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JP2006516884A - リアノジン受容体の単離および使用 - Google Patents

リアノジン受容体の単離および使用 Download PDF

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JP2006516884A JP2004538401A JP2004538401A JP2006516884A JP 2006516884 A JP2006516884 A JP 2006516884A JP 2004538401 A JP2004538401 A JP 2004538401A JP 2004538401 A JP2004538401 A JP 2004538401A JP 2006516884 A JP2006516884 A JP 2006516884A
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Abstract

鱗翅目タバコガ(Heliothis virescens)、同翅目モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、トウモロコシウンカ(Peregrinus maidis)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を含む複数の昆虫ファミリーからリアノジン受容体ホモログをコードする遺伝子を特徴付けした。全長遺伝子を単離し、クローニングし、細菌細胞において増幅させた。昆虫細胞における発現により、組換えタンパク質が機能的カルシウム放出チャンネルに折り畳まれることが示された。遺伝子およびそれらの対応するポリペプチドは、他の有害生物のリアノジン受容体の単離、殺虫性活性化合物を同定するためのスクリーニングの開発、有害生物防除剤としての遺伝子のフラグメント、抗体産生のためのタンパク質のフラグメント、殺虫剤結合部位の構造の決定のためのタンパク質のフラグメントの使用、および受容体カルシウム放出機構に相互作用する他のメッセンジャーを介する細胞におけるカルシウム平衡を破壊する殺虫剤の同定を含むがそれらの限定されない多くの用途を有する。宿主細胞において組換えタンパク質を発現する毒性効果を克服するための方法について概説する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2002年9月23日に出願された米国仮出願第60/412,795号および2002年11月18日に出願された米国仮出願第60/427,324号の利益を主張し、その内容全体は参考として本明細書に援用される。
本発明は、リアノジン受容体の分野にあり、特に、リアノジン受容体活性を調整するのに有用な組換え構築物およびそのような活性を調整する化合物を評価するための方法に関する。
脊椎動物および無脊椎動物筋肉細胞のカルシウムホメオスタシスは、正常な細胞活動に必須である。それは、細胞の形質膜上のカルシウム選択的チャンネルを介して移動する細胞外供給源由来のカルシウム、および筋小胞体の膜に位置するカルシウム活性型カルシウム放出チャンネルによって制御される内部貯蔵におけるカルシウムの平衡を保つことに関与する複雑なプロセスである。筋小胞体からのカルシウムの放出は、筋組織における興奮収縮連関(非特許文献1)ならびにカルシウムシグナル伝達事象の開始および伝播に極めて重要な役割を果たす。
細胞内部に存在するカルシウム活性型カルシウム放出チャンネルは、受容体と天然の殺虫性リアノジン(Ryania speciosa由来のアルカロイド)とに相互作用があるため、リアノジン受容体(Ryr)と呼ばれる。リアノジン結合部位は、殺虫作用の潜在的標的としての昆虫のCa2+放出チャンネルの特性を理解するための取組みにおいて研究されている(非特許文献2)。しかし、主な作用機序としてリアノジン受容体に作用する合成殺虫剤は、最近まで、発見されていなかった。有害生物種に対して極めて強力な活性を有するアントラニルアミドの誘導体に基づく化学は、カルシウム放出をもたらし、従って、昆虫細胞のカルシウム平衡を破壊する様式でこの受容体を活性化する。この破壊の結果として認められる生物体の応答は、心筋、骨格筋および咽頭筋を含む筋収縮から弛緩しないことであり、活動が低下し、餌を取らなくなる。
昆虫では、受容体−イオンチャンネルの唯一の1つの形態が存在することが報告されている。昆虫組織における研究により、受容体が哺乳動物ホモログに類似の特性およびサイズを有することが示されている(非特許文献3)。リアノジン受容体については、現在、異なる調節に供され、異なる組織分布を有する3種のアイソタイプ(1、2、および3型)が認識されている哺乳動物において、最も研究されている。
リアノジン受容体をコードするDrosophila遺伝子の全長ゲノムDNA配列(非特許文献4)およびcDNA配列(非特許文献5)は公知であり、公的データベース(NCBI受託番号D17389)、他の無脊椎動物、例えば、Caenorhabditis elegans(NCBI受託番号D45899)およびタバコガ、鱗翅目有害生物(Heliothis virescens;非特許文献6)由来のリアノジン受容体のC末端の小さなセグメントから利用可能である。Drosophila由来の配列は、クローニングされ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現され、電導性技術を使用して受容体−イオンチャンネルが機能的であることが示された(非特許文献5)。
ペッサ(Pessah)ら、(1986)J Biol Chem 261:8643−8648 レンベルグ(Lehmberg)ら、(1994)Pesticide Biochem and Physiol 48:145−152 デンサー(Denser)ら、(1998)Pestic.Sci.54:345−352 タケシマ(Takeshima)ら(1994)FEBS Lett.,337:81−87 シュ(Xu)ら(2000)Biophys J.78:1270−1281 プエンテ(Puente)ら、(2000)Insect Biochem.Mol Biol.30:335−347
昆虫などの有害生物による穀物の破壊は、相当な経済的損害および生産性の重大な減少を生じる。例えば、鱗翅目有害生物種は、多様な穀物種に対して年間5億ドルの被害を生じる。同翅目有害生物ではさらに20億ドルかかる。最近、化学の2つの領域が鱗翅目有害生物の良好な駆除を示している。細胞内カルシウム変化および有害生物の生理学的応答の分析から、作用機序は、筋肉ならびに中枢神経系における内部カルシウム貯蔵の放出および終局的涸渇を介する正常な筋肉機能の破壊による。従って、多様なタイプの低分子量化学構造に対し、天然または組換え系のいずれかにおいてリアノジン受容体を発現する細胞の応答に基づいて、受容体およびそれと相互作用する潜在的な他の付随の成分は有害生物駆除の重要な標的であることが明らかである。
本発明は、配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、または146よりなる群から選択されるポリペプチドと比較する場合、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するリアノジン受容体をコードする核酸配列よりなる核酸配列を含んでなる単離されたヌクレオチドフラグメントに関する。
第2の実施態様では、本発明は、単離された核酸フラグメントに関し、ここで、核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、127、129、143、または145のヌクレオチド配列を含んでなる。
第3の実施態様では、本発明は、上記核酸フラグメント、およびその相補体に関し、ここで、フラグメントまたはその部分は、宿主細胞におけるリアノジン受容体活性の過剰発現、アンチセンス阻害、または共抑制の目的ための組換え構築物に有用である。
第4の実施態様では、本発明は、少なくとも1つの調節配列に操作可能に連結された上記核酸フラグメントもしくはその相補体またはそれらのいずれかの部分を含んでなる組換えDNA構築物に関する。また、ゲノムにそのような組換えDNA構築物を含んでなる真核または原核宿主細胞も興味深い。有用な宿主細胞には、大腸菌(E.coli)、酵母、Sf9、S2、アフリカツメガエル卵母細胞(Xenopus oocytes)、HEK−293およびCHO細胞が含まれるが、これらに限定されない。
第5の実施態様では、本発明は:
(a)配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、および146と他のイオンチャンネルおよび受容体ポリペプチド配列とを比較し;
(b)工程aにおいて得られる4もしくはそれ以上のアミノ酸の保存配列を同定し;
(c)工程bにおいて同定される保存配列に基づいて縮重オリゴマーを設計し;そして
(d)工程cの縮重オリゴマーを使用して、配列依存的プロトコルによって、リアノジン受容体活性を有するポリペプチドをコードする配列を単離する
ことを含んでなる、リアノジン受容体および関連ポリペプチドをコードする核酸フラグメントを単離するための方法に関する。
第6の実施態様では、本発明は、ポリペプチドのアミノ酸配列と配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、または146のアミノ酸配列とは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくは100%の同一性を有する、リアノジン受容体活性を有する単離されたポリペプチドに関する。当業者であれば、75%〜100%の任意の整数の同一性パーセントがリアノジン受容体様ポリペプチド配列を単離するのに有用であることを認識するであろう。
第7の実施態様では、本発明は、カルシウムホメオスタシスを調整する能力について、少なくとも1つの化合物を評価するための方法に関し、該方法は、以下の工程:
(a)上記の組換え構築物のいずれか1つで宿主細胞を形質転換し;
(b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主細胞を増殖させ、ここで、組換え構築物の発現はカルシウムホメオスタシスの変更を生じ;
(c)試験しようとする化合物で、工程(a)の形質転換された宿主細胞を処置し、そして
(d)カルシウム放出を変更する能力を有する化合物を選択するために、試験化合物による細胞内ホメオスタシスの変化を測定する
ことを含んでなる。
本方法において、該方法はリガンド結合アッセイであることができるが、これに限定されない。さらに、本方法は、そのような細胞から得られる形質転換された宿主細胞またはイオンチャンネルの機能的活性に対する化合物の効果を検出することによって、機能的活性を評価することに基づくことができる。
第8の実施態様では、本発明は、リアノジン受容体活性を調整する少なくとも1つの化合物を評価するための方法に関し、該方法は、以下の工程:
(a)少なくとも1つの化合物と上記の単離された核酸フラグメントのいずれか1つによりコードされるポリペプチドとを接触させ;そして
(b)前記ポリペプチドを化合物と接触させた後、(a)のポリペプチドのリアノジン受容体活性を評価する
ことを含んでなる。
本方法において、該方法はリガンド結合アッセイであることができるが、これに限定されない。さらに、本方法は有用であり得、ここで、ポリペプチドは1つを超える化合物と接触される。
本発明のさらなる実施態様は、配列番号63〜119のいずれかに記載の少なくとも2つのポリペプチド配列を含んでなる昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントであるが、但し、前記ポリペプチド配列が配列番号56、120〜126のいずれをも含まない。
さらに別の実施態様は:
a)少なくとも100アミノ酸を有する第1のポリペプチドをコードする単離された核酸配列を得て;
b)第1のポリペプチド配列と、配列番号63〜119よりなる群から選択される比較ポリペプチド配列とを比較して、第1のポリペプチドと比較ポリペプチドとの間で100%の配列同一性を有する領域を同定し、ここで、前記領域は比較ポリペプチドと同じ長さであり;そして
c)異なる比較ポリペプチド配列で工程(b)を反復し、ここで、前記異なる比較ポリペプチド配列は、100%の配列同一性を有する第2の領域が見出されるまで、配列番号63〜119よりなる群から選択され、ここで、前記第2の領域は異なる比較ポリペプチドと同じ長さである
ことを含んでなる、昆虫イオンチャンネルをコードする核酸配列を同定するための方法であり得る。該方法は、100〜6,000アミノ酸の長さを有する第1のポリペプチドの長さによってさらに特徴付けられ得る。
本発明のなおさらなる実施態様は:
a)毒性昆虫イオンチャンネル核酸に操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物で宿主を形質転換し、
ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された転写終止核酸フラグメント、および/またはインフレーム翻訳停止コドンを含んでなり、
さらにここで、転写終止核酸フラグメント、および/またはインフレーム翻訳停止コドンは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接され;そして
b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法であり得る。削除可能な配列は、lox部位などであるがこれに限定されない組換え酵素によって認識される任意の配列であってもよい。
本発明の関連実施態様は、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物自体を包含し得、ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された転写終止核酸フラグメント、および/または少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンを含んでなり、さらにここで、転写終止核酸フラグメント、および/または少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接される。削除可能な配列は、lox部位などであるがこれに限定されない組換え酵素によって認識される任意の配列であってもよい。
本発明の別の実施態様は、
a)毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え発現構築物で宿主を形質転換し、ここで、前記フラグメントはまた、前記フラグメントの発現を妨害するイントロンを含んでなり、そして
b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法であり得る。
さらに別の実施態様では、本発明は、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え発現構築物を包含し得、ここで、前記単離された核酸フラグメントはまた、毒性昆虫イオンチャンネルの発現を妨害するイントロンを含んでなる。
配列表の簡単な説明
本発明は、本出願の一部をなす下記の詳細な説明ならびに添付の図面および配列表によりさらに完全に理解することができる。
表1は、本明細書で記述されるポリペプチド、これらのポリペプチドの全部または実質的な部分を表すポリペプチドをコードする核酸フラグメントを含んでなるゲノムまたはcDNAクローンの呼称、および添付の配列表において使用される対応する識別名(identifier)(配列番号)を列挙する。配列の説明およびそれに付属された配列表は、米国特許法施行規則第1.821〜1.825条に示されるような、特許出願におけるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列の開示に適用される規則に従う。
Figure 2006516884
奇数番号の配列番号1、3、5、7、9、127、129、143、および145は、掲載された種由来のリアノジン受容体をコードする配列に対するポリヌクレオチド配列を表す。偶数番号の配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、および146は、対応する奇数番号のポリヌクレオチド配列から誘導される翻訳されたアミノ酸配列を表す。配列番号11〜55は、PCR増幅、ならびに配列決定、多様な昆虫供給源由来のリアノジン受容体の単離および特徴付け中の実験に使用したヌクレオチドプライマーである。未注釈蚊ゲノム配列(配列番号57)は、(本発明の著者らによって行われた分析によって)リアノジン受容体の一部をコードすると考えられる。配列番号56、58〜62および120〜126は、ジェンバンク(GenBank)データベースに存在するリアノジン受容体配列である。配列番号63〜119は、昆虫リアノジン受容体において保存されていると考えられるアミノ酸配列モチーフである。配列番号131〜142は、発現ベクターへのクローニングのためのリアノジン受容体コーディング領域の増幅に使用されるPCRプライマー配列およびオリゴヌクレオチドである(実施例7を参照のこと)。
配列表は、Nucleic Acids Res.13:3021−3030(1985)およびBiochemical Journal219(No.2):345−373(1984)(参考として本明細書に引用される)に記述されるIUPAC−IUBMB標準に従って規定される通り、ヌクレオチド配列文字の1文字記号およびアミノ酸の3文字記号を含有する。ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列データに使用される記号および形式は米国特許法施行規則第1.822条に示される規則に従う。
本明細書において使用される「単離された核酸フラグメント」は、一本鎖もしくは二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーであり、場合により、合成、非天然または改変されたヌクレオチド塩基を含有する。DNAのポリマーの形態の単離された核酸フラグメントは、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つ以上のセグメントから成り得る。ヌクレオチド(通常、5’一リン酸の形で見出される)については、次の一文字呼称で呼ばれる:(それぞれRNAまたはDNAに対する)アデニル酸またはデオキシアデニル酸は「A」、シチジル酸またはデオキシシチジル酸は「C」、グアニル酸またはデオキシグアニル酸は「G」、ウリジル酸は「U」、デオキシチミジル酸は「T」、プリンは「R」(AまたはG)、ピリミジンは「Y」(CまたはT)、GまたはTは「K」、AまたはCまたはTは「H」、イノシンは「I」、AまたはTは「W」、CまたはGは「S」、および任意のヌクレオチドは「N」。
用語「機能的に等価であるサブフラグメント」および「機能的等価サブフラグメント」は、本明細書において交換可能に使用される。これらの用語は、フラグメントまたはサブフラグメントが活性な酵素をコードするか否かにかかわらず、遺伝子発現を改変または所定の表現型を産生する能力が保持されている単離された核酸フラグメントの一部分または部分配列を指す。例えば、フラグメントまたはサブフラグメントは、所望する表現型を形質転換した植物内に産生するためのキメラ構築物の設計に使用することができる。キメラ構築物は、活性な酵素をコードするか否かにかかわらず、植物プロモーター配列に関係する適当な配向で、核酸フラグメントもしくはそのサブフラグメントを連結して共抑制(co−suppression)またはアンチセンス的に使用するために設計することができる。
用語「相同性」、「相同的」、「実質的に類似」、「〜より本質的になる」、および「実質的に対応」は、本明細書において交換可能に使用される。それらは、1個以上のヌクレオチド塩基の変化が、遺伝子発現を媒介または所定の表現型を産生するための核酸フラグメントの能力に影響を及ぼさない核酸フラグメントを指す。これらの用語はまた、得られた核酸フラグメントの機能的性質を、当初の改質されていないフラグメントと比較して、実質的に改変しない1個以上のヌクレオチドの欠失または挿入のような本発明の核酸フラグメントの改質をも指す。従って、本技術分野の熟練者であれば、本発明が、特定の例示配列以上のものも包含することを認めることが理解される。
さらに、熟練者は、本発明に包含される本質的に類似した核酸配列は、中程度のストリンジェント条件(例えば、1×SSC、0.1%SDS、60℃)下において、本明細書において例示する配列か、または本明細書に報告したヌクレオチド配列ならびに本発明の遺伝子およびプロモーターに機能的に等価なヌクレオチド配列の任意の部分にハイブリダイズする能力によっても規定されることを認める。ストリンジェンシー条件を調整して、遠い関係の生物体由来の相同配列などの中等度に類似のフラグメントから、近い関係の生物体由来の機能的酵素を複製する遺伝子などの、高度に類似のフラグメントまでをスクリーニングすることができる。ハイブリダイゼーション後の洗浄はストリンジェンシー条件を決定する。1組の好適な条件は、6×SSC、0.5%SDS、室温、15分間で開始し、次いで、2×SSC、0.5%SDS、45℃、30分間で反復し、次いで、0.2×SSC、0.5%SDS、50℃、30分間を2回反復する一連の洗浄を使用する。より好適な組のストリンジェントな条件は、より高い温度を使用し、ここで洗浄は、0.2×SSC、0.5%SDSによる最後の2回の30分間の洗浄の温度を60℃にまで上昇させたことを除いて、上記の洗浄と同一である。もう1つの好適な組の高度にストリンジェントな条件は、0.1×SSC、0.1%SDS、65℃で最後の2回の洗浄を使用する。
標的(内因性)mRNAと、標的mRNAに相同性を有する構築物におけるRNA領域との間の実質的な類似性の程度について、そのような配列は、少なくとも25ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド長、より好ましくは100ヌクレオチド長、さらに好ましくは200ヌクレオチド長、最も好ましくは300ヌクレオチド長であるべきであり、少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも85%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、最も好ましくは少なくとも95%同一であるべきである。
多くのレベルの配列同一性が、関連するポリペプチド配列を同定するのに有用であることが、当業者によって良好に理解されている。同一性パーセントの有用な例には、75%、80%、85%、90%、または95%、または75%〜100%の任意の整数の百分率がある。配列のアライメントおよびパーセント同一性の計算は、レーザージーン(LASERGENE)生物情報科学コンピュータ計算ソフトウェアパッケージ(DNAスター社(DNASTAR Inc.)、ウィスコンシン州、マディソン(Madison, WI))のメガライン(Megalign)プログラムを含むがそれに限定されない相同配列を検出するために設計された様々な比較方法を使用して決定してもよい。配列のマルチプルアライメントは、デフォルトのパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を用い、アライメントのクラスタル(Clustal)法(ヒギンス(Higgins)およびシャープ(Sharp)(1989)CABIOS.5:151−153)を使用して実施する。クラスタル(Clustal)法を使用するタンパク質配列のペアワイズアライメントおよびパーセント同一性の計算のためのデフォルトのパラメータは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONLAS SAVED=5である。核酸では、これらのパラメータは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4およびDIAGONLAS SAVED=4である。大きなタンパク質配列では、クラスタル(Clustal)Wプログラム(トンプソン(Thompson)ら(1994)Nuc Acids Res 22:4673−4680)を使用した。デフォルトのパラメータを使用した(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、DELAY DIVERGENT SEQ (%)=30、DNA TRANSITION WEIGHT=0.50、PROTEIN WEIGHT MATRIX:Gonnet 250、DNA WEIGHT MATRIX:IUB)。ペアワイズアライメントもまた、デフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.10、PROTEIN WEIGHT MATRIX:Gonnet Series、DNA WEIGHT MATRIX:IUB)を使用した。
「遺伝子」は、コーディング配列の前(5’非コーディング配列)および後(3’非コーディング配列)に調節配列を含む特定のタンパク質を発現する核酸フラグメントを指す。「生来の遺伝子」は、それ自体の調節配列と共に天然に見出されるような遺伝子を指す。「キメラ構築物」、「組換え構築物」、または「組換え発現構築物」は、天然では通常は一緒に見出されない核酸フラグメントの組み合わせを指す。従って、組換え構築物は、異なる起源に由来する調節配列およびコーディング配列、または同じ起源から由来するが、しかし、通常、天然に見出されるものとは異なる様式で配列される調節配列およびコーディング配列を含んでなり得る。「外来」遺伝子は、宿主生物体内に通常は見出されないが、しかし遺伝子導入により宿主生物体内に導入される遺伝子を指す。外来遺伝子は、非生来の生物体内に挿入された生来の遺伝子、またはキメラ構築物を含んでなることができる。「導入遺伝子」は、形質転換操作によりゲノム中に導入されている遺伝子である。
「コーディング配列」は特定のアミノ配列をコードするDNA配列を指す。「調節配列」は、コーディング配列の上流(5’非コーディング配列)、内、または下流(3’非コーディング配列)に位置し、転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または関連するコーディング配列の翻訳に影響するヌクレオチド配列を指す。調節配列として、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、およびポリアデニル化認識配列を挙げることができるが、これらに限定されない。用語「インフレーム翻訳終止コドン」は、RNA転写物の好適なリーディングフレーム内に存在するUAA、UAG、またはUGA停止コドンを指す。
「プロモーター」は、コーディング配列または機能的RNAの発現を制御することが可能なDNA配列を指す。プロモーター配列は、近接およびより遠位の上流エレメントからなり、後者のエレメントはしばしばエンハンサーと称される。従って、「エンハンサー」は、プロモーター活性を刺激することが可能でありかつプロモーターのレベルもしくは組織特異性を高めるように挿入されたプロモーターの先天的エレメントまたは異種エレメントであり得るDNA配列である。プロモーター配列はまた、遺伝子の転写される部分内、および/または転写される配列の下流に位置することができる。プロモーターはそれらの全体がそのまま生来の遺伝子に由来してもよく、または、天然に見出される異なるプロモーター由来の異なるエレメントから構成されてもよく、または合成DNAセグメントさえ含んでなることができる。当業者であれば、異なるプロモーターは、異なる組織もしくは細胞タイプにおいて、あるいは発生の異なる段階で、または異なる環境条件に応答して、遺伝子の発現を指令することができることを理解する。ほとんどの時点でのほとんどの細胞タイプにおいて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「構成的プロモーター」と称される。植物細胞において有用な多様なタイプの新規プロモーターが常に発見されており;多くの例をオカムロおよびゴールドベルグの総説(Okamuro and Goldberg(1989),Biochemistry of Plants15:1−82)中に見出すことができる。ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全には規定されていないため、一部分の変形を持つDNAフラグメントは、同一のプロモーター活性を有していることがあることもさらに認められている。用語「誘導性プロモーター」は、トランス作用因子によって活性化され得る通常、休止状態にあるプロモーターを指す。そのような因子の例として、タンパク質、化学物質、およびDNAの局所構造を変更する因子が挙げられるが、これらに限定されない。
「イントロン」は、タンパク質配列の一部分をコードしていない遺伝子中に介在する配列である。従って、この配列はRNA中に転写はされるが、しかし切り取られて翻訳されない。この用語はまた、切除されたRNA配列についても使用される。「エキソン」は、転写され、遺伝子に由来する成熟したメッセンジャーRNA中に見いだされるが、しかし必ずしも最終の遺伝子産物をコードする配列の一部である必要はない。
「翻訳リーダー配列」は、遺伝子のプロモーター配列とコーディング配列との間に配置されるDNA配列を指す。翻訳リーダー配列は、翻訳開始配列の上流の完全にプロセシングされたmRNA中に存在する。翻訳リーダー配列は、一次転写物のmRNAへのプロセシング、mRNAの安定性または翻訳効率に影響を及ぼすことができる。翻訳リーダー配列の例は記述されている(ターナー(Turner)およびフォスター(Foster)(1995)Molecular Biotechnology 3:225)。
「3’非コーディング配列」は、コーディング配列の下流に配置されるDNA配列を指し、かつ、ポリアデニル化認識配列、およびmRNAのプロセシングまたは遺伝子発現に影響を及ぼすことが可能な調節シグナルをコードする他の配列を含む。ポリアデニル化シグナルは通常、mRNA前駆体の3’端へのポリアデニル酸領域(tract)の付加に影響を及ぼすことを特徴とする。異なる3’非コーディング配列の使用がインゲルベルヒト(Ingelbrecht)ら(1989)Plant Cell1:671−680により例示されている。
「RNA転写物」はDNA配列のRNAポリメラーゼに触媒される転写から生じる産物を指す。RNA転写物がDNA配列の完全な相補的コピーである場合、それは一次転写物と称される。またはそれは一次転写物の転写後プロセシング由来のRNA配列であることができ、そして成熟RNAと称される。「メッセンジャーRNA(mRNA)」は、イントロンを含まずかつ細胞によりタンパク質に翻訳され得るRNAを指す。「cDNA」はmRNAテンプレートに相補的でありかつ酵素である逆転写酵素を使用してmRNAテンプレートから合成されるDNAを指す。cDNAは一本鎖であり得るかまたはDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いて二本鎖に転換することもできる。「センス−RNA」は、mRNAを含み、そして、細胞内またはインビトロでタンパク質に翻訳させることができるRNA転写物を指す。「アンチセンスRNA」は、標的の一次転写物もしくはmRNAの全部または一部に相補的でありかつ標的である単離された標的遺伝子の発現を阻止するRNA転写物を指す(米国特許第5,107,065号明細書)。アンチセンスRNAの相補性は、すなわち5’非コーディング配列、3’非コーディング配列、イントロンまたはコーディング配列での特異的な遺伝子転写物のいずれかの部分であることができる。「機能的RNA」は、アンチセンスRNA、リボザイムRNAまたは翻訳されなくてもよいが、しかし細胞の過程に対する影響をなお有し得る他のRNAを指す。用語「相補体」および「逆相補体」は、mRNA転写物について本明細書において交換可能に使用され、メッセージのアンチセンスRNAを規定することを意味する。
用語「内因性RNA」は、天然に存在するかまたは天然には存在しない(即ち、組換え手段、変異誘発などによって導入されている)かに係わらず、本発明の組換え構築物による組換え前の宿主のゲノムに存在する任意の核酸配列によってコードされる任意のRNAを指す。
用語「天然には存在しない」とは、天然において通常に見出されるものには一致しない人工物を意味する。
用語「操作可能に連結している」は、一方の機能が他方により調節されるような単一核酸フラグメント上の核酸配列の対合(association)を指す。例えば、プロモーターがコーディング配列の発現を調節することができる(即ち、コーディング配列がプロモーターの転写制御下にある)場合、プロモーターはコーディング配列に操作可能に連結している。コーディング配列はセンスまたはアンチセンスの配向で調節配列に操作可能に連結することができる。別の例では、本発明の相補RNA領域は、標的mRNAの5’側、もしくは標的mRNAの3’側、もしくは標的mRNA内に直接的かまたは間接的に操作可能に連結することができ、あるいは、第1の相補領域は、標的mRNAの5’側であり、その相補体は標的mRNAの3’側である。
用語「転写終止核酸フラグメント」は、RNAポリメラーゼに転写を停止させる核酸結合タンパク質によって認識される配列を含有するか、または二次構造を生じる核酸フラグメントを指す。
本明細書において使用される用語「発現」は、機能的最終産物の産生を指す。遺伝子の発現は、遺伝子の転写および前駆体または成熟タンパク質へのmRNAの翻訳に関与する。「アンチセンス阻害」は、標的タンパク質の発現を抑制することが可能であるアンチセンスRNA転写物の産生を指す。「共抑制」は、同一または実質的に類似する外来もしくは内因性遺伝子の発現を抑制することが可能であるセンスRNA転写物の産生を指す(米国特許第5,231,020号明細書)。
用語「削除可能な配列」、「削除部位」、または「削除配列」は交換可能に使用され、Creなどの組換え酵素によって認識されるLox配列などの任意の配列を指す。Creの活性は、組換えによって、より長いDNAフラグメントから2つのLox配列、およびLox配列間の他の任意の核酸を取り出す。当業者であれば理解できるように、実施例7に記載のCre/Loxに匹敵し得るいくらかの削除系を使用することができる。削除系の例としては、Cre/Lox(オデル(Odell)ら(1990)Mol Gen Genet 223:369−378);Flp/Frt(ライズニック(Lyznik)ら(1993)Nuc Acids Res 21:969−975);クロナーゼ(Clonase)TM/Att(インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM);Gin/Gix(マエサー(Maeser)およびカーマン(Kahmann)(1991)Mol Gen Genet 230:170−176);ならびにR/RS(オノウチ(Onouchi)ら(1991)Nuc Acids Res 19:6373−6378)が挙げられるが、これらに限定されない。
当業者であれば理解できるように、削除部位によって隣接されたいくらかのフラグメントを使用して、本明細書に記載のものに等価な宿主細胞における発現を除去またはダウンレギュレートすることができる。そのようなフラグメントの例として、転写ターミネーター、Ryrコーディング配列と共にフレーム内にある停止コドン、転写リプレッサーによって認識されるオペレーター、翻訳アテニュエーター、およびアンチセンスまたは共抑制構築物に相互作用する配列が挙げられるが、これらに限定されない。
当業者であれば理解できるように、停止フラグメントは、本明細書に記載のものに等価なRyr cDNAにおける異なる多くの位置に挿入することができる。適切な位置の例としては、遺伝子のプロモーターの上流、5’非翻訳リーダー、コーディング配列内、および3’非翻訳領域が挙げられるが、これらに限定されない。
当業者であれば認識できるように、リアノジン受容体遺伝子のコーディング領域内のイントロンの置き換えは、RNA転写物からのイントロンの取り出しをプロセスすることが不可能である宿主細胞における活性なリアノジン受容体の発現を減弱し得る。
「成熟」タンパク質は、転写後にプロセシングされたポリペプチド(即ち、一次翻訳産物中に存在するいかなるプレ−もしくはプロペプチドが除去されている)を指す。「前駆体」タンパク質は、mRNAの翻訳の一次産物(即ち、プレ−およびプロペプチドがなお存在する)を指す。プレ−およびプロペプチドは、限定されるものでないが細胞内局在化シグナルであってもよい。
「モチーフ」、「部分配列」または「セグメント」は、より長い配列の一部を含む核酸またはアミノ酸の保存配列の短い領域を指す。例えば、そのような保存された部分配列は機能に対し重要であり、リアノジン受容体の新規のホモログを同定するために使用することが可能であると予想される。エレメントのいくつかまたは全部は推定リアノジン受容体において見出すことができることが予想される。また、与えられた任意のモチーフにおける1または2個の保存されたアミノ酸は、リアノジン受容体において異なり得ることも予想される。
本明細書において使用される用語「相同配列」とは、整列させた場合、100%の同一性およびギャップを伴わない共線性を有する2つの配列を示すことを意味する。
「安定な形質転換」は、遺伝的に安定な遺伝を生じる核およびオルガネラゲノムの両方を含む宿主ゲノムへの核酸フラグメントの移入を指す。対照的に、「一過性形質転換」は、組込みもしくは安定な遺伝を伴わない遺伝子発現を生じる宿主生物体の核、またはDNA含有オルガネラへの核酸フラグメントの移入を指す。形質転換された核酸フラグメントを含有する宿主生物体は「トランスジェニック」生物体と称される。イネ、トウモロコシおよび他の単子葉植物の細胞形質転換の好適な方法は、粒子加速または「遺伝子銃」形質転換技術(クライン(Klein)ら、(1987)Nature(ロンドン(London))327:70−73;米国特許第4,945,050号明細書)、または導入遺伝子を含有する適切なTiプラスミドを使用するアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介法(イシダ(Ishida Y.)ら、1996,Nature Biotech.14:745−750)の使用である。本明細書において使用される用語「形質転換」は、安定な形質転換および一過性形質転換の両方を指す。
用語「宿主細胞」は、単離された核酸フラグメントが安定もしくは一過的に導入されている任意の細胞または生物体を指す。宿主細胞は、より大きな生物体、組織培養における個体、または遊離生体生物体の部分であってもよい。宿主細胞の例として、細菌、真菌、昆虫、植物、および動物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野で周知であり、かつ、サンブルックJ.(Sambrook,J.)、フリッシュE.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアティスT.(Maniatis,T.)Molecular Cloning:A Laboratory Manual;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press):コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、1989(以下「サンブルック(Sambrook)」)に、より詳細に記述される。
用語「組換え体」は、例えば、化学合成または遺伝子操作技術による核酸の単離されたセグメントの操作による配列の2つの異なる分離されたセグメントの人工的な組み合わせを指す。
「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」は、一連の反復サイクルからなる、大量の特定DNAセグメントの合成のための技術である(パーキン・エルマー・シータス・インスツルメンツ(Parkin Elmer Cetus Instruments)、コネチカット州ノーウォーク(Norwalk,CT))。代表的には、二本鎖DNAを加熱変性し、標的セグメントの3’境界に相補的な2つのプライマーを低温でアニーリングし、次いで中間的な温度で延伸する。これらの3段の連続工程の1組が1サイクルをなす。
ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)は、短期間でテンプレートの複製を反復することによって、DNAを100万倍に増幅するために使用される強力な技術である。(ムリス(Mullis)らCold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263〜273(1986);エールリッヒ(Erlich)ら、欧州特許出願第50,424号明細書;欧州特許出願第84,796号明細書;欧州特許出願第258,017号明細書;欧州特許出願第237,362号明細書;ムリス(Mullis)、欧州特許出願第201,184号明細書;ムリス(Mullis)ら、米国特許第4,683,202号明細書;エールリッヒ(Erlich)、米国特許第4,582,788号明細書;およびサイキ(Saiki)ら、米国特許第4,683,194号明細書)。プロセスは、DNA合成を用意するために、特異的にインビトロ合成されたオリゴヌクレオチドの組を利用する。プライマーの設計は、解析を所望するDNAの配列に依存する。該技術は、高温でテンプレートを融解し、テンプレート内の相補配列にプライマーをアニールさせ、次いで、DNAポリメラーゼでテンプレートを複製する多くのサイクル(通常20〜50)を介して行われる。
PCR反応の産物は、アガロースゲル中での分離、続いて臭化エチジウム染色およびUV透過による可視化によって分析される。あるいは、産物に標識を組み入れるために、放射性dNTPをPCRに添加することもできる。この場合、PCRの産物はゲルのX線フィルムへの暴露によって可視化される。放射性標識PCR産物のさらなる利点は、個々の増幅産物のレベルを定量することができることである。
用語「組換え構築物」、「発現構築物」および「組換え発現構築物」は、本明細書において交換可能に使用される。これらの用語は、当業者に周知の標準的方法論を使用して、細胞のゲノムに挿入することができる遺伝子材料の機能的単位を指す。そのような構築物はそれ自体であってもよく、またはベクターと組み合わせて使用してもよい。ベクターを使用する場合、ベクターの選択は、当業者に周知である宿主植物を形質転換するために使用する方法に依存する。例えば、プラスミドベクターを使用することができる。熟練者には本発明の単離された核酸フラグメントのいずれかを含む宿主細胞を首尾よく形質転換、選択および増殖させるために、ベクター上に存在すべき遺伝子エレメントは周知である。熟練者はまた、異なる独立した形質転換事象が、発現の異なるレベルおよびパターンとなり(ジョーンズ(Jones)ら、(1985)EMBO J.4:2411−2418;デ・アルメイダ(De Almeida)ら、(1989)Mol.Gen.Genetics218:78−86)、従って望ましい発現レベルおよびパターンを示す株を得るために多重事象をスクリーニングしなければならないことを認めるであろう。かかるスクリーニングは、DNAのサザン分析、mRNA発現のノーザン分析、タンパク質発現のウエスタン分析、または表現型分析により達成できる。
本明細書において使用する用語「リアノジン受容体」は、小胞体/筋小胞体に関連する内部カルシウム(CaまたはCa++)放出チャンネル−受容体を指す。これらのチャンネルは、カルシウムイオンに対する選択性を示すことが公知である一方、カリウムなどであるがこれに限定されない他のカチオンは、これらのチャンネルを介して透過することができる。用語「リアノジン受容体」、「イオンチャンネル受容体」、「イオンチャンネル」、および「リアノジン様受容体」は、本発明のイオンチャンネル膜タンパク質のファミリーを包含することを意味する。該用語は本明細書において交換可能に使用される。リアノジン受容体は、イオンチャンネルとして役立つために必ずしもリアノジン結合活性を必要としない。本発明において記載された特徴を有する機能的イオンチャンネルは、タンパク質配列のアミノ酸変化によりリアノジンまたは他の化合物の結合が変更され得る場合でさえも、特許請求の範囲に含まれる。リアノジン受容体による他の非リアノジン化合物の結合は、リアノジン受容体の同じ、または異なる領域で生じてもよい。
「毒性核酸フラグメント」、「毒性リアノジン受容体核酸フラグメント」、または「毒性昆虫イオンチャンネル」は、生物体に存在する場合、生物体の成長および/または生存を危うくする単離された核酸フラグメントあるいはそのサブフラグメントを指す。毒性は、単離された核酸フラグメント自体、単離された核酸フラグメントから転写されるRNAまたは単離された核酸フラグメントから誘導されるRNAから翻訳されるタンパク質によってであり得る。遺伝子によって生じる成長欠陥は、毒性を生じる遺伝子の部分を改変する単離された核酸フラグメントまたはそのサブフラグメント内の変異によって軽減することができる。この場合、成長の減損は全体的に緩和され得るが、成長の減損は単離された核酸フラグメントの改変によって緩和されたに過ぎないため、本来の遺伝子はなお毒性であると考えられる。
本発明は、配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、および146よりなる群から選択されるポリペプチドと比較する場合、少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有するリアノジン受容体をコードする核酸配列を含んでなる単離されたヌクレオチドフラグメントに関する。
好適な実施態様では、アミノ酸配列同一性は、少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは100%または80%〜100%の任意の整数の百分率であり得る。
リアノジンアルカロイドおよびアントラニルアミド殺虫剤によって調整されるリアノジン受容体をコードする単離された核酸フラグメントは、鱗翅目、タバコガ(Heliothis virescens、5つのアイソタイプ)および3種の同翅目昆虫、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、トウモロコシウンカ(Peregrinus maidis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から単離されている。これまで、タバコガ、鱗翅目有害生物種の由来のリアノジン受容体の全長核酸配列またはアミノ酸配列については知られておらず、これらの核酸配列のうち少なくとも2つの変異体が存在することも知られていなかった。ワタアブラムシ、トウモロコシウンカ、およびモモアカアブラムシ由来の同翅目の配列の例もまた、本発明の開示以前には知られていない。キイロショウジョウバエの配列は、Drosophilaリアノジン受容体をコードする先に開示されたすべての核酸配列とは異なる新規の変異体である。
実施例において以下に記載のように、PCRならびにそれらのDNAおよびアミノ酸配列を使用して、これらの有害生物種から核酸フラグメントを単離した。類似の作用機序を有する他の殺虫剤をスクリーニングするためのアッセイの開発のためのこれらの遺伝子の使用について説明する。殺虫剤アプリケーションのための単離された核酸フラグメント、そのサブフラグメントまたはこれらのフラグメントによってコードされるポリペプチドの使用についても開示する。
カルシウムホメオスタシスのモジュレーターの存在または非存在に応答する機能するリアノジン受容体を提供するために、単離された核酸フラグメントを細胞において発現させることができる。これは、内部カルシウム貯蔵の放出を活性化する、それらの放出または類似のリアノジンを遮断する、特定の濃度で開いた状態のイオンチャンネルを保持する、さらに高い濃度でチャンネルを遮断する化合物をスクリーニングするための基礎を提供し得る。
従って、別の実施態様では、本発明は、カルシウムホメオスタシスを調整する能力について、少なくとも1つの化合物を評価するための方法に関し、該方法は、以下の工程:
(a)本明細書に記載の組換え構築物で宿主細胞を形質転換し;
(b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主細胞を増殖させ、ここで、組換え構築物の発現はカルシウムホメオスタシスの変更を生じ;
(c)試験しようとする化合物で、工程(a)の形質転換された宿主細胞を処置し、そして
(d)カルシウム放出を変更する能力を有する化合物を選択するために、試験化合物による細胞内カルシウムホメオスタシスの変化を測定する
ことを含んでなる。
本明細書において使用する「調整」は、タンパク質の活性の機能の変更、この場合、カルシウムホメオスタシスの変更または上記のリアノジン受容体活性の変更を指す。
なおさらなる実施態様では、本発明は、リアノジン受容体活性を調整する少なくとも1つの化合物を評価するための方法に関し、該方法は、以下の工程:
(a)少なくとも1つの化合物と本発明の単離された核酸フラグメントによりコードされるポリペプチドとを接触させ;そして
(b)前記ポリペプチドを化合物と接触させた後、(a)のポリペプチドのリアノジン受容体活性を評価する
ことを含んでなる。
様々な種由来のリアノジン受容体は、サブユニットのホモテトラマーとして機能的であり、各サブユニットは約0.5MDaのサイズである。タンパク質のC末端の20%は、カルシウムイオンが内部カルシウム貯蔵から細胞質ゾル環境へ流動するチャンネルを構成する膜貫通領域を形成する(バート(Bhat)ら(1997)、Biophys J 73:1329−36)。膜の細胞質ゾル側に対するタンパク質の残りの80%は、多くの他のタンパク質および細胞の低分子量成分と相互作用する。これらの成分の効果は、チャンネルの「開いた」または「閉じた」状態、従って、カルシウムの放出および内部貯蔵に対する細胞質ゾルにおけるイオンの均衡に有利に働くことによって、カルシウムの流動を調整することである。
特に筋肉組織においてカルシウム均衡を妨害する効果は、収縮および弛緩、即ち、興奮収縮連関(ECC)に関与する正常なプロセスを破壊することである。例えば、ヒト心臓リアノジン2型受容体は、突然心停止症候群(マークス(Marks)ら(2000)Cell 101:365−76))および悪性の低体温症(トン(Tong)ら(1997)J Biol Chem 272:26322−26326)に関与している。
リアノジンが天然の昆虫駆除剤として使用されている一方、化合物の構造的複雑性のため肝心な商品化が妨げられている。リアノジン受容体複合体との相互作用を介して内部カルシウム貯蔵の放出を刺激する殺虫性活性を有する容易に合成された小さな化合物を同定することが所望され得る。
リアノジン受容体に相互作用することが見出されている他の小さな分子は、アントラニルアミド構造に基づく分子である。「GNアナログ」と称されるこれらの分子の例を図2に示し、それらの使用を実施例9および11に概説する。多くのタイプの化学および誘導体が、リアノジン受容体複合体の機能を変更するのに有用であり得ることが予想される。生物体に対する全体的効果はリアノジンの効果、つまり活動低下および麻痺に匹敵する一方、これらの他の分子は、カルシウム放出チャンネルを開放することによるリアノジンとは作用機序が異なる。このチャンネル活性化は、カルシウム貯蔵の涸渇をもたらすが、リアノジンは、サブコンダクタンス状態のチャンネルを欠如することによって作用する。これらの「GN」分子の結合部位もまた、リアノジンの結合部位とは異なることが見出されている。それにも係らず、図3および4に示されるような昆虫リアノジン受容体を発現する組換え細胞株においては、これらのリアノジン受容体を欠如するコントロール細胞とは異なり、カルシウム貯蔵を放出するこれらの分子の能力は、リアノジン受容体タンパク質自体が「GN」化学の結合部位であることをさらに支持する。
化合物のこの構造クラスの効果に基づけば、リアノジン受容体は新規の有害生物防除剤の発見に価値のある生化学的標的である。他の昆虫イオンチャンネル受容体と同様に、チャンネル受容体および従って細胞カルシウム均衡の機能的特性に影響を及ぼし得るタンパク質に対する潜在的に複数の結合部位が存在する。小さな分子結合部位に加えて、多数のタンパク質が両側上および小胞体膜(reticulum membrane)内の受容体に相互作用する(再検討のためのマクリル(Mackrill)(1999)Biochem.J.337:345−361を参照のこと)。これらの相互作用を妨害することが見出された化合物もまた、有害生物防除剤として有用であり得る。
無脊椎動物由来のRyr遺伝子は、すべての筋肉タイプおよびニューロンにおいて広範に発現されるため、化合物を活性化するための接近可能性が予想され得る。アントラニルアミドの作用機序の症候学は、昆虫、骨格、平滑および心臓のすべての筋細胞に対するこれらの化合物の直接効果に一致する。ゴキブリ神経細胞の蛍光画像化分析またはゴキブリの肢の筋肉を使用した結合研究は、ニューロンにおけるカルシウム流入、または肢筋肉調製物への結合と、昆虫有害説物スクリーニングにおけるこれらの化合物の活性との間に密接な相関関係があることを示す。
従って、筋ならびに神経細胞由来の組織調製物は、単離および結合研究のための昆虫受容体の供給源である。最も適切な細胞の選択は、例えば、調べられている化学の放射性標識類似体または市販されている放射性標識リアノジンの結合親和性を使用して、達成することができる。放射性リアノジンおよびGN類似体を使用する結合研究を実施例9に提示する。これは、受容体調製中の放射性標識類似体の運命、または類似体もしくは誘導体の特定の分光特徴をモニターすることを含み得るが、これらに限定されない多くの方法で決定し得る。調製物の量は、カルシウム特異的蛍光インジケーターを使用して検出されるカフェインなどの特異的受容体モジュレーターによって誘導されるカルシウム流動からの蛍光強度に基づいて評価することができる。細胞内カルシウムの変化をモニターするのに有用なインジケーターの例として、FURA−2、Fluo−3、およびFluo−4が挙げられるが、周知でありかつ有用な代替物であり得る他の化合物も存在する。あるいは、調製物は、結合する放射性標識リガンドの量から決定される組織の単位重量あたりの機能的受容体の量に基づいて評価することができる。
不運にも、組織サンプルは、目的のすべての有害生物から効果的なスクリーニングまたは分析に必要な量だけ得られるわけではない。従って、組換え材料による研究の重要な利点は、多くの細胞タイプおよび背景で、任意の遺伝子の単一の変異体を発現し、従って、プロモーターの選択に依存する相対的に制御された量で均質な実験調製物を産生させる能力である。さらなる利点は、種特異的受容体は、しばしば、独特な結合部位を有し、従って、発現のために遺伝子のどの供給源を選択するかという点について、組換え系が柔軟性を与えることである。これは、予め選択された多様な条件においてシステムの応答の比較分析の手段を提供する。
これらの供給源のいずれかから由来する十分な量の有害生物受容体は、同じ作用機序を有する他の合成化合物または天然のリガンドを同定するための有用性を有するアッセイの基礎を形成する。細胞内カルシウム濃度のモニタリングに基づくアッセイの場合、イオンチャンネルの活性化またはその遮断を生じるモジュレーターを同定することができる。結合アッセイを使用して、標識された類似体が結合する特異的部位もしくは類似体の結合を変更するアロステリック部位で受容体またはイオンチャンネルに相互作用するそれらのモジュレーターを同定することができる。
結合アッセイでは、一方のパートナー分子が固定化され、他方は何らかの様式で(例えば、酵素もしくは蛍光タグなどの非放射性標識を使用するかまたは放射性標識を使用することによって)標識され、溶液中遊離で添加される。分子相互作用を可能にするためのインキュベーション、および洗浄工程後、適切な検出系を使用して、結合したリガンドの量を測定する。次いで、有意な結合を示すリガンドは、タンパク質が過剰であることを確実にし、1組の既知濃度、典型的に10−2〜10−10Mの系列希釈のリガンドで実験を行うことによって、さらに研究することができる。
支持体材料上でエピトープまたは他のアフィニティータグを使用し、タグに対する適切な抗体または結合因子を該支持体に付着させて、タンパク質を固定化してもよい。例えば、特異的結合対のメンバーは、免疫または非免疫タイプであり得る。免疫特異的結合対は、抗原/抗体系またはハプテン/抗ハプテン系によって例示される。結合対の抗体メンバーは、ポリクローナルもしくはモノクローナルまたはそれらの免疫反応性フラグメントであるかに係わらず、当業者によく知られた従来の方法によって、産生させることができる。免疫反応性抗体フラグメントまたは免疫反応性フラグメントという用語は、抗体の結合領域を含有するフラグメントを意味する。そのようなフラグメントは、F部分を各フラグメント、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)フラグメントとして規定されるFab型フラグメントであってもよく、または無傷な抗体の重鎖成分を接続するジスルフィド結合の還元切断によって得られるいわゆる「半分子」であってもよい。特異的結合対の抗原メンバーが免疫原性でない、例えば、ハプテンである場合、それをキャリアタンパク質に共有結合させて免疫原性にすることができる。
非免疫結合対は、2つの成分が相互に対する天然の親和性を共有するが、抗体ではない系を含む。例示的な非免疫結合対には、ビオチン−アビジンまたはビオチン−ストレプトアビジン、葉酸−葉酸結合タンパク質、相補的核酸プローブなどがある。また、相互に共有結合を形成する非免疫結合対も含まれる。例示的共有結合には、マレイミドおよびハロアセチル誘導体などのスルフヒドリル反応基ならびにイソチオシアネート、スクシンイミジルエステル、スルホニルハロゲン化物などのアミン反応基ならびに3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)および3−(ジメチル−アミノ)安息香酸(DMAB)などのカプラー色素などが含まれる。
アッセイに使用される適切な支持体には、ポリスチレン、ポリプロピレン、置換ポリスチレンなどの合成ポリマー支持体が含まれるが、これらに限定されない。例えば、アミノ化またはカルボキシル化ポリスチレン;ポリアクリルアミド;ポリアミド;ポリビニルクロリドなど;ガラスビーズ;アガロース;ニトロセルロース;ナイロン;ポリビニリデンジフルオリド、表面修飾したナイロンなど。
親和性タグのさらなる1つの実施例は、強結合モジュレーターまたはエフェクターの類似体であり、エフェクターの結合部位を含んでなる受容体の残基に共有的に標識するために使用され得る光親和性標識である。小さな類似体は、光照射を使用してタンパク質を共有的に修飾し、親和性部分を活性化するように変更されているだけではなく、修飾されている受容体の領域のさらなる簡便な同定のために放射性標識を担持する。修飾された残基を担持する標識された受容体またはペプチドフラグメントのさらなる分析により、類似体結合部位を含んでなるタンパク質の領域を同定することができる。
受容体に直接的に対する作用を介するか、またはカルシウムシグナル伝達のプロセスに関与する付随タンパク質に対する作用を介する低分子量化合物および天然産物の同定のための機能アッセイが開発されている(マクリル(Mackrill)(1999)Biochem.J.337:345−361)。さらなる方法は、平面状脂質二重層の記録、ならびに画像化およびインサイチュカルシウム濃度変化の蛍光モニタリング(ブリランテス(Brillantes)ら(1994)Cell 77:513−523;マック(Mack)ら(1994)J Biol Chem 269:23236−23249;チェン(Chen)ら(1999)J Biol Chem 274:32603−32612;ロドニー(Rodney)ら(2001)Biochemistry 40:12430−12435)を含むが、これらに限定されない。
一旦、リアノジン受容体をコードする核酸フラグメントが最初に単離され、次いで適切なベクターにクローニングされたら、該リアノジン受容体をコードする核酸フラグメントを使用し得る多くの方法が存在する。そのような核酸フラグメントを単離するための方法には、生来のRyrタンパク質を発現することが公知である細胞からRNAを単離することが含まれるが、これらに限定されない。この場合、組織供給源は鱗翅目および同翅目有害生物由来である。他の有害生物には、無脊椎動物界および寄生病原体由来のすべての有害生物、例えば、動物の健康問題を引き起こす有害生物または考えられる家屋内有害生物が含まれるが、これらに限定されない。そのような有害生物の例として、ノミ、ダニ、ゴキブリ、蚊、線虫、マラリア原虫、ヒツジキンバエが挙げられるが、これらに限定されない。
オリゴヌクレオチドプライマーを設計および合成するのに十分なDNA配列が利用可能であり、次いで、当業者がこれらのプライマーを使用して、RT PCRによりDNAを作製する場合、RNAを使用し得る。従って、DNAの配列は、他の広範な無脊椎動物から受容体遺伝子を単離することが可能なプライマーを設計することを可能にするのに役立つ。プライマーを遺伝子の5’および3’より外側の領域から設計する場合、遺伝子の全体を作製することができる。あるいは、遺伝子は、遺伝子の内部領域のRT PCR後に単離された多くのサブフラグメントから組み立てることができる。この場合、遺伝子より外側の末端領域を獲得することは手間が掛かることがあり、5’−RACEまたはインバースPCRのような手順を用いる必要があり得る。RNAは全部のまたは、mRNAなどのいくつかの特定のタイプを富化するために分画された材料であり得る。RNAは、一般に、多くの方法で発現および増幅され、例えば、cDNAライブラリー、または1つを超えて存在する場合、すべてのバージョンの遺伝子を捕捉し得るライブラリー産生の変異体を作製し得る。
あるいは、本発明の単離された核酸フラグメントは完全な細胞、細胞溶解物、部分細胞成分から抽出し得、他の細胞材料から精製し得る。核材料の場合、核酸フラグメントは、ゲノム由来であり、従って、代替的配列アレンジメントおよび従って、機能的タンパク質の異なる変異体を提供する能力を付与し得る多くのイントロンを含有する可能性がある。この核酸フラグメントを使用して、BAC、コスミド、フォスミドまたはゲノムライブラリーの他のバージョンを作製し、遺伝子のエキソンおよびイントロンのすべての変異体が利用可能であることを確実にし得る。
生来の遺伝子、キメラまたは変異原性変異体またはそれらのサブフラグメントをコードする核酸フラグメントもまたは、多くの企業により付与される既知の配列を使用して化学的に合成し得る。
転写制御に対する特異的プロモーター、特定の細胞コンパートメントに対する標的化のため、あるいは翻訳後修飾かまたは受容体およびイオンチャンネルのカルシウムホメオスタシスにも直接的もしくは間接的に関与する膜、二次メッセンジャー、もしくは付随タンパク質との相互作用を改変するための前駆配列などのORF(オープンリーディングフレーム)の外側またはORFの内部の他の有用性のある配列についても考慮され得る。核酸フラグメントと受容体タンパク質、例えば、GFP、ルシフェラーゼをコードする他のORFとの融合は、細胞における遺伝子産物の位置決定を援助するか、または受容体の産生を援助するためのアプリケーションを有する。別の例では、β−ガラクトシダーゼを受容体と相互作用することが疑わしい異なるタンパク質と融合させることができる。次いで、アッセイ可能な受容体としてβ−ガラクトシダーゼ活性を使用して、受容体と融合タンパク質との間の相互作用を調べることができる。
生来の遺伝子または任意の変異体、キメラ、前駆体からインビボもしくはインビトロで転写されたRNAは、多くのアプリケーション、例えば、カルシウムホメオスタシスおよび細胞シグナル伝達におけるさらなる機能を研究するための成熟タンパク質、前駆体またはサブフラグメントを産生させるためのインビトロ翻訳に有用であり得る。インビトロで作製されるタンパク質のサブフラグメントは、抗体を産生させること(チェン(Chen)ら(1993)J Biol Chem 268:13414−21)またはリガンドまたは付随タンパク質結合部位を同定するための生化学的分析(キャラウェイ(Callaway)ら(1994)J Biol Chem 269:15876−84)に対する有用性を有し得る。
タンパク質の配列は、受容体の特定の変異体に特異的であるか、あるいは相同性のあるそれらの領域を使用して、多くの形態の受容体に一般に交差反応するかのいずれかである抗体を設計するのに役立つ。タンパク質配列のさらなる使用は、特定のプロテアーゼによる消化を受け易い領域を同定することである。タンパク質の結合分子を伴うかまたは伴わないサブフラグメントへの消化は、これらの分子が結合する部位をマップ化することを可能にし得る。小さな有機分子の受容体結合部位の性質について理解したことを使用して、異なる多くの計算モデリングアプローチに適用し、同じ部位を標的にし、他の所望される生物学的かつ環境毒性学的活性および属性を有することができる他の小さな分子を設計し得る。
任意の供給源から単離された受容体は、翻訳後修飾され、プロセシングを受け、タンパク質分解により切断されて、個別であるかまたはタンパク質の本体になお会合し、なお機能的であるサブフラグメントを形成する。ゲノムDNAは複数のエキソンおよびイントロンからなる可能性があるため、メッセンジャーRNAの1つおきにスプライシングされたバージョンにより、1つの遺伝子が異なる受容体−イオンチャンネルタイプを産生する可能性が存在する。これらの異なるサブタイプは、カルシウムホメオスタシスにおいて異なる機能的特性を有してもよい。
単離された核酸フラグメントまたはその変異体は、インフェクション目的のために、プラスミド、ウイルスまたはバイナリーベクターなどであるがそれらに限定されない任意の安定なベクターへクローニングしてもよい。単離された核酸フラグメントは、構成性であるかもしくは規定の条件に応答するかのいずれかである関連する細菌、酵母、植物、卵母細胞、昆虫、または哺乳動物細胞宿主において転写および翻訳を可能にする複数のプロモーター配列に結合され得る。組換え受容体を発現するそれらの細胞の選択は、カルシウム依存的蛍光の変化(詳細については実施例9を参照のこと)、またはイオンチャンネルコンダクタンスを介して決定されるリアノジン受容体機能の変動によって同定され得、これらは、スクリーニング目的のためか、またはカルシウムホメオスタシスおよびシグナル伝達に関与する成分のさらなる研究のために使用され得る。細胞はまた、さらなる生化学的研究のための機能的受容体の供給源であり得る。そのような研究から得られる結果としては、タンパク質の分画および精製、結合ドメインの特徴付けのためのサブフラグメント分析、キメラ受容体タンパク質を形成するための異なるリアノジン受容体由来の領域をコードするドメインの交換、変更されたイオンチャンネル活性を有するアイソタイプを単離するための受容体の変異誘発、変更されたリアノジンまたはGN結合を有するアイソタイプを単離するための受容体の変異誘発が挙げられるが、これらに限定されない。
別の態様では、本発明は、配列番号1、3、5、7、9、127、129、143、および145よりなる群から選択される単離されたヌクレオチドフラグメントに関する。また、この単離されたヌクレオチドフラグメントの相補体も興味深い。
さらなる別の態様では、本発明は、少なくとも1つの調節配列に操作可能に連結された上記の単離された核酸フラグメントもしくはその相補体またはそのようなフラグメントの部分もしくは相補体のいずれかを含んでなる組換えDNA構築物に関する。これらのDNA構築物は、形質転換された宿主細胞におけるリアノジン受容体活性の過剰発現、アンチセンス阻害、または共抑制の目的に有用である。
また、ゲノム中にそのようなキメラ構築物を含んでなる真核または原核宿主細胞も興味深い。有用な宿主細胞としては、大腸菌(E.coli)、酵母、Sf9、Sf21、S2、アフリカツメガエル卵母細胞(Xenopus oocytes)、HEK−293およびCHOが挙げられるが、これらに限定されない。
本ポリペプチドをコードするcDNAは、クローニングおよび形質転換の標準的方法を使用して、バキュロウイルス自体に導入してもよい(詳細について、実施例5を参照のこと)。Spodopterafrugiperda細胞株Sf9、Sf21、またはDrosophila S2細胞株は、トランスフェクション研究のために使用することができる。同時トランスフェクション実験由来の上清液体を使用して、組換えウイルスおよび/または発現されたタンパク質を単離してもよい(実施例5を参照のこと)。
上記の考察された手順に加えて、当業者は、高分子(例えば、DNA分子、プラスミドなど)の構築、操作および単離、組換え生物体の作製ならびにクローンのスクリーニングおよび単離のための特定の条件および手順について記載している標準的な供給源材料をよく知っている(例えば、サンブルック(Sambrook)ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー出版(Cold Spring Harbor Press)(1989);マリガ(Maliga)ら、Methods in Plant Molecular Biology、コールド・スプリング・ハーバー出版(Cold Spring Harbor Press)(1995);ビレン(Birren)ら、Genome Analysis:Detecting Genes,1、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor,New York)(1998);ビレン(Birren)ら、Genome Analysis:Analyzing DNA,2、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor,New York)(1998);Plant Molecular Biology:A Laboratory Manual、クラーク(Clark)編、ニューヨーク州スプリンガー(Springer,New York)(1997)を参照のこと)。
なおさらなる態様では、本発明は、
(a)配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、および146と他のイオンチャンネルおよび受容体ポリペプチド配列とを比較し;
(b)工程aにおいて得られる4もしくはそれ以上のアミノ酸の保存配列を同定し;
(c)工程bにおいて同定される保存配列に基づいて縮重オリゴマーを設計し;そして
(d)工程cの縮重オリゴマーを使用して、配列依存的プロトコルによって、リアノジン受容体活性を有するポリペプチドをコードする配列を単離する
ことを含んでなる、リアノジン受容体および関連ポリペプチドをコードする核酸フラグメントを単離するための方法に関する。
別の態様では、本発明は、リアノジン受容体活性を有する単離されたポリヌクレオチドに関し、ここで、配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、および146のアミノ酸配列は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%の同一性を有する。当業者であれば、75%〜100%の任意の整数の同一性パーセントがリアノジン受容体用ポリペプチド配列を同定するのに有用であることを認識するであろう。
別の実施態様では、本発明は、カルシウムホメオスタシスを調整する能力について、少なくとも1つの化合物を評価するための方法に関し、該方法は、以下の工程:
(a)上記の組換え構築物のいずれか1つか、または配列番号56〜62のいずれか1つを含有する任意の組換え構築物で宿主細胞を形質転換し;
(b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主細胞を増殖させ、ここで、組換え構築物の発現はカルシウムホメオスタシスの変更を生じ;
(c)試験しようとする化合物で、工程(a)の形質転換された宿主細胞を処置し、そして
(d)カルシウム放出を変更する能力を有する化合物を選択するために、試験化合物による細胞内カルシウムホメオスタシスの変化を測定する
ことを含んでなる。
本方法において、該方法はリガンド結合アッセイであることができるが、これに限定されない。さらに、本方法は、そのような細胞から得られる形質転換された宿主細胞またはイオンチャンネルの機能的活性に対する化合物の効果を検出することによって、機能的活性を評価することに基づくことができる。
さらなる実施態様では、本発明は、リアノジン受容体活性を調整する少なくとも1つの化合物を評価するための方法に関し、該方法は、以下の工程:
(a)少なくとも1つの化合物と上記の単離された核酸フラグメントのいずれか1つによりコードされるポリペプチドとを接触させ;そして
(b)前記ポリペプチドを化合物と接触させた後、(a)のポリペプチドのリアノジン受容体活性を評価する
ことを含んでなる。
本方法において、該方法はリガンド結合アッセイであることができるが、これに限定されない。さらに、本方法は有用であり得、ここで、ポリペプチドは1つを超える化合物と接触される。
昆虫特異的配列は、すべての昆虫配列の間で保存されているが、非昆虫配列の間には認められない相同的部分配列を見出すことによって、同定することができる。これらの配列の多くは、配列番号63〜119において見出すことができる。本明細書において提示する配列が特徴付けられるより以前は、キイロショウジョウバエの配列が利用可能な唯一の昆虫の配列であり、これは、動物リアノジン受容体配列に極めて低い(50%未満の)相同性を有したため、昆虫特異的配列は同定することができなかった。
本発明のさらなる実施態様は、配列番号63〜119のいずれかに記載の少なくとも2つのポリペプチド配列を含んでなる昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントであるが、但し、前記ポリペプチド配列が配列番号56、120〜126のいずれをも含まない。
さらに別の実施態様は:
a)少なくとも100アミノ酸を有する第1のポリペプチドをコードする単離された核酸配列を得て;
b)第1のポリペプチド配列と、配列番号63〜119よりなる群から選択される比較ポリペプチド配列とを比較して、第1のポリペプチドと比較ポリペプチドとの間で100%の配列同一性を有する領域を同定し、ここで、前記領域は比較ポリペプチドと同じ長さであり;そして
c)異なる比較ポリペプチド配列で工程(b)を反復し、ここで、前記異なる比較ポリペプチド配列は、100%の配列同一性を有する第2の領域が見出されるまで、配列番号63〜119よりなる群から選択され、ここで、前記第2の領域は異なる比較ポリペプチドと同じ長さである
ことを含んでなる、昆虫イオンチャンネルをコードする核酸配列を同定するための方法であり得る。該方法は、100〜6,000アミノ酸の長さを有する第1のポリペプチドの長さによってさらに特徴付けられ得る。
本発明のなおさらなる実施態様は:
a)毒性昆虫イオンチャンネル核酸に操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物で宿主を形質転換し、ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された転写終止核酸フラグメント、および/またはインフレーム翻訳停止コドンを含んでなり、
さらにここで、転写終止核酸フラグメント、および/またはインフレーム翻訳停止コドンは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接され;そして
b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法であり得る。削除可能な配列は、lox部位などであるがこれに限定されない組換え酵素によって認識される任意の配列であってもよい。
本発明の関連実施態様は、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物自体を包含し得、ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された転写終止核酸フラグメント、および/または少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンを含んでなり、さらにここで、転写終止核酸フラグメント、および/または少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接される。削除可能な配列は、lox部位などであるがこれに限定されない組換え酵素によって認識される任意の配列であってもよい。
本発明の別の実施態様は、
a)毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え発現構築物で宿主を形質転換し、ここで、前記フラグメントはまた、前記フラグメントの発現を妨害するイントロンを含んでなり、そして
b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法であり得る。
さらに別の実施態様では、本発明は、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え発現構築物を包含し得、ここで、前記単離された核酸フラグメントはまた、毒性昆虫イオンチャンネルの発現を妨害するイントロンを含んでなる。
本発明を以下の実施例でさらに規定するが、ここで、別の方法で述べない限り、部および百分率は重量によるものであり、また、度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい実施態様を示している一方で、例示的方法によってのみ示されることが理解されるべきである。当業者であれば、上記の考察およびこれらの実施例から本発明の不可欠の特徴を確かめることが可能であり、また、その技術思想および範囲から逸脱することなく、それを多様な用途および条件に適合させるように本発明の多様な変更および改変をなすことが可能である。従って、本明細書に示されかつ記載されている改変の他にも本発明の多様な改変が存在することは、先の記載から当業者には明らかであろう。そのような改変についても添付の請求の範囲内にあることが意図される。
本明細書に掲載した各参考文献の開示内容は、その全体が参考として本明細書に援用される。
実施例1
タバコガからのリアノジン受容体核酸フラグメントの単離
液体N2中で新鮮凍結し、冷却モーターにおいて粉体に粉砕した2gの4齢および5齢タバコガ幼虫から全RNAを抽出した。粉体を20mlのトリゾル(TriZOL)TMで、15秒間激しく振盪し、次いで、サンプルを30℃で3分間インキュベーションすることによって、抽出した。2mlのクロロホルムを添加し、振盪およびインキュベーション処置を反復した。サンプルを12,000gで10分間、8℃でスピンし、水相を新しいチューブに移した。5mlのイソプロピルアルコールおよび1.2M NaClを含有する5mlの0.8Mクエン酸ナトリウムを水性画分と混合し、室温で10分間後、サンプルに二度目の遠心分離を行った。ペレットを10mlの70%EtOHで洗浄し、懸濁液を7500gで5分間、再度遠心分離し、2mlの水に溶解する前に、得られたペレットを乾燥させた。オリゴTプライム化cDNA合成では、テンプレートとしてこの全RNA、および添付されているプロトコルに従って、インビトロゲン(Invitrogen)TMから購入したcDNA合成キットを使用した。
タバコガリアノジン受容体をコードする単離された核酸フラグメントを、PCRに基づくプロトコルを使用して、クローニングした(配列番号1)。コーディング領域の3’末端の最後の4056塩基のみが公的データベースから利用可能である。完全な転写物を獲得することは、可能な限り5’末端に近い転写物の領域に対するオリゴヌクレオチドプライマーを設計することを意味する。Drosophila melanogasterおよびCaenorhabditis elegans由来の受容体のDNA配列類似性の分析、ならびに他の哺乳動物種との比較から、この目的のために、以下の縮重プライマーを設計し、合成した:
A−F1:CCTGARGCNYTNAAYATGAT (配列番号11)
A−F2:GATCCTAARGTNYTNGAYGT (配列番号12)
A−F3:AAGTGGTAYTTYGARTTYGA (配列番号13)
A−R1:TCGAAYTCRAARTACCAYTTNCC (配列番号14)
A−R2:AATGGYTCRTANCCYTCYTG (配列番号15)。
「A」と称されるプライマーは、5’末端から約1722ヌクレオチド〜3702ヌクレオチド(配列番号1)の配列の領域を含む。順方向および逆方向プライマーのすべての組み合わせを使用して、遺伝子のこの推定領域を増幅した。4μMのそれぞれのプライマー、dNTP(200μM)を1μlのcDNAと共に使用して、PCRを行い、35サイクルのPCRに供した。PCR条件は、94℃で15秒間、45℃で30秒間および72℃で1分間であった。予想されるサイズのフラグメントを産生したプライマーの組み合わせは、A−F2/A−R2およびA−F3/A−R2であった。増幅したバンドを、1.5%アガロースゲルから精製し、キットの供給されている標準プロトコルに従って、pDrive(登録商標)TAクローニングベクター(キアゲン(Qiagen)TM)にサブクローニングした。PCR産物の以後の配列決定により、Drosophila配列と比較した場合、1722ヌクレオチド〜3702ヌクレオチド(配列番号1)間の遺伝子のこの領域は、首尾よく配置されていることを確認した。
類似のアプローチを使用して、ヌクレオチド27〜1443の間の5’末端より外側に近い遺伝の領域を同定した。
D−F1:GAGCAGGAYGAYGTNWSNTT (配列番号16)
D−F2:GCTGCTGARGGNTTYGGNAA (配列番号17)
D−F3:GGTGARGCNTGYTGGTGGAC (配列番号18)
D−R1:GTCCACCARCANGCYTCNCC (配列番号19)
D−R2:ACTCKTACYTTYTCNCCYTC (配列番号20)
D−R3:GGTATTGTTARRCAYTCRTC (配列番号21)
D−R4:TTTAGTACNCCYTCYTCYTGRAA (配列番号22)
順方向および逆方向プライマーのほぼすべての組み合わせが初期のラウンドの増幅に関与し、推定PCR産物を直ちに、第2の、または「ネステッド」のラウンドの増幅に供した。この場合、第1のラウンドの産物の1/100容積を、同じサイクリング条件でテンプレートとして使用した。このアプローチを使用して、D−F1/D−R3(D−F1/D−R2で入れ子状にした);DF2/D−R3(続いてD−F3/D−R3)およびD−F2/D−R4(続いてD−F3/D−R3)は、アガロースゲル上で予想されたサイズのバンドを生じた。バンドを単離し、それらの配列をDrosophila melanogasterと比較した。
配列のこれらの領域は、99%を超える単離された核酸フラグメントが、cDNA調製物から回収され、唯一欠けているセグメントは、5’領域のはじめの24塩基であった。このセクションおよび完全な遺伝子を得るために、クロンテック(Clontech)TMのマラソン(Marathon)(登録商標)増幅キットにおける記載のように5’RACE手順を使用した。
WL3:CACACACTGCGACAGATCAGGCGG (配列番号23)
WL4:GCAATATTCTCCAGGAAGCAGTGCCG (配列番号24)
この全長配列に基づいて、新しいプライマーを設計した:
pHVN3−PacI:GCCAAGTTAATTAACCATGGCGGAAGCAGAGGGGGGAG (配列番号25)
pRhC1−PmeI:GGACTCGTTTAAACGATTCTCCCATGAGGTCTTCGTATTGC (配列番号26)
これらのプライマーは、ロッシュ(Roche)TMにより供給されるエキスパンド・ロング・テンプレートPCRシステム(Expand Long Template PCR System)(登録商標)キットのプロトコルに従って、ロングPCR反応のために使用した。2段階PCRプロトコルを使用し、第1の段階は、次の反応条件、94℃で5分間、次いで、10秒間、92℃、続いて、68℃で14分間の10サイクルを使用した。次の段階は、10秒間、92℃、続いて、68℃で、14分間の15サイクルで、各サイクルごとに20秒間ずつ延長し、それぞれ5’および3’末端にPacIおよびPmeIの独特な制限部位を有する全長の単離された核酸フラグメントを生成した。
15.6KbのDNAフラグメントをインビトロゲン(Invitrogen)TMのpCR−XL−TOPO(登録商標)にクローニングした。H.virescens Ryr転写物の完全な配列を、プラスミドおよびPCR産物を使用する標準的な配列決定方法によって得た。
リアノジン受容体タンパク質をコードするcDNAの配列は、BLAST検索を行うことによっても同定することができる。(基本的局所アライメント検索ツール(BasicLocal Alignment Search Tool);アルトシュール(Altschul)ら、(1993)J.Mol.Biol.215:403−410)は、BLAST「nr」データベース(全部の非冗長ジェンバンク(GenBank)CDS翻訳、三次元構造ブルックヘイブンタンパク質データバンク(BrookhavenProtein Data Bank)由来の配列、スイスプロット(SWISS−PROT)タンパク質配列データベースの最近の主要な発表、EMBLおよびDDBJデータベースを含んでなる)中に含有される配列に対する類似性について検索する。国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)により提供されるBLASTNアルゴリズムを使用し、「nr」データベース中に含有される公的に利用可能な全部のDNA質配列に対する類似性について、実施例1を分析した。DNA配列を全部の読み枠で翻訳し、そして、NCBIにより提供されるBLASTXアルゴリズム(ギシュW.(Gish,W.)およびステイテスD.J.(States,D.J.(1993)Nature Genetics3:266−272)を使用して、「nr」データベース中に含有される全部の公的に利用可能なタンパク質配列に対する類似性について比較した。便宜性のため、BLASTにより算出されるような単に偶然で検索されたデータベース中に含有されたある配列に対するあるcDNA配列の合致を観察するというP値(確率)を本明細書では「pLog」値として報告し、これは報告されたP値の対数の負の数を表わす。従って、pLog値が大きくなるほど、cDNA配列およびBLASTの「ヒット」が相同なタンパク質を表わす見込みが大きくなる。
実施例2
モモアカアブラムシ由来のリアノジン受容体の単離された核酸フラグメントの再構築
液体N2中で新鮮凍結し、冷却モーターにおいて粉体に粉砕した0.5gのモモアカアブラムシ(Myzus persicae)または任意の同翅目種から、全RNAを抽出した。粉体を20mlのトリゾル(TriZOL)(登録商標)で、15秒間激しく振盪し、次いで、サンプルを30℃で3分間インキュベーションすることによって、抽出した。2mlのクロロホルムを添加し、振盪およびインキュベーション処置を反復した。サンプルを12,000gで10分間、8℃でスピンし、水相を新しいチューブに移した。5mlのイソプロピルアルコールおよび1.2M NaClを含有する5mlの0.8Mクエン酸ナトリウムを水性画分と混合し、室温で10分間後、サンプルに二度目の遠心分離を行った。ペレットを10mlの70%EtOHで洗浄し、懸濁液を7500gで5分間、再度遠心分離し、2mlの水に溶解する前に、得られたペレットを乾燥させた。
タバコガ遺伝子の5’配列を首尾よく生成した順方向および逆方向プライマーの「D」組の同じ組み合わせを先に記載の通りに使用した。最も3’側の領域を獲得するための第2の組のプライマーもまた、すべての既知のリアノジン受容体配列に高い相同性のある領域から設計した。
E−F1 GGAGGTGGNATHGGNGAYGA (配列番号27)
E−F2 ATCATCGAYGCNTTYGGNGA (配列番号28)
E−R1 AARCARTCNCCNACNGGRAA (配列番号29)
E−R2 ACNGGRAARAARTCCCARCA (配列番号30)
D−FおよびD−Rの組み合わせならびにE−FおよびE−Rの組み合わせを使用して作製されたバンドは、受容体の単離された核酸フラグメントのセグメントとして、それらの予想される起源に一致する配列を生成する。5’および3’末端より外側に対する残りの配列は、以下の5’RACEプライマー
F−R1:CCCTCTTGAGAACTTGCAGCTGTCAC (配列番号31)
F−R2:CGTCCGGTGTCCAGATCCAGTTCCGCC(配列番号32)
F−R3:GATGAACAGTCCACCAACAAGCTTCAC(配列番号33)
および3’RACEプライマー
G−F1:GCTGGAAAGCGTCAAGGAAGACATGG (配列番号34)
G−F2:GCGGTATCGGCAAAGATTATTTCGAC (配列番号35)
G−F3:GTGCCGCATGGTTTCGACACTCACG (配列番号36)
を用いる実施例1に記載のようなRACE手順を使用して得られる。
RACE産物の配列を使用して、リアノジン受容体の全長コーディング領域の開始および停止コドンの外側に、PmeIおよびPacIの独特な制限部位を組み入れるためのプライマーを設計した。
使用したプライマーは:
pRgN−PacI:GCCAAGTTAATTAACGATGGCCGACAGCGAGGGCAGTTCG (配列番号37)
pRgC−PmeI:GGACTCGTTTAAACGAGACGCCTCCTCCGCCGCCGAGC (配列番号38)
であった。
従って、遺伝子の全長cDNAを、それぞれ5’および3’末端のPacIおよびPmeI部位で単離した。
16kbのPCR産物をpCR−XL−TOPO(登録商標)ベクター(インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))にクローニングし、その後、全長リアノジン受容体コーディング領域を、PacIおよびPmeI部位を有するベクターのMCSのBamHIおよびXbaI部位の間が改変されたpIBV5HisまたはpFASTBacへサブクローニングした(配列番号39)。
トランスポゾンとプライマーウォーキングとを併用した手順を使用して、全挿入配列決定を行った。使用したトランスポゾン系は、トランスポゾンのTET1バージョン(ゴアリシン(Goryshin)およびレズニコフ(Reznikoff)(1998)J Biol Chem 273:7367−7374)を使用するエピセントレ(Epicentre)TM由来のEZ::TNトランスポゾン挿入キットであった。200クローンを単離し、キットにおいて供給される順方向および逆方向プライマーを使用して380の配列を提供した。次いで、これらの領域からプライマーを設計し、遺伝子ウォーキングによってギャップを満たした。モモアカアブラムシ遺伝子の配列を配列番号3に示す。
実施例3
ワタアブラムシおよびトウモロコシウンカ由来のリアノジン受容体の単離された核酸フラグメントの再構築
ワタアブラムシおよびトウモロコシウンカ由来のリアノジン受容体コーディング領域のcDNAは、本質的に実施例2に記載の通りに得た。実施例1において使用した同じDプライマーの組および実施例2において使用したEプライマーの組は、2種の同翅目種に対するほぼ全長配列を生成した。以下のプライマーを、RACEシリーズの実験に使用して、リアノジン受容体コーディング領域の5’および3’末端の配列を生成した。ワタアブラムシについて、使用した5’RACEプライマーは、
CMA−DR1:GCTGGATGCACAGTCCACCAACAAGCTTC (配列番号40)
CMA−DR2:CAATGTTCGGTGTCCAGATCCAGTTCC (配列番号41)
CMA−DR3:GACGGGTACACACTGAGACAAGTCGGGTGG(配列番号42)
であり、3’RACEプライマーは、
CMA−EF1:CTGCGGCATCGGCAAAGATTATTTCG(配列番号43)
CMA−EF2:CCGCACGGTTTTGACACGCACGTTC (配列番号44)
CMA−EF3:CCGGCCAAGAAACGTACGTCTGGAAC(配列番号45)
であった。
トウモロコシウンカについて、5’RACEプライマーは、
CPH−DR1:CCGAAGCACATCGCCACCAAACAC (配列番号46)
CPH−DR2:CCTGTGCCATAAGGCTGAACGGACC (配列番号47)
CPH−DR3:CGTCACCAACTCGCACCTTCTCACCCTCC(配列番号48)
であり、3’ RACEプライマーは、
CPH−EF1:GGAAGACATGGAGTCCAACTGTTTCATTTGTGGC (配列番号49)
CPH−EF2:GTGCCGCATGGTTTCGATACTCATGTGCAGC (配列番号50)
CPH−EF3:GCATAATCTCGCTAATTACATGTTCTTCCTCATGC(配列番号51)
であった。
ワタアブラムシのリアノジン受容体コーディング領域の末端にPacIおよびPme部位を組み入れるために設計したプライマーの配列は以下の通り:
pRCMAN−PacI:GCCAAGTTAATTAACGATGGCCGACAGCGAGGGAAGTTCG (配列番号52)
pRCMAC−PmeI:GAACTCGTTTAAACGAGACGCCTCCTCCGCCGCCAAGC (配列番号53)
であり、トウモロコシウンカのリアノジン受容体コーディング領域の末端にPacIおよびPme部位を組み入れるために設計したそれらは以下の通りである:
pRCPHN−PacI:GCCAAGTTAATTAACAATGGCGGATAGTGAGGGTGGATCTG (配列番号54)
pRCPHC−PmeI:GAAGTCGTTTAAACGAGCCACCACCGCCTCCTAACTCATC (配列番号55)。
両方の全長リアノジン受容体コーディング領域を再度、pCR−XL−TOPO(登録商標)ベクター(インビトロゲン(Invitrogen)TM)にクローニングし、その後、実施例2に記載のように、改変されたpIBV5HisまたはpFASTBacへサブクローニングした。
リアノジン受容体コーディング領域の配列を完了するために、pCR−XL−TOPO(登録商標)ベクターにおける挿入物を、EcoRIおよびBamHI制限酵素の混合物で消化した。次いで、フラグメントを、EcoRI、BamHIまたはこれらの両方を組み合わせて消化した、3つのpBluScript KSベクターへサブクローニングした。ベクターを、リアノジン受容体コーディング領域サブフラグメントの混合物の存在下で再連結した。CMAおよびCPHリアノジン受容体コーディング領域のそれぞれについて、約40個の個々のクローンを個々の細菌コロニーから単離し、挿入物を、ベクタープライマーを使用して、配列決定した。配列に残っていたギャップを、遺伝子ウォーキングによって満たした。
実施例4
リアノジン受容体をコードするcDNAクローンの特徴付け
表3に列挙したクローンからのEST配列を使用するBLASTX検索は、当該cDNAによりコードされるポリペプチドの、Drosophila(Drosophila melanogaster)(NCBI一般識別番号(GeneralIdentifier)gi17352471、[配列番号56]由来のリアノジン受容体タンパク質に対する類似性を示した。個々のESTについてのBLASTの結果(「EST」)、示されたcDNAクローンを含んでなるcDNA挿入物全体の配列(「FIS」)、2種もしくはそれ以上のESTから集成されたコンティグの配列(「Contig」)、FISおよび1種もしくはそれ以上のESTから集成されたコンティグの配列(「Contig」)、またはFIS、コンティグもしくはFISおよびPCR由来のタンパク質全体をコードする配列(「CGS」)を表3に示す。
Figure 2006516884
表4のデータは、配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、および146に記載のアミノ酸配列と、Drosophila(Drosophila melanogaster)(NCBI一般識別番号(GeneralIdentifier)gi17352471、[配列番号56]由来のリアノジン受容体タンパク質との同一性パーセントの計算を示す。
Figure 2006516884
配列のアライメントおよびパーセント同一性の計算は、レーザージーン(LASERGENE)生物情報科学コンピュータ計算ソフトウェアパッケージ(DNAスター社(DNASTAR Inc.)、ウィスコンシン州、マディソン(Madison, WI))のメガライン(Megalign)プログラムを使用して実施した。配列のマルチプルアライメントは、デフォルトのパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を用い、アライメントのクラスタル(Clustal)法(ヒギンス(Higgins)およびシャープ(Sharp)(1989)CABIOS.5:151−153)を使用して実施する。クラスタル(Clustal)法を使用するペアワイズアライメントのためのデフォルトのパラメータは、KTUPLE1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONLAS SAVED=5である。大きなタンパク質配列では、クラスタル(Clustal)Wプログラム(トンプソン(Thompson)ら(1994)Nuc Acids Res 22:4673−4680)を使用した。デフォルトのパラメータを使用した(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、DELAY DIVERGENT SEQ (%)=30、DNA TRANSITION WEIGHT=0.50、PROTEIN WEIGHT MATRIX:Gonnet Series、DNA WEIGHT MATRIX:IUB)。ペアワイズアライメントもまた、デフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.10、PROTEIN WEIGHT MATRIX:Gonnet 250、DNA WEIGHT MATRIX:IUB)を使用した。配列のアライメント、ならびにBLASTスコアおよび確率は、本cDNAクローンを含んでなる核酸フラグメントがリアノジン受容体タンパク質の実質的な部分をコードすることを示す。
図1は、本明細書において開示された方法によって作製されたキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)配列(配列番号10)、Drosophila art配列(NCBI一般識別番号(GeneralIdentifier)gi17352471、配列番号56)、部分的リアノジン受容体をコードする蚊(Anopheles gambiae)ゲノム配列決定プロジェクト由来の未注釈配列(gi21301556、配列番号57)、線虫由来のリアノジン受容体(Caenorhabditis elegans、gi1871447、配列番号58)、ウニ(Hemicentrotus pulcherrimus、gi18656155、配列番号59)、マウス(Mus musculus、gi13569850、配列番号60)、ウサギ(Oryctolagus cuniculus、gi1245376、配列番号61)、およびヒト(Homo sapiens、gi4506757、配列番号62)に対するタバコガ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、およびトウモロコシウンカ(配列番号2、128、130、144および146、4、6、および8)のクラスタル(Clustal)Wを使用したアライメントを示す。昆虫特異的配列は、すべての昆虫配列の間で保存されているが、非昆虫配列の間には認められない相同的部分配列を見出すことによって、同定することができる。これらの配列の多くは、配列番号63〜119において見出すことができる。本明細書において提示する配列が特徴付けられるより以前は、キイロショウジョウバエの配列が利用可能な唯一の昆虫の配列であり、これは、動物リアノジン受容体配列に極めて低い(50%未満の)相同性を有したため、昆虫特異的配列は同定することができなかった。
表5は、図1に示したリアノジン受容体配列のついにした比較に対する同一性パーセントを示す。
Figure 2006516884
実施例5
昆虫細胞株におけるリアノジン組換え構築物の一過的発現
異なる昆虫由来のリアノジン受容体をコードするcDNAを、それぞれ、実施例2に記載のように、pIBV5HisまたはpFASTBacにクローニングした。しかし、当業者であれば、真核細胞に感染させるための他の多様なベクターおよび手段が存在することを理解するであろう。特に、昆虫細胞インフェクションのためのバキュロウイルスに基づく系は有用であり、いずれの系も活性型の受容体タンパク質の完全な発現および修飾を可能にする。
トランスフェクション研究のために使用したSpodopterafrugiperda細胞株Sf9を、27℃でインキュベートしたT−75フラスコ中Sf−900 II SFM培地(インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))において維持した。当業者であれば、Spodopterafrugiperda細胞株Sf21またはDrosophila細胞株S2などの代替的細胞タイプを選択し得る。一般的取り扱いおよび増殖の目的のために、削り取りまたは振盪を介して細胞を懸濁し、細胞懸濁液のある容積をポリ−L−リジンで被覆した96ウェルガラス底プレートの各ウェルに、70〜80%のコンフルエンスを提供するように、添加した。試験時まで、細胞をインキュベーターにおいて27℃で維持した。
Sf−9細胞を、27℃で、コーニング(Corning)125mlポリカーボネート三角フラスコ中、SF900−II無血清培地(ギブコ(Gibco)カタログ番号10902−088、インビトロゲン・ライフ・テクノロジー(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))の1mlあたり310万個細胞の密度まで増殖させた。100万個の細胞を、コーニング(Corning)6ウェル平底細胞培養ディッシュ(コーニング(Corning)3516)の1つのウェルに移した。SF900−II培地を使用して、ディッシュ内の最終容積を2mlとし、細胞を27℃で21時間、インキュベートした。インキュベーション後、培地をディッシュから吸引し、予め27℃に加温しておいた1mlのSF900−II培地で置き換えた。
インセクトセレクトBSDシステム(InsectSelect BSD System)マニュアル(インビトロゲン・ライフ・テクノロジー(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))に従って、一過的トランスフェクションを行った。セルフェクチン(Cellfectin)試薬(インビトロゲン・ライフ・テクノロジー(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA)、カタログ番号10362−010)およびSF900−II無血清培地(ギブコ(Gibco)カタログ番号10902−088、インビトロゲン・ライフ・テクノロジー(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))をすべてのトランスフェクションに使用した。トランスフェクションは、トランスフェクション溶液を滴下で、ディッシュに添加し、4時間、室温で、緩徐に振盪しながらインキュベートすることによって、達成した。4時間のインキュベーション後、培地を、予め27℃に加温しておいた2mlのSF900−II培地で置き換え、細胞を、試験の前に、2〜3日間、27℃でインキュベートした。
実施例6
微生物細胞におけるキメラ遺伝子の発現
本ポリペプチドをコードするcDNAをT7大腸菌(E.coli)発現ベクターpBT430に挿入することが可能である。本ベクターは、バクテリオファージT7RNAポリメラーゼ/T7プロモーター系を使用するpET−3a(ローゼンベルグ(Rosenberg)ら(1987)Gene 56:125−135)の一誘導体である。プラスミドpBT430は、最初に、それらの元の位置のpET−3a中のEcoR IおよびHind III部位を破壊することにより構築した。EcoR IおよびHind III部位を含有するオリゴヌクレオチドアダプターをpET−3aのBamH I部位に挿入した。これは、該発現ベクターへの遺伝子の挿入のための付加的な独特なクローニング部位を持つpET−3aMを創製した。次いで、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発を使用して、翻訳開始の位置のNdeI部位をNcoI部位に変換した。この領域中のpET−3aMのDNA配列5’−CATATGGを、pBT430中の5’−CCCATGGに変換した。
cDNAを含有するプラスミドDNAを適切に消化して、該タンパク質をコードする核酸フラグメントを遊離させることができる。次いで、1%ヌシーブGTG(NuSieve GTG)TM低溶融アガロースゲル(FMC、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia, PA))上でこのフラグメントを精製してよい。緩衝液およびアガロースは、DNAフラグメントの可視化のため10μg/mlの臭化エチジウムを含有する。次いで、製造元の説明書に従ったジェラース(GELase)TM(エピセントレ・テクノロジーズ(Epicentre Technologies))での消化により、該フラグメントをアガロースゲルから精製し、エタノール沈殿し、乾燥しそして20μLの水に再懸濁することが可能である。T4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボズ(New England Biolabs)(NEB)、マサチューセッツ州ベバリー(Beverly,MA))を使用して、適切なオリゴヌクレオチドアダプターを該フラグメントに連結してよい。連結されたアダプターを含有する該フラグメントは、上述されたとおり低溶融アガロースを使用して過剰のアダプターから精製することが可能である。ベクターpBT430は、上述された通り消化し、アルカリホスファターゼ(NEB)で脱リン酸化し、そしてフェノール/クロロホルムでタンパク質を除去する。調製されたベクターpBT430およびフラグメントをその後、16℃で15時間連結し、次いでDH5エレクトロコンピテント(electrocompetent)細胞(インビトロゲン・ライフ・テクノロジー(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))に形質転換することが可能である。形質転換体は、LB培地および100μg/mLのアンピシリンを含有する寒天プレート上で選択することができる。次いで、本ポリペプチドをコードする遺伝子を含有する形質転換体を、制限酵素分析によりT7プロモーターに関して正しい配向についてスクリーニングする。
高レベル発現のためには、T7プロモーターに関して正しい配向のcDNA挿入物をもつプラスミドクローンを大腸菌(E.coli)株BL21(DE3)に形質転換することが可能である(スタディヤー(Studier)ら(1986)J. Mol. Biol. 189:113−130)。培養物は、アンピシリン(100mg/L)を含有するLB培地中で25℃で増殖させる。およそ1の600nmの至適密度で、IPTG(イソプロピルチオ−β−ガラクトシド、誘導物質)を0.4mMの最終濃度まで添加することが可能であり、そして、インキュベーションを25℃で3時間継続することが可能である。次いで、遠心分離により細胞を収穫し、そして、0.1mMのDTTおよび0.2mMのフッ化フェニルメチルスルホニルを含有する50μLのpH8.0の50mMトリス−HClに再懸濁する。少量の1mmガラスビーズを添加し、そして微小プローブ超音波処理装置(microprobe sonicator)を用いて混合物を各回約5秒間3回超音波処理することが可能である。該混合物を遠心分離し、そして上清のタンパク質濃度を測定する。培養物の可溶性画分からの1μgのタンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離することが可能である。ゲルを、期待される分子量で移動するタンパク質のバンドについて観察することができる。明らかに、当業者であれば、他の細菌発現ベクター、特に、cDNA挿入物をインフレームで融合した場合、組換えタンパク質のNまたはC末端のいずれかでHisタグ、MBPまたはGST伸張のような精製を援助することができるポリペプチドの伸張を提供する配列の様々な選択を付与するベクターを選択し得る。
cDNA挿入物は、酵母細胞において発現させることもできる。酵母(サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))株YPH(ストラタジーン(Stratagene))においてコードされるポリペプチドの発現およびリアノジン感受性カルシウム輸送のための膜成分をアッセイすることによって、リアノジン受容体ポリペプチドを評価することができる。任意のcDNAクローン由来のプラスミドDNA(200ng)を、本発明において記載のプライマーを使用して、PCRのためのテンプレートとして使用することができる。増幅は、1M最終濃度のGCメルト(melt)試薬を伴うGCメルト(melt)キット(クロンテック(Clontech))を使用して、実施する。増幅は、パーキンエルマー(Perkin Elmer)9700サーモサイクラーにおいて、30サイクルを以下の通りに行った:94℃で30秒間、60℃で30秒間、および72℃で2分間。次いで、増幅させた挿入物を、適切な制限酵素で消化されている改変されたpRS315プラスミド(NCBI一般識別番号(GeneralIdentifier)984798;シコースキー、R.S.(Sikorski,R.S.)およびヒーター、P.(Hieter,P.)(1989)Genetics 122:19−27)と共にインキュベートする。プラスミドpRS315はXhoIとHindIIIとの間への両方向性gal1/10プロモーターの挿入によって、予め改変されている。次いで、挿入物がギャップ修復を介して再結合し、所望の形質転換された酵母株を形成する標準的な手順(ホア、S.B.(Hua,S.B.)ら(1997)Plasmid38:91−96.)を使用して、プラスミドをYPH酵母株へ形質転換する。
酵母細胞は、ポンポン(Pompon)ら(ポンポン、D.(Pompon,D.)ら(1996)Meth.Enz.272:51−64)の方法の改変に従って、調製される。簡単に説明すると、酵母のコロニーは、1晩(飽和まで)、SG(−ロイシン)培地中30℃で、良好な通気を伴い増殖される。この培養物の1:50希釈液を、アデニンを補充した500mLのYPGE培地中に作製し、30℃で、良好な通気を伴い、1.6のOD600まで(24〜30時間)増殖させる。50mLの20%ガラクトースを添加し、培養物を1晩、30℃で増殖させる。細胞を、ソルバル(Sorvall)GS−3ローター中5,500rpmで、5分間の遠心分離によって、回収する。細胞ペレットを500mLの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に再懸濁し、次いで、30℃で、さらに24時間増殖させる。
上記の遠心分離によって細胞を回収し、実施例9、10、または11において概説したアッセイのいずれかを使用して、リアノジン受容体活性の存在を決定する。
実施例7
昆虫細胞におけるHeliothis virescens、および他のRyr cDNAは、昆虫発現ベクター(例えば、pIB/V5−His、インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))の制御下でベクター内に設置した場合、大腸菌(Escherichia coli)に対し、かなり毒性であるようである。これらの条件下、細胞は極めて緩徐に増殖し、フレームシフト変異が自発的に導入される。大腸菌(E.coli)におけるRyr遺伝子の任意の発現を完全に除去する2つのクローニングストラテジーは、増殖の問題を回避し得る。
第1のストラテジーでは、昆虫アクチンプロモーターの制御下にRyr遺伝子を配置する改変されたpXINSECT−DEST39ベクター(インビトロゲン(Invitrogen))へRyr遺伝子をクローニングする。大腸菌(E. coli)の増殖中におけるRyr遺伝子のリーキーな発現を除去するために、ベクターのHisタグのちょうど下流(但し、Ryr遺伝子の上流)に「停止」フラグメントを配置した。この停止フラグメントは、大腸菌(E. coli)rrnB遺伝子(オロス(Orosz)ら(1991)Eur J Biochem 201:653−659)由来の強力な転写ターミネーターT1T2を含有する。ベクターのイニシエーターATGを伴うフレーム内の停止コドンもまたこの停止フラグメント内に存在する。Cre酵素の存在下で、停止フラグメント全体がベクターから切り出されて、単一のLox部位の「フットプリント」を残すような直接的配向で、Lox部位が停止フラグメントに隣接している(オデル(Odell)およびラッセル(Russell)(1994)Homologous Recomb Gene Silencing Plants;J.パスクロスキー(J.Paszkowski);219〜270頁)。停止フラグメントのCre仲介切り出しの後に、Ryr遺伝子がイニシエーターATGと共にフレーム内に存在し、ATGとRyr遺伝子との間に停止コドンが存在しないように、停止ベクターを設計した。ベクター由来のATG、Hisタグ、およびattB1ならびに残留Loxフットプリントおよび関連リンカー配列の組み合わせは、53外来アミノ酸を成熟Ryr遺伝子産物に付加する。pHE7ベクターの構築については、図7において概説する。
インビトロゲン・ゲートウェイ・エントリー(Invitrogen Gateway Entry)TMベクターpEntr2B(インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))を改変して、ポリリンカーにPvuI部位を追加した。pEntr2Bを、EcoRIおよびKpnIで消化した。オリゴヌクレオチド、配列番号131(5’−gatccgcggccgcgatcggtacc−3’)および配列番号132(5’−cgatcgcggccgcg −3’)をアニールし、消化したベクターに連結させて、pEntr2B/PvuIを生成した。pXLHv7由来のHV Ryr遺伝子を、PacIおよびPmeIで消化した。pENTR2B/PvuIをPvuIで部分消化し(pEntr2B/PvuIには第2の部位が存在する)、EcoRVで完全に消化し、正確なフラグメントをゲル精製した。RyrフラグメントのPacI粘着末端は、PvuI粘着末端に適合し、PmeIおよびEcoRV末端は、両方とも平滑である。次いで、pXLHv7由来の15.4kbのRyr遺伝子フラグメントを、pENTR2B/PvuIに連結して、pENTR2B/PvuI/HV7を作製した。
6つのオリゴヌクレオチド、配列番号133〜配列番号138をアニールすることによって、停止フラグメントを作製し、次いで、プライマー配列番号139(5’−ccttttttttcagcgcta−3’)および配列番号140(5’−gagagagagtttaaataa−3’)を使用して、PCR増幅を行った。得られた産物をAfeIおよびDraIで消化して、平滑末端を生成させ、pXINSECT−DEST39の独特なAfeI部位に連結して、pDEST39/LOXを生成した。
pDEST39/LOXを使用する代わりに、pDEST39/LOX由来の停止フラグメントをXbaIおよびHindIIIで切り出し、XbaIおよびHindIIIで切断したpIB/V5−His−DEST(インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))にクローニングして、pIBDEST/LOXを生成した。pIBDEST/LOXおよびpDEST39/LOXは機能的に類似であり、両方ともCreによって、取り出すことができる停止フラグメントを有する。1つの違いは、昆虫細胞においてRyr遺伝子の転写を制御するプロモーターがpDEST39/LOXではアクチンプロモーターであるが、pIBDEST/LOXではOpIE2プロモーターであることである。また、pIBDEST/LOXは、安定にトランスフェクトされた細胞を選択させるブラスチシジン遺伝子を含有する。
ヤガ(Heliothis)リアノジン受容体cDNAを、製造者の推奨に従い、インビトロゲン(Invitrogen)のクロナーゼ(Clonase)LR反応を使用して、pENTR2B/PvuI/HV7からpDEST39/LOXへ移し、pHE7を生成した。製造者の推奨に従うpHE7のCre(インビトロゲン(Invitrogen))とのインビトロ反応は、正確に停止フラグメントを切り出し、後に予想されたとおりのLoxフットプリントを残した。
標的昆虫細胞におけるpHE7の停止フラグメントの切り出しは、それらを、Creの供給源としてpMLS104(シーガル(Siegal)およびハートル(Hartl)(1996)Genetics 144:715−726)でSF9細胞に同時トランスフェクトすることによって、達成した。代替的アプローチとして、pHE7をCre酵素と共にインビトロでインキュベートすることにより、停止フラグメントのCre仲介切り出しを行った。これらの場合、pMLS104プラスミドは、pHE7プラスミドでは同時トランスフェクトされなかった。Cre反応の条件は、クリエーターDNA(Creator DNA)クローニング・キット(BDバイオサイエンス(BD Biosciences)TM、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA)、クロンテック・プロトコル(Clontech Protocol)PT3460−1)から採用した。それぞれ250ngのpHE7プラスミドに対し、100ngのCre組換え酵素(クロンテック・ラボラトリーズ社(Clontech Laboratories Inc.)TM、カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto,CA)、カタログ番号8480−1)を15分間の室温反応において使用した。反応は、1×Cre反応緩衝液およびクロンテック(Clontech)TMから購入したCre組換え酵素を供給した1×BSAを含んだ。15分間の反応後、酵素を、70℃で5分間の熱処理により変性させた。独特ではない(non−unique)制限部位に対し若干の変更を加えることにより、pHE7について記載のCre認識エレメントの構成を有するが、pIBDEST/LOXにおいてOpIE2プロモーターに融合された他の4つのHvクローン(pHI2、pHI3、pHI6、pHI7)を構築した。
第2のアプローチでは、大腸菌(E coli)におけるHeliothis virescens Ryrの発現の毒性は、pIB/V5−His(インビトロゲン(Invitrogen))などの改変された昆虫発現ベクターを使用して、克服した。イントロンフラグメントは、Heliothis virescensゲノムDNA由来のプライマー(順方向プライマー:配列番号147、5’−cagtaaagcttgagtcatggaaatttagac−3’;逆方向プライマー:配列番号148、5’−tctggatcctggtttggaaaatgggga−3’)で増幅した。精製されたPCR産物をpIBベクターのHindIIIおよびBamHI部位に挿入した。改変されたベクターのDNA配列は、DNA配列決定によって確認し、pXLHv7からRyr遺伝子を切り出し、イントロンの後方に挿入し(配列番号149)、ベクターpIBiHv7を生成した。
トランスフェクションプロトコル
すべての試薬、実験着衣および技術は、トランスフェクションの間中、無菌のものであった。プラスミドは、キアゲン(Qiagen)TMプラスミド・ミディ・プレップ・キット(キアゲン(Qiagen)TM、カリフォルニア州バレンシア(Valencia,CA)、カタログ番号12143)
SF9細胞を、27℃で、コーニング(Corning)125mlポリカーボネート三角フラスコ中、SF900−II無血清培地(ギブコ(Gibco)カタログ番号10902−088、インビトロゲン(Invitrogen)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))の1mlあたり310万個細胞の密度まで増殖させた。100万個の細胞を、コーニング(Corning)6ウェル平底細胞培養ディッシュ(コーニング社(Corning Inc.)、マサチューセッツ州アクトン(Acton,MA)、カタログ番号3516)の1つのウェルに移した。SF900−II培地を使用して、ディッシュ内の最終容積を2mlとし、細胞を27℃で21時間、インキュベートした。インキュベーション後、培地をディッシュから吸引し、予め27℃に加温しておいた1mlのSF900−II培地で置き換えた。
Cre認識エレメントを含有するベクターの場合、5μgのpHE7プラスミド、5μgのpMLS104 Creプラスミドおよび0.5μgのlacZレポータープラスミド、15μgのセルフェクチン(cellfectin)試薬(インビトロゲン(Invitrogen)、カタログ番号10362−010)およびSF900−II無血清培地(ギブコ(Gibco)カタログ番号10902−088、インビトロゲン(Invitrogen)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))を、500μlの全容積で合わせることによって、トランスフェクション溶液を1.5mlのマイクロ遠心チューブ中で混合した。溶液は、トランスフェクションのちょうど前に、1時間、室温でインキュベートした。
トランスフェクション溶液をディッシュに滴下して、緩徐に振盪しながら4時間、室温でインキュベートすることによって、トランスフェクションを達成した。4時間後、培地を、予め27℃に加温しておいた2mlのSF900−II培地で置き換え、細胞を3日間、27℃でインキュベートした。
Ryr cDNAの機能的発現は、実施例9に記載のように、すべてのクローン(pHE7、pHI2、pHI3、pHI6、またはpHI7)について観察された。pHI7およびpHE7から観察される機能的発現の間に識別可能な差異は認められなかった。
当業者であれば理解できるように、本明細書に記載の系に匹敵し得るいくらかの削除系を使用することができる。削除系の例として、Cre/Lox、Flp/Frt、クロナーゼ(Clonase)TM/Att、Gin/Gix、およびR/RS(それぞれ、オデル(Odell)ら(1990)Mol Gen Genet 223:369−378;ライズニック(Lyznik)ら(1993)Nuc Acids Res 21:969−975;インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM;マエサー(Maeser)およびカーマン(Kahmann)(1991)Mol Gen Genet 230:170−176;ならびにオノウチ(Onouchi)ら(1991)Nuc Acids Res 19:6373−6378)が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらは、第2のストラテジーに記載の配列(配列番号....)とは異なるゲノムDNA由来のイントロン配列の導入に基づく均質な削除系を含み得る。
当業者であれば理解できるように、削除系によって結合されたいくらかのフラグメントを使用して、本明細書に記載のものに等価な宿主細胞における発現を除去またはダウンレギュレートすることができる。そのようなフラグメントの例として、転写ターミネーター、Ryrコーディング配列と共にフレーム内にある停止コドン、転写リプレッサーによって認識されるオペレーター、翻訳アテニュエーター、およびアンチセンスまたは共抑制構築物に相互作用する配列が挙げられるが、これらに限定されない。
当業者であれば理解できるように、停止フラグメントは、本明細書に記載のものに等価なRyr cDNAにおける異なる多くの位置に挿入することができる。適切な位置の例としては、遺伝子のプロモーターの上流、5’非翻訳リーダー、コーディング配列内、および3’非翻訳領域が挙げられるが、これらに限定されない。
実施例8
昆虫細胞におけるRyr cDNAの発現
Drosophila melanogaster(pIB43D、配列番号9)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)(pIB−GAP7−1、配列番号3)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)(pIB−CMA4−3、配列番号5)、およびトウモロコシウンカ(Peregrinus maidis)(pXL−CPH9、配列番号7)由来のRyr cDNAを、実施例7に記載のHeliothis virescens由来のcDNAと同じ方法で、Cre−Lox発現系に導入する。cDNAは、PacIおよびPmeIでの消化によって、ベクターから放出させる。場合により、cDNAに内部PmeIが存在し、これらの場合、部分的PmeIおよび完全PacI消化を実施して、全長cDNAに対応するフラグメントをゲル精製する。pENTR2B/PvuIをPvuIで部分消化し(pEntr2B/PvuIには第2の部位が存在する)、EcoRVで完全に消化し、正確なフラグメントをゲル精製した。RyrフラグメントのPacI粘着末端は、PvuI粘着末端に適合し、PmeIおよびEcoRV末端は、両方とも平滑である。次いで、Ryr遺伝子を、pENTR2B/PvuIに連結して、pENTR2B/PvuIにそれぞれのcDNAを挿入する。
製造者の推奨に従い、インビトロゲン(Invitrogen)のクロナーゼ(Clonase)LR反応により、cDNAをpENTR2B/PvuIからpDEST39/LOXまたはpIBDEST/LOXへ移す。これらの発現ベクターを、pMLS104との組み合わせか、またはインビトロでのCreとの反応後に実施例7に記載のプロトコルを使用するかのいずれかで、SF9細胞に移し、Ryrの活性を実施例9〜11に記載のように、アッセイする。
同様に、当業者であれば、任意の供給源、昆虫またはそれ以外からRyr遺伝子を切り出し、イントロンを使用して、昆虫細胞によって認識され、細胞の正常なRNAプロセシング装置によって切り出される細菌宿主における毒性遺伝子の任意の発現を終止するという点で第2のアプローチの概念を満足するベクターに連結させることが可能であり得る。細胞のトランスフェクションは、実施例5に記載のように達成され得る。
実施例9
カルシウム放出アッセイ
主な昆虫細胞を使用するカルシウム画像化および取り込みプロトコル:
ビードル(Beadle)およびリーズ(Lees)(1988)(Cell Culture Approaches to Invertebrate Neuroscience、アカデミックプレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)、123−127頁)の方法に従い、若干の変更を加えて、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)の胚ニューロン培養を確立した。簡単に説明すると、26〜27齢の卵鞘を回収し、表面を滅菌し、背中線の下から3分の1の距離から線に沿って切開した。頭部を取り出し、シュナイダー(Schneider)のDrosophila培地(インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))に配置した。精巧なピンセットを使用して、40個の脳を個々に取り出し、700μlの「5+4」培地(「5+4」培地は5部のシュナイダー(Schneider)のDrosophila培地+4部のゴキブリ規定培地イーグル(Basal Medium Eagle)(アール(Earle)の塩を有する)(BME、シグマ(Sigma)TM、ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO)を含有した)を含有する小さなガラスバイアルに配置した。ローチBME(Roach BME)(アール(Earle)の塩を有する)は、5部のヘペス(Hepes)(1M)、1部のペニシリン/ストレプトマイシンおよび44部のBME(アール(Earle)の塩を有する)を含有した。「5+4」培地を新たに作製し、使用前に滅菌濾過(0.2μmフィルター)した。脳は、連続粉砕装置により以下のように分離した:1)脳を標準的なパスツール(Pasteur)ピペットで10回通過させた;2)得られた組織懸濁液を、本来の直径の約半分にまで先端を火炎加工したパスツール(Pasteur)ピペットでさらに5回通過させた;3)最後の5回は、本来の直径の半分よりわずかに小さくなるように先端を火炎加工したパスツール(Pasteur)ピペットを使用して、実施した。反復ピペッターを使用して、得られた懸濁液の5μl容積を、予めポリ−L−リジン(0.2mg/ml溶液)で被覆した96ウェルガラス底プレートの各ウェルの中心に分配した。27〜29℃で50分間のインキュベーション中にウェルの底に細胞を付着させた。レイボビッツ(Leibovitz)のL−15培地およびユンケル(Yunker)の改変グレース(Grace)の培地の1:1混合物の150μlを添加し、使用するまでプレートを湿式インキュベーター中、27〜29℃で維持した。細胞を付着させた後、ウェルをレイボビッツ(Leibovitz)のL−15培地およびユンケル(Yunker)の改変グレース(Grace)の培地の1:1混合物で満たした(レイボビッツ(Leibovitz)のL−15培地およびグレース(Grace)の培地は、インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA)から得、ユンケル(Yunker)の改変グレース(Grace)の培地は、5mgのL−メチオニン、10mgのL−アラニン、182mgのMgCl・6HO、1gのアルブミン画分V、7mlのウシ胎児血清、10mlのニワトリ胚抽出物、2mlのペニシリン/ストレプトマイシン、および2mgの20−ヒドロキシエクジソン(添加前にエタノール中で調製)を100mlの最終容積で添加し、滅菌濾過(0.2μmフィルター)することによって改変したグレース(Grace)の培地によって作製した)。細胞は、試験時まで、高湿度インキュベーター中、29℃で維持した。
ゴキブリ神経細胞を使用するカルシウム画像化および取り込みプロトコルは以下の通りである:
細胞を、次の組成(mM):NaCl 190;CaCl 9;KCl 3.1;プロベネシッド 1;トリス(Tris)緩衝液 10;pH7.2を有する標準的な生理食塩水で濯いだ。次いで、細胞を、カルシウム感受性フルオロプローブFluo−4AM(fluoroprobe Fluo−4 AM)(2μM)およびプルロニック(Pluronic)F127(0.002%)を含有する標準的な生理食塩水中、45分間、浴槽に置いた。次いで、細胞は試験前の少なくとも15分間、標準的な生理食塩水で濯いだ。試験前の時間内に、標準的な生理食塩水を、有機カチオンチャンネルブロッカーのピモジド(10μM)を含有する標準的な生理食塩水で置き換えて、電位依存性カルシウムチャンネルを介する外部カルシウムのカルシウムの流入を阻害した。96ウェルプレートを、ニコン・ディアフォト(Nikon Diaphot)顕微鏡上に装架したプライアー(Prior)TM電動ステージ上に配置し、20×フルオアー(Fluor)対物レンズ(NA 0.75)を使用して、画像撮影した。96ウェルプレート由来の個々のウェルを、連続的に495nmの光で励起し、530nmで放射した蛍光を、2ピクセルビニング(画像サイズ672×512ピクセル)を有するハママツ(Hamamatsu)ORCA ERデジタルカメラを使用して、検出した。
ユニバーサル・イメージング・コーポレーション(Universal Imaging Corporation)のメタモルフ(MetaMorph)TM画像ソフトウェア(ユニバーサル・イメージング(Universal Imaging)、ペンシルバニア州ウエストチェスター(West Chester,PA))を使用して、取り込みコントロール、画像処理および画像解析を行った。各ウェルについて、一連の3枚の「コントロール」画像を取り込んだ。実験化合物を添加し、続いて、各ウェルについて4枚の「実験」画像を取り込んだ。最後に、ポジティブコントロール化合物(表7のグループ2由来のGN類似体)を添加し、各ウェルについて2枚の「標準」画像を取り込んだ。実験およびポジティブコントロール化合物はマルチチャンネルピペッターを介して添加したが、自動流体システムを使用することも可能である。
単一または複数の試験プレートの画像取り込みの完了後、それぞれの個々のウェルからの9枚の画像のスタックに対し、次の操作よりなる取り込み後の画像処理を実施した:(1)画像スタックにおける各ピクセルについての最大グレー値の複合よりなる「分類」画像を作成した。次いで、この「分類」画像を細胞の同定のために使用した。(2)細胞の蛍光をバックグランドまたは細胞破砕物の蛍光と区別するために、1100〜4090の間の値を有するピクセルを含む閾値(12ビット、4095の最大値)を設定した。(3)次の形態的基準を満たすことに基づいて、個々の細胞を同定した:(a)細胞の外辺部が98〜750ピクセルの総面積を有すること、(b)細胞の形状が、縦対横の比として測定して、本来、長円形または円形である(1.0〜2.5)こと、および(c)細胞は、目的の領域(上記の第2の操作において閾値によって除外されたグレー値を有するピクセル)において「穴」が認められないこと。そのようなパラメータは、この細胞タイプについて実験的に最適化されている。
上記の「分類」から、同定されたそれぞれの細胞の周縁に沿って目的の画像領域(RIO)を作成し、それぞれのROIに対する平均ピクセル値を測定した。スタックのそれぞれの画像について、この測定を反復した。96ウェルプレート上のそれぞれのウェルにわたって、類似の計算を行い、すべてのデータを、マイクロソフト(Microsoft)エクセル(Excel)TMなどのスプレッドシートプログラムに記録した。内部カルシウム貯蔵の化合物刺激型放出の結果、遊離の細胞内[Ca2+]が増加し、それによって、フルオ−4(Fluo−4)の蛍光放射が増大した。あるいは、フルオ−3AM(Fluo−3 AM)、フラ−2AM(Fura−2 AM)または他のカルシウム感受性フルオロプローブ(fluoroprobe)を使用することも可能である。
組換え昆虫細胞株を使用するカルシウム画像化および取り込みプロトコル
昆虫リアノジン受容体を一過的に発現する組換え体Spodopterafrugiperda細胞株、Sf9の懸濁液の数滴を、ポリ−L−リジン被覆カバースリップ上に配置し、付着させた。次いで、細胞を、次の組成(mM):NaCl 130;KCl 5.4;MgCl 1.2;CaCl 1.0;NaHCO 4.2;NaHPO 7.3;グルコース 10;スクロース 63;MES 20;pH6.3を有する標準的な生理食塩水で濯いだ。次いで、細胞を、カルシウム感受性フルオロプローブフラ−2 AM(fluoroprobe Fura−2 AM)(2μM)、およびプルロニック(Pluronic)F127(0.002%)を含有する標準的な生理食塩水中、30分間、浴槽に置いた。細胞は試験前の少なくとも15分間、標準的な生理食塩水で濯いだ。細胞株は機能的な電位依存性カルシウムチャンネルを欠くため、試験は標準的な生理食塩水中で行った。
40×油浸対物レンズ(NA1.3)を有するニコン・ディアフォト(Nikon Diaphot)顕微鏡を使用して、画像化研究を行った。画像取り込みおよび処理は、ユニバーサル・イメージング・コーポレーション(Universal Imaging Corporation)(ペンシルバニア州ウエストチェスター(West Chester,PA))由来のメタフルオル(MetaFluor)TM画像化システムを使用して実施した。カルシウムの較正は、フラ−2(Fura−2)に対し145nMの解離定数(K)によるグリンキーウィクス(Grynkiewicz)式を使用して行った(グリンキーウィクス(Grynkiewicz)ら、1985)。細胞付着カバースリップを密閉型チャンバに配置し、ペリスタポンプを使用して、生理食塩水で細胞を連続的に潅流した。潅流液を切り換えることにより、生理食塩水に溶解した試験化合物を適用した。
安定な組換え体に関与する研究について、Drosophila melanogaster、またはHeliothis virescens由来の昆虫リアノジン受容体(あるいは、Myzus persicae、Peregrinus maidis、Aphis gossypiiなどの他の種由来の受容体)を発現するSpodopterafrugiperda細胞株、Sf9、(Sf21、S2などの他の細胞株も使用することが可能である)を、T75(または他の適切なサイズの)フラスコ中、補充されたグレース(Grace)の昆虫培地中で増殖させた。細胞は、試験時まで、インキュベーター中、22℃で維持した。細胞に、培養培地中カルシウム感受性フルオロプローブ、フラ−2 AM(fluoroprobe Fura−2 AM)(1〜2μM)およびプルロニック(Pluronic)F127(0.002%)を30分間、撹拌下で懸濁充填した。次いで、細胞を遠心分離し、ペレットを、ウェルあたり約150,000〜200,000個の細胞(96ウェルプレート)で、以下の組成(mM):NaCl 130;KCl 5.4;MgCl 1.2;CaCl 1.0;NaHCO 4.2;NaHPO 7.3;グルコース 10;スクロース 63;MES 20;pH 6.3を有する生理食塩水に再懸濁した。30分間の平衡化期間後、デュアル波長励起(340nmおよび380nm)を伴うモレキュラー・デバイス(Molecular Devices)のフレックスステーション(FlexStation)TMシステムを使用して、細胞プレートを試験し、510nmで蛍光放射を測定した。組み込み型流体素子を使用して、試験およびコントロールサンプルを添加し、細胞内カルシウムを2分間の期間、モニターした。
上記のプロトコルを使用して、図3は、Drosophila melanogasterリアノジン受容体を一過的に発現する組換え体Sf9細胞上のリアノジン受容体アゴニスト、カフェイン(10mM)およびCpd16(10および100nM)に対する応答を実証する(図3)。同様に、Sf9細胞において一過的に発現される組換え体Heliothis virescensリアノジン受容体は、図4に示されるように、カフェイン(10mM)およびCpd5(3μM)による攻撃後、細胞質ゾル[Ca2+]の増加を示した。脂質のみ(−DNA)をトランスフェクトされた細胞またはトランスフェクトされていない細胞は、カフェイン(10mM)アントラニルアミド化学に対して有意な応答を示さなかった。一過的に発現する細胞で観察されるように、カフェインおよびアントラニルアミド化学は、図5に示されるように、組換え体Heliothis virescensリアノジン受容体を発現する安定にトランスフェクトされたSf9細胞において、カルシウム流動化を誘導する。さらに、図6では、野生型Sf9細胞がカフェインに対して非感受性である一方、組換え体Drosophila melanogasterリアノジン受容体を発現する安定にトランスフェクトされたSf9細胞は、用量依存性のカルシウム流動化を示す。
あるいは、励起および蛍光放射取り込みならびに流体の取り扱いについては、モレキュラー・デバイス(Molecular Devices)のFLIPRTMシステムなどの全プレートに基づく画像化リーダーを使用して、得ることができる。
上記のプロトコルを使用して、公開された文献からの多くの既知のリアノジン受容体因子は、(胚神経細胞における)生来のゴキブリリアノジン受容体および一過的または安定的に発現される組換え体Drosophila melanogaster受容体(Sf9細胞において発現される)に対して評価されており、結果を表6に示す。
Figure 2006516884
Figure 2006516884
実施例10
ゴキブリ筋膜の調製
放射性リガンド結合研究のためのゴキブリ大体筋由来の膜の調製のための手順については、本質的に、シュミット(Schmitt)ら(1996)Pesticide Science 48:375−385に記載の通りである。関与する工程の簡単な説明は以下の通りである:
6〜9週齢のゴキブリ由来の中肢および後肢を摘出し、直ちに液体窒素中に配置した。必要であれば、さらなる画分の前に、摘出した肢を−80℃で数ヶ月間貯蔵することができる。典型的に、膜の調製は、約55g(湿重量)の摘出した肢から始めた。その後のすべての工程は4℃で行った。
50mM Tris−HCL、pH7.4を、1g(湿重量)の肢に対して9mlの割合で添加した。ポリトロン(Polytron)(ブリンクマン・インスツルメンツ(Brinkmann Instruments)、ニューヨーク州ウエストバリー(Westbury,NY))を、2分間、設定番号3で使用して、氷上で肢を均質化した。小皮(cuticle)のすべての画分を取り出すために、ホモジネートを、まず、2層のチーズクロスを介して、次いで、2層のチーズクロスの上に重ねた1層のガラスウールを介して通過させた。時々、すべての材料が通過する前に、粒子でチーズクロスが目詰まりした。そのような場合、新しいチーズクロス(およびガラスウール)を、残りの懸濁液のために使用した。ろ液を50ml遠心チューブに回収し、Sorvall SS−34ローター中、1,950×gmaxで20分間、遠心分離した。懸濁液を回収し、30分間、30,000×gmaxで遠心分離した。得られたペレットを緩衝液A(1.5M KCl、0.3Mスクロール、0.5mM CaCl、20mM Tris−HCl、pH8.0)に再懸濁した。膜懸濁液を、ガラス−テフロン・ホモジナイザーを使用して、手動(約25ストローク)で均質化した。懸濁液のタンパク質濃度を、ローリー(Lowry)ら(1951)J.Biol.Chem.193:265−275の方法で決定した。続いて、緩衝液Aの添加によって、膜懸濁液を4μgタンパク質/μlに調整し、次いで、1mlのアリコートで、−80℃で貯蔵した。
実施例11
放射性リガンド結合アッセイ
使用したリアノジンは、シグマ(Sigma)(ミズーリ州セントルイス)から得た。
以下の化合物の構造を図2および表7に示す。
1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(Cpd 5)は、デュポン(DuPont)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE))で調製した。
N−[4−ブロモ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1−(2−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(Cpd 4)は、デュポン(DuPont)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE))で調製した。
H]−リアノジン(リアノジン[9,21−H(N)])は、パーキンエルマーTM・ライフ・サイエシズ(PerkinElmerTM Life Sciences)(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))から得た。1−(2−フルオロフェニル)−N−[2−メチル−4−トリチオ−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサイミド(Cpd 1)は、パーキンエルマーTM・ライフ・サイエンシズ(PerkinElmerTM Life Sciences)(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))によりN−[4−ブロモ−2−メチル−6−[[(1−メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1−(2−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(Cpd4)から21Ci/mmolで調製された。
ゴキブリ大腿筋膜に結合する[H]−GN類似体[Cpd1]:
飽和結合アッセイのために、アッセイ混合物(200μl全容積/ウェル;96ウェル、U底、ポリプロピレンプレート)は、163μlの緩衝液B(0.375M KCL、0.3Mスクロース、0.0005M CaCl、0.020M Tris−HCl、pH8.0)、DMSO中多様な濃度のCpd1の10μl、および2μlのDMSOを含有した。「非特異的結合」の決定のために、DMSOを、対応する「全」結合チューブにおける0.001Mリアノジン+Cpd1の濃度の1,000倍濃厚な濃度のCpd5を組み合わせた溶液(DMSO中)の2μlで、置き換えた。アッセイは、2μg/μlのゴキブリ筋膜(解凍および等容積の緩衝液Bの添加によって調製した)の25μlの添加で開始し、インキュベーションを60分間、32℃で行った。アッセイは、3回の反復測定で行った。
選択された化合物によるCpd1の置き換えは、以下の通りであった:163μlの緩衝液B、2μlの0.001Mリアノジン(DMSO中)および25μlのゴキブリ筋膜(上記のように2μg/μlで調製した)を含有する各ウェルに対し、DMSO中の多様な濃度の選択された化合物の2μlを添加した。化合物を、膜と共に、10分間、32℃で予めインキュベートさせた。プレインキュベーション後、DMSO中625nM Cpd1の8μlを添加し、インキュベーションを60分間、32℃で、進行させた。アッセイは、3回の反復測定で行った。
インキュベーション後、アッセイを、氷冷緩衝液Bで終了させ、予め湿潤させたユニフィルター96GF/B(Unifilter 96 GF/B)フィルターマイクロプレート上で、ユニフィルター96ハーベスター(Unifilter 96 Harvester)(パーキンエルマーTM(PerkinElmer)、(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))を使用して、直ちにろ過した。次いで、各アッセイウェルを、10回、緩衝液Bで洗浄し、同じフィルターマイクロプレート上で回収した。次いで、フィルターマイクロプレートを真空オーブン中に、32℃で、3時間配置し、続いて、50μlのマイクロシント0(Microscint 0)(パーキンエルマーTM(PerkinElmer)、(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))を各ウェルに添加した。次いで、プレートを加熱密封し、トップカウント(Topcount)マイクロプレートシンチレーションカウンター(パーキンエルマーTM(PerkinElmer)、(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))を使用して、計数した。
ゴキブリ大腿筋膜への[H]−リアノジンの結合
飽和結合アッセイのために、アッセイ混合物(200μl全容積/ウェル;96ウェル、U底、ポリプロピレンプレート)は、155μlの緩衝液A(1.5M KCL、0.3Mスクロース、0.0005M CaCl、0.020M Tris−HCl、pH8.0)、エタノール中多様な濃度の[H]−リアノジンの10μl、および10μlのDMSOを含有した。「非特異的結合」の決定のために、DMSOを、対応する全結合チューブにおける[H]−リアノジンの濃度の1,000倍濃厚な濃度の10μlのリアノジン(DMSO中)の10μlのリアノジンで、置き換えた。アッセイは、2μg/μlのゴキブリ筋膜(解凍および等容積の緩衝液Aの添加によって調製した)の25μlの添加で開始し、インキュベーションを60分間、32℃で行った。アッセイは、3回の反復測定で行った。
選択された化合物による[H]−リアノジンの置き換えは、以下の通りであった:155μlの緩衝液A、および25μlのゴキブリ筋膜(上記のように2μg/μlで調製した)を含有する各ウェルに対し、DMSO中の多様な濃度の選択された化合物の10μlを添加した。化合物を、膜と共に、10分間、32℃で予めインキュベートさせた。プレインキュベーション後、エタノール中200nM[H]−リアノジンの10μlを添加し、インキュベーションを60分間、32℃で、進行させた。アッセイは、3回の反復測定で行った。
インキュベーション後、アッセイを、氷冷緩衝液Aで終了させ、予め湿潤させたユニフィルター96GF/B(Unifilter 96 GF/B)フィルターマイクロプレート上で、ユニフィルター96ハーベスター(Unifilter 96 Harvester)(パーキンエルマーTM(PerkinElmer)、(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))を使用して、直ちにろ過した。次いで、各アッセイウェルを、10回、緩衝液Aで洗浄し、同じフィルターマイクロプレート上で回収した。次いで、フィルターマイクロプレートを真空オーブン中に、32℃で、3時間配置し、続いて、50μlのマイクロシント0(Microscint 0)(パーキンエルマーTM(PerkinElmer)、(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))を各ウェルに添加した。次いで、プレートを加熱密封し、トップカウント(Topcount)マイクロプレートシンチレーションカウンター(パーキンエルマーTM(PerkinElmer)、(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA))を使用して、計数した。
実施例12
Drosophila melanogasterリアノジン受容体遺伝子のための発現ベクター
公開されたDrosophila melanogasterのリアノジン受容体遺伝子配列(NCBI受託番号D17389)に基づいて、2つのプライマー(配列番号141、5’−accaccttaattaattccgatttggaggcgctgcg−3’;および配列番号142、5’−gcctccgtttaaacgaccgtccagtgccagtgtgaag−3’)を設計した。これらのプライマーは、実施例1の条件に従い、成虫Drosophila melanogaster(クロンテック(Clontech))をテンプレートとして使用するロングPCR反応に使用した。全長リアノジン受容体遺伝子をpCR−XL−TOPO(登録商標)ベクター(インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)TM、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA))にクローニングし、その後、全長遺伝子を、実施例2に記載のように、改変されたpIBV5HisまたはpFASTBacへサブクローニングした。
図1は、本明細書において開示された方法によって作製されたキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)配列(配列番号10)、Drosophila art配列(NCBI一般識別番号(General Identifier)gi17352471、配列番号56)、蚊(Anopheles gambiae)ゲノム配列決定プロジェクト由来の未注釈配列(gi21301556、配列番号57)、線虫由来のリアノジン受容体(Caenorhabditis elegans、gi1871447、配列番号58)、ウニ(Hemicentrotus pulcherrimus、gi18656155、配列番号59)、マウス(Mus musculus、gi13569850、配列番号60)、ウサギ(Oryctolagus cuniculus、gi1245376、配列番号61)、およびヒト(Homo sapiens、gi4506757、配列番号62)と比較した鱗翅目種、タバコガ(Heliothis virescens、配列番号2、128、130、144および146)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae、配列番号4)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii、配列番号6)、およびトウモロコシウンカ(Peregrinus maidis、配列番号8)由来の5つのリアノジン受容体の推定アミノ酸配列のアライメントを示す。昆虫特異的配列は、すべての昆虫配列の間で保存されているが、非昆虫配列の間には認められない相同的部分配列を見出すことによって、同定することができる。これらの配列の多くは、配列番号63〜119において見出すことができる。 図2は、実施例9において提示されるカルシウム放出アッセイ、または実施例11において提示される放射性標識結合研究において使用された3つのクラスのアントラニルアミドの化学構造を示す。 図3は、Drosophila melanogasterリアノジン受容体を一過的に発現する組換えSpodoptera frugiperda細胞株(Sf9)からカフェインまたは化合物16(表7)のいずれかによって誘発されるカルシウム応答の例を示す。トランスフェクション96時間後、リアノジン受容体アゴニスト、カフェイン(10mM)および化合物16(10および100nM)で細胞を攻撃した。DNAを伴わないコントロール細胞におけるカフェイン(10mM)または化合物16(10および100nM)では、有意なカルシウム応答は観察されなかった。 図4は、組換えHeliothis virescensリアノジン受容体を一過的に発現する組換えSpodoptera frugiperda細胞株(Sf9)からカフェインまたは化合物5(表7)のいずれかによって誘発されるカルシウム応答の例を示す。トランスフェクション72時間後、リアノジン受容体アゴニスト、カフェイン(10mM)および化合物5(3μM)で細胞を攻撃した。DNAを伴わないコントロール細胞におけるカフェイン(10mM)または化合物5(3μM)では、有意なカルシウム応答は観察されなかった。 図5は、組換えHeliothis virescensリアノジン受容体を一過的に発現する組換えSpodoptera frugiperda細胞株(Sf9)からカフェインまたは化合物14(表7)のいずれかによって誘発されるカルシウム応答の例を示す。リアノジン受容体アゴニスト、カフェイン(10mM)および化合物14(1μM)で細胞を攻撃した。Sf9細胞をガラスカバースリップに付着させ、次いで、カルシウムプローブフラ−2 AM(Fura−2 AM)で充填し、カルシウム画像化システムを使用してアッセイして、カルシウム流動をモニターした。 図6は、野生型Spodoptera frugiperda(Sf9−WT)、およびDrosophila melanogaster(Sf9−DryR)リアノジン受容体を安定的に発現する組換えSf9細胞に関するカフェイン用量応答曲線を示す。Sf9細胞をカルシウムプローブフラ−2(Fura−2)で充填し、次いで、96ウェルマイクロタイタープレートに配置し、組み込み型流体素子を有するモレキュラー・デバイス・フレックスステーションTM(Molecular Devices’FlexStationTM)プレートリーダーを使用してアッセイして、カルシウム流動をモニターした。 図7は、pHE7の構築の略図を示す。明快にするために、DNAフラグメントは一定のスケールでは描いておらず、環状プラスミドを線状様式で示し、プラスミドの関連部分のみを示す。
【配列表】
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Claims (33)

  1. (a)配列番号2、4、6、8、128、130、144、および146よりなる群から選択されるポリペプチドと比較する場合、少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するリアノジン受容体をコードする核酸配列;または
    (b)(a)の相補体
    を含んでなる単離されたヌクレオチドフラグメント。
  2. 配列同一性が少なくとも85%である請求項1に記載の単離された核酸フラグメント。
  3. 配列同一性が少なくとも90%である請求項1に記載の単離された核酸フラグメント。
  4. 配列同一性が少なくとも95%である請求項1に記載の単離された核酸フラグメント。
  5. ポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、または146のアミノ酸配列を含んでなる請求項1に記載の単離された核酸フラグメント。
  6. 配列番号1、3、5、7、9、127、129、143、または145のヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸フラグメント。
  7. 少なくとも1つの調節配列に操作可能に連結された請求項1または5に記載の単離された核酸フラグメントを含んでなる組換え構築物。
  8. 請求項7に記載の組換え構築物を含んでなる形質転換された宿主細胞。
  9. 前記細胞は大腸菌(E.coli)、酵母、Sf9、Sf21、S2、アフリカツメガエル卵母細胞(Xenopus oocytes)、HEK−293およびCHOよりなる群から選択される請求項8に記載の宿主細胞。
  10. (a)配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、および146と他のイオンチャンネルおよび受容体ポリペプチド配列とを比較し;
    (b)工程aにおいて得られる4もしくはそれ以上のアミノ酸の保存配列を同定し;
    (c)工程bにおいて同定される保存配列に基づいて縮重オリゴマーを設計し;そして
    (d)工程cの縮重オリゴマーを使用して、配列依存的プロトコルによって、リアノジン受容体活性を有するポリペプチドをコードする配列を単離する
    ことを含んでなる、リアノジン受容体および関連ポリペプチドをコードする核酸フラグメントを単離するための方法。
  11. リアノジン受容体活性を有する単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドのアミノ酸配列と配列番号2、4、6、8、128、130、144、または146のアミノ酸配列とが少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド。
  12. 該ポリペプチドのアミノ酸配列と配列番号2、4、6、8、128、130、144、または146のアミノ酸配列とが少なくとも85%の同一性を有する請求項11に記載のポリペプチド。
  13. 該ポリペプチドのアミノ酸配列と配列番号2、4、6、8、128、130、144、または146のアミノ酸配列とが少なくとも90%の同一性を有する請求項11に記載のポリペプチド。
  14. 該ポリペプチドのアミノ酸配列と配列番号2、4、6、8、128、130、144、または146のアミノ酸配列とが少なくとも95%の同一性を有する請求項11に記載のポリペプチド。
  15. 該ポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号2、4、6、8、10、128、130、144、または146のアミノ酸配列を含んでなる請求項11に記載のポリペプチド。
  16. カルシウムホメオスタシスを調整する能力について、少なくとも1つの化合物を評価するための方法であって、以下の工程:
    (a)請求項7に記載の組換え構築物で宿主細胞を形質転換し;
    (b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主細胞を増殖させ、ここで、組換え構築物の発現はカルシウムホメオスタシスの変更を生じ;
    (c)試験しようとする化合物で、工程(a)の形質転換された宿主細胞を処置し、そして
    (d)カルシウム放出を変更する能力を有する化合物を選択するために、試験化合物による細胞内カルシウムホメオスタシスの変化を測定する
    ことを含んでなる方法。
  17. リアノジン受容体活性を調整する少なくとも1つの化合物を評価するための方法であって、以下の工程:
    (a)少なくとも1つの化合物と請求項1に記載の単離された核酸フラグメントによりコードされるポリペプチドとを接触させ;そして
    (b)前記ポリペプチドを化合物と接触させた後、(a)のポリペプチドのリアノジン受容体活性を評価する
    ことを含んでなる方法。
  18. 方法がリガンド結合アッセイである請求項16または17に記載の方法。
  19. 該方法が形質転換された宿主細胞の機能的活性に対する化合物の効果を検出することによって機能的活性を評価することに基づく請求項16に記載の方法。
  20. ポリペプチドが1つを超える化合物と接触される請求項19に記載の方法。
  21. 配列番号63〜119のいずれかに記載の少なくとも2つのポリペプチド配列を含んでなる昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントであるが、但し、前記ポリペプチド配列が配列番号56、120〜126のいずれをも含まない単離された核酸フラグメント。
  22. a)少なくとも100アミノ酸を有する第1のポリペプチドをコードする単離された核酸配列を得て;
    b)第1のポリペプチド配列と、配列番号63〜119よりなる群から選択される比較ポリペプチド配列とを比較して、第1のポリペプチドと比較ポリペプチドとの間で100%の配列同一性を有する領域を同定し、ここで、前記領域は比較ポリペプチドと同じ長さであり;そして
    c)異なる比較ポリペプチド配列で工程(b)を反復し、ここで、前記異なる比較ポリペプチド配列は、100%の配列同一性を有する第2の領域が見出されるまで、配列番号63〜119よりなる群から選択され、ここで、前記第2の領域は異なる比較ポリペプチドと同じ長さである
    ことを含んでなる、昆虫イオンチャンネルをコードする核酸配列を同定するための方法。
  23. 第1のポリペプチドが100〜6,000アミノ酸の長さを有する請求項22に記載の方法。
  24. a)毒性昆虫イオンチャンネル核酸に操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物で宿主を形質転換し、
    ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された転写終止核酸フラグメントを含んでなり、
    さらにここで、転写終止核酸フラグメントは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接され;そして
    b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
    ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法。
  25. a)毒性昆虫イオンチャンネル核酸に操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物で宿主を形質転換し、
    ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンを含んでなる核酸フラグメントを含んでなり、
    さらにここで、翻訳終止コドンを含んでなる核酸フラグメントは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接され;そして
    b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
    ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法。
  26. a)毒性昆虫イオンチャンネル核酸に操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物で宿主を形質転換し、
    ここで、プロモーターは、少なくとも1つの転写終止核酸フラグメントおよび前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンより本質的になる核酸フラグメントを含んでなり、
    さらにここで、転写終止核酸フラグメントおよび翻訳終止コドンは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接され;そして
    b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
    ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法。
  27. a)毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物で宿主を形質転換し、
    ここで、前記フラグメントはまた、前記フラグメントの発現を妨害するイントロンを含んでなり、そして
    b)組換え構築物の発現に適切である条件下で形質転換された宿主を増殖させる
    ことを含んでなる、毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントを発現させるための方法。
  28. 削除可能な配列はlox配列である請求項24、25または26のいずれか1項に記載の方法。
  29. 毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物であって、
    ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された転写終止核酸フラグメントを含んでなり、
    さらにここで、転写終止核酸フラグメントは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接される組換え構築物。
  30. 毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物であって、
    ここで、プロモーターは前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンを含んでなる核酸フラグメントを含んでなり、
    さらにここで、翻訳終止コドンを含んでなる核酸フラグメントは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接される組換え構築物。
  31. 毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物であって、
    ここで、プロモーターは、少なくとも1つの転写終止核酸フラグメントおよび前記プロモーターと毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントとの間に設置された少なくとも1つのインフレーム翻訳終止コドンより本質的になる核酸フラグメントを含んでなり、
    さらにここで、転写終止核酸フラグメントおよび翻訳終止コドンは、削除可能な配列より本質的になる少なくとも1つの核酸配列によって各末端上において隣接される組換え構築物。
  32. 削除可能な配列がlox配列である請求項29、30または31のいずれか1項に記載の組換え構築物。
  33. 毒性昆虫イオンチャンネルをコードする単離された核酸フラグメントに操作可能に連結されたプロモーターを5’から3’方向で含んでなる組換え構築物であって、
    ここで、前記単離された核酸フラグメントはまた、毒性昆虫イオンチャンネルの発現を妨害するイントロンを含んでなる組換え構築物。
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