートについて説明する。本発明に用いられる裏面保護シートは、後述する裏面充填材層が有する貫通孔よりも開口面積が大きい貫通孔を有するものである。
(1)裏面保護シートの形態
本発明に用いられる裏面保護シートが有する貫通孔は、主として、シーリング剤の介在の下、上記貫通孔を通じて、後述する裏面充填材層に端子ボックスを接着するために設けられるものである。したがって上記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積としては、シーリング剤の介在の下、端子ボックスを裏面充填材層に接着することができる面積以上であって、取付ける端子ボックスの接着面の面積以下であれば得に限定されない。
上記開口面積の具体的な大きさは、取付ける端子ボックスの大きさや、端子ボックスと裏面充填材層との間に介在させるシーリング剤の種類に応じて、必要な接着強度が得られる範囲で任意に決定すればよいが、通常、裏面充填材が有する開口面積より大きいものとされる。より具体的には、端子ボックスを後述するシーリング剤を介して裏面保護シートに取り付ける際に、端子ボックスがシーリング剤と接着する接着面の外周面積を100%とした場合に、上記開口面積が70%〜150%の範囲が好ましく、なかでも80%〜120%が好ましく、特に95%〜105%の範囲であることが好ましい。開口面積が上記範囲よりも小さいと、端子ボックスに対する接着力を確保することが困難となる場合があり、また、上記範囲よりも大きいと、裏面充填材が露呈してしまうの可能性が高く、保護性に欠ける恐れがあるからである。
上記貫通孔の位置、大きさ、および数については、特に限定されるものではなく取付ける端子ボックスの種類、使用するシーリング剤の種類、および太陽電池モジュールの用途等に応じて、端子ボックスを所望の接着性およびシール性により取付けることができる範囲で適宜選択すればよい。
本発明に用いられる裏面保護シートは、外周が後述する裏面充填材層の外周より内側に形成されていることが好ましい。このように裏面保護シートの外周が、後述する裏面充填材層の外周よりも内側に形成されている場合、上記裏面保護シートの表面積は、後述する裏面充填材層の表面積よりも小さくなるが、このときの裏面保護シートの表面積と、後述する裏面充填材層の表面積との面積比は、外縁部に取り付ける金属フレームの幅等に応じて任意に決定すればよい。なかでも、本発明においては、金属フレームを取り付けた場合に、前面透明基板の端面から金属フレームの内側の縁までの幅を100とした場合、裏面保護シートから露出する裏面充填材層の幅が1〜110の範囲内が好ましく、特に30〜100の範囲内が好ましく、なかでも80〜95の範囲内が好ましい。
(2)裏面保護シートの構成
上記裏面保護シートの構成は、本発明の太陽電池モジュールの使用環境等に応じて、所望の耐候性、耐熱性、耐光性等の特性を具備できる構成であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明おいては、上記裏面保護シートがポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体を有することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂フイルムは、太陽電池モジュールのような比較的高電圧の負荷が想定される電子デバイスに用いる材料に求められる耐電圧性や耐短絡性等に優れており、かつ低コストであるという利点を有するからである。
このようなポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体を有する構成としては、ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体のみからなる構成と、ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体上に他の層が積層された積層体からなる構成とを挙げることができる。
以下、このような各態様について説明する。
(i)ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体のみからなる構成
上記ポリオレフィン系樹脂フイルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂等のポリエチレン系樹脂を例示することができる。また、本発明においては上記ポリオレフィン系樹脂として、2種類以上のポリオレフィン系樹脂の混合物を用いることができる。
本発明においては、上記ポリオレフィン系樹脂のなかでもポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂を用いることにより、広範囲の使用環境に適用し得る裏面保護シートを作製することが容易になるからである。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンが重合してなる重合物を含むものであれば特に限定されない。このようなポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィン系樹脂との共重合体、プロピレン単独重合体と他の樹脂との混合物、および、プロピレンと他のオレフィン系樹脂との共重合体と、他の樹脂との混合物等を挙げることができる。なかでも本発明においては上記ポリプロピレン系樹脂として、上記プロピレン単独重合体と他の樹脂との混合物を用いることが好ましい。このような混合物を用いることにより、本発明の太陽電池モジュールが使用される環境等に応じて、裏面保護シートの諸物性を変化させることが容易になるからである。
上記プロピレン単独重合体としては、プロピレンモノマーをカチオン重合触媒等を用いて重合した低分子量ポリプロピレンや、プロピレンモノマーをチ−グラ−・ナッタ触媒を用いて重合した、高分子量かつ高結晶性のアイソタクチック重合体を挙げることができる。上記アイソタクチック重合体は、通常、融点が164℃〜170℃であり、比重が、0.90〜0.91程度であり、また、分子量が、10万〜20万程度であるため、引っ張り強さ、衝撃強度に優れ、耐熱性、耐屈曲疲労強度に優れ、かつ、加工性も良好であるため、本発明に好適に用いられる。
上記プロピレン単独重合体と混合して用いられる他の樹脂としては、プロピレン単独重合体と相溶性を示す樹脂であれば特に限定されない。本発明に用いられる他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂やプロピレンと他のオレフィン系樹脂との共重合体を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記他の樹脂として、プロピレンと他のオレフィン系樹脂との共重合体を用いることが好ましい。プロピレン単独重合体は、融点が比較的に高く、かつ、剛性的には硬いものであるが、プロピレンと他のオレフィン系樹脂との共重合体は、融点が比較的に低く、剛性的には柔らかいものであるため、これらを混合して使用することにより、その加工温度領域を広げて加工適性を向上させることができるからである。また、硬度の柔らかいものと硬度の硬いものとを混合して使用することにより、折り曲げ加工適性を向上させると共にその白化を防止し、更に、保形性等を向上させることができるからである。
上記プロピレンと他のオレフィン系樹脂との共重合体としては、プロピレン単独重合体と相溶性を示すものであれば特に限定されないが、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体を用いることが好ましく、具体的には、エチレン−プロピレンのランダム共重合体を用いることが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン単独重合体と、プロピレンと他のオレフィン系樹脂との共重合体との混合物を用いる場合において、ポリプロピレン単独重合体の混合比は、本発明の太陽電池モジュールの用途等に応じて、裏面保護シートに所望の物性を付与できる範囲であれば特に限定されないが、通常、5質量%〜50質量%の範囲内が好ましく、特に10質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂フイルムとしては、延伸処理を実施していない無延伸フイルムと、1軸方向または2軸方向に延伸処理を施した延伸フイルムを挙げることができるが、本発明においては無延伸フイルムを用いることが好ましい。延伸フイルムを用いた場合、本発明の太陽電池モジュールを作製する際に、加熱圧着によりフイルムが著しく収縮してしまうが、無延伸フイルムであればこのような問題がないからである。
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂フイルムには必要に応じて、添加剤が含まれていても良い。本発明に用いられる添加剤としては、着色用添加剤、紫外線吸収剤、安定化剤、および、難燃剤を挙げることができる。
本発明に用いられる着色用添加剤としては、例えば、白色化剤、黒色化剤等の無彩色系、あるいは、赤、橙、黄、緑、青、紫、その他等の有彩色系等の種々の染料・顔料等の着色剤を用いることができる。本発明においては、このような着色用添加剤の1種ないし2種以上を使用することができる。
上記白色化剤は、裏面保護シートにて太陽光を光反射あるいは光拡散させて太陽電池素子における発電に再利用することを目的として添加するものである。また、このような白色化剤を用いることにより、本発明の太陽電池モジュ−ルに意匠性、装飾性等を付与することができ、また、本発明の太陽電池モジュ−ルを屋根等に設置した場合、照り返す太陽光等を光反射あるいは光拡散させることができる。このような白色化剤としては、例えば、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性けい酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン等の白色顔料を用いることができる。
上記白色化剤を用いる場合の添加量は、白色化剤の種類に応じ、裏面保護シートに所望の光反射性または光拡散性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、ポリオレフィン系樹脂フイルム中、0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0.5質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明においては、白色化剤と後述する黒色化剤とを混合した灰色系の無彩色系染料・顔料等も使用することができるものである。
上記黒色化剤は、例えば本発明の太陽電池モジュ−ルを屋根等に設置する場合、その周囲の環境に合う意匠性、装飾性等を付与することを目的として添加するものである。このような黒色化剤としては、例えば、カ−ボンブラック(チャンネルまたはファ−ネス)、黒色酸化鉄、その他等の黒色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。また、上記黒色化剤によって形成される黒色層としては、茶色系あるいは褐色系の黒色層、灰色系の黒色層、その他等の黒色味を帯びたいずれの黒色層でもよいものである。
このような黒色化剤を用いる場合の添加量は、黒色化剤の種類に応じ、裏面保護シートに所望の意匠性等を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、ポリオレフィン系樹脂フイルム中、0.1質量%〜30質量%の範囲内が好ましく、特に0.5質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。
上記有彩色系の染料・顔料等の着色剤は、例えば本発明の太陽電池モジュ−ルを、屋根等に設置する場合に、その周囲の環境に合う意匠性、装飾性等を付与することを目的として添加するものである。このような着色剤としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、チオインジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、その他等の有機系の染料・顔料等の着色剤、あるいは、紺青、クロムバ−ミリオン、ベンガラ、その他等の無機系の顔料等の着色剤、その他等を使用することができる。本発明においては、上記有彩色系の着色剤の中でも、特に、青色系の着色剤を使用することが好ましい。現行の太陽電池モジュ−ルの過半を占めている多結晶シリコン系太陽電池素子が青色系であるため、意匠的な適合性に優れているためである。
このような着色剤を用いる場合の添加量は、裏面保護シートに所望の意匠性等を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、ポリオレフィン系樹脂フイルム中0.1質量%〜30質量%の範囲内が好ましく、特に0.5質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギ−へと変換し、裏面保護シート中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止する機能を有するものである。本発明においては、このような紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダ−ドアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
また、本発明において紫外線吸収剤を用いる場合の添加量としては、裏面保護シートに所望の紫外線吸収性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、ポリオレフィン系樹脂フイルム中、0.1質量%〜10質量%の範囲内が好ましく、特に0.3質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。
本発明に用いられる光安定化剤は、裏面保護シート中の光劣化開始源である励起された活性種を捕捉し、光劣化を防止する機能を有するものである。本発明においては、このような光安定化剤として、例えば、ヒンダ−ドアミン系化合物、ヒンダ−トピペリジン系化合物、その他等の光安定化剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
また、本発明において光安定化剤を用いる場合の添加量としては、裏面保護シートに所望の光安定性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、ポリオレフィン系樹脂フイルム中、0.1質量%〜10質量%の範囲内が好ましく、特に0.3質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂フイルムには、難燃剤を含ませることが好ましい。本発明に用いられる難燃剤は、大きく有機系、無機系に分けられる。有機系としては、例えば、リン系、リン+ハロゲン系、塩素系、ブロム系の難燃剤、また、無機系としては、例えば、水酸化アルミニウム、アンチモン系、水酸化マグネシウム、グアニジン系、ジルコニウム系、ホウ酸亜鉛等の難燃剤を使用することができる。本発明においては、上記難燃剤の1種ないし2種以上を任意に添加することにより、裏面保護シートに難燃性を付与することができる。
上記ポリオレフィン系樹脂フイルムの厚みは特に限定されず、本発明の太陽電池モジュールの用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10μm〜300μmの範囲内が好ましく、特に15μm〜150μmの範囲内が好ましい。
次に上記ポリオレフィン系樹脂フイルムの製造方法について説明する。本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂フイルムの製造方法としては、所望の厚みで均一に製膜できる方法であれば特に限定されない。このようなポリオレフィン系樹脂フイルムの製造方法としては、ポリオレフィン系樹脂を溶媒に溶解したポリオレフィン系樹脂溶液を、支持体上にキャスティングして製膜する溶液製膜方法と、ポリオレフィン系樹脂の溶融物を含むポリオレフィン系樹脂組成物を溶融押出しすることより製膜する溶融製膜方法とを挙げることができる。なかでも本発明においては溶融製膜方法によりポリオレフィン系樹脂フイルムを製膜することが好ましい。溶融製膜方法は、上記溶液製膜方法と比較して製造コストも低く、また乾燥工程を必要としない分、製膜速度も速くすることが可能であるからである。
このような溶融製膜方法によりポリオレフィン系樹脂フイルムを製造する場合、例えば、ポリオレフィン系樹脂に上記添加剤を添加した後、十分に混練してポリオレフィン樹脂組成物を調整し、押出法、Tダイ押出法、キャスト成形法、インフレ−ション法、その他のフィルム成形法等を用いて製膜することにより、ポリオレフィン系樹脂フイルムを製造することができる。製膜したポリオレフィン系樹脂のフィルムは、必要に応じて、テンタ−方式、チュ−ブラ−方式等により利用して1軸ないし2軸方向に延伸しても良い。
(ii)支持体上に他の層が積層された積層体からなる構成
本発明に用いられる裏面保護シートの構成は、上記ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体上に他の層が積層された積層体からなる構成が好ましい。積層体であることにより、上記裏面保護シートに防湿性、耐候性等、本発明の太陽電池モジュールの用途等に応じて任意の特性を付与することができるからである。
上記積層体の構成としては、上記ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体上に、他の層が積層された構成であれば特に限定されず、本発明の太陽電池モジュールに求める諸物性に応じて任意の構成とすることができる。なかでも本発明においては、このような積層体の構成として、両表面に上記ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体を有する構成であることが好ましい。このような構成であることにより、裏面保護シートのカール等による形態変化を抑制することができるからである。
上記両表面に支持体を有する積層体の構成としては、特に限定されるものではなく、本発明の太陽電池モジュールに求める諸物性に応じて任意の構成とすることができる。なかでも本発明においては、少なくとも片面に無機酸化物の蒸着膜が形成された基材フイルムを、上記ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体で挟持する構成が好ましい。
このような少なくとも片面に無機酸化物の蒸着膜が形成された基材フイルムを、上記ポリオレフィン系樹脂フイルムで挟持する構成について図を参照しながら説明する。図4(a)は、上記構成を有する積層体の一例を示す概略断面図である。図4(a)に例示するように上記積層体としては、基材フィルム32の一方の面に、無機酸化物の蒸着膜33を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜33を設けた基材フィルム32を、上記ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる支持体31で挟持した構成を挙げることができる。
図4(b)は、上記構成の積層体の他の例を示す概略断面図である。図4(b)に例示するように、上記積層体の他の構成としては、片面に無機酸化物の蒸着膜33を設けた基材フイルム32を2枚積層し、このような基材フイルムを上記ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体31で挟持した構成を挙げることができる。
また図4(c)は、上記積層体の構成のさらに他の例を示す概略断面図である。図4(c)に例示するように上記積層体の他の構成としては、基材フィルム32の一方の面に、無機酸化物の蒸着膜33を設け、かつ、上記の無機酸化物の蒸着膜33を設けた基材フィルムを強靱性樹脂フィルム34を介して重層し、更に、上記で重層した積層体を上記ポリオレフィン系樹脂フイルム31で挟持した構成を挙げることができる。
本発明に用いられる裏面保護シートを、このような少なくとも片面に無機酸化物の蒸着膜が形成された基材フイルムを、上記ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体で挟持する構成とすることにより、防湿性に優れた裏面保護シートを得ることができる。以下、このように裏面保護シートを積層体とする場合に用いられる基材フイルム、無機酸化物の蒸着膜、および積層体の作製方法について説明する。
(基材フイルム)
まず、上記裏面保護シートを積層体とする場合に用いられる基材フィルムについて説明する。上記基材フイルムを構成する材料としては、後述する無機酸化物の蒸着膜を形成する際の蒸着条件に耐え得る耐久性を有し、かつ、無機酸化物の蒸着膜に対して密接着性を示す材料であれば得に限定されず、本発明の太陽電池モジュールに求める諸物性に応じて、好適な材料を適宜選択して用いることができる。
上記基材フイルムを構成する材料の具体例としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トまたはポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂を挙げることができる。本発明においては、上記材料のなかでも、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、または、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。このような材料を用いることにより上記裏面保護シートを耐久性が良好で、加工適性に優れたものできるからである。また、本発明においては、上記基材フイルムの構成材料として、上記材料の1種類ないし2種類以上を用いることができる。
本発明に用いられる上記基材フイルムの厚みは、本発明の太陽電池モジュールに求める諸物性に応じて、適宜決定すればよいが、通常、9μm〜300μmの範囲内が好ましく、特に12〜200μmの範囲内が好ましい。
本発明に用いられる基材フイルムには、必要に応じて添加剤が含まれていても良い。本発明に用いられる添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、滑剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。本発明においては、上記の添加剤の中でも、特に、紫外線吸収剤、光安定化剤、および酸化防止剤を用いることが好ましい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
また、上記光安定化剤としては、例えば、ヒンダ−ドアミン系化合物、ヒンダ−トピペリジン系化合物、その他等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
また、上記酸化防止剤としては、基材フイルムの光あるいは熱等による酸化劣化等を防止するものであり、例えば、フェノ−ル系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。
さらに、上記紫外線吸収剤、光安定化剤、および酸化防止剤としては、例えば、ポリマ−を構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系化合物からなる光安定化剤あるいはフェノ−ル系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマ−型の紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。
上記紫外線吸収剤、光安定化剤、および酸化防止剤の含有量は、上記基材フイルムに求める諸物性に応じて適宜決定すればよいが、通常、上記基材フイルム中、0.1質量〜10質量%の範囲内が好ましい。
本発明における基材フイルムには、後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性を向上させるために、あらかじめ表面処理層を形成しても良い。このような表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いたプラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の表面処理により形成される、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を挙げることができる。
上記の表面処理は、別工程で実施してもよく、また、例えば、プラズマ処理やグロ−放電処理等による表面処理を実施する場合は、後述する無機酸化物の蒸着膜等を形成する前処理としてインライン処理により前処理で行うことができ、このような場合は、その製造コストを低減することができるという利点がある。
上記表面処理層の形成は、基材フイルムと後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記密接着性を改善する方法としては、上記表面処理層以外に、例えば、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等のコート剤層を基材フイルム表面に形成する方法を用いることもできる。このようなコ−ト剤層を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂等を用いることができる。
また本発明においては、上記の基材フィルムの少なくとも一方の面に、後述する無機酸化物の蒸着膜を形成する際の蒸着工程において、基材フィルムを保護するために基材フィルムの少なくとも一方の面に、蒸着保護膜を形成しても良い。このような蒸着保護膜は、例えば、化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)、真空蒸着法(抵抗加熱、誘電加熱、EB加熱方式)、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて、基材フイルム上に無機酸化物の蒸着薄膜を形成することにより付与することができる。
蒸着保護膜を構成する無機酸化物としては特に限定されないが、例えば、酸化珪素を用いることができる。
上記蒸着保護膜の膜厚は、150Å未満であることが望ましい。より具体的には10〜100Åの範囲内が好ましく、特に20〜80Åの範囲内が好ましく、中でも30〜60Åの範囲内が好ましい。膜厚が上記範囲よりも厚いと、均質な蒸着保護膜を形成することが困難になる可能性があり、また、上記範囲よりも薄いと基材フイルムの保護が不十分になる場合があるからである。
(無機酸化物の蒸着膜)
次に、上記基材フイルムの少なくとも一面に設けられる無機酸化物の蒸着膜について説明する。本発明に用いられる無機酸化物の蒸着膜としては、金属酸化物を蒸着した薄膜であれば特に限定されない。このような蒸着膜に用いられる金属としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等を挙げることができる。なかでも本発明においては上記蒸着膜として、ケイ素(Si)およびアルミニウム(Al)の金属の酸化物の蒸着膜を用いることが好ましい。
また、上記金属酸化物中の、酸素原子の含有量としては、特に限定されるものではなく、上記金属酸化物に用いる金属種に応じて任意に決定すればよい。金属酸化物は、金属元素をM、酸素原子をO、および酸素原子数をXと表記する場合、MOxと表すことができる。本発明においては、上記金属酸化物をこのように表記した場合に、Xの値が0〜2であることが好ましい。また、上記金属酸化物を構成する金属としてケイ素(Si)、およびアルミニウム(Al)を用いる場合、上記Xの値は、ケイ素(Si)の場合は1.0〜2.0の範囲内が好ましく、アルミニウム(Al)の場合は、0.5〜1.5の範囲内が好ましい。
本発明における無機酸化物の蒸着膜に用いる金属は、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
また、本発明に用いられる上記無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、通常、50〜4000Åの範囲内が好ましく、特に100〜1000Åの範囲内が好ましい。
本発明において、上記基材フイルム上の少なくとも片面に無機酸化物の蒸着膜を形成する方法は特に限定されず、所望の膜厚で均質な蒸着膜を形成できる方法であれば特に限定されない。本発明における上記蒸着膜の形成方法としては、物理気相成長法、および、化学気相成長法、あるいは、その両者を併用する方法を用いることができる。
上記物理気相成長法としては、例えば、真空蒸着法(抵抗加熱、誘電加熱、EB加熱方式)、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(PhysicalVapor Deposition法、PVD法)を挙げることができる。より具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して基材フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いることができる。また、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等により行うことができる。
上記化学気相成長法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。より具体的には、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るため、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが好ましい。
本発明に用いられる無機酸化物の蒸着膜は、上記物理気相成長法および上記化学気相成長法の両者を併用して、異種の無機酸化物の蒸着膜が2層以上された複合膜であってもよい。このような複合膜としては、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することが好ましい。
(積層体の作製方法)
次に上記積層体の作製方法について説明する。本発明において上記積層体を作製する方法としては、積層体を構成する各層を強固に密着できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、上記無機酸化物の蒸着膜が形成された基材フイルムの表面上に、接着剤層を介して、上記ポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体をラミネートすることにより積層体を作製するドライラミネート法と、上記無機酸化物の蒸着膜が形成された基材フイルムの表面上に、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を溶融押し出しすることにより、ポリオレフィン系樹脂フイルムを積層する溶融押出法とを挙げることができる。また、本発明においては、上記ドライラミネート法と、上記溶融押出し法とを併用して積層体を作製してもよい。
上記積層体の作製方法として上記ドライラミネート法を用いる場合、上記接着剤層を構成するラミネ−ト用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマ−、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ−ト系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマ−との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等からなるポリオレフィン系接着剤、セルロ−ス系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノ−ル樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコ−ン系接着剤、アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を用いることができる。また、これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その形態は、フィルム・シ−ト状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態であってもよい。
本発明においては、上記接着剤としてスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤を使用することが好ましい。耐加水分解性に優れていると共に本用途で求められる高耐寒性に最も適した材料であるからである。
また、上記接着剤層においては、硬化剤、または架橋剤を含ませることにより、上記接着剤を架橋することが好ましい。架橋構造を形成することにより、高耐熱性、耐湿熱性等に優れた接着剤を得ることができるからである。上記硬化剤または架橋剤としては、脂肪族系・脂環系イソシアネ−ト、あるいは、芳香族系イソシアネ−ト等のイソシアネート系化合物を用いることができ、より具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト(HDI)、イソホロンジイソシアネ−ト(IPDI)、トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、ナフチレンジイソシアネ−ト(NDI)、トリジンジイソシアネ−ト(TODI)、キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)等を例示することができる。
上記接着剤は、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるいは、印刷法等によって上記基材フイルム上にコーティングすることができる。コ−ティング量としては、0.1〜10g/m(乾燥状態)の範囲内が好ましい。
なお、上記の接着剤中には、紫外線劣化等を防止するために、前述の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤を添加することができる。上記紫外線吸収剤あるいは光安定化剤としては、前述の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上、あるいは、光安定化剤の1種ないしそれ以上を同様に使用することができる。その使用量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、上記接着剤中に0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
上記積層体の作製方法として上記溶融押出法を用いる場合においては、より強固な接着強度を得るために、アンカ−コ−ト剤等の接着助剤等を使用し、そのアンカ−コ−ト剤層を介して、ポリオレフィン系樹脂フイルムを積層することが好ましい。上記のアンカ−コ−ト剤としては、例えば、アルキルチタネ−ト等の有機チタン系、イソシアネ−ト系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等の水性ないし油性の各種のアンカ−コ−ト剤を使用することができる。
上記アンカ−コ−ト剤は、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いて上記基材フイルム上にコ−ティングすることができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)位が望ましい。
(その他)
本発明において無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層する場合は、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の無機酸化物の蒸着膜の面と他方の基材フィルムの面、あるいは、一方の基材フィルムの面と他方の基材フィルムの面、更には、一方の無機酸化物の蒸着膜の面と他方の無機酸化物の蒸着膜の面等のいずれの面を対向させて重層させることができる。また、その重層方式としては、上記のドライラミネート法および溶融押出法のいずれの積層方式であってもよい。
また本発明において、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層するには、上記と同様に、ドライラミネート法および溶融押出法のいずれの積層方法であっても良い。また、その重層に際しては、無機酸化物の蒸着膜の面、基材フィルムの面、および、強靱性樹脂フィルムの面等のいずれの面を対向させて重層させてもよいものである。
本発明においては、上記強靱性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
(3)その他
本発明に用いられる裏面保護シートの耐電圧は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートに求める耐電圧性に応じて任意に決定すればよい。
2.裏面充填材層
次に本発明の太陽電池モジュールを構成する裏面充填材層について説明する。本発明に用いられる裏面充填材層は、熱可塑性シラン変性樹脂からなるものである。また、本発明に用いられる裏面充填材層は、上記裏面保護シートが有する貫通孔よりも開口面積の小さい貫通孔を有することを特徴とするものである。以下、このような裏面充填材層について説明する。
(1)熱可塑性シラン変性樹脂
まず、上記裏面充填材層に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂について説明する。上記裏面充填材層に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂は、上述した裏面保護シートと、後述するシーリング剤とに対して接着性を示す樹脂であれば特に限定されない。なかでも、本発明に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂は、融点が50℃〜200℃の範囲内であるものが好ましく、特に60℃〜180℃の範囲内であるものが好ましく、中でも65℃〜150℃の範囲内であるものが好ましい。融点が上記範囲よりも低いと、例えば、本発明の太陽電池モジュールを使用する環境によっては基材との密着性が不十分になってしまう可能性が有るからである。また、融点が上記範囲よりも高いと、本発明の太陽電池モジュールを作製する際に、融点以上の加熱工程が必要となるため、本発明に用いる裏面保護シートの材質によっては、裏面保護シート自体が熱によるダメージを受ける場合があるからである。
本発明に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂は、上記範囲内の融点を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも本発明に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂としては、190℃でのメルトマスフローレートが0.5〜10g/10分であるものが好ましく、1〜8g/10分であるものがより好ましい。本発明に用いられる裏面充填材層の成形性が向上し、また、上述した裏面保護シートとの接着性等に優れるからである。
また、本発明に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂はポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いることが好ましい。このような共重合体を用いることにより、例えば、本発明の太陽電池モジュールの製造方法等に応じて、熱可塑性シラン変性樹脂の諸物性を調整することが容易になるからである。また本発明において上記共重合体は、シラノール触媒による架橋をしていてもしていなくてもどちらでもよい。
本発明に用いられる上記ポリオレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素数2〜8程度のα-オレフィンの単独重合体、それらのα-オレフィンとエチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等の炭素数2〜20程度の他のα-オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、及び、1-ブテン単独重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体等の1-ブテン系樹脂等が挙げられる。中でも本発明においては、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
本発明に用いられる上記共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体のいずれであってもよい。本発明においては、グラフト共重合体であることが好ましく、さらには、重合用ポリエチレンの主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、裏面充填材層との接着力をより強固にすることができるからである。
本発明に用いられる上記ポリエチレン系樹脂(以下、重合用ポリエチレンと称する。)としては、ポリエチレン系のポリマーであれば特に限定されない。このようなポリエチレン系のポリマーとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、極超低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。また本発明においては、これらのポリエチレン系ポリマーの一種類を単体として用いても良く、また、2種類以上を混合して用いても良い。
また本発明に用いられる重合用ポリエチレンは、上記ポリエチレン系ポリマーの中でも密度が低いものが好ましく、具体的には、密度が0.850g/cm〜0.960g/cmの範囲内であることが好ましく、特に0.865g/cm〜0.930g/cmの範囲内であることが好ましい。密度が低いポリエチレン系ポリマーは、一般的に側鎖を多く含有しているため、グラフト重合に好適に用いることができる。したがって、密度が上記範囲よりも高いと、グラフト重合が不十分になり、裏面充填材層に所望の接着力を付与することができない場合があり、また、密度が上記範囲よりも低いと、裏面充填材層の機械強度が損なわれる可能性があるからである。
本発明に用いられる上記エチレン性不飽和シラン化合物としては、上記重合用ポリエチレンと重合して、熱可塑性シラン変性樹脂を形成できるものであれば特に限定されない。このようなエチレン性不飽和シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリオペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、およびビニルトリカルボキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
次に、上記ポリオレフィン化合物と、上記エチレン性不飽和シラン化合物とのグラフト共重合体の製造方法について説明する。このようなグラフト共重合体の製造方法は、所望の収率を得ることができる方法であれば特に限定されることなく、公知の重合手段により製造することができる。中でも本発明においては、上記ポリオレフィン化合物と、上記エチレン性不飽和シラン化合物と、遊離ラジカル発生剤と、からなるシラン変性樹脂組成物を加熱溶融混合することによりグラフト共重合体を得る方法が好ましい。このような方法によれば高収率で上記グラフト共重合体を得ることが容易だからである。
上記加熱溶融混合時の加熱温度は、所望の時間内に重合反応を終えることができる範囲内であれば特に限定されないが、通常、300℃以下が好ましく、特に270℃以下が好ましく、中でも、160℃〜250℃の範囲内が好ましい。加熱温度が上記範囲よりも低いと、重合反応が十分に進行しない場合があり、また加熱温度が上記範囲よりも高いと、シラノール基部分が架橋しゲル化する可能性があるからである。
遊離ラジカル発生剤としては、上記重合反応の促進に寄与できる化合物であれば特に限定されない。このような遊離ラジカル発生剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチル‐パーオキシイソブチレート、t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げることができる。これらの遊離ラジカル発生剤は、一種類のみを単体として用いてもよく、また2種類以上を混合して用いても良い。
上記シラン変性樹脂組成物中の遊離ラジカル発生剤の含有量は、遊離ラジカル発生剤の種類や重合反応条件に応じて、任意に決定することができるが、重合反応により得られる熱可塑性シラン変性樹脂中の残存量が0.001質量%以下となる範囲内であることが好ましい。本発明においては、通常、上記シラン変性樹脂組成物中のポリオレフィン化合物100重量部に対して、0.001重量部以上含まれていることが好ましく、特に0.01重量部〜5重量部含まれていることが好ましい。
上記シラン変性樹脂成物中の、エチレン性不飽和シラン化合物の含有量は、重合用ポリエチレン100重量部に対して、0.001重量部〜4重量部の範囲内が好ましく、特に0.01重量部〜3重量部の範囲内が好ましい。エチレン性不飽和シラン化合物の含有量が上記範囲よりも多いと、重合されることなく遊離したエチレン性不飽和シラン化合物が残存する可能性が有り、また上記範囲よりも少ないと裏面充填材層と後述するシーリング剤との密着力が不十分となる場合があるからである。
(2)その他の化合物
本発明における裏面充填材層には、必要に応じて熱可塑性シラン変性樹脂以外の他の化合物を含むことができる。本発明においては、このような他の化合物として熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、なかでもポリオレフィン化合物(以下、添加用ポリオレフィン化合物と称する。)を含むことが好ましい。また、裏面充填材層に含まれる上記熱可塑性シラン変性樹脂として、ポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いる場合には、このような添加用ポリオレフィン化合物として、上記共重合体に用いられるポリオレフィン化合物と同一のポリオレフィン化合物を用いることが好ましい。
本発明において、上記裏面充填材層中の上記添加用ポリオレフィン化合物の含有量は、上記熱可塑性シラン変性樹脂100重量部に対し、0.01重量部〜9900重量部の範囲内が好ましく、特に0.1重量部〜2000重量部の範囲内がより好ましい。添加用ポリオレフィン化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと、コストの面において不利となってしまう場合があり、また上記範囲よりも多いと、裏面充填材層と後述するシーリング剤との接着力が不十分となる可能性があるからである。
本発明においては、上記ポリオレフィン化合物として、ポリエチレン系樹脂(以下、添加用ポリエチレンと称する。)を用いることが好ましい。本発明においては、上記シラン変性樹脂として、ポリエチレン系樹脂とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を用いることが好ましいからである。
上記添加用ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、および直鎖状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のものであることが好ましい。
上記添加用ポリエチレンは、190℃でのメルトマスフローレートが0.5〜10g/10分であるものが好ましく、1〜8g/10分であるものがより好ましい。本発明における接着部の成形性等に優れるからである。さらに、上記添加用ポリエチレンの融点は、130℃以下であることが好ましい。なお、上記融点は、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)に準拠し、示差走査熱量分析(DSC)により測定した値とする。この際、融点ピークが2つ以上存在する場合は高い温度の方を融点とする。
また、本発明における裏面充填材層は、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤等の添加剤を含有することが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、長期にわたって安定した機械強度、黄変防止、ひび割れ防止等ができるからである。
上記光安定化剤は、裏面充填材層に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂中の光劣化開始の活性種を補足し、光酸化を防止するものである。具体的には、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物などの光安定化剤が挙げられる。
上記紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、裏面充填材層に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、および超微粒子酸化チタン(粒子径:0.01μm〜0.06μm)もしくは超微粒子酸化亜鉛(粒子径:0.01μm〜0.04μm)などの無機系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
上記熱安定剤としては、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4‐ビス(1,1−ジメチルエチル)‐6‐メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)[1,1‐ビフェニル]‐4,4´‐ジイルビスホスフォナイト、およびビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系熱安定剤;8‐ヒドロキシ‐5,7‐ジ‐t‐ブチル‐フラン‐2‐オンとo‐キシレンとの反応生成物等のラクトン系熱安定剤などを挙げることができる。リン系熱安定剤とラクトン系熱安定剤とを併用することが好ましい。
上記酸化防止剤は、本発明における裏面充填材層に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂の酸化劣化を防止するものである。具体的には、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、およびラクトン系などの酸化防止剤が挙げられる。
これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤および酸化防止剤の含有量は、その粒子形状、密度などにより異なるものではあるが、それぞれ裏面充填材層中0.001質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられる他の化合物としては上記以外に、触媒、核剤、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等を挙げることができる。
上記触媒としては、縮合反応を促進できるものであれば特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸第1錫、オクタン酸第1錫(カブリル酸第1錫)、ナフテン酸鉛、カブリル酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバルトのような、カルボン酸塩、また、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニトリル)ジーイソプロピルチタネート等、チタン酸エステルおよびキレート化物のような有機金属化合物、また、エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、ピリジン等の有機塩基、さらに、無機酸および脂肪酸等の酸などを挙げることができる。
本発明においては、上記触媒としてカルボン酸塩を用いることが好ましく、なかでも、錫系のシラノール触媒であることが好ましい。錫系のシラノール触媒を用いることにより、本発明の太陽電池モジュールの生産性をより向上させることができるからである。
本発明においては、上記錫系のシラノール縮合触媒の中でも、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート等を用いることが好ましい
上記核剤は、小さい結晶を多数形成する作用をなし、本発明の太陽電池モジュールが、ホットスポット現象等に伴って充填材層が白濁することを防止する機能を有するものである。この核剤としては、上記機能を発現するものであれば特に限定されず、例えば、ソルビトール系核剤、カルボン酸系核剤、有機リン酸系核剤などを挙げることができる。
上記ソルビトール系核剤としては、例えばジベンジリデンソルビトール、またはその誘導体が挙げられ、具体的には1,3,2,4−ジ(メリルベンジリデン)ソルビトール、1,3−クロルベンジリデン−2,4−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−ジメチルベンジリデン−D−ソルビトール等を用いることができる。
上記カルボン酸系核剤としては、例えば脂肪族カルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族カルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸の金属塩、またはそれらのアルキル核置換誘導体の金属塩が挙げられ、具体的にはステアリン酸、アジピン酸もしくはセバチン酸のナトリウム塩、カルシウム塩、またはアルミニウム塩、あるいは、安息香酸のナトリウム塩またはパラ−第3ブチル−安息香酸のアルミニウム塩等を用いることができる。
上記有機リン酸系核剤としては、例えばビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩等が挙げられる。
また、上記核剤としては、例えばゼオライト、シリカ、タルク、ハイドロタルサイト等を用いることもできる。これらの核剤は、単独または混合物として使用することができる。
上記の中でも、本発明においてはソルビトール系核剤が好適に用いられる。さらに、上記ソルビトール系核剤の中でも、1,3:2,4−ビス−O−ジメチルベンジリデン−D−ソルビトールが好ましい。
(3)貫通孔
本発明に用いられる裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積は特に限定されるものではなく、本発明の目的を損なわない範囲で、上記貫通孔に通すものの種類に応じて任意に決定すればよい。
(4)裏面充填材層
本発明における充填材層中のSi量は、8ppm〜3500ppmの範囲内であることが好ましく、特に10ppm〜3000ppmの範囲内であることが好ましく、なかでも50ppm〜2000ppmの範囲内であることが好ましい。Si量が上記範囲よりも少ないと、裏面保護シートとの接着性が不十分になる場合があるからである。また、Si量が上記範囲よりも多いと、コストが高くなってしまう可能性があるからである。
ここで、裏面充填材層のみを加熱し燃焼させ灰化することによって重合SiがSiOに変換される。よって、上記重合Si量は、灰分をアルカリ融解して純水に溶解後定容し、高周波プラズマ発光分析装置((株)島津製作所製 ICPS8100)を用いてICP発光分析法により重合Si量の定量を行うことにより測定した値とする。
また、本発明における裏面充填材層は、ゲル分率が、30%以下であることが好ましく、好ましくは10%以下最も好ましくは0%である。ゲル分率が上記範囲よりも高いと、本発明の太陽電池モジュールのリサイクル性を損なってしまう場合があり、また上記範囲よりも低いと、裏面充填材層がホットスポット現象等に伴って白濁してしまう可能性があるからである。なお、上記ゲル分率は、(1)本発明に用いられる裏面充填材層を1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる(2)ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる(3)10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定する、ことにより得られた値とする。
上記裏面充填材層は、後述する裏面保護シートとの接着性が高いことが好ましい。具体的には、上記裏面充填材層の25℃雰囲気下における180°剥離試験において測定された透明前面基板および裏面保護シートとの剥離強度が、1N/15mm幅〜150N/15mm幅の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3N/15mm幅〜150N/15mm幅、最も好ましくは10N/15mm幅〜150N/15mm幅の範囲内である。
なお、上記剥離強度は以下の試験方法により得た値とする。
試験機:エー・アンド・ディー(A&D)株式会社製の引っ張り試験機〔機種名:テンシロン〕
測定角度:180°剥離
剥離速度:50mm/min
また上記裏面充填材層は、上記接着性を長期間保持していることが好ましく。具体的には、本発明の太陽電池モジュールを温度85℃、湿度85%の高温多湿状態にて1000時間放置した後の25℃雰囲気下における180°剥離試験において測定された透明前面基板および裏面保護シートとの剥離強度が、0.5N/15mm幅〜140N/15mm幅の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3N/15mm幅〜140N/15mm幅、さらに好ましくは10N/15mm幅〜140N/15mm幅の範囲内である。
なお、測定方法は上述した方法と同様の方法が用いられる。
また上記裏面充填材層の厚みは、50〜2000μmの範囲内であることが好ましく、特に100〜1250μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より薄い場合はセルを支持することができずセルの破損が生じやすくなる場合がるからである。また、上記範囲より厚い場合は、本発明のモジュールの重量が重くなり設置時などの作業性が悪いばかりでなく、コスト面でも不利となる場合もあるからである。
上記裏面充填材層は、波長15000nm〜25000nmの赤外線の平均赤外線透過率が、60%以上であることが好ましい。本発明における上記平均赤外線透過率とは、上記裏面充填材層を厚み400±10μmのシート状としたとき、波長15000nm〜25000nmの範囲内における平均赤外線透過率を指すものである。
なかでも本発明においては、上記平均赤外線透過率が70%以上であることが好ましい。太陽光の輻射熱や太陽電池の発電時に発生する熱等により太陽電池素子の温度が上昇するとその温度特性から発電効率が低下する場合があるが、裏面充填材層の赤外線透過率が上記範囲のように比較的高ければ、赤外線(熱線)の吸収性、すなわち吸熱性が低いことになり、発生した熱を蓄えにくくなるので、太陽電池モジュール内部の温度上昇を抑えることができる。
なお、上記赤外線透過率は、FT−IR610(日本分光株式会社製)を用いて、赤外分光法により透過法によって赤外吸収スペクトルを測定し、得られた赤外吸収スペクトルの波長15000nm〜25000nmにおける1nm毎の透過率を加算し、平均した値とする。
さらに、上記裏面充填材層は光線透過性が高いことが好ましい。具体的には全光線透過率が、70%〜100%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは80%〜100%、最も好ましくは90%〜100%の範囲内である。
(5)裏面充填材層の製造方法
本発明に用いられる裏面充填材層の製造方法としては、上述した裏面充填材層の諸性能を具備できる方法であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、上述したように裏面充填材層に用いられる熱可塑性シラン変性樹脂が、エチレン性不飽和シラン化合物および重合用ポリエチレンを重合させてなるシラン変性樹脂、添加用ポリエチレン、その他の添加剤を含有することが好ましいため、シラン変性樹脂、添加用ポリエチレン、その他添加剤と加熱溶融混合して、充填材形成用組成物を調製した後、上記充填材形成用組成物を成形することにより裏面充填材を作製し、これを用いて太陽電池モジュールを作製することにより裏面充填材層を製造する方法が好ましい。
上記充填材形成用組成物を調製する際に、シラン変性樹脂、添加用ポリエチレン、その他の添加剤を混合する方法については特に限定されるものではないが、上記添加剤については、これらの添加剤とポリエチレンと混合させた添加剤マスターバッチを用いて混合することが好ましい。
上記添加剤マスターバッチは、添加剤とポリエチレンとを含有するものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明においては、添加剤マスターバッチにシラン変性樹脂が含まれていてもよく、また各マスターバッチに添加用ポリエチレンが含まれていてもよい。
添加剤マスターバッチに用いられるポリエチレンは、密度が0.890g/cm〜0.930g/cmの範囲内であるポリエチレンが好ましく、密度が0.890g/cm〜0.928g/cmの範囲内であるポリエチレンがより好ましい。
また、添加剤マスターバッチに含まれるポリエチレンの平均密度としては、0.890g/cm〜0.935g/cmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.890g/cm〜0.930g/cmの範囲内、最も好ましくは0.890g/cm〜0.920g/cmの範囲内である。
本発明においては、上記添加剤マスターバッチの密度が上記範囲内であるポリエチレンを含むことが好ましく、また、上記添加剤マスターバッチに含まれるポリエチレンの平均密度が上記範囲内であることが好ましいのであるが、この添加剤マスターバッチは、好ましいポリエチレンの平均密度を超えない範囲で比較的密度が高いポリエチレンを含有することができる。
高密度のポリエチレンの方が粉砕しやすく加工性に優れており、低コスト化が図れるからである。よって、比較的密度の高いポリエチレンを粉砕してパウダーとし、この比較的密度の高いポリエチレンのパウダーと、上記の密度が所定の範囲であるポリエチレンと、添加剤とを混合してマスターバッチを作製することにより、マスターバッチの製造コストを抑えることができる。
なお、上記平均密度は、マスターバッチに含まれるポリエチレンのそれぞれの密度にそれぞれの含有量比を乗じて平均した値とする。
添加剤マスターバッチ、シラン変性樹脂、および添加用ポリエチレン等を加熱溶融混合して上記充填材形成用組成物を調製する方法としては、特に限定されるものではない。また、加熱温度は300℃以下が好ましく、さらには270℃以下が好ましく、特に好ましい加熱温度は230℃以下である。上記シラン変性樹脂は、加熱によりシラノール基部分が架橋しゲル化しやすいので、上記範囲で溶融混合するのが好適である。
再度加熱溶融する際の加熱温度は、300℃以下が好ましく、より好ましくは270℃以下であり、特に好ましい加熱温度は230℃以下である。上述した熱可塑性シラン変性樹脂は加熱によりシラノール基部分が架橋しゲル化しやすいので、上記範囲で加熱溶融して押出すことが好ましい。
上記充填材形成用組成物を成形して裏面充填材を作製する方法としては、加熱溶融後にTダイ、インフレなどの既存の方法を用いることができる。
上記裏面充填材のゲル分率は、30%以下であることが好ましく、好ましくは10%以下最も好ましくは0%である。ゲル分率が上記範囲よりも高いと、上記裏面充填材を用いて太陽電池モジュールを作成した際に、裏面充填材層の熱溶融性や溶媒溶解性が不十分となるため、充分なリサイクル性が得られない場合があるからである。また上記範囲よりも低いと、同じく太陽電池モジュールを作製した際に、ホットスポット現象等に伴って裏面充填材層が白濁してしまう可能性があるからである。
なお、上記ゲル分率は、(1)充填材を1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる(2)ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる(3)10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定する、ことにより得られた値とする。
上記裏面充填材を用いて太陽電池モジュールを作製することにより、上記裏面充填材から上記裏面充填材層を形成する方法は、後述する「6.その他」の項において説明するため、ここでの説明は省略する。
3.前面充填材層
本発明に用いられる前面充填材層は、貫通孔を有しないこと以外は上述した裏面充填材層と同様であるため、詳細な説明は省略する。
4.透明前面基板
本発明に用いられる透明前面基板としては、太陽光の透過性を有する基板であれば特に限定されず、例えば、ガラス板、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂等の各種の樹脂フィルムを用いることができる。
また、本発明に用いられる透明前面基板の厚みは、所望の強度を実現できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、12μm〜200μmの範囲内が好ましく、特に25μm〜150μmの範囲内が好ましい。
5.太陽電池素子
本発明に用いられる太陽電池素子としては、特に限定されず一般的な太陽電池素子を用いることができる。具体的には、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe )等のII−VI族化合物半導体太陽電子素子、有機太陽電池素子等を用いることができる。
また本発明に用いられる太陽電池素子としては、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリット素子等も使用することができる。
6.その他
本発明の太陽電池モジュールにおいては、太陽光の吸収性、補強、その他等の目的のもとに、さらに、他の層を任意に加えて積層することができるものである。このような他の層としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明の太陽電池モジュールは、その実用性を向上させるため太陽電池モジュール用付属品(以下、単に付属品と称する場合もある。)が取付けられていてもよい。このような付属品としては、上記太陽電池素子により発電した電流を外部へ伝達するため配線を接続する端子ボックスや、太陽電池モジュールの強度向上等を目的として取付けられる金属フレームを挙げることができる。
本発明においては、上記裏面保護シートの貫通孔上にシーリング剤を介して端子ボックスが接着されており、かつ、上記シーリング剤が上記裏面保護シートが有する貫通孔を通じて上記裏面充填材層と接着していることが好ましい。このように端子ボックスが取付けられていることにより、本発明の太陽電池モジュールをより実用性の高いものにできるからである。また、上記裏面保護シートが有する貫通孔を通じて、上記裏面充填材層と接着されたシーリング剤により端子ボックスが接着されていることにより、端子ボックスを強固に接着することができるからである。
また、上記シーリング剤は、上記裏面保護シートの貫通孔を覆い、裏面充填剤層が表面に露出しない態様で用いられていることが好ましい。このようにシーリング剤が用いられていることにより裏面充填剤層の経時劣化を抑制できるからである。
本発明においては、上記裏面充填材層上にシーリング剤を介して金属フレームが接着されているものであってもよい。金属フレームが、上記裏面充填材層上にシーリング剤を介して接着されていることにより、外気中の水分がモジュール内部へ侵入することのない、安定性に優れた太陽電池モジュールを得ることができるからである。このように金属フレームを取付ける場合は、上記裏面保護シートの外周が上記裏面充填材層の外周よりも小さくなるように形成し、太陽電池モジュールの裏面側外縁部に露出した上記裏面充填材層上にシーリング剤を介して金属フレームを取付ける方法が最も好ましい。
本発明の太陽電池モジュールに用いられる上記シーリング剤は、上記裏面充填材層と付属品とに接着することにより太陽電池モジュールに付属品を接着する機能と、太陽電池モジュールと付属品との隙間を埋めることにより、上記裏面保護シートに設けられた貫通孔から水分等が太陽電池モジュール内部に侵入することを防止する機能を有するものである。本発明に用いられる上記シーリング剤としては、上記裏面充填材層と付属品とに対して接着性を有するものであれば特に限定されない。なかでも本発明においては、上記シーリング剤として、シリコーン系、変性シリコーン系、ポリサルファイド系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系、変性ポリサルファイド系、アクリル系、SBR系、ブチルゴム系の油性コーキング剤を用いることが好ましい。このようなコーキング剤は、水分の遮蔽性に優れるからである。また、このようなコーキング剤は、広く建材用途等においても用いられているものであり、汎用性が高く、本発明への適用も容易だからである。
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法について説明する。本発明の太陽電池モジュールは、上記裏面保護シートが、上記裏面充填材層が有する貫通孔よりも開口面積の大きい貫通孔を有するものである。したがって、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。このような方法としては、例えば透明前面基板、太陽電池モジュール用充填材、太陽電池素子、太陽電池モジュール用充填材、および裏面保護シート等を順次に積層し、次いで、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等の通常の成形法を利用することができる。このような方法により各層を一体成形体として太陽電池モジュールが得られる。
上記ラミネーション法を用いた際のラミネート温度は、90℃〜230℃の範囲内であることが好ましく、特に110℃〜190℃の範囲内とすることが好ましい。また、ラミネート時間は、5〜60分の範囲内が好ましく、特に8〜40分の範囲内が好ましい。
B.太陽電池モジュール用裏面保護シート
次に本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートについて説明する。本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、貫通孔を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、上記貫通孔が、シーリング剤を用いて上記貫通孔上に、端子ボックスを接着することが可能な程度の開口面積を有することを特徴とするものである。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートによれば、上記貫通孔が、シーリング剤を用いて、上記貫通孔上に端子ボックスを接着することが可能な程度の開口面積を有することにより、太陽電池モジュール用付属品の取付性に優れた太陽電池モジュールを作製することができる。
以下、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートについて説明する。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートが有する貫通孔は、上記貫通孔上に端子ボックスを接着することが可能な程度の開口面積を有するものであれば特に限定されない。このような開口面積としては、シーリング剤を用いて、上記貫通孔上に端子ボックスを接着することが可能な程度の面積以上であって、取付ける端子ボックスの接着面の面積以下であれば得に限定されない。
上記開口面積の具体的な大きさは、取付ける端子ボックスの大きさや、端子ボックスと裏面充填材層との間に介在させるシーリング剤の種類に応じて、必要な接着強度が得られる範囲で任意に決定すればよいが、通常、裏面充填材が有する開口面積より大きいものとされる。より具体的には、端子ボックスと、端子ボックスおよび裏面充填材の間に介在させる接着層との接着面積を100%とした場合に、上記開口面積が70%〜150%の範囲が好ましく、なかでも80%〜120%が好ましく、特に95%〜105%の範囲であることが好ましい。開口面積が上記範囲よりも小さいと、端子ボックスに対する接着力を確保することが困難となる場合があり、また、上記範囲よりも大きいと、裏面充填材が露呈してしまうの可能性が高く、保護性に欠ける恐れがあるからである。
上記貫通孔の位置、大きさ、範囲、および数については、特に限定されるものではなく取付ける端子ボックスの種類、使用するシーリング剤の種類、および太陽電池モジュールの用途等に応じて、端子ボックスを所望の接着性、およびシール性により取付けることができる範囲で適宜選択すればよい。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートに関する他の事項に関しては、上記「A.太陽電池モジュール」の裏面保護シートの項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いることにより、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
1.前面充填材および裏面充填材の作製
メタロセン直鎖低密度ポリエチレン100重量部に対し、ビニルトリメトキシシラン0.5重量部、ラジカル発生剤(反応触媒)としてジクミルパーオキサイド0.1重量部を混合し、2百度で溶融、混練し、熱可塑性シラン変性樹脂を得た。
次に、メタロセン直鎖低密度ポリエチレン100重量部に対して、光安定化剤(ヒンダードアミン系光安定化剤)10重量部、紫外線吸収剤3.75重量部、および熱安定剤0.5重量部を混合して溶融加工し、添加剤マスターバッチを得た。
上記熱可塑性シラン変性樹脂20重量部に対し、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(添加用ポリエチレン)80重量部、および上記添加剤マスターバッチ5重量部を加え混合し、150mmφ押出し機、1000幅のTダイスを有するフィルム成形機を使用し、樹脂温度230℃、引き取り速度3m/minで厚み600μmの前面充填材および裏面充填材を製造した。
2.裏面保護シートの作製
白色化剤である酸化チタン(5質量%)と紫外線吸収剤として超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm、3質量%)および同じく紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(1質量%)と光安定化剤としてヒンダ-トアミン系光安定化剤(1質量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加した厚さ80μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、更に、該白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
次に厚さ80nmの酸化珪素の蒸着膜を形成し、コロナ処理を施している厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2質量%)を添加した芳香族系イソシアネート硬化剤、シランカップリング剤、スチレン-ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m(乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成した。
次に、上記ラミネート用接着剤層の面に、上記白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、その両者をドライラミネート積層した。
次に、上記ドライラミネート積層した厚さ80nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2質量%)を含有するHDI系硬化剤、シランカップリング剤、スチレン-ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m(乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次に、上記ラミネート用接着剤層の面に、上記ドライラミネート積層した厚さ80nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その両者をドライラミネート積層して、太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
3.太陽電池モジュールの作製
厚さ3mmのガラス板の上に上記シラン変性前面充填材を配した。更に前面充填材の上に、接続用配線などの配線により電気的に接続し更に太陽電池素子群の周辺部にも配線した複数の太陽電池素子を配した。上記太陽電池素子群の上に、出力配線取り出し口となる部分に貫通孔を設けた上記白色シラン変性裏面充填材を配した。上記裏面充填材の上に、出力配線取り出し口となる部分に貫通孔を設けた上記裏面保護シートを配した。このとき、裏面保護シートの貫通孔の大きさは端子ボックスの接着面積を100とした場合に90となるように設けた。
上記で積層したガラス板、充填材、太陽電池素子、裏面材をラミネーターと呼ばれる装置にセットし、減圧下で加熱しながら押圧し、一体化して太陽電池パネル部を作製した。
4.端子ボックス取付け
作製した太陽電池モジュールの裏面保護シートの貫通孔の内周部にある被覆されていない裏面充填材層をすべて覆うように、塗布面積が端子ボックスの接着面積と同じ面積になるようにシリコーン系シーリング材を塗布し、端子ボックスを取りつけた。
5.金属フレーム取付け
太陽電池モジュールの端面にゴム系のオーリングを噛まして金属フレームを取りつけた。
(実施例2)
1.太陽電池モジュールの作製
裏面充填材の端部から後述する金属フレーム(アルミフレーム)のフレーム幅の50%の幅に裏面充填材が露出するように、上記裏面保護シートを配したこと以外は、実施例1と動揺の方法により、太陽電池モジュールを作製した。
2.端子ボックス取付け
作製した太陽電池モジュールの裏面保護シートの貫通孔の内周部にある被覆されていない裏面充填材層の上にシリコーン系シーリング材を塗布し、端子ボックスを取りつけた。
3.金属フレーム取付け
また、太陽電池モジュールの端面にシリコーン系シーリング材を塗布し、金属フレームを取りつけた。
(比較例)
被覆されていない充填材層がないように、裏面充填材層と裏面保護シートの貫通孔が同じ大きさであって、外縁部についても裏面充填材層と裏面保護シートとの大きさが同じとなるようにしたこと以外は、実施例2と同じ方法でモジュールを作成した。
上記実施例1および実施例2において作製した太陽電池モジュールについて、JISC8917に示される端子強度試験を行った。その結果、端子ボックスの接着性は優れており、試験後の出力特性の劣化もほとんどなかった。一方、比較例において作成した太陽電池モジュールは、上記の端子強度試験により端子ボックスが外れてしまった。
本発明の太陽電池モジュールの一例を示す概略図である。 本発明の太陽電池モジュールの他の例を示す概略断面図である。 本発明の太陽電池モジュールの他の例を示す概略図である。 本発明に用いられる裏面保護シートの一の例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 太陽電池素子
2a … 前面充填材層
2b … 裏面充填材層
3 … 前面透明基板
4 … 裏面保護シート
5 … 配線
6 … シーリング剤
10,11,12 … 太陽電池モジュール
21 … 端子ボックス
22 … 金属フレーム
31 … 支持体
32 … 基材フイルム
33 … 無機酸化物の蒸着膜
34 … 強靭性フイルム

Claims (8)

  1. 太陽電池素子と、
    熱可塑性シラン変性樹脂からなり、前記太陽電池素子を挟持する前面充填材層および裏面充填材層と、
    前記前面充填材層上に形成された前面透明基板と、
    前記裏面充填材層上に形成された裏面保護シートと、
    を有する太陽電池モジュールであって、
    前記裏面充填材層および前記裏面保護シートが貫通孔を有し、かつ、前記裏面保護シートが有する貫通孔の開口面積が前記裏面充填材層が有する貫通孔の開口面積よりも大きいことを特徴とする、太陽電池モジュール。
  2. 前記裏面保護シートの外周が前記裏面充填材層の外周よりも内側に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記裏面保護シートがポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記裏面保護シートがポリオレフィン系樹脂フイルムからなる支持体上に、他の層が積層された積層体であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記熱可塑性シラン変性樹脂がポリオレフィン化合物とエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体であることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記裏面保護シートの貫通孔上にシーリング剤を介して端子ボックスが接着されており、かつ、前記シーリング剤が前記裏面保護シートが有する貫通孔を通じて前記裏面充填材層と接着していることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 前記裏面充填材層上にシーリング剤を介して金属フレームが接着されていることを特徴とする、請求項2から請求項6までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール。
  8. 貫通孔を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、前記貫通孔が、シーリング剤を用いて前記貫通孔上に端子ボックスを接着することが可能な程度の開口面積を有することを特徴とする、太陽電池モジュール用裏面保護シート。
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