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JP5325847B2 - 超音波探触子及び超音波診断装置 - Google Patents

超音波探触子及び超音波診断装置 Download PDF

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JP5325847B2 JP2010179962A JP2010179962A JP5325847B2 JP 5325847 B2 JP5325847 B2 JP 5325847B2 JP 2010179962 A JP2010179962 A JP 2010179962A JP 2010179962 A JP2010179962 A JP 2010179962A JP 5325847 B2 JP5325847 B2 JP 5325847B2
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Description

本発明は、超音波を利用して被検体内の診断部位について断層像を得る超音波診断装置に係り、特に時系列に並んだ1組のRF信号フレームデータからその画像上の各点の歪み及び弾性率を演算し、生体組織の硬さ又は柔らかさを定量的に示す弾性画像として表示することができる超音波診断装置に関する。
従来の一般的な超音波診断装置は、超音波送受信を制御する超音波送受信制御手段と、被検体に超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、この超音波送受信手段からの反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内の断層像データを所定周期で繰り返して得る断層走査手段と、この断層走査手段によって得た時系列断層像データを表示する画像表示手段とを有して構成されていた。そして、被検体内部の生体組織の構造を例えばBモード像として表示していた。
これに対して、最近、超音波探触子の超音波送受信面にて、被検体の体表面から用手的な方法にて外力を与え、時系列的に隣接する2フレーム(連続2フレーム)の超音波受信信号の相関演算を利用して、各点における変位を求め、さらにその変位を空間微分することによって歪みを計測し、この歪みデータを画像化する手法、更には、外力による応力分布と歪みデータから、生体組織のヤング率等に代表される弾性率データを画像化する手法が現実的になってきている。このような歪み及び弾性率データ(以下、弾性フレームデータ)を基にした弾性画像によれば、生体組織の硬さや柔らかさを計測して表示することができる。このような超音波装置として、特許文献1又は特許文献2に記載されたものなどがある。
特開平5−317313号公報 特開2000−60853号公報
高画質な弾性画像データの描出に適した加圧量もしくは減圧量は、関心組織に0.5%〜1%程度の歪みが生じる範囲であることが知られており、この適切範囲内の歪み量が与えられなかった時相においては、描出される弾性画像データは乱れたものになり、弾性画像による画像診断は困難になる。
一方、弾性フレームデータの演算は、一定の時間間隔をあけて取得された1組のRF信号フレームデータにて、1つの弾性フレームデータを構成する手法が採られている。したがって、一連の圧迫過程において取得された複数の弾性画像データ(特に歪み画像データ)のそれぞれの画質は、それぞれの弾性画像データを構成する為の一組のRF信号フレームデータが取得された時刻における、圧迫速度に依存することになる。つまり、一定時間間隔において1組のRF信号フレームデータを取得するため、ある時刻における圧迫速度が速い場合は、その時刻において組織に与えられた歪みは大きく、逆にある時刻における圧迫速度が遅い場合は、その時刻において組織に与えられた歪みは小さいということになる。
しかし、このような従来の超音波診断装置による弾性画像化方法においては、用手的に関心組織を圧迫する方法をとっているため、一連の圧迫過程におけるすべての時刻において、高画質化に適した圧迫速度範囲で圧迫し続けることは困難であり、また、それぞれの時刻における圧迫速度が一定でないために、結果として出力される複数の弾性画像データが時間的に不連続で、弾性画像データのフレーム間にトビのある映像となり、画像診断は困難になる。
更に、圧迫過程において手ぶれが生じることは避けられず、圧迫方向がそれぞれの時刻において変動してしまうことも、上述の連続的に取得した弾性画像データの不連続性の原因にもなっている。また、上述の原因により、弾性画像の画質が検査士の手技に依存することも免れない。
本発明が解決しようとする課題は、弾性画像診断における高画質な弾性画像を、任意の時相において安定して描出できるようにすることにある。
上記の課題を解決するため、本発明の超音波診断装置は、被検体の撮像対象部位を圧迫する圧迫手段と、超音波探触子により前記被検体との間で超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、取得された時系列の複数のRF信号フレームデータに基づいて変位を計測する変位計測手段と、前記変位に基づく弾性画像を表示する画像表示手段とを備え、前記圧迫手段は、前記変位を計測した1組の前記RF信号フレームデータ間の周期に応じて圧迫速度を制御することを特徴とする。
以上のように本発明によれば、弾性画像診断において、高画質な弾性画像を、任意の時相においても安定して描出することができるという効果がある。
本発明による超音波診断装置の実施例を示すブロック図 一般的な超音波リニア超音波探触子を示す図 圧迫板を装着した超音波探触子を示す図 本発明によるモーター機構による自動圧迫機構を内蔵した超音波超音波探触子を示す図 本発明による油圧機構による自動圧迫機構を内蔵した超音波探触子を示す図 本発明による外部取り付け式にて既存超音波探触子に装着された自動圧迫機構を示す図 圧力センサーを装着した超音波探触子を示す図 本発明による圧力計測部により、圧力情報に応じて自動圧迫機構を制御することを示す図
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明による超音波診断装置の実施例を示すブロック図である。この超音波診断装置は、超音波を利用して被検体の診断部位について断層像を得ると共に生体組織の硬さ又は柔らかさを表す弾性画像を表示するものである。この超音波診断装置は、図に示すように、超音波探触子10と、超音波送受信制御回路11と、送信回路12と、受信回路13と、整相加算回路14と、信号処理部15と、白黒スキャンコンバータ16と、切替加算器17と、画像表示器18と、RF信号フレームデータ選択部19と、変位計測部20と、圧力計測部21と、自動圧迫機構22と、歪み及び弾性率演算部23と、弾性データ処理部24と、カラースキャンコンバータ25とを備えて構成される。
超音波探触子10は、機械式または電子的にビーム走査を行って被検体に超音波を送信及び受信するものである。図2は、一般的に使用されている1次元のリニアアレイ超音波探触子の外観を示す図である。超音波探触子の超音波送受信面101には超音波の発生源であると共に反射エコーを受信する振動子の素子群が整列して配置されている。超音波送受信制御回路11は、超音波を送信及び受信するタイミングを制御するものである。送信回路12は、超音波探触子10を駆動して超音波を発生させるための送波パルスを生成すると共に内蔵された送波整相加算回路14により送信される超音波の収束点をある深さに設定するものである。
受信回路13は、超音波探触子10で受信した反射エコーの信号について所定のゲインで増幅するものである。また、整相加算回路14は、受信回路13で増幅された受波信号を入力して位相制御し、一点又は複数の収束点に対して超音波ビームを形成するものである。さらに、信号処理部15は、整相加算回路14からの受波信号を入力してゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理を行うものである。そして、これらの超音波探触子10、送信回路12、超音波送受信制御回路11、受信回路13、整相加算回路14及び信号処理部15の全体で超音波送受信手段を構成しており、超音波探触子10で超音波ビームを被検体の体内で一定方向に走査させることにより、一枚の断層像を得るようになっている。
白黒スキャンコンバータ16は、超音波送受信手段の信号処理部15から出力される反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内のRF信号フレームデータを超音波周期で取得し、このRF信号フレームデータを表示するためテレビ同期で読み出すための断層走査手段及びシステムの制御を行うための手段となるもので、信号処理部15からの反射エコー信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器でディジタル化された断層像データを時系列に記憶する複数枚のフレームメモリと、これらの動作を制御するコントローラなどとから成る。
画像表示器18は、白黒スキャンコンバータ16によって得た時系列の断層像データを表示する手段となるもので、白黒スキャンコンバータ16から出力され、切替加算器17を介して入力した画像データをアナログのビデオ信号に変換するD/A変換器と、このD/A変換器からのアナログビデオ信号を入力して画像として表示するカラーテレビモニタとから成る。
RF信号フレームデータ選択部19は、整相加算回路14から超音波診断装置のフレームレートで経時的に次々と出力されるRF信号フレームデータをRF信号フレームデータ選択部19に備えられたフレームメモリ内に順次確保し、現在確保されたRF信号フレームデータをRF信号フレームデータNとし、超音波診断装置の制御命令に従って時間的に過去のRF信号フレームデータN−1,N−2,N−3,・・・,N−Mの中から1つのRF信号フレームデータを選択し、それをRF信号フレームデータXとする。そして、RF信号フレームデータ選択部19は、現在のRF信号フレームデータNと過去のRF信号フレームデータXを1組の信号として、変位計測部20に出力する。ここでは、整相加算回路14から出力される信号をRF信号フレームデータとして記述したが、例えば、RF信号を複合復調したI,Q信号の形式の信号であっても良い。
変位計測部20は、RF信号フレームデータ選択部19によって選択された1組のRF信号フレームデータN,Xに基づいて1次元もしくは2次元相関処理を行い、断層像上の各点の変位もしくは移動ベクトル(変位の方向と大きさ)を計測するようになっている。この移動ベクトルの検出法としては、例えば特許文献1に記載されたブロック・マッチング法とグラジェント法とがある。ブロック・マッチング法は、画像を例えばN×N画素からなるブロックに分け、現フレーム中の着目しているブロックに最も近似しているブロックを前フレームから探し、これを参照して予測符号化を行うものである。
一般に、超音波を用いた弾性率の画像化における従来の方法による被検体の圧迫動作は、超音波探触子10で超音波送受信を行いつつ、被検体の診断部位の体腔内に効果的に応力分布を与える目的で図3に示すような超音波探触子10の超音波送受信面101と、この送受信面101に面を合わせて圧迫板31を装着し、超音波探触子10の超音波送受信面101と圧迫板31にて構成される圧迫面を被検体の体表に接触させ、圧迫面を用手的に上下動させて被検体を圧迫する方法をとっている。
この実施の形態では、超音波探触子10に対して用手的な被検体圧迫の動作を機械的な動作にて自動で行うことのできる自動圧迫機構22を設けることにした。図4は、超音波探触子の圧迫動作を行う自動圧迫機構の一例としてモーター機構による駆動力を用いた例を示す図である。図4では、自動圧迫機構は、超音波超音波探触子における超音波送受信面101と圧迫板31にて構成される圧迫面を独立した圧迫ステージ102を上下動させるものである。自動圧迫機構は、検査士によって保持される超音波探触子10の超音波探触子保持部103に保持されたモーター機構41の回転軸に設けられた歯車(ピニオン)42と、圧迫ステージ102の支持部材104に設けられた板歯車(ラック)43とで構成されたラックアンドピニオンで構成されている。モータ機構41は、外部のモーター制御部44の制御命令に従い、超音波探触子保持部103に備えられたモーター機構41にて圧迫ステージ102を上下動させるようになっている。このモーター機構41としては、電磁モーター、超音波モーターなどを用いた機構で構成されていても良い。なお、ラックアンドピニオン以外にも、モーター機構41にカムを設け、カムの形状に応じて支持部材104を上下方向に駆動するようにしても良い。
図5は、自動圧迫機構の別の一例としてポンプ機構による駆動力を用いた例を示す図である。図5では、自動圧迫機構は、超音波探触子10における超音波送受信面101と圧迫板31にて構成される圧迫面を独立した圧迫ステージ102を上下動させるものである。自動圧迫機構は、検査士によって保持される超音波超音波探触子10の超音波探触子保持部103に保持された復動型の油圧シリンダー51によって構成される。この油圧シリンダー51のピストン511に圧迫ステージ102の支持部材104が結合されている。この油圧シリンダー51は油圧チューブ52によって油圧式ポンプ53と結合されており、油圧式ポンプ53の油圧制御により油圧シリンダー51内部に備えられたピストン511を上下動させ、ピストンと連動する構造をもってして、圧迫ステージ102を自動的に上下動させるようになっている。このポンプ機構としては、特に油圧式に限らず、水圧
空圧などを用いた機構で構成されていても良い。
なお、上述の実施の形態では、圧迫ステージ102の駆動力となるモータ機構やポンプ機構などの駆動機構を超音波探触子保持部103側に備えた例を示したが、逆に駆動機構を圧迫ステージ側に備えても良い。また、超音波探触子10の内部に自動圧迫機構を内蔵した場合について説明したが、自動圧迫機構を既存の超音波探触子の外部に装着することにより、簡便に目的を実現する方法を試みることも可能である。
図6は、自動圧迫機構を既存の超音波探触子の外部に装着することによって圧迫ステージの駆動と同等の動作を行うことができるようにした超音波探触子の一例を示す図である。自動圧迫機構60は、既存の超音波探触子10を固定的に保持する超音波探触子固定機構61と、この超音波探触子固定機構61を直線方向(上下方向)に駆動する駆動機構62とを具備したものである。超音波探触子固定機構61は、超音波探触子10の超音波探触子保持部103の首の部分に圧接して、超音波探触子10を固定保持する。このように超音波探触子固定機構61によって固定された超音波探触子10は、図4のような圧迫ステージと同等のものとなる。そこで、超音波探触子固定機能61の支持部材62に設けられた板歯車(ラック)63と、駆動機構(モータ機構)64の回転軸に設けられた歯車(ピニオン)65とで構成されたラックアンドピニオンを用いて超音波探触子保持部103すなわち超音波探触子10を上下動させるようにした。なお、図6では、板歯車(ラック)63と歯車(ピニオン)65との間に動力伝達用の2個の歯車66,67が設けられている。このような自動圧迫機構60を既存の超音波探触子10に外部から装着する。そして、検査士が自動圧迫機構60を保持するようにすれば、超音波探触子10そのものを圧迫ステージとして上下動させることが可能である。
このように、従来の超音波診断装置による弾性画像化方法においては、用手的に関心組織を圧迫する方法をとっているため、一連の圧迫過程におけるすべての時刻において、高画質化に適した圧迫速度範囲で圧迫し続けることは困難であり、また、それぞれの時刻における圧迫速度が一定でないために、結果として出力される複数の弾性画像データが時間的に不連続で、弾性画像データのフレーム間にトビのある映像となる。さらに、圧迫過程において手ぶれが生じることは避けられず、圧迫方向がそれぞれの時刻において変動してしまうことも、上述の連続的に取得した弾性画像データの不連続性の原因にもなっている。また、このような原因により、弾性画像の画質が検査士の手技に依存することも免れない。しかし、この実施の形態のような自動圧迫機構を用いることで、所望の一定速度にて、圧迫ステージを自動で一定方向に上下動させることが可能であり、任意の時刻において高画質な弾性画像データを取得することができる。さらに、圧迫動作の再現性を保持することができるため、弾性画像の画質が検査士に依存してしまう問題を回避することが可能となる。
次に、圧迫板31の圧迫面から被検体表皮が受ける圧力を計測する圧力計測部21を設け、その圧力データを利用して自動圧迫機構22の動作を制御するようにした超音波診断装置の一例について説明する。図7は、超音波探触子の超音波送受信面と被検体表皮との間にどの程度の圧力が印加されているかを計測する圧力計測部を備えた超音波探触子の一例を示す図である。この超音波探触子は、図7に示すように、圧迫板31の周縁部に圧力センサー71〜76からなる圧力計測部21が設けられている。このような超音波探触子を用いて、図1に示すように、任意の時相において圧迫板31と被検体表皮との間の圧力を測定し、その圧力データを自動圧迫機構22及び歪み及び弾性率演算部23に出力するようにした。すなわち、この実施の形態に係る自動圧迫機構22は、圧力計測部21にて計測された圧力データを取得し、自動圧迫機構22の圧迫動作を圧力データに応じて制御するものである。まず、図1に示すように自動圧迫機構22と圧力計測部21とを連結してその動作を制御する場合について説明する。図8は、その一例として図4に示したモーター機構41による駆動力を用いたものを示す図である。図8に示すように、圧迫板31の周囲に装着された圧力センサー71〜76の圧力データが自動圧迫機構22のモーター制御部44に入力される。このモーター制御部44は、圧力データに応じたモーター制御信号をモーター機構41に出力し、モーター機構41に所望の圧迫動作を行うように制御する。
従来の超音波診断装置による弾性画像化方法においては、用手的に関心組織を圧迫する方法をとっているため、誤って必要以上に圧迫してしまうおそれがあるので、被験者の安全性確保の面においても十分な配慮がなされなければならない。この実施の形態のように自動圧迫機構を用いることによって、圧力センサー71〜76から出力された圧力データがある基準以上に大きな圧力を計測した時刻においては、モーター機構41の動作を停止することが可能となり、被験者を過大に圧迫することによる危険性を回避することができる。また、弾性画像による画像診断においては、高画質な弾性画像が得られる圧力範囲が存在し、ある閾値以上の圧力にて圧迫したり、ある閾値以下の圧力にて圧迫した場合には、弾性画像が乱れることが知られている。従来の超音波診断装置による弾性画像化方法においては、用手的に関心組織を圧迫する方法をとっているため、任意の時刻において上述の範囲にある圧力にて被検体を圧迫し続けることは困難である。しかし、この実施の形態の自動圧迫機構を用いることによって、ある連続的な加圧過程において、圧力センサーから出力された圧力データがある閾値以上に大きな圧力を計測した時刻においては、加圧過程から連続的な減圧過程に切り替えるべく、モーター機構の動作を制御し、逆に、ある連続的な減圧過程において、圧力センサーから出力された圧力データがある閾値以下の小さな圧力を計測した時刻においては、減圧過程から連続的な加圧過程に切り替えるべく、モーター機構の動作を制御することができ、この動作を繰り返すことにより、適切な圧迫状態を常に維持することが可能となる。これにより、限られた診断時間において高画質な弾性画像を効率よく取得することができる。
この実施の形態に係る自動圧迫機構は、RF信号フレームデータ選択部19にて選択された1組のRF信号フレームデータN,X間の周期情報を取得し、自動圧迫機構22の圧迫動作がその周期に応じて制御されるようにするものである。以下、その動作の一例を説明する。
RF信号フレームデータ選択部19にて選択された1組のRF信号フレームデータN,X間の周期は、整相加算回路14から出力されRF信号フレームデータ選択部19に入力するRF信号フレームデータの周期と、この1組のRF信号フレームデータを構成する過去のRF信号フレームデータXと現在のRF信号フレームデータNとの間で間引いたRF信号フレームデータ数により決定される。例えば、整相加算回路14の出力であるRF信号フレームデータが毎秒40フレームの周期であり、且つ、1組のRF信号フレームデータN,X間の間引きフレーム数が1フレーム分であった場合、1組のRF信号フレームデータ間の周期は、毎秒20フレームとなる。自動圧迫機構22は、この1組のRF信号フレームデータN,X間の周期情報を取得し、取得された周期情報に基づいて自動庄迫機構22における圧迫動作の圧迫速度を制御するようにした。例えば、上述の条件の場合、整相加算回路14からの出力であるRF信号フレームデータの周期は毎秒40フレーム、かつ、1組のRF信号フレームデータN,X間の周期が毎秒20フレームの状況において、関心組織に高画質化に適した歪み量として0.7%の歪みを与える圧迫速度V0にて連続的に圧迫していると仮定する。
この状況の下、超音波診断装置の診断条件の変更により、整相加算回路14からの出力であるRF信号フレームデータの周期が毎秒20フレームの周期に変更されてしまうと、1組のRF信号フレームデータN,X間の周期は毎秒10フレームに半減してしまうことになる。このときに、依然として圧迫速度V0にて圧迫している場合、RF信号フレームデータ間の間欠時間が2倍の長さになるため、関心組織に与えられる歪みは1.4%にまで大きくなり、高画質化に適する歪み量の範囲を逸脱することになる。その結果として出力される連続的な弾性画像データも乱れた画像となってしまう。そこで、この実施の形態に係る自動圧迫機構22においては、RF信号フレームデータの周期情報を取得し、例えば、上述の状況においては、圧迫速度をV0/2に半減した圧迫速度に変更するように自動圧迫機構22の圧迫動作を制御するようにした。
しかし、従来の超音波診断装置による弾性画像化方法においては、用手的に関心組織を圧迫する方法をとっているため、超音波診断装置の診断条件変更に応じて圧迫速度を変更することは非常に困難であるが、この実施の形態に係る自動圧迫機構22によれば、超音波診断装置の診断条件が変更になったことによる、超音波送受信周期が変化した状況においても、高画質な弾性画像を取得するために最適な圧迫速度となるように自動的に制御することができる。
自動圧迫機構22は、圧迫速度や連続的な加圧過程・減圧過程における積算した圧縮量(振幅)や、圧迫動作停止の圧力閾値などの圧迫動作の設定を任意に切り替えることができる。歪み及び弾性率演算部23は、変位計測部20及び圧力計測部21でそれぞれ求めた移動量(変位)及び圧力から断層像上の各点の歪み及び弾性率を演算して、歪みもしくは弾性率の数値データ(弾性フレームデータ)を生成し、その弾性フレームデータを弾性データ処理部24に出力するものであり、例えば、歪みの演算は圧力のデータを必要とせず、変位を空間微分することによって計算される。また、弾性率の内の一つである、例えばヤング率Ymの演算は、以下の式(1)に示したように、各演算点における応力(圧力)を各演算点における歪み量で除することにより求められる。
Ymi,j=圧力(応力)ij/(歪み量i,j)…(1)
(i,j=1,2,3,・・・)
ここで、i,jの指標は、フレームデータの座標を表す。
弾性データ処理部24は、歪み及び弾性率演算部23からの弾性フレームデータに様々な画像処理を施し、カラースキャンコンバータ25に処理後の弾性フレームデータを送出する。カラースキャンコンバータ25は、弾性データ処理部24からの弾性フレームデータと、超音波診断装置の制御部(図示せず)からの命令もしくは弾性データ処理部24からの弾性フレームデータの中の階調化選択範囲とする上限値及び下限値を入力し、弾性フレームデータから弾性画像データとして赤、緑、青などの色相情報を付与する色相情報変換手段となるもので、例えば、弾性データ処理部24から出力される弾性フレームデータにおいて、歪みが大きく計測された領域は、弾性画像データ内の該当する領域を赤色コードに変換し、逆に歪みが小さく計測された領域は、弾性画像データ内の該当する領域を青色コードに変換するようになっている。また、カラースキャンコンバータ25は白黒スキャンコンバータ16でも良く、歪みが大きく計測された領域は、弾性画像データ内の該当する領域の輝度を明るくさせ、逆に歪みが小さく計測された領域は、弾性画像データ内の該当する領域の輝度を暗くさせるようにしても良い。切替加算器17は、白黒スキャンコンバータ16からの白黒の断層像データとカラースキャンコンバータ25からのカラーの弾性画像データとを入力し、両画像を加算又は切り替えるものであり、白黒の断層像データだけを出力したり又はカラーの弾性画像データだけを出力したり、あるいは両画像データを加算合成して出力したりするように切り替えるようになっている。また、例えば、特許文献2に記載されているように、2画面表示において白黒断層像とカラーもしくは白黒スキャンコンバータによる白黒弾性画像を同時に表示しても良い。この切替加算器17から出力された画像データが画像表示器18に出力され、カラーテレビモニタなどに表示されるようになっている。
次にこのように構成された超音波診断装置の動作について説明する。まず、超音波送受信制御に従い、被検体の体表面に接触された超音波探触子10に送信回路12によって高電圧電気パルスを印加して超音波を打出し、診断部位からの反射エコー信号を超音波探触子10で受信する。次に、この受波信号は、受信回路13へ入力して前置増幅された後、整相加算回路14へ入力する。そして、この整相加算回路14により位相が揃えられた受波信号は、次の信号処理部15で圧縮、検波などの信号処理を受けた後、白黒スキャンコンバータ16へ入力する。この白黒スキャンコンバータ16では、受波信号A/D変換されると共に、時系列的に連続する複数の断層像データとして内部の複数枚のフレームメモリに記憶される。
自動圧迫機構22を備えた超音波探触子10を用いて被検体組織内部における関心部位の弾性評価を行うべく、自動圧迫機構22による自動的に設定された適切な圧迫方法にて被検体を圧迫しつつ超音波探触子10を被検体の体表面に接触することによって、整相加算回路14からは連続的なRF信号フレームデータが出力される。整相加算回路14から出力された連続的なRF信号フレームデータは、RF信号フレームデータ選択部19に順次記憶され、そのRF信号フレームデータの内、時系列的に連続する複数枚のRF信号フレームデータがRF信号フレームデータ選択部19によって選択され、変位計測部20へ入力され、1次元又は2次元の変位分布(ΔLi,j )が求められる。変位分布の算出は、前述の移動ベクトルの検出法として、例えばブロツク・マッチング法によって行うが、特にこの方法によらなくても良いのは言うまでもなく、一般的に用いられる、2画像データの同一領域における自己相関を計算して変位を算出しても良い。また、RF信号フレームデータ選択部において選択された1組のRF信号フレームデータ間の周期情報を自動圧迫機構22に出力し、その周期情報に応じて自動圧迫機構22の圧迫動作を最適化するようになっている。一方、圧力計測部21においては、圧力センサーによって体表面に加えられた圧力が計測され、その圧力情報が圧力計測部21から歪み及び弾性率演算部23及び自動圧迫機構22に送出され、この圧力情報に応じて自動圧迫機構22の圧迫動作を最適に制御することにより、被験者の弾性画像診断を効率よく、且つ、安全に行えるようになっている。
次に、変位計測部20及び圧力計測部21から出力された変位(ΔLi,j )及び圧力(ΔPi,j )のそれぞれの計測信号は、歪み及び弾性率演算部23に入力される。歪み及び弾性率演算部23は、変位分布(ΔLi,j )を空間微分すること(ΔLi,j/ΔX )によって歪み量分布(εi,j )を計算する。特に弾性率の内、ヤング率Ymi,jは次式によって計算される。
Ymi,j=(ΔPi,j)/(ΔLi,j/ΔX)
このようにして求めた弾性率Ymi,jに基づいて、各点の弾性率が求められ、2次元の弾性画像データが連続的に得られる。
このようにして求められた弾性フレームデータは、次にカラースキャンコンバータ25もしくは白黒スキャンコンバータ16に入力され、色相情報もしくは白黒輝度情報に変換される。その後、切替加算器17を介して、白黒の断層像とカラーの弾性画像が加算合成され、又は、白黒の断層像と白黒の弾性画像を加算せずに画像表示器18に出力して、1画面に白黒断層像とカラーの弾性画像を重畳して表示する。または、白黒断層像と白黒弾性画像を2画面表示により同一画面上に同時に表示しても良い。また、白黒断層像は、特に一般のB像のみに限ったものではなく、受信信号の高調波成分を選択して画像化するティシューハーモニック断層像を用いても良い。また、同様に白黒断層像の代わりに、ティシュードプラ像を表示しても良く、その他、2画面に表示する画像を様々な組合せにより選択しても良い。
なお、上述の弾性画像の形成については、前述の生体組織の歪みもしくはヤング率Ymを求めて弾性画像データを生成する例を説明したが、本発明はこれに限らず、例えばスティフネスパラメータβ、圧弾性係数Ep、増分弾性係数Eincなどの他のパラメータを用いて弾性率を演算しても良い(特許文献1参照)。
また、図1に示した超音波診断装置は、被検体の体表面に超音波探触子を接触させる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、経直腸超音波探触子、経食道超音波探触子、血管内超音波探触子など、任意の超音波探触子にて同様に適用できる。
以上のようにこの実施の形態に係る超音波診断装置によれば、検査士の依存しない再現性の高い高画質な弾性画像を容易、且つ、安全に取得することが可能となる。また、この実施の形態に係る超音波診断装置によれば、任意時刻において弾性画像を高分解能且つ安定的に描出することができと共に、従来、医師の試みる触診の応答を視覚的に動画像で表現する手段を実現することにより、超音波診断の実時間性、簡便性を保持した、臨床上有用な超音波診断装置を提供することができる。
10…超音波探触子
11…超音波送受信制御回路
12…送信回路
13…受信回路
14…整相加算回路
15…信号処理部
16…白黒スキャンコンバータ
17…切替加算器
18…画像表示器
19…RF信号フレームデータ選択部
20…変位計測部
21…圧力計測部
22…自動圧迫機構
23…歪み及び弾性率演算部
24…弾性データ処理部
25…カラースキャンコンバータ
101…超音波送受信面
102…圧迫ステージ
103…超音波探触子保持部
104…支持部材
31…圧迫板
41…モーター機構
42…歯車(ピニオン)
43…板歯車(ラック)
44…モーター制御部
51…油圧シリンダー
511…ピストン
52…油圧チューブ
53…油圧式ポンプ
60…自動圧迫機構
61…超音波探触子固定機構
62…支持部材
63…板歯車(ラック)
64…駆動機構(モータ機構)
65…歯車(ピニオン)
66,67…歯車
71〜76…圧力センサー

Claims (6)

  1. 被検体の撮像対象部位を圧迫する圧迫手段と、超音波探触子により前記被検体との間で超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、取得された時系列の複数のRF信号フレームデータに基づいて変位を計測する変位計測手段と、前記変位に基づく弾性画像を表示する画像表示手段とを備え、前記圧迫手段は、前記RF信号フレームデータの周期に応じて圧迫速度を制御する超音波診断装置。
  2. 前記RF信号フレームデータの周期が半減すると、前記圧迫手段は前記圧迫速度を半減させることを特徴とする請求項に記載の超音波診断装置。
  3. 前記超音波探触子の超音波送受信面に配置された圧迫板と、前記圧迫板と前記被検体との間の圧力を測定する圧力計測手段とを備え、前記圧迫手段は、前記超音波送受信面と前記圧迫板を介して前記撮像対象部位を圧迫し、前記圧力計測手段によって計測された圧力を設定された圧力範囲に制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  4. 前記圧迫手段は、加圧と減圧の圧迫動作を繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 前記圧迫手段は、加圧過程において前記圧力計測手段によって計測された圧力が第1の閾値以上になったとき圧迫動作を減圧に切り替え、減圧過程において前記圧力計測手段によって計測された圧力が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下になったとき圧迫動作を加圧に切り替えることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
  6. 前記圧力計測手段が設定された基準以上に大きな圧力を計測した場合、前記圧迫手段は圧迫動作を停止することを特徴とする請求項に記載の超音波診断装置。
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