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JP2006037875A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置 Download PDF

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JP2006037875A
JP2006037875A JP2004220289A JP2004220289A JP2006037875A JP 2006037875 A JP2006037875 A JP 2006037875A JP 2004220289 A JP2004220289 A JP 2004220289A JP 2004220289 A JP2004220289 A JP 2004220289A JP 2006037875 A JP2006037875 A JP 2006037875A
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Eri Imai
恵里 今井
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】 始動直後にリッチ空燃比で運転し、その後に空燃比フィードバック制御を開始してからストイキ点に収束させるまでの間、適正なフィードバック補正量のリミット値を設定して、良好な空燃比制御を維持できるようにする。
【解決手段】 目標空燃比補正係数TFBYAのリッチ分を始動後徐々に減少させつつ、O2センサ活性判定後に、前記リッチ分を空燃比フィードバック補正係数ALPHAに増量分として置き換えて、空燃比フィードバック制御を開始すると同時に、空燃比フィードバック補正係数ALPHAの上下限のリミット値αmax、αminを、前記空燃比フィードバック制御開始時の補正係数ALPHA0を基準とし、これより所定量大きい値と所定量小さい値を初期値とし、以後、ストイキ空燃比に対応するリミット値ALPMAX、ALPMINとなるまで、空燃比フィードバック制御の積分分と同一量ずつ減少させて設定する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、エンジンの空燃比制御装置に関し、特に、始動直後にリッチ空燃比で運転し、その後に空燃比フィードバック制御を開始してからストイキ点に収束させるまでの間、支障なく制御することのできるようにした技術に関する。
特許文献1には、始動直後に空燃比をリッチ化し、時間経過と共に空燃比を徐々にストイキに収束させるように設定される目標空燃比補正係数TFBYAと、空燃比フィードバック制御条件にて空燃比センサからの信号に基づいて空燃比をストイキに収束させるように設定される空燃比フィードバック補正係数ALPHAとを用いて、燃料噴射量を演算・制御するエンジンの空燃比制御装置において、空燃比センサの活性検出後、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分を0にすると共に、その増量分を空燃比フィードバック補正係数ALPHAに上乗してから、空燃比フィードバック制御に移行することが開示されている。
特開2001−234779号公報
空燃比フィードバック制御においては、何らかの原因で空燃比フィードバック補正係数が大きくなりすぎたり、小さくなりすぎたりすると、過剰にリッチ化またはリーン化されて運転性、排気浄化性能が損なわれることとなる。そこで、これを防止するため、空燃比フィードバック補正係数(フィードバック補正量)の上下限のリミット値を設定して、過剰な値とならないように制限している。
しかしながら、上記特許文献1に示されたような始動時の空燃比制御を行う場合、前記上下限のリミット値は、目標空燃比(一般に理論空燃比)相当のフィードフォワード制御量に対して補正がなされないフィードバック補正量(例えばフィードフォワード制御量に乗じられる補正係数として設定される場合、1.0)を基準として固定値として設定されているため、以下のような問題を生じる。
すなわち、空燃比センサの活性が早く、前記目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分が大きいリッチ度合いが大きい状態で空燃比フィードバック制御が開始されると、前記目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分を空燃比フィードバック補正係数ALPHAに変換した値が、前記上限リミット値を超えることがあり、この場合、変換される空燃比フィードバック補正係数ALPHAの初期値は、上限リミット値によって制限されてしまうため、補正量が不足してトルク段差が生じ、運転性や排気浄化性能が悪化してしまう(図6の比較例参照)。
また、何らかの原因で、空燃比フィードバック補正係数ALPHAが前記下限リミット値まで減少してしまうと、過剰にリーン化して失火してしまうことも懸念される。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、空燃比フィードバック制御開始直後のフィードバック補正量のリミット値を適正に設定することにより、フィードバック補正量の制限が適正になされて、運転性,排気浄化性能を良好に維持することを目的とする。
このため、本発明は、始動後、空燃比センサの活性後に空燃比センサの出力に基づく空燃比フィードバック制御が開始されてから、空燃比がストイキに収束されるまでの間、前記空燃比フィードバック制御開始時の空燃比状態に応じたフィードバック補正量を基準として、空燃比がストイキに収束されるまでの間のフィードバック補正量のリミット値を設定する構成とした。
本発明によれば、空燃比リッチ状態で空燃比フィードバック制御が開始されたときのリッチ増量分が大きい場合でも、該空燃比フィードバック制御開始時のフィードバック補正量を基準として上限リミット値が設定されるので、該上限リミット値により制限されることなく、増量分不足によるトルク段差を生じることなく、空燃比フィードバック制御により滑らかにストイキに収束させることができ、運転性,排気浄化性能を良好に維持することができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すエンジン(内燃機関)のシステム図である。
エンジン1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2から吸気ダクト3、スロットル弁4、吸気マニホールド5を経て空気が吸入される。吸気マニホールド5の各ブランチ部には各気筒毎に燃料噴射弁6が設けられている。但し、燃料噴射弁6は燃焼室内に直接臨ませる配置としてもよい。
燃料噴射弁6は、ソレノイドに通電されて開弁し、通電停止されて閉弁する電磁式燃料噴射弁(インジェクタ)であって、後述するエンジンコントロールユニット(以下ECUという)12からの駆動パルス信号により通電されて開弁し、図示しない燃料ポンプから圧送されてプレッシャレギュレータにより所定圧力に調整された燃料を噴射供給する。従って、駆動パルス信号のパルス幅により燃料噴射量が制御される。
エンジン1の各燃焼室には点火プラグ7が設けられており、これにより火花点火して混合気を着火燃焼させる。
エンジン1の各燃焼室からの排気は、排気マニホールド8を介して排出される。また、排気マニホールド8からEGR通路9が導出され、これによりEGR弁10を介して排気の一部を吸気マニホールド5に還流している。
一方、排気通路には、排気マニホールド8の直下などに位置させて、排気浄化触媒11が設けられている。
ECU12は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイクロコンピュータを備え、各種センサからの入力信号を受け、後述のごとく演算処理して、燃料噴射弁6の作動を制御する。
前記各種センサとしては、エンジン1のクランク軸又はカム軸回転よりクランク角度と共にエンジン回転速度Neを検出可能なクランク角センサ13、吸気ダクト3内で吸入空気量Qaを検出するエアフローメータ14、スロットル弁4の開度TVOを検出するスロットルセンサ15(スロットル弁4の全閉位置でONとなるアイドルスイッチを含む)、エンジン1の冷却水温Twを検出する水温センサ16、排気マニホールド8の集合部にて排気空燃比のリッチ・リーンに応じた信号を出力する空燃比センサとしてのO2センサ17などが設けられている。尚、O2センサ17はヒータを内蔵しており、始動時からヒータに通電して素子温度を上昇させることで早期活性化を図ることができる。ECU12には更にスタートスイッチ18などからも信号が入力されている。
図2は、ECU12にてエンジン始動後(スタートスイッチON→OFF後)に時間同期または回転同期で実行される燃料噴射量演算ルーチンのフローチャートである。なお、始動時燃料噴射量は別の方法で演算される。
S1では、エアフローメータにより検出される吸入空気量Qaと、クランク角センサにより検出されるエンジン回転速度Neとを読込む。尚、吸入空気量Qaについては、検出信号に基づいて平滑化処理を行うが、フローでは省略した。
S2では、吸入空気量Qaとエンジン回転速度Neとから、次式により、基本燃料噴射量(基本噴射パルス幅)Tpを演算する。
Tp=K×Qa/Ne 但し、Kは定数。
S3では、後述のごとく設定される目標空燃比補正係数(始動後空燃比リッチ化補正係数)TFBYA、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを読込み、次式により、最終的な燃料噴射量(噴射パルス幅)Tiを演算する。
Ti=Tp×TFBYA×ALPHA
目標空燃比補正係数TFBYA、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは、共に、基準値(ストイキ相当値)を1とする。
尚、燃料噴射量(噴射パルス幅)Tiの演算には、この他、スロットル開度TVOの変化に基づく過渡補正や、バッテリ電圧に基づく無効噴射パルス幅の加算等がなされるが、ここでは省略した。
燃料噴射量Tiが演算されると、このTiに相当するパルス幅の駆動パルス信号がエンジン回転に同期して各気筒毎に所定のタイミングで燃料噴射弁6に出力されて、燃料噴射が行われる。
次に目標空燃比補正係数(始動後空燃比リッチ化補正係数)TFBYA、空燃比フィードバック補正係数ALPHAの設定について説明する。
図3はECU12にて実行される始動後の空燃比制御の流れを示すフローチャートであり、これにより始動後の目標空燃比補正係数TFBYA及び空燃比フィードバック補正係数ALPHAが設定される。
S11では、始動時の水温Twを検出し、これに応じて、始動後増量率の初期値KAS、及び、その後の単位減量率ΔKを設定する(次式参照)。
KAS=f1(Tw)
ΔK=f2(Tw)
具体的には、始動時水温Twが低いほど始動後増量率の初期値KASを大きく設定し、また、始動時水温Twが低いほど時間をかけて減量するように単位減量率ΔKを小さく設定する。
S12では、目標空燃比補正係数TFBYAを始動後増量率KASに基づいて設定し、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは1に固定する(次式参照)。
TFBYA=1+KAS
ALPHA=1
ここでの設定値が始動後初回の燃料噴射量Tiの演算に用いられ、目標空燃比補正係数TFBYAにより、空燃比がリッチ化される。
その後、S13では、時間同期で、始動後増量率KASを単位減量率ΔK分ずつ減少させ(KAS=KAS−ΔK)、減少させた始動後増量率KASに基づいて、目標空燃比補正係数TFBYAを算出することで(TFBYA=1+KAS)、目標空燃比補正係数TFBYAを減少させる。但し、KAS≧0とし、TFBYA≧1とする。
S14では、O2センサが活性したかを判定する。具体的な活性判定方式としては、O2センサの出力電圧VO2が予め定めたリッチ側活性判定スライスレベルRSLを超えてから所定時間を経過したときに活性したと判定し、NOの場合は、S13へ戻って、目標空燃比補正係数TFBYAを減少させる。
従って、このような目標空燃比補正係数TFBYAの設定により、始動直後に空燃比をリッチ化し、その後の時間経過と共に空燃比を徐々にストイキに収束させるようにすることができる。
O2センサが活性したと判定された場合は、O2センサの出力に基づく空燃比フィードバック制御を開始するため、S14からS15へ進む。
S15では、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS)をカット、ここでは、0にすると共に、その増量分(KAS)を空燃比フィードバック補正係数ALPHAに上乗せする。
具体的には、
TFBYA=1
ALPHA=1+KAS
と操作する。
前記空燃比フィードバック補正係数ALPHAを初期値として、後述するように比例分P,積分分Iを用いたPI制御による空燃比フィードバック制御が開始される。
図4は、本発明に係る空燃比フィードバック制御におけるフィードバック補正量(空燃比フィードバック補正係数ALPHA)のリミット値を設定するルーチンのフローチャートである。
S21では、前記O2センサが活性したと判定されたときに設定される空燃比フィードバック補正係数ALPHAの初期値ALPHA0が、ストイキ空燃比を基準として設定される通常の上限リミット値ALPMAXより大きいか否かを判定する。
S21でALPHA0≦ALPMAXと判定されたときは、上限リミット値ALPMAXによって制限されることがなくトルク段差を生じないので、S22へ進んで上限リミット値αmax及び下限リミット値αminを、それぞれストイキ空燃比を基準として設定される上限リミット値ALPMAX及び下限リミット値ALPMINに等しく設定する。
S21でALPHA0>ALPMAXと判定されたときは、S23へ進み、前記初期値ALPHA0、つまり空燃比フィードバック制御開始時のフィードバック補正量を基準として上限リミット値及び下限リミット値の初期値αmax(0)、αmin(0)を次式のように設定する。
αmax(0)=ALPHA0+K
αmin(0)=ALPHA0−K
ここで、上記Kは、前記空燃比フィードバック補正係数ALPHAの初期値ALPHA0を基準として、ストイキ空燃比でのフィードバック補正量0に相当する空燃比フィードバック補正係数ALPHAの値(=1、100%)に対して、所定割合分の値(例えば、0.25、25%)として設定し、αmax(0)(=1.25、125%)、αmin(0)(=0.75、75%)とする。
上記のようにして上限リミット値及び下限リミット値の初期値αmax(0)、αmin(0)を設定した後、S24へ進み、空燃比フィードバック制御を開始する。
S25では、空燃比フィードバック制御の実行周期と同一の周期毎に、次式のように前記上限リミット値及び下限リミット値を、前回値(初回は前記初期値)から、所定値ずつ減算した値で更新する。
αmax(n)=αmax(n−1)−IID
αmin(n)=αmin(n−1)−IID
ここで、前記所定値IIDは、空燃比フィードバック制御における積分分Iと同一値に設定される。
S26では、前記上限リミット値αmax(n)が、ストイキ空燃比を基準として設定される上限リミット値ALPMAXより小さくなったかを判定し、αmax(n)≧ALPMAXである間は、S25に戻って上限リミット値αmax(n)、αmin(n)を減少させ、αmax(n)<ALPMAXと判定されたときに、S27へ進む。
S27では、αmax(n)=ALPMAX、αmin(n)=ALPMINにセットする。
ここで、前記リミット値を減少させる所定値IIDが、空燃比フィードバック制御における積分分Iと同一値に設定されているので、空燃比がリッチ状態である間は、空燃比フィードバック制御中の空燃比フィードバック補正係数ALPHAと同一量ずつリミット値が減少していって、通常の空燃比フィードバック制御時のALPMAX、αmin(n)=ALPMINに至る。すなわち、目標どおりのリッチ増量分漸減特性に沿って制御されるときのALPHAを中心として上下に等量分ずつ大きい上限リミット値と下限リミット値とが適正に設定されることとなる。
なお、S21による判定を行うことなく、空燃比フィードバック制御開始時のフィードバック補正量を基準とした上下限リミット値を設定する構成としてもよい。
図5は、空燃比フィードバック制御において時間同期で実行されるルーチンのフローチャートである。
S31では、O2センサ出力に基づいてリーン/リッチを判定する。
リーンの場合は、S32へ進み、リッチ→リーンへの反転時(前回リッチ)か否かを判定する。リッチ→リーンへの反転時の場合は、S33へ進んで、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを比較的大きく設定した比例分(比例定数)P増加させて、更新する(ALPHA=ALPHA+P)。リーン状態継続中の場合は、S34へ進んで、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを微小の積分分(積分定数)I増加させて、更新する(ALPHA=ALPHA+I)。
S35では、S33またはS34で更新された空燃比フィードバック補正係数ALPHAを、上限リミット値αmaxと比較し、ALPHA≦αmaxと判定されたときは、更新されたALPHAをS42でそのまま出力するが、ALPHA>αmaxと判定されたときは、S36でALPHA=αmaxに制限した後、S42で制限されたALPHAを出力する
S31で、リッチ判定された場合は、S37へ進み、リーン→リッチへの反転時(前回リーン)か否かを判定する。リーン→リッチへの反転時の場合は、S38へ進んで、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを比較的大きく設定した比例分P減少させて、更新する(ALPHA=ALPHA−P)。リッチ状態継続中の場合は、S39へ進んで、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを微小の積分分I減少させて、更新する(ALPHA=ALPHA−I)。
S40では、S38またはS39で更新された空燃比フィードバック補正係数ALPHAを、下限リミット値αminと比較し、ALPHA≧αminと判定されたときは、更新されたALPHAをS42でそのまま出力するが、ALPHA<αminと判定されたときは、S41でALPHA=αminに制限した後、S42で制限されたALPHAを出力する
ここで、上記のように、空燃比リッチ状態で空燃比フィードバック制御が開始され、ALPHAが積分分Iずつ減少されていき、ストイキに収束してO2センサ出力がリーン判定に反転した後、周期的にO2センサ出力がリッチ/リーン反転を繰り返しながらALPHAを増減する通常の空燃比フィードバック制御に移行する。
図6は、上記のように上下限のリミット値を用いて始動後の空燃比制御を行ったときに、目標どおりのリッチ増量分漸減特性に沿って制御された場合の様子を示す。
目標空燃比補正係数TFBYAの設定により、始動直後に空燃比をリッチ化し、その後の時間経過と共に空燃比を徐々にストイキに収束させるように制御している。
O2センサの出力がリッチ側活性判定スライスレベルRSLを超えてから所定時間経過して、O2センサの活性を検出した時点で、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS=KAS1)を0にすると共に、その増量分(KAS=KAS1)を空燃比フィードバック補正係数ALPHAに上乗せして空燃比フィードバック制御が開始される。
空燃比フィードバック制御の開始に先立ち、該開始時の空燃比フィードバック補正係数の初期値ALPHA0を基準として、既述したように上下限のリミット値の初期値αmax(0),αmin(0)が設定されるので、該上下限のリミット値に制限されることなく空燃比フィードバック制御が開始される。
その後、検出空燃比がリッチ状態である間は、空燃比フィードバック補正係数ALPHAが積分分Iずつ減少していくが、上下限のリミット値αmax,αminも同一量IIDずつ減少していくので、これらリミット値αmax,αminに制限されることなく制御が遂行され、リミット値αmax,αminがALPMAX、ALPMINまで減少すると、それ以降はALPMAX、ALPMINで固定される。
ここで、前記リミット値αmax,αminがALPMAX、ALPMINまで減少した時点で、検出空燃比がリッチ状態を継続していれば、ALPHAがストイキ相当値(=1)まで減少し、燃料噴射量がストイキ相当値に制御される。これより更にALPHAが減少して実空燃比がストイキよりリーン化されると、O2センサ出力がリーン判定されてALPHAに比例分Pが加算され、以降、周期的にO2センサ出力がリッチ/リーン反転を繰り返しながらALPHAを増減する通常の空燃比フィードバック制御に移行する。なお、燃料噴射弁による燃料噴射量特性,エアフロメーの吸入空気流量検出特性のバラツキなどにより、燃料噴射量をストイキ相当値に制御しても実空燃比がストイキに対して誤差を生じるので、O2センサ出力が初回にリーン判定される時期、つまり通常の空燃比フィードバック制御開始時期にずれを生じる。そこで、空燃比フィードバック制御時に、一般的に前記空燃比誤差を修正する空燃比学習が行われるので、ALPMAX、ALPMINを空燃比学習値分修正して設定する構成とすれば、通常の空燃比フィードバック制御開始時期におけるALPHAとリミット値αmax,αminとの偏差のずれを抑制することができる。
図7は、同上の始動時空燃比フィードバック制御を行った場合に、実空燃比が目標空燃比より過剰にリーン側となる燃料噴射量特性を有している場合の様子を示す。かかる特性を有している場合は、空燃比フィードバック制御開始後、空燃比フィードバック補正係数ALPHAの減少によってO2センサ出力がリーン判定する時期が早まり、リーン判定以後の比例分P及び積分分Iの加算によって増大する空燃比フィードバック補正係数ALPHAが、減少中の上限リミット値αmaxによって制限され、該上限リミット値αmaxに沿って減少し、αmaxがALPMAXまで減少した後、O2センサ出力がリーン判定されるまで、ALPHA=ALPMAXに維持された後、通常の空燃比フィードバック制御に移行する。例えば、低温時に、リッチ増量分の不足により揮発燃料量がストイキ空燃比における平衡状態となるのに遅れを生じるような場合に上記現象を生じる。なお、通常空燃比フィードバック制御の開始は、上記より早まる場合もあり、αmaxがALPMAXまで減少する前に、開始されることもある。
このように、上限リミット値αmaxが、目標とおりに減少された場合のALPHAに対して所定量分大きな適正値に設定されることで、空燃比フィードバック制御開始時のトルク段差を解消できる一方、ストイキに収束するまでの間、ALPHAが過剰に設定されることを防止して燃焼性、排気エミッションの悪化を防止しつつ、できるかぎり速やかに通常空燃比フィードバック制御を開始することができる。
図8は、同上の始動時空燃比フィードバック制御を行った場合に、外乱等による負荷(エアコンなど)が加わった場合の様子を示す。
上記負荷が加わると、空気量が増量され、該空気量増量の検出遅れにより燃料増量に遅れを生じるので空燃比が一時的にリーン化し、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは一時的に比例分P及び積分分Iが加算されて増大するが、上記のように適正値に設定された上限リミット値αmaxに制限されることなく、負荷分だけ遅れを伴って通常の空燃比フィードバック制御が開始される。
一方、下限リミット値については、正常な空燃比フィードバック制御が行われる限り、ストイキに収束するまでの間、空燃比フィードバック補正係数ALPHAは積分分Iずつ減少するので、下限リミット値が機能することはないが、バグによりALPHA異常に小さい値に算出されたような場合、ストイキ空燃比に対応する下限リミット値ALPMINでは、本来リッチ制御すべき期間で過度にリーン化された状態が継続することにより、始動性能が大きく損なわれてしまうことがあるが、本実施形態では、下限リミット値αminが、目標とおりに減少された場合のALPHAより所定量分だけ小さな適正値に設定されることで、空燃比が過度にリーン化されることを防止でき、できるかぎり良好な始動性能を維持することができる。
次に、同様の課題を簡易な構成で解決した第2の実施形態を、図9のフローチャートに従って説明する。
S51では、水温センサ16によって検出される始動時の水温Twが、第1設定温度Twc(例えば、30°C)以下のエンジン冷機時であるかを判定する。
Tw≦Twcのエンジン冷機時と判定されたときは、S52で空燃比フィードバック補正係数ALPHAの上限リミット値αmaxを、暖機後のストイキ空燃比に対応した通常値ALPMAXより増大補正したLMALMAXに設定する。
S53で、水温Twが第2の設定温度(例えば、60°C)Twhまで上昇したかを判定し、上昇するまでは、S52に戻って上限リミット値αmaxをLMALMAXとした制御を継続する。
Tw≧Twhまで上昇した暖機完了後は、S53に進み、上限リミット値αmaxを前記暖機後のストイキ空燃比に対応した通常値ALPMAXに戻す。
また、S51で始動時からTw≧Twhと判定された暖機始動時は、S53で、上限リミット値αmaxを通常値ALPMAXに設定する。
このようにすれば、前記第1の設定温度Twc以下の冷機時には、空燃比フィードバック開始時の空燃比フィードバック補正係数ALPHA0が、通常の上限リミット値αmax(=ALPMAX)より大きく、該上限リミット値αmax(=ALPMAX)によって制限されてトルク段差が生じてしまうことになる上限リミット値αmaxをLMALMAXに増大補正することで、該上限リミット値αmax(=LMALMAX)に制限されることなく、空燃比フィードバック制御を開始でき、トルク段差の発生を回避できる。
また、暖機完了後は、通常の上限リミット値αmax(=ALPMAX)に戻すことで、適正な制限機能を得ることができる。
第1の実施形態の方が極め細かなリミット値の設定を行えるが、第2の実施形態の方が構成が簡易である。
本発明の一実施形態を示すエンジンのシステム図 燃料噴射量演算ルーチンのフローチャート 始動後の空燃比制御の流れを示すフローチャート 空燃比フィードバック制御におけるリミット値を設定するフローチャート 空燃比フィードバック制御ルーチンのフローチャート 始動後の空燃比制御における基本的な形態を示すタイムチャート 始動後の空燃比制御においてフィードバック補正量が上限リミット値に張り付く形態を示すタイムチャート 始動後の空燃比制御において外乱等により一時的に負荷が加わった場合の形態を示すタイムチャート 別の実施形態の空燃比フィードバック制御におけるリミット値を設定するフローチャート
符号の説明
1 エンジン
6 燃料噴射弁
12 ECU
16 水温センサ
17 O2センサ
18 スタートスイッチ

Claims (7)

  1. 始動直後に空燃比をリッチ化し、空燃比センサの活性後に該空燃比センサの出力に基づく空燃比フィードバック制御を開始するエンジンの制御装置であって、
    前記空燃比フィードバック制御開始時の空燃比状態に応じたフィードバック補正量を基準として、空燃比がストイキに収束されるまでの間のフィードバック補正量のリミット値を設定することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 前記フィードバック補正量のリミット値は、空燃比フィードバック制御開始時におけるフィードバック補正量を基準として設定された上下限のリミット値の初期値からストイキ空燃比に応じたフィードバック補正量に対して設定された上下限のリミット値まで徐々に減少して設定することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  3. 前記上下限のリミット値を、前記フィードバック補正量の積分分と同等の割合で減少させることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  4. 始動直後から空燃比センサの活性が検出されるまでの間は、目標空燃比補正係数によって空燃比をリッチ化し、前記空燃比センサの活性を検出した時点で、目標空燃比補正係数による空燃比リッチ分をカットすると共に、そのリッチ分を空燃比フィードバック制御におけるフィードバック補正量に変換して上乗せすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエンジンの空燃比制御装置。
  5. 始動直後に空燃比をリッチ化し、空燃比センサの活性後に該空燃比センサの出力に基づく空燃比フィードバック制御を開始するエンジンの制御装置であって、
    空燃比フィードバック制御時におけるフィードバック補正量の上限リミット値を、エンジン冷機時に増大補正することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  6. エンジン水温が第1の設定温度以下の冷機時に、前記上限リミット値を増大補正し、第2の設定温度以上となった暖機時に増大補正を停止して、通常時の上限リミット値に戻すことを特徴とする請求項5に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  7. 前記空燃比センサは、排気中の酸素濃度に感応する酸素センサであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
JP2004220289A 2004-07-28 2004-07-28 エンジンの空燃比制御装置 Pending JP2006037875A (ja)

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