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JP2007270022A - 表面保護フィルム - Google Patents

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JP2007270022A
JP2007270022A JP2006099089A JP2006099089A JP2007270022A JP 2007270022 A JP2007270022 A JP 2007270022A JP 2006099089 A JP2006099089 A JP 2006099089A JP 2006099089 A JP2006099089 A JP 2006099089A JP 2007270022 A JP2007270022 A JP 2007270022A
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Katsunori Toyoshima
克典 豊嶋
Hajime Nosetani
元 野世渓
Yoshio Shimoura
由雄 下浦
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】初期粘着力が十分であり、経時による粘着力の変動が生じ難いだけでなく、被着体からの剥離が容易であり、かつ表面が荒れた塗装鋼板などの被着体に貼付された場合であって貼付後に高温下にさらされた場合にも糊残りが生じ難い、表面保護フィルムを得る。
【解決手段】ゴム系樹脂成分と、粘着付与樹脂と、オレフィン系オリゴマーとを含む粘着剤組成物からなる粘着剤層がポリオレフィン系基材に積層されている、表面保護フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、被着体表面への塵埃の付着や被着体表面の傷つきを防止するのに用いられる表面保護フィルムに関し、より詳細には、ポリオレフィン系基材に粘着剤層が積層されている表面保護フィルムに関する。
物品や部材を保護するために、物品や部材の表面に表面保護フィルムが仮着されることがある。表面保護フィルムは、例えば、合成樹脂板、金属板、化粧合板、塗装鋼板、塗装樹脂板または各種銘板などの様々な被着体において、加工時及び運搬時にこれらの表面への汚れの付着や表面の傷つきを防止するのに用いられている。中でも、塗装鋼板や塗装樹脂板を保護するために表面保護フィルムが多用されている。
この種の表面保護フィルムは、フィルム基材に粘着剤層が積層された構造を有する。フィルム基材には、一般に、熱可塑性樹脂からなるフィルムが用いられている。
表面保護フィルムは、その粘着剤層の粘着力を利用して被着体表面に貼付され、被着体表面を保護する。表面保護フィルムは、被着体が使用される際に被着体表面から剥離される。従って、表面保護フィルムには、被着体表面に容易に仮着し得る適切な粘着性を有することが求められており、かつ被着体に貼付された後に、被着体表面から容易に剥離し得る良好な剥離性を有することが求められている。さらに、被着体から表面保護フィルムが剥離された後に、糊残り等によって被着体表面が汚染されないことも強く求められている。
特に、塗装鋼板などの塗膜の表面の保護に用いられる表面保護フィルムは、一般に手貼りにより塗膜表面に仮着され、使用される際に塗膜表面から剥離される。従って、この表面保護フィルムには、1)初期粘着力が十分であること、2)粘着力の経時安定性が良好であり、経時により接着力が変動し難いこと、3)被着体からの剥離が容易であり、かつ剥離後の被着体に糊残りが生じないことが求められている。
下記の特許文献1には、基材の表面に粘着剤層が積層されており、該粘着剤層としてポリイソブチレンを用いた表面保護フィルムが開示されている。ここでは、ポリイソブチレンを粘着剤層に用いることにより表面保護フィルムの性能を高め得ることが示されている。
他方、下記特許文献2には、本質的にスチレン系エラストマーとロジンエステル系樹脂の粘着付与樹脂からなる粘着剤組成物が開示されている。この粘着剤組成物からなる表面保護フィルムは、上記1)、2)、3)に記載の要求性能に優れているとされている。
特開平6−73352号公報 特開2001−234149号公報
しかしながら、特許文献1に記載の表面保護フィルムでは、粘着剤層の耐熱性が十分に高くない。すなわち、塗装鋼板に上記表面保護フィルムを貼付後に、70℃以上の高温下にさらされ、その後剥離されると、塗装鋼板の被貼付領域の外周縁部に粘着剤が残ることがあった。すなわち、上記3)の糊残りの問題は解決されないことがあった。
他方、特許文献2の粘着剤組成物は、表面が平滑な塗装鋼板に用いられた場合には、表面保護フィルムとして必要な機能を発現するが、表面が荒れている塗装鋼板に用いられると、高温下で剥離した際に粘着剤層が凝集破壊して糊残りすることがあった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、初期粘着力が十分であり、経時による粘着力の変動が生じ難いだけでなく、被着体からの剥離が容易であり、かつ表面が荒れた塗装鋼板などの被着体に貼付された場合であって貼付後に高温下にさらされた場合にも糊残りが生じ難い表面保護フィルムを提供することにある。
本発明によれば、ゴム系樹脂成分と粘着付与樹脂とオレフィン系オリゴマーとを含む粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ポリオレフィン系基材に積層されている表面保護フィルムが提供される。
本発明に係る表面保護フィルムでは、好ましくは、前記粘着剤組成物において、ゴム系樹脂成分100重量部に対し、オレフィン系オリゴマーの添加量が10重量部以下とされる。
本発明に係る表面保護フィルムでは、好ましくは、上記オレフィン系重合体ブロック(B)としてポリイソブチレンが用いられる。
本発明に係る表面保護フィルムでは、好ましくは、上記オレフィン系オリゴマーとして、プロピレン系オリゴマーが用いられる。
本発明に係る表面保護フィルムでは、ゴム系樹脂成分及び粘着付与樹脂にオレフィン系オリゴマーが配合されていることにより、粘着剤の凝集力が高められ、例えば表面が荒れた塗装鋼板等の被着体に貼付された後に高温下にさらされ、高温下で剥離されたとしても、剥離後に糊残りが生じ難い。
ゴム系樹脂成分が、スチレン系重合体ブロック(A)とオレフィン系重合体ブロック(B)とのブロック共重合体、スチレン系重合体ブロック(A)とスチレン及びオレフィン成分のランダム共重合体ブロック(B´)とのブロック共重合体、および/又はこれらの水添物を主骨格とするスチレン系エラストマーからなる場合には、被着体に対する初期粘着力及び粘着力の経時による安定性を高めることができる。
さらに、上記オレフィン系重合体ブロック(B)がポリイソブチレンである場合には、被着体からの剥離作業性において一層優れた表面保護フィルムとすることができる。
一方、オレフィン系オリゴマーがプロピレン系オリゴマーの場合には、特にゴム系樹脂成分におけるオレフィン系重合体ブロック(B)がポリイソブチレンであり、基材が自動車塗膜保護用に多用されるポリプロピレン系樹脂からなる場合において、基材層と粘着剤層との界面接着力が十分に高められる結果、高温下で剥離された際の基材−粘着剤層間アンカー破壊による糊残り現象が効果的に防止できる。
従って、本発明の表面保護フィルムが例えば合成樹脂板、金属板、化粧合板、塗装鋼板、塗装樹脂板または各種銘板などの被着体、特に、塗装鋼板や塗装樹脂板の表面保護に用いられた場合に、加工時及び運搬時に、これら被着体表面に汚れが付着したり、被着体表面が傷つくのを効果的に抑制することができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本願発明者らは、ゴム系樹脂成分と粘着付与樹脂とを含む粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ポリオレフィン系基材に積層されている表面保護フィルムについて鋭意検討した結果、粘着剤層にオレフィン系オリゴマーを添加することにより、上記課題を達成し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
本発明に係る表面保護フィルムでは、ゴム系樹脂成分と、粘着付与樹脂と、オレフィン系オリゴマーとを含む粘着剤組成物からなる粘着剤層がポリオレフィン系基材に積層されている。
上記ゴム系樹脂成分としては、特に限定されないが、スチレン系重合体ブロック(A)とオレフィン系重合体ブロック(B)とのブロック共重合体、スチレン系重合体ブロック(A)とスチレン及びオレフィン成分のランダム共重合体ブロック(B´)とのブロック共重合体、および/又はこれらの水添物を主骨格とするスチレン系エラストマーが好適に用いられる。上記スチレン系エラストマーは、より具体的には下記の(1)、(2)または(3)のスチレン系エラストマーである。
(1)スチレン系重合体ブロック(A)とオレフィン系重合体ブロック(B)とのブロック共重合体を主骨格とするスチレン系エラストマー。ここで、オレフィン系重合体ブロック(B)としては、より具体的には、共役ジエン重合体ブロック、イソブチレン重合体ブロックなどが挙げられる。このスチレン系エラストマーとしては、(A)−(B)ブロック共重合体を主骨格とする限り、特に限定されず、例えばA−B、A−B−A、(A−B)または(A−B)Xなどで表わされる共重合体が挙げられる。なお、nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤による残基である。
(2)スチレン系重合体ブロック(A)とスチレン及び共役ジエンやイソブチレンなどのオレフィン成分のランダム共重合体ブロック(B´)とのブロック共重合体を主骨格とするスチレン系エラストマー。このようなスチレン系エラストマーとしては、下記の(2−1)〜(2−4)が挙げられる。
(2−1)ブロック(A)とブロック(B´)とが結合したもの:A−B´ブロック共重合体
(2−2)スチレンと共役ジエンやイソブチレンの内スチレンが漸増するテーパーブロック(C)を含むもの:A−B´−Cブロック共重合体
(2−3)上記テーパーブロック(C)に代えてスチレン系重合体ブロック(A)を含むもの:A−B´−Aブロック共重合体
(2−4)(2−1)〜(2−3)の繰り返しやこれらが任意の割合で結合したもの:(A−B´)、(A−B´)X、(A−B´−C)X、(A−B´−A)Xなど。
なお、nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤による残基である。
(3)上記(1)または(2)の水添物を主骨格とするスチレン系エラストマー。
スチレン系エラストマーのオレフィン系重合体ブロック(B)やランダム共重合体ブロック(B´)を構成するのに用いられオレフィン成分としては、イソブチレン、エチレン、ブチレンなどが挙げられるが、好ましくはイソブチレンが用いられる。
上記オレフィン系重合体ブロック(B)は、好ましくはポリイソブチレンである。
上記(2)のスチレン系エラストマーあるいは(2)の水添物を主骨格とする(3)スチレン系エラストマーにおいては、スチレンと、オレフィン成分である共役ジエン又はイソブチレンとの構成成分の含有割合は、重量比で5:95〜60:40の範囲が好ましい。スチレンの含有割合が少なすぎると、粘着剤層の凝集力が低下し、表面保護フィルムを剥離する際に被着体に糊残りが生じるおそれがあり、多すぎると、粘着力が不足し、被着体への貼付が困難となることがある。より好ましくは、スチレンと、上記共役ジエンまたはイソブチレンとの含有割合は、重量比で、7:93〜40:60の範囲である。
上記(2)のスチレン系エラストマー及びその水添物を主骨格とする(3)のスチレン系エラストマーにおいて、ブロック(C)を含む構成では、スチレン系エラストマーを構成している全モノマー構成中のブロック(A)におけるスチレン含有量とブロック(C)におけるスチレン含有量との合計である全モノマー中のスチレン含有割合の合計は3〜50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜40重量%の範囲、さらに好ましくは5〜25重量%の範囲である。ブロック(A)及びブロック(C)のスチレンの合計の含有割合が全モノマー中3重量%未満では、粘着剤層の凝集力が低下し、表面保護フィルムを剥離した際に被着体に糊残りが生じることがあり、50重量%を超えると、粘着剤層の粘着力が不足し、被着体への貼付が困難なことがある。スチレン系エラストマーを構成している全モノマー構成中のブロック(A)におけるスチレン含有割合は、3重量%以上が好ましく、より好ましくは3〜20重量%である。
本発明のゴム系樹脂におけるオレフィン成分由来の不飽和二重結合は、耐熱性や耐候性といった観点から少ないほど望ましく、必要に応じて水素添加されていることが好ましい。この意味においては、付加重合後に不飽和結合が残存しないイソブチレンをオレフィン成分とするゴム系樹脂が最も好ましい。
上記(1),(2)のスチレン系エラストマーの水添物を主骨格とする(3)のスチレン系エラストマーにおいて、オレフィン系重合体ブロック(B)である共役ジエン重合体ブロック中、またはスチレンと、オレフィン成分である共役ジエンとのランダム共重合体ブロック(B´)中の共役ジエン部分の二重結合の少なくとも80%が、水素添加により飽和されていることが好ましい。より好ましい水素添加の割合は90%以上、さらに好ましくは95〜100%である。水素添加の割合が80%未満では、耐熱性や耐候性に劣ることがある。
スチレン系エラストマーのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は、30000〜400000の範囲が好ましく、より好ましくは50000〜200000の範囲である。重量平均分子量が30000未満では、粘着剤層の凝集力が低下するため、表面保護フィルムを剥離する際に被着体に糊残りが生じることがある。重量平均分子量が400000を超えると、粘着力が不足するとともに、粘着剤組成物の調製や表面保護フィルム製造時に、溶液粘度や溶融粘度の増大といった支障が生じることがある。
上記スチレン系エラストマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、本発明においては、ゴム系樹脂成分として上記スチレン系エラストマーの他に、ポリイソブチレン、ブチルゴムなどを用いてもよい。
本発明では、粘着剤層を構成する粘着剤組成物に、上記ゴム系樹脂成分に加えて、粘着付与樹脂がさらに配合されている。
上記粘着付与樹脂としては、特に限定されるものではないが、ゴム系樹脂成分に添加された際に、粘着剤層の剪断貯蔵弾性率が後述する範囲を満足するものが好ましく用いられる。このような粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、ひまし油、トール油、天然油、液状ポリイソブチレン樹脂等が挙げられる。具体的には、テルペン系樹脂としては、ヤスハラケミカル社製、商品名:クリアロン、パラフィン系プロセスオイルとしては、出光興産社製、商品名:ダイアナプロセスオイル、液状ポリイソブチレン樹脂としては、BASF社製、商品名:グリソパールなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記粘着付与樹脂は、ゴム系樹脂成分100重量部に対し、5〜70重量部の範囲で配合されることが好ましく、より好ましくは20〜50重量部である。粘着付与樹脂が5重量部未満では、剪断貯蔵弾性率が高くなりすぎることがあり、さらに被着体に対する粘着力が不足することがある。粘着付与樹脂が70重量部を超えると、粘着剤層の凝集力が不足し、表面保護フィルムを仮着した後に被着体から剥離し難いことがあり、また剥離した後に被着体に糊残りが生じるおそれがある。
本発明では、粘着剤層を構成する粘着剤組成物に、上記ゴム系樹脂成分、粘着付与樹脂に加えて、オレフィン系オリゴマーがさらに配合されている。
上記オレフィン系オリゴマーとしては、エチレン系オリゴマー、プロピレン系オリゴマーが挙げられる。ここで言うオリゴマーとはGPCにより求めたポリスチレン換算の数平均分子量が1万程度以下のものを言う。
例えば、エチレン系オリゴマーとしては、エチレンのホモオリゴマー、エチレン−アクリル酸オリゴマー、エチレン−酢酸ビニルオリゴマー、エチレン−無水マレイン酸オリゴマー等が挙げられる。具体的には、エチレンのホモオリゴマーとしては、Honeywell社製、製品名:A−C6,6A、三井化学社製、製品名:エクセレックス、三洋化成社製、製品名:サンワックス、クラリアント社製、商品名:リコセン PE、エチレン−アクリル酸オリゴマーとしては、Honeywell社製、製品名:A−C540、エチレン−酢酸ビニルオリゴマーとしては、Honeywell社製、製品名:A−C400、エチレン−無水マレイン酸オリゴマーとしては、Honeywell社製、製品名:A−C573Aが挙げられる。
プロピレン系オリゴマーとしては、プロピレンのホモオリゴマー、プロピレン−エチレンのオリゴマー、プロピレン−無水マレイン酸のオリゴマーが挙げられる。プロピレンのホモオリゴマーとしては、三洋化成社製、商品名:ビスコール、クラリアント社製、商品名:リコセン PP6102,6050M、プロピレン−エチレンのオリゴマーとしては、クラリアント社製、商品名:リコセン PP4202,1302,1502,1602、プロピレン−無水マレイン酸のオリゴマーとしては、クラリアント社製、商品名:リコモントが挙げられる。
上記オレフィン系オリゴマーは、ゴム系樹脂成分100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲で配合されることが好ましく、より好ましくは1〜6重量部である。オレフィンオリゴマーの配合割合が0.1重量部未満では、オレフィン系オリゴマーの添加効果が小さいために被着体への糊残り信頼性が十分に得られないおそれがある。オレフィン系オリゴマーの配合割合が10重量部を超えると、ゴム系樹脂との相溶性が悪くなり、被着体に対する粘着力の経時安定性が悪くなることがある。
また、本発明で使用するオレフィン系オリゴマーは、添加されるゴム系樹脂に相溶することが好ましい。オレフィン系オリゴマーとゴム系樹脂との相溶性を制御することにより、粘着力の経時安定性や、経時でも優れた糊残り安定性を発現することができる。
ゴム系樹脂とオレフィン系オリゴマーとの相溶性は、以下の方法により評価する。
ゴム系樹脂100重量部にオレフィン系オリゴマー5重量部を溶融ブレンドし、厚み1mmのプレスシートを作製する。このプレスシートを用いて、JIS K 7105に準じて光路長10mmのセルを使用し、流動パラフィン中でヘイズを測定する。ヘイズが20%以下である場合に相溶性を有するものとし、ヘイズが20%を超える場合に相溶性を有しないものとする。
またポリオレフィン系基材としてのオレフィン系樹脂は上記オレフィン系オリゴマーと良好に相溶するものを選択することが好ましい。この場合には、ゴム系樹脂に相溶するオレフィン系オリゴマーを添加することにより、基材と粘着剤層との界面接着力も高められる。
相溶性に優れるオレフィン系樹脂とオレフィン系オリゴマーの組み合わせとしては、
プロピレン系ポリマー(ホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー)とプロピレン系オリゴマー、プロピレン系ポリマー(ブロックコポリマー、ランダムコポリマー)とエチレン系オリゴマー、エチレン系ポリマーとエチレン系オリゴマー等が挙げられる。
ゴム系樹脂成分及び粘着付与樹脂にオレフィン系オリゴマーをブレンドすると、添加前に比べて高温時(70℃)の粘着剤の弾性率が向上し、粘着剤の凝集力が向上する。また、基材との相溶性及び粘着剤との相溶性に優れるオレフィン系オリゴマーを選択することにより、基材と粘着剤層との界面接着力を高めることができる。特に、自動車用の塗膜保護用途に多用されるポリプロピレン系基材に対して、プロピレン系オリゴマーを配合して得られる粘着剤層を適用すると少量でもその効果が一層顕著なものとなる。
従って、オレフィン系オリゴマーを添加することにより、a)高温時での粘着剤の凝集力向上、及びb)基材と粘着剤層との界面接着力の向上により、高温下での剥離時の糊残りが生じ難くなる。
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、3〜50μmの範囲が望ましい。粘着剤層の厚みが3μm未満であると、粘着力が不足することがあり、50μmを超えても利点がなく、経済的にも不利となる。
本発明に係る表面保護フィルムでは、必要に応じて、粘着性能を阻害しない範囲で、粘着剤層に紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着昂進防止剤などが添加されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の通常使用されるものが挙げられる。上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系(モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系)、硫黄系、リン系等の通常使用されるものが挙げられる。上記接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。
本発明に係る表面保護フィルムでは、上述のようにして構成された粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ポリオレフィン系基材に積層された構造を有する。好ましくは、ポリオレフィン系基材の片面に、粘着剤層が積層された構造を有する。
上記ポリオレフィン系基材を構成するポリオレフィンについては特に限定されず、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンやポリオレフィンにオレフィン系エラストマーを混合したものなどを用いることができる。
もっとも、本発明の表面保護フィルムが自動車の塗膜保護用途に用いられる場合は、大面積に適用するための良好な作業性や、屋外で保管されることを前提として、耐候性や耐熱性に優れる基材とすることが要求される。
即ち、このような要求を満たす基材としては、無機充填剤を配合したオレフィン系ポリマーからなるフィルムが好ましく用いられる。そのオレフィン系ポリマーとしては、例えばホモポリマーやブロックコポリマー、ランダムコポリマー等からなるプロピレン系ポリマー、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等からなるエチレン系ポリマー、エチレン・プロピレン共重合体などが挙げられ、これらの1種又は2種以上のポリマーのブレンド物も用い得る。中でも、プロピレン系ポリマーが好ましく用いられる。
基材に配合する無機充填剤としては、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。無機充填剤は、1種又は2種以上を用いることができ、その配合量は適宜に決定し得るが、紫外線の遮断性、塗膜色の隠蔽力或いは製膜性等の観点から5〜20重量%程度の含有量とされる。中でも、酸化チタンが好適である。
また、基材には必要に応じて紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定化剤等の耐光剤や酸化防止剤等の公知の適宜な添加剤を配合することも好ましい。耐光剤や酸化防止剤の配合量は、要求される性能や経済的観点に応じて適宜決定されればよいが、一般には、0.1〜5重量%程度である。
上記ポリオレフィン系基材の厚みは、使用目的によっても異なるが、20〜100μmが好ましい。20μm以下では、被着体の保護性能を十分に発揮できなかったり、ハンドリング性に劣ることがあり、100μm以上では、腰が強過ぎて貼付け時の追従性が悪化したり、貼付け後の浮きや剥がれが発生しやすくなることがある。
本発明に係る表面保護フィルムでは、粘着剤層の周波数10Hzにおける剪断貯蔵弾性率は、23℃で5.0×10〜5.0×10Paの範囲とされる必要がある。剪断貯蔵弾性率がこの範囲以外の場合には、粘着力不足により輸送中に表面保護フィルムが被着体から自然に剥離したり、剥離時の作業性に劣ることがある。
本発明に係る表面保護フィルムでは、粘着剤層の10Hzにおける剪断貯蔵弾性率は、70℃で2.0×10Pa以上であることが好ましい。剪断貯蔵弾性率が70℃で2.0×10Pa未満であると、経時により粘着力が変動することがある。
表面保護フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着剤層を構成する粘着剤組成物と、ポリオレフィン系基材を構成する組成物とを共押出することにより積層一体化する方法、あるいは成膜されたポリオレフィン系基材上に粘着剤組成物をラミネートし、積層一体化する方法などが挙げられる。
ポリオレフィン系基材と粘着剤組成物とを共押出により積層一体化する方法としては、インフレーション法やTダイ法などの公知の方法が用いられ得る。粘着剤組成物をポリオレフィン系基材にラミネートする方法としては、粘着剤溶液を塗工する溶液塗工法、ドライラミネーション法、Tダイを用いた押出コーティング法などが用いられる。これらの中でも、品質を高めることができ、かつ経済的に製造し得るため、Tダイによる共押出法が好ましい。また、溶液塗工法が行われる場合には、基材層と粘着剤層との間の接合強度を高めるために、ポリオレフィン系基材に予めプライマー塗布などし、表面処理を施すことが好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げることにより本発明の効果を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(使用した材料)
〔ゴム系樹脂成分〕
SIBS(1);カネカ社製、品番:シブスター 073T、スチレンとイソブチレンのブロック共重合体(全モノマー中のスチレン含有割合30重量%)
SIBS(2);カネカ社製、品番:シブスター 072T、スチレンとイソブチレンのブロック共重合体(全モノマー中のスチレン含有割合20重量%)
SEBS(1);クレイトンポリマー社製、品番:クレイトンG1657、スチレンとエチレン・ブチレンとのブロック共重合体(全モノマー中のスチレン含有割合13重量%)
PIB;BASF社製、品番:オパノールB80、ポリイソブチレン樹脂
〔粘着付与樹脂〕
クリアロンLH;ヤスハラケミカル社製、常温液状テルペン系樹脂
〔オレフィン系オリゴマー〕
ビスコール660P;三洋化成社製、プロピレン系オリゴマー
エクセレックス30200BT;三井化学社製、エチレン系オリゴマー
(実施例1)
ゴム系樹脂成分であるスチレン系エラストマーとしてSIBS 073Tを100重量部、及び粘着付与樹脂としてクリアロンLHを20重量部、オレフィン系オリゴマーとしてビスコール660Pを5重量部含むゴム系粘着剤組成物を用意した。この粘着剤組成物からなるゴム系粘着剤層と、ポリプロピレン(サンアロマー社製ブロックポリプロピレン、品番:PB170A)からなる基材層とをTダイ法により共押出し、50μmの厚みのポリプロピレン基材上に10μmの厚みのゴム系粘着剤層が積層された表面保護フィルムを得た。
(実施例2〜7及び比較例1〜3)
使用したゴム系樹脂成分及び粘着付与樹脂の種類と配合割合とを下記の表1、2に示すように変更したことを除いては、実施例1と同様にして表面保護フィルムを得た。
(実施例及び比較例の評価)
得られた各表面保護フィルムにおけるゴム系粘着剤層の(1)剪断貯蔵弾性率を以下の要領で求めた。また、各表面保護フィルムの(2)糊残り評価、(3)初期粘着力、(4)初期剥離力および(5)経時粘着力の評価を以下の要領で行った。
(1)剪断貯蔵弾性率
ゴム系粘着剤層の剪断貯蔵弾性率を、動的粘弾性スペクトル測定装置(IT計測制御社製、品番:DVA200)により、周波数10Hz、昇温速度6℃/分で−50℃〜+150℃の範囲で測定し、23℃および70℃における剪断貯蔵弾性率を求めた。
(2)糊残り評価
表面保護フィルムをゴム系粘着剤層側から、室温23℃及び相対湿度65%の環境下で、塗装後の自動車用塗装鋼板(表面グロス80%)(鋼板A)と自動車用塗装鋼板の表面を紙やすり(#1200)により荒らした自動車用塗装鋼板(鋼板B)に、それぞれ2kgの圧着ゴムローラーを用いて、300mm/分の速度で貼り付け、その状態で30分間放置した。次に、70℃の恒温槽中に7日間放置した後に、70℃に加熱した状態で25mm幅における180度剥離強度を300mm/分の速度で行った。このときの塗膜上の糊残り性を下記のように評価した。
〔糊残りの評価基準〕
○:糊残り無
×:糊残り有
(3)初期粘着力
表面保護フィルムを粘着剤層側から、室温23℃及び相対湿度65%の環境下で、自動車用塗装鋼板(表面グロス80%)に、それぞれ2kgの圧着ゴムローラーを用いて、300mm/分の速度で貼り付けた。その状態で30分間放置した後、25mm幅における180度剥離強度を300mm/分の速度で測定した。このようにして測定された剥離強度を初期粘着力とした。
(4)初期剥離力
表面保護フィルムを粘着剤層側から、室温23℃及び相対湿度65%の環境下で、自動車用塗装鋼板(表面グロス80%)に、それぞれ2kgの圧着ゴムローラーを用いて、300mm/分の速度で貼り付けた。その状態で30分間放置した後、25mm幅における180度剥離強度を30m/分の速度で測定した。このようにして測定された剥離強度を初期剥離力とした。
(5)経時粘着力
表面保護フィルムを、上記(4)の初期剥離力測定の場合と同様にして自動車用塗装鋼板に貼り付けた。その状態で70℃のギアオーブン中に7日間放置した後、さらに室温23℃、65%RHで24時間経過後の25mm幅における180度剥離強度を300mm/分の速度で測定した。
結果を下記の表1、2に示す。
Figure 2007270022
Figure 2007270022

Claims (5)

  1. ゴム系樹脂成分と粘着付与樹脂とオレフィン系オリゴマーとを含む粘着剤組成物からなる粘着剤層が、ポリオレフィン系基材に積層されている表面保護フィルム。
  2. 前記粘着剤組成物において、ゴム系樹脂成分100重量部に対し、オレフィン系オリゴマーの添加量が10重量部以下である請求項1記載の表面保護フィルム。
  3. 前記ゴム系樹脂成分が、スチレン系重合体ブロック(A)とオレフィン系重合体ブロック(B)とのブロック共重合体、スチレン系重合体ブロック(A)とスチレンとオレフィンとのランダム共重合体ブロック(B´)とのブロック共重合体、および/又はこれらの水添物を主骨格とするスチレン系エラストマーである請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
  4. 前記オレフィン系重合体ブロック(B)がポリイソブチレンである請求項3に記載の表面保護フィルム。
  5. 前記オレフィン系オリゴマーがプロピレン系オリゴマーである請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
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