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JP2004269276A - メソ細孔含有ゼオライトと排ガス浄化用触媒及びそれらの製造方法 - Google Patents

メソ細孔含有ゼオライトと排ガス浄化用触媒及びそれらの製造方法 Download PDF

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JP2004269276A
JP2004269276A JP2003058693A JP2003058693A JP2004269276A JP 2004269276 A JP2004269276 A JP 2004269276A JP 2003058693 A JP2003058693 A JP 2003058693A JP 2003058693 A JP2003058693 A JP 2003058693A JP 2004269276 A JP2004269276 A JP 2004269276A
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zeolite
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reaction
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Hitoshi Kato
加藤  仁志
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Toyota Motor Corp
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  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
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Abstract

【課題】ゼオライト結晶内にメソ細孔を形成し、ガス拡散性に優れ、吸着・反応サイトの利用効率が高いゼオライト及び排ガス浄化用触媒とする。
【解決手段】ゼオライトの結晶の表面又は内部にゼオライトと直接的又は間接的に反応する反応性粒子を担持した後、反応性粒子とゼオライトとの直接的又は間接的な反応によりゼオライトの結晶の内部にメソ細孔を形成する。
反応によって反応性粒子の近傍のゼオライトが分解又は変形し、反応粒子の粒径にほぼ相当する細孔が形成される。反応の進行に伴って反応性粒子は細孔に沿ってゼオライト結晶内に侵入し、次々とゼオライトが分解されることによって空洞状のメソ細孔が形成される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着材、触媒などとして有用なメソ細孔含有ゼオライトとその製造方法、及びこのメソ細孔含有ゼオライトを用いた排ガス浄化用触媒とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼオライトは、別名分子篩いとも称されるように、分子の大きさに匹敵する孔径2nm未満のミクロ細孔を有し、ガスフィルタ、吸着材などとして利用されるほか、固体酸としての特性から触媒としても多くの反応に利用されている。ゼオライトのこのような性質を利用して、近年、自動車の排ガス浄化用触媒への利用が検討されている。ところがゼオライト自体は貴金属の担持性が低く、担持させたとしても担持量が少なくて酸化能が不十分となるという不具合がある。
【0003】
ゼオライトなどの結晶性シリカ多孔体の結晶は、直方体状、六角柱状など形の整った結晶であるのが通常であるが、稀に歪んだ形状のものが混在する。この歪な粒子は、単結晶ではなく複数の単結晶が結合した状態(双晶)であると考えられるが、このような歪な粒子ができる原因などはまだ解明されていない。この歪な粒子は単結晶ではなく複数の単結晶が結合した状態であり、結合した単結晶どうしの粒界に通常のミクロ細孔より大きな2〜50nmの径のメソ細孔が存在している。
【0004】
そして近年の研究によれば、ゼオライトのメソ細孔に担持された貴金属は粒成長が抑制されるため、メソ細孔に積極的に貴金属を担持した触媒とすることにより、耐久試験後にも高い浄化性能が得られることがわかっている。
【0005】
例えば特開2000−061311号公報には、Si/Alモル比が40以上で結晶粒径が1μm以下のゼオライトに貴金属を担持した排ガス浄化用触媒が記載されている。このゼオライトは、結晶粒子間にメソ細孔と同じレベルの細孔を有しているので、その細孔に貴金属を担持することで貴金属の粒成長を抑制することができ、耐久性が向上する。
【0006】
また特開平07−241471号公報には、ゼオライト粉末に無機バインダ、水及び有機エマルジョンを加えてスラリーを形成し、このスラリーをウォッシュコートし焼成する排ガス浄化用触媒の製造方法が記載されている。この製造方法によれば、焼成時に有機エマルジョンが分解することでコート層に小孔が形成され、その結果ガス拡散性が向上するため、得られた触媒では炭化水素の吸着能が向上する。
【0007】
【特許文献1】特開2000−061311号
【特許文献2】特開平07−241471号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ゼオライトのミクロ細孔は、流体の拡散抵抗が大きいため、ミクロ細孔での吸着や反応は主としてゼオライト粒子の表面で生じ、ゼオライト粒子内部のミクロ細孔はほとんど利用されない。したがって吸着や反応の効率が低く、ガス拡散の影響によって反応の選択性が生じたり、被毒物質による汚染に対する抗力が低い、などの問題を抱えている。
【0009】
一方、メソ細孔をもつゼオライトは、自然界に多く存在するわけではなくコストが高いという問題がある。またメソ細孔は結晶の欠陥であるために、高温耐久時に結晶の欠陥部分に変形などの変化が生じてメソ細孔が消滅する場合もあり、耐久性に限界があった。さらに特開2000−061311号に記載のゼオライトでは、メソ細孔と同レベルの細孔は結晶粒子間にのみ形成され、ゼオライト結晶内には形成されないことから、ゼオライト結晶の吸着・反応サイトの利用効率が低いという不具合がある。
【0010】
またMCM−41などのメソ多孔体を用いることも考えられるが、このようなメソ多孔体は規則的なメソ細孔を有するものの、細孔壁は一般に非晶質であり原子レベルの規則性がないため、ゼオライトが有するような酸点が形成されにくい他、触媒反応の選択性においても不利である。また高温条件下において水蒸気に対して不安定であるという問題がある。したがって自動車の排ガス浄化用触媒などに用いることは困難であった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ゼオライト結晶内にメソ細孔を形成し、ガス拡散性に優れ、吸着・反応サイトの利用効率が高いゼオライト及び排ガス浄化用触媒とすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のメソ細孔含有ゼオライトの特徴は、ゼオライトの結晶の内部にメソ細孔をもつゼオライトであって、メソ細孔の終端にゼオライトと直接的又は間接的に反応する反応性粒子をもつことにある。そして本発明の排ガス浄化用触媒の特徴は、本発明のメソ細孔含有ゼオライトに貴金属を担持してなることにある。貴金属の粒径は反応性粒子の粒径より小さいことが望ましい。
【0013】
そして本発明のメソ細孔含有ゼオライトの製造方法の特徴は、ゼオライトの結晶の表面又は内部にゼオライトと直接的又は間接的に反応する反応性粒子を担持する担持工程と、反応性粒子とゼオライトとの直接的又は間接的な反応によりゼオライトの結晶の内部にメソ細孔を形成する反応工程と、を含むことにある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のメソ細孔含有ゼオライトの製造方法では、先ずゼオライトの結晶の表面又は内部にゼオライトと直接的又は間接的に反応する反応性粒子を担持し、反応性粒子とゼオライトとを直接的又は間接的に反応させる。この反応によって反応性粒子の近傍のゼオライトが分解又は変形し、反応粒子の粒径にほぼ相当する細孔が形成される。反応の進行に伴って反応性粒子は細孔に沿ってゼオライト結晶内に侵入し、次々とゼオライトが分解されることによって空洞状の細孔が形成される。すなわち反応性粒子の粒径を例えば2〜50nm程度に制御しておくことで、反応性粒子との直接的又は間接的な反応によってゼオライト内にメソ細孔が形成され、その結果、メソ細孔の終端には反応性粒子が存在している。
【0015】
したがって本発明のメソ細孔含有ゼオライトによれば、メソ細孔を有しているため表面積が拡大され、吸着サイトあるいは反応サイトが増大している。またガス拡散性も向上している。これにより吸着能が向上するとともに、排ガス浄化用触媒としては浄化能が向上する。
【0016】
ゼオライトとしては特に制限されず、フェリエライト、 ZSM−5、モルデナイト、Y型ゼオライト、β型ゼオライトなどのゼオライトを用いることができる。三次元的な細孔をもち吸着性能に優れた ZSM−5、Y型ゼオライト、β型ゼオライトなどが望ましい。
【0017】
反応性粒子としては、発熱、触媒反応などによって直接的又は間接的にゼオライトの分解あるいは変形が生じるものを用いる。反応性粒子とゼオライトが直接的に反応してゼオライトが分解あるいは変形してもよいし、反応性粒子と雰囲気ガスとの反応熱あるいは反応生成物によってゼオライトが分解あるいは変形してもよい。
【0018】
このような反応性粒子としては、例えばPt、Rh、Pd、Irなどの貴金属が挙げられる。この貴金属は、雰囲気ガス中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)あるいは一酸化窒素(NO)などを酸化し、その発熱によってゼオライトと直接的又は間接的に反応し、ゼオライトを分解あるいは変形することができる。また貴金属粒子はゼオライト上を移動しやすく、それ自身は変化しないので、メソ細孔を効率よく形成することができる。
【0019】
ゼオライトに反応性粒子を担持するには、反応性粒子の径がメソ細孔径の範囲にあるように担持することが望ましく、1nm以上とすることが望ましい。例えば反応性粒子として貴金属を担持するには、イオン交換法を用いる方法、貴金属薬液の水溶液中にゼオライト粉末を混合して吸着担持する方法、貴金属薬液の水溶液の所定量をゼオライト粉末に含浸させ蒸発乾固して担持する方法、などを利用することができる。
【0020】
反応性粒子として貴金属を担持した場合に、貴金属とゼオライトとを直接的又は間接的に反応させるには、HC,CO,NOなどの存在下で 800℃以上に加熱することが望ましい。また加熱時間を調整することで、メソ細孔の長さを調整することが可能であるが、少なくとも3時間以上加熱することが望ましい。 800℃未満あるいは3時間未満の反応では、形成されるメソ細孔が僅かとなり実用的でない。
【0021】
反応性粒子の担持量(密度)は、多すぎると凝集が生じやすくなるので、凝集が生じない範囲でできるだけ多く担持することが好ましい。例えば反応性粒子として直径10nmの貴金属粒子を担持する場合には、ゼオライトの単位結晶面あたり、その単位結晶面積(nm )の1/ 100個以下とするのがよい。
【0022】
反応性粒子として貴金属粒子を担持した場合、メソ細孔の進展時には、HC,CO,NOなどのガスと貴金属粒子との反応はメソ細孔内で Knudsen拡散によって進行する。ガス中には、HC,CO,NOの少なくとも一種が含まれることが必要であり、その合計濃度は 0.1%以上であることが望ましい。
【0023】
本発明の排ガス浄化用触媒は、本発明のメソ細孔含有ゼオライトを担体とし、それに貴金属を担持してなる。貴金属としては、Pt,Rh,Pd,Irなどを利用できる。メソ細孔を浄化反応に積極的に利用するには、貴金属をメソ細孔内に担持することが望ましいので、担持される貴金属の粒径はメソ細孔の径より小さいこと、すなわち反応性粒子の粒径より小さいことが望ましい。
【0024】
このように貴金属を担持するには、貴金属薬液の水溶液中にメソ細孔含有ゼオライト粉末を混合して吸着担持する方法、貴金属薬液の水溶液の所定量をメソ細孔含有ゼオライト粉末に含浸させ蒸発乾固して担持する方法、などを利用することができる。
【0025】
また貴金属の担持量は、メソ細孔含有ゼオライトに対して0.05〜10重量%の範囲とすることができる。0.05重量%未満では排ガス浄化用触媒として実用的な浄化能が発現されず、10重量%を超えて担持すると貴金属が凝集しやすく活性が低下する。なお、反応性粒子として貴金属を用いた場合には、触媒としての貴金属の担持量を反応性粒子の担持量分だけ低減することができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0027】
平均結晶子径1μmのZSM−5 (SiO/Al=1900)粉末を用意し、[Pt(NH](OH) 水溶液を用いてPtをイオン交換担持した後、空気中にて 400℃で2時間焼成した。得られたPt/ZSM−5粉末をX線回折及び透過型電子顕微鏡で解析したところ、図1に示すように、粒径が10nm以下のPt粒子がZSM−5 の表面及び結晶粒界に存在し、Pt粒子はZSM−5 の1gあたり1.48×1015個担持されていた。
【0028】
次に、得られたPt/ZSM−5粉末を表1に示す組成のガス流通雰囲気中に配置し、 800℃で 100時間保持する反応工程を行った。
【0029】
【表1】
Figure 2004269276
【0030】
反応工程後のPt/ZSM−5粉末をX線回折及び透過型電子顕微鏡で解析したところ、図2に示すように、粒径が約10nmに成長したPt粒子と、Pt粒子を終端とする平均長さ 100nmの線状部が観察された。線状部は、 100nmを超える長さのものもあり、それぞれの幅はPt粒子の粒径とほぼ同一であった。さらに、線状部はいずれも結晶粒界から結晶内部へ延び、その最深部にPt粒子が存在している。
【0031】
そこで図3に示す円で囲まれた線状部を、約90゜傾斜させて観察したところ、図4に示すように線状部は直径約10nmのメソ細孔であることが確認された。また図5に示すように、線状部(メソ細孔)の近傍では、ゼオライトの結晶構造が維持されていることもわかった。
【0032】
以上の結果から、ガス流通雰囲気中における 800℃で 100時間の熱処理によって、先ずPt粒子が僅かに粒成長し、Pt粒子が担持されている部分からゼオライト結晶が分解又は変形して細孔が形成され、その細孔内にPt粒子が侵入して細孔底部のゼオライト結晶をさらに分解又は変形させる。この反応が次々と進行することで、細孔が連続しメソ細孔が形成されたものと考えられる。
【0033】
次に、1g分のZSM−5 の体積Vを算出し、上記解析結果から反応工程前後の表面積Sをそれぞれ算出して、V/S値をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
【0034】
多孔質酸化物粒子を担体とする触媒の触媒有効係数(η)は、近似的に次式(1)で表される。ηは多孔質酸化物粒子が触媒反応に利用される割合であり、多孔質酸化物粒子の全体が触媒反応に利用されている場合が最大でη=1である。ηは1に近いほど多孔質酸化物粒子が有効に利用されているといえる。
【0035】
η=1/sqrt(1+φ ) ・・(1)
ここでφはシーレ数と称されるパラメータであり、多孔質酸化物粒子の半径をR、反応速度定数をk、拡散係数をDとしたとき次式(2)の関係にある。
【0036】
φ=R×sqrt(k/D) ・・(2)
(1)式において、φが小さいほどηが大きくなることから、φを小さくすることが望ましい。したがって(2)式から、k及びDが変化しないという前提でRを小さくすれば、φが小さくなりηを大きくすることができる。Rを小さくするということは、近似的に「体積/表面積」を小さくすることであるので、V/S値が小さいほどZSM−5 の結晶中の吸着・反応サイトの利用効率が向上し、触媒としては浄化活性が向上する。
【0037】
【表2】
Figure 2004269276
【0038】
表2より、反応工程後のV/S値が反応工程前の約1/3と小さくなっていることがわかる。したがって本実施例のメソ細孔含有ゼオライトは、結晶中の吸着・反応サイトの利用効率が高く、排ガス浄化用触媒としても浄化活性が向上することが明らかである。
【0039】
【発明の効果】
すなわち本発明のメソ細孔含有ゼオライトの製造方法によれば、ゼオライトの結晶中にメソ細孔を容易に形成することができ、得られたメソ細孔含有ゼオライトはガス拡散性が向上する。したがってゼオライト結晶中の吸着・反応サイトの利用率が向上し、排ガス浄化用触媒とした場合には浄化活性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応工程前のPt/ZSM−5粉末の粒子構造を示す TEM写真である。
【図2】反応工程後のPt/ZSM−5粉末の粒子構造を示す TEM写真である。
【図3】反応工程後のPt/ZSM−5粉末の粒子構造を示す TEM写真である。
【図4】図3を傾斜させて観察したPt/ZSM−5粉末の粒子構造を示す TEM写真である。
【図5】反応工程後のPt/ZSM−5粉末の粒子構造を示す TEM写真である。

Claims (6)

  1. ゼオライトの結晶の内部にメソ細孔をもつゼオライトであって、該メソ細孔の終端に該ゼオライトと直接的又は間接的に反応する反応性粒子をもつことを特徴とするメソ細孔含有ゼオライト。
  2. 請求項1に記載のメソ細孔含有ゼオライトに貴金属を担持してなることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  3. 前記貴金属の粒径は前記反応性粒子の粒径より小さい請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. ゼオライトの結晶の表面又は内部に該ゼオライトと直接的又は間接的に反応する反応性粒子を担持する担持工程と、
    該反応性粒子と該ゼオライトとの直接的又は間接的な反応により該ゼオライトの結晶の内部にメソ細孔を形成する反応工程と、を含むことを特徴とするメソ細孔含有ゼオライトの製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法で製造されたメソ細孔含有ゼオライトに貴金属を担持することを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。
  6. 前記貴金属の粒径は前記反応性粒子の粒径より小さい請求項5に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
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