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JP2007126512A - 表面保護フィルム - Google Patents

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Katsunori Toyoshima
克典 豊嶋
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】被着体に対する初期接着力に優れ、被着体から剥離する際の作業性を損なうことなく、さらに例えば鋼板に貼付されたときに、鋼板の機械加工時の衝撃、並びに保管時に鋼板から自然剥離することが防止された表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】ゴム系樹脂成分(A)と粘着付与樹脂とを含む粘着剤からなる粘着剤層がポリオレフィン系基材に積層されている表面保護フィルムであって、ゴム系樹脂成分(A)が、スチレン系重合体ブロック(B)およびイソブチレン系重合体ブロック(C)からなるブロック共重合体(D)と、スチレン系重合体ブロック(B)および共役ジエン系重合体ブロックまたはその水添物(E)からなるブロック共重合体(F)との混合物である、表面保護フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、被着体表面への塵埃の付着や被着体表面の傷つきを防止するのに用いられる表面保護フィルムに関し、より詳細には、ポリオレフィン基材に粘着剤層が積層されている表面保護フィルムに関する。
物品や部材を保護するために、物品や部材の表面に表面保護フィルムが仮着されることがある。表面保護フィルムは、例えば、合成樹脂板、金属板、化粧合板、塗装鋼板、塗装樹脂板または各種銘板などの様々な被着体において、加工時及び運搬時にこれらの表面への汚れの付着や表面の傷つきを防止するのに用いられている。中でも、塗装鋼板や塗装樹脂板に表面保護フィルムが多用されている。
この種の表面保護フィルムは、フィルム基材に粘着剤層が積層された構造を有する。フィルム基材には、一般に、熱可塑性樹脂からなるフィルムが用いられている。
ところで、表面保護フィルムは、その粘着剤層の粘着力を利用して被着体表面に貼付され、被着体表面を保護する。表面保護フィルムは、被着体が使用される際に被着体表面から剥離される。従って、表面保護フィルムには、被着体表面に容易に仮着し得る適切な粘着性を有することが求められており、かつ被着体に貼付された後に、被着体表面から容易に剥離し得る良好な剥離性を有することが求められている。さらに、被着体からフィルムが剥離された後に、糊残り等によって被着体表面が汚染されないことも強く求められている。
特に、塗装鋼板などの塗膜表面の保護に用いられる表面保護フィルムは、一般に手貼りにより塗膜表面に仮着され、使用される際に塗膜表面から剥離される。従って、この表面保護フィルムには、1)初期接着力が十分であること、2)接着力の経時安定性が良好であり、経時により接着力が変動し難いこと、3)被着体からの剥離が容易であり、かつ剥離後の被着体に糊残りが生じないこと、並びに4)塗装鋼板などの曲げや切断といった機械加工時及び保管時にフィルムが被着体表面から自然に剥がれないことが求められている。
下記の特許文献1には、支持基材上にゴム系粘着剤からなる粘着剤層が設けられた自動車塗膜保護用シートが開示されている。特許文献1に記載のシートでは、天然ゴム、ポリイソブチレン、A−B−A型ブロックポリマーなどのゴム系ポリマーを主成分とする特定のゴム系粘着剤を用いて粘着剤層が構成されている。これらのゴム系粘着剤を用いて粘着剤層を構成することで、表面保護フィルムの初期接着力、接着力の経時安定性、及び糊残り防止効果などを向上し得ることが示されている。
特開平6−73352号公報
しかしながら、特許文献1に記載の自動車塗膜保護用シートでは、例えばポリイソブチレンなどの特定のゴム系粘着剤を用いて粘着剤層が構成されているため、SP値が非常に低く、塗装鋼板に対するシートの初期接着力が十分ではなかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、被着体に対する初期接着力に優れ、被着体から剥離する際の作業性を損なうことなく、さらに例えば鋼板に貼付されたときに、鋼板の機械加工時の衝撃、並びに保管時に鋼板から自然剥離することが防止された表面保護フィルムを提供することにある。
本発明は、ゴム系樹脂成分(A)と粘着付与樹脂とを含む粘着剤からなる粘着剤層がポリオレフィン系基材に積層されている表面保護フィルムであって、ゴム系樹脂成分(A)が、スチレン系重合体ブロック(B)およびイソブチレン系重合体ブロック(C)からなるブロック共重合体(D)と、スチレン系重合体ブロック(B)および共役ジエン系重合体ブロックまたはその水添物(E)からなるブロック共重合体(F)との混合物であることを特徴とする。
本発明に係る表面保護フィルムのある特定の局面では、ゴム系樹脂成分(A)が、ブロック共重合体(D)60〜97重量%と、ブロック共重合体(F)40〜3重量%との割合でブロック共重合体(D)及び(F)を含んでいる。
本発明に係る表面保護フィルムは、ゴム系樹脂成分(A)と粘着付与樹脂とを含む粘着剤からなる粘着剤層がポリオレフィン系基材に積層されて構成されている。本発明では、ゴム系樹脂成分(A)は、スチレン系重合体ブロック(B)およびイソブチレン系重合体ブロック(C)からなるブロック共重合体(D)と、スチレン系重合体ブロック(B)および共役ジエン系重合体ブロックまたはその水添物(E)からなるブロック共重合体(F)との混合物である。
よって、本発明に係る表面保護フィルムは、被着体に対する初期接着力に優れ、接着力の経時による安定性が高められており、粘着剤層の剥離作業性にも優れている。さらに、例えば鋼板に貼付されたときに、鋼板の機械加工時の衝撃、並びに保管時に鋼板からの自然剥離が生じ難い。
従って、本発明の表面保護フィルムが例えば合成樹脂板、金属板、化粧合板、塗装鋼板、塗装樹脂板または各種銘板などの被着体、特に、塗装鋼板や塗装樹脂板の表面保護に用いられた場合に、加工時及び運搬時に、これら被着体表面に汚れが付着したり、被着体表面が傷つくのを効果的に防止することができる。
ゴム系樹脂成分(A)が、ブロック共重合体(D)60〜97重量%と、ブロック共重合体(F)40〜3重量%との割合でこれらを含む場合には、被着体に対する初期接着力、接着力の経時安定性がより一層高められる。また、例えば鋼板に貼付されたときに、鋼板から自然剥離するのをより一層効果的に防止できる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る表面保護フィルムは、ゴム系樹脂成分(A)と粘着付与樹脂とを含む粘着剤からなる粘着剤層がポリオレフィン系基材に積層されて構成されている。
上記ゴム系樹脂成分(A)は、少なくとも2種のゴム系樹脂成分を含む。詳しくは、ゴム系樹脂成分(A)は、スチレン系重合体ブロック(B)およびイソブチレン系重合体ブロック(C)からなるブロック共重合体(D)と、スチレン系重合体ブロック(B)および共役ジエン系重合体ブロックまたはその水添物(E)からなるブロック共重合体(F)との混合物からなるスチレン系エラストマーである。
上記ブロック共重合体(D)は、下記の(1)または(2)のスチレン系エラストマーである。ブロック共重合体(F)は、下記の(3)、または(4)のスチレン系エラストマーである。
(1)スチレン系重合体ブロック(B)とイソブチレン系重合体ブロック(C)とのブロック共重合体を主骨格とするスチレン系エラストマー。このスチレン系エラストマーとしては、(B)−(C)ブロック共重合体を主骨格とする限り、特に限定されず、例えばB−C、B−C−B、(B−C)または(B−C)Xなどで表わされる共重合体が挙げられる。なお、nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤による残基である。
(2)スチレン系重合体ブロック(B)と、イソブチレン系重合体ブロック(C)であるスチレンとイブチレンとのランダム共重合体ブロック(C´)とからなるブロック共重合体を主骨格とするスチレン系エラストマー。このようなスチレン系エラストマーとしては、下記の(2−1)〜(2−4)が挙げられる。
(2−1)ブロック(B)とブロック(C´)とが結合したもの:B−C´ブロック共重合体
(2−2)スチレンとイソブチレンの内スチレンが漸増するテーパーブロック(G)を含むもの:B−C´−Gブロック共重合体
(2−3)上記テーパーブロック(G)に代えてスチレン系重合体ブロック(B)を含むもの:B−C´−Bブロック共重合体
(2−4)(2−1)〜(2−3)の繰り返しやこれらが任意の割合で結合したもの:(B−C´)、(B−C´)X、(B−C´−G)X、(B−C´−B)Xなど。なお、nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤による残基である。
(3)スチレン系重合体ブロック(B)と共役ジエン系重合体ブロックまたはその水添物(E)とのブロック共重合体を主骨格とするスチレン系エラストマー。このスチレン系エラストマーとしては、(B)−(E)ブロック共重合体を主骨格とする限り、特に限定されず、例えばB−E、B−E−B、(B−E)または(B−E)Xなどで表わされる共重合体が挙げられる。なお、nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤による残基である。
(4)スチレン系重合体ブロック(B)と、共役ジエン系重合体ブロックまたはその水添物(E)であるスチレンと共役ジエンとのランダム共重合体ブロックまたはその水添物(E´)とからなるブロック共重合体を主骨格とするスチレン系エラストマー。このようなスチレン系エラストマーとしては、下記の(4−1)〜(4−4)が挙げられる。
(4−1)ブロック(B)とブロック(E´)とが結合したもの:B−E´ブロック共重合体
(4−2)スチレンと共役ジエンの内スチレンが漸増するテーパーブロックまたはその水添物(H)を含むもの:B−E´−Hブロック共重合体
(4−3)上記テーパーブロックまたはその水添物(H)に代えてスチレン系重合体ブロック(B)を含むもの:B−E´−Bブロック共重合体
(4−4)(4−1)〜(4−3)の繰り返しやこれらが任意の割合で結合したもの:(B−E´)、(B−E´)X、(B−E´−H)X、(B−E´−B)Xなど。nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤による残基である。
上記(2)のスチレン系エラストマーにおいては、構成成分であるスチレンと、イソブチレンとの含有割合は、重量比で5対95〜60対40の範囲が好ましく、より好ましくは7対93〜40対60である。スチレンの含有割合が5重量%未満では、粘着剤の凝集力が低下し、被着体から剥離する際に被着体に糊残りが生じるおそれがあり、60重量%を超えると、粘着力が不足し、被着体への貼付が困難となることがある。
上記(2)のスチレン系エラストマーにおいて、ブロック(C´)を含む構成では、スチレン系エラストマーを構成している全モノマー構成中のブロック(B)におけるスチレン含有量とブロック(C´)におけるスチレン含有量との合計であるスチレン含有割合の合計は3〜50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜40重量%の範囲、さらに好ましくは5〜25重量%の範囲である。ブロック(B)及びブロック(C´)のスチレンの合計の含有割合が全モノマー中3重量%未満では、粘着剤の凝集力が低下し、被着体からの剥離に際し糊残りが生じるおそれがあり、50重量%を超えると、粘着剤の粘着力が不足し、被着体への貼付が困難となるおそれがある。上記ブロック(B)中のスチレンのスチレン系エラストマーを構成している全モノマー中の割合は、3重量%以上が好ましく、より好ましくは3〜20重量%の範囲である。
上記(2)のスチレン系エラストマーのGPCにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は、50000〜400000の範囲が好ましく、より好ましくは80000〜200000の範囲である。重量平均分子量が50000未満では、粘着剤の凝集力が低下するため、被着体からの剥離に際し糊残りが生じることがある。重量平均分子量が400000を超えると、粘着力が不足するとともに、流動性が悪くなることがある。
上記(3)のスチレン系エラストマーにおいては、構成成分であるスチレンと、共役ジエンとの含有割合は、重量比で5対95〜60対40の範囲が好ましく、より好ましくは7対93〜40対60である。スチレンの含有割合が5重量%未満では、粘着剤の凝集力が低下し、被着体から剥離する際に被着体に糊残りが生じるおそれがあり、60重量%を超えると、粘着力が不足し、被着体に対する貼付が困難となることがある。
上記(4)のスチレン系エラストマーにおいて、ブロック(E´)を含む構成では、スチレン系エラストマーを構成している全モノマー構成中のブロック(B)におけるスチレン含有量とブロック(E´)におけるスチレン含有量との合計であるスチレン含有割合の合計は3〜50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜40重量%の範囲、さらに好ましくは5〜25重量%の範囲である。ブロック(B)及びブロック(E´)のスチレンの合計の含有割合が全モノマー中3重量%未満では、粘着剤の凝集力が低下し、被着体からの剥離した後に糊残りが生じるおそれがあり、50重量%を超えると、粘着剤の粘着力が不足し、被着体への貼付が困難となるおそれがある。上記ブロック(B)中のスチレンのスチレン系エラストマーを構成している全モノマー中の割合は、3重量%以上が好ましく、より好ましくは3〜20重量%である。
上記(3)または(4)のスチレン系エラストマーにおいて、共役ジエン重合体ブロック(E)中または上記スチレンと共役ジエンとのランダム共重合体ブロック(E´)中の共役ジエン部分の二重結合の少なくとも80%が水素添加により飽和されていることが好ましい。より好まし水素添加の割合は90%以上、さらに好ましくは95〜100%である。水素添加の割合が80%未満では、耐熱性や耐候性が劣下することがある。
上記(3)または(4)のスチレン系エラストマーのGPCにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は、50000〜400000の範囲が好ましく、より好ましくは80000〜200000の範囲である。重量平均分子量が50000未満では、粘着剤の凝集力が低下するため、被着体からの剥離に際し糊残りが生じることがある。重量平均分子量が400000を超えると、粘着力が不足するとともに、流動性が悪くなることがある。
上記ブロック共重合体(F)としては、発現する効果の度合いでトリブロック、ジブロックのどちらも使用可能である。発現効果が高く、多層共押出が容易であるのでトリブロックが好ましい。
上記ゴム系樹脂成分(A)は、上記ブロック共重合体(D)60〜97重量%と、上記ブロック共重合体(F)40〜3重量%との割合でこれらを含むことが好ましい。
ブロック共重合体(D)とブロック共重合体(F)との配合割合がこの範囲にある場合には、初期接着力、接着力の経時安定性により一層優れており、さらに貼付後に自然剥離が発生しない表面保護フィルムを提供することができる。ブロック共重合体(F)の配合割合が40重量%を超えると、剥離力が高くなり良好な剥離性が得られ難く、3重量%より少ないと、保持力が低下し自然剥離し易くなる。
本発明では、粘着剤層を構成する粘着剤に、上記ゴム系樹脂成分(A)に加えて、粘着付与樹脂がさらに配合されている。
上記粘着付与樹脂としては、塗装板を汚染したり、剥離性能の低下等の問題が発生しない限り、特に限定されず、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、アルキル・フェノール系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、またはロジン系樹脂、及びその水素添加物等が挙げられる。なかでも、水素添加された脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂やテルペン系樹脂が、耐候性に優れているので好ましい。より好ましい粘着付与樹脂の具体例としては、水素添加された脂環族系石油樹脂である荒川化学社製、商品名:アルコンや、テルペン系樹脂であるヤスハラケミカル社製、商品名:クリアロンなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記粘着付与樹脂は、ゴム系樹脂成分(A)100重量部に対し、5〜70重量部の範囲で配合されることが好ましく、より好ましくは10〜50重量部の範囲である。粘着付与樹脂が5重量部未満では、被着体に対する粘着力が不足することがある。粘着付与樹脂が70重量部を超えると、粘着剤の凝集力が不足し、表面保護フィルムを被着体から剥離し難いことがあり、また剥離した後に被着体に糊残りが生じるおそれがある。
本発明に係る表面保護フィルムは、上述のようにして構成された粘着剤からなる粘着剤層が、ポリオレフィン系基材に積層された構造を有する。好ましくは、ポリオレフィン基材の片面に、粘着剤層が積層された構造を有する。
上記ポリオレフィン系基材を構成するポリオレフィンについては特に限定されず、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンやポリオレフィンにオレフィン系エラストマーを混合したものなどを用いることができる。上記ポリオレフィン系基材の厚みは、使用目的によっても異なるが、20〜100μmが好ましい。
本発明に係る表面保護フィルムでは、必要に応じて、粘着性能を阻害しない範囲で、粘着剤層に紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、接着昂進防止剤などが添加されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の通常使用されるものが挙げられる。
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系(モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系)、硫黄系、リン系等の通常使用されるものが挙げられる。
上記接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂、トール油変性アルキド樹脂などが挙げられる。
基材に積層される粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、3〜50μmの範囲が望ましい。厚みが3μm未満であると、粘着力不足となることがあり、50μmを超えると、コストが高くなるおそれがある。
表面保護フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着剤層を構成する粘着剤と、ポリオレフィン系基材を構成する組成物とを共押出することにより積層一体化する方法、あるいは成膜されたポリオレフィン系基材上に粘着剤をラミネートし、積層一体化する方法などが挙げられる。
ポリオレフィン系基材と粘着剤とを共押出により積層一体化する方法としては、インフレーション法やTダイ法などの公知の方法が用いられ得る。ゴム系粘着剤をポリオレフィン系基材にラミネートする方法としては、粘着剤溶液を塗工する溶液塗工法、ドライラミネーション法、Tダイを用いた押出コーティング法などが用いられる。これらの中でも、品質を高めることができ、かつ経済的に製造し得るため、Tダイによる共押出法が好ましい。また、溶液塗工法が行われる場合には、基材と粘着剤層との間の接合強度を高めるために、ポリオレフィン系基材に予めプライマー塗布などし、表面処理を施すことが好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げることにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ブロック共重合体(D)としてカネカ社製 SIBS、品番:シブスター 072T 70重量部と、ブロック共重合体(F)として旭化成社製 SEBS、品番:タフテックH1052 30重量部とを混合し、粘着付与樹脂としてヤスハラケミカル社製、商品名:クリアロンLH 20重量部をさらに添加して粘着剤を得た。
なお、ブロック共重合体(D)である上記SIBSは、スチレンと、イソブチレンと、スチレンとのブロック共重合体であり、スチレン系重合体ブロック(B)およびイソブチレン系重合体ブロック(C)からなる。ブロック共重合体(F)である上記SEBSは、スチレンと、エチレン、ブチレンと、スチレンとのブロック共重合体であり、スチレン系重合体ブロック(B)およびブタジエン重合体ブロックの水添物(E)からなる。
次に、この粘着剤からなるゴム系粘着剤層と、ポリプロピレンからなる基材層とをTダイ法により共押出し、50μmの厚みのポリプロピレン基材上に10μmの厚みのゴム系粘着剤層が積層された表面保護フィルムを得た。
(実施例2〜4及び比較例1,2)
ブロック共重合体(D)、ブロック共重合体(F)及び粘着付与樹脂の配合割合を下記の表1に示すように変更したことを除いては、実施例1と同様にして表面保護フィルムを得た。
(実施例及び比較例の評価)
上記のようにして得た各表面保護フィルムにおける(1)初期粘着力、(2)初期剥離力、(3)経時粘着力、及び(4)定荷重保持力を以下の要領で行った。
(1)初期粘着力
室温23℃及び相対湿度65%の環境下で、2kgの圧着ゴムローラーを用いて、300mm/分の速度で、表面保護フィルムをステンレス板(SUS304、280番研磨)に貼り付けた。貼付した状態で30分間放置した後、JIS Z 0237に準拠し、25mm幅における180度剥離強度を300mm/分の引きはがし速度で測定した。このようにして測定された剥離強度を初期粘着力とした。
(2)初期剥離力
剥離速度を30m/分としたこと以外は、上記(1)と同様にして剥離強度を測定した。このようにして測定された剥離強度を初期剥離力とした。
(3)経時粘着力
得られた表面保護フィルムを、(1)の初期粘着力測定の場合と同様にしてステンレス板(SUS304、280番研磨)に貼り付けた。その状態で70℃のギアオーブン中に7日間放置した後、JIS Z 0237に準拠して25mm幅における180度剥離強度を300mm/分の引きはがし速度で測定した。このようにして測定された剥離強度を経時粘着力とした。
(4)定荷重保持力
得られた表面保護フィルムを、(1)の初期粘着力測定の場合と同様にしてステンレス板(SUS304、280番研磨)に貼り付けた。その状態で30分間放置した後、剥離角度が90゜になるように60g/25mmの荷重を垂下させ、25mm幅における落下時間を測定した。
なお、測定長さは50mm、測定温度は40℃とし、50mmを超えて剥離したものを落下と判定した。
結果を下記の表1に示す。
Figure 2007126512
表1から明らかなように、 ブロック共重合体(D)とブロック共重合体(F)との混合物であるゴム系樹脂成分(A)を含む粘着剤からなる粘着剤層が積層された実施例の表面保護フィルムでは、初期粘着力、初期剥離力、経時粘着力、および保持力に優れていることがわかる。

Claims (2)

  1. ゴム系樹脂成分(A)と粘着付与樹脂とを含む粘着剤からなる粘着剤層がポリオレフィン系基材に積層されている表面保護フィルムであって、
    前記ゴム系樹脂成分(A)が、スチレン系重合体ブロック(B)およびイソブチレン系重合体ブロック(C)からなるブロック共重合体(D)と、スチレン系重合体ブロック(B)および共役ジエン系重合体ブロックまたはその水添物(E)からなるブロック共重合体(F)との混合物であることを特徴とする、表面保護フィルム。
  2. 前記ゴム系樹脂成分(A)が、前記ブロック共重合体(D)60〜97重量%と、前記ブロック共重合体(F)40〜3重量%との割合でブロック共重合体(D)及び(F)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面保護フィルム。
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