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JP2005210010A - コイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子 - Google Patents

コイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子 Download PDF

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JP2005210010A JP2004017272A JP2004017272A JP2005210010A JP 2005210010 A JP2005210010 A JP 2005210010A JP 2004017272 A JP2004017272 A JP 2004017272A JP 2004017272 A JP2004017272 A JP 2004017272A JP 2005210010 A JP2005210010 A JP 2005210010A
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俊秋 菊池
Yoshihiro Maeda
佳宏 前田
Atsushi Akagawa
淳 赤川
Toyotaka Kobayashi
豊隆 小林
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Abstract

【課題】 インダクタンスが高く、低抵抗のコイル導体を有し、少ない工程数で作製可能なコイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子を提供する。
【解決手段】 外側脚部を有するフェライトコア5と中央脚部を有するフェライトコア2とを外側脚部で突き合わせてなるコア構造体1と、中央部にスルーホール(透孔12)を有する絶縁樹脂フィルム11の両面にスパイラル状コイル導体20を形成し、スルーホール部を介して前記両面のスパイラル状コイル導体20を相互に接続したコイル基板10と、前記コイル導体に接続する外部電極とを備えている。コイル導体20はスパイラル状の導体部間の隙間が20μm以下となっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、民生用機器、産業用機器等の電気製品に幅広く利用されるコイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子に係り、更に詳しくは、プリント基板回路技術、半導体回路配線技術を利用し少ない工程数でかつ低コストで作製でき、特に高温環境が要求される大電力電源装置に用いられる10kHzから30MHzの周波数範囲で使用するのに適したコイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子に関する。
従来、この種の表面実装型コイル素子は、民生用機器、産業用機器等の電気製品に幅広く利用される。中でも小型携帯機器は機能の充実化にともない、各々のデバイスを駆動させるために単一の電源から複数の電圧を得る必要があり、このような電源用途等にも表面実装型コイル素子が使用されている。それらの小型携帯機器等に使用する場合の要求としては、電気的絶縁性や信頼性、超小型化、低コスト化が重視され、そのためにプリント基板回路技術、半導体回路技術を応用した平面コイル構造が提案されている。
例えば、下記特許文献1乃至特許文献6等が挙げられる。
特開平7−142254号公報 絶縁基板上にプリント配線技術によりコイルパターンを設けると共に、このコイルパターンに電気めっきによる電気めっき層を設け、コイルパターンの導体補強を行うことにより、簡単な工程で必要な厚さを持つコイルパターンが得られるようにする。
特開平11−26239号公報 磁性層の熱膨張率を特定範囲の値とし、且つ比抵抗を特定値以上とすることにより、磁性層を印刷法もしくはグリーンシート法で積層した後、焼結して形成することを可能とする。
特開平9−153406号公報 平面コイルを構成する厚膜導体の上部表面部の幅よりも厚膜導体の基部の幅を小さくすることにより、設計上及びプロセス効率上の制限を受けずにコイルの小型化を可能にする。
特開平11−204361号公報 細幅で厚さの大きいハイアスペクト導体パターンを狭い間隔で複数並列的に設けたデバイスを容易に製造する方法を提供する。
特開2002−353056号公報 コア材料でなる基板の一面上に機械研磨を施し、基板の一面上に、凸部を間隔を隔てて形成することにより、コア材料の種類によらず、コア集合体を容易に得られるようにする。
特開2002−203732号公報 コア集合体に設けた複数の凸部に、夫々コイルを組み合わせてコイル集合体を構成した後、個々のコイル装置に分離することにより、小型のコイル装置を量産可能にしてコスト低減を図る。
これらの技術により構成されたコイルは、絶縁性基板上にプリント基板回路技術、半導体回路技術の応用によってコイルパターンを形成したものであり、特に小型化においては従来の巻き線型構造と比較し、電気的特性や製品寸法のばらつきが少ない、大量生産による低コスト化を図れる等の利点がある。
ところで、コイル素子のさらなる小型、薄型化を図るためには、コイル導体の高集積化(高密度化)が必要であるが、従来のコイル構造では高集積化に限界があり、コイル導体間の隙間を20μm以下に狭ピッチ化するのが困難であった。例えば、特許文献4の従来例では次記のような問題点がある。
すなわち、はじめに下地導体層(シード層)のパターンを形成し、その後、エッチングによりレジスト及び下地導体層を除去し断面形状がきのこ型のパターンを形成するが、導体部の隙間のアスペクト比にかかわらずその幅が20μm以下になるとレジスト及び下地導体層の除去が困難になる。また、下地導体層のエッチングにおいてはパターン細り及びパターン根元部が細るために直流抵抗の増加、密着性低下によるベース基板からのパターン剥離といった問題が生じる。
また、コイル導体に大きな電流が流れる電源等の用途では、フェライト等の磁気コアにギャップを設けるが、ギャップが高精度でばらつきが無いことが要求される。
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、その第1の目的は、前記課題を解決し、インダクタンスが高く、低抵抗のコイル導体を有し、少ない工程数で作製可能なコイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子を提供することにある。
本発明の第2の目的は、小型、高精度で低コストで作製できる磁気コアの組み合わせからなり、高精度のギャップを内側に有しかつ外側が閉磁路構造のコア構造体を備え、高インダクタンスでばらつきが少なく、低抵抗の表面実装型コイル素子を提供することにある。
本発明の第3の目的は、自己発熱等による85℃以上の高温環境が要求される大電力電源装置、電気自動車、ハイブリッド自動車等のモーター、エンジン、受電及び給電装置用の回路に用いられる低抵抗の表面実装型コイル素子を提供することにある。
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明に係るコイル基板は、絶縁樹脂フィルムの両面にコイル導体を形成した構成であって、
前記絶縁樹脂フィルムはスルーホールを有し、
前記コイル導体はめっき層からなり、前記スルーホールの周囲の前記絶縁樹脂フィルム表裏面にスパイラル状に形成され、
前記絶縁樹脂フィルム両面のコイル導体が前記スルーホールを介して相互に接続されていて、かつ前記コイル導体の導出端電極部と前記スルーホール部を除く、スパイラル状の導体部間の隙間が20μm以下であることを特徴としている。
本願請求項2の発明に係るコイル基板は、請求項1において、前記コイル導体は、前記スパイラル状の導体部の高さと幅の比が0.2〜5であり、かつ直流抵抗が0.01〜10オームであることを特徴としている。
本願請求項3の発明に係るコイル基板は、請求項1又は2において、前記絶縁樹脂フィルムは、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミドであることを特徴としている。
本願請求項4の発明に係るコイル基板の製造方法は、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミド絶縁樹脂を金属平板上に印刷又は塗布して絶縁樹脂フィルムとし、加熱硬化させる第一の工程と、
パンチング加工によりスルーホールを形成する第二の工程と、
前記絶縁樹脂フィルムの両面の前記スルーホール周囲にスパイラル状のコイル導体をめっき法で形成する第三の工程とを有することを特徴としている。
本願請求項5の発明に係るコイル基板の製造方法は、感光性ポリイミド絶縁樹脂を金属平板上に印刷又は塗布し、加熱し仮硬化させる第一の工程と、
フォトリソグラフィ法によりスルーホールを形成する第二の工程と、
加熱本硬化させて絶縁樹脂フィルムを形成する第三の工程と、
前記絶縁樹脂フィルムの両面の前記スルーホール周囲にスパイラル状のコイル導体をめっき法で形成する第四の工程とを有することを特徴としている。
本願請求項6の発明に係るコイル基板の製造方法は、スルーホールパターンを形成した金型にポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミド絶縁樹脂を流し込んで加熱硬化させて絶縁樹脂フィルムとする第一の工程と、
前記絶縁樹脂フィルムの両面のスルーホール周囲にスパイラル状のコイル導体をめっき法で形成する第二の工程とを有することを特徴としている。
本願請求項7の発明に係る表面実装型コイル素子は、外側脚部を有する第1の磁気コアと中央脚部を有する第2の磁気コアとを外側脚部で突き合わせてなるコア構造体と、
中央部にスルーホールを有する絶縁樹脂フィルムの両面にスパイラル状コイル導体を形成し、スルーホール部を介して前記両面のスパイラル状コイル導体を相互に接続したコイル基板と、
前記コイル導体に接続する外部電極とを備え、
前記コア構造体の中央脚部が前記スルーホールに入った状態で、前記コイル基板は前記コア構造体の内側に配置され、前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コア中央脚部の間にギャップを有することを特徴としている。
本願請求項8の発明に係る表面実装型コイル素子は、中央脚部を有する第1の磁気コアと外側脚部を有する第2の磁気コアとを中央脚部で突き合わせてなるコア構造体と、
中央部にスルーホールを有する絶縁樹脂フィルムの両面にスパイラル状コイル導体を形成し、スルーホール部を介して前記両面のスパイラル状コイル導体を相互に接続したコイル基板と、
前記コイル導体に接続する外部電極とを備え、
前記コア構造体の中央脚部が前記スルーホールに入った状態で、前記コイル基板は前記コア構造体の内側に配置され、前記第1の磁気コアと第2の磁気コア外側脚部の間にギャップを有することを特徴としている。
本願請求項9の発明に係る表面実装型コイル素子は、請求項7又は8において、前記第1の磁気コアと第2の磁気コアのギャップが0.1〜100μmであることを特徴としている。
本願請求項10の発明に係る表面実装型コイル素子は、請求項7,8又は9において、ガラス転移点TGが110℃以上のエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、又はフェノール系樹脂で前記第1及び第2の磁気コアが接着されたことを特徴としている。
本発明によれば、絶縁樹脂フィルム両面のコイル導体の導出端電極部と前記スルーホール部を除く、スパイラル状の導体部間の隙間が20μm以下となるように狭ピッチ化したことで、単位面積あたりのターン数を増やすことができ、従ってコイル導体を前記絶縁樹脂フイルム上に高密度に形成することができる。更に、前記スパイラル状の導体部の高さと幅の比を0.2〜5とすることによりインダクタンスが高く、低抵抗のコイル導体を実現できる。
また、高精度に加工された磁気コアの組み合わせからなり、高精度のギャップを内側に有し、かつ、外側が閉磁路構造のコア構造体を備える構成とすれば、インダクタンスのバラツキを少なくした表面実装型コイル素子として好適である。
さらに、前記絶縁樹脂フィルム等を耐熱性のある材料により構成することで、自己発熱等も含む85℃以上の高温環境でも使用できる表面実装型コイル素子として好適である。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、コイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子の実施の形態を図面に従って説明する。
図1乃至図3は本発明に係るコイル基板及びその製造方法並びに表面実装型コイル素子の実施の形態を示し、図4は実施の形態において使用するコア構造体、図5は絶縁樹脂フィルムを用いたコイル基板、図6はコイル基板において形成するコイル導体の製造工程を示す。
これらの図において、表面実装型コイル素子は、コア構造体1と、その内部に配設されたコイル基板10と、コイル基板10の両面に形成されたコイル導体20の導出端が接続される外部端子電極40とを備えている。図3のように、外部端子電極40はコア構造体1の両端部に断面コの字状にそれぞれ形成されている。
図4のように、前記コア構造体1は磁気コアとしてのT型フェライトコア2とコの字型フェライトコア5とからなっている。T型フェライトコア2は平板部3の中央部に中央脚部(角柱凸部)4が形成されたものであり、コの字型フェライトコア5は平板部6の両端部に外側脚部7を形成したものであり、T型フェライトコア2の平板部3にコの字型フェライトコア5の外側脚部7の先端面を突き合わせることで実質的に閉磁路となった外殻部(平板部3,6及び外側脚部7)が構成されるとともに、外殻部の内側に中央脚部4が配されることになる。
ここで、外側脚部7よりも中央脚部4を僅かに短く形成しておくことで、中央脚部4の先端面と平板部6との間に微小ギャップ8を形成することができる。このギャップ8はコイル基板10のコイル導体20に流れる電流でフェライトコア2,5が磁気飽和するのを防止するためであり、コア構造体1の外形寸法が超小型(一辺が数mm以下の直方体状)であるため、ギャップ8は好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは0.1〜50μmに設定される。なお、ギャップ8を0.1μm未満とすることは、コア加工精度上困難であり、また100μmを超えるとギャップ過大となりコイルのインダクタンスが減少するきらいがある。
前記T型フェライトコア2及びコの字型フェライトコア5の形成は、所定厚みのフェライト基板をダイヤモンドホイール砥石等の砥石を用いた高精度スライサーで研削加工し、中央脚部4や外側脚部7を残して不要部分の肉厚を薄く研削することにより行う。
前記フェライトコア2,5を作製するためのフェライト基板は、少なくとも酸化鉄及び酸化ニッケルを含む主成分と、酸化ビスマス、酸化バナジウム、酸化リン及び酸化ホウ素の1種又は2種以上からなる添加物と、酸化シリコンからなる第1副成分と、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム及び酸化ストロンチウムの1種又は2種以上からなる第2副成分とを含有するものであって、主成分に対する比率は、添加物が0.5〜15重量%、第1副成分及び第2副成分がそれぞれ0.1〜10.0重量%である。以下に好ましい主成分の組成(重量%)の1例を示す。
Fe:66%
CuO :3%
ZnO :20%
NiO :11%
前記コイル基板10は、中央部に透孔(スルーホール)12を有する絶縁樹脂フィルム11の表裏面にスパイラル状のコイル導体20を形成したものであり、透孔12の周縁部に形成された表裏コンタクト部15(例えばコンタクトホール)を介して前記絶縁樹脂フィルム11表裏面のコイル導体20(図5で裏面側のコイル導体の周回方向は表側と同じ)が相互に接続されている。表側、裏側のコイル導体20は、絶縁樹脂フィルム11の一方及び他方の端部の導出端電極部21にそれぞれ接続している。
前記絶縁樹脂フィルム11は、自己発熱等による85℃以上の高温環境が要求される大電力電源装置、電気自動車、ハイブリッド自動車等のモーター、エンジン、受電及び給電装置用の回路に用いられる場合、耐熱性樹脂であり、とくにガラス転移点TGが約200℃以上のポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、アラミド樹脂が好ましい。
これらの耐熱性絶縁樹脂で透孔12を有する絶縁樹脂フィルム11を作製する方法として以下の3通りの方法がある。
(1) ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミド絶縁樹脂を、アルミニウム、ステンレス等の金属平板上に4μm厚程度に印刷(スキージによる印刷等)又は塗布して耐熱性絶縁樹脂フィルム11として硬化(200℃で1時間、加熱乾燥硬化)させる第一の工程の後、パンチング加工(メカパンチング等)により透孔(スルーホール)12を形成する第二の工程を行う方法。
(2) 耐熱性を有する感光性ポリイミド絶縁樹脂を、アルミニウム、ステンレス等の金属平板上に4μm厚程度に印刷(スキージによる印刷等)又は塗布してフィルム状に仮硬化(80℃で30分間加熱)させる第一の工程の後、フォトリソグラフィー法による露光、現像により透孔12を形成する第二の工程を行い、その後本硬化(150℃、20分間及び250℃、10分間の2段階の加熱乾燥硬化)させて絶縁樹脂フィルム11を形成する第三の工程を行う方法。
(3) 透孔パターン(スルーホールパターン)を形成した金型(スタンパー)に耐熱性のポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミド絶縁樹脂を4μm厚程度となるように流し込んで絶縁樹脂フィルム11としてプレス成形し、加熱硬化(200℃で1時間)させて絶縁樹脂フィルムとし、前記金型から透孔12が形成された絶縁樹脂フィルム11を剥離し(取り出し)、バリ取り加工{ブラスト法又はデスミア(化学処理)}する方法。
上記のようにして得られた絶縁樹脂フィルム11を用いて、コイル導体20は図6の手順で作製される。まず、図6(A)のように絶縁樹脂フィルム11の表裏面に下地導体層(シード層)30を無電解めっきにて形成し、その上に、フォトレジスト31を電着成膜し、フォトリソグラフィー法でコイル導体の形成パターンに対応した選択めっき用マスクレジストを形成する。そして、フォトレジスト31をめっきマスクとして下地導体層30が露出する部分に選択的に電気(電解)めっき法によりコイル導体用電気めっき層32を電着形成させる。但し、図6(A)の工程ではコイル導体用電気めっき層32の厚みはまだ小さい。
次に、図6(B)のように前記めっきマスクとしてのフォトレジスト31を取り除いた上で、コイル導体用電気めっき層32が形成されている部分以外の下地導体層30をエッチングして除去する。
その後、図6(C)のように、選択めっきマスク無しで電気めっき法によりコイル導体用電気めっき層32を電着により更に成長形成させる。これにより、電気めっき層32からなる十分な肉厚の導体部が得られ、隣り合う導体部間の隙間Gが20μm以下(より好ましくは15μm以下)になるまで高密度に電気めっき層32を成長形成させることができる。
コイル導体用電気めっき層32の形成完了によりコイル導体20を絶縁樹脂フィルム11の両面に形成し終えた後、図6(D)のように、保護樹脂層(ソルダーレジスト)33を絶縁樹脂フィルム11の表裏面に印刷し、保護樹脂層33でコイル導体20を被覆して保護することでコイル基板10が完成する。
このコイル基板10は、コイル導体用電気めっき層32の隣り合う導体部間の隙間Gが20μm以下(より好ましくは15μm以下)になるまで、高密度に電気めっき層32を成長形成させたコイル導体20を両面に有するものであり、またコイル導体20のアスペクト比(導体部の高さ/幅)も0.2〜5程度に高く設定可能であるため、直流抵抗を0.01〜10オーム程度にまで低下させることができ、コイル導体20の電流が大きい電源用のコイル素子への適用が可能である。なお、直流抵抗を0.01オーム未満に設定することは小型コイル素子では実現困難であり、10オームを超えるとコイル導体20の電流による発熱が問題になる。また、アスペクト比が0.2未満ではコイル導体20の直流抵抗が大きくなり、アスペクト比が5を超えると電気めっき時間の増大、コイル導体20の形状のばらつき増加等の問題が発生するため、好ましくない。
上記のようにコイル基板10を作製した後、図1のようにコイル基板10側の透孔12にT型フェライトコア2の中央脚部4が入った状態として、コイル基板10をT型フェライトコア2とコの字型フェライトコア5の内側に配置し、接着剤35でT型フェライトコア2とコの字型フェライトコア5とを突き合わせ状態にてコア構造体1として接着一体化する。前記接着剤35としては、ガラス転移点TGが110℃以上のエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂又はフェノール系樹脂が好ましい。
その後、図2のコイル基板10の導出端電極部21の露出部分を含むコア構造体1の両端部をコの字状に囲むように一対の外部端子電極40を図3のように形成する。外部端子電極40の作製は、Cr,Cu導体層をマスクスパッタで順次形成後、バレルめっきによりCu,Ni,Snの順に電気めっき層を形成することで行う。これにより、前記導出端電極部21に接続した(換言すればコイル導体20に接続した)外部端子電極40が得られる。
なお、図6の工程において、絶縁樹脂フィルムは薄型で充分な強度を有するものであることが好ましい。また、前記樹脂の誘電率は、浮遊容量の増大を回避するために7以下のものを選定する。
また、下地導体層30の金属材料にCuを採用し、さらにコイル導体用電気めっき層32の金属材料にもCuを採用するのが導電率、コストの点で好ましいが、AgあるいはNiを採用することも可能である。
なお、外部端子電極40は、Ag又はCu等の導体ペーストの塗布、硬化処理により形成してもよい。
また、両端部において閉じた外殻部と中央脚部とを有するコア構造体を、高精度スライサーによるフェライト基板の研削加工で作製する場合、量産上の低コスト化を図る上で、T字型フェライトコア2とコの字型フェライトコア5を組み合わせた実施の形態の閉磁路構造が最も望ましいが、このコア構造体は必ずしもこの閉磁路構造に限定されるものではない。
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
(1)コイル基板10のコイル導体20は、電気めっきを用いて絶縁樹脂フィルム11の両面にパターン形成しており、コイル導体20を高密度に形成できるため(隣り合う導体部間の隙間Gを20μm以下にできるため)、単位面積あたりのターン数を増やすことができ、コイル導体20のインダクタンスを高くでき、また高アスペクト比とすることで直流抵抗を低減できる。この結果、優れた電気的信頼性の安価で高アスペクト比のコイル導体20を形成することができる。
(2)コア構造体1のT型フェライトコア2とコの字型フェライトコア5は、所定厚みのフェライト基板をダイヤモンドホイール砥石等の砥石を用いた高精度スライサーで研削加工し、中央脚部4や外側脚部7を残して不要部分の肉厚を薄く研削することにより作製でき、これらのコアを組み合わせることで、高精度かつ製品間ばらつきの少ないギャップ8及び閉磁路構造を実現できる。
(3)小型、低背型の表面実装型コイル素子を、安価なプロセスにより、高精度な製品寸法で作製でき、コイル導体20が低抵抗でありかつコア構造体1が高精度のギャップ8を有することから、10kHz〜20MHzの電源用コイル素子(例えば、昇圧用コイル素子)として好適に利用できる。
(4)コイル基板10に用いる絶縁樹脂フィルム11として、ガラス転移点TGが約200℃以上のポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、アラミド樹脂を使用するとともに、T型フェライトコア2とコの字型フェライトコア5を接着一体化する接着剤35としてガラス転移点TGが110℃以上のエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂又はフェノール系樹脂を用いることで、高耐熱性のコイル基板10及び表面実装型コイル素子を実現でき、自己発熱等による85℃以上の高温環境が要求される大電力電源装置、電気自動車、ハイブリッド自動車等のモーター、エンジン、受電及び給電装置用の回路等の用途に好適に使用可能である。
以下、本発明に係るコイル基板及び表面実装型コイル素子を実施例1で詳述する。
コンタクトホール及び中央脚部貫通用の透孔が加工された厚みが60μmの耐熱性絶縁樹脂フィルムに対して、その上下面に厚さ0.1〜2μmのCu膜を無電解めっきして下地導体層とした。次に、感光性電着レジストを成膜しフォトリソグラフィーによりコイル導体となるスパイラルのパターンを耐熱性絶縁樹脂フィルムの両面に形成し、電流密度15A/dm以下において約20分間の電気めっきを行い、高さ35μm、幅35μmのCu導体パターンを形成した。選択めっき用マスクレジストを剥離後、下地導体層をエッチングし所定の電流プロファイルで2回目の電気めっきを行い高さ75μm、幅65μmのCu導体パターンを形成した。この表面にCuの黒化処理を施し、その表面をソルダーインキレジストでコーティングし、スパイラルパターンのコイル導体が整列したウエハ(コイル基板の集合体)を作製した。更に、フェライト基板への組込みにおいて不要となる部分を高精度スライサーを用いてスリット状に切り取った。
次に、ダイヤモンドホイール砥石を用いて厚み0.77mmのフェライト基板に、一つにはT型フェライトコアとなる凸状パターンを、更にもう一つにはコの字型フェライトコアとなる凹状パターンを高精度スライサーによりそれぞれ形成した。
これらの加工されたスパイラルパターンのコイル導体を有するコイル基板の集合体及びT型及びコの字型のフェライトコアの集合体をガラス転移点TGが110℃以上のエポキシ系の接着剤を用いて150℃雰囲気の中で加圧しながら接着をした。接着された基板のT型フェライトコア背板部分を高精度スライサーにより0.77mmの厚みまで平坦に研削した後、ダイサーによりチップ化を行い各々の素子を作製した。
その後、回路接続用のユーザー端子となる外部端子電極を形成するため、バレル研磨を行った後に、端子面のCu(導出端電極部)をウェット処理とドライ処理の両方を利用して洗浄し、マスクスパッタ法によりCr及びCuを連続的に成膜した。これにCu、Ni、Snのバレルめっきを施し製品サイズ縦3mm×横2.6mm×高さ0.8mmの表面実装型コイル素子を作製することができた。
同様にして、製品サイズ縦4mm×横4mm×高さ1mmの表面実装型コイル素子を作製することができた。
なお、上記実施の形態では、コア構造体1は中央脚部4側にギャップ8を設けたが、中央脚部を有する第1の磁気コア(フェライトコア等)と外側脚部を有する第2の磁気コア(フェライトコア等)とを中央脚部で突き合わせてなるコア構造体とし、かつ前記第1の磁気コアと第2の磁気コア外側脚部の間にギャップを有する構成としてもよい。
以上本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
本発明に係るコイル基板及び表面実装型コイル素子の実施の形態であって、中央部を断面で示す外部端子電極形成前の斜視図である。 本発明の実施の形態であって、端部構造を示す外部端子電極形成前の斜視図である。 本発明の実施の形態であって、外部端子電極形成後の外観を示す斜視図である。 実施の形態で用いるコア構造体の分解斜視図である。 実施の形態で用いるコイル基板の平面図である。 前記コイル基板の製造工程図である。
符号の説明
1 コア構造体
2 T型フェライトコア
3,6 平板部
4 中央脚部
5 コの字型フェライトコア
7 外側脚部
8 微小ギャップ
10 コイル基板
11 絶縁樹脂フィルム
12 透孔
15 表裏コンタクト部
20 コイル導体
21 導出端電極部
30 下地導体層
31 フォトレジスト
32 電気めっき層
33 保護樹脂層
35 接着剤
40 外部端子電極

Claims (10)

  1. 絶縁樹脂フィルムの両面にコイル導体を形成したコイル基板であって、
    前記絶縁樹脂フィルムはスルーホールを有し、
    前記コイル導体はめっき層からなり、前記スルーホールの周囲の前記絶縁樹脂フィルム表裏面にスパイラル状に形成され、
    前記絶縁樹脂フィルム両面のコイル導体は前記スルーホールを介して相互に接続されていて、かつ前記コイル導体の導出端電極部と前記スルーホール部を除く、スパイラル状の導体部間の隙間が20μm以下であることを特徴とするコイル基板。
  2. 前記コイル導体は、前記スパイラル状の導体部の高さと幅の比が0.2〜5であり、かつ直流抵抗が0.01〜10オームである請求項1記載のコイル基板。
  3. 前記絶縁樹脂フィルムは、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミドである請求項1又は2記載のコイル基板。
  4. ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミド絶縁樹脂を金属平板上に印刷又は塗布して絶縁樹脂フィルムとし、加熱硬化させる第一の工程と、
    パンチング加工によりスルーホールを形成する第二の工程と、
    前記絶縁樹脂フィルムの両面の前記スルーホール周囲にスパイラル状のコイル導体をめっき法で形成する第三の工程とを有することを特徴とするコイル基板の製造方法。
  5. 感光性ポリイミド絶縁樹脂を金属平板上に印刷又は塗布し、加熱し仮硬化させる第一の工程と、
    フォトリソグラフィ法によりスルーホールを形成する第二の工程と、
    加熱本硬化させて絶縁樹脂フィルムを形成する第三の工程と、
    前記絶縁樹脂フィルムの両面の前記スルーホール周囲にスパイラル状のコイル導体をめっき法で形成する第四の工程とを有することを特徴とするコイル基板の製造方法。
  6. スルーホールパターンを形成した金型にポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、又はアラミド絶縁樹脂を流し込んで加熱硬化させて絶縁樹脂フィルムとする第一の工程と、
    前記絶縁樹脂フィルムの両面のスルーホール周囲にスパイラル状のコイル導体をめっき法で形成する第二の工程とを有することを特徴とするコイル基板の製造方法。
  7. 外側脚部を有する第1の磁気コアと中央脚部を有する第2の磁気コアとを外側脚部で突き合わせてなるコア構造体と、
    中央部にスルーホールを有する絶縁樹脂フィルムの両面にスパイラル状コイル導体を形成し、スルーホール部を介して前記両面のスパイラル状コイル導体を相互に接続したコイル基板と、
    前記コイル導体に接続する外部電極とを備え、
    前記コア構造体の中央脚部が前記スルーホールに入った状態で、前記コイル基板は前記コア構造体の内側に配置され、前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コア中央脚部の間にギャップを有することを特徴とする表面実装型コイル素子。
  8. 中央脚部を有する第1の磁気コアと外側脚部を有する第2の磁気コアとを中央脚部で突き合わせてなるコア構造体と、
    中央部にスルーホールを有する絶縁樹脂フィルムの両面にスパイラル状コイル導体を形成し、スルーホール部を介して前記両面のスパイラル状コイル導体を相互に接続したコイル基板と、
    前記コイル導体に接続する外部電極とを備え、
    前記コア構造体の中央脚部が前記スルーホールに入った状態で、前記コイル基板は前記コア構造体の内側に配置され、前記第1の磁気コアと第2の磁気コア外側脚部の間にギャップを有することを特徴とする表面実装型コイル素子。
  9. 前記第1の磁気コアと第2の磁気コアのギャップが0.1〜100μmである請求項7又は8記載の表面実装型コイル素子。
  10. ガラス転移点TGが110℃以上のエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、又はフェノール系樹脂で前記第1及び第2の磁気コアが接着されたことを特徴とする請求項7,8又は9記載の表面実装型コイル素子。
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