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JP2005066041A - 超音波探触子及び超音波診断装置 - Google Patents

超音波探触子及び超音波診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力の情報を必要とする弾性画像診断において、圧力の情報を構造的に簡便に、且つ、空間的に精細に取得することにより、高画質、高精細な弾性画像を安全に映像化する臨床上有用な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】 超音波の送受信面を覆うように圧計測用変形体手段を設け、その超音波探触子を用いて被検体の診察部位を圧迫する。この圧計測用変形体手段が被検体表皮との境界部分の圧力に応じて変形するようになるので、その変形の状態を信号処理で求め、それに基づいて超音波探触子によって圧迫された診断部位の体表に与えられた圧力を計測する。その圧力に基づいて高画質な弾性画像を取得する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波を利用して被検体内の診断部位について断層像を得る超音波診断装置に係り、特に時系列に並んだの1組のRF信号フレームデータからその画像上の各点の歪み及び弾性率を演算し、生体組織の硬さまたは柔らかさを表す弾性画像として表示することができる超音波診断装置に関する。
従来の一般的な超音波診断装置は、超音波送受信を制御する超音波送受信制御手段と、被検体に超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、この超音波送受信手段からの反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内の断層像データを所定周期で繰り返して得る断層走査手段と、この断層走査手段によって得た時系列断層像データを表示する画像表示手段とを有して構成されていた。そして、被検体内部の生体組織の構造を例えばBモード像として表示していた。
これに対して、最近、被検体の体表面から圧迫装置もしくは探触子で人為的に生体内部組織を圧迫し、時系列的に隣接する2フレーム(連続2フレーム)の超音波受信信号の相関演算を利用して、各点における変位を求め、さらにその変位を空間微分することによって歪みを計測し、この歪みデータを画像化する手法、更には、外力による応力分布と歪みデータから、生体組織のヤング率等に代表される弾性率データを画像化する手法が現実的になってきている。このような歪み及び弾性率データ(以下、弾性フレームデータ)を基にした弾性画像によれば、生体組織の硬さや柔らかさを計測して表示することができる。このような超音波装置として、特許文献1又は特許文献2に記載されたものなどがある。
特開平5−317313号公報 特開2000−60853号公報
しかし、このような従来の超音波診断装置による生体組織の弾性率データの画像化においては、体表に与えられた圧力を計測する目的で体表と圧迫機構との接触面に圧力センサーを介在させ、この圧力センサーによって直接的に計測された圧力データを弾性率の演算に利用している。従って、従来の超音波診断装置では、RF信号フレームデータに加え、圧力センサーからの圧力データも同時に取得し、弾性率演算手段に圧力データを送出する手段を設ける必要がある。
また、弾性率を高精度に取得するには、体表と圧迫機構との接触面における圧力データ分布を高精度に計測する必要がある。その為には圧力データが必要となる接触面の個々の領域のそれぞれについて、一つの圧力センサーを独立して設ける必要があり、更に、圧力データ分布を構成する要素の数だけの圧力データを取得して送出する手段も必要になる。さらに、圧力センサーの大きさには限界があり、体表と圧迫機構との接触面に配置できる圧力センサーの個数にも制約が生じる為に、圧力データ分布を構成する空間的な座標間隔を所望の間隔にすることができない。
また、圧力センサーは超音波を透過させることができない為に、超音波探触子の超音波送受信面上に圧力センサーを装着して、被検体の断層像を観察することは不可能である。従い、被検体内の領域の内、超音波送受信面の直下に配置した組織領域に印加された圧力を直接的に計測することは不可能であり、超音波送受信面を避けて配置された複数の圧力センサーの情報から、超音波送受信面直下の表皮に印加された圧力を推定する方法を選択せざるを得ない。また、表皮との接触状況によっては、超音波送受信面直下の表皮に印加された圧力を正確に取得できない。
また、患者への負担を低減する目的で構成された経直腸探触子などのような探触子は、探触子ヘッド部が可能な限り小さく構成されており、このような探触子に圧力センサーを装着した場合、探触子ヘッド部が大きくなることは免れず、安全性の面と患者への負担の面において、実現することは困難である。
この発明は、上述の点に鑑みなされたものであり、被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力の情報を必要とする弾性画像診断において、圧力の情報を構造的に簡便に、且つ、空間的に精細に取得することにより、高画質、高精細な弾性画像を安全に映像化することができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載された本発明の超音波探触子は、被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力の情報を取得するために超音波送受信面を覆うように圧計測用変形体手段を設けたものである。これは、超音波の送受信面を覆うように圧計測用変形体手段の設けられた超音波探触子を用いて被検体の診察部位を圧迫すると、その圧計測用変形体手段が被検体表皮との境界部分の圧力に応じて変形するようになるので、その変形の状態を信号処理で求め、それに基づいて超音波探触子によって圧迫された診断部位の体表に与えられた圧力を計測するように構成された超音波探触子に関するものである。
請求項2に記載された本発明の超音波探触子は、請求項1において、前記圧計測用変形体手段が、音響結合材料や音響レンズ素材などの超音波減衰が小さく、且つ、音速、音響インピーダンスが生体内のものに近いなど、生体との結合特性に優れた素材にて構成されたものである。これは、超音波の送受信面を覆うように設けられる圧計測用変形体手段の構成に関するものである。
請求項3に記載された本発明の超音波診断装置は、請求項1又は2の超音波探触子を用いて被検体に対して超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、前記超音波の送信及び受信を制御する超音波送受信制御手段と、前記超音波送受信手段から出力される反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内のRF信号フレームデータを所定周期で繰り返し取得する断層走査手段と、前記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータの信号処理を行う信号処理手段と、前記信号処理手段からの時系列の断層フレームデータを白黒断層像データに変換する断層フレームデータ情報変換手段と、上記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータ群の中から、変位計測の対象となるRF信号フレームデータの組を選択するRF信号フレームデータ選択手段と、前記RF信号フレームデータ選択手段によって選択されたRF信号フレームデータの組に基づいて断層像上の各点の変位及び歪みを演算する変位・歪み演算手段と、前記RF信号フレームデータ選択手段によって得られたRF信号フレームデータの中に含まれる前記被検体及び前記圧計測用変形体手段からの超音波反射信号に基づいて前記被検体の診断部位の体表に与えられた圧力を演算する圧力演算手段と、前記変位・歪み演算手段及び前記圧力演算手段によって求められた前記歪み及び圧力から断層像上の各点の弾性率を演算して弾性フレームデータを生成する弾性率演算手段と、前記弾性率演算手段からの弾性フレームデータを入力して弾性フレームデータの信号処理を行う弾性データ処理手段と、前記弾性データ処理手段からの弾性フレームデータを入力して色相情報もしくは白黒輝度情報の付与された弾性画像データを出力する弾性フレームデータ情報変換手段と、前記断層フレームデータ情報変換手段からの前記白黒断層像データと、前記色相情報変換手段からの前記弾性画像データとを加算したもの又は独立したものを画像データとして出力する切替加算手段と、前記切替加算手段から出力される画像データを表示する画像表示手段とを備えたものである。これは、請求項1又は2に記載の圧計測用変形体手段を備えた超音波探触子を用いて被検体の診断部位の体表に与えられた圧力を演算し、その圧力に基づいて高画質な弾性画像を取得するようにした超音波診断装置に関するものである。
請求項4に記載された本発明の超音波診断装置は、超音波探触子を用いて被検体に対して超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、前記超音波の送信及び受信を制御する超音波送受信制御手段と、前記超音波探触子と前記被検体との間に設けられた適切な弾性を有する圧計測用変形体手段と、前記超音波送受信手段から出力される反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内のRF信号フレームデータを所定周期で繰り返し取得する断層走査手段と、前記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータの信号処理を行う信号処理手段と、前記信号処理手段からの時系列の断層フレームデータを白黒断層像データに変換する断層フレームデータ情報変換手段と、上記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータ群の中から、変位計測の対象となるRF信号フレームデータの組を選択するRF信号フレームデータ選択手段と、前記RF信号フレームデータ選択手段によって選択されたRF信号フレームデータの組に基づいて断層像上の各点の変位及び歪みを演算する変位・歪み演算手段と、前記RF信号フレームデータ選択手段によって得られたRF信号フレームデータの中に含まれる前記被検体及び前記圧計測用変形体手段からの超音波反射信号に基づいて前記被検体の診断部位の体表に与えられた圧力を演算する圧力演算手段と、前記変位・歪み演算手段及び前記圧力演算手段によって求められた前記歪み及び圧力から断層像上の各点の弾性率を演算して弾性フレームデータを生成する弾性率演算手段と、前記弾性率演算手段からの弾性フレームデータを入力して弾性フレームデータの信号処理を行う弾性データ処理手段と、前記弾性データ処理手段からの弾性フレームデータを入力して色相情報もしくは白黒輝度情報の付与された弾性画像データを出力する弾性フレームデータ情報変換手段と、前記断層フレームデータ情報変換手段からの前記白黒断層像データと、前記色相情報変換手段からの前記弾性画像データとを加算したもの又は独立したものを画像データとして出力する切替加算手段と、前記切替加算手段から出力される画像データを表示する画像表示手段とを備えたものである。これは、圧計測用変形体手段を備えていない通常の超音波探触子を用いた場合でも、超音波探触子と被検体との間に適切な弾性を有する圧計測用変形体手段を設けて、被検体の診断部位の体表に与えられた圧力を演算し、その圧力に基づいて高画質な弾性画像を取得するようにした超音波診断装置に関するものである。
請求項5に記載された本発明の超音波診断装置は、請求項4において、前記圧計測用変形体手段が、音響結合材料や音響レンズ素材などの超音波減衰が小さく、且つ、音速、音響インピーダンスが生体内のものに近いなど、生体との結合特性に優れた素材にて構成されたものである。これは、超音波探触子と被検体との間に設けられる圧計測用変形体手段の構成に関するものである。
請求項6に記載された本発明の超音波診断装置は、請求項3、4又は5において、前記圧力演算手段が、前記RF信号フレームデータ選択手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記RF信号フレームデータ又は前記断層走査手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記白黒断層像データを利用して前記圧計測用変形体手段における歪み量を求め、前記圧計測用変形体手段における歪み量と前記圧計測用変形体手段の既知の弾性率とを用いて、前記被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力を演算するものである。これは、圧力の演算方法として、RF信号フレームデータ又は白黒断層像データを用いて圧計測用変形体手段の歪み量を求め、その歪み量と既知の弾性率とを参照することにより、体表に与えられる圧力を求めるようにしたものである。
請求項7に記載された本発明の超音波診断装置は、請求項3、4又は5において、前記圧力演算手段が、前記RF信号フレームデータ選択手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記RF信号フレームデータ又は前記断層走査手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記白黒断層像データを利用して前記圧計測用変形体手段の厚さを求め、前記圧計測用変形体手段の厚さと前記圧計測用変形体手段の既知の弾性率とを用いて、前記被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力を演算するものである。これは、圧力の演算方法として、RF信号フレームデータ又は白黒断層像データを用いて圧計測用変形体手段の厚さを求め、その厚さと既知の弾性率とを参照することにより、体表に与えられる圧力を求めるようにしたものである。
請求項8に記載された本発明の超音波診断装置は、請求項3、4又は5において、前記圧力演算手段は、前記RF信号フレームデータ選択手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記RF信号フレームデータ又は前記断層走査手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記白黒断層像データを利用して前記圧計測用変形体手段の厚さを求め、前記圧計測用変形体手段の厚さと圧力の関係を示す実測データに基づいて、前記被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力を演算するものである。これは、圧力の演算方法として、RF信号フレームデータ又は白黒断層像データを用いて圧計測用変形体手段の厚さを求め、その厚さと予め計測された圧力の関係を示す実測データに基づいて、体表に与えられる圧力を求めるようにしたものである。
以上のように本発明によれば、被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力の情報を必要とする弾性画像診断において、圧力の情報を構造的に簡便に、且つ、空間的に精細に取得することにより、高画質、高精細な弾性画像を安全に映像化する臨床上有用な超音波診断装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明による超音波診断装置の実施例を示すブロック図である。この超音波診断装置は、超音波を利用して被検体の診断部位について断層像を得ると共に生体組織の硬さ又は柔らかさを表す弾性画像を表示するものである。この超音波診断装置は、図に示すように、超音波探触子10と、超音波送受信制御回路11と、送信回路12と、受信回路13と、整相加算回路14と、信号処理部15と、白黒スキャンコンバータ16と、表示画像データ切替加算器17と、画像表示器18と、RF信号フレームデータ選択部19と、変位・歪み演算部20と、圧力演算部21と、被検体圧迫機構22と、弾性率演算部23と、弾性データ処理部24と、カラースキャンコンバータ25とを備えて構成される。
超音波探触子10は、機械式または電子的にビーム走査を行って被検体に超音波を送信及び受信するものである。図2は、一般的に使用されているリニアアレイ超音波探触子の外観を示す図である。超音波探触子の超音波送受信面101には超音波の発生源であると共に反射エコーを受信する振動子の素子群が整列して配置されている。超音波送受信制御回路11は、超音波を送信及び受信するタイミングを制御するものである。送信回路12は、超音波探触子10を駆動して超音波を発生させるための送波パルスを生成すると共に内蔵された送波整相加算回路により送信される超音波の収束点をある深さに設定するものである。
受信回路13は、超音波探触子10で受信した反射エコーの信号について所定のゲインで増幅するものである。また、整相加算回路14は、受信回路13で増幅された受波信号を入力して位相制御し、一点又は複数の収束点に対して超音波ビームを形成するものである。さらに、信号処理部15は、整相加算回路14からの受波信号を入力してゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理を行うものである。そして、これらの超音波探触子10、送信回路12、超音波送受信制御回路11、受信回路13、整相加算回路14及び信号処理部15の全体で超音波送受信手段を構成しており、超音波探触子10で超音波ビームを被検体の体内で一定方向に走査させることにより、一枚の断層像を得るようになっている。
白黒スキャンコンバータ16は、超音波送受信手段の信号処理部15から出力される反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内のRF信号フレームデータを超音波周期で取得し、このRF信号フレームデータを表示するためテレビ同期で読み出すための断層走査手段及びシステムの制御を行うための手段となるもので、信号処理部15からの反射エコー信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器でディジタル化された断層像データを時系列に記憶する複数枚のフレームメモリと、これらの動作を制御するコントローラなどとから成る。
画像表示器18は、白黒スキャンコンバータ16によって得た時系列の断層像データを表示する手段となるもので、白黒スキャンコンバータ16から出力され、表示画像データ切替加算器17を介して入力した画像データをアナログのビデオ信号に変換するD/A変換器と、このD/A変換器からのアナログビデオ信号を入力して画像として表示するカラーテレビモニタとから成る。
RF信号フレームデータ選択部19は、整相加算回路14から超音波診断装置のフレームレートで経時的に次々と出力されるRF信号フレームデータをRF信号フレームデータ選択部19に備えられたフレームメモリ内に順次確保し、現在確保されたRF信号フレームデータをRF信号フレームデータNとし、超音波診断装置の制御命令に従って時間的に過去のRF信号フレームデータN−1,N−2,N−3,・・・,N−Mの中から1つのRF信号フレームデータを選択し、それをRF信号フレームデータXとする。そして、RF信号フレームデータ選択部19は、現在のRF信号フレームデータNと過去のRF信号フレームデータXを1組の信号として、変位・歪み演算部20に出力する。ここでは、整相加算回路14から出力される信号をRF信号フレームデータとして記述したが、例えば、RF信号を複合復調したI,Q信号の形式の信号であっても良い。
変位・歪み演算部20は、RF信号フレームデータ選択部19によって選択された1組のRF信号フレームデータN,Xに基づいて1次元もしくは2次元相関処理を行い、断層像上の各点の変位もしくは移動量ベクトル(変位の方向と大きさ)を計測するようになっている。この移動量ベクトルの検出法としては、例えば特許文献1に記載されたブロック・マッチング法とグラジェント法とがある。ブロック・マッチング法は、画像を例えばN×N画素からなるブロックに分け、現フレーム中の着目しているブロックに最も近似しているブロックを前フレームから探し、これを参照して予測符号化を行うものである。さらに、変位・歪み演算部20は、上述の方法にて演算された変位に基づいて断層像上の各点の歪みを演算し、歪みの数値データ(以下、歪みフレームデータ)を生成し、弾性率演算部23に歪みフレームデータを出力する。歪みの演算は圧力のデータを必要とせず、変位を空間微分することによって求めることができる。
一般に、超音波を用いた弾性率の画像化における従来の方法による被検体の圧力計測は、超音波探触子10で超音波送受信を行いつつ、被検体の診断部位の体腔内に効果的に応力分布を与える目的で図3に示すような超音波探触子10の超音波送受信面101に面を合わせて圧迫板31を装着し、超音波探触子10の超音波送受信面101と圧迫板31にて構成される圧迫面を被検体の体表に接触させ、圧迫面を人為的又は機械的に上下動させて被検体を圧迫する方法をとっている。さらに、超音波探触子10の超音波送受信面101と被検体との間にどの程度の圧力が印加されているかを計測する為に、例えば、図4に示すように、圧迫板31に圧力センサー71〜76を取り付け、任意の時相において圧迫板31と被検体の間の圧力を測定し、その圧力データを弾性率演算部23に送出している。すなわち、圧力センサー71〜76は、超音波を透過させることができないので、超音波送受信面101上に装着することができないので、図4に示すように、超音波送受信面101上を避けて圧迫板31の周囲に圧力センサー71〜76を取り付け、これらの圧力センサー71〜76からの圧力データに基づいて超音波送受信面101直下の表皮に印加された圧力を推定するという方法を行っているのが現状である。
そこで、この発明では、図5に示すように、超音波探触子10の超音波送受信面101と圧迫板31とからなる圧迫機構を覆うように、圧計測用変形体100を設け、信号処理にて、診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力を計測するようにした。図6は、図5のように構成された圧計測用変形体100を介して、被検体の体表が圧迫された時の様子の断面を示す図である。超音波探触子10の超音波送受信面101には超音波の発生源であると共に反射エコーを受信する振動子の素子群が整列して配置されている。これらの振動子を素子v1,v2,v3・・・vnで表す。また、素子v1,v2,v3・・・vnの垂直下において、被検体表皮と圧計測用変形体100の境界に与えられた圧力をそれぞれ圧力p1,p2,p3・・・pnと表す。従って、こられの圧力p1,p2,p3・・・pnの分布が図6の圧計測用変形体100と被検体との境界線によって表されることになる。なお、この実施の形態では、超音波送受信面101と圧迫板31にて圧迫機構を構成した例を示したが、特に圧迫板31を装着することなく、超音波送受信面101のみに圧計測用変形体を設け、それを圧迫機構として使用してもよい。
次に、この実施の形態に係る圧力演算部21の動作を図7を用いて説明する。図7は、圧力演算部21の詳細構成を示す図である。圧力演算部21は、境界検出回路211と圧力演算回路212とから構成される。境界検出回路211は、RF信号フレームデータ選択部19から出力されたRF信号フレームデータを用いて、被検体1の表皮と圧計測用変形体100との境界を検出し、検出されたRF信号フレームデータにおける境界の座標を境界座標データとして圧力演算回路212に出力する。
境界検出回路211の境界検出方法の一例を図8及び図9を用いて説明する。図8は、図6で説明した方法にて被検体1を撮像した場合の超音波断層像データの一例を示す図である。図9は、境界検出回路の境界検出方法の具体例を示す模式図である。超音波探触子10の超音波送受信面101に圧計測用変形体100を併用した場合、RF信号フレームデータには、被検体1からのRFデータのみならず、圧計測用変形体100からのRFデータも同時に含まれるので、図8に示すように超音波断層像データには圧計測用変形体100の像も描かれる。このとき、圧計測用変形体100の厚さはあらかじめ把握されているため、RF信号フレームデータから被検体1と圧計測用変形体100の境界を含む領域のRFデータを抽出することは容易である。例えば、図9の左図に示したように、被検体1と圧計測用変形体100の境界b1,b2,b3・・・bnを含む領域のRFデータを抽出することができる。圧計測用変形体100は特に超音波減衰が生体の場合に比較して小さい素材により構成されているので、境界b1,b2,b3・・・bnを含むRFデータの信号波形は、これらの境界b1,b2,b3・・・bnにおいてその信号の強度が大きく変化する。例えば、図9の右側のような波形のRFデータとなる。このような波形のRFデータに基づいて被検体1と圧計測用変形体100の境界の座標を求める。それは、例えば、境界を含むRFデータの信号波形の振幅に対して閾値t1を設け、深度方向の原点0から見て、RFデータの波形の振幅が初めて閾値t1を超えた座標を境界の座標として検出される。 上述のような境界の座標の検出方法は、一例としてRFデータの振幅に対して閾値を設ける方法を示したが、RFデータの振幅を自乗した信号強度のデータに対して施してもよい。さらに、RF信号データを用いて境界の検出を試みるのみならず、図8で例示したような白黒スキャンコンバータ16から出力される断層像データを境界検出回路211に入力し、断層像データを用いて境界の検出を試みてもよい。さらにまた、境界を含むRF信号データ、断層像データに、例えば微分フィルターを施した後のデータを用いて境界検出を試みてもよい。
圧力演算回路212は、境界検出回路211によって検出された境界座標データを用いてRF信号フレームデータにおける圧計測用変形体100からのRF信号を抽出し、被検体1の表皮と圧計測用変形体100の境界に与えられた圧力を演算により求めるものである。以下、圧力演算回路212による圧力の演算方法の一例を説明する。図6に示したように、被検体1が圧迫された際に、各振動子v1,v2,v3・・・vnがそれぞれの素子に接触した垂直下に位置する圧計測用変形体100の各領域に圧力を与えることになるが、境界検出回路211を用いることにより、被検体1と圧計測用変形体100の境界の座標を検出することができるので、RF信号フレームデータにおける圧計測用変形体100からのRFデータと被検体1からのRFデータとをそれぞれ分離して抽出する。このようにして抽出された圧計測用変形体100のRFデータもしくは超音波断層像データが分布する各領域をそれぞれデータ領域d1,d2,d3・・・dnとする。図10は、この各データ領域d1,d2,d3・・・dnを示す図である。各データ領域d1,d2,d3・・・dnは、各振動子v1,v2,v3・・・vnの垂直下に配置される圧計測用変形体100に対応するものである。従って、各データ領域d1,d2,d3・・・dnのそれぞれの領域に分布するRFデータもしくは超音波断層像データをそれぞれデータdd1,dd2,dd3・・・ddnとし、変位・歪み演算部20における変位と歪みの演算と同様の処理をデータdd1,dd2,dd3・・・ddnを用いて行うことにより、図11に示すようなそれぞれのデータ領域d1,d2,d3・・・dnにおける歪み量δd1,δd2,δd3・・・δdnを演算で求めることができる。
さらに、圧計測用変形体100の弾性率は既知であるため、これをYm(例えばヤング率)とすると、
圧力(応力)pi=Ym×(歪み量δdi)
(i=1,2,3・・・n)………(1)
の関係があり、データ領域d1,d2,d3・・・dnの内部における圧力分布をそれぞれ圧力分布p1,p2,p3・・・pnとして求めることができる。これらの圧力分布pd1,pd2,pd3・・・pdnを解析することにより、図6に示したような、被検体1の表皮と圧計測用変形体100の境界における圧力をそれぞれ圧力p1,p2,3・・・pnとして、個々の振動子v1,v2,v3・・・vnの垂直下の圧力を求めることができる。
圧力演算回路による圧力の演算方法は、変位・歪み演算部20における変位と歪みの演算と同様の処理をデータdd1,dd2,dd3・・・ddnに対して行うことにより、それぞれデータ領域d1,d2,d3・・・dnにおける歪み量を求め、既知弾性率を参照することにより、圧力p1,p2,3・・・pnを求める方法を採用している。なお、圧力の演算方法はこれだけに限らず、例えば、図12に示したように、圧計測用変形体100の無圧縮状態における初期厚をDとすると、境界検出回路211の働きにより、圧計測用変形体100のRFデータもしくは超音波断層像データが分布するデータ領域d1,d2,d3・・・dnにおける圧計測用変形体100の初期厚Dからの圧縮量として、圧縮量Δdl,Δd2,Δd3・・・Δdnを求めることができる。各データ領域d1,d2,d3・・・dnに対応する圧計測用変形体100の歪み量Diは、
歪み量Di=Δdi/D (i=1,2,3・・・n)………(2)
として計算される。そして、この歪み量Diを上記式(1)に代入すれば、同様にして被検体1の表皮と圧計測用変形体100の境界におけるそれぞれの圧力p1,p2,3・・・pnを求めることができる。
また、図13に示すように、圧計測用変形体100に与えた歪み量Δd/Dと、その圧力(応力)σとの関係の実測データをあらかじめ取得しておけば、より直接的に各領域における被検体1の表皮と圧計測用変形体100の境界の圧力(応力)σiを求めることができる。特に弾性率が圧縮量(Δd)に依存した、非線形効果と知られる特性を有するような圧計測用変形体100を用いた場合などには、ヤング率Ymは圧縮量の関数となるが、複雑な弾性率応答を有する素材を使用した場合にも、実測データを参照することにより容易に境界の圧力を求めることができる。
上述の説明における圧計測用変形体100としては、音響結合材料や音響レンズ素材などの超音波減衰が小さく、且つ、音速、音響インピーダンスが生体内のものに近いなど、生体との音響結合特性に優れ、同時に、形状復元性及び保形性にも優れた素材にて構成された材料を用いることが好ましい。通常、音響結合材料は、超音波画像診断において一般的に使用されている音響媒体を構成する材料である。この音響媒体は、生体面のように凹凸のある部分に超音波探触子10の超音波送受信面101を接触させた場合に隙間を生じさせないようにするものである。すなわち、超音波送受信面101と生体面との間に隙間が生じると、超音波探触子10から照射された超音波がその隙間の空気と超音波探触子10との境界で跳ね返されてしまい、表示画像に支障をきたす。そこで、超音波探触子10のヘッド部と生体との接触面に超音波を伝播する音響媒体を介在させることでこのような問題を解決している。なお、最近では、音響媒体に保形性や柔軟性、適度な弾性を備えた材料を用いる試みがなされている。例えば、特開昭59−82838号公報、特開平1−146234号公報や、論文(Jpn.J.Med.Ultrasonics,Vol.20,No.12(1993))等に記載されているポリビニルアルコール等の水性高分子と水とからなる水性ゲル(ハイドロゲル)を音響結合材料とするもの、特開平1−304109号公報や、論文(Jpn.J.Med.Ultrasonics,Vol.19,No.2,pp.1−19(1992))等に記載されている液状セグメントを内部構造に有するポリウレタンを音響結合材料とするもの、特開平5−220143号公報に記載されている二重結合を有するゴムと油状成分とを含む組成物を架橋、成形してなるオイルゲルを音響結合材料とするもの、特開平9−262238号公報に記載されている生ゴムに、可塑剤として低分子量のゴムを配合したものを含む組成物を成形、架橋したゴムを音響結合材料とするものが報告されている。また、従来から市販されているポリマーゲル・ウルトラソニックコンダクターなどのオイルゲルの一種と考えられるものを音響結合材料に用いた例が報告されている(日本超音波医学会講演論文集、昭和60年11月、445ページ)。
また、上述の説明では、特に一次元アレーの超音波探触子10を例にして、被検体1の表皮と圧計測用変形体100の境界の圧力分布を一次元的に求める場合について説明したが、二次元アレー超音波探触子を用いれば、同様にして二次元の圧力分布を求めることができる。
図4に示したような圧迫機構を有した従来の超音波診断装置を用いて生体組織の弾性率データを画像化する場合には、RF信号フレームデータに加え、圧力センサー71〜76からの圧力データも同時に取得し、それを弾性率演算部23に送出する手段を設ける必要がある。また、体表と圧迫機構との接触面における圧力データ分布を計測する必要が生じる場合があるが、そのためには圧力データが必要となる接触面の個々の領域のそれぞれについて、一つの圧力センサーを独立して設ける必要があり、さらに、圧力データ分布を構成する要素の数だけの圧力データを取得し、そのための信号経路なども必要になる。また、圧力センサー71〜76の大きさには限界があり、体表と圧迫機構との接触面に配置できる圧力センサーの個数には制約が生じる為に、圧力データ分布を構成する空間的な座標間隔を所望の間隔にまで高精細化することができない場合がある。
これに対して、この実施の形態に係る圧計測用変形体100及び圧力演算部21を用いることによって複数の圧力センサーを用いることなく簡便な方法にて、被検体1の表皮に与えられた圧力の分布を超音波振動子の素子配列間隔の程度にまで高精細化して求めることができ、高画質、高精細な弾性画像を映像化することができる。
また、圧力センサー71〜76は、超音波を透過させることができないので、超音波探触子10の超音波送受信面101上の圧力を正確に計測することは困難である。すなわち、被検体1内において、超音波送受信面101の直下に配置した組織領域に印加された圧力を直接的に計測することは不可能であり、超音波送受信面101を避けて配置された複数の圧力センサーの情報から、超音波送受信面101直下の表皮に印加された圧力を推定するという方法を選択せざるを得ない。また、このように圧力を推定する方法だと、表皮との接触状況によっては、超音波送受信面101直下の表皮に印加された圧力を正確に取得できない場合が発生するが、この実施の形態のように圧計測用変形体100及び圧力演算部21を用いたものは、被検体1の断層像を観察できると同時に、診断における関心領域となる超音波送受信面101の直下に配置した組織領域に印加された圧力を直接的に求めることできる。さらに、表皮との接触状況が変化した場合でも、その圧力変化を正確に追従して捕らえることができるので、安定した弾性診断を行うことができる。
また、患者への負担を低減する目的で構成された経直腸超音波探触子などのような超音波探触子は、超音波探触子ヘッド部が可能な限り小さく構成されており、このような超音波探触子に圧力センサーを装着した場合、超音波探触子ヘッド部が大きくなることは免れず、安全性の面と患者への負担の面において、実現することは困難であったが、この実施の形態のように圧計測用変形体100及び圧力演算部21を用いたものは、弾性のある安全な素材にて超音波探触子の超音波送受信面を覆っただけの単純な構成にて実現することができ、患者の負担がなく、安全に弾性の診断を行うことができる。
弾性率演算部23は、変位・歪み演算部20で求めた歪みフレームデータと圧力演算部21で求めた圧力データから断層像上の各点の弾性率を演算して弾性率の数値データ(弾性フレームデータ)を生成し、それを弾性データ処理部24に弾性フレームデータとして出力するので、弾性率の内の一つである、例えばヤング率の演算は、上記式(1)に示したように、各演算点における応力(圧力)を各演算点における歪み量で除することにより容易に求めることができる。
また、弾性データ処理部24は、弾性率演算部23から出力される弾性フレームデータに様々な画像処理を施し、カラースキャンコンバータ25に処理後の弾性フレームデータを送出する。カラースキャンコンバータ25は、弾性データ処理部24から出力された弾性フレームデータに基づいて、弾性画像データとしての赤、緑、青などの色相情報を付与する色相情報変換手段として動作するものであり、例えば、弾性データ処理部24から出力される弾性フレームデータにおいて、歪みが大きく計測された領域については、弾性画像データ内でその領域を赤色コードに変換し、逆に歪みが小さく計測された領域については、弾性画像データ内でその領域を青色コードに変換するようになっている。また、カラースキャンコンバータ25に代えて、白黒スキャンコンバータ16を使用しても良い。白黒スキャンコンバータ16を用いた場合には、歪みが大きく計測された領域については、弾性画像データ内でその領域の輝度を明るくさせ、逆に歪みが小さく計測された領域については、弾性画像データ内でその領域の輝度を暗くさせるようにすればよい。
さらに、表示画像データ切替加算器17は、白黒スキャンコンバータ16からの白黒の断層像データとカラースキャンコンバータ25からのカラーの弾性画像データとを入力し、両画像を加算又は切り替えるものであり、白黒の断層像データだけ又はカラーの弾性画像データだけを出力したり、あるいは両画像データを加算合成して出力したりするように、自由に出力画像を切り替えることができるようになっている。また、例えば、公知例(特開2000−60853号公報)にあるように、2画面表示においては白黒断層像とカラーもしくは白黒スキャンコンバータ16による白黒弾性画像をそれぞれ別々に同時に表示しても良い。そして、この表示画像データ切替加算器17から出力された画像データは画像表示器18へ出力され、表示される。
次にこのように構成された超音波診断装置の動作について説明する。まず、この実施の形態のように被検体1と超音波探触子10の超音波送受信面101との間に圧計測用変形体100を介在させ、超音波送受信面101に配列した超音波振動子群に送信回路12により高電圧電気パルスを印加して超音波を打出し、診断部位からの反射エコー信号を圧計測用変形体100を介して、超音波探触子10の超音波振動子群で受信し、その受波信号を受信回路13に入力する。受信回路13では、受波信号が前置増幅された後、整相加算回路14に入力する。そして、この整相加算回路14により位相が揃えられた受波信号は、次の信号処理部15で圧縮、検波などの信号処理を受けた後、白黒スキャンコンバータ16へ入力する。この白黒スキャンコンバータ16では、受波信号がA/D変換されると共に、時系列的に連続する複数の断層像データとして内部の複数枚のフレームメモリに記憶される。
次にRF信号フレームデータ選択部19に記憶されたRF信号フレームデータの内、1組のRF信号フレームデータがRF信号フレームデータ選択部19によって選択され、変位・歪み演算部20へ入力される。変位・歪み演算部20では、1次元又は2次元の変位分布(ΔLi,j)及び歪み量分布(εi,j)が求められる。変位分布の算出は、前述の移動ベクトルの検出法として、例えばブロック・マッチング法によって行うが、特にこの方法によらなくても良いのは言うまでもなく、一般的に用いられる、2画像データの同一領域における自己相関を計算して変位を算出しても良い。また、歪み量分布(εi,j)は変位分布の空間微分(ΔLi,j/ΔX)を行うことによって求められる。
さらに、この実施の形態では、圧力演算部21においては、上述の説明の動作により、RF信号フレームデータ選択部19から出力されるRFフレーム信号、若しくは、白黒スキャンコンバータ16の出力の断層像データを利用して、被検体1の表皮と圧計測用変形体100の境界における圧力分布を演算し、その演算結果の圧力データを弾性率演算部23に出力する。
次に、変位・歪み演算部20及び圧力演算部21から出力された歪み量(ΔLi,j/ΔX)及び圧力ΔPi,jのそれぞれの計測信号は、弾性率演算部23に入力され、特に弾性率の内、ヤング率Ymi,jが次式によって計算される。
Ymi,j=(ΔPi,j)/(ΔLi,j/ΔX)
このようにして求められた弾性率Ymi,jにより、各点の弾性率が求められ、弾性データ処理部24によって2次元の弾性画像データが連続的に得られる。
このようにして求められた弾性フレームデータは、カラースキャンコンバータ25もしくは白黒スキャンコンバータ16に入力され、色相情報もしくは白黒輝度情報に変換される。その後、表示画像データ切替加算器17を介して、白黒の断層像とカラーの弾性画像が加算合成され、又は、白黒の断層像と白黒の弾性画像を加算せずに画像表示器18に送り込まれ、1画面に白黒断層像とカラーの弾性画像を重畳して表示される。または、白黒断層像と白黒弾性画像を2画面表示により同一画面上に同時に表示しても良い。また、白黒断層像は、特に一般のB像のみに限ったものではなく、受信信号の高調波成分を選択して画像化するティシューハーモニック断層像を用いても良い。また、同様に白黒断層像の代わりに、ティシュードプラ像を表示しても良く、その他、2画面に表示する画像を様々な組合せにより選択されても良い。
なお、弾性画像の形成については、前述の生体組織の歪みもしくはヤング率Ymを求めて弾性画像データを生成する例を説明したが、これに限らず、例えばスティフネスパラメータβ、圧弾性係数Ep、増分弾性係数Eincなどの他のパラメータを用いて弾性率を演算しても良い(特開平5−317313号公報参照)。また、図1に示したブロック図では、被検体1の体表面に超音波探触子10を接触させる場合について説明したが、これに限らず、経直腸探触子、経食道探触子、血管内探触子など、任意の超音波探触子にても同様に適用できる。
この実施の形態に係る超音波診断装置においては、精細な圧力(応力)分布を簡便に取得することができ、高画質な弾性画像を安全に取得することが可能な超音波診断装置を実現することができる。
この実施の形態に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。 通常の超音波探触子の構成を示す図である。 図1の超音波探触子に圧迫板を装着した場合を示す図である。 図3の超音波探触子に圧力センサーを装着した場合を示す図である。 この実施の形態に係る圧計測用変形体を装着した超音波探触子の一例を示す図である。 この実施の形態に係る圧計測用変形体と被検体表皮との境界の圧力分布の様子を模式的に示す図である。 この実施の形態に係る圧力演算部の動作の一例を示す図である。 この実施の形態に係る圧計測用変形体を併用して撮像した被検体の超音波断層像の一例を示す図である。 この実施の形態に係る圧力演算部内の境界検出回路の動作の一例を示す図である。 この実施の形態に係る圧計測用変形体の各データ領域を説明する図である。 この実施の形態に係る圧計測用変形体内に生じた歪み量を説明する図である。 この実施の形態に係る圧計測用変形体の圧縮量を説明する図である。 歪みと応力との関係を示す図である。
符号の説明
1…被検体
10…超音波探触子
11…超音波送受信制御回路
12…送信回路
13…受信回路
14…整相加算回路
15…信号処理部
16…白黒スキャンコンバータ
17…表示画像データ切換加算器
18…画像表示器
19…RF信号フレームデータ選択部
20…変位・歪み演算部
21…圧力演算部
211…境界検出回路
212…圧力演算回路
22…被検体圧迫機構
23…弾性率演算部
24…弾性データ処理部
25…カラースキャンコンバータ
100…圧計測用変形体
101…超音波送受信面
31…圧迫板
71〜76…圧力センサー

Claims (8)

  1. 被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力の情報を取得するために超音波送受信面を覆うように圧計測用変形体手段を設けたことを特徴とする超音波探触子。
  2. 請求項1において、前記圧計測用変形体手段は、音響結合材料や音響レンズ素材などの超音波減衰が小さく、且つ、音速、音響インピーダンスが生体内のものに近いなど、生体との結合特性に優れた素材にて構成されたことを特徴とする超音波探触子。
  3. 請求項1又は2の超音波探触子を用いて被検体に対して超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、
    前記超音波の送信及び受信を制御する超音波送受信制御手段と、
    前記超音波送受信手段から出力される反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内のRF信号フレームデータを所定周期で繰り返し取得する断層走査手段と、
    前記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータの信号処理を行う信号処理手段と、
    前記信号処理手段からの時系列の断層フレームデータを白黒断層像データに変換する断層フレームデータ情報変換手段と、
    上記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータ群の中から、変位計測の対象となるRF信号フレームデータの組を選択するRF信号フレームデータ選択手段と、
    前記RF信号フレームデータ選択手段によって選択されたRF信号フレームデータの組に基づいて断層像上の各点の変位及び歪みを演算する変位・歪み演算手段と、
    前記RF信号フレームデータ選択手段によって得られたRF信号フレームデータの中に含まれる前記被検体及び前記圧計測用変形体手段からの超音波反射信号に基づいて前記被検体の診断部位の体表に与えられた圧力を演算する圧力演算手段と、
    前記変位・歪み演算手段及び前記圧力演算手段によって求められた前記歪み及び圧力から断層像上の各点の弾性率を演算して弾性フレームデータを生成する弾性率演算手段と、
    前記弾性率演算手段からの弾性フレームデータを入力して弾性フレームデータの信号処理を行う弾性データ処理手段と、
    前記弾性データ処理手段からの弾性フレームデータを入力して色相情報もしくは白黒輝度情報の付与された弾性画像データを出力する弾性フレームデータ情報変換手段と、
    前記断層フレームデータ情報変換手段からの前記白黒断層像データと、前記色相情報変換手段からの前記弾性画像データとを加算したもの又は独立したものを画像データとして出力する切替加算手段と、
    前記切替加算手段から出力される画像データを表示する画像表示手段と
    を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 超音波探触子を用いて被検体に対して超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、
    前記超音波の送信及び受信を制御する超音波送受信制御手段と、
    前記超音波探触子と前記被検体との間に設けられた適切な弾性を有する圧計測用変形体手段と、
    前記超音波送受信手段から出力される反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内のRF信号フレームデータを所定周期で繰り返し取得する断層走査手段と、
    前記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータの信号処理を行う信号処理手段と、
    前記信号処理手段からの時系列の断層フレームデータを白黒断層像データに変換する断層フレームデータ情報変換手段と、
    上記断層走査手段によって取得された時系列の複数のRF信号フレームデータ群の中から、変位計測の対象となるRF信号フレームデータの組を選択するRF信号フレームデータ選択手段と、
    前記RF信号フレームデータ選択手段によって選択されたRF信号フレームデータの組に基づいて断層像上の各点の変位及び歪みを演算する変位・歪み演算手段と、
    前記RF信号フレームデータ選択手段によって得られたRF信号フレームデータの中に含まれる前記被検体及び前記圧計測用変形体手段からの超音波反射信号に基づいて前記被検体の診断部位の体表に与えられた圧力を演算する圧力演算手段と、
    前記変位・歪み演算手段及び前記圧力演算手段によって求められた前記歪み及び圧力から断層像上の各点の弾性率を演算して弾性フレームデータを生成する弾性率演算手段と、
    前記弾性率演算手段からの弾性フレームデータを入力して弾性フレームデータの信号処理を行う弾性データ処理手段と、
    前記弾性データ処理手段からの弾性フレームデータを入力して色相情報もしくは白黒輝度情報の付与された弾性画像データを出力する弾性フレームデータ情報変換手段と、
    前記断層フレームデータ情報変換手段からの前記白黒断層像データと、前記色相情報変換手段からの前記弾性画像データとを加算したもの又は独立したものを画像データとして出力する切替加算手段と、
    前記切替加算手段から出力される画像データを表示する画像表示手段と
    を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項4において、前記圧計測用変形体手段は、音響結合材料や音響レンズ素材などの超音波減衰が小さく、且つ、音速、音響インピーダンスが生体内のものに近いなど、生体との結合特性に優れた素材にて構成されたことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項3、4又は5において、前記圧力演算手段は、前記RF信号フレームデータ選択手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記RF信号フレームデータ又は前記断層走査手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記白黒断層像データを利用して前記圧計測用変形体手段における歪み量を求め、前記圧計測用変形体手段における歪み量と前記圧計測用変形体手段の既知の弾性率とを用いて、前記被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力を演算することを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項3、4又は5において、前記圧力演算手段は、前記RF信号フレームデータ選択手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記RF信号フレームデータ又は前記断層走査手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記白黒断層像データを利用して前記圧計測用変形体手段の厚さを求め、前記圧計測用変形体手段の厚さと前記圧計測用変形体手段の既知の弾性率とを用いて、前記被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力を演算することを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項3、4又は5において、前記圧力演算手段は、前記RF信号フレームデータ選択手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記RF信号フレームデータ又は前記断層走査手段により得られた前記圧計測用変形体手段の信号を含む前記白黒断層像データを利用して前記圧計測用変形体手段の厚さを求め、前記圧計測用変形体手段の厚さと圧力の関係を示す実測データに基づいて、前記被検体の診断部位を圧迫した際に体表に与えられた圧力を演算することを特徴とする超音波診断装置。
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